JP5171696B2 - 変性ポリビニルアルコールおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーと、ビニルエステル単位を有するモノマーを共重合させた後に、ケン化させて得られるもの(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
エチレン性不飽和二重結合を含有するモノマーは、酢酸ビニルと共重合反応させて鹸化反応させた際に、これに隣接するモノマーから脱ラジカル反応を起こし、分子主鎖に不飽和二重結合を発生させることができる。
エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、シトラスコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水シトラスコン酸等がある。
これらのモノマーは、分子中に不飽和二重結合と酢酸基より分子量が大きな疎水基を有するものであり、変性ポリビニルアルコールの界面活性能を調整することができるものである。
変性ポリビニルアルコールは、疎水基の導入量が増加するとともにその表面張力が低下し逆に親油性が向上する。
塩化ビニルの懸濁重合は、種々のケン化度のポリビニルアルコールを併用して行われる。これは、得られるポリ塩化ビニルの見かけ比重やポロシティを調整するためであり、ケン化度の高いポリビニルアルコールを用いると見かけ比重が高くなり、逆にケン化度の低いポリビニルアルコールを用いるとポロシティが高くなる。
これらは、得られるポリ塩化ビニルの用途に合わせて適宜選択されるものである。
このため、塩化ビニルを水中に安定的に分散できるものである。
酢酸ビニル834質量部、メタノール700質量部、マレイン酸ジメチル0.37質量部、ネオデカン酸ビニル0.25質量部、及び酢酸ビニルに対して0.10%のアゾビスイソブチロニトリルを重合缶に仕込み、窒素置換後加熱して沸点まで昇温し、更に、酢酸ビニル260質量部、メタノール39質量部、マレイン酸ジメチル3.28質量部、及びネオデカン酸ビニル2.27質量部の混合液を重合率75%に達するまで連続的に添加して重合させ、重合率93%に達した時点で重合を停止した。次いで常法により未重合の酢酸ビニルを除去し、得られた重合体のメタノール溶液に、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を加えて40℃に保った。その後、90℃で90分乾燥させて、重合度850、ケン化度72.0モル%、マレイン酸ジメチル0.2モル%、ネオデカン酸ビニル0.1モル%である、変性ポリビニルアルコールAを得た。この変性ポリビニルアルコールAの0.2%水溶液の、20℃、波長280nmにおける吸光度は、0.17(ABS)であった。
また、ケン化反応時間以外は、全て変性ポリビニルアルコールAと同じ方法で、重合度850、ケン化度80.5モル%、マレイン酸ジメチル0.2モル%、ネオデカン酸ビニル0.1モル%である、変性ポリビニルアルコールBを得た。この変性ポリビニルアルコールBの0.2%水溶液の、20℃、波長280nmにおける吸光度は、0.16(ABS)であった。
酢酸ビニル834質量部、メタノール615質量部、マレイン酸ジメチル1.1質量部、ステアリン酸ビニル1.19質量部、及び酢酸ビニルに対して0.10%のアゾビスイソブチロニトリルを重合缶に仕込み、窒素置換後加熱して沸点まで昇温し、更に、酢酸ビニル260質量部、メタノール116質量部、マレイン酸ジメチル9.84質量部、及びステアリン酸ビニル10.65質量部の混合液を重合率75%に達するまで連続的に添加して重合させ、重合率93%に達した時点で重合を停止した。次いで常法により未重合の酢酸ビニルを除去し、得られた重合体のメタノール溶液に、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を加えて40℃に保った。その後、90℃で90分熱風乾燥し、重合度840、ケン化度72.6モル%、マレイン酸ジメチル0.6モル%、ステアリン酸ビニル0.3モル%の変性ポリビニルアルコールCを得た。この変性ポリビニルアルコールCの0.2%水溶液の、20℃、波長280nmにおける吸光度は、0.47(ABS)であった。
また、ケン化反応時間以外は、全て変性ポリビニルアルコールCと同じ方法で、重合度840、ケン化度81.2モル%、マレイン酸ジメチル0.2モル%、ネオデカン酸ビニル0.1モル%である、変性ポリビニルアルコールDを得た。この変性ポリビニルアルコールDの0.2%水溶液の、20℃、波長280nmにおける吸光度は、0.44(ABS)であった。
