JP2010121061A - 光学部材に用いる成形体およびレンズ - Google Patents

光学部材に用いる成形体およびレンズ Download PDF

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JP2010121061A JP2008296775A JP2008296775A JP2010121061A JP 2010121061 A JP2010121061 A JP 2010121061A JP 2008296775 A JP2008296775 A JP 2008296775A JP 2008296775 A JP2008296775 A JP 2008296775A JP 2010121061 A JP2010121061 A JP 2010121061A
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Yasuaki Mutsuka
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Abstract

【課題】環状オレフィン系樹脂組成物を用いて形成される成形体であって、405nm付近の短波長光に対する耐久性および熱安定性に優れる光学部材用成形体を提供すること。
【解決手段】下記式(1)で表される単量体から導かれる構造単位を有する環状オレフィン系樹脂100重量部と、下記式(2)〜(5)で表される硫黄系安定剤なる群から選択される少なくとも1種の硫黄系安定剤0.05〜3重量部とを含有する環状オレフィン系樹脂組成物を用いて形成され、波長395〜420nmの光を使用する光学部材に用いる成形体。
Figure 2010121061

R−S−H・・・(2)R−S−R・・・(3)R−S−S−R・・・(4)−(−R−S−R)・・・(5)
【選択図】なし

Description

本発明は、光学部材に用いる成形体であって、環状オレフィン系樹脂と安定剤とを含有する環状オレフィン系樹脂組成物を用いて形成される成形体、および該成形体からなるレンズに関する。
環状オレフィン系樹脂は、主鎖構造の剛直性に起因してガラス転移温度が高く、主鎖構造に嵩高い基が存在するため非晶性で光線透過率が高く、屈折の異方性が小さいため低複屈折性を示すなどの特長を有している。このため、前記樹脂は、耐熱性、透明性および光学特性に優れた熱可塑性樹脂として注目されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
上記環状オレフィン系樹脂は、上記特徴を利用して、例えば、光ディスク、光学レンズおよび光ファイバーなどの光学部材;光半導体封止などの封止材料の分野において用いられている。ところで、前記光学部材の分野、特にDVD用ピックアップレンズの分野においては、従来は635nm付近の光を用いていたが、現在では記録容量の増大のために405nm付近の短波長光(以下、「青色光」ともいう)を用いる方式が開発されている。
しかしながら、青色光を用いた場合には、従来の環状オレフィン系樹脂レンズでは、該樹脂レンズに含まれる安定剤が光を吸収して劣化が生じ、具体的には青色光を照射中に該樹脂レンズが白濁または溶融して散乱光が発生するなどの問題が起きることがある。
そこで、青色光の吸収をできるだけ抑える目的で、安定剤を含まない環状オレフィン系樹脂組成物の開発が検討されている(例えば、特許文献7参照)。しかしながら、前記樹脂組成物は安定剤を含んでいないために、該樹脂組成物を成形する際に混入する微量の酸素によって、得られる樹脂レンズに着色が生じることがある。その結果、前記樹脂レンズの青色光に対する耐久性が低下してしまうといった問題が生じることがあり、安定して樹脂レンズを生産することが困難となっている。
このように、青色光に対する耐久性に優れ、かつ熱安定性に優れる樹脂レンズなどの光学部材に用いる成形体(以下、「光学部材用成形体」ともいう)を製造可能な環状オレフィン系樹脂組成物が強く望まれている。
特開平01−132625号公報 特開平01−132626号公報 特開昭63−218726号公報 特開平02−133413号公報 特開昭61−120816号公報 特開昭61−115912号公報 特開2007−197560号公報
本発明は、環状オレフィン系樹脂組成物を用いて形成される成形体であって、405nm付近の短波長光に対する耐久性および熱安定性に優れる樹脂レンズなどの光学部材用成形体、ならびに該成形体からなるレンズを提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、特定の構造単位を有
する環状オレフィン系樹脂と特定の安定剤とを含有する環状オレフィン系樹脂組成物を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の[1]〜[3]に関する。
[1]下記式(1)で表される単量体から導かれる構造単位を有する環状オレフィン系樹脂100重量部と、下記式(2)〜(4)で表される硫黄系安定剤および(5)下記式(ii)で表される基を少なくとも2つ有する硫黄系安定剤からなる群から選択される少なくとも1種の硫黄系安定剤0.05〜3重量部とを含有する環状オレフィン系樹脂組成物を用いて形成され、波長395〜420nmの光を使用する光学部材に用いる成形体。
Figure 2010121061
[式(1)において、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基またはその他の1価の有機基を表す。R1およびR2、またはR3
およびR4は、一体化して2価の有機基を形成してもよく、R1〜R4のうち任意の2つは
、互いに結合して単環または多環を形成してもよい。mおよびnは、それぞれ独立に0または正の整数を表す。]
R−S−H・・・(2)
R−S−R・・・(3)
R−S−S−R・・・(4)
