[第1の実施の形態]
最初に、図1の(A)〜図2の(B)を参照しながら、この発明の第1の実施の形態に従った超音波振動子について説明する。
図1の(A)中に図示されている如く、この発明の第1の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部の素材10´は、側方2分割型部材12の雌型12aに対し溶融材料流入通路(湯道)12bを介して、金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが、成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。図1の(A)中では、雌型12a及び溶融材料流入通路(湯道)12bを示す為に側方2分割型部材12の一方の半側片のみがその分割線に沿って図示されている。雌型12aは、側方2分割型部材12の2つの半側片の夫々の分割面に縦方向に分割されて形成されている。
溶融材料流入通路(湯道)12bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。金属ガラスの基になる母合金GKは、3つ以上の元素を含んでいて、Ti, Zr,そしてAlの中の少なくとも1つを含んでいる。Alは音響インピーダンスが低い(14GPa・s/m3)。TiはAlほどではないが音響インピーダンスが低く(21GPa・s/m3)、しかも機械的品質係数Q及び強度が高い。Zrはアモルファス成形能力を高めて過冷却液体域を拡大する効果がある。
より詳細には、この実施の形態において使用される金属ガラスは、Zr55Cu30Al10Ni5である。とはいうものの、ホーン部の素材10´の所望の形成と、ホーン部の素材10´からのホーン部の最終製品の所望の性能と、が得られる限り、種々の公知の金属ガラスであることができる。このような公知の金属ガラスは、Zr60Cu30Al10, Ti53Cu30Ni15Co2, Al10Ni15La65Y10, Ti53Cu15Ni18.5Hf3Al7Si3B0.5, Ti40Zr10Cu36Pd14, Ti53Cu15Ni18.5Zr3Al7Si3B0.5, etc. を含んでいる。
溶融材料流入通路(湯道)12bを介して雌型12a中に流し込まれた溶融している母合金GKが液相状態のまま固化するよう、側方2分割型部材12には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型12a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型12a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスになることにより、雌型12aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
雌型12a中でガラス固体域になり雌型12aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン部の素材10´は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材12から取り出される。この時には、雌型12aの形状が転写されているホーン部の素材10´は、溶融材料流入通路(湯道)12bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っている。その後、溶融材料流入通路対応部分が機械加工により取り除かれることにより、図1の(B)中に図示されている如きホーン部の素材10´が完成する。
次に、ホーン部の素材10´の両端部がさらに機械加工されることにより図1の(C)中に図示されている如きホーン部10の最終製品が完成される。この実施の形態では、ホーン部10は、大略的に錘形状のホーン本体部10a及びホーン本体部10aの大径の基端部から軸方向に延出した軸状のホーン連結部10bを含んでいる。ホーン部10の一端部であるホーン本体部10aの小径の突出端部の端面には雌ねじを伴った孔10cが機械加工により形成されて、ホーン部10の他端部であるホーン連結部10bの延出端部の外周面には雄ねじ10dが機械加工により形成されている。
これらの機械加工の間には、これらの機械加工が適用された素材10´の部分の金属ガラスの温度がガラス結晶化温度以上にならない(即ち、金属ガラスが結晶化しない)よう、例えば冷却液体を含む冷却媒体の適用などの公知の種々の冷却対策をとる必要がある。
図1の(A)乃至図1の(C)を参照しながら前述した如く金属ガラスにより作成されたホーン部10のホーン連結部10bには、図2の(A)中に図示されている如き複数の受動素子14及び受動素子14の為の電極16が装着され、さらに従来の金属により構成された裏打部18が装着される。裏打部18は、ホーン連結部10bの延出端部の外周面の雄ねじ10dに螺合される。裏打部18をホーン本体部10aに向かい締め付けることにより、ホーン本体部10aと裏打部18との間で電極16を伴い複数の受動素子14が挟持され、その結果として図2の(B)中に示されている如きこの発明の第1の実施の形態に従っている超音波振動子20が完成される。
受動素子14は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部10bと裏打部18とを連結する際に、((受動素子14の圧縮強さ)−(受動素子14の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子14に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子14が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子14には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
受動素子14は電極16を介して高周波電流が供給されることにより超音波振動を発生する公知の圧電素子である。そして、ホーン本体部10aは、受動素子14から発生した超音波振動を増幅し、その小径の突出端部に伝達する。小径の突出端部の雌ねじを伴った孔10cには、そこに増幅された状態で伝達されてきた超音波振動を対象物に適用するための図示されていない超音波振動適用チップ或いはプローブが螺合され固定される。図示されていない超音波振動適用チップ或いはプローブは、上記対象物に押し当てられるので磨耗や破損を生じやすい傾向にある。そのために図示されていない超音波振動適用チップ或いはプローブは、容易に新品と交換可能になるよう、ホーン本体部10aの小径の突出端部の雌ねじを伴った孔10cに対し容易に着脱可能に固定されている。
次に、図3を参照しながら、この発明の第1の実施の形態に従った超音波振動子20のホーン部10の最終製品を、実質的な機械加工無しで、金属ガラスにより形成する様子を説明する。
ここにおいては、側方2分割型部材12´の雌型12´aにおいてホーン部10の最終製品の一端部、即ちホーン本体部10aの小径の突出端部、に対応する位置に、上記突出端部の端面の雌ねじを伴った孔10cに対応する外径寸法を伴った中子12´bが配置されている。また、雌型12´aにおいてホーン部10の最終製品の他端部、即ちホーン連結部10bの小径の突出端部、に対応する位置に、そこの外周面に形成される雄ねじ10dに対応した外径寸法を伴った雄ねじ形成形状12´cが形成されている。
このような側方2分割型部材12´の雌型12´aに対し溶融材料流入通路(湯道)12bを介して溶融している母合金GKを流し込み、前述した如く液相状態のまま固化させて金属ガラスにすることにより、金属ガラスはその優れた形状転写性を発揮し、側方2分割型部材12´の雌型12´a中に図1の(C)中に図示されている如きホーン部10の最終製品を形成することが出来る。
雌型12´a中でガラス固体域になり雌型12´aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン部10の最終製品は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材12´から取り出される。この時には、雌型12´aの形状が転写されているホーン部10の最終製品は、溶融材料流入通路(湯道)12bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っている。その後、溶融材料流入通路対応部分のみが機械加工により取り除かれる。
また、中子12´bもホーン部10の最終製品のホーン本体部10aの一端部から取り除かれ、中子12´bが取り除かれた跡には、中子12´bの外周面の形状が精密に転写されることにより形成された雌ねじを伴った孔10cが残される。
次に図4の(A)及び図4の(B)を参照しながら、この発明の第1の実施の形態に従った超音波振動子20のホーン部10の素材10´の複数個を同時に金属ガラスにより形成する様子を説明する。
ここにおいては、図1の(A)乃至図2の(B)を参照しながら前述したこの発明の第1の実施の形態に従った超音波伝達子20のホーン部の素材10を金属ガラスにより形成する為の雌型12aと同じ雌型12´´aが複数形成されている縦方向2分割型部材21が準備される。
複数の雌型12´´aは、縦方向2分割型部材21の2つの上下半片21a,21bの夫々の分割面に水平に分割されて形成されている。
型部材21において複数の雌型12´´aは、夫々の一端部を一点に集めて放射状に配置されていて、下半片21bには上記一点に位置した内端と下半片21bの下表面に開口した外端(湯口)とを有した溶融材料流入通路(湯道)22が形成されている。
溶融材料流入通路(湯道)22の外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKを保持した公知の溶融金属加圧注入機構24の注入口が接続される。溶融金属加圧注入機構24はその注入口から融点に溶かされた母合金GKを所定の圧力を伴って溶融材料流入通路(湯道)22を介し複数の雌型12´´aに注入する。
溶融金属加圧注入機構24は、融点に溶かされた母合金GKを保持する内孔を有したシリンダ24aと、シリンダ24aの内孔に摺動可能に収容され内孔中の融点に溶かされた母合金GKを上記注入口に向かい所定の圧力で押し出すピストン24bと、シリンダ24aの内孔に保持されている溶融された母合金GKの温度を融点以上に保つためのヒータ24cと、を含んでいる。
溶融材料流入通路(湯道)22は型部材21の上半片21aに形成することも出来る。その場合には、溶融材料流入通路(湯道)22を介して溶融された母合金GKを複数の雌型12´´aの夫々に巣を生じることなく流し込むことが出来るのであれば、溶融金属加圧注入機構24を使用することなく溶融された母合金GKを重力のみを利用して溶融材料流入通路(湯道)22の外端(湯口)に注ぎ込むことも出来る。
さらに、溶融材料流入通路(湯道)22を介して溶融された母合金GKを複数の雌型12´´aの夫々に巣を生じることなく流し込むことが出来るのであれば、型部材21において複数の雌型12´´aを放射状以外の種々の配列で並べることも出来る。
またさらに、図4の(A)及び図4の(B)を参照しながら前述した雌型12´´aは、図3を参照しながら前述したこの発明の第1の実施の形態に従った超音波振動子20のホーン部10の最終製品の為の雌型12´aと同じ雌型12´aとしても良い。
また、溶融材料流入通路(湯道)22を介して雌型12´´a中に流し込まれた溶融している母合金GKが液相状態を保って固化するよう、型部材21には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、複数の雌型12´´a中に流し込まれた溶融している母合金GKは10K/sec以上の冷却速度で冷却される。複数の雌型12´´a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスとなることにより、複数の雌型12´´aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
図1の(A)乃至図4の(B)を参照しながら前述した第1の実施の形態に従った超音波振動子20は、例えば腹腔鏡手術において使用される超音波凝固切開装置に搭載されて使用される。
[第2の実施の形態]
次に、図5の(A)乃至図5の(C)を参照しながら、この発明の第2の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部のホーン連結部の素材を金属ガラスにより形成する様子を説明する。
図5の(A)中に図示されている如く、この発明の第2の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部のホーン連結部の素材30´は、側方2分割型部材32の雌型32aに対し溶融材料流入通路(湯道)32bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
図5の(A)中では、雌型32a及び溶融材料流入通路(湯道)32bを示す為に側方2分割型部材32の一方の半側片のみがその分割線に沿って図示されている。雌型32aは、側方2分割型部材32の2つの半側片の夫々の分割面に縦方向に分割されて形成されている。
溶融材料流入通路(湯道)32bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)32bを介して雌型32a中に流し込まれた溶融している母合金GKを液相状態のまま固化させ金属ガラスとするよう、側方2分割型部材32には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型12a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型32a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスとされることにより、雌型32aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
雌型32a中でガラス固体域になり雌型32aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン連結部の素材30´は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材32から取り出される。この時には、雌型32aの形状が転写されているホーン連結部の素材30´は、溶融材料流入通路(湯道)32bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っている。その後、溶融材料流入通路対応部分が機械加工により取り除かれることにより、図5の(B)中に図示されている如きホーン連結部の素材30´が完成する。
