JP6986986B2 - フッ素含有環状オレフィン系共重合体および成形体 - Google Patents
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Description
また、光学レンズには、鮮明な視界を維持しつつ小型化薄型化を実現するために高アッベ数で、かつ、高屈折率の特性が求められている。
すなわち、従来の環状オレフィン系重合体は、高屈折率、高アッベ数および高耐熱性を有しながら、成形性を向上させるという点において改善の余地があった。
炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィンから導かれる構成単位(A)と、下記一般式(1)で表されるフッ素含有環状オレフィンから導かれる構成単位(B)とを少なくとも有し、さらに下記一般式(2)で表される環状オレフィンから導かれる構成単位(C)を有していてもよいフッ素含有環状オレフィン系共重合体であって、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(A)、上記構成単位(B)および上記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(A)の含有量が40モル%以上80モル%以下であり、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(B)の含有量が20モル%以上40モル%以下であり、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(C)の含有量が0モル%以上20モル%以下であり、
示差走査熱量計(DSC)で測定される、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度(Tg)が100℃以上180℃以下であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
[2]
上記[1]に記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
上記一般式(1)においてmが1であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
[3]
上記[1]または[2]に記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
上記α−オレフィンがエチレンを含むフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
上記一般式(1)においてmが1であり、R1〜R4のうちの少なくとも3つがフッ素原子であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体からなる厚さ1.0mmの射出成形シートを作製したとき、当該射出成形シートのアッベ数(ν)が50以上であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体からなる厚さ1.0mmの射出成形シートを作製したとき、ASTM D542に準じて測定される上記射出成形シートの波長589nmにおける屈折率(nd)が1.37以上であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体を含む成形体。
[8]
光学レンズである上記[7]に記載の成形体。
まず、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)について説明する。
本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)は、炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィンから導かれる構成単位(A)と、下記一般式(1)で表されるフッ素含有環状オレフィンから導かれる構成単位(B)とを少なくとも有し、さらに、下記一般式(2)で表される環状オレフィンから導かれる構成単位(C)を有していてもよい。
そして、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(A)、上記構成単位(B)および上記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(A)の含有量が40モル%以上80モル%以下であり、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(B)の含有量が20モル%以上40モル%以下であり、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の上記構成単位(C)の含有量が0モル%以上20モル%以下であり、示差走査熱量計(DSC)で測定される、上記フッ素含有環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度(Tg)が100℃以上180℃以下である。
以上から、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)によれば、成形性に優れるとともに、高屈折率、高アッベ数および高耐熱性を有する成形体を得ることが可能となる。