[式(2)〜(4)において、Rは硫黄原子以外のヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
Figure 2010121061
[式(ii)において、R1は炭素数1〜15の1価の炭化水素基であり、R2は炭素数1〜30の2価の炭化水素基である。]
[2]前記[1]に記載の成形体からなるレンズ。
[3]前記[1]に記載の成形体からなるピックアップレンズ。
本発明によれば、環状オレフィン系樹脂組成物を用いて形成される成形体であって、405nm付近の短波長光に対する耐久性および熱安定性に優れる樹脂レンズなどの光学部材用成形体、ならびに該成形体からなるレンズを提供することができる。特に、本発明に係る成形体は、前記特性を有することから、DVD用ピックアップレンズとして好適に用いられる。
以下、本発明に係る光学部材用成形体、および該成形体からなるレンズ(例えば、ピッ
クアップレンズなど)について具体的に説明する。本発明に係る光学部材用成形体は、以下に説明する環状オレフィン系樹脂組成物を用いて形成される。
〔環状オレフィン系樹脂組成物〕
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂組成物は、以下に説明する環状オレフィン系樹脂と特定量の硫黄系安定剤とを含有する。また、前記樹脂組成物は、任意成分として添加剤を含有していてもよい。
<環状オレフィン系樹脂>
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、下記式(1)で表される単量体(以下、「特定単量体(1)」ともいう)から導かれる構造単位を有する。前記環状オレフィン系樹脂は、例えば、1種または2種以上の特定単量体(1)の単独重合体または共重合体、あるいは1種または2種以上の特定単量体(1)と他の単量体との共重合体である(以下、単独重合体と共重合体とを合わせて単に「(共)重合体」ともいう)。また、前記環状オレフィン系樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2010121061
式(1)において、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基またはその他の1価の有機基を表す。R1およびR2、またはR3およびR4は、一体化して2価の有機基を形成してもよく、R1〜R4のうち任意の2つは、互いに結合して単環または多環を形成してもよい。mおよびnは、それぞれ独立に0または正の整数を表す。なお、本発明において、「一体化して2価の有機基を形成する」とは、例えばR1およびR2がアルキリデン基などを形成することをいう(下記式(1’)参照)。
Figure 2010121061
上記炭化水素基が有する水素原子はハロゲン原子に置換されていてもよく;また、上記その他の1価の有機基としては、例えば、炭化水素基以外の極性を有する1価の極性基が挙げられる。
上記1価の極性基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、これらの基が有する水素原子がハロゲン原子に置換された基が挙げられ、メチレン基などの連結基を介してこれらの基が結合している極性基も含まれる。
また、上記1価の極性基には、2価の極性基が連結基となって結合している炭化水素基も含まれる。前記2価の極性基としては、例えば、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基が挙げられる。
これらの極性基の中では、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基がより好ましい。
特定単量体(1)において、好ましいR1〜R4、mおよびnを以下に記す。
1およびR3は、それぞれ独立に、好ましくは水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基、より好ましくは水素原子または炭素数1〜4の1価の炭化水素基、さらに好ましくは水素原子または炭素数1〜2の1価の炭化水素基であり;R2およびR4は、それぞれ独立に、好ましくは水素原子またはその他の1価の有機基、より好ましくはR2およ
びR4の少なくとも1つが水素原子または1価の極性基である。
1およびR3において、上記炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
特に、R2およびR4の少なくとも1つが、アルコキシカルボニル基または連結基を介してアルコキシカルボニル基が結合している極性基である、下記式(i)で表される極性基(以下、「極性基(i)」ともいう)であることが好ましい。極性基(i)を有する特定単量体(1)を用いることにより、高いガラス転移温度(Tg)と低い吸湿性とを有し、各種材料との優れた密着性を有する環状オレフィン系樹脂が得られる。
−(CH2pCOOR・・・(i)
式(i)において、Rは、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜2の1価の炭化水素基を表す。前記炭化水素基は、好ましくはアルキル基である。また、pは、好ましくは0〜5、より好ましくは0である。pの値が小さいほど、高いガラス転移温度を有する環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましく、さらにpが0である特定単量体(1)はその合成が容易である点で好ましい。
さらに、R2またはR4が極性基(i)である場合には、該極性基(i)が結合した炭素原子に結合する基(例えば、R2が極性基(i)である場合にはR1である)がアルキル基であると、低い吸湿性を有する環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
