JP5174446B2 - トラクションドライブ用液体組成物 - Google Patents
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Description
また、フェニル基或いはシクロヘキシル基を含んだポリオルガノシロキサン30〜100重量%と合成ナフテンとの混合物からなるトラクション液が開示されている(特許文献2参照)。このような組成とすることにより、粘度温度特性、低温流動性に優れたトラクション液が得られるとしている。また、特殊なシロキサン分子構成単位を有するポリオルガノシロキサンを用いたトラクション液が開示されている(特許文献3参照)。このものは、トラクション特性、粘度温度特性に優れているとしている。しかしながら、これらのものはいずれもシリコーン油の含有量が高すぎるため、トラクションドライブ液体組成物として必要となる添加剤の溶解性が劣る。更に特殊なシロキサン分子単位を持つものは−般に入手し難く、高価である。
さらに、α−アルキルスチレンの二量体水添物とジメチルシリコーンとを混合させたトラクションドライブ用液体組成物が開示されている(特許文献4参照)。このものは、低温流動性には優れるが、トラクション係数が不充分であり、また基材同士の相溶性の点で、混合できるジメチルシリコーンの粘度が低粘度のものに限られていた。
鉱油、合成油またはこれらの混合物を組成物全量基準で5〜30質量%、粘度指数向上剤を組成物全量基準で1〜15質量%含むことから、高いトラクション係数を有し、さらに優れた粘度温度特性、低温流動性を有すると同時に境界潤滑性、酸化安定性にも優れ、トラクションドライブ用液体組成物として有用であり、
優れた性能を発揮できる。
〔(A)成分の脂環式化合物〕
本発明のトラクションドライブ用液体組成物に主成分として用いる脂環式化合物は、分子中に少なくとも一つのシクロアルキル基、好ましくはシクロヘキシル基を有する化合物である。該脂環式化合物は、例えばα−アルキルスチレン二量体の水素化物などを挙げることができる。その好ましい例としては、1,2−ジシクロヘキシルプロパン、1,2−ジシクロヘキシル−2−メチルプロパン、2,3−ジシクロヘキシルブタン、2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルブタン、2,3−ジシクロヘキシル−2,3−ジメチルブタン、1,3−ジシクロヘキシルブタン、1,3−ジシクロヘキシル−2−メチルブタン、1,3−ジシクロヘキシル−3−メチルブタン、2,4−ジシクロヘキシル−2,3−ジメチルブタン、2,4−ジシクロヘキシルペンタン、2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタン、2,4−ジシクロヘキシル−2,4−ジメチルペンタン、2,4−ジシクロヘキシル−2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルヘキサン、2,4−ジシクロヘキシル−4−メチルヘキサン、3,5−ジシクロヘキシル3−メチルヘプタン、2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルヘプタン、4,6−ジシクロヘキシル−4−メチルヘプタン等が挙げられる。中でも、トラクション性能や原料の入手性などの面から特に2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタンが好ましい。
本発明では公知の鉱油及び/又は合成油を用いることができる。鉱油としては、例えば、公知の方法により、原油を原料として製造されたニュートラル油や、ブライストック、すなわち、常圧蒸留及び減圧蒸留で得られた油をフルフラールなどの溶剤で抽出処理し、得られたラフィネートを高圧下にて水素精製して硫黄分などの不純物を除去した油を、更にメチルエチルケトンなどの溶剤で脱蝋処理した溶剤脱蝋基油、また常圧蒸留及び減圧蒸留で得られた油を高圧下にて水素化分解し、減圧蒸留で分留した後に高圧下で水素化脱蝋した水素化分解基油、また常圧蒸留及び減圧蒸留で得られた油を高圧下で水素化脱蝋し、更に高圧下で水素化精製した水素化精製基油などを用いることができる。
また、合成油としては、公知の種々のものが使用可能であり、例えば、α−オレフィンオリゴマー、炭素数2〜16のオレフィンの(共)重合物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリフェニル系炭化水素、各種エステル、すなわちネオペンチルグリコール,トリメチロールプロパン,ペンタエリスリトールなどの脂肪酸エステル、更にはその他のヒンダードエステルなどを用いることができる。
使用する鉱油及び/又は合成油の100℃における動粘度は2.0〜8.0mm2/sの範囲であることが好ましく、特に好ましくは2.5〜5.0mm2/sである。基油の100℃における動粘度が2.0mm2/s未満の場合、接触面において十分な油膜を確保することができず、装置にピッチング等の疲労損傷が起こる可能性がある。一方、基油の100℃における動粘度が8.0mm2/sを超える場合、十分な低温流動性を確保することができない。
また、基油の粘度指数は120以上であることが好ましい。基油の粘度指数が120以下の場合、温度による変化が大きくなる、もしくは粘度指数向上剤を多く配合する必要が出てくるため、好ましくはない。また、本発明において基油の粘度指数は高い程好ましいが、使用する基油の粘度指数は通常160以下である。
基油の配合量は好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。基油の配合量が5質量%未満の場合は、十分な低温流動性を確保することができず、40質量%を超える場合は、必要なトラクション係数が得られない。
粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート系、アルキルメタクリレート−プロピレンコポリマー系、アルキルメタクリレート−エチレンコポリマー系、ポリイソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン−プロピレンコポリマー系、スチレン−ブタジエンコポリマー系、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系の化合物等が挙げられる。これらのうち、平均分子量が10,000〜100,000のポリアルキルメタクリレート(PMA)が好適である。PMAの平均分子量が10,000未満の場合、粘度指数向上効果を十分に得るためには大量に配合する必要があり、その分合成ナフテンの占める割合が減少してトラクション係数の低下に繋がる。一方、PMAの平均分子量が100,000を超える場合、せん断安定性の低下に繋がる。また粘度指数向上剤の配合量は基油、及び目標とする組成物の粘度に合わせて配合するが、その量は2.0〜15.0質量%の範囲内であることが好ましい。
イソパラフィン系炭化水素油としては、α−オレフィンなどの重合体、あるいはその水素化物を用いることができる。重合の原料としては、炭素数が3以上のオレフィンが好ましく、特にブテン、ブチレンなどの2〜7量体が好ましい。また、これらのオレフィンは単独で重合させた重合体でも、数種のオレフィンを重合させた共重合体の形でも良い。数平均分子量100〜1,000であれば好適に使用できる。数平均分子量が100を切った場合、あるいは1,000を超えた場合は、所定の動粘度もしくは低温粘度が得られなくなることがある。
これらの粘度特性は、変速機に含まれるポンプなどの油圧機構を正常に作動させ、シール材からの漏れや、軸受けなどの損傷を防ぐために必要となる。これが、上記の範囲を外れるようになると、トラクションドライブ用液体組成物として使用することが難しくなる。
本発明のトラクションドライブ用液体組成物は、前記のような構成成分とすることで、好適な物理性状を得ることができたものである。これにより、低温流動性とトラクション係数を両立させたトラクションドライブ用液体組成物とすることができる。
これらはそれぞれコンポーネントで添加しても良いし、また、これらの混合物として販売されているパッケージを用いても良い。
実施例および比較例で使用したトラクションドライブ用液体組成物を、以下に示す各成分を用いて調製した。
表1に示す配合割合(添加量は組成物全量基準での質量%)で、下記の成分を用いて、実施例及び比較例の組成物を調製した。
2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタン
B−1:水素化分解基油(100℃における動粘度:3.0mm2/s、粘度指数:107)
B−2:水素化分解基油(100℃における動粘度:4.3mm2/s、粘度指数:122)
B−3:水素化精製基油(100℃における動粘度:2.2mm2/s、粘度指数:70)
C−1:ポリアルキルメタクリレート(分散系、平均分子量:53,000)
C−2:ポリアルキルメタクリレート(非分散系、平均分子量:55,000)
ATFパッケージ(ホウ素分0.1質量%、窒素分2.5質量%、硫黄分1.1質量%、リン分0.2質量%、及びカルシウム分0.1質量%含有する金属系清浄剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤、極圧剤、無灰系分散剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤、消泡剤からなる添加剤混合物)
上記の(A)〜(D)の成分を用いて、表1上部に示す仕上がりの組成物全量に対する配合割合(質量%)で各成分をブレンドして実施例1〜3及び比較例1〜2の供試油(トラクショシドライブ用液体組成物)を調製した。なお、(D)成分のATFパッケージは全部の組成物に同じ割合(9.0質量%)で添加した。
このようにして得た、実施例1〜3及び比較例1〜2のトラクショシドライブ用液体組成物それぞれについて、動粘度と粘度指数を測定し、トラクショシドライブ用液体組成物としての性能を評価した。得られた測定・評価結果を表1下部に示す。
前記の測定及び評価は、次の方法で行った。
・動粘度(40℃、100℃)、及び粘度指数:JIS K2283
・ブルックフィールド粘度(−40℃):ASTM D2983
・トラクション係数:四円筒試験機を用いて実施し、法線荷重に対する伝達された接線力の比をトラクション係数とした。なお、測定条件は以下のとおりである。
油温:40℃
法線荷重:360kgf
回転数:2400rpm(平均転がり速度:5.0m/s)
すべり率:2.2%
ローラ幅:1cm
これに対して、実施例1〜3は、40℃における動粘度が20〜40mm2/s、100℃における動粘度が3.5〜7.0mm2/s、粘度指数が100〜250、−40℃におけるブルックフィールド(BF)粘度が、25,000〜200,000mPa・sの範囲内にあり、トラクション係数も0.07〜0.09であり、トラクションドライブ用液体組成物として使用するに好適な特性を示している。
Claims (1)
- (A)2,4‐ジシクロヘキシル‐2‐メチルペンタンを50質量%以上含有し、(B)100℃における動粘度が2.0〜8.0mm 2 /sの水素化分解基油を組成物全量基準で17.5〜30質量%、及び(C)粘度指数向上剤として、平均分子量が10,000〜100,000のポリアルキルメタクリレートを組成物全量基準で1〜15質量%含むことを特徴とするトラクショシドライブ用液体組成物。
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