次に、ホーン連結部の素材30´の両端部がさらに機械加工されることにより図5の(C)中に図示されている如きホーン連結部30の最終製品が完成される。
この実施の形態では、ホーン連結部の素材30´の両端部には雄ねじ30a,30bが機械加工される。これらの機械加工の間には、これらの機械加工が適用された素材30´の部分の金属ガラスの温度がガラス結晶化温度以上にならない(即ち、金属ガラスが結晶化しない)よう、例えば冷却液体を含む冷却媒体の適用などの公知の種々の冷却対策をとる必要がある。
図6中にはこの実施の形態に従った超音波振動子33の縦断面が概略的に図示されていて、この超音波振動子33のホーン部34は、従来の金属により構成された大略的に錘形状のホーン本体部34aと、ホーン本体部34aの大径の基端部から軸方向に延出した上述した如く金属ガラスにより形成された軸状のホーン連結部30を含んでいる。ホーン部34の一端部であるホーン本体部34aの小径の突出端部の端面には、雌ねじを伴った孔34bが機械加工により形成されている。ホーン本体部34aの大径の基端部の端面の中央には、ホーン連結部30の一端部の外周面の雄ねじ30aが螺合されることにより固定されている。ホーン本体部34aの大径の基端部から軸方向に延出したホーン連結部30の延出端部の外周面の雄ねじ30bは、ホーン部34の他端部を構成している。
金属ガラスにより構成されているホーン連結部30には、図6中に図示されている如く、複数の受動素子36及び受動素子36の為の電極38が装着され、さらに従来の金属により構成された裏打部40が装着される。裏打部40は、ホーン連結部30の延出端部の外周面の雄ねじ30bに螺合される。裏打部40をホーン本体部34aに向かい締め付けることにより、ホーン本体部34aと裏打部40との間で電極38を伴い複数の受動素子36が挟持され、その結果として図6中に示されている如きこの発明の第2の実施の形態に従っている超音波振動子33が完成される。
受動素子36は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部30によりホーン本体部34aと裏打部40とを連結する際に、((受動素子36の圧縮強さ)−(受動素子36の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子36に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子36が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子36には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
ここにおいて、受動素子36は電極38を介して高周波電流が供給されることにより超音波振動を発生する公知の圧電素子である。そして、ホーン本体部34aは、受動素子36から発生した超音波振動を増幅し、その小径の突出端部に伝達する。小径の突出端部の雌ねじを伴った孔34bには、そこに増幅された状態で伝達されてきた超音波振動を対象物に適用するための図示されていない超音波振動適用チップ或いはプローブが螺合され固定される。図示されていない超音波振動適用チップ或いはプローブは、上記対象物に押し当てられるので磨耗や破損を生じやすい傾向にある。そのために図示されていない超音波振動適用チップ或いはプローブは、容易に新品と交換可能になるよう、ホーン本体部34aの小径の突出端部の雌ねじを伴った孔34bに対し容易に着脱可能に固定されている。
次に、図7を参照しながら、この発明の第2の実施の形態に従った超音波振動子33のホーン部34のホーン連結部30の最終製品を、実質的な機械加工無しで、金属ガラスにより形成する様子を説明する。
ここにおいては、側方2分割型部材32´の雌型32´aにおいてホーン連結部30の最終製品の両端部に対応する位置にそこの外周面に形成される雄ねじ30a,30bに対応した外径寸法を伴った雄ねじ形成形状32´c,32´dが形成されている。
このような側方2分割型部材32´の雌型32´aに対し溶融材料流入通路(湯道)32bを介して溶融している母合金GKを、前述したのと同様に液相状態を維持したままで固化するよう流し込み金属ガラスとすることにより、金属ガラスはその優れた形状転写性を発揮し、側方2分割型部材32´の雌型32´a中に図5の(C)中に図示されている如きホーン連結部30の最終製品を形成することが出来る。
雌型32´a中でガラス固体域になり雌型32´aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン連結部30の最終製品は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材32´から取り出される。この時には、雌型32´aの形状が転写されているホーン連結部30の最終製品は、溶融材料流入通路(湯道)32bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っている。その後、溶融材料流入通路対応部分のみが機械加工により取り除かれる。
[第3の実施の形態]
次に、図8の(A)及び図8の(B)を参照しながら、この発明の第3の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部のホーン連結部及び裏打部を金属ガラスにより形成する様子を説明する。
図8の(A)中に図示されている如く、この発明の第3の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部のホーン連結部50及び裏打部52の組み合わせは、側方2分割型部材54の雌型54aに対し溶融材料流入通路(湯道)54bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
図8の(A)中では、雌型54a及び溶融材料流入通路(湯道)54bを示す為に側方2分割型部材54の一方の半側片のみがその分割線に沿って図示されている。雌型54aは、側方2分割型部材54の2つの半側片の夫々の分割面に縦方向に分割されて形成されている。
溶融材料流入通路(湯道)54bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)54bを介して雌型54a中に流し込まれた溶融している母合金GKを液相状態を維持したまま固化させ金属ガラスとするよう、側方2分割型部材54には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型54a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型54a中に流し込まれた溶融している母合金GKをこのように急冷して金属ガラスとすることにより、雌型54aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
雌型54a中でガラス固体域になり雌型54aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン連結部50及び裏打部52の組み合わせは、所定の時間のさらなる放熱後に型部材54から取り出される。この時には、雌型54aの形状が転写されているホーン連結部50及び裏打部52は、溶融材料流入通路(湯道)54bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っている。その後、溶融材料流入通路対応部分が機械加工により取り除かれることにより、図8の(B)中に図示されている如きホーン連結部50及び裏打部52の組み合わせが完成する。
この組み合わせでは、裏打部52とは反対側のホーン連結部50の一端部の外周面に雄ねじ50aが形成されていて、ホーン連結部50の他端部は裏打部52と一体的に連結され結合されている。
なお、側方2分割型部材54の雌型54aにおいて、裏打部52とは反対側のホーン連結部50の一端部の外周面に対応した位置に、ホーン連結部50の一端部の外周面の雄ねじ50aを形成する為の雄ねじ形成形状を形成する代わりに、ホーン連結部50及び裏打部52の組み合わせを雌型54aから取り出した後に、ホーン連結部50の一端部の外周面に対応した上記位置に雄ねじ50aを機械加工により形成しても良い。
とはいうものの、この機械加工の間には、この機械加工が適用された上記一端部の金属ガラスの温度がガラス結晶化温度以上にならない(即ち、金属ガラスが結晶化しない)よう、例えば冷却液体を含む冷却媒体の適用などの公知の種々の冷却対策をとる必要がある。
図8の(B)中にはこの実施の形態に従った超音波振動子56の縦断面が概略的に図示されていて、この超音波振動子56のホーン部58は、従来の金属により構成された大略的に錘形状のホーン本体部58aと、ホーン本体部58aの大径の基端部から軸方向に延出した上述した如く金属ガラスにより形成された軸状のホーン連結部50と、を含んでいる。ホーン連結部50においてホーン本体部58aとは反対側の端部は上述した如く裏打部52と一体的に結合されている。
金属ガラスにより裏打部52と一体的に構成されているホーン連結部50には、図8の(B)中に図示されている如く、裏打部52とは反対側の一端部から複数の受動素子60及び受動素子60の為の電極62が装着される。その後、ホーン連結部50の一端部の外周面の雄ねじ50aは、ホーン本体部58aの大径の基端部の端面の中央に螺合されることにより固定される。
ホーン連結部50の一端部の外周面の雄ねじ50aによって裏打部52をホーン本体部58aに向かい締め付けることにより、ホーン本体部58aと裏打部52との間で電極62を伴い複数の受動素子60が挟持され、その結果として図8の(B)中に示されている如きこの発明の第3の実施の形態に従っている超音波振動子56が完成される。
受動素子60は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部50をホーン本体部58aに連結する際に、((受動素子60の圧縮強さ)−(受動素子60の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子60に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子60が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子60には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
ここにおいて、受動素子60は電極62を介して高周波電流が供給されることにより超音波振動を発生する公知の圧電素子である。そして、ホーン本体部58aは、受動素子60から発生した超音波振動を増幅し、その小径の突出端部に伝達する。小径の突出端部には、そこに増幅された状態で伝達されてきた超音波振動を対象物に適用するための図示されていない超音波振動適用チップ或いはプローブを着脱可能に固定することが出来る。
[第4の実施の形態]
次に、図9の(A)〜図10の(C)を参照しながら、この発明の第4の実施の形態に従った超音波振動子について説明する。
図9の(A)中に図示されている如く、この発明の第4の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部70は、側方2分割型部材72の雌型72aに対し溶融材料流入通路(湯道)72bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
図9の(A)中では、雌型72a及び溶融材料流入通路(湯道)72bを示す為に側方2分割型部材72の一方の半側片のみがその分割線に沿って図示されている。雌型72aは、側方2分割型部材72の2つの半側片の夫々の分割面に縦方向に分割されて形成されている。
溶融材料流入通路(湯道)72bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)72bを介して雌型72a中に流し込まれた溶融している母合金GKを液相状態を維持したままで固化させ金属ガラスとするよう、側方2分割型部材72には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型72a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型72a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷され金属ガラスとされることにより、雌型72aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
雌型72a中でガラス固体域になり雌型72aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン部70の全体は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材72から取り出される。この時には、雌型72aの形状が転写されているホーン部70は、溶融材料流入通路(湯道)72bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っている。その後、溶融材料流入通路対応部分が機械加工により取り除かれることにより、図9の(B)中に図示されている如きホーン部70が完成する。
この実施の形態では、ホーン部70は、大略的に錘形状のホーン本体部70a,ホーン本体部70aの大径の基端部から軸方向に延出した軸状のホーン連結部70b,そしてホーン本体部70aの小径の先端部から軸方向に延出した軸状の先端処置部70cを含んでいる。
図9の(B)中に図示されている如く、金属ガラスにより全体が作成されたホーン部70のホーン連結部70bには、複数の受動素子74及び受動素子74の為の電極76が装着され、さらに従来の金属により構成された裏打部78が装着される。詳細には、上記装着は、図10の(A)中に図示されている如く、金属ガラスにより全体が作成されたホーン部70のホーン連結部70bの大径の基端部が治具80により支持されている間に行なわれる。