本実施形態に係る構成単位(A)は炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィン由来の構成単位である。炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィンは直鎖状でも分岐状でもよい。このようなα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素原子数が2以上10以下の直鎖状α−オレフィン;4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等の炭素原子数が4以上10以下の分岐状α−オレフィン等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数が2以上4以下の直鎖状α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。このようなα−オレフィンは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記構成単位(A)の含有量が上記下限値以上であることにより、得られる成形体の耐熱性、屈折率およびアッベ数を良好に保ちつつ、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の成形性をより良好にすることができる。また、上記構成単位(A)の含有量が上記上限値以下であることにより、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の成形性や、得られる成形体の屈折率、アッベ数および透明性等の光学特性を良好に保ちつつ、得られる成形体の耐熱性をより向上させることができる。
本実施形態において、構成単位(A)の含有量は、例えば、1H−NMRまたは13C−NMRによって測定することができる。
本実施形態に係る構成単位(B)は上記一般式(1)で表されるフッ素含有環状オレフィン由来の構成単位である。
上記一般式(1)中のR1〜R4における置換または無置換のアルキル基としては、炭素原子数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜20であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられる。
置換アルキル基としては、例えば、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基(例えばヒドロキシエチル基)、アルコキシアルキル基(例えば、メトキシエチル基)等が挙げられる。
アラルキル基は、炭素原子数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素原子数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基等が挙げられる。
置換アルキル基のその他の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)等を挙げることができる。
上記R1〜R4におけるフッ素原子を含有するアルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜30の含フッ素アルキル基を挙げることができ、炭素原子数1〜10のパーフルオロアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜4のパーフルオロアルキル基がより好ましい。
上記R1〜R4におけるフッ素原子を含有するアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1〜30のフッ素原子を含有するアルコキシ基を挙げることができ、炭素原子数1〜10のパーフルオロアルコキシ基が好ましい。
上記R1〜R4におけるフッ素原子を含有するエーテル結合含有アルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜30のフッ素原子を含有するアルコキシ基を挙げることができ、炭素原子数1〜10のパーフルオロアルコキシ基が好ましい。
上記R1〜R4において、−COOR5または−OCOR5も好ましく、R5は、置換または無置換のアルキル基、あるいは、フッ素原子を含有するアルキル基であり、フッ素原子を含有するアルキル基であることがより好ましい。また、−COOR5および−OCOR5のうち、−COOR5の方が好ましい。ここで、R5における置換または無置換のアルキル基、およびフッ素原子を含有するアルキル基の例としては、上記R1〜R4において挙げた例と同様のものを挙げることができる。
上記R1〜R4の少なくとも2つは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。環構造は単環であっても多環であってもよい。例えば、R1〜R4の2つが互いに結合してアルキレン基を形成する場合などを例示することができ、さらに具体的には、R1かR2のいずれかと、R3とR4のいずれかと、が互いに結合してアルキレン基を形成する場合を挙げることができる。なお、R1〜R4は互いに結合して環構造を形成していないことが好ましい。
上記R1〜R4中に少なくとも1つのフッ素原子を含み、上記R1〜R4中に3つ以上のフッ素原子を含むことが好ましく、上記R1〜R4中に少なくとも1つのトリフロロメチル基(−CF3基)を含むことがさらに好ましい。
上記構成単位(B)の含有量が上記下限値以上であることにより、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の成形性や、得られる成形体の屈折率、アッベ数および透明性等の光学特性を良好に保ちつつ、得られる成形体の耐熱性をより向上させることができる。また、上記構成単位(B)の含有量が上記上限値以下であることにより、得られる成形体の耐熱性、屈折率およびアッベ数を良好に保ちつつ、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)の成形性をより良好にすることができる。
