JP5169467B2 - 射出成形体形成用樹脂組成物および射出成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリスチレンと環状オレフィン系樹脂とを含有する射出成形体形成用樹脂組成物に関する。
従来、ガラスが使用されてきた光学部品などの射出成形体は、生産性、耐衝撃性、軽量性に優れるという観点からプラスチックへの代替が進んでいる。たとえば、デジタルカメラ用レンズ、携帯電話用レンズ、CD、ブルーレイ用ピックアップレンズ、マイクロレンズに代表される光学レンズ、ディスクなどの基板、導光板、プリズムシートなどもポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、環状オレフィン系樹脂の利用が進んでいる。このうち、ポリカーボネートは複屈折が大きく、また、ポリメタクリル酸メチルは耐熱性が低く、吸水性が高いといった問題があった。
上記の樹脂のうち、環状オレフィン系樹脂は、ガラス転移温度、光線透過率が高く、また、屈折率の異方性が小さいため、従来の光学用樹脂に比べて複屈折性が低く、耐熱性、透明性、光学特性に優れた熱可塑性樹脂として注目されている。このような環状オレフィンの特徴を利用して、たとえば、光ディスク、光学レンズ、光ファイバー、透明プラスチック基盤、低誘電材料などの電子・光学材料、光半導体封止などの封止材料などの分野において利用することが検討されている。
しかしながら、環状オレフィン系樹脂は透明性、低吸水性、低複屈折性に優れるもののレンズ用途においては屈折率が光学用ガラスに比べて低いため、ガラスに代わる材料としての薄型化、軽量化の要求に十分に応えられていないのが現状である。従って、前述の環状オレフィン系樹脂の特徴に加え、高屈折性を兼ね備えた環状オレフィン系樹脂の開発が強く望まれている。
樹脂の屈折率は一般に、芳香族環、ハロゲン原子または硫黄原子の含有率を高めることで向上することが知られており、環状オレフィン系樹脂への芳香族環、ハロゲン原子、硫黄原子の導入またはこれらを含有する異種重合体とのブレンドが有望である。たとえば特許文献1には、芳香族環を含有するノルボルネン誘導体の開環重合体が高屈折率であることが示されている。また、特許文献2〜5には、屈折率について述べられていないが、環状オレフィン系樹脂とスチレン系樹脂とのブレンドが提案されている。しかしながら、前者の芳香族環含有ノルボルネン系開環重合体は、使用する単量体の製造や開環重合触媒が高価であるため、コスト高になりがちである問題があり、後者のスチレン系樹脂ブレンドはほとんどの場合、射出成形温度に該当する200〜300℃の高温下において相分離が生じるため、透明な射出成形体を得るのが非常に困難であった。さらに、相分離させずに透明性を維持しようとするとスチレン系樹脂の添加量が制限され、所望の光学特性が得られないという問題があった。
また、射出成形体に求められる性能として、高温下での耐久性がある。これまで、環状オレフィン系樹脂とスチレン系樹脂については数多く検討されてきているが、いずれも高温下での耐久性という点では問題があった。
このため、相分離を抑え、高温下の成形方法を用いても透明な光学部品を容易に得ることができ、高温下での耐久性に優れた射出成形体が得られる射出成形体形成用樹脂組成物および射出成形体の出現が強く望まれていた。
特許第3291857号公報 特許第3775052号公報 特開2006−188555号公報 特開2001−337222号公報 特許第3018378号公報
本発明は、射出成形時に相分離をすることなく、屈折率が高く、透明性に優れ、かつ高温下での耐久性に優れた射出成形体を得ることができる射出成形体形成用樹脂組成物および射出成形体を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、本発明が上記課題を達成することを見出した。すなわち、本発明は以下の事項を含む。
〔1〕ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が5,000〜20,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5であるポリスチレン(A)1〜60重量部と、環状オレフィン系樹脂(B)40〜99重量部((A)+(B)=100重量部)とを含有すること特徴と
する射出成形体形成用樹脂組成物。
〔2〕前記ポリスチレン(A)の分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.3であることを特徴とする〔1〕に記載の射出成形体形成用樹脂組成物。
〔3〕前記ポリスチレン(A)の示差走査熱量計(DSC)により測定したガラス転移温度(Tg)が95℃以上であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の射出成形体形成用樹脂組成物。
〔4〕前記環状オレフィン系樹脂(B)が、下記式(1)で表される化合物に由来する構造単位を有することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の射出成形体形成用樹脂組成物。
Figure 0005169467
ただし、式(1)中、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一または異なっていてもよい。また、R1〜R4のうち任意の2つが互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。
〔5〕前記環状オレフィン系樹脂(B)が、下記式(1)で表される化合物の開環重合体の水素添加体であることを特徴とする〔4〕に記載の射出成形体形成用樹脂組成物。