さらに、図10の(A)中に図示されている如く、ホーン部70のホーン連結部70bの延出端部は裏打部78に形成されている貫通孔を貫通している。裏打部78の外端には外周にヒータ82を伴った筒状の押圧部材84が押圧される。押圧部材84は良熱伝導性の材料により形成されていて、裏打部78から突出しているホーン部70のホーン連結部70bの延出端部を金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持する。
この間には、複数の受動素子74の温度が、受動素子74の特性を無くすキュリー点温度を超えないことが重要である。
さらにこの間に、図10の(B)中に図示されている如く、押圧部材84の中心孔中に挿入された変形加工部材86がホーン連結部70bの延出端部を強く押圧して押しつぶすよう変形させ、裏打部78の外端における上記貫通孔の拡径部78aに変形されたホーン連結部70bの延出端部を係合させる。
その後、ヒータ82は加熱を停止し、ホーン連結部70bの延出端部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材86及びヒータ82とともに押圧部材84が裏打部78の外端から遠ざけられる。
この結果として、ホーン本体部70aと裏打部78との間で電極76を伴い複数の受動素子74が挟持され、その結果として図10の(C)中に示されている如きこの発明の第4の実施の形態に従っている超音波振動子88が完成される。
受動素子74は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部70bに裏打部78を連結する際に、((受動素子74の圧縮強さ)−(受動素子74の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子74に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子74が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子74には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
ここにおいて、受動素子74は電極76を介して高周波電流が供給されることにより超音波振動を発生する公知の圧電素子である。そして、ホーン本体部70aは、受動素子74から発生した超音波振動を増幅し、その小径の先端処置部70cに伝達する。
この実施の形態の超音波振動子88は、例えば内視鏡用の超音波治療装置に搭載され早期癌の切除等に用いられる。もちろん他の用途、例えば前述した第1の実施の形態に従った超音波振動子20と同様に腹腔鏡手術において使用される超音波凝固切開装置に搭載して使用されることも出来る。その場合には、ホーン本体部70aの小径の先端部の先端処置部70cに雌ねじを設け、この雌ねじに対し図示しない超音波振動適用チップ或いはプローブを螺合して使用する。
[第5の実施の形態]
次に、図11の(A)〜図11の(B)を参照しながら、この発明の第5の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部のホーン連結部を金属ガラスにより形成する様子を説明する。
図11の(A)中に図示されている如く、この発明の第5の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部のホーン連結部90は、側方2分割型部材92の雌型92aに対し溶融材料流入通路(湯道)92bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
図11の(A)中では、雌型92a及び溶融材料流入通路(湯道)92bを示す為に側方2分割型部材92の一方の半側片のみがその分割線に沿って図示されている。雌型92aは、側方2分割型部材92の2つの半側片の夫々の分割面に縦方向に分割されて形成されている。
溶融材料流入通路(湯道)92bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)92bを介して雌型92a中に流し込まれた溶融している母合金GKを液相状態を維持したままで固化させ金属ガラスとするよう、側方2分割型部材92には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型92a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型92a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスとされることにより、雌型92aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
雌型92a中でガラス固体域になり雌型92aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン連結部90は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材92から取り出される。この時には、雌型92aの形状が転写されているホーン連結部90は、溶融材料流入通路(湯道)92bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っている。その後、溶融材料流入通路対応部分が機械加工により取り除かれることにより、図11の(B)中に図示されている如きホーン連結部90が完成する。
次に、図11の(B)〜図12の(B)を参照しながら、上述した如く金属ガラスにより構成されたホーン連結部90を使用してこの発明の第5の実施の形態に従った超音波振動子が構成される様子を説明する。
ホーン連結部90の一端部は、図11の(B)中に図示されている従来の金属により構成された大略的に錘形状のホーン本体部94の大径の基端部の中心に固定される。この固定は、図11の(B)中に図示されている如く、ホーン本体部94の大径の基端部が治具96に支持されている間に行なわれる。
詳細には、図11の(B)中に図示されている如く、ホーン本体部94の大径の基端部の端面の中心にはホーン連結部90の一端部が係合され固定される固定孔97が形成されていて、固定孔97に向けられたホーン連結部90の一端部がヒータ98により金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱され維持される。
この間にホーン連結部90の他端部に変形加工部材100の中心孔が被せられ、次に、図11の(C)中に図示されている如く、変形加工部材100がホーン連結部90を押圧してホーン連結部90の一端部をホーン本体部94の大径の基端部の端面の固定孔97内で押しつぶすよう変形させ、固定孔97に変形されたホーン連結部90の一端部を係合させ固定させる。
このようなホーン連結部90とホーン本体部94との組み合わせはホーン部102を構成する。
その後、ヒータ98は加熱を停止し、ホーン連結部90の変形した一端部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材100はヒータ98とともにホーン連結部90の他端部から遠ざけられる。
次に、図11の(D)中に図示されている如く、ホーン本体部94の大径の基端部に固定されたホーン連結部90には、複数の受動素子104及び受動素子104の為の電極106が装着され、さらに従来の金属により構成された裏打部108が装着される。ここにおいて、ホーン連結部90の他端部は裏打部108に形成されている貫通孔を貫通している。
次に、図12の(A)中に図示されている如く、裏打部108の外端に外周にヒータ110を伴った筒状の押圧部材112が押圧される。押圧部材112は良熱伝導性の材料により形成されていて、裏打部108から突出しているホーン連結部90の他端部を金属ガラスの過冷却液体温度域に加熱し維持する。
この間には、複数の受動素子104の温度が、受動素子104の特性を無くすキュリー点温度を超えないことが重要である。
さらにこの間に、図12の(A)中に図示されている如く、押圧部材112の中心孔中に挿入された変形加工部材114がホーン連結部90の他端部を強く押圧して押しつぶすよう変形させ、裏打部108の外端における上記貫通孔の拡径部108aに変形されたホーン連結部90の他端部を係合させる。
その後、ヒータ110は加熱を停止し、ホーン連結部90の変形した他端部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材1114及びヒータ110とともに押圧部材112が裏打部108の外端から遠ざけられる。
この結果として、ホーン本体部94と裏打部108との間で電極106を伴い複数の受動素子104が挟持され、その結果として図12の(B)中に示されている如きこの発明の第5の実施の形態に従っている超音波振動子116が完成される。
受動素子104は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部90を裏打部108に連結する際に、((受動素子104の圧縮強さ)−(受動素子104の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子104に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子104が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子104には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
ここにおいて、受動素子104は電極106を介して高周波電流が供給されることにより超音波振動を発生する公知の圧電素子である。そして、ホーン本体部94は、受動素子104から発生した超音波振動を増幅し、その小径の突出端部に伝達する。
なお、裏打部108の外端とホーン連結部90の他端部との連結は、以下のようにしても行なうことが可能である。即ち、裏打部108の外端における上記貫通孔の拡径部108aに代わり、裏打部108の外端の近傍における上記貫通孔の内周面に、図13の(A)中に図示されている如く、軸方向係合形状108´aを形成する。
次に、図13の(A)中に図示されている如く、裏打部108の外端の近傍においてホーン連結部90の他端部をヒータ110により加熱し金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に維持する。さらに、図13の(B)中に図示されている如く裏打部108の外端に筒状の押圧部材112が押圧される。押圧部材112は良熱伝導性の材料により形成されていて、裏打部108の外端の近傍におけるホーン連結部90の他端部を金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に維持する。
この間には、複数の受動素子104の温度が、受動素子104の特性を無くすキュリー点温度を超えないことが重要である。
さらにこの間に、図13の(B)中に図示されている如く、押圧部材112の中心孔中に挿入された変形加工部材114がホーン連結部90の他端部を強く押圧して拡径するよう変形させ、裏打部108の外端の近傍における軸方向係合形状108´aに変形されたホーン連結部90の他端部を係合させる。
その後、ヒータ110は加熱を停止し、ホーン連結部90の変形した他端部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材1114及びヒータ110とともに押圧部材112が裏打部108の外端から遠ざけられる。
図11の(A)乃至図13の(B)を参照しながら前述した第5の実施の形態に従った超音波振動子116は、例えば腹腔鏡手術において使用される超音波凝固切開装置に搭載されて使用される。その場合には、ホーン本体部94の小径の先端部に雌ねじを設け、この雌ねじに対し図示しない超音波振動適用チップ或いはプローブを螺合して使用する。
[第6の実施の形態]
次に、図14の(A)乃至図14の(C)を参照しながら、この発明の第6の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部のホーン連結部及び裏打部を金属ガラスにより形成する様子を説明する。
図14の(A)中に図示されている如く、この発明の第6の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部のホーン連結部120及び裏打部122の組み合わせは、側方2分割型部材124の雌型124aに対し溶融材料流入通路(湯道)124bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
図14の(A)中では、雌型124a及び溶融材料流入通路(湯道)124bを示す為に側方2分割型部材124の一方の半側片のみがその分割線に沿って図示されている。雌型124aは、側方2分割型部材124の2つの半側片の夫々の分割面に縦方向に分割されて形成されている。
溶融材料流入通路(湯道)124bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)12bを介して雌型124a中に流し込まれた溶融している母合金GKが液相状態を維持したまま固化されて金属ガラスとなるよう、側方2分割型部材124には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型124a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型124a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスとなることにより、雌型124aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
雌型124a中でガラス固体域になり雌型124aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン連結部120及び裏打部122の組み合わせは、所定の時間のさらなる放熱後に型部材124から取り出される。この時には、雌型124aの形状が転写されているホーン連結部120及び裏打部122は、溶融材料流入通路(湯道)124bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っている。その後、溶融材料流入通路対応部分が機械加工により取り除かれることにより、図14の(B)中に図示されている如きホーン連結部120及び裏打部122の組み合わせが完成する。