mおよびnは、それぞれ独立に、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくはm+n=0〜4、さらに好ましくはm+n=0〜2を満たす整数であり、特に好ましくはm=0、n=1である。m=0、n=1である特定単量体(1)を用いることにより、ガラス転移温度が高くかつ機械的強度も優れる環状オレフィン系樹脂が得られる。
≪特定単量体(1)≫
特定単量体(1)の具体例としては、以下のような単量体が挙げられるが、本発明において用いられる特定単量体(1)はこれらの具体例に限定されるものではない。また、特定単量体(1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−デカン−3,8−ジエン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
スピロ[フルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂の具体例としては、例えば以下の(I)〜(VII)の(共)重合体が挙げられる(以下、これらの(共)重合体をそれぞれ(共)重合体(I)〜(VII)ともいう)。これらの中では、光学特性と加工特性との両方に優れることから、水素添加(共)重合体(III)および(IV)が好ましく、水素添加(共)重合体(III)が特に好ましい。
(I)特定単量体(1)の開環(共)重合体。
(II)特定単量体(1)と共重合性単量体との開環共重合体。
(III)上記(I)または(II)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体。
(IV)上記(I)または(II)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化
して得られる(共)重合体の水素添加(共)重合体。
(V)特定単量体(1)と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体。
(VI)特定単量体(1)と、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選択される少なくとも1種の単量体との付加型共重合体、ならびにその水素添加共重合体。
(VII)特定単量体(1)とアクリレートとの交互共重合体。
−開環(共)重合体(I)および(II)−
開環(共)重合体(I)は、1種または2種以上の特定単量体(1)を開環(共)重合
して合成される。開環共重合体(II)は、1種または2種以上の特定単量体(1)と、以下に記載する共重合性単量体とを開環共重合して合成される。この際、以下に記載する開環重合触媒、重合反応用溶媒および分子量調節剤を用いることが好ましい。
≪共重合性単量体≫
上記共重合性単量体(後述する分子量調節剤を除く)としては、炭素数4〜20、好ましくは炭素数5〜12のシクロオレフィンが挙げられ、具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンが挙げられる。これらの共重合性単量体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合性単量体の使用量は、特定単量体(1):共重合性単量体(重量比)が、好ましくは100:0〜50:50、より好ましくは100:0〜60:40となる量とされる。
また、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン化合物;スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素二重結合を2つ以上有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に、特定単量体(1)や共重合性単量体を開環共重合して、開環共重合体(I)および(II)を合成してもよい。
≪開環重合触媒≫
上記開環重合触媒としては、Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K. J. IVIN, J. C. MOL, Academic Press 1997年)に記載されている触媒が好ましく用いら
れる。
このような開環重合触媒としては、例えば、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物(a)」ともいう)と、(b)Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Cd、Hg、B、Al、Si、Sn、Pbなどの化合物であって、該元素と炭素との結合または該元素と水素との結合を少なくとも1つ有する化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物(b)」ともいう)との組合せからなるメタセシス重合触媒が挙げられる。また、開環重合触媒には、該触媒の活性を高めるために、後述する添加剤(c)が配合されていてもよい。
化合物(a)としては、例えば、WCl6、MoCl5、ReOCl3、VOCl3、TiCl4などの特開平1−240517号公報(7頁)に記載の化合物が挙げられる。
化合物(b)としては、例えば、n−C49Li、(C253Al、(C252Al
Cl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、LiH
などの特開平1−240517号公報(7頁)に記載の化合物が挙げられる。
添加剤(c)としては、例えば、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類を好適に用いることができ、さらに特開平1−240517号公報(7頁右下〜8頁左上欄)に記載の化合物を用いることができる。
また、上述の化合物(a)、化合物(b)および添加剤(c)などからなるメタセシス重合触媒に代えて、(d)助触媒を用いない周期表第4〜8族遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体などからなるメタセシス重合触媒(以下、「その他の触媒(d)」ともいう)を用いてもよい。
