JP5175026B2 - Ep(d)mポリマーおよびep(d)mのポリアルファ−オレフィン混合物の粘弾性特性の改良方法 - Google Patents

Ep(d)mポリマーおよびep(d)mのポリアルファ−オレフィン混合物の粘弾性特性の改良方法 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、所望によりポリアルファ−オレフィンと混合されたEP(D)M重合体の粘弾性特性を改良する方法に関する。
用語EP(D)M重合体とは、エチレン−プロピレン(EPM)の共重合体およびエチレン−プロピレン−ジエンのターポリマー(EPDM)を意味する。
本発明の方法により、分子量分布を実質的に変えることなく、網状材料の形成を避けながら、EP(D)M重合体の粘弾性を変えることができる。
ツィーグラー−ナッタ型の重合から得られる生成物、特にEP(D)M重合体、は、典型的には直鎖状であり、粘弾性(レオロジー)は、分子量または分子量分布を制御することによってのみ変えることができる。
分子量分布が広い生成物は、重合体(または混合物)のせん断感度を改良し、流動性を変えずに、より優れた形状安定性を達成することができる。エラストマーの場合、該重合体は、カーボンブラックの分散特性が優れている。しかし、広いMWDにより、粘着性が生じ(低いMWによる)、加硫が遅くなり、最終製品の弾性特性が悪くなる。
多くの文献が、重合体鎖の分岐または特定の双峰構造による最適レオロジーを有する製品を使用することの優位性を示している。特に、これまで当業者に良く知られているように、分岐した、または双峰性物質には、直鎖物質に対して、分子量分布が広い物質に典型的な欠点を生じることなく、カーボンブラック分散速度および押出速度が速いという優位性がある。反対に、用途に応じて、溶融した材料中の弾性が大きいために、押出における過度の膨潤および収縮に関連する、幾つかの問題が生じることも、生じないこともある。言い換えれば、処方、成形技術および製品特性として理解される最終的な用途により、分岐の最適度が広い範囲にわたって変化することがある。
そのような分岐した生成物を重合で直接得る方法は、特許文献中で頻繁に報告されており、特にこれらの文献(例えば、米国特許公開4,156,767号および米国特許公開4,510,303号参照)は、重合の際に、ツィーグラー−ナッタにより重合し得る2個以上の二重結合を有するポリエンが使用されるエチレンターポリマーおよびテトラポリマーを記載している。そのような場合、分岐は、形状の安定性、押出における粘度、および一般的に、重合体の加工性のような特性を改良するにしても、特に不均一型の製法で制御がなお困難であり、網状の、または分散が困難な材料を生じることが多い。その上、工業的な重合製法は、融通性が不十分であるのが特徴であり、従って、不経済な製造変更を頻繁に行わずに、単一用途/処方/最終用途向けの完璧な範囲の製品を製造することは不可能であろう。EP(D)M型の製品では、分岐は、ツィーグラー−ナッタ触媒の酸化学種による陽イオン系カップリングにより発生させることができるが、二次反応を制御することができず、従って、されらの重合体に対する影響が不均一になる。
欧州特許公開公報0801084号は、所望により双峰(従って、好ましくない低分子量分布の拡大なしに)のEP(D)M混合物を製造するための、混合物中の重合体ベースの組成を自由自在に調整し、ツィーグラー−ナッタ重合に典型的な低分子量−低プロピレン含有量の組合せを避ける、多工程重合製法を記載している。その上、この製法は、重合体ベースを完全に均質に混合することができるために、複雑で、常に効率的であるとは限らないオフ−ライン混合工程を回避しているのが特徴である。この製法は、一方で、所望の特性を有する重合体を選択する上で実際に絶対的な融通性を有するのが特徴であるが、他方、実用化が困難で、経費がかかる。
欧州特許公開公報1,013,673号は、ヒドロペルオキシドの性質を有する物質を使用し、エチレン−プロピレン共重合体の分子量を下げ、工業的重合設備では製造が困難な重合体を得る方法を開示している。該発明の目的である変換方法では、処理の熱的条件下であまり分解しないことを特徴とするヒドロペルオキシドの性質を有する物質の存在下で、重合体ベースを高せん断処理にかけている。この方法は、重合体材料に最も一般的な変換機械、好ましくは二軸スクリュー押出機、を使用することにより、高せん断で行なっている。しかし、欧州特許公開公報1,013,673号に記載されている方法には、処理した材料の分岐程度を調整できないという欠点がある。
ここで、少なくとも一種のヒドロペルオキシドの性質を有する物質および少なくとも一種の不飽和多官能性モノマーの存在下で、高せん断条件でEP(D)M重合体を処理することにより、重合体材料の分岐レベルを制御できることが分かった。
そこで、本発明は、所望によりポリアルファ−オレフィンと混合されたEP(D)M重合体のレオロジーを変える方法であって、所望によりポリアルファ−オレフィンと混合された、一種以上のEP(D)M重合体を含んでなる重合体混合物を、一種以上の多官能性ビニルモノマーおよび一種以上のヒドロペルオキシドの存在下、高せん断で処理することを含んでなり、多官能性ビニルモノマーの量が0.02〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%であり、ビニルモノマーとヒドロペルオキシドのモル比が0.005/1〜2/1モル、好ましくは0.01/1〜1/1モルであり、該方法を温度75℃〜260℃、好ましくは140℃〜210℃で行う方法に関する。
用語EP(D)Mは、エチレン含有量が85〜40重量%、好ましくは76〜45重量%であるEPM(エチレン−プロピレン)共重合体またはEPDMターポリマー(エチレン−プロピレン−非共役ジエンターポリマー)を含んでなる。可能な非共役ジエンは、最大12重量%、好ましくは5重量%の量で存在する。その上、EP(D)M重合体は、下記の特性を有する。
**分子量(M)70,000〜500,000、好ましくは90,000〜450,000、
**M/Mで表される多分散度5未満、好ましくは1.8〜4.9。
分子量Mは、GPCで屈折率検出器を使用して測定する。
EPDMターポリマーの場合、ジエンは、下記の群から選択される。
--直鎖ジエン、例えば1,4−ヘキサジエンおよび1,6−オクタジエン、
--分岐鎖脂環式ジエン、例えば5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、
--単環脂環式ジエン、例えば1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,5−シクロドデカジエン、
--脂環式ブリッジおよび縮合環ジエン、例えばメチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニルおよびシクロアルキリデンノルボルネン、例えば5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン。