金属ガラスにより裏打部122と一体的に構成されているホーン連結部120には、図14の(B)中に図示されている如く、裏打部122とは反対側の一端部から複数の受動素子126及び受動素子126の為の電極128が装着される。その後、ホーン連結部120の一端部が、大略的に錘形状をした従来の金属製のホーン本体部130の大径の基端部の中心に固定される。この固定は、図14の(B)中に図示されている如く、ホーン本体部130の大径の基端部が治具132に支持されている間に行なわれる。
詳細には、図14の(B)中に図示されている如く、ホーン本体部130の大径の基端部の端面の中心にはホーン連結部120の一端部が係合され固定される固定孔130aが形成されている。複数の受動素子126及び電極128が装着されたホーン連結部120の一端部はホーン本体部130の大径の基端部の端面の固定孔130aに挿入され、さらに、図14の(C)中に図示されている如く、裏打部122の外端面に従来の超音波振動子134を適用する。従来の超音波振動子134は裏打部122の外端面を押圧しながら裏打部122に超音波を適用する。この超音波は裏打部122よりも遥かに小径のホーン連結部120の一端部に集中し、ホーン連結部120の一端部を金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持する。
この間には、複数の受動素子126の温度が、受動素子126の特性を無くすキュリー点温度を超えないことが重要である。
さらにこの間に、図14の(C)中に図示されている如く、ホーン連結部120の一端部はホーン本体部130の大径の基端部の端面の固定孔130a内で押しつぶされるよう変形され、固定孔130aに変形されたホーン連結部120の一端部を係合させ固定させる。
このように相互に連結されたホーン連結部120とホーン本体部130との組み合わせはホーン部136を構成する。
その後、従来の超音波振動子134は超音波の適用を停止し、ホーン連結部120の変形した一端部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、従来の超音波振動子134は裏打部122の外端面から遠ざけられる。
最終的に、ホーン本体部130と裏打部122との間で電極128を伴い複数の受動素子126が挟持され、その結果として図14の(C)中に示されている如きこの発明の第6の実施の形態に従っている超音波振動子138が完成される。
受動素子126は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部120をホーン本体部130に連結する際に、((受動素子126の圧縮強さ)−(受動素子126の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子126に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子126が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子126には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
ここにおいて、受動素子126は電極128を介して高周波電流が供給されることにより超音波振動を発生する公知の圧電素子である。そして、ホーン本体部130は、受動素子126から発生した超音波振動を増幅し、その小径の突出端部に伝達する。小径の突出端部には、そこに増幅された状態で伝達されてきた超音波振動を対象物に適用するための図示されていない超音波振動適用チップ或いはプローブを着脱可能に固定することが出来る。
[第7の実施の形態]
次に、図15の(A)〜図16を参照しながら、この発明の第7の実施の形態に従った超音波振動子について説明する。
図15の(A)中に図示されている如く、この発明の第7の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部140は、側方2分割型部材142の雌型142aに対し溶融材料流入通路(湯道)142bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
図15の(A)中では、雌型142a及び溶融材料流入通路(湯道)142bを示す為に側方2分割型部材142の一方の半側片のみがその分割線に沿って図示されている。雌型142aは、側方2分割型部材142の2つの半側片の夫々の分割面に縦方向に分割されて形成されている。
雌型142aにより金属ガラスから作成されるホーン部140は、大略的に錘形状のホーン本体部140a及びホーン本体部140aの大径の基端部から軸方向に延出した軸状のホーン連結部140bを含んでいる。さらにホーン連結部140bは、軸方向の所定の位置に環状の中間張り出し140cを有している。
雌型142aにおいてホーン部140の最終製品の一端部、即ちホーン本体部140aの小径の突出端部、に対応する位置に、上記突出端部の端面の雌ねじを伴った孔140dに対応する外径寸法を有した雌ねじ形成構造中子144が配置されている。雌ねじ形成構造中子144はさらに、雌型142aにおいてホーン部140の最終製品の他端部、即ちホーン連結部140bの小径の突出端部、に対応する位置まで延出している細長い棒状の中心孔形成部分144aを備えている。
溶融材料流入通路(湯道)142bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)142bを介して雌型142a中に流し込まれた溶融している母合金GKを液相状態を維持したままで固化させることにより金属ガラスとするよう、側方2分割型部材142には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型142a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型142a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスとなることにより、雌型142a、雌ねじ形成構造中子144、そして、中心孔形成部分144aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
雌型142a中でガラス固体域になり雌型142aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン部140の全体は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材142から取り出される。この時には、雌型142aの形状が転写されているホーン部140は、溶融材料流入通路(湯道)142bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っているが、溶融材料流入通路対応部分は機械加工により取り除かれる。さらに、雌ねじ形成構造中子144が細長い棒状の中心孔形成部分144aとともにホーン部140から分離されることにより、図15の(B)中に図示されている如きホーン部140が完成する。
ホーン部140において、雌ねじ形成構造中子140に対応していたホーン本体部140aの小径の突出端部には雌ねじを伴った孔140dが残され、ホーン部140において上記一端部の孔140dから他端部、即ちホーン連結部140bの小径の突出端部、まで細長い中心孔140eが残される。
図15の(B)中に図示されている如く、金属ガラスにより全体が作成されたホーン部140のホーン連結部140bには、複数の受動素子146及び受動素子146の為の電極148が装着され、さらに従来の金属により構成された裏打部150が装着される。詳細には、上記装着は、図15の(B)中に図示されている如く、金属ガラスにより全体が作成されたホーン部140の大径の基端部が治具152により支持されている間に行なわれる。
さらに、図15の(B)中に図示されている如く、ホーン連結部140bの延出端部は裏打部150に形成されている貫通孔を貫通しており、ホーン連結部140bの中間張り出し140cは裏打部150の外端において上記中心孔に形成された拡径部150a中に隙間を伴って収容されている。この間に、中間張り出し140cの軸方向内端面は裏打部150の外端の拡径部150aの底面から僅かの距離離間しており、また中間張り出し140cの軸方向外端面は裏打部150の外端よりも外方に位置している。
裏打部150の外端の拡径部150a中のホーン連結部140bの中間張り出し140cを、ヒータ154により金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持する。その間に、図15の(C)中に図示されている如く、筒形状の変形加工部材156がホーン連結部140bの中間張り出し140cの軸方向外端面を裏打部150の外端に向かい押圧する。変形加工部材156は良熱伝導性の材料により形成されていて、ホーン連結部140bの中間張り出し140cを金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持する。
この間には、複数の受動素子146の温度が、受動素子146の特性を無くすキュリー点温度を超えないことが重要である。
さらにこの間に、変形加工部材156はホーン連結部140bの中間張り出し140cを強く押圧して押しつぶすよう変形させ、裏打部150の外端における上記貫通孔の拡径部150aに変形されたホーン連結部140bの中間張り出し140cを係合させる。
その後、ヒータ154は加熱を停止し、ホーン連結部140bの中間張り出し140cが金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材156がヒータ154とともに裏打部150の外端から遠ざけられる。
この結果として、ホーン本体部140aと裏打部150との間で電極148を伴い複数の受動素子146が挟持され、その結果として図16中に示されている如きこの発明の第7の実施の形態に従っている超音波振動子158が完成される。
受動素子146は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部140bを裏打部150に連結する際に、((受動素子146の圧縮強さ)−(受動素子146の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子146に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子146が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子146には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
ここにおいて、受動素子146は電極148を介して高周波電源HFSから高周波電流が供給されることにより超音波振動を発生する公知の圧電素子である。そして、ホーン本体部140aは、受動素子146から発生した超音波振動を増幅し、その小径の突出端部に伝達する。
ホーン本体部140aの小径の突出端部の孔140d(図15の(B)参照)には、そこに増幅された状態で伝達されてきた超音波振動を対象物に適用するための超音波振動適用チップ或いはプローブ160(図16参照)を着脱可能に固定することが出来る。超音波振動適用チップ或いはプローブ160に長手方向中心貫通孔が形成されていれば、ホーン連結部140bの延出端部に図16中に図示されているごとく吸引ポンプSPを接続することにより超音波振動適用チップ或いはプローブ160の先端における長手方向中心貫通孔の開口から上記長手方向中心貫通孔及びホーン部140の中心孔140eを介して物体を吸引することが出来る。
この実施の形態に従った超音波振動子158は、例えば外科手術において脂肪等の組織を吸引する為に使用される超音波吸引装置に搭載される。
次に、図17を参照しながら、この発明の第7の実施の形態に従った超音波振動子158のホーン部140を図15の(A)中に図示されていたのとは別のやり方で形成する様子を説明する。
ここにおいては、側方2分割型部材142´の雌型142a中に細長い棒状の中心孔形成部分144aに代わり細長い管状部材144bが配置されているとともに、雌ねじ形成構造中子144´が細長い管状部材144bとは独立して形成されている。
このような側方2分割型部材142´の雌型142aに対し溶融材料流入通路(湯道)142bを介して溶融している母合金GKを流し込み、雌型142aに流し込まれた溶融している母合金GKを前述したのと同様に液相状態を維持したままで固化させて金属ガラスとする。金属ガラスはその優れた形状転写性を発揮し、側方2分割型部材142´の雌型142a中に図15の(B)中に図示されているホーン部140と外観は同じホーン部140´を形成することが出来る。また、ホーン部140´のホーン本体部140aの小径の一端部には雌ねじ形成構造中子144´により精密な雌ねじが転写された孔140dが形成される。
雌型142a中でガラス固体域になり雌型142aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン部140´は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材142´から取り出される。この時には、雌型142aの形状が転写されているホーン部140´は、溶融材料流入通路(湯道)142bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っている。その後、溶融材料流入通路対応部分のみが機械加工により取り除かれる。
さらに、雌ねじ形成構造中子144´がホーン部140´から取り除かれるが、細長い管状部材144bはホーン部140´中に残される。ホーン部140´は細長い管状部材144bを伴ったまま使用される。
[第8の実施の形態]
次に、図18の(A)〜図19の(D)を参照しながら、この発明の第8の実施の形態に従った超音波振動子について説明する。
図18の(A)中に図示されている如く、この発明の第8の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部170は、中子部材171と組み合わされている側方2分割型部材172の雌型172aに対し溶融材料流入通路(湯道)172bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