その他の触媒(d)としては、例えば、W(=N−2,6−C63 iPr2)(=CH
tBu)(O tBu)2、Mo(=N−2,6−C63 iPr2)(=CH tBu)(O tBu)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh32Cl2、Ru(=CHPh)(PC6112Cl2が挙げられる。
上記開環重合触媒の使用量は、化合物(a):全単量体(環状オレフィン系樹脂を合成する際に用いられる全単量体をいう。以下同じ。)(モル比)が、好ましくは1:500〜1:500000、より好ましくは1:1000〜1:100000となる範囲であり、化合物(a):化合物(b)(金属原子換算のモル比)が、好ましくは1:1〜1:100、より好ましくは1:2〜1:50となる範囲であり、開環重合触媒に添加剤(c)を配合する場合には、添加剤(c):化合物(a)(モル比)が、好ましくは0.005:1〜15:1、より好ましくは0.05:1〜7:1となる範囲である。
また、その他の触媒(d)の使用量は、その他の触媒(d):全単量体(モル比)が、好ましくは1:50〜1:100000、より好ましくは1:100〜1:50000となる範囲である。
≪重合反応用溶媒≫
上記重合反応用溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類が挙げられる。これらの中では、芳香族炭化水素が好ましい。また、これらの重合反応用溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記重合反応用溶媒の使用量は、溶媒:特定単量体(1)(重量比)が、好ましくは1:1〜10:1、より好ましくは1:1〜5:1となる量とされる。
≪分子量調節剤≫
開環(共)重合体(I)および(II)の分子量は、重合温度、開環重合触媒の種類、重
合反応用溶媒の種類を適宜選択することにより調節することができるが、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。
上記分子量調節剤としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンおよびスチレンが挙げられる。これらの中では、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。また、これらの分子量調節剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記分子量調節剤の使用量は、開環重合反応に供される特定単量体(1)1モルに対して、好ましくは0.005〜0.6モル、より好ましくは0.02〜0.5モルである。
−水素添加(共)重合体(III)−
以上のようにして得られる開環(共)重合体(I)または開環共重合体(II)は、その
ままでも用いられるが、これらに水素添加して得られる水素添加(共)重合体(III)は
、耐衝撃性の大きい樹脂であることから有用である。前記水素添加の際には、水素添加触媒を用いることが好ましい。
≪水素添加触媒≫
上記水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられる水素添加触媒を用いることができる。上記水素添加触媒としては、公知の不均一系触媒および均一系触媒を何れも用いることができる。
上記不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒が挙げられる。
上記均一系触媒としては、例えば、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II)/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、(アセトキシ)カルボニル(ヒドリド)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、(4−ペンチルベンゾイロキシ)カルボニル(ヒドリド)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムが挙げられる。
水素添加触媒の形状は粉末状でも粒状でもよい。また、水素添加触媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記水素添加触媒の使用量は、適宣調整する必要があるが、開環(共)重合体(I)お
よび開環共重合体(II)の合計:水素添加触媒(重量比)が、好ましくは1:1×10-6〜1:2となる量とされる。
−水素添加(共)重合体(IV)−
水素添加(共)重合体(IV)は、開環(共)重合体(I)または開環共重合体(II)を
フリーデルクラフト反応により環化して得られる(共)重合体を水素添加して得られる。
開環(共)重合体(I)または開環共重合体(II)をフリーデルクラフト反応により環
化する方法は特に限定されないが、特開昭50−154399号公報に記載の酸性化合物を用いた公知の方法が採用できる。また、環化された開環(共)重合体は、水素添加(共)重合体(III)の欄に記載した方法と同様の方法で水素添加できる。
上記酸性化合物としては、例えば、AlCl3、BF3、FeCl3、Al23、HCl
、CH2ClCOOH、ゼオライト、活性白土などのルイス酸が挙げられる。
−飽和共重合体(V)−
環状オレフィン系樹脂として、特定単量体(1)と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体(V)(ただし、交互共重合体(VII)を除く)も使用できる。飽和共重合体(V
)は、例えば、付加重合触媒の存在下、特定単量体(1)と不飽和二重結合含有化合物とを通常の付加重合法を用いて重合することにより合成することができる。