好ましい実施態様では、ジエンは5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)である。
他の所望によりEP(D)Mとの混合物で使用できる重合体ベースは、ポリオレフィンの中から選択する。例えば
・様々な組成の、エチレンの共重合体またはエラストマー状ターポリマー、
・エチレンおよびプロピレンの、熱可塑性単独重合体、またはアルファ−オレフィンとの共重合体、
・他のビニルモノマー、例えば酢酸ビニル、アルキルメタクリレート、等とのエチレン共重合体(すなわちEVA、EBA、EMA)、
・共役ジオレフィンおよびスチレンの水素化されたブロックとの共重合体(SEBS、SPC、等)。
好ましい実施態様では、本発明の方法で所望により使用するポリ−α−オレフィンをポリエチレンおよびポリプロピレンから選択する。
本発明の方法で使用する多官能性ビニルモノマーは、一般式(Ia)
(HRC=CR−X−)−R (Ia)
(式中、RおよびRは、同一であるか、または異なるものであって、−Hおよびアルキル基C〜Cから選択され、X=−COOであり、n=2〜4、好ましくは2および3から選択され、Rは、n個の不飽和単位が結合している多官能性基である)
または(Ib)
Figure 0005175026
(式中、nおよびRは上記の意味を有する)
で表すことができる。
該多官能性ビニルモノマー(Ia)および(Ib)の典型的な例は、例えばトリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N,N’−m−フェニレンジマレイミドである。
ヒドロペルオキシドの典型的な例は、t−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、2,5−ジヒドロペルオキシ−2,5−ジメチルヘキサン(2,5−2,5)、クメンヒドロペルオキシド(CUHP)、t−アミルヒドロペルオキシド(TAHP)である。
用語「高せん断」とは、我々は100sec−1を超える、好ましくは500sec−1を超えるすべてのせん断を意図している。本発明の方法は、最も一般的な重合体材料用の変換機械、例えば連続式押出機、好ましくは二軸スクリュー押出機またはコニーダ(ko-kneter)型押出機、を使用して行うことができる。
本発明の一実施態様では、本方法を、5重量%を超えない量の酸化防止剤の存在下で行うことができる。
本発明の方法は、重合体ベースを形成する製造方法の仕上げ工程の際に、連続式工程として行うことができる。そのような場合、仕上げ工程(最終成形の前)における重合体の全部または、好ましくは、一部を標準的な流れから取り出し、本発明の目的である方法に選択された変換機械の中に搬送する。
本発明の目的である本方法は、初期重合体のレオロジーを実質的に変え、分岐した構造を得ることができる。温度およびせん断条件を変え、様々な量および種類の多官能性ビニルモノマー(二官能性または三官能性)を使用することにより、分岐の程度および種類を制御することができる。その上、重合体混合物に応用する場合、同じ方法で、ある重合体ベースの、他のベース上へのグラフト、およびその逆、を特徴とする、そのような混合物を製造することができる。
本発明の方法により得られる製品は、少なくとも部分的に、ポリアルファ−オレフィン、好ましくはエチレンまたはプロピレンとアルファ−オレフィンの共重合体、より好ましくは、下記の特徴、すなわち
**GPCで屈折率検出器を使用して測定する平均分子量が30,000〜500,000、好ましくは50,000〜300,000、
**M/Mで表される多分散度が7未満、好ましくは2〜4、
**ムーニー緩和法(Mooney relaxation method)により計算した面積とムーニーの比が2.2を超える、好ましくは3.5を超える、
を有するエチレンプロピレン共重合体またはEPDMターポリマーからなる。
ムーニー緩和法では、ムーニー粘度測定が完了した時に緩和試験を行う。
ML緩和(MLRA)の面積は、ブロックされたローターのトルク測定をML試験の限界を越えて続行することにより得られる、MLと時間の曲線の下側にある面積を表す。
従って、これは保存されたエネルギーを表すパラメータであり、通常、ML値で割ることにより標準化される。
傾斜(MRS)は、LOG(ML)ライン対LOG(時間)の傾斜であり、面積/ML比に完全に相関している。
傾斜の絶対値が低い程、つまり面積/ML比が高い程、その材料は弾性がより高い。
実際には、計器の適合性および再現性の問題のため、ML緩和法は厳格に構成されている。ローター停止後、1.6〜5秒の間に検出された実験値のみが得られる。これらの値から、logML対LOG(時間)の線が得られ、そこから傾斜を直接得ることができ、t=1からt=100秒間を積分することにより、面積が得られる。
詳細に関しては、Kautschuk+gummi Kunststoffe 43 (1990)、431頁、およびJ. Appl. Polym. Ski. 74 (1999)、1220頁を参照できる。
本発明の方法で得られる製品は、高い、または非常に高い分子量に典型的な弾性値を特徴とし、それにも関わらず、非常に高い加工性および作業性を確保できるような流動性および粘度を有する。
実験項では、初期EP(D)Mと比較して、本発明の方法により処理した製品が弾性および流動性(粘度低下の意味で)の両方で同時にどの程度改良されたかを示す。
本発明の方法で得られる製品は、その後の用途で、それ自体として、または、特に経済的理由およびその後の使用における実用性から、最大50%、好ましくは最大25%までの補強充填材(例えばカーボンブラックおよびシリカ)、および/または最大60%までの可塑剤(例えば固体パラフィンまたはパラフィン系油)と混合して、使用することができる。
本発明の所望により行なう実施では、本発明の目的である重合体を最終用途で、重合体総量の0〜95%、好ましくは0〜75%の変性していない製品と併用する。これは、本発明による処理のコストを部分的に回収するためにも行う。
本発明の方法により得られる製品の使用に関して、応用範囲は非常に広く、製品自体の最終的な特徴によって異なる。特に、本発明の方法により得られる製品は、EPMおよびEPDMのレオロジー的特性を変えるために使用することができる。実際、レオロジー/加工性を変えても、そのムーニー粘度は実質的に変化しない。
実験項は、本発明の方法により得られる製品の多くの用途を示す。
例えば、本発明の目的である製品は、エラストマー状カーボンブラック系組成物のレオロジーおよび加工性を改良するのに効果的に応用できる。
カーボンブラック系混合物の製造に使用する場合、本発明により得られる製品は、単独で、または他の未変性EP(D)Mとの組合せで、好ましくは下記の構成で使用する、すなわち混合物のエラストマー状成分の総量を100として、少なくとも40部が本発明の方法により得られる製品であり、残りの部分が下記の通りである、すなわち
・20〜350部、好ましくは50〜200部のカーボンブラック、
・0〜200部、好ましくは0〜50部の、好ましくは炭酸カルシウム、カオリン、シリカおよびタルクから選択される鉱物充填材、