側方2分割型部材172は、例えば銅の如き良熱伝導性の金属により形成されている。図18の(B)及び図18の(C)中に図示されている如く、2つの半側片172c,172dは、相互に対称な形状をしており、公知の分離可能な固定構造、例えばボルトとナットの組み合わせ、により分離可能に相互に固定されている。雌型172a及び溶融材料流入通路(湯道)172bは、側方2分割型部材172の2つの半側片172c,172dの夫々の分割面に縦に分割されて形成されている。
側方2分割型部材172の雌型172aの所定の位置は外部に開口されていて、上記所定の位置の開口は、側方2分割型部材172に公知の分離可能な固定構造、例えばボルトとナットの組み合わせ、により分離可能に固定されている中子部材171により閉鎖されている。中子部材171の中子171aが、側方2分割型部材172の雌型172aの所定の位置の開口から雌型172aにより規定されている空間中の所定の位置に突入されている。
側方2分割型部材172の雌型172a及び中子部材171の中子171aとの組み合わせにより金属ガラスから作成されるホーン部170は、大略的に錘形状のホーン本体部170a、ホーン本体部170aの大径の基端部から軸方向に延出した軸状のホーン連結部170b、そしてホーン本体部170aの大径の基端部においてホーン連結部170bの周囲から軸方向に延出しホーン連結部170bの外周面を取り囲んでいる筒状の覆い170cを含んでいる。
この実施の形態では、ホーン本体部170aの大径の基端部に対し小径の軸状のホーン連結部170b及び筒状の覆い170cは相互に同心的に配置されている。
溶融材料流入通路(湯道)172bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)172bを介して雌型172a中に流し込まれた溶融している母合金GKを液相状態を維持したまま固化させて金属ガラスとするよう、側方2分割型部材172及び中子部材171には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型172a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型172a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスになることにより、雌型172a及び中子171aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
中子171aが突入されている雌型172a中でガラス固体域になり雌型172a及び中子171aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン部170の全体は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材172及び中子部材171から取り出される。この時には、雌型172a及び中子171aの形状が転写されているホーン部170は、溶融材料流入通路(湯道)172bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っているが、溶融材料流入通路対応部分は機械加工により取り除かれることにより、図19の(A)中に図示されている如きホーン部170が完成する。
図19の(A)中に図示されている如く、ホーン部170のホーン本体部170aの大径の基端部が治具174により支持されている間に、ホーン連結部170bには、複数の受動素子176及び受動素子176の為の電極178が装着され、さらに従来の金属又は金属ガラスにより構成された裏打部180が装着される。
図19の(B)中に図示されている如く、ホーン連結部170bに装着された複数の受動素子176、電極178、そして裏打部180はホーン部170の筒状の覆い170cにより周囲を覆われている。さらに、ホーン連結部170bの延出端部は裏打部180に形成されている貫通孔を貫通している。
次に、ホーン連結部170bの延出端にヒータ内蔵又は超音波加熱変形加工部材182を押し当て、ホーン連結部170bの延出端部を金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持する。
この間には、複数の受動素子176の温度が、受動素子176の特性を無くすキュリー点温度を超えないことが重要である。
さらにこの間に、図19の(C)中に図示されている如く、変形加工部材182がホーン連結部170bの延出端部を強く押圧して押しつぶすよう変形させ、裏打部180の外端における上記貫通孔の拡径部180aに変形されたホーン連結部170bの延出端部を係合させる。
その後、ヒータ内蔵又は超音波加熱変形加工部材182による加熱が停止され、ホーン連結部170bの延出端部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材182がホーン連結部170bの延出端部から遠ざけられる。
この結果として、ホーン本体部170aと裏打部180との間で電極178を伴い複数の受動素子176が挟持される。
最後に、ホーン部170の覆い170cの延出端部の開口に蓋184が被せられ、上記開口を覆う。蓋184は覆い170cの延出端部の開口に対し着脱可能に取り付けられても良いし、例えば接着剤を含む公知の固定要素により固定されても良いし、必要に応じて例えばO−リング184aを伴い防水機能を発揮させることも出来る。
蓋184は、覆い170cに対し相互間で悪影響を及ぼすことなく所望の機能を発揮することができるどのような材料によっても作成が可能であり、この実施の形態では例えばPEEK(Polyether etherketone)により形成されている。蓋184には、受動素子176の電極178の為の電線LLを通過させる為の貫通孔184bが形成されていて、貫通孔184bは、防水処理が必要な場合は電線LLを通過させた後に公知のシール剤186により密封される。
ホーン部170の覆い170cの延出端部の開口が上述した如くして蓋184により覆われることにより、図19の(D)中に示されている如きこの発明の第8の実施の形態に従っている超音波振動子188が完成される。
受動素子176は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部170bを裏打部180に連結する際に、((受動素子176の圧縮強さ)−(受動素子176の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子176に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子176が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子176には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
ここにおいて、受動素子176は電線LL及び電極148を介して高周波電流が供給されることにより超音波振動を発生する公知の圧電素子である。そして、ホーン本体部170aは、受動素子176から発生した超音波振動を増幅し、その小径の突出端部に伝達する。
また、超音波振動子188のホーン部170の覆い170cから外部に引き出された電線LLを外力から保護する為に、図20中に図示されている如く、覆い170cの外端面に覆い170cから外部に引き出された電線LLを収容した可撓性の保護管PTの末端を取り付けることも出来る。保護管PTは例えばいわゆるコイルシャフトであることが出来る。
可撓性の保護管PTを伴った超音波振動子188は軟性内視鏡用の超音波治療装置USWTDとして使用することが可能である。このような超音波治療装置USWTDは軟性内視鏡の挿入部のチャンネルに挿脱自在に搭載され、例えば早期癌の切除等の治療に使用できる。
超音波振動子188のホーン本体部170aの小径の先端に雌ねじを設け、この雌ねじに対し長尺の超音波伝達部材の基端部を螺合させることにより、腹腔鏡手術に用いられる超音波凝固切開装置として使用することが可能である。
さらに、図21中に図示されている如く、ホーン部170の覆い170cの延出端部の開口を覆う蓋184´を金属ガラスにより作成することもできる。この場合には、蓋184´をホーン部170の覆い170cの延出端部の開口に対し、ヒータ内蔵又は超音波加熱変形加工部材HPMにより押し当て、覆い170cの延出端部及び蓋184´の周縁部を金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持する。
この間には、図19の(D)中に図示されている如く、覆い170cにより囲まれている複数の受動素子176の温度が、受動素子176の特性を無くすキュリー点温度を超えないことが重要である。
金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱され維持された覆い170cの延出端部及び蓋184´の周縁部は相互に固着する。
その後、ヒータ内蔵又は超音波加熱変形加工部材HPMによる加熱が停止され、覆い170cの延出端部及び蓋184´の周縁部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材HPMが蓋184´から遠ざけられる。
[第9の実施の形態]
次に、図22の(A)〜図23の(B)を参照しながら、この発明の第9の実施の形態に従った超音波振動子について説明する。
図22の(A)中に図示されている如く、この発明の第9の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部190は、中子部材191と組み合わされている側方2分割型部材192の雌型192aに対し溶融材料流入通路(湯道)192bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
側方2分割型部材192は、例えば銅の如き良熱伝導性の金属により形成されている。図22の(B)及び図22の(C)中に図示されている如く、2つの半側片192c,192dは、相互に対称な形状をしており、公知の分離可能な固定構造、例えばボルトとナットの組み合わせ、により分離可能に相互に固定されている。雌型192a及び溶融材料流入通路(湯道)192bは、側方2分割型部材192の2つの半側片192c,192dの夫々の分割面に縦に分割されて形成されている。
側方2分割型部材192の雌型192aの所定の位置は外部に開口されていて、上記所定の位置の開口は、側方2分割型部材192に公知の分離可能な固定構造、例えばボルトとナットの組み合わせ、により分離可能に固定されている中子部材191により閉鎖されている。中子部材191の中子191aが、側方2分割型部材192の雌型192aの所定の位置の開口から雌型192aにより規定されている空間中の所定の位置に突入されている。
側方2分割型部材192の雌型192a及び中子部材191の中子191aとの組み合わせにより金属ガラスから作成されるホーン部190は、大略的に錘形状のホーン本体部190a、ホーン本体部190aの大径の基端部の外端面に形成されている位置決め要素190b、そしてホーン本体部190aの大径の基端部の外端面において位置決め要素190bの周囲からホーン本体部190aの軸方向に延出している筒状のホーン連結部190cを含んでいる。
この実施の形態では、ホーン本体部190aの大径の基端部に対し位置決め要素190b及び筒状のホーン連結部190cは相互に同心的に配置されている。そして、位置決め要素190bはホーン本体部190aの大径の基端部の外端面に形成された突起又は凹所である。
溶融材料流入通路(湯道)192bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)192bを介して雌型192a中に流し込まれた溶融している母合金GKを液相状態を維持したまま固化させることにより金属ガラスとするよう、側方2分割型部材192及び中子部材191には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型192a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型192a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスとされることにより、雌型192a及び中子191aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
中子191aが突入されている雌型192a中でガラス固体域になり雌型192a及び中子191aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン部190の全体は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材192及び中子部材191から取り出される。この時には、雌型192a及び中子191aの形状が転写されているホーン部190は、溶融材料流入通路(湯道)192bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っているが、溶融材料流入通路対応部分は機械加工により取り除かれることにより、図23の(A)中に図示されている如きホーン部190が完成する。
図23の(A)中に図示されている如く、ホーン部190のホーン本体部190aの大径の基端部が治具194により支持されている間に、ホーン本体部190aの大径の基端部の外端面に位置決め要素190bからホーン本体部190aの長手方向中心線に沿い複数の受動素子196及び受動素子196の為の電極198が積層され、さらに従来の金属又は金属ガラスにより構成された裏打部200が装着される。この実施の形態では、詳細には、複数の電極198の為の電線LLは、夫々の電極198の上に積層されている種々の部材に形成されている電線貫通要素202、例えば貫通溝又は貫通孔、に挿通されて、裏打部200の外部に導かれている。電線貫通要素202は、上記種々の部材においてホーン本体部190aの長手方向中心線に対し同心的に配置されている。
図23の(B)中に図示されている如く、ホーン本体部190aの大径の基端部の外端面に位置決め要素190bから積層されている複数の受動素子196、電極198、そして裏打部200はホーン部190の筒状のホーン連結部190cにより周囲を覆われている。さらに、ホーン連結部190cの延出端部はホーン本体部190aの長手方向中心線に沿い裏打部180よりも外方に位置している。
次に、ホーン連結部190cの延出端にヒータ内蔵又は超音波加熱変形加工部材204を押し当て、ホーン連結部190cの延出端部を金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持する。