Figure 0005169467
ただし、式(1)中、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一または異なっていてもよい。また、R1〜R4のうち任意の2つが互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の射出成形体形成用樹脂組成物からなることを特徴とする射出成形体。
〔7〕光学部品であることを特徴とする〔6〕に記載の射出成形体。
〔8〕前記光学部品がレンズであることを特徴とする〔6〕または〔7〕に記載の射出成形体。
本発明の射出成形体形成用樹脂組成物はガラス転移温度が高く、相溶性に優れるため、射出成形時に相分離せず、透明性および高温下での耐久性に優れた射出成形体を提供することができる。
本発明の射出成形体形成用樹脂組成物は、重量平均分子量(Mw)が1,000〜15,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5であるポリスチレン(A)1〜60重量部と、環状オレフィン系樹脂(B)40〜99重量部とを含有するものである。
以下、これらについて説明する。
〔ポリスチレン(A)〕
本発明で用いられるポリスチレン(A)としては、公知の方法で製造されたものや、市販品などが特に制限されることなく用いられる。
市販品としては、たとえば、標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)などが挙げられる。ポリスチレン(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いられるポリスチレン(A)について、テトラヒドロフラン(THF)やクロロベンゼンなどを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量を測定したときの標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜20,000、好ましくは7,000〜18,000、より好ましくは7,500〜15,000である。Mwが上記範囲内にあることにより、射出成形体形成用樹脂組成物の相溶性が向上し、透明性の高い射出成形体が得られる。
また、ポリスチレン(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜1.5であり、好ましくは1.0〜1.3、より好ましくは1.01〜1.20である。Mw/Mnが上記範囲内にあることにより、得られる射出成形体の高温下での耐久性が向上するという
効果を発揮する。
ポリスチレン(A)の製造方法としては、上記のMwおよびMw/Mnが得られる方法であれば、特に制限はないが、たとえばn−ブチルリチウムやn−ブチルカリウムなどの重合開始剤を用いたアニオン重合を行うことが好ましい。ここで、n−ブチルリチウムの使用量は、スチレン(A)100重量部に対して、2〜35重量部、好ましくは2.5〜45重量部、より好ましくは5〜30重量部である。これらの重合開始剤を上記範囲の量で用いると、得られるポリスチレン(A)のMwが5,000〜20,000となるため好ましい。また、重合の停止は、2−エチル−4−ヘキサノールなどのアルコールやアニリンなどのアミンなどを重合停止剤として添加することにより行う。
また、ポリスチレン(A)の示差走査熱量計(DSC)により測定したガラス転移温度(Tg)は95℃以上、好ましくは96〜108℃、より好ましくは98〜106℃である。Tgが上記範囲内にあると、樹脂の相溶性が向上するため好ましい。
〔環状オレフィン系樹脂(B)〕
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂(B)は、環状オレフィン系単量体を含む単量体(組成物)を開環(共)重合または付加(共)重合して得られるものである。環状オレフィン系樹脂(B)としては、次のような(共)重合体が挙げられる。
(i)下記式(1)で表される化合物の開環(共)重合体。
(ii)下記式(1)で表される化合物と共重合性単量体との開環共重合体。
(iii)(i)または(ii)の開環(共)重合体の水素添加物。
(iv)(i)または(ii)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化した後、水素添加した(共)重合体。
(v)下記式(1)で表される化合物と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体。
(vi)下記式(1)で表される化合物、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体からなる群から選ばれる1種以上の単量体の付加(共)重合体およびその水素添加物。
(vii)下記式(1)で表される化合物とアクリレートとの交互共重合体。
Figure 0005169467
ただし、式(1)中、R1〜R4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、同一または異なっていてもよい。また、R1〜R4のうち任意の2つが互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。
これらの中でも環状オレフィン系樹脂(B)としては、(iii)がポリスチレン(A
)との相溶性および得られる射出成形体の透明性の点で好ましい。
