JP5177740B2 - ジャイロセンサのドリフト抑制方法 - Google Patents
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Description
かかる構成では、計測動作中において、出力極性の反転前と反転後の各出力値が得られる毎に反転前の出力値と反転後の出力値とを積分した後に、反転前の積分値と反転後の積分値の差分を演算することで、ドリフトの低減処理が行われるようになる。これにより、計測時間に比例して増大するドリフト量が抑制されるようになる。
請求項3の構成では、角速度測定ができないセンサ回転期間中でも、他方のセンサによって角速度測定が可能であり、角速度測定を実質的に連続して行えるようになる。
かかる構成では、光ファイバジャイロセンサは、加速度に感度を持たないため、検出軸方向を機械的に反転させても回転の影響を受けないので、1つの光ファイバジャイロセンサを連続回転させることで連続的に角速度を計測することができるようになる。
請求項6のように、加速度センサ又は磁気センサに適用してもよい。
図1は、本発明に係るジャイロセンサのドリフト抑制方法の第1実施形態を適用した角度検出回路の概略構成図である。
図1において、本実施形態のドリフト抑制方法は、ジャイロセンサ1の検出軸方向を周期的に機械的に反転させることによりジャイロセンサ1の出力極性を周期的に反転させ、ジャイロセンサから得られる反転前の角速度信号と反転後の角速度信号を積分した後に、反転前の積分値と反転後の積分値の差分を演算することにより、ドリフトを低減する方法である。
ジャイロセンサ1は、例えばMEMS技術を利用して製造した振動型のもので、センサ素子部4と、駆動電源5と、同期検波回路6を備える。
センサ素子部4は、例えば圧電セラミックス素子からなり交流駆動電源5からの交流励振信号により振動する音叉型の振動子4Aと、振動子4Aに外部から回転力が加わった時にその振動方向に対して垂直方向に発生するコリオリの力に起因する振動子4Aの歪み量を電気信号に変換して検出する検出電極4Bとを備える。このセンサ素子部4を、例えばステッピングモータ7により回転軸8を介して機械的に回転可能に構成し、モータ制御回路9により前記ステッピングモータ7を、周期的に正逆半回転を繰返すよう駆動制御することにより、図2に示すように、センサ素子部4の検出軸方向を周期的に反転させる(180°回転させる)構成である。尚、センサ素子部4を機械的に反転させる機構は、モータに限らず、センサ素子部4を周期的に反転できる機構であればどのような構成でもよい。
差分処理回路3は、積分して得られた反転前の角度信号と反転後の角度信号との差分を一周期毎に演算し、この演算値を角速度計測終了時点まで加算処理して検出対象物体の回転角度に対応する角度信号を出力するものである。
ジャイロセンサ1の振動子4Aに駆動電源5から励振信号を印加して振動子4Aを振動させる。この状態で、モータ制御回路9によりステッピングモータ7を周期的に正逆転制御し、図2に示すようにセンサ素子部4の検出軸方向を周期的に反転させる。これにより、同期検波回路6から、図3に示すように反転周期に対応して極性が反転した角速度信号ω(t)と−ω(t)が交互に発生する。積分処理回路2は、入力する角速度信号ω(t)と−ω(t)を測定期間T1毎に積分処理する。差分処理回路3は、それぞれ積分された反転前の角速度信号と極性が反転した反転後の角速度信号との差分を一周期毎に演算し、その演算値を角速度計測終了時点まで加算する。
差分処理回路3に入力する角速度信号ω(t)は、角速度に対応する信号成分と、誤差成分であるオフセット成分とドリフト成分とを含んでいる。図2に示すようにセンサ素子部4の検出軸方向を反転させると、信号成分については極性が反転するため符号が逆になる。従って、差分処理回路3で反転前の積分値と反転後の積分値の差分を演算すると、極性反転により符号が逆となっている信号成分については同符号となり、加算されることになる。尚、ジャイロセンサ出力には雑音成分も存在するが、ここでは説明を簡単にするため雑音成分はないものとして説明する。