・0〜160部、好ましくは25〜120部の可塑剤、好ましくは鉱油およびパラフィン系ワックス、
・0〜5部の加工助剤、好ましくはステアリン酸およびポリエチレングリコール、
・0〜5部の酸化防止剤、
・0〜5部の酸化カルシウム、および
・0〜10部の亜鉛または酸化鉛。
当業者には良く知られており、エチレン−プロピレンエラストマー系混合物の加硫に使用される加硫剤も使用する。典型的には、これらの材料は、EPMおよびEPDM用の硫黄系有機過酸化物および助剤およびEPDM用の促進剤である。そのような添加剤は、混合の最初の段階またはその後の段階のいずれかで加えることができる。
さらに、本発明の製品は、鉱物充填材系混合物の製造で、特にケーブル絶縁分野で使用する混合物の製造で使用できる。鉱物充填材系混合物の製造に使用する場合、本発明により得られる製品は、単独で、または他の低分子量未変性EP(D)Mまたはポリテン(polytenes)(最大密度0.925g/cc)との組合せで、好ましくは下記の構成で使用する、すなわち本発明の方法により得られる重合体少なくとも50部からなる重合体成分の総重量を100として、混合物は、
・25〜300部、好ましくは30〜100部の、か焼したカオリン、タルク、炭酸カルシウムおよび/またはマグネシウム、シリカ、水酸化マグネシウムおよびアルミニウム、および相互の混合物から選択された鉱物充填材、好ましくはカオリン、
・0〜100部の、鉱油およびパラフィン系ワックスから選択された可塑剤、中高電圧ケーブル用の絶縁には最大10部のパラフィン系ワックス、
・0〜2部の加工助剤、好ましくはステアリン酸およびポリエチレングリコールから選択、
・0〜5部の鉱物充填材用カップリング剤、好ましくはビニルシランの誘導体、例えばビニル−トリエトキシシラン、ビニルトリス(ベータメトキシエトキシ)シランから選択、
・0.5〜5部の酸化防止剤、
・0〜10部の酸化亜鉛および/または酸化鉛、
・0〜15部の過酸化物加硫用の助剤、液体ポリブタジエン、トリアリルシアヌレート、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、エチレンジメタクリレートから選択、
・0.4〜5部の過酸化物、EPRの網状化に通常使用する、好ましくはEPR(1〜15部)中に40%含有量で使用する過酸化物から選択し、ジクミルペルオキシドおよびジ(tert−ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼンが好ましい。
加硫用過酸化物は、混合の第一段階で、または選択した混合技術に応じてその後のいずれかの段階で加えることができる。
その上、本発明の製品は、高流動性ポリプロピレンの変性にも使用できる。実際、本発明により得られる製品は、流動性が極めて高く、従って、ポリプロピレンマトリックス中に高度に分散し得るにも関わらず、高い弾性を有するのが特徴である。従って、本発明の方法により得られる製品は、下記の実験例で立証するように、プラスチック材料の変性、および特に有利なことに、高流動性アイソタクチックポリプロピレンの変性に使用できる。
低粘度を高弾性と組み合わせることにより(ML緩和)、本発明の請求項により得られる製品は、せん断時に非常に低い粘度を有し(ポリプロピレンの粘度に近づけ、それらの相容性を改良する)、実質的な緩和状態(低せん断)では高い弾性を有する。従って、この製品は、メルトインデックスが230℃、2.16kgで6g/10’を超える、好ましくは12g/10’を超える、さらに好ましくは20g/10’を超えるポリプロピレンに非常に有用である。ポリプロピレンの単独重合体またはエチレンおよび/または他のアルファ−オレフィンとの共重合体を使用できる。ポリプロピレンと本発明により得られる製品の比は、95:5〜65:35、好ましくは90:10〜75:25である。他の成分、例えば鉱物性および有機充填材、酸化防止剤、他の重合体、油および可塑剤、も所望により使用できる。最後に、本発明の製品は、V.I.I(粘度指数向上剤)の分野でも使用できる。
V.I.I分野では、本発明の重合体目的は、高温および低温におけるレオロジー的特性の最適バランスを特徴とする。
特に、当業者には公知のように、V.I.I分野で使用されるエチレンプロピレン共重合体は、高エチレン含有量で得た場合、高温ではレオロジー的特性を最大化することができる(増粘)が、結晶性になり、低温では超構造(superstructures)を形成する傾向があり、モーターの冷間始動時における油の特性、例えばポンプ輸送能力、を失う。
しかし、特性のバランスは、中間体のエチレン化合物によっては達成できない。というのは、これらの化合物が、油の流動点降下添加剤を妨害し、それらの活性を損ない、潤滑油の低温レオロジーをさらに悪化させることがあるエチレン系配列(中程度)を含むためである。
従って、この分野では、結晶性種物質を使用して無定形物質と混合し、それらの特性を釣り合わせることが一般的に行われているが、場合により、これらの物質は、相互の組合せで、または別個に、押出機中で熱分解を引き起こす。
ブレンドの様々なベースに由来する重合体鎖間に化学結合を造り出す方法により、この用途で最大限の有用性が得られる。これは、下記の実験例で立証されるように、無定形ベースが、結晶性鎖の自己会合機構を最大限に妨害するために起こる。
本発明の方法は、V.I.I分野に適用する場合、EPMまたはEPDM(EPMが好ましい)の高または低エチレン含有量混合物からなり、高エチレン含有量は少なくとも69重量%であり、低エチレン含有量はエチレン60重量%以下である。両者の比は、高エチレンでEPM80%〜20%、好ましくは70%〜45%、で変えることができる。
長鎖分岐が多すぎて、分子量分布が双峰になる傾向を避けるために、多官能性モノマーの使用を二官能性物質だけに限り、百分率を総重量の0.7%以下にするのが好ましい。
下記の例は、本発明をより深く理解するために記載する。
実験例
材料
・Dutral CO058エチレン−プロピレン共重合体、Polimeri Europa、プロピレン48重量%、100℃におけるML(1+4)=77。
・Dutral CO034エチレン−プロピレン共重合体、Polimeri Europa、プロピレン28重量%、100℃におけるML(1+4)=44。
・Dutral CO038エチレン−プロピレン共重合体、Polimeri Europa、プロピレン28重量%、125℃におけるML(1+4)=58およびMLRA=76。
・EPM1−CO034+CO058 3:2の混合物、オープンミキサー中で調製、100℃におけるML(1+4)=57.9およびMLRA=66.4。
・t−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、Akzo Nobel Chem.製、70%水溶液(商品名Trigonox(登録商標)AW70)。
・TMPTMA Bisomer(トリメチロールプロパントリメタクリレート)。
・EGDMA-Sartomer 206(エチレングリコールジメタクリレート)。
・フェノール系酸化防止剤Anox(登録商標)PP18(Great Lakes)