付加重合法において使用される溶媒は、開環(共)重合体(I)および(II)の欄に記
載した重合反応用溶媒と同じ溶媒を使用することができる。また、飽和共重合体(V)の
分子量の調節は、通常は水素を用いて行われる。
≪不飽和二重結合含有化合物≫
上記不飽和二重結合含有化合物は、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体以外の単量体をいい、好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜8のオレフィン系化合物が挙げられ、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテンが挙げられる。これらの不飽和二重結合含有化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記不飽和二重結合含有化合物の使用量は、特定単量体(1):不飽和二重結合含有化合物(重量比)が、好ましくは90:10〜40:60、より好ましくは85:15〜50:50となる量とされる。
≪付加重合触媒≫
上記付加重合触媒としては、例えば、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、助触媒としての有機アルミニウム化合物とが用いられる。
上記チタン化合物としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタンが挙げられ、上記ジルコニウム化合物としては、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
上記バナジウム化合物としては、例えば、下記式で表されるバナジウム化合物、または該バナジウム化合物と電子供与体との付加物が挙げられる。
VO(OR)abまたはV(OR)cd
上記式において、Rは炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表し、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。
上記電子供与体としては、例えば、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体;アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナートなどの含窒素電子供与体が挙げられる。
上記助触媒としての有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムと炭素との結合、またはアルミニウムと水素との結合を少なくとも1つ有する化合物から選択される少なくとも1種の有機アルミニウム化合物が用いられる。
上記付加重合触媒の使用量は、例えばバナジウム化合物を用いる場合には、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物との比率は、バナジウム原子に対するアルミニウム原子のモル比(Al/V)が、好ましくは2以上、より好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20となる量とされる。
−付加型共重合体およびその水素添加共重合体(VI)−
環状オレフィン系樹脂として、特定単量体(1)と、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選択される少なくとも1種の単量体との付加型共重合体、ならびにその水素添加共重合体(VI)も使用できる。
上記付加型共重合体は、飽和共重合体(V)と同様の付加重合法で得ることができる。
また、上記付加型共重合体の水素添加共重合体は、水素添加(共)重合体(III)と同様
の水素添加法で得ることができる。
≪ビニル系環状炭化水素系単量体≫
上記ビニル系環状炭化水素系単量体としては、例えば、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテンなどのビニルシクロペンテン系単量体;4−ビニルシクロペンタン、4−イソプロペニルシクロペンタンなどのビニルシクロペンタン系単量体;
4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンなどのビニルシクロヘキセン系単量体;4−ビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキサンなどのビニルシクロヘキサン系単量体;
4−ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテンなどのビニルシクロヘプテン系単量体;4−ビニルシクロヘプタン、4−イソプロペニルシクロヘプタンなどのビニルシクロヘプタン系単量体;
スチレン、α―メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−フェニルスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン系単量体;d−テルペン、l−テルペン、ジテルペン、d−リモネン、l−リモネン、ジペンテンなどのテルペン系単量体が挙げられる。
これらの中では、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、これらのビニル系環状炭化水素系単量体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
≪シクロペンタジエン系単量体≫
上記シクロペンタジエン系単量体としては、例えば、シクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−ジメチルシクロペンタジエンが挙げられる。これらの中では、シクロペンタジエンが好ましい。また、これらのシクロペンタジエン系単量体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