この間には、複数の受動素子196の温度が、受動素子196の特性を無くすキュリー点温度を超えないことが重要である。
さらにこの間に、図23の(B)中に図示されている如く、変形加工部材204がホーン連結部190cの延出端部を強く押圧して裏打部200の外端面の周縁領域上に押しつぶすよう変形させ、裏打部180の外端面の周縁領域上に変形されたホーン連結部190cの延出端部を係合させる。
その後、ヒータ内蔵又は超音波加熱変形加工部材204による加熱が停止され、ホーン連結部190cの延出端部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材204がホーン連結部190cの延出端部から遠ざけられる。
この結果として、ホーン本体部190aと裏打部200との間で電極198を伴い複数の受動素子196が挟持される。
最後に、必要に応じて、裏打部200の電線貫通要素202に公知の密封材を適用することにより、ホーン連結部190cに囲まれ複数の受動素子196、電極198、そして裏打部200が上述した如く積層された状態で収容されている空間を外部空間から密封することが出来、この発明の第9の実施の形態に従った超音波振動子206が完成される。
ここにおいて、受動素子196は電極198を介して高周波電流が供給されることにより超音波振動を発生する公知の圧電素子である。そして、ホーン本体部190aは、受動素子196から発生した超音波振動を増幅し、その小径の突出端部に伝達する。小径の突出端部には、そこに増幅された状態で伝達されてきた超音波振動を対象物に適用するための図示されていない超音波振動適用チップ或いはプローブを着脱可能に固定することが出来る。
受動素子196は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部190cを裏打部200に連結する際に、((受動素子196の圧縮強さ)−(受動素子196の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子196に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子196が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子196には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
[第10の実施の形態]
次に、図24の(A)〜図24の(C)を参照しながら、この発明の第10の実施の形態に従った超音波振動子について説明する。
図24の(A)中に図示されている如く、この発明の第10の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部210は、その一部が側方2分割型部材212の雌型212aに対し溶融材料流入通路(湯道)212bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
図24の(A)中では、雌型212a及び溶融材料流入通路(湯道)212bを示す為に側方2分割型部材212の一方の半側片のみがその分割線に沿って図示されている。雌型212aは、側方2分割型部材212の2つの半側片の夫々の分割面に縦方向に分割されて形成されている。
詳細には、従来の金属、例えばチタン、により形成されている大略的に錘形状のホーン本体部210aが側方2分割型部材212の雌型212a中の所定の位置に配置されていて、ホーン本体部210aにはその長手方向中心線に沿い中心貫通孔CHが形成されている。雌型212aは、ホーン本体部210aの中心貫通孔CHの両側にホーン本体部210aの先端部210b及びホーン連結部210cを金属ガラスにより形成する為の所定の空間を提供している。
溶融材料流入通路(湯道)212bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)212bを介して雌型212a中に流し込まれた溶融している母合金GKを液相状態を維持したまま固化させることにより金属ガラスとするよう、側方2分割型部材212には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型212a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型212a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスとなることにより、雌型212aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
雌型212a中でガラス固体域になり雌型212aの形状が転写された金属ガラスは、従来の金属、例えばチタン、により形成されている大略的に錘形状のホーン本体部210aの中心貫通孔CHの両側に、先端部210b及びホーン連結部210cを提供している。
ホーン本体部210aの先端部210b及びホーン連結部210cはホーン本体部210aの中心貫通孔CH中に流入し中心貫通孔CHの形状が転写されている金属ガラスにより相互に接続されているとともにホーン本体部210aと一体化されていて、ホーン部210を構成している。
この実施の形態において、先端部210b及びホーン連結部210cはホーン本体部210aに対し同心的に配置されていて、ホーン連結部210cはホーン本体部210aの大径の基端部から外方に同心的に延出している棒形状をしている。
このように構成されたホーン部210は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材212から取り出される。この時には、雌型212aの形状が転写されているホーン連結部210cは、溶融材料流入通路(湯道)212bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っている。その後、溶融材料流入通路対応部分が機械加工により取り除かれることにより、図24の(B)中に図示されている如きホーン部210が完成する。
次に、図24の(C)中に図示されている如く、ホーン部210のホーン本体部210aの大径の基端部が治具214により支持されている間に、金属ガラスにより作成されたホーン連結部210cには、複数の受動素子216及び受動素子216の為の電極218が装着され、さらに従来の金属により構成された裏打部220が装着される。
さらに、図24の(C)中に図示されている如く、ホーン部210のホーン連結部210cの延出端部は裏打部220に形成されている貫通孔を貫通している。裏打部220の外端には外周にヒータ222を伴った筒状の押圧部材224が押圧される。押圧部材224は良熱伝導性の材料により形成されていて、裏打部220から突出しているホーン連結部210cの延出端部を金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持する。
この間には、複数の受動素子216の温度が、受動素子216の特性を無くすキュリー点温度を超えないことが重要である。
さらにこの間に、図24の(C)中に図示されている如く、押圧部材224の中心孔中に挿入された変形加工部材226がホーン連結部210cの延出端部を強く押圧して図24の(C)中に2点鎖線で示されている如く押しつぶすよう変形させ、裏打部220の外端における上記貫通孔の拡径部220aに変形されたホーン連結部210cの延出端部を係合させる。
その後、ヒータ222は加熱を停止し、ホーン連結部210cの延出端部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材226及びヒータ222とともに押圧部材224が裏打部220の外端から遠ざけられる。
この結果として、ホーン本体部210aと裏打部220との間で電極218を伴い複数の受動素子216が挟持され、その結果として、この発明の第10の実施の形態に従っている超音波振動子228が完成される。
受動素子216は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部210cを裏打部220に連結する際に、((受動素子216の圧縮強さ)−(受動素子216の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子216に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子216が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子216には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
ここにおいて、受動素子216は電極218を介して高周波電流が供給されることにより超音波振動を発生する公知の圧電素子である。そして、ホーン本体部210aは、受動素子216から発生した超音波振動を増幅し、その小径の突出端の先端部210bに伝達する。
この実施の形態において先端部210bは前述した金属ガラスにより構成されているので、単なる金属製やセラミックス製の場合に比べ、機械的強度や耐磨耗性能や超音波振動伝達性能や耐腐食性能、その他、において遥かに優れている。
前述した如く、鋳造又は射出成形により金属ガラスの所望の物体を形成する場合、金属ガラスの母合金GKは液相状態を維持したまま10K/sec以上の冷却速度で固化されなければ、冷却後に金属ガラスにならない。
所望の物体、例えばホーン部、の外径寸法が大きくなると、上述した冷却条件を満たして金属ガラスの上記所望の物体を鋳造により形成することが出来なくなる。
所望の物体、例えばホーン部、の外径寸法が大きくなった場合、図24の(A)及び図24の(B)中に図示されている実施の形態のように、ホーン本体部210aを金属製とし、金属製のホーン本体部210aに対し上述した冷却条件を満たした鋳造により金属ガラスの先端部210b及びホーン連結部210cを一体的に形成することが出来る。即ち、ホーン部210において、先端部210b及びホーン連結部210cのみは、金属ガラスにより作成したことにより得ることが出来る上述した如き種々の技術的な利点を有する。
この実施の形態に従った超音波振動子は、例えば超音波溶着に使用することが出来る。
[第11の実施の形態]
次に、図25の(A)〜図25の(C)を参照しながら、この発明の第11の実施の形態に従った超音波振動子について説明する。
図25の(A)中に図示されている如く、この発明の第11の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部230は、側方2分割型部材232の雌型232aに対し溶融材料流入通路(湯道)232bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
図25の(A)中では、雌型232a及び溶融材料流入通路(湯道)232bを示す為に側方2分割型部材232の一方の半側片232cのみがその分割線に沿って図示されている。雌型232aは、図25の(B)中に図示されている如く、側方2分割型部材232の2つの半側片232c,232dの夫々の分割面に縦方向に分割されて形成されている。
雌型232aにより金属ガラスから作成されるホーン部230は、大略的に錘形状のホーン本体部230a及びホーン本体部230aの大径の基端部から軸方向に延出した軸状のホーン連結部230bを含んでいる。
雌型232aにおいてホーン部230の最終製品の一端部、即ちホーン本体部230aの小径の突出端部、に対応する位置に、刃物234の係合孔234aを有している基部234bが配置されている。刃物234は基部234bと反対側に刃部234cを有している。
溶融材料流入通路(湯道)232bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)232bを介して雌型232a中に流し込まれた溶融している母合金GKを液相状態を維持したままで固化させて金属ガラスとするよう、側方2分割型部材232には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型232a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型232a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスとされることにより、雌型232a及び刃物234の係合孔234aを有している基部234bに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
雌型232a中でガラス固体域になり雌型232aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン部230の全体は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材232から取り出される。この時には、雌型232aの形状が転写されているホーン部230は、溶融材料流入通路(湯道)232bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っているが、溶融材料流入通路対応部分は機械加工により取り除かれる。
そして、図25の(C)中に図示されている如きホーン部230が完成する。このホーン部230のホーン本体部230aの小径の突出端部には、刃物234の基端部234bが係合孔234aにおいて鋳造された金属ガラスにより固定されている。
図25の(C)中に図示されているホーン部230のホーン連結部230bには、図9の(B)乃至図10の(C)中に図示されていた全体が金属ガラスにより形成されているホーン部70のホーン連結部70bの場合と同様に、ホーン部230の大径の基端部を治具80(図10の(A)参照)により支持させている間に複数の受動素子74(図10の(A)参照)及び受動素子74の為の電極76(図10の(A)参照)が装着され、さらに従来の金属により構成された裏打部78(図10の(A)参照)が装着される。
さらに、裏打部78の外端にヒータ82を伴った筒状の押圧部材84(図10の(A)参照)が押圧され、裏打部78の貫通孔78aから突出しているホーン部230のホーン連結部230bの延出端部を金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持している間に、押圧部材84の中心孔中に挿入された変形加工部材86(図10の(B)参照)によりホーン連結部230bの延出端部を強く押圧して押しつぶすよう変形させ、裏打部78の外端における上記貫通孔の拡径部78aに変形されたホーン連結部230bの延出端部を係合させる。