・カーボンブラックシリーズFEF N550
下記の例は、分岐を含み、従って、レオロジーが調整された重合体鎖を得る可能性に関連する。TBHPで得た生成物は、多官能性モノマーの使用量によって用途に最適なレベルに変えることができる特定レベルの分岐を有する。
例2c−3c−4c−5A−6A−7A−5B−6B−7Dは、二軸スクリュー型押出機Maris TM35V(スクリュー直径35ミリメートルおよびL/D=32、せん断率約600〜1200s−1を得る条件およびスクリュー輪郭を有する)中で1分間未満で行った。比較例14および15および例16は、混合室プラストグラフ(Haake Rheocord 90)中、せん断率約200s−1で2分間行った。
第1項:製品のレオロジー的変性
これらの試験の結果を表1に示す。
比較例1
(EPM1)混合物CO034+CO058 3:2、100℃におけるML(1+4)=57.9およびMLRA=66.4、をオープンミキサー中で調製した。
比較例2
60phr CO034
40phr CO058
酸化防止剤=0.05phr
RPM=240(スクリューの回転速度RPM)
高せん断区域の温度=175〜220℃
最終製品の特性:
キシレン溶解度>99.9%
100℃におけるML(1+4)=33.2
MLRA=31.8
比較例3
60phr CO034
40phr CO058
酸化防止剤=0.05phr
RPM=250
高せん断区域の温度=190〜230℃
最終製品の特性:
キシレン溶解度>99.9%
100℃におけるML(1+4)=30.5
MLRA=25.3
MFI(1)=2.4g/ 10’
比較例4
60phr CO034
40phr CO058
ヒドロペルオキシドTBHP=0.75phr
酸化防止剤=0.05phr
RPM=250
高せん断区域の温度=160〜190℃
最終製品の特性:
キシレン溶解度>99.9%
100℃におけるML(1+4)=25.4
MLRA=55.4
MFI(1)=2.6g/ 10’
例5A
60phr CO034
40phr CO058
ヒドロペルオキシドTBHP=0.75phr
モノマーTMPTMA=1phr
酸化防止剤=0.05phr
RPM=250
高せん断区域の温度=160〜190℃
最終製品の特性:
キシレン溶解度>99.9%
100℃におけるML(1+4)=36.7
MLRA=409
例6A
60phr CO034
40phr CO058
ヒドロペルオキシドTBHP=0.75phr
モノマーTMPTMA=0.5phr
酸化防止剤=0.05phr
RPM=250
高せん断区域の温度=160〜190℃
最終製品の特性:
キシレン溶解度>99.9%
100℃におけるML(1+4)=35.1
MLRA=331
例7A
60phr CO034
40phr CO058
ヒドロペルオキシドTBHP=0.75phr
モノマーTMPTMA=0.2phr
酸化防止剤=0.05phr
RPM=250
高せん断区域の温度=160〜190℃
最終製品の特性:
キシレン溶解度>99.9%
100℃におけるML(1+4)=33.2
MLRA=196
例5B
60phr CO034
40phr CO058
ヒドロペルオキシドTBHP=0.75phr
モノマーEGDMA=0.5phr
酸化防止剤=0.05phr
RPM=250
高せん断区域の温度=160〜190℃
最終製品の特性:
キシレン溶解度>99.9%
100℃におけるML(1+4)=29.0
MLRA=170.1
例6B
60phr CO034
40phr CO058
ヒドロペルオキシドTBHP=0.75phr
モノマーEGDMA=0.2phr
酸化防止剤=0.05phr
RPM=250
高せん断区域の温度=165〜200℃
最終製品の特性:
キシレン溶解度>99.9%
100℃におけるML(1+4)=24
MLRA=97.1
MFI(1)=2.0g/10’
例7D
100phr CO038
RPM=250(スクリューの回転速度RPM)
高せん断区域の温度=160〜205℃
TBHP=1.0phr
TMPTMA=0.25phr
酸化防止剤=0.05phr
特性:
キシレン溶解度>99.9%
100℃におけるML(1+4)=26.7
MLRA=153
MSR(傾斜)=−0.587
MLRA/ML=5.75
125℃におけるML(1+4)=18.4
MLRA=94
MSR(傾斜)=−0.634
MLRA/ML=5.11
Figure 0005175026
多官能性モノマー(TMPTMA)を単に投入するだけで、単純減成(degradation)および元の製品の両方に対してレオロジーが変性された特別に分岐した重合体を得ることができた。TBHPによる処理で得た物質(単純減成に対してすでに変性された)から出発して、多官能性モノマーを使用することにより、段階的に分岐している一連の生成物を得る。いずれの場合も、これによって特殊な用途向けのレオロジーを得ることができる。三官能性モノマー(TMPTMA)を二官能性モノマー(EGDMA)で置き換えることにより、分岐度をさらに制御することができた。
TBHPで得た生成物は、単純減成製品および元の製品に関して変性されたレオロジーを有する。しかし、多官能性モノマーの使用には、変性をより明らかにすること、およびその濃度を調整することにより、変性をより制御できるものにするという二重の利点がある。
第2項:過酸化物に基づく比較例(第1項との比較)
本発明(ヒドロペルオキシド+多官能性モノマーの使用)の特殊性をより分かり易く説明するために、ヒドロペルオキシドを過酸化物で置き換えて2つの試験(比較例14および15)を行った。分解および網状構造形成の問題を予想して、押出機に損傷を及ぼす危険性がある、過酸化物系に典型的な安全性および保守の問題があるので、これらの試験は、二軸スクリューデではなく、プラストグラフで行った。
比較例14
カムローターを取り付けた70cc混合室に、
・Dutral CO058 18.5g、
・Dutral CO034 37.0g、
・モノマーTMPTMA 0.20g、
・1.4%のジクミルペルオキシド(40%で含まれる)(TBHP 0.33phrと等モルのDCP1phrに相当)を装填した。
・サーモスタットで135℃(外部)に調整し、50RPMで混合
・1分間放置して可塑化
・次いで、ローターの速度を直ちに200RPMに増加し、温度は約210℃に増加し、計器により測定した捩りトルクは、減少する代わりに、変動挙動を示し、速度増加から約1分後に第二トルクに達した。
・2分間の素練り後、実験を中断した。ゴム状の可塑化していない粉末のように見える生成物を冷却し、回収した。生成物は130℃でカレンダー加工できない。FTIR分析を行うための薄い透明なフィルムに、加圧下でカレンダー加工できなかった。しかし、圧縮プレスでムーニー粘度分析用試料を調製した。100℃におけるML(1+4)=140。
ML粘度と時間の関係を示すグラフにより、変形の際に材料の硬化を示すピークが確認される。この試料をキシレン中で還流溶解度試験にかけ、生成物の約50%が不溶であり、従って、網状化していることが分かった。
比較例15
カムローターを取り付けた70cc混合室に、