−交互共重合体(VII)−
環状オレフィン系樹脂として、特定単量体(1)とアクリレートとの交互共重合体(VII)も使用できる。交互共重合体(VII)は、例えば、ルイス酸の存在下、特定単量体(1)とアクリレートとを後述する量で用いて重合することにより合成することができる。
また、公知のフリーラジカルを発生する有機過酸化物またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いてもよい。交互重合法において使用される溶媒は、開環(共)重合体(I)
および(II)の欄に記載した重合反応用溶媒と同じ溶媒を使用することができる。重合反応温度は、通常は−20〜80℃、好ましくは5〜60℃である。
なお、本発明でいう「交互共重合体」とは、特定単量体(1)に由来する構造単位が隣接しない、すなわち、特定単量体(1)に由来する構造単位の隣が必ずアクリレートに由来する構造単位である構造を有する共重合体のことを意味しており、アクリレート由来の構造単位同士が隣接して存在する構造を否定するものではない。
≪アクリレート≫
上記アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどの炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状アルキルアクリレート;グリシジルアクリレート、2−テトラヒドロフルフリルアクリレートなどの炭素数2〜20の複素環基含有アクリレート;ベンジルアクリレートなどの炭素数6〜20の芳香族環含有アクリレート;イソボロニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどの炭素数7〜30の多環構造を有するアクリレートが挙げられる。
上記アクリレートの使用量は、特定単量体(1)とアクリレートとの合計を100モルとしたとき、好ましくは特定単量体(1)が30〜70モル、アクリレートが70〜30モルの割合で、より好ましくは特定単量体(1)が40〜60モル、アクリレートが60〜40モルの割合で、特に好ましくは特定単量体(1)が45〜55モル、アクリレートが55〜45モルとなる量とされる。また、上記ルイス酸の使用量は、上記アクリレート100モルに対して、好ましくは0.001〜1モルとなる量とされる。
−環状オレフィン系樹脂の特性−
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、固有粘度(ηinh)が好ましくは0.2
〜5.0dL/g、より好ましくは0.3〜3.0dL/g、さらに好ましくは0.3〜1.0dL/gであり、
該樹脂をテトラヒドロフランに溶解させてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が好ましくは8000〜100000、より好ましくは10000〜80000、さらに好ましくは12000〜50000であり、重量平均分子量(Mw)が好ましくは20000〜300000、より好ましくは30000〜250000、さらに好ましくは30000〜200000であり、分子量分布(Mw/Mn)が好ましくは2.0〜4.0、より好ましくは2.5〜3.7、さらに好ましくは2.8〜3.5である。
環状オレフィン系樹脂の固有粘度(ηinh)、数平均分子量および重量平均分子量が上
記範囲にあると、該樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性および機械的特性が良好となり、また、後述する光学部材用成形体の成形加工性も良好となる。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が好ましくは100℃以上、より好ましくは100〜350℃、さらに好ましくは110〜250℃、特に好ましくは110〜200℃である。環状オレフィン系樹脂のTgが前記範囲を下回ると、該樹脂を高温条件下で使用する際、またはコーティングもしくは印刷などの二次加工の際に変形することがある。一方、環状オレフィン系樹脂のTgが前記範囲を上回ると、成形加工が困難になり、また成形加工時の加熱温度を高くする必要が生じるため、熱によって該樹脂が劣化することがある。
<硫黄系安定剤>
本発明で用いられる硫黄系安定剤は、下記式(2)〜(4)で表される硫黄系安定剤および(5)下記式(ii)で表される基を少なくとも2つ有する硫黄系安定剤からなる群から選択される少なくとも1種の硫黄系安定剤である(以下、これらの硫黄系安定剤をそれぞれ硫黄系安定剤(2)〜(5)ともいう)。
《硫黄系安定剤(2)》
R−S−H・・・(2)
式(2)において、Rは硫黄原子以外のヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子など)を有してもよい炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜15の炭化水素基を表し、該炭化水素基は直鎖状、分岐状または環状であってもよい。
硫黄系安定剤(2)としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、ヘキシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン;下記式(2−1)で表されるメルカプト基含有ベンズイミダゾール;メルカプト酢酸などのメルカプト基含有カルボン酸が挙げられる。
Figure 2010121061
式(2−1)において、Rは水素原子または炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Wは単結合または炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。複数存在するRは同一でも異なっていてもよく、好ましくは0〜2つのRがアルキル基、残部が水素原子を表す。