本実施形態において、構成単位(B)の含有量は、例えば、1H−NMRまたは13C−NMRによって測定することができる。
本実施形態に係る構成単位(C)は上記一般式(2)で表される環状オレフィン由来の構成単位である。
上記一般式(2)中のR6〜R9における置換または無置換のアルキル基としては、炭素原子数1〜30が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜20であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられる。
置換アルキル基としては、例えば、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基(例えばヒドロキシエチル基)、アルコキシアルキル基(例えば、メトキシエチル基)等が挙げられる。
アラルキル基は、炭素原子数7〜30が好ましく、より好ましくは炭素原子数7〜20であり、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基等が挙げられる。
置換アルキル基のその他の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)等を挙げることができる。
上記R6〜R9において、−COOR10または−OCOR10も好ましく、R10は、置換または無置換のアルキル基である。また、−COOR10および−OCOR10のうち、−COOR10の方が好ましい。ここで、R10における置換または無置換のアルキル基の例としては、上記R6〜R9において挙げた例と同様のものを挙げることができる。
上記R6〜R9の少なくとも2つは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。環構造は単環であっても多環であってもよい。例えば、R6〜R9の2つが互いに結合してアルキレン基を形成する場合などを例示することができ、さらに具体的には、R6かR7のいずれかと、R8とR9のいずれかとが互いに結合してアルキレン基を形成する場合を挙げることができる。なお、R6〜R9は互いに結合して環構造を形成していないことが好ましい。
また、上記R6〜R9のうちの少なくとも1つが水素原子であることが好ましく、少なくとも2つが水素原子であることがより好ましく、少なくとも3つが水素原子であることがさらに好ましく、4つが水素原子であることが特に好ましい。
上記構成単位(C)の含有量が上記範囲内であることにより、成形性、屈折率、およびアッベ数のバランスをより一層良好にすることができる。
本実施形態において、構成単位(B)の含有量は、例えば、1H−NMRまたは13C−NMRによって測定することができる。
屈折率が上記範囲内であると、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)を用いて得られる成形体の光学特性を良好に保ちつつ、厚みをより薄くすることができる。
上記射出成形シートのアッベ数(ν)は、当該射出成形シートの23℃下での波長486nm、589nmおよび656nmの屈折率から、下記式を用いて算出することができる。
ν=(nD−1)/(nF−nC)
nD:波長589nmでの屈折率
nC:波長656nmでの屈折率
nF:波長486nmでの屈折率
本実施形態において、上記射出成形シートの複屈折は、王子計測機器社製のKOBRA CCDを用いて、測定波長650nmで測定される、ゲート方向から20〜35mmの位相差の平均値である。
本実施形態に係る成形体は、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)を含む成形体である。
本実施形態に係る成形体は、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)を含むため、透明性、ヘイズ、複屈折、耐薬品性および低吸湿性等のバランスに優れるとともに、さらに高屈折率、高アッベ数および高耐熱性を有する。そのため、光学レンズの用途に好適である。
すなわち、本実施形態に係る光学レンズ系は、本実施形態に係るフッ素含有環状オレフィン系共重合体(P)を含む成形体により構成された第1の光学レンズと、上記第1の光学レンズとは異なる第2の光学レンズと、備える。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
[製造例1]
攪拌装置を備えた容積500mlのガラス製反応容器に不活性ガスとして窒素を50Nl/hrの流量で60分間流通させた後、トルエン(72ml)および下記式で表されるフッ素含有テトラシクロドデセン誘導体(141mmol、以下、F6−TDとも呼ぶ。)を加えた。次いで回転数600rpmで重合溶媒を攪拌しながら溶媒温度を25℃に昇温した。溶媒温度が所定の温度に達した後、窒素ガスを25Nl/hr、エチレンを25Nl/hr、水素を5Nl/hrの供給速度で反応容器に流通させ、10分経過した後に、PMAO(5mmol)、FI触媒のトルエン溶液(0.02mmol)をガラス製反応容器に添加し、重合を開始させた。
10分間経過した後、イソブチルアルコールを5ml添加して重合を停止させ、エチレンおよびF6−TDの共重合体を含む重合溶液を得た。その後、重合溶液をトルエン200mlで希釈し、希釈重合溶液の4倍のアセトン/メタノール(3/1、体積比)および塩酸5mlを入れた容積2Lのビーカーに攪拌下加えて共重合体を析出させ、さらに析出した共重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥を行ったところ、白色パウダー状のエチレン・F6−TD共重合体2.1gが得られた。