その後、ヒータ82の加熱を停止し、ホーン連結部230bの延出端部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材86及びヒータ82とともに押圧部材84が裏打部78の外端から遠ざけられる。
この結果として、ホーン本体部230aと裏打部78との間で電極76を伴い複数の受動素子74が挟持され、その結果として、図10の(C)中に示されている如きこの発明の第4の実施の形態に従っている超音波振動子88と同様に、図25の(C)中に図示されている刃物234付きホーン部230を備えたこの発明の第11の実施の形態に従っている超音波振動子が完成される。
受動素子74は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部230bを裏打部78に連結する際に、((受動素子74の圧縮強さ)−(受動素子74の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子74に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子74が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子74には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
ここにおいて、第11の実施の形態に従っている超音波振動子のホーン部230のホーン本体部230aの大径の基端部を図示されていない支持体に支持させ、ホーン本体部230aの小径の突出端部の刃物234の刃部234cを刃部234cにより切断しようとする図示しない切断対象物に押し当てている間に、複数の受動素子74(図10の(C)参照)に電極76(図10の(C)参照)を介して高周波電流を供給し複数の受動素子74(図10の(C)参照)に超音波を発生させる。この超音波はホーン本体部230aにおいて増幅されホーン本体部230aの小径の突出端部の刃物234の刃部234cは上述した図示しない切断対象物を切断する。
なお、この実施の形態では、刃物234はホーン部230とは独立して予め準備されていたが、側方2分割型部材232の雌型232aにおいてホーン本体部230aの小径の突出端部に刃物の為の雌型をさらに追加することにより、刃物をホーン部230とともに金属ガラスにより一体的に形成することも出来る。前述した如く金属ガラスは優れた形状転写性を有するので、刃物の為の雌型の寸法を精密に設定することにより、金属ガラスにより鋳造された刃物の切れ味は鋭くなる。
[第12の実施の形態]
次に、図26の(A)及び図26の(B)を参照しながら、この発明の第12の実施の形態に従った超音波振動子について説明する。
図26の(A)中に図示されている如く、この発明の第12の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部240は、側方2分割型部材242の雌型242aに対し溶融材料流入通路(湯道)242bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
図26の(A)中では、雌型242a及び溶融材料流入通路(湯道)242bを示す為に側方2分割型部材242の一方の半側片のみがその分割線に沿って図示されている。雌型242aは、側方2分割型部材242の2つの半側片の夫々の分割面に縦方向に分割されて形成されている。
雌型242aにより金属ガラスから作成されるホーン部240は、大略的に錘形状のホーン本体部240a及びホーン本体部240aの大径の基端部から軸方向に延出した軸状のホーン連結部240bを含んでいる。
雌型242aにおいてホーン部240の最終製品の一端部、即ちホーン本体部240aの小径の突出端部、に対応する位置から、ホーン本体部240aの長手方向中心線に沿い、ホーン本体部240aの大径の基端部の外周面の所定の位置に対応した位置まで延出した後に、さらにホーン本体部240aの大径の基端部の外周面の所定の位置までホーン本体部240aの大径の基端部の径方向の外方に向かい延びた、管状部材244が配置されている。
管状部材244は、そこに流される予定の液体に対する耐腐食性の高い材料、上記液体が水の場合は例えばチタニウム又はチタニウム合金又は銅又は銅合金等、により形成されている。
溶融材料流入通路(湯道)242bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)242bを介して雌型242a中に流し込まれた溶融している母合金GKを液相状態を維持したままで固化させ金属ガラスとするよう、側方2分割型部材242には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型242a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型242a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスとされることにより、雌型242a及び管状部材244に対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
雌型242a中でガラス固体域になり雌型242aの形状が転写された金属ガラスにより構成されたホーン部240の全体は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材242から取り出される。この時には、雌型242aの形状が転写されているホーン部240は、溶融材料流入通路(湯道)242bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っているが、溶融材料流入通路対応部分は機械加工により取り除かれる。
そして、上述した如く配置された管状部材244を内蔵したホーン部240が完成する。
ホーン部240のホーン連結部240bには、図9の(B)乃至図10の(C)中に図示されていた全体が金属ガラスにより形成されているホーン部70のホーン連結部70bの場合と同様に、ホーン部240の大径の基端部を治具80(図10の(A)参照)により支持させている間に複数の受動素子74(図10の(A)参照)及び受動素子74の為の電極76(図10の(A)参照)が装着され、さらに従来の金属により構成された裏打部78(図10の(A)参照)が装着される。
さらに、裏打部78の外端にヒータ82(図10の(A)参照)を伴った筒状の押圧部材84(図10の(A)参照)が押圧され、裏打部78の貫通孔78aから突出しているホーン部240のホーン連結部240bの延出端部を金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持している間に、押圧部材84の中心孔中に挿入された変形加工部材86(図10の(A)参照)によりホーン連結部240bの延出端部を強く押圧して押しつぶすよう変形させ、図26の(B)中に図示されている如く、裏打部78の外端における上記貫通孔の拡径部78aに変形されたホーン連結部240bの延出端部を係合させる。
その後、ヒータ82は加熱を停止し、ホーン連結部230bの延出端部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材86及びヒータ82とともに押圧部材84が裏打部78の外端から遠ざけられる。
この結果として、ホーン本体部240aと裏打部78との間で電極76を伴い複数の受動素子74が挟持され、その結果として、図10の(C)中に示されている如きこの発明の第4の実施の形態に従っている超音波振動子88と同様に、図26の(B)中に図示されている管状部材244を内蔵したホーン部240を備えたこの発明の第12の実施の形態に従っている超音波振動子246が完成される。
受動素子74は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部240bを裏打部78に連結する際に、((受動素子74の圧縮強さ)−(受動素子74の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子74に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子74が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子74には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
次に、図26の(B)中に図示されている如く、超音波振動子246のホーン部240のホーン本体部240aの大径の基端部に、複数の受動素子74,電極76,さらに裏打部78を覆う主ハウジング248aを取り付けるとともに、ホーン本体部240aの小径の突出端部に小径の突出端部の周囲を覆うフード248bを取り付ける。さらに、超音波振動子246のホーン部240の管状部材244の半径方向突出部分に主ハウジング248aを介して液体供給源LSSを取り付けるとともに、複数の受動素子74の為の電極76に主ハウジング248aを介して高周波電源HFSを接続することにより、この発明の第12の実施の形態に従っている超音波振動子246を駆動源として使用した噴霧器を提供することが出来る。
そして、複数の受動素子74に電極76を介して高周波電源から高周波電流を供給し複数の受動素子74に超音波を発生させると、この超音波はホーン本体部240aにおいて増幅され、ホーン本体部240aの小径の突出端部において液体供給源から管状部材244を介して供給されてきた液体を霧化し、上記突出端部からフード248bの開口に向かい上記液体の霧249を噴出させる。
ここにおいて、ホーン部240のホーン本体部240aにおいて管状部材244の半径方向突出部分がホーン本体部240aの径方向の外方に向かい延出している前述した所定の位置は、複数の受動素子74からホーン本体部240aに伝達されてきた超音波の波の節に一致していることが好ましい。これによって、管状部材244の半径方向突出部分が上記超音波により疲労破壊される確率を非常に低減出来る。
この噴霧器では、噴霧器において発生される霧にその一部を露出させたホーン本体部240aが金属ガラスにより構成されているので、ホーン本体部240aの上記一部が上記霧により例えば腐食等の悪影響を受けることがなく、逆に、ホーン本体部240aの上記一部が上記霧の成分に悪影響を与えることもない。
[第13の実施の形態]
次に、図27の(A)乃至図28を参照しながら、この発明の第13の実施の形態に従った超音波振動子について説明する。
図27の(A)中に図示されている如く、この発明の第13の実施の形態に従った超音波振動子のホーン部250は、その一部が側方2分割型部材252の雌型252aに対し溶融材料流入通路(湯道)252bを介して金属ガラスの基になる合金(以下、母合金という)GKを溶融した状態で注入することにより作成される。母合金GKは、金属ガラスと同じ成分を有しているが成分が結晶化していることが金属ガラスと異なっている。母合金GKは、例えばアークにより溶解される。
図27の(A)中では、雌型252a及び溶融材料流入通路(湯道)252bを示す為に側方2分割型部材252の一方の半側片のみがその分割線に沿って図示されている。雌型252aは、側方2分割型部材252の2つの半側片の夫々の分割面に縦方向に分割されて形成されている。
詳細には、従来の金属、例えばチタン、により形成されている大略的に短い円柱形状のホーン本体部250aが側方2分割型部材252の雌型252a中の所定の位置に配置されていて、ホーン本体部250aにはその長手方向中心線に沿い中心貫通孔PHが形成されている。雌型252aはホーン本体部250aの中心貫通孔PHの両側に、ホーン本体部250aの先端部250b及びホーン連結部250cを金属ガラスにより形成する為の所定の空間を提供している。
溶融材料流入通路(湯道)252bの外端(湯口)には、融点に溶かされた母合金GKが流し込まれる。
溶融材料流入通路(湯道)252bを介して雌型252a中に流し込まれた溶融している母合金GKを液相状態を維持したままで固化させ金属ガラスとするよう、側方2分割型部材252には図示されていない種々の公知の放熱及び/又は冷却構造が適用されている。この結果、雌型252a中に流し込まれた溶融している母合金GKは、10K/sec以上の冷却速度で冷却される。雌型252a中に流し込まれた溶融している母合金GKがこのように急冷されて金属ガラスとされることにより、雌型252aに対する金属ガラスの優れた形状転写性が達成される。
雌型252a中でガラス固体域になり雌型252aの形状が転写された金属ガラスは、従来の金属、例えばチタン、により形成されている大略的に短い円柱形状のホーン本体部250aの中心貫通孔PHの両側に、先端部250b及びホーン連結部250cを提供している。
先端部250b及びホーン連結部250cはホーン本体部250aの中心貫通孔PH中に流入し中心貫通孔PHの形状が転写されている金属ガラスにより相互に接続されているとともにホーン本体部250aと一体化されていて、ホーン部250を構成している。
この実施の形態において、先端部250b及びホーン連結部250cはホーン本体部250aに対し同心的に配置されていて、ホーン連結部250cはホーン本体部250aの大径の基端部から外方に同心的に延出している棒形状をしている。
このように構成されたホーン部250は、所定の時間のさらなる放熱後に型部材252から取り出される。この時には、雌型252aの形状が転写されているホーン連結部250cは、溶融材料流入通路(湯道)252bに対応した形状の溶融材料流入通路対応部分を伴っている。その後、溶融材料流入通路対応部分が機械加工により取り除かれることにより、ホーン部250が完成する。
次に、図27の(B)中に図示されている如く、ホーン部250の先端部250bが治具254により支持されている間に、金属ガラスにより作成されたホーン連結部250cには、複数の受動素子256及び受動素子256の為の電極258が装着され、さらに従来の金属により構成された裏打部260が装着される。