上記式(2−1)で表されるメルカプト基含有ベンズイミダゾールとしては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−4−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−5,6−ジメチルベンズイミダゾール、1−メチル−2−(メルカプトメチル)ベンズイミダゾール、2−(メルカプトメチル)ベンズイミダゾールが挙げられる。
《硫黄系安定剤(3)》
R−S−R・・・(3)
式(3)において、Rは硫黄原子以外のヘテロ原子(例えば、酸素原子など)を有してもよい炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜25、より好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基は直鎖状、分岐状または環状であってもよい。複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
硫黄系安定剤(3)としては、例えば、下記式(3−1)で表される化合物、下記式(3−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010121061
式(3−1)において、mは1〜6、好ましくは1〜4の整数を表し、nは1〜24、好ましくは1〜20の整数を表す。
上記式(3−1)で表される化合物としては、具体的には、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネートが挙げられる。
Figure 2010121061
式(3−2)において、Rは水素原子または炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4の炭化水素基を表し、該炭化水素基は直鎖状、分岐状または環状であってもよい。複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。Xは単結合または炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、極性基(例えば、カルボニル基、エーテル基、エステル基、シリルエーテル基、イミノ基など)を含んでいてもよい。
上記式(3−2)で表される化合物としては、具体的には、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
《硫黄系安定剤(4)》
R−S−S−R・・・(4)
式(4)において、Rは硫黄原子以外のヘテロ原子(例えば、ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子など)を有してもよい炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜15の炭化水素基であり、該炭化水素基は直鎖状、分岐状または環状であってもよい。複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
上記炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェニル基またはナフチル基が有する少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子もしくは極性基で置換された置換フェニル基または置換ナフチル基が挙げられる。前記極性基としては、例えば、カルボキシル基、ニトロ基、アセチル基、アミド基、シアノ基が挙げられる。
硫黄系安定剤(4)としては、例えば、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド 、
ビス(2−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−ニトロフェニル)ジスルフィド、2,2'−ジチオジ安息香酸エチル、ビス(4−アセチルフェニル)ジスルフィド、ビス(4−カルバモイルフェニル)ジスルフィド、1,1'−ジナフチルジスルフィド、2,2'−ジナフチルジスルフィド、1,2'−ジナフチルジスルフィド、2,2'−ビス(1−クロロジナフチル)ジスルフィド、1,1'−ビス(2−クロロナフチル)ジスルフィド、2,2'−ビス(1−シアノナフチル)ジスルフィド、2,2'−ビス(1−アセチルナフチル)ジスルフィドが挙げられる。
《硫黄系安定剤(5)》
下記式(ii)で表される基を少なくとも2つ有する硫黄系安定剤(5)
Figure 2010121061
式(ii)において、R1は炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、より好ましく
は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表す。また、R2は炭素数1〜30、好ましくは1
〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは1〜6の2価の炭化水素基を表す。
硫黄系安定剤(5)としては、例えば、下記式(5−1)で表される化合物、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,4−ビス[(ドデシルチオ)メチル]−o−クレゾールが挙げられる。
Figure 2010121061
式(5−1)において、R1は上記式(ii)におけるR1と同じ意味を表し、R3は好ま
しくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜10の2価の炭化水素基を表す。また、炭素原子に結合している4個の硫黄含有基は、同一でも異なっていてもよい。