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、次のような化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−イソプロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロイソプロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン。
これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
上記R1およびR3は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜2の炭化水素基である。この炭化水素基はアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜2、特に好ましくはメチル基である。さらにこのアルキル基が−(CH2nCOORで表される基のように極性基を含む基である場合、得られる環状オレフィン系樹脂(B)の吸湿性を低くできるため好ましい。
上記R2およびR4は、各々独立に、水素原子または1価の有機基であるのが好ましく、R2およびR4のうち少なくとも1つは、極性基であるのが好ましい。
極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基およびシアノ基などが挙げられる。これらの極性基は、メチレン基などの極性を示さない連結基を介して結合していてもよいし、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基およびイミノ基などの極性を示す2価の有機基を介して結合していてもよい。これらの極性基のうち、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基およびアリロキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基およびアリロキシカルボニル基が好ましい。
また、アルキル基が−(CH2nCOORで表される基である場合、得られる環状オレフィン系樹脂(B)が、高いガラス転移温度、低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有するものとなるため好ましい。前記−(CH2nCOORにおいて、Rは炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜2の炭化水素基、特に好ましくはアルキル基である。nは通常0〜5、好ましくは0〜3である。nの値が小さいほど、得られる環状オレフィン系樹脂(B)のガラス転移温度が高くなり、さらにnが0である場合は、その合成も容易となるため好ましい。
上記mは0〜3の整数、pは0〜3の整数であり、好ましくはm+p=0〜4、より好ましくはm+p=0〜2であり、特に好ましくはm=1のときp=0である。特にm=1、p=0である場合が、得られる環状オレフィン系樹脂(B)のガラス転移温度が高く、かつ機械的強度も優れるため、好ましい。
本発明において、環状オレフィン系樹脂(B)は、公知の方法により得ることができ、たとえば、特開平1−132626号公報、特開2006−77257号公報および特開2008−955号公報に記載の方法により得ることができる。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂(B)は、30℃、クロロベンゼン溶液(濃
度0.5g/dL)中で測定した対数粘度[η]が、0.3〜1.0dL/g、好ましくは0.38〜0.65dL/gである。また、環状オレフィン系樹脂(B)について、o−ジクロロベンゼンやテトラヒドロフラン(THF)などを溶離液として、GPCにより分子量を測定したときの標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常1.1〜5.0、好ましくは1.5〜4.5、より好ましくは1.8〜4.2である。分子量が小さすぎると、得られる射出成形体などの強度が低くなることがある。一方、分子量が大きすぎると、溶液粘度が高くなりすぎて本発明の射出成形体形成用樹脂組成物の生産性や加工性が悪化することがある。
また、上記(1)で表される化合物の開環重合体の水素添加(共)重合体の水素添加率は、500MHz、1H−NMRで測定した値が50%以上、好ましく70%以上、より
好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優れたものとなり、射出成形体として使用した場合に長期に渡って安定した特性を得ることができる。すなわち、成形加工時や製品として使用する際に加熱しても、その特性が劣化することはない。
なお、上記水素添加(共)重合体中に含まれるゲル含有量は5重量%以下、好ましくは1重量%以下である。
〔その他の添加剤〕
本発明の射出成形体形成用樹脂組成物は、さらに、必要に応じて耐熱劣化性や耐光性を改良するために、酸化防止剤や紫外線吸収剤などを含有していてもよい。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオ
キシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジエチルフェニルメタン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]、2,4,8,10−テト
ラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホス
ファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル
)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェニル)ホスファイトおよび2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2−(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)-
4,6-ジ-t-ペンチルフェノール、2-ベンゾトリアゾール-2-イル4,6-ジ-t-ブチル
フェノールおよび2,2'-メチレンビス〔4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-[
(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]〕などが挙げられる。
さらに、加工性を向上させる目的で、滑剤などの添加剤、色相を改良するために染料または蛍光増白剤を添加してもよい。
〔射出成形体形成用樹脂組成物〕
本発明の射出成形体形成用樹脂組成物を構成するポリスチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)の含有量は、ポリスチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)の合計100重量部中、ポリスチレン(A)が1〜60重量部、好ましくは2〜45重量部
、環状オレフィン系樹脂(B)が40〜99重量部、好ましくは5〜40重量部である。ポリスチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)の含有量が上記範囲にあると、射出成形時に相分離せず、透明性および高温下での耐久性に優れた射出成形体を提供することができるため、好ましい。
また、前述した添加剤の含有量は、環状オレフィン系樹脂(B)100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部である。
本発明の射出成形体形成用樹脂組成物は、たとえば、下記(I)〜(III)の方法により得ることができる。
(I)ポリスチレン(A)と環状オレフィン系樹脂(B)とその他の添加剤とを、二軸押出機またはロール混練機などを用いて混合する方法。
(II)環状オレフィン系樹脂(B)を適当な溶媒に溶解した溶液に、ポリスチレン(A)およびその他の添加剤を添加、適当な撹拌機を用いて混合する方法。
(III)ポリスチレン(A)またはその溶液と、環状オレフィン系樹脂(B)またはその溶液と、その他の添加剤とを混合し、devolatilizerや押出機などを用いて脱溶媒し混
合する方法。
なお、このとき使用する溶媒としては、ポリスチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)の製造に使用する重合溶媒などの一般的な溶媒を用いることができる。
〔射出成形体〕
本発明の射出成形体は、ポリスチレン(A)と、環状オレフィン系樹脂(B)と、任意成分としてその他の添加剤とを含有する射出成形体形成用樹脂組成物を射出成形することにより得られる。
本発明の射出成形体形成用樹脂組成物を、射出成形法により厚さ3.2mmの成形板を300℃の加熱下で成形したとき、該成形板の曇価は1%以下、好ましくは0.6%以下である。
射出成形機としては、特に限定されないが、たとえば、シリンダーの方式としてはインライン方式、プリプラ方式;駆動方式としては油圧式、電動式、ハイブリッド式;型締め方式としては直圧式、トグル式;射出方向としては横型、縦型などが挙げられる。また、型締め方式は射出圧縮できるものがよい。シリンダー径および型締め力は目的の射出成形体の形状により決まるが、一般に射出成形体の投影面積が大きい場合は型締め力を大きくすることが好ましく、射出成形体の容量が大きい場合はシリンダー径の大きくすることが好ましい。
シリンダーがインライン式の場合、圧縮比、長さ/直径の比、サブフライトの有無などのスクリュー形状は適宜選択することができ、スクリュー表面には、クロム系、チタン系、窒化物系、炭素系など、公知のコーティングを施してもよい。また、計量や射出動作の安定性を向上するためにスクリューの回転や圧力を制御する機構などを設けてもよい。また、シリンダー内や射出成形体形成用樹脂組成物を貯蔵するホッパー内を減圧にしたり、シリンダーおよびホッパーを窒素などの不活性ガスでシールしたりすることは、射出成形体が安定的に得られるという観点から好ましい。
射出成形の際、射出成形体のソリの低減や安定した連続成形のために、金型装置のキャビティー内を減圧する方法または射出圧縮方法が好適に用いられる。
金型装置のキャビティー内を減圧して射出成形する場合、減圧度は、ゲージ圧で、好ましくは−0.08MPa以下、さらに好ましくは−0.09MPa以下、特に好ましくは−0.1MPa以下である。上記範囲を超えると、減圧度が不足し、光透過性および光拡散性に優れた射出成形体を得られないことがある。
上記範囲の減圧度は、公知の方法、たとえば、真空ポンプを使用して達成される。キャビティー周囲やエジェクター機構部などに、Oリングなどの公知のシール材を使用することが好ましく、射出成形体に不純物が混入しない範囲で真空用のグリースなどを使用してもよい。また、真空ポンプなどの減圧装置と接続するための吸引口は、金型装置内の任意の場所に設ければよいが、通常、エジェクター機構部、スプルーおよびランナーの端部、入れ子構造部などに設けられる。また、真空吸引シーケンスは、金型装置の開閉に併せて電磁バルブなどで制御してもよく、常時運転してもよく、溶融樹脂の充填時に金型装置のキャビティー内を所望の減圧度にできる方法であれば特に制限されない。