以上により、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P−1)を得た。
攪拌装置を備えた容積500mlのガラス製反応容器に不活性ガスとして窒素を50Nl/hrの流量で60分間流通させた後、シクロヘキサン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(0.5mmol、以下、テトラシクロドデセンとも呼ぶ。)および上記式で表されるF6−TD(140mmol)を加えた。次いで回転数600rpmで重合溶媒を攪拌しながら溶媒温度を25℃に昇温した。溶媒温度が所定の温度に達した後、窒素25Nl/hr、エチレンを25Nl/hr、水素を5Nl/hrの供給速度で反応容器に流通させ、10分経過した後に、PMAO(5mmol)、FI触媒のトルエン溶液(0.02mmol)をガラス製反応容器に添加し、重合を開始させた。
10分間経過した後、イソブチルアルコールを5ml添加して重合を停止させ、エチレン、テトラシクロドデセンおよびF6−TDの共重合体を含む重合溶液を得た。その後、重合溶液をトルエン200mlで希釈し、希釈重合溶液の4倍のアセトン/メタノール(3/1、体積比)および塩酸5mlを入れた容積2Lのビーカーに攪拌下加えて共重合体を析出させ、さらに析出した共重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥を行ったところ、白色パウダー状のエチレン・テトラシクロドデセン・F6−TD共重合体2.6gが得られた。
以上により、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P−2)を得た。
攪拌装置を備えた容積500mlのガラス製反応容器に不活性ガスとして窒素を50Nl/hrの流量で60分間流通させた後、シクロヘキサンおよび下記式で表されるF6−TD(70.8mmol)を加えた。次いで回転数600rpmで重合溶媒を攪拌しながら溶媒温度を25℃に昇温した。溶媒温度が所定の温度に達した後、窒素25Nl/hr、エチレンを25Nl/hr、水素を5Nl/hrの供給速度で反応容器に流通させ、10分経過した後に、PMAO(5mmol)、FI触媒のトルエン溶液(0.004mmol)をガラス製反応容器に添加し、重合を開始させた。
10分間経過した後、イソブチルアルコールを5ml添加して重合を停止させ、エチレンおよびF6−TDの共重合体を含む重合溶液を得た。その後、重合溶液をトルエン200mlで希釈し、希釈重合溶液の4倍のアセトン/メタノール(3/1、体積比)および塩酸5mlを入れた容積2Lのビーカーに攪拌下加えて共重合体を析出させ、さらに析出した共重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥を行ったところ、白色パウダー状のエチレン・F6−TD共重合体2.8gが得られた。
以上により、フッ素含有環状オレフィン系共重合体(P−3)を得た。
窒素雰囲気下、パラジウムビスアセチルアセトナート0.1mmolとトリシクロヘキシルホスフィン0.11mmolをトルエン5mLに溶解させ、室温で10分撹拌して触媒溶液を調製した。窒素雰囲気下、撹拌子を備えた100mlのガラス製ナスフラスコに、トルエン20ml、F6−TD 10mmolを添加した。マグネチックスターラーで撹拌しながら、触媒溶液を添加し、80℃で3時間反応させた。反応後の溶液を300mlのトルエンで希釈し、アセトン1200mlを入れた容積2Lのビーカーに撹拌下ゆっくり加えて重合体を析出させ、析出した重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥させて、微灰色パウダー状のF6−TD付加重合体2.5gが得られた。
各実施例および比較例において、各種物性は下記の方法によって測定または評価した。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
エチレン、F6−TDおよびテトラシクロドデセンの含有量は、日本電子社製「ECA500型」核磁気共鳴装置を用い、下記条件で測定することにより行った。
溶媒:重テトラクロロエタン
サンプル濃度:50〜100g/l−solvent
パルス繰り返し時間:5.5秒
積算回数:6000〜16000回
測定温度:120℃
上記のような条件で測定した13C−NMRスペクトルにより、エチレン、F6−TDおよびテトラシクロドデセンの組成をそれぞれ定量した。
島津サイエンス社製、DSC−6220を用いてN2(窒素)雰囲気下でフッ素含有環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度Tgを測定した。フッ素含有環状オレフィン系共重合体を常温から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した後に5分間保持し、次いで10℃/分の降温速度で−20℃まで降温した後に5分間保持した。そして10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する際の吸熱曲線からフッ素含有環状オレフィン系共重合体のガラス転移点(Tg)を求めた。比較例2は400℃までの昇温を行ったが、ガラス転移点(Tg)は検出されなかった。