・Dutral CO058 18.5g、
・Dutral CO034 37.0g、
・モノマーTMPTMA 0.16g、
・0.70%のジクミルペルオキシド(40%で含まれる)(TBHP 0.167phrと等モルのDCP0.5phrに相当)を装填した。
・サーモスタットで135℃(外部)に調整し、50RPMで混合
・1分間放置して可塑化
・次いで、ローターの速度を直ちに200RPMに増加し、温度は約210℃に増加し、計器により測定した捩りトルクは、減少する代わりに、変動挙動を示し、速度増加から約1分後に第二トルクに達した。
・2分間の素練り後、実験を中断した。ゴム状の可塑化していない粉末のように見える生成物を冷却し、回収した。生成物は130℃でカレンダー加工できない。FTIR分析を行うための薄い透明なフィルムに、加圧下でカレンダー加工できなかった。しかし、圧縮プレスでムーニー粘度分析用試料を調製した。100℃におけるML(1+4)=90。
ML粘度と時間の関係を示すグラフにより、変形の際に材料の硬化を示すピークが確認される。この試料をキシレン中で還流溶解度試験にかけ、生成物の約50%が不溶であり、従って、網状化していることが分かった。
示されたデータをさらに確認するために、メルトインデックス分析を、比較例14および15の生成物を例5A、6Aおよび7Aの生成物に対して、230℃、2.16および21.6kgで行った。
MFI230℃2.16kg
比較例14=流出せず
比較例15=流出せず
例5A=0.06g/10’正常に流出
例6A=0.28g/10’正常に流出
例7A=0.58g/10’正常に流出
MFI230℃21.6kg
比較例14=2.9g/10’、可塑化していない生成物の流出、試験中、流動性が大きく変動
比較例15=6.8g/10’、可塑化していない生成物の流出、試験中、流動性が大きく変動
例5A=21.5g/10’正常に流出
例6A=33.9g/10’正常に流出
例7A=52.8g/10’正常に流出
本発明の例5A、6Aおよび7Aに関して見られた差は明白である。ML57.9を有する初期混合物から出発して、それらの組成を変えずに、本発明の生成物は、内側で広範囲な分岐効果を有するにも関わらず、出発材料のムーニー粘度より低い、調整されたムーニー粘度を有する。その上、5A〜7Aの生成物は、ゲル化の問題や機械加工性の問題を反映する特徴を示さず、場合によっては、高い保存エネルギー(高弾性)さえ示す。
反対に、比較例14および15では、これらの重合体が可塑化し難いか、または全く可塑化しない。
例1〜7および14〜15に対する考察
本発明の目的である生成物は、最適な処理性および機械加工性を確保する流動性および粘度を有するにも関わらず、高い、または非常に高い分子量に典型的な弾性値を有するのが特徴的であるので、これらの生成物の低いムーニー粘度は好ましい。
出発材料(EPM1)に相当する混合物に対して、本発明に関連する例の生成物はすべて、弾性および流動性(粘度の低下を意図する)が同時に増加しているのが特徴である。
その上、本発明の製品の様々な用途における価値は明らかであり、本発明の目的である重合体の、幾つかの応用分野で優れたレオロジーを有する混合物を得るための分散性にも特に禁忌がある訳ではない。というのは、本発明の製品は、混合物中で他の重合体より平均で低いML粘度を有する(例で示すように)ことになるのに対し、過酸化物で得た製品(比較例14および15)はMLが高いのが特徴であり、従って、分散能力が劣るためである。
高流動性ポリプロピレンを変性する場合(下記の例で立証するように)、本発明の目的である製品は、高い弾性を有するが、極めて流動性であり、従って、ポリプロピレンマトリックス中に効果的に分散し得るのが特徴である。反対に、過酸化物による処理は、材料の弾性を引き上げることはできるが、熱可塑性マトリックス中への分散性を改良せず(実際、分散性を著しく悪くする)、従って、その特性を損なう。
A項:レオロジー的変性のカーボンブラック系混合物への応用
下記の例では、例5Aの製品と標準的Dutral CO058の混合物を製造した。これは、例5Aの製品が、それ自体有用なレオロジーを有することに加えて、伝統的なEPMまたはEPDMの添加剤としてそれらのレオロジーを改良するのに使用できることを立証するためである。
この場合、変性後におけるコストの影響が大幅に軽減される。
次いで、簡素化された応用混合物を製造し、本発明の目的である製品が、カーボンブラック系エラストマー処方物のレオロジーおよび加工性を改良するのに効果的に使用できることを立証する。
CO058/5Aの4:1混合物
オープンミキサー中で下記の重合体混合物を製造した。
例4Aの重合体25g+CO058 75gを130℃で10分間均質化する。
Figure 0005175026
この表から、例5Aの重合体25%を含む混合物が、元の重合体に対してレオロジーが明らかに変性されていることが分かる。比較例1と例5Aの製品との間のML(58と37)の差にも関わらず、本発明に関連する混合物は、MLが未変性CO058に近いことに注意すべきである。これによって、例5Aの製品を、EPMおよびEPDMのレオロジー的特性を変性する添加剤として使用することがさらに魅力的なものになり、実際、レオロジー/加工性を変性するのに好適である一方、ムーニー粘度を実質的に変えないのである。
比較例9
実験室用の70cc室プラストグラフ中で、下記の処方物を調製した。
Dutral CO058 100部
カーボンブラックタイプFEF550 110部
パラフィン系油55部
混合条件:
カムタイプローター
ローター回転速度60RPM
外部温度80℃
カーボンブラックおよびパラフィン系油は第一段階で加え、約1分後、ピストンを引き上げ、重合体ベースを加えた。ピストンを下げた時から、捩りトルクおよび溶融材料温度の10分間にわたる取得プログラムを開始した。最後に混合物を排出した。
100℃における重合体ベースML(1+4)=77
100℃における混合物ML(1+4)=78
MLRA(ML緩和面積)混合物=288.8
面積/ML混合物=3.71
MRS(傾斜)=−0.6475
例10
実験室用の70cc室を有するプラストグラフ中で、下記の処方物を調製した。
Dutral CO058 75部
例5Aの生成物25部
カーボンブラックタイプFEF550 110部
パラフィン系油55部
混合条件:
カムタイプローター
ローター回転速度60RPM
外部温度80℃
カーボンブラックおよびパラフィン系油は第一段階で加え、約1分後、ピストンを引き上げ、重合体ベースを加えた。ピストンを下げた時から、捩りトルクおよび溶融材料温度の10分間にわたる取得プログラムを開始した。最後に混合物を排出した。該試験に使用した重合体ベースは、オープンミキサー中で均質化し、重合体ベース全体のムーニー粘度を測定するための試料を得た。
100℃における重合体ベースML(1+4)=75
100℃における混合物ML(1+4)=67
MLRA(ML緩和面積)混合物=294.9
面積/ML混合物=4.40
MRS(傾斜)=−0.5859
上記のデータから、重合体ベースのMLの差は非常に小さいにも関わらず、問題とする混合物は、非常に異なった混合物MLを有することが明らかである。