金型装置のキャビティー内を減圧して射出成形する場合、キャビティーを閉じ、減圧になった状態で溶融樹脂を射出するため、通常、射出遅延時間を設定する。射出遅延時間は、使用する真空ポンプの能力およびキャビティーサイズに依存するが、通常、0.5〜3秒程度である。
一方、射出圧縮成形方法では、キャビティー間隔を射出成形体の厚みの1.5〜20倍に設定し、その隙間に溶融樹脂を射出し、シリンダー側で測定される樹脂の圧力を200〜2,000kgf/cm2の範囲に保持しながら、金型装置内の射出成形体面を圧縮し
、キャビティーの間隔を狭くすればよい。
また、金型装置のコアを射出成形体の厚みの1.1〜10倍に設定して可動状態とし、そこに溶融樹脂を射出して、射出開始あるいは射出終了後から、可動側コアを平均速度0.01〜1mm/secで圧縮してもよい。
これらの射出圧縮成形方法には、公知の成形機が用いられる。
射出成形のその他の条件は、特に限定されるものではないが、通常、シリンダー温度が260〜350℃、金型装置温度は、射出成形体形成用樹脂組成物のガラス転移温度Tgに基づいて、通常Tg−1〜Tg−40℃、好ましくはTg−5〜Tg−30℃の範囲である。また、射出速度は、本発明の射出成形体の大きさや成形機のシリンダーサイズにより異なるが、たとえば、シリンダー径が28mmの場合、通常80mm/sec以上、好ましくは90〜250mm/secである。保圧では、射出成形体の形状が保持できる程度の最小圧・時間に適宜調整することが好ましい。
本発明の射出成形体は、屈折率が高く、透明性に優れているため、光学レンズ、導光板、拡散板、透明プラスチック基板、マイクロレンズおよび光ディスク基板などの光学部品として好適に用いられる。
〔実施例〕
以下、実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、特に断りのない限り、「重量部」および「重量%」を意味する。
〔評価方法〕
本発明で用いられるポリスチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)は、以下の測定結果に基づいて評価した。
<重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)>
ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置(東ソー社製、HLC−8220GPC、カラム;東ソー社製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSK gel GMHXL2本およびTSK gel G2000HXLを順次連結、溶離液;テトラ
ヒドロフラン(THF)またはo−ジクロロベンゼン、流速;1mL/min、サンプル濃度;0.7〜0.8重量%、注入量;70μL、測定温度;40℃、検出器;RI(40℃)、標準物質;東ソー社製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、ポリスチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
示差走査熱量計(SII社製、DSC6200)を用いて、日本工業規格K7121に従って環状オレフィン系樹脂(B)の補外ガラス転移開始温度(以下単に「ガラス転移温度(Tg)」という。)を求めた。
<固有粘度[ηinh]>
ウベローデ型粘度計を用いて、クロロベンゼン中、試料濃度0.5g/dL、温度30
℃とし、対数粘度を測定した。
<合成例1>ポリスチレン(A1)の合成
スチレン300部、シクロヘキサン2280部およびテトラヒドロフラン(THF)120部を窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を5℃に調節した。次いで、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度1.65M)(以下「n−BuLi」ともいう。)12.2部を添加し、撹拌すると同時に反応機の温調を保温から強制冷却に切り替えて、1時間反応を続けた。さらに、2−エチル−4−ヘキサノール3.7部を添加し、大量のメタノール溶液中に注いで凝固物を分離・回収し、乾燥してポリスチレン(A1)を得た。ポリスチレン(A1)をTHFに溶解させて、GPC測定を行ったところ、重量平均分子量(Mw)は11,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。また、ガラス転移温度(Tg)は102℃であった。結果を表1に示す。
<合成例2〜4>ポリスチレン(A2)〜(A4)の合成
合成例1において、n−BuLiおよび2−エチル−4−ヘキサノールを表1に示す量に変更したこと以外は、合成例1と同様にして、ポリスチレン(A2)〜(A4)を合成した。結果を表1に示す。
Figure 0005169467
<合成例6>環状オレフィン系樹脂(B1)の合成
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン250部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5モル/l)0.62部と、t−ブタノール/メタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、反応容器の温度を80℃に上げ、3時間加熱攪拌することにより重合を行い、開環共重合体溶液を得た。この開環重合反応における重合転化率は97%であった。このようにして得られた開環共重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環共重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C65330.48部を添加し、水素ガス圧力100kg/cm2、反応温度160℃の条件下で、3時間加