D=a(T1+Δt)T ・・・(1)
となる。
一方、反転させない場合の角度誤差量をD′とすると、
D′=aT2/2+bT ・・・(2)
となる。
図5において、駆動電源5は、切換スイッチ11を介してセンサ素子部4に電気的に接続される。前記切換スイッチ11は、共通接点aと2つの切換接点b,cを有する。駆動電源5は、切換接点bには直接接続し、切換接点cにはNOT回路12を介して接続している。センサ素子部4は、共通接点aに接続している。スイッチ制御回路13は、切換スイッチ11を周期的に切換制御する。尚、ジャイロセンサ1の出力極性を電気的に切換える回路構成は、図5の回路に限らず、ジャイロセンサ1の出力極性を周期的に反転可能な回路構成であればよいことは言うまでもない。
ジャイロセンサ1のセンサ素子部4に交流の励振信号を印加することは第1実施形態と同様である。この際、切換スイッチ11が切換接点cに接続している場合には、センサ素子部4に印加する励振信号の極性がNOT回路12によって反転される。従って、スイッチ制御回路13によって切換スイッチ11を周期的に切換えることで、切換スイッチ11の切換周期に応じてセンサ素子部4の出力極性が周期的に反転する。その後、積分処理回路2と差分処理回路3の各動作は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
かかる第2実施形態によれば、センサ素子部4を回転させるよりも励振信号の極性切換が高速であるので、1台のセンサで角速度計測が連続してできる利点がある。
センサ素子部4を機械的に反転させる場合、回転中に角速度の計測ができない。この問題を解消するため、第3実施形態では、2つのジャイロセンサ1の各センサ素子部4,4の回転動作を互いに半周期ずらし、各センサ素子部4,4の検出軸方向の反転の位相を互いに半周期ずらすように構成する。具体的には、各センサ素子部4,4を回転駆動する各ステッピングモータ7,7の回転動作を互いに同期させて半周期ずらすように制御すればよい。
2 積分処理回路
3 差分処理回路
4 センサ素子部
5 駆動電源
7 ステッピングモータ
8 回転軸
9 モータ制御回路
11 切換スイッチ
12 NOT回路
13 スイッチ制御回路
Claims (6)
- 出力極性の反転により符号が逆になる信号成分と、出力極性の反転の前後で符号が不変のドリフト成分とを含むジャイロセンサの出力のドリフト成分を低減するドリフト抑制方法であって、
前記ジャイロセンサの出力極性を周期的に反転させ、ジャイロセンサから得られる反転前の出力と反転後の出力とを積分した後に、反転前の積分値と反転後の積分値の差分を演算することにより、ドリフト成分を低減することを特徴とするジャイロセンサのドリフト抑制方法。 - 前記出力極性の反転は、ジャイロセンサの検出軸方向を機械的に反転させて行うことを特徴とする請求項1に記載のジャイロセンサのドリフト抑制方法。
- 前記ジャイロセンサがセンサ素子部を励振させる振動型である場合、2つのジャイロセンサの前記検出軸方向の反転の位相を互いに半周期ずらし、それぞれのジャイロセンサの回転期間中の出力データを、回転していない他方のジャイロセンサ側の出力データで補間することを特徴とする請求項2に記載のジャイロセンサのドリフト抑制方法。
- 前記ジャイロセンサがセンサ素子部を励振させる振動型である場合、前記出力極性の反転は、前記センサ素子部に印加する励振信号の極性を切替えて行うことを特徴とする請求項1に記載のジャイロセンサのドリフト抑制方法。
- 前記ジャイロセンサを、光ファイバジャイロセンサとすることを特徴とする請求項1又は2に記載のジャイロセンサのドリフト抑制方法。
- 加速度センサ又は磁気センサに適用することを特徴とする請求項1に記載のジャイロセンサのドリフト抑制方法。
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