ML混合物−ML化合物(例9)=−1
ML混合物−ML化合物(例10)=8
これは、本発明の目的である製品を添加した重合体から得た混合物の場合、カーボンブラックの分散が改良されていることを示している。
その上、例10の混合物の特徴を例9のそれに対して注意深く評価すると、ムーニー粘度が低いにも関わらず、例10の製品は、ML緩和試験により検出できる弾性がより高く、形状安定性が優れていることが分かる。
従って、例10の製品は、形状安定性が優れているにも関わらず、押出では流動性がより高いと考えるのは論理的である。
このため、ピストンレオメーターによる押出試験を行った。混合物約8gを装置のキャビティ中に入れ、サーモスタットで100℃に調整し、ピストン(やはりサーモスタットで100℃に調整)の圧縮下、55バールで、直径2mmの円形穴中に流した。比較例9の混合物の試料は48秒間で1841mm流出した。例10の混合物の試料は48秒間で2221mm流出した(約20%多い量)。従って、ML緩和試験から得た混合物の弾性データを、ピストンレオメーターで行った試験から得た流動性データと組み合わせることにより、例5Aの製品をEP(D)Mレオロジー用の変性添加剤として使用することの優位性は明らかである。
B項:レオロジー的変性のケーブル用混合物への応用
下記の例では、ケーブル分野用の簡素化された応用混合物を調製し、本発明の目的である製品が、鉱物充填材を基材とするエラストマー処方物のレオロジーを効果的に改良できることを立証する。
比較例11
実験室用の70cc室を有するプラストグラフ中で、下記の処方物を調製した。
Dutral CO058 40部
Dutral CO034 60部
カオリン(whitetex)50部
固体パラフィン5部
A172(ビニルトリス(ベータ−メトキシエトキシ)シラン)1部
混合条件:
カムタイプローター
ローター回転速度60RPM
外部温度75℃
第一段階で重合体を加え、ピストンを下げて1分間可塑化させた。次いで、ピストンを引き上げ、他の成分を加えた。ピストンを下げた時から、捩りトルクおよび溶融材料温度の10分間にわたる取得プログラムを開始した。最後に混合物を排出した。
100℃における重合体ベースML(1+4)=57.9
100℃における混合物ML(1+4)=64.4
MLRA(ML緩和面積)混合物=75.5
面積/ML混合物=1.17
MRS(傾斜)=−1.081
比較例12
実験室用の70cc室を有するプラストグラフ中で、下記の処方物を調製した。
比較例3 100部
カオリン(whitetex)50部
固体パラフィン5部
A172(ビニルトリス(ベータ−メトキシエトキシ)シラン)1部
混合条件:
カムタイプローター
ローター回転速度60RPM
外部温度75℃
第一段階で重合体を加え、ピストンを下げて1分間可塑化させた。次いで、ピストンを引き上げ、他の成分を加えた。ピストンを下げた時から、捩りトルクおよび溶融材料温度の10分間にわたる取得プログラムを開始した。最後に混合物を排出した。
100℃における重合体ベースML(1+4)=30.5
100℃における混合物ML(1+4)=37.1
MLRA(ML緩和面積)混合物=32.1
面積/ML混合物=0.87
MRS(傾斜)=−1.0944
例13
実験室用の70cc室を有するプラストグラフ中で、下記の処方物を調製した。
例5A 100部
カオリン(whitetex)50部
固体パラフィン5部
A172(ビニルトリス(ベータ−メトキシエトキシ)シラン)1部
混合条件:
カムタイプローター
ローター回転速度60RPM
外部温度75℃
第一段階で重合体を加え、ピストンを下げて1分間可塑化させた。次いで、ピストンを引き上げ、他の成分を加えた。ピストンを下げた時から、捩りトルクおよび溶融材料温度の10分間にわたる取得プログラムを開始した。最後に混合物を排出した。
100℃における重合体ベースML(1+4)=36.7
100℃における混合物ML(1+4)=40.7
MLRA(ML緩和面積)混合物=414.3
面積/ML混合物=10.2
MRS(傾斜)=−0.4326
Figure 0005175026
上記のデータから、本発明の目的である製品で得た混合物(例13の混合物)は、確実に弾性がより高いが、2種類の比較例のムーニー粘度の中間のムーニー粘度を有し、従って、形状安定性と粘度が程良く折衷されている。
従って、本発明の目的である混合物の粘度を大幅に下げながら、用途に必要な形状安定性を維持するのに十分な弾性を得ることができる(すなわち、MLに対して面積/MLが一定である仮定して、ML=10で、比較例の両混合物よりも高い弾性がなお得られるはずである)。
ピストンレオメーターによる押出試験
さらに、比較例12および例13の混合物に対する、ピストンレオメーターによる押出試験を行った。混合物約8gを、100℃にサーモスタット調整した装置のキャビティ内に入れ、一定圧のピストン(これも100℃にサーモスタット調整)圧縮下で、直径2mmの円形穴を通して流した。試験毎に、平均流量を押し出された体積と試験自体の時間の比として計算し、さらに最大流量を示す(流量は試験中に変動するので、最大流量により、様々な注入時間で行った試験間の比較をより正確に行うことができる)。
Figure 0005175026
下記のことが立証される。
1.本発明の目的である製品は、表面品質が優れた押出材料を製造することができ、より高い圧力および高い流量で押し出すことができる。
2.比較製品よりムーニー粘度が高い本発明の製品が、同じ押出条件下で僅かに流動性が高く、明らかに、押出品質および形状安定性に関するすべての優位性を維持していることが分かる。
3.1.および2.の点で見られる優位性は、本発明により、ただし、より低い分子量(ムーニー粘度として表して)で得られる製品の場合に最大限になることは明らかである。
C項:レオロジー的変性の、潤滑油用V.I.I.添加剤の分野向けのEPR混合物に対する応用
上記の例で、EPMと高および低含有量エチレンの混合物を製造し、本発明の目的である製品が、重合体ブレンドの元になる様々なベースで化学結合を形成するのに効果的に使用できることを立証する。
このようにして、本来はEPMと様々な組成物の混合物であったものが、本発明の方法により、モーター潤滑油向けの添加剤の分野で特に有用な(ただし、これに限らない)ブロック構造に変換される。
実験比較例4c、6A、6BおよびEPM1を、重合体鎖を組成毎に分離する傾向があることが当業者には公知である溶剤の混合物で抽出にかけた。次いで、可溶物質を回収し、分析して平均プロピレン含有量を求めた。エーテル/ヘキサン混合物90/10を使用する抽出により得た結果を下記の表に示す。
Figure 0005175026
表から、本発明の目的である製品は、抽出組成物と残留物質の差が小さいのが特徴であることが分かる。
本発明の目的である試料では、元の重合体相が化学結合により結合しており、そのために、物理的方法により完全には分離し得ないと結論付けることは自然である。