熱撹拌して水素添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加された環状オレフィン系樹脂(B1)を得た。
得られた環状オレフィン系樹脂(B1)について、o−ジクロロベンゼンを溶離液としてGPC測定を行ったところ、標準ポリスチレン換算の分子量は、重量平均分子量(Mw)=127,000、分子量分布(Mw/Mn)=3.5、ガラス転移温度(Tg)=170℃であった。また、固有粘度[ηinh]=0.66dl/gであった。結果を表2に
示す。
<合成例7>環状オレフィン系樹脂(B2)の合成
合成例6において、1−ヘキセン(分子量調整剤)を30重量部したこと以外は合成例6と同様にして、開環共重合体を得た。反応率は98%であった。さらに水添反応も合成例6と同様にして行い、環状オレフィン系樹脂(B2)の水素添加体を得た。環状オレフィン系樹脂(B2)のガラス転移温度(Tg)は170℃であった。
得られた環状オレフィン系樹脂(B2)は、重量平均分子量(Mw)=72,000、数平均分子量(Mn)=26,000、分子量分布(Mw/Mn)=2.8、固有粘度[ηinh]=0.52であった。結果を表2に示す。
<合成例8>環状オレフィン系樹脂(B3)の合成
8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン185.5重量部、ジシクロペンタジエン(DCP)62.5重量部、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン2重量部、1−ヘキセン15重量部およびトルエン750部を窒素置換した反応容器内に仕込み、60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5モル/l)0.62部と、t−ブタノール/メタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、反応容器温度を120℃に上げ、3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。このときの反応率は96%であった。さらに水添反応を同様にして行い、環状オレフィン系樹脂(B3)の水素添加体を得た。環状オレフィン系樹脂(B3)のガラス転移温度(Tg)は148.0℃であった。
得られた環状オレフィン系樹脂(B3)は、重量平均分子量(Mw)=92,000、数平均分子量(Mn)=32,000、分子量分布(Mw/Mn)=2.9、固有粘度[ηinh]=0.52であった。結果を表2に示す。
Figure 0005169467
[実施例1]
<射出成形体形成用樹脂組成物の調製>
ポリスチレン(A1)50g、環状オレフィン系樹脂(B1)450g、ペンタエリスリチルテトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート1.5gおよびリケマールVT(理研ビタミン(株)製)1.0gを混合し、スクリュー径16mm、L/D=40の小型二軸押出機を用いて300℃で混練りし、ストランド状に押し出した。このとき、スクリューの回転数は80rpm、フィーダーのスクリュー回転数は20rpmであった。押し出したストランドは、ベルトコンベアで引き取りながら、散水での冷却およびエアブロワーで乾燥し、ペレタイザーを用いてペレット状の透明な射出成形体形成用樹脂組成物を得た。
<射出成形体の形成>
得られた射出成形体形成用樹脂組成物を100℃で4時間真空乾燥し、窒素雰囲気下で常圧に戻した後、窒素を封入したアルミニウム製の袋に密封して保管した。射出成形体形成用樹脂組成物を、幅60mm、長さ80mm、厚み1mmの平板、1個取りの金型を用いて、射出成形機(ファナック社製、α2000iB、シリンダー径25mm、型締め100ton)により射出成形を行い、板状の射出成形体を得た。
射出成形の条件としては、シリンダー温度305℃、金型温度は金型パーティング面の実温で100℃、射出速度は120mm/secとした。
得られた射出成形体について以下の評価を行った。結果を表4に示す。
<ヘイズ、相溶性>
ASTM D1003法に準じてヘイズを測定した。(株)村上色彩技術研究所製HM−150型ヘーズメーターを用いて、射出成形体の任意の3箇所のヘイズを測定して、その平均値を採用した。
<表面状態の評価>
以下の評価基準に従って、目視により表面状態の評価を行った。
○:変化なし
△:100mm×100mm視野中に10個以内の微小クラックが発生している。また は端部に変形がみられる。
×:顕著なクラックが発生している。または全面に変形がみられる。
<屈折率>
メトリコン社製PC−2010型プリズムカプラを用い、射出成形体の任意の5箇所の屈折率を測定し、最大値および最小値を除く3点の平均値の値を採用した。なお、光源には408nm、633nmおよび830nmのレーザー光源を用い、得られた屈折率からコーシーの式を用いた回帰計算により589nmにおける屈折率を算出した。
<高温下での耐久性>
村上色彩技術研究所(株)製X−rite8200を用い、射出成形体の色相(YI)を測定した後、120℃の恒温槽に500時間保管し、再び色相(YI)を測定して、色相(YI)の変化により耐久性の評価を行った。