図27の(B)中に図示されている如く、ホーン部250のホーン連結部250cの延出端部は裏打部260に形成されている貫通孔を貫通している。裏打部260の外端には外周にヒータ262を伴った筒状の押圧部材264が押圧される。押圧部材264は良熱伝導性の材料により形成されていて、裏打部260から突出しているホーン連結部250cの延出端部を金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持する。
この間には、複数の受動素子256の温度が、受動素子256の特性を無くすキュリー点温度を超えないことが重要である。
さらにこの間に、図27の(B)中に図示されている如く、押圧部材264の中心孔中に挿入された変形加工部材266がホーン連結部250cの延出端部を強く押圧して図27の(B)中に示されている如く押しつぶすよう変形させ、裏打部260の外端における上記貫通孔の拡径部260aに変形されたホーン連結部250cの延出端部を係合させる。
その後、ヒータ262は加熱を停止し、ホーン連結部250cの延出端部が金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材266及びヒータ262とともに押圧部材264が裏打部260の外端から遠ざけられる。
この結果として、ホーン本体部250aと裏打部260との間で電極258を伴い複数の受動素子256が挟持され、その結果として、この発明の第13の実施の形態に従っている超音波振動子268が完成される。
受動素子256は圧電セラミックスにより構成されていることが多く、圧電セラミックスは引っ張り応力に比較的弱い。従ってこの場合には、ホーン連結部250cを裏打部260に連結する際に、((受動素子256の圧縮強さ)−(受動素子256の引っ張り強さ))/2の圧縮応力が受動素子256に負荷されることが好ましい。例えば、圧電セラミックスの圧縮強さは800MPaであり引っ張り強さは80MPaなので、受動素子256が圧電セラミックスにより構成されている場合には、受動素子256には360PMaの圧縮応力が負荷されることが好ましい。
図27の(C)中に図示されている如く、この発明の第13の実施の形態に従っている超音波振動子268を使用する超音波洗浄槽270の底壁の外表面の複数の所定の位置に超音波振動子固定孔270aが形成されている。超音波振動子固定孔270aは、入口の径よりも内部の径のほうが大である。
超音波洗浄槽270の超音波振動子固定孔270aにこの発明の第13の実施の形態に従っている超音波振動子268を固定するには、図27の(C)中に図示されている如く、超音波洗浄槽270の底壁の内表面を支持台座272上に載置し、超音波振動子固定孔270aの周辺をヒータ274により金属ガラスの過冷却液体温度域(ガラス転移温度)に加熱し維持する。
次に、図27の(D)中に図示されている如く、このように加熱された超音波振動子固定孔270aにこの発明の第13の実施の形態に従っている超音波振動子268のホーン部250の先端部250bを挿入し、さらに裏打部260の外端を変形加工部材276により強く押圧する。この結果、図27の(D)中に示されている如く、超音波洗浄槽270の底壁超音波振動子固定孔270a内で金属ガラスの先端部250bが押しつぶされるよう変形し、底壁超音波振動子固定孔270aに係合される。
その後、ヒータ274は加熱を停止し、超音波振動子268のホーン部250の変形された先端部250bが金属ガラスの過冷却液体温度域以下、即ちガラス転移温度以下、になった後に、変形加工部材276が裏打部260の外端から遠ざけられるとともにヒータ274も超音波洗浄槽270の底壁の外表面の超音波振動子固定孔270aの周辺から遠ざけられる。
図28には、前述した第13の実施の形態に従った複数の超音波振動子268を底壁の外表面の複数の位置に固定されている超音波洗浄槽270が概略的に図示されている。
超音波洗浄槽270には超音波洗浄に使用する液体271、例えば公知の洗浄補助液、が満たされていて、さらに超音波により洗浄しようとする物体272、例えばめがね、が沈められている。
複数の超音波振動子268の複数の受動素子256に電極258を介して高周波電流を供給すると、複数の受動素子256により発生された超音波がホーン本体部250a及び先端部250b(図27の(D)参照)を介して、超音波洗浄槽270の底壁の上述した複数の位置に伝達され、さらに超音波洗浄液体271を介して超音波により洗浄しようとする物体272に伝達される。
ここにおいて複数の超音波振動子268は金属ガラスの先端部250b(図27の(D)参照)が、超音波洗浄槽270の底壁の外表面の底壁超音波振動子固定孔270a内で押しつぶされるよう変形されることにより底壁超音波振動子固定孔270aを充たし底壁超音波振動子固定孔270aに係合され固定されている。従って、超音波振動子268から超音波洗浄槽270の底壁へと殆ど損失を生じさせることなく効率よく超音波を伝達させることが出来る。
[第14の実施の形態]
次に、図29を参照しながら、この発明の第14の実施の形態に従った超音波振動子について説明する。
図29中には、この発明の第14の実施の形態に従った超音波振動子280を使用した水中音響探信器(SONAR)282の縦断面が概略的に図示されている。
この超音波振動子280の構造は、図27の(A)乃至図27の(D)を参照しながら前述したこの発明の第13の実施の形態に従った超音波振動子268の構造と類似している。この超音波振動子280の構造が第13の実施の形態に従った超音波振動子268の構造と異なっているのは、以下の通りである。
即ち、第13の実施の形態に従った超音波振動子268のホーン部250においては、ホーン本体部250aは従来の金属製であり先端部250bが金属ガラス製であった。これに対し、第14の実施の形態に従った超音波振動子280のホーン部250´においては、ホーン本体部250´aが図29には図示されていないホーン連結部と金属ガラスにより一体的に作成されていて、先端部250bは省略されている。
第14の実施の形態に従った超音波振動子280の金属ガラス製のホーン本体部250´aは、水中音響探信器(SONAR)282の密封容器の底板282aの内表面に形成されている超音波振動子固定孔282bに、第13の実施の形態に従った超音波振動子268のホーン部250の金属ガラス製の先端部250bが超音波洗浄槽270の底壁の外表面の底壁超音波振動子固定孔270aに固定されたのと同様に、固定されている。
底板282aの内表面の超音波振動子固定孔282bに超音波振動子280の金属ガラス製のホーン本体部250´aが固定された後には、底板282aに上記密封容器の耐圧容器282cが被せられる。耐圧容器282cは底板282aに対し公知の密封固定要素、例えばO−リングを伴ったボルトとナットとの組み合わせ、により密封状態で固定される。耐圧容器282cには、超音波振動子280の複数の受動素子256の電極258からの電線284が引き出されている貫通孔282dが形成されており、貫通孔282dは公知の密封要素282e、例えば合成樹脂、により密封されている。
ここにおいて超音波振動子280は金属ガラスのホーン本体部250´aが、水中音響探信器(SONAR)282の密封容器の底板282aの内表面に形成されている超音波振動子固定孔282b内で押しつぶされるよう変形されることにより底壁超音波振動子固定孔282bを充たし底壁超音波振動子固定孔282bに係合され固定されている。従って、超音波振動子280から水中音響探信器(SONAR)282の密封容器の底板282aへと殆ど損失を生じさせることなく効率よく超音波を伝達させることが出来る。
また、金属ガラスは剛性が高いので、金属ガラスのホーン本体部250´aを伴った超音波振動子280は、受動素子256に対する入力電力に対し高い線形性で歪みの少ない超音波を送波することが出来、ひいては歪みの少ない受信画像を得ることが出来る。
最後に、金属ガラスにより超音波振動子の種々の構成部材を前述した如く作成したことによる技術上の利点を述べると以下のようである。
・上記種々の構成部材を作成していた従来の例えばチタン,チタン合金,アルミニウム合金,またはニッケル―アルミニウム合金等の金属材料に比べると成形加工性や形状転写性に優れるので、複雑な形状であっても種々の構成部材の殆ど全体を鋳造のみにより高い寸法精度で作成することが出来、ホーン部の製造コストを低下させる。
・金属ガラスは非結晶で結晶粒界がないため、音響特性に優れている。通常の金属は結晶粒界があるので超音波を流すと超音波の反射が起こり、超音波振動エネルギーの損失が生じる。
・金属ガラスの引っ張り強度は通常の金属よりも遥かに優れる、例えばTi合金の約3倍、ので、種々の構成部材に超音波を流したときに種々の構成部材に生じる振動応力により種々の構成部材が壊れにくい。
・金属ガラスは非結晶で結晶粒界がないため、耐蝕性に優れている。
・ホーン連結部と裏打板又はホーン本体部とを、金属ガラスの過冷却液体域(ガラス転移領域)での変形を利用して相互に一体的に固定することが出来る。従って、裏打板とホーン本体部との間に挟持される受動素子に対し適切な圧縮応力を安定して負荷することが出来るので、高い水準の品質や性能の超音波振動子を安定して提供することができる。
10´…素材、GK…母合金、10…ホーン部、10a…ホーン本体部、10b…ホーン連結部、10c…孔、10d…雄ねじ、12…側方2分割型部材、12a…雌型、12b…溶融材料流入通路(湯道)、14…受動素子、16…電極、18…裏打部、20…超音波伝達子、12´…側方2分割型部材、12´a…雌型、12´b…中子、12´c…雄ねじ形成形状、21…縦方向2分割型部材、21a…上半片,21b…下半片、12´´a…雌型、22…溶融材料流入通路(湯道)、24…溶融金属加圧注入機構、24a…シリンダ、24b…ピストン、24c…ヒータ;
30´…素材、30…ホーン連結部、30a,30b…雄ねじ、32…側方2分割型部材、32a…雌型、32b…溶融材料流入通路(湯道)、33…超音波振動子、34…ホーン部、34a…ホーン本体部、34b…孔、36…受動素子、38…電極、40…裏打部、32´…側方2分割型部材、32´a…雌型、32´c,32´d…雄ねじ形成形状;
50…ホーン連結部、50a…雄ねじ、52…裏打部、54…側方2分割型部材、54a…雌型、54b…溶融材料流入通路(湯道)、56…超音波振動子、58…ホーン部、58a…ホーン本体部、60…受動素子、62…電極;
70…ホーン部、70a…ホーン本体部、70b…ホーン連結部、70c…先端処置部、72…側方2分割型部材、72a…雌型、72b…溶融材料流入通路(湯道)、74…受動素子、76…電極、78…裏打部、78a…拡径部、80…治具、82…ヒータ、84…押圧部材、86…変形加工部材、88…超音波振動子;
90…ホーン連結部、92…側方2分割型部材、92a…雌型、92b…溶融材料流入通路(湯道)、94…ホーン本体部、96…治具、97…固定孔、98…ヒータ、100…変形加工部材、102…ホーン部、104…受動素子、106…電極、108…裏打部、108a…拡径部、110…ヒータ、112…押圧部材、114…変形加工部材、108´a…軸方向係合形状、116…超音波振動子;
120…ホーン連結部、122…裏打部、124…側方2分割型部材、124a…雌型、124b…溶融材料流入通路(湯道)、126…受動素子、128…電極、130…ホーン本体部、130a…固定孔、132…治具、134…従来の超音波振動子、136…ホーン部、138…超音波振動子;
140…ホーン部、140a…ホーン本体部、140b…ホーン連結部、140c…中間張り出し、140d…孔、140e…中心孔、142…側方2分割型部材、142a…雌型、142b…溶融材料流入通路(湯道)、144…雌ねじ形成構造中子、144a…中心孔形成部分、146…受動素子、148…電極、150…裏打部、150a…拡径部、152…治具、154…ヒータ、156…変形加工部材、158…超音波振動子、160…プローブ、SP…吸引ポンプ、HFS…高周波電源、140´ホーン部、142´…側方2分割型部材、144b…管状部材、144´…雌ねじ形成構造中子;
170…ホーン部、170a…ホーン本体部、170b…ホーン連結部、170c…覆い、171…中子部材、171a…中子、172…側方2分割型部材、172a…雌型、172b…溶融材料流入通路(湯道)、172c,172d…半側片、174…治具、176…受動素子、178…電極、180…裏打部、180a…拡径部、182…変形加工部材、184…蓋、184a…O−リング、184b…貫通孔、LL…電線、186…シール剤、188…超音波振動子、PT…保護管、USWTD…超音波治療装置、184´…蓋、HPM…変形加工部材;
190…ホーン部、190a…ホーン本体部、190b…位置決め要素、190c…ホーン連結部、191…中子部材、191a…中子、192…側方2分割型部材、192a…雌型、192b…溶融材料流入通路(湯道)、192c,192d…半側片、194…治具、196…受動素子、198…電極、200…裏打部、LL…電線、202…電線貫通要素、204…変形加工部材、206…超音波振動子;
210…ホーン部、210a…ホーン本体部、CH…中心貫通孔、210b…先端部、210c…ホーン連結部、212…側方2分割型部材、212a…雌型、212b…溶融材料流入通路(湯道)、214…治具、216…受動素子、218…電極、220…裏打部、220a…拡径部、222…ヒータ、224…押圧部材、226…変形加工部材、228…超音波振動子;
230…ホーン部、230a…ホーン本体部、230b…ホーン連結部、232…側方2分割型部材、232a…雌型、232b…溶融材料流入通路(湯道)、232c,232d…半側片、234…刃物、234a…係合孔、234b…基部、234c…刃部;
240…ホーン部、240a…ホーン本体部、240b…ホーン連結部、242…側方2分割型部材、242a…雌型、242b…溶融材料流入通路(湯道)、244…管状部材、246…超音波振動子、248a…主ハウジング、248b…フード、LSS…液体供給源、HFS…高周波電源、249…霧;
250…ホーン部、250a…ホーン本体部、PH…中心貫通孔、250b…先端部、250c…ホーン連結部、252…側方2分割型部材、252a…雌型、252b…溶融材料流入通路(湯道)、256…受動素子、258…電極、260…裏打部、260a…拡径部、262…ヒータ、264…押圧部材、266…変形加工部材、268…超音波振動子、270…超音波洗浄槽、270a…超音波振動子固定孔、272…支持台座、274…ヒータ、276…変形加工部材、271…液体、272…物体;
280…超音波振動子、250´…ホーン部、250´a…ホーン本体部、282…水中音響探信器(SONAR)、282a…底板、282b…超音波振動子固定孔、282c…耐圧容器、282d…貫通孔、282e…密封要素。