該効果が、同じ出願者による特許出願EP1013673により得られる比較例4にも存在するとしても、本発明に関連する製品はすべて、はるかにより明らかな効果を有している。この効果は、「抽出された」画分中にある高エチレン鎖(これは高プロピレン鎖上にグラフト化されている)が明らかに存在すること、および「残留」画分中にある高プロピレン鎖(これは高エチレン鎖上にグラフト化されている)が存在すること以外には説明できない。つまり、本発明の目的である方法は、重合体の物理的混合物(その少なくとも一種はポリオレフィンである)を様々な用途に利用できるブロック共重合体に変換するのに好適である。下記の特徴は、本発明の目的である製品の、モーター潤滑油用添加剤の応用分野における利用例に関する。
・動粘性率(KV)、油タイプSN150中、重合体1%P/Pの溶液、100℃。
・比較例3 KV=11.2St
・比較例4 KV=12.0
・例6B KV=11.8cSt
流動点、油SN150中、重合体1%P/Pの溶液、高エチレン添加剤に特異的なPPD添加剤、自動Herzog計器で測定。
・比較例3 PP=−25.5℃(PPD0.10%)
・比較例4 PP=−26.0℃(PPD0.10%)
・例6B PP=−27.0℃(PPD0.10%)
試験により示される構造的特徴を一定に維持しながら、本発明に関連する例6Bの製品は、自動Herzog計器で測定した流動点が、比較例3および4c(これは比較例3よりも僅かに優れている)の製品の流動点よりも優れていることが分かる。
使用した基準油が、比較例(3)の種類の製品に特異的な添加剤を含んでいたにも関わらず、得られた値は異なっており、この差は、使用した計器のせいもあり、重大であり、一般的に流動点に関連するが、重合体構造に対してはるかに敏感であるポンプ輸送性のような応用パラメータに、より明確に関連付けることができる。低い流動点を有する傾向は、PPD添加剤の使用量が低い製品に応用し、特異性の低いPPD(より経済的である)を使用し、最終的な組成物におけるエチレン量を増加し、増粘性能を増加し、顆粒の取扱を容易にする可能性を示唆している。
流動点データの、基準油の添加剤の性質に左右されない、より優れた解釈を行うために、実験例3、4cおよび6Bの製品を、重合体ベースの、溶液中で結晶性結合構造型の自己会合を形成し、従って、低温でゲル化現象を引き起こす傾向を示す試験にかけた。
この種の自己会合現象は、エチレン−プロピレン共重合体、例えば粘度指数向上添加剤、を含む潤滑油の低温条件レオロジーに、特に低せん断における粘度計試験(ポンプ輸送性)における「降伏応力」型の現象に影響する。
この試験では、製品を
・還流攪拌下でn−オクタン中に3%で溶解させ、
・静かな環境中で冷却し、常温で24時間保存し、
・自動計器のキャビティ中に挿入し、Herzog流動点を測定する。
この計器は、45℃に急速加熱した後、速度1℃/分で制御しながら冷却し、溶液のゲル化が起こるか、否かを攪拌機で連続的に測定する。該試験には、Herzog製の流動点自動測定装置を使用した。
上記の方法を実験例3c、4cおよび6Bの製品に適用した試験の結果を以下に示す。
ゲル化の温度−比較例3=−17.9℃
ゲル化の温度−比較例4=−20.3℃
ゲル化の温度−例6B=−21.7℃
この場合も、結果は明白である。これらの製品の分子量は互いに同等であるが、ゲル化する傾向は、特に下記のことを考慮すると、異なっている。
1.この現象は、分子量の小さな差に敏感ではなく、
2.重合体ベースを構成する重合体の混合物は、すべての製品で絶対的に同等であり、
3.この方法の反復性は0.3℃で推定され、
4.全くの無定形製品を加えた、または加えなかったn−オクタンが、計器の全測定範囲を(−49℃まで)通してゲル化しない。
従って、本発明に関連する製品が基準製品より絶対的に優れている理由は、本発明の目的である変性方法に間違いなく帰せられる。V.I.I.用途に優れた本発明の製品として製品6Bが選ばれるのは、過剰の分岐は、この用途に難点、特に溶解速度および機械的せん断時の安定性に関する難点を誘発することがあるためである。
そのような、誘導される分岐を調整する能力は、本発明の目的である方法の明白な利点であり、分岐度を制御する効果および製法変更(例えば重合の方式に関して)における融通性との関係で特に有用である。
D項:レオロジー的変性の、熱可塑性エラストマーの分野におけるEP(D)M/ポリオレフィン混合物への応用
下記の例は、本発明の目的である方法の熱可塑性エラストマー分野への応用可能性を立証することを目的とする。
例16
ローラー型ローターを備えたプラストグラフの70cm混合室に、
・Dutral CO038 25.2g(重合体全体に対して60%)、
・TMPTMA 0.45g(重合体全体に対して約1%)、
・TBHP水中70% 0.9cm(重合体全体に対して約1.5%)
を入れる。
これらの成分を、混合条件50RPMで、外部温度50℃に均質化した。混合室の温度は160℃に設定し、下記の物質を加えた。
・ポリプロピレン単独重合体16.8g、MFI(1)=0.3g/10’(重合体全体に対して40%)
温度が165℃に達した時、可塑化を1分間行い、次いでローターの回転速度を200RPMに2分間増加した。温度は増加し、試験がほとんど終了する時200℃に達し、これを超えた。試験終了後、製品を放置して約150℃に冷却させ、次いで排出した。こうして得られた製品を、同じ組成を有する出発材料の物理的混合物(ブレンド1)との比較試験を行った。例16の製品およびブレンド1をどちらもキシレン中に沸点で溶解させた。溶液を冷却することにより、結晶性ポリプロピレン相の沈殿が生じたが、EPRベースはなお可溶であった。可溶性画分および低温条件で不溶の残留物を回収し、FTIRにより組成物として分析し、表に示す結果を得た。
Figure 0005175026
この表に示すデータを解析することにより、基準物質(ブレンド1)が、大部分、この簡単な分離工程により、出発物質に再構成されていることが明らかである。反対に、本発明の目的である方法により得られた製品は、その本来の成分に分離され易いことも明らかである。これは、製品の構造が鎖から構成され、この鎖は、異なって重合体ベースから来ているが、ここでは化学結合により結合されていることを立証している。特に、エラストマーの大部分は、低温条件でキシレン中に不溶なポリプロピレン鎖上にグラフト化されている。
しかし、可溶性部分には、FTIRにより定性的に検出されるように、Dutral CO038中にも、ブレンド1中にも存在しないアイソタクチックポリプロピレン鎖も存在する。
従って、この製品の構造は、同じ鎖に属しているという事実から、互いに結合した結晶性(アイソタクチックPP)および無定形(EPR)領域からなると考えるのは完全に論理的であり、理に適っている。
従って、これは、ポリオレフィン的性質の、従って、耐熱性が優れた熱可塑性エラストマー(例えばタイプSBSおよびSEBS)の典型的な構造である。