移動粘度計(離合社製、タイプVNR053U型)を用い、フッ素含有環状オレフィン系共重合体の0.25〜0.30gを25mlのデカリンに溶解させたものを試料とした。ASTM J1601に準じ135℃にてフッ素含有環状オレフィン系共重合体の比粘度を測定し、これと濃度との比を濃度0に外挿してフッ素含有環状オレフィン系共重合体の極限粘度[η]を求めた。比較例2はデカリンに不溶解のため測定不可であった。
製造例1〜4で合成したフッ素含有環状オレフィン系(共)重合体の成形性を以下の基準により評価した。
○:マイクロコンパウンダーで成形できた
×:溶融しないため成形できなかった
(実施例1)
製造例1で合成したフッ素含有環状オレフィン系共重合体を、Xplore Instruments社製の小型混練機を用いて、混練温度=300℃、50rpmで5分間混練後、Xplore Instruments社製の射出成形機を用いて、シリンダ温度=300℃、射出圧力=12〜15bar、金型温度135℃の条件にて射出成形し、厚み1.0mmの射出成形シートを作製した。
製造例1で合成したフッ素含有環状オレフィン系共重合体の代わりに製造例2で合成したフッ素含有環状オレフィン系共重合体を使用し、混練温度=280℃、シリンダ温度280℃に変えた以外は実施例1と同様にして、厚み1.0mmの射出成形シートを作製した。
製造例2で合成したフッ素含有環状オレフィン系共重合体の代わりに製造例3で合成したフッ素含有環状オレフィン系共重合体を使用し、金型温度を80℃に変えた以外は実施例2と同様にして、厚み1.0mmの射出成形シートを作製した。
製造例4で合成したフッ素含有環状オレフィン付加重合体をマイクロコンパウンダー成形しようとしたが、350℃以上でも溶融しなかったため成形できなかった。
屈折率計(島津サイエンス社製 KPR200)を用いて、ASTM D542に準じて、マイクロコンパウンダーで成形した30mm×30mm×厚み1.0mmの射出成形シートの波長589nmにおける屈折率(nd)をそれぞれ測定した。
マイクロコンパウンダーで成形した30mm×30mm×厚み1.0mmの射出成形シートについて、アッベ屈折計を用い、23℃下での波長486nm、589nmおよび656nmの屈折率を測定し、さらに下記式を用いてアッベ数(ν)を算出した。
ν=(nD−1)/(nF−nC)
nD:波長589nmでの屈折率
nC:波長656nmでの屈折率
nF:波長486nmでの屈折率
Claims (8)
- 炭素原子数が2以上10以下のα−オレフィンから導かれる構成単位(A)と、下記一般式(1)で表されるフッ素含有環状オレフィンから導かれる構成単位(B)とを少なくとも有し、さらに下記一般式(2)で表される環状オレフィンから導かれる構成単位(C)を有していてもよいフッ素含有環状オレフィン系共重合体であって、
前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の前記構成単位(A)、前記構成単位(B)および前記構成単位(C)の合計含有量を100モル%としたとき、
前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の前記構成単位(A)の含有量が40モル%以上80モル%以下であり、
前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の前記構成単位(B)の含有量が20モル%以上40モル%以下であり、
前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体中の前記構成単位(C)の含有量が0モル%以上20モル%以下であり、
示差走査熱量計(DSC)で測定される、前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度(Tg)が100℃以上180℃以下であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。
- 請求項1に記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
前記一般式(1)においてmが1であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。 - 請求項1または2に記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
前記α−オレフィンがエチレンを含むフッ素含有環状オレフィン系共重合体。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
前記一般式(1)においてmが1であり、R1〜R4のうちの少なくとも3つがフッ素原子であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体からなる厚さ1.0mmの射出成形シートを作製したとき、当該射出成形シートのアッベ数(ν)が50以上であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体において、
前記フッ素含有環状オレフィン系共重合体からなる厚さ1.0mmの射出成形シートを作製したとき、ASTM D542に準じて測定される上記射出成形シートの波長589nmにおける屈折率(nd)が1.37以上であるフッ素含有環状オレフィン系共重合体。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフッ素含有環状オレフィン系共重合体を含む成形体。
- 光学レンズである請求項7に記載の成形体。
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