酢酸ビニル834質量部、メタノール615質量部、マレイン酸ジメチル1.1質量部、及び酢酸ビニルに対して0.10%のアゾビスイソブチロニトリルを重合缶に仕込み、窒素置換後加熱して沸点まで昇温し、更に、酢酸ビニル260質量部、メタノール116質量部、マレイン酸ジメチル9.84質量部の混合液を重合率75%に達するまで連続的に添加して重合させ、重合率93%に達した時点で重合を停止した。次いで常法により未重合の酢酸ビニルを除去し、得られた重合体のメタノール溶液に、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を加えて40℃に保った。その後、90℃で90分熱風乾燥し、重合度880、ケン化度72.5モル%、マレイン酸ジメチル0.6モル%の変性ポリビニルアルコールEを得た。この変性ポリビニルアルコールEの0.2%水溶液の、20℃、波長280nmにおける吸光度は、0.48(ABS)であった。
また、ケン化反応時間以外は、全て変性ポリビニルアルコールEと同じ方法で、重合度880、ケン化度80.3モル%、マレイン酸ジメチル0.2モル%である、変性ポリビニルアルコールFを得た。この変性ポリビニルアルコールFの0.2%水溶液の、20℃、波長280nmにおける吸光度は、0.45(ABS)であった。
翼幅37.5mmのパドル撹拌翼を備えた内容量30リットルの反応器に、水12000gと、表1に示す量の変性ポリビニルアルコールを入れて溶解した。次いで、重合開始剤としてクミルパーオキシネオデカノエート0.5gとt−ブチルパーオキシネオデカノエート2.3gを仕込み、系内の窒素置換を行った後、塩化ビニル単量体5000gを仕込み、回転数650rpmで撹拌しながら、温度57.5℃で4時間反応させた。内圧が0.78MPa以下になったら重合反応を終了させ、反応器から樹脂スラリーを取り出し、脱水乾燥して樹脂粉末を得た。
<嵩比重>
JIS K6720−2に準拠して測定した。
<平均粒径>
JIS Z8801規定の試験用ふるいのうち、呼び寸法が300μm、250μm、180μm、150μm、106μmおよび75μmのふるいをロータップ型ふるい分け装置に取り付け、最上段に樹脂試料100gを静かに入れて、10分間振とう後、各ふるい上に残った試料の質量を測定し、下記に示す総質量(100g)に対する百分率(イ〜ヘ)を求めた。求めた各ふるいの篩上率および篩下率に基づき、累積頻度50%の粒径を計算して、平均粒径とした。
ロ:呼び寸法180μmのふるいでの篩上率(質量%)
ハ:呼び寸法150μmのふるいでの篩上率(質量%)
ニ:呼び寸法106μmのふるいでの篩上率(質量%)
ホ:呼び寸法75μmのふるいでの篩上率(質量%)
ヘ:呼び寸法75μmのふるいでの篩下率(質量%)
Claims (3)
- 分子主鎖中に一般式(化1)で表される結合単位を0.1〜50モル%と、分子側鎖に長鎖ビニルエステル、長鎖アクリル酸エステル、長鎖ビニルエーテルから選ばれる少なくとも一種の化合物由来の疎水基を有する単位を0.05〜10モル%と、ビニルアルコール単位を40〜99.85モル%有する、ケン化度70モル%以上80モル%未満の変性ポリビニルアルコールであり、
長鎖ビニルエステルが一般式(化2)で表されるものであり、
長鎖アクリル酸エステルがアクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルから選ばれるものであり、
長鎖ビニルエーテルがビニルドデシルエーテル、ビニルオクタデシルエーテル、ビニルオクチルエーテル、ビニルプロピオネート、ビニルステアレートシクロヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、イソアミルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソオクチルビニルエーテルから選ばれるものである変性ポリビニルアルコール。
- ケン化度が70モル%以上72.6モル%以下であることを特徴とする請求項1記載の変性ポリビニルアルコール。
- マレイン酸ジメチルと、酢酸ビニルと、長鎖ビニルエステルまたは長鎖ビニルエーテルまたは長鎖アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一種のモノマーを連続的に添加して共重合させた後に、ケン化させて、洗浄、乾燥を行う変性ポリビニルアルコールの製造方法であり、
長鎖ビニルエステルが一般式(化2)で表されるものであり、
長鎖アクリル酸エステルがアクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルから選ばれるものであり、
長鎖ビニルエーテルがビニルドデシルエーテル、ビニルオクタデシルエーテル、ビニルオクチルエーテル、ビニルプロピオネート、ビニルステアレートシクロヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、イソアミルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソオクチルビニルエーテルから選ばれるものである変性ポリビニルアルコールの製造方法。
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