無論、これらのエラストマーは、加硫された(不溶な)相を含まないので、完全な、または部分的な動的加硫により得られたポリオレフィン系熱可塑性材料に対して、明らかな優位性を有する。そのため、加硫されていないゴム相は、製造のどの段階でも、ゴム相に向けられるエラストマー、充填材、油または他の添加剤の添加に耐えることができるので、この製品は、配合工程で有利である。反対に、加硫された熱可塑性エラストマーの場合、加硫の後、ゴム相用の添加剤を加えることはほとんど不可能である。その上、例えば膨脹した製品を設計する必要がある場合、エラストマー相を加硫した後、熱可塑性相だけが膨脹可能であるのに対し、本発明の目的の場合、エラストマー相が加硫されないので、膨脹添加剤を、膨脹させたいどの段階ででも加えることができる。さらに、動的加硫とその結果引き起こされるゴムとポリプロピレンとの間の転相が予想されないので、この製法が全体的に簡単になり、転相を完了するのに必要な組成および硬度の制限が全く無く、連続相の加硫によってその後の材料の機械加工が不可能になることが避けられる。その上、この材料は、
・完全に、または部分的に加硫された熱可塑性エラストマーの製造工程、および熱可塑性ポリプロピレン−エラストマーブレンドの製造を容易にするか、または改良する相容性付与剤、
・加硫された熱可塑性エラストマーのゴム相百分率を、加硫の際に転相のために課せられる制限を越えて、増加させるための添加剤
として使用することができる。
変性剤またはプラスチック材料としての使用
本発明の製品の、プラスチック材料(ポリプロピレン)を変性して弾性および耐衝撃性を改良する特性を試験するために、以下に示す3つの実験例を行った。
例17(比較)
本特許に記載する例で使用する、スクリュー直径35mmおよびL/D=32を有するMaris TM35V型押出機で、下記の成分を混合した。
総重合体100部に対して15部の、比較例3の製品、
85部のポリプロピレン共重合体、MFI L=40g/10’、
0.05部の酸化防止剤。
RPM=100
押出機の外部温度195〜205℃
次いで、押し出された材料を造粒し、射出成形機械中、温度200℃で試験用の好適な試料を調製した。
例18
本特許に記載する例で使用する、スクリュー直径35mmおよびL/D=32を有するMaris TM35V型押出機で、下記の成分を混合した。
総重合体100部に対して15部の、例7Aの製品、
85部のポリプロピレン共重合体、MFI L=40g/10’、
0.05部の酸化防止剤。
RPM=100
押出機の外部温度195〜205℃
次いで、押し出された材料を造粒し、射出成形機械中、温度200℃で試験用の好適な試料を調製した。
例19(比較)
本特許に記載する例で使用する、スクリュー直径35mmおよびL/D=32を有するMaris TM35V型押出機で、下記の成分を混合した。
総重合体100部に対して9部のCO034
総重合体100部に対して6部のCO058
85部のポリプロピレン共重合体、MFI L=40g/10’、
0.05部の酸化防止剤。
RPM=100
押出機の外部温度195〜205℃
次いで、押し出された材料を造粒し、射出成形機械中、温度200℃で試験用の好適な試料を調製した。
例17c、18および19cに対する重合体混合物の特性データを下記の表に示す。
Figure 0005175026
この表から、衝撃エネルギーは、本発明の例(例7A)の製品を使用して得たブレンドで常に優れていることが分かる。そのような差は敏感であり、弾性および耐衝撃性で30%までの改良を得ることができる。

Claims (17)

  1. 所望によりポリアルファ−オレフィンと混合されたEP(D)M重合体の粘弾性特性を改良する方法であって、所望によりポリアルファ−オレフィンと混合された、一種以上のEP(D)M重合体を含んでなる重合体混合物を、一種以上の多官能性ビニルモノマーおよび一種以上のヒドロペルオキシドの存在下、100sec −1 を超えるせん断で処理することを含んでなり、前記多官能性ビニルモノマーの量が0.02〜2重量%であり、前記ビニルモノマーとヒドロペルオキシドとのモル比が0.005/1〜2/1であり、温度75℃〜260℃で行う、方法。
  2. 前記ビニルモノマーとヒドロペルオキシドとのモル比が0.01/1〜1/1モルである、請求項1に記載の方法。
  3. 温度140℃〜210℃で行われる、請求項1に記載の方法。
  4. 重合体混合物が、一種以上のEPM重合体(エチレン−プロピレン)および/または一種以上のEPDMターポリマー(エチレン−プロピレン−非共役ジエンのターポリマー)から選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記EP(D)M重合体のエチレン含有量が85〜40重量%であり、前記可能な非共役ジエンが最大12重量%の量で存在する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記EP(D)M重合体のエチレン含有量が76〜45重量%であり、前記可能な非共役ジエンが最大5重量%の量で存在する、請求項5に記載の方法。
  7. 500sec−1を超えるせん断で行われる、請求項に記載の方法。
  8. 前記多官能性ビニルモノマーが、一般式(Ia)
    (HRC=CR−X−)−R (Ia)
    (式中、RおよびRは、同一であるか、または互いに異なるものであって、−Hおよびアルキル基C〜Cから選択され、X=−COOであり、n=2〜4であり、Rは、n個の不飽和単位が結合している多官能性基である)
    または(Ib)
    Figure 0005175026
    (式中、nおよびRは上記の意味を有する)
    の物質から選択される、請求項1に記載の方法。
  9. nが2および3から選択される、請求項に記載の方法。
  10. 前記多官能性ビニルモノマーが、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、およびN,N’−m−フェニレンビスマレイミドから選択される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記ヒドロペルオキシドがt−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記多官能性ビニルモノマー量が0.05〜1重量%である、請求項1に記載の方法。
  13. 請求項1に記載の方法により得られるEP(D)M重合体であって、
    屈折率検出器を使用するGPC分析から得られる平均分子量が30,000〜500,000であり、
    /Mで表される多分散度が7未満であり、そして
    ムーニー緩和法により計算した面積とムーニー自体の比が2.2を超えることを特徴とする、EP(D)M重合体。
  14. 請求項13に記載のEP(D)M重合体の、カーボンブラック系エラストマー処方物の製造における使用。
  15. 請求項13に記載のEP(D)M重合体の、鉱物充填材系混合物の製造における使用。
  16. 請求項13に記載のEP(D)M重合体の、プラスチックの変性における使用。
  17. 請求項13に記載のEP(D)M重合体の、潤滑油のV.I.I.(粘度指数向上剤)としての使用。
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