[実施例2〜8]
実施例1において、ポリスチレン(A)および環状オレフィン系樹脂(B)の組成比を表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、射出成形体形成用樹脂組成物の調製、射出成形体の形成および評価を行った。結果を表4に示す。
[比較例1〜2]
スチレン300部、シクロヘキサン2280部およびテトラヒドロフラン(THF)120部を窒素置換した反応容器内に仕込み、反応容器を5℃に調節した。次いで、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度1.65M)3.4部を添加し、撹拌すると同時に反応機の温調を保温から強制冷却に切り替えて、1時間反応を続けた。さらに、2−エチル−4−ヘキサノール2部を添加し、大量のメタノール溶液中に注いで凝固物を分離・回収し、乾燥してポリスチレン(AR1)を得た。得られたポリスチレン(AR1)をTHFを溶離液としてGPC測定を行った結果、Mwは33,000、Mw/Mnは1.05であった。また、ガラス転移温度(Tg)は102℃であった。
実施例1において、ポリスチレン(A1)の代わりに、ポリスチレン(AR1)を用い、ポリスチレン(AR1)および環状オレフィン系樹脂(B1)の組成比を表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、射出成形体形成用樹脂組成物の調製、射出成形体の形成および評価を行った。結果を表4に示す。
[比較例3]
比較例1〜2において、ポリスチレン(AR1)の代わりに、ポリスチレン(AR2)(東ソー株式会社製;TSK−GEL A−1000、Mw=1,050、Mw/Mn=1.13)を用い、ポリスチレン(AR2)および環状オレフィン系樹脂(B1)の組成比を表3に示すように変更したこと以外は、比較例1〜2と同様にして、射出成形体形成用樹脂組成物の調製、射出成形体の形成および評価を行った。結果を表4に示す。
[比較例4]
比較例1〜2において、ポリスチレン(AR1)の代わりに、ポリスチレン(AR3)(三洋化成株式会社製;ST−120、Mw=11,500、Mw/Mn=2.08)を用い、ポリスチレン(AR3)および環状オレフィン系樹脂(B1)の組成比を表3に示すように変更したこと以外は、比較例1〜2と同様にして、射出成形体形成用樹脂組成物の調製、射出成形体の形成および評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0005169467
Figure 0005169467
本発明の射出成形体は、屈折率が高く、透明性に優れているため、光学レンズ、導光板、拡散板、透明プラスチック基板、マイクロレンズおよび光ディスク基板などに好適に用いられる。

Claims (8)

  1. ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が7,000〜20,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5であるポリスチレン(A)1〜60重量部と、
    環状オレフィン系樹脂(B)40〜99重量部((A)+(B)=100重量部)と
    を含有すること特徴とする射出成形体形成用樹脂組成物。
  2. 前記ポリスチレン(A)の分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.3であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形体形成用樹脂組成物。
  3. 前記ポリスチレン(A)の示差走査熱量計(DSC)により測定したガラス転移温度(Tg)が95℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形体形成用樹脂組成物。
  4. 前記環状オレフィン系樹脂(B)が、下記式(1)で表される化合物に由来する構造単位を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形体形成用樹脂組成物。
    Figure 0005169467
    (式(1)中、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一または異なっていてもよい。また、R1〜R4のうち任意の2つが互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。)
  5. 前記環状オレフィン系樹脂(B)が、下記式(1)で表される化合物の開環重合体の水素添加体であることを特徴とする請求項4に記載の射出成形体形成用樹脂組成物。
    Figure 0005169467
    (式(1)中、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一または異なっていてもよい。また、R1〜R4のうち任意の2つが互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。)
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の射出成形体形成用樹脂組成物からなることを特徴とする射出成形体。
  7. 光学部品であることを特徴とする請求項6に記載の射出成形体。
  8. 前記光学部品がレンズであることを特徴とする請求項に記載の射出成形体。
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