上記式(5−1)で表される化合物としては、具体的には、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリチルテトラキス(3−オクタデシルチオプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ヘキサデシルチオプロピオネート)が挙げられる。
これらの硫黄系安定剤(2)〜(5)の中では、硫黄系安定剤(3)および硫黄系安定剤(5)が好ましく、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシル3,3'−チオジ
プロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,4−ビス[(ドデシルチオ)メチル]−o−クレゾール、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)がより好ましく、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)がさらに好ましい。
本発明において、硫黄系安定剤(2)〜(5)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂組成物における硫黄系安定剤(2)〜(5)の含有量(2種以上用いられる場合はその合計を指す)は、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜3重量部、より好ましくは0.1〜2重量部である。硫黄系安定剤の含有量が前記範囲を下回ると前記組成物の耐熱性が低下し着色しやすくなることがあり、前記範囲を上回ると、前記組成物の成形時に該硫黄系安定剤由来の揮発ガス成分が増加して金型汚染が発生することがある。
また、上記硫黄系安定剤を上記範囲で含有する環状オレフィン系樹脂組成物を用いることにより、安定剤を含んでいながらも青色光に対する耐光性に優れ、かつ熱安定性に優れる光学部材用成形体が製造可能となる。
<添加剤>
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、硫黄系安定剤(2)〜(5)以外の、公知の酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤(以下、「その他の安定剤」ともいう)を配合してもよい。
上記その他の安定剤としては、例えば、フェノール系化合物;リン系化合物;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;N−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物;2−エチルオキサニリド、2−エチル−2'−エトキシ
オキサニリドなどのオキサニリド系化合物が挙げられる。なお、その他の安定剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記フェノール系化合物としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられる。
これらの中では、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましく、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が特に好ましい。
上記リン系化合物としては、例えば、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂組成物における上記フェノール系化合物およびリン系化合物から選択される少なくとも1種の化合物の含有量(2種以上用いられる場合はその合計を指す)は、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜3重量部の量である。これら化合物の含有量が前記範囲にあると、耐熱劣化性が向上した樹脂組成物が得られる。
また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂組成物におけるベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物およびオキサニリド系化合物から選択される少なくとも1種の化合物の含有量(2種以上用いられる場合はその合計を指す)は、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜3重量部、より好ましくは0.05〜2重量部である。これら化合物の含有量が前記範囲にあると、耐光性が向上した樹脂組成物が得られる。
また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂組成物には、目的とする成形体の特性に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の添加剤を配合してもよい。例えば、成形体の平滑性を向上させることを目的としてレベリング剤を配合してもよく、成形体の難燃性を向上させることを目的として難燃剤を配合してもよい。
上記レベリング剤としては、例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤が挙げられる。また、上記難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコン化合物、難燃触媒、窒素化合物、ホウ素化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが挙げられる。
また、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂組成物には、上記環状オレフィン系樹脂以外に、本発明の効果を損なわない範囲(好ましくは樹脂成分100重量%に対して、0〜60重量%の範囲)で、例えば、特開平9−221577号公報または特開平10−287732号公報に記載の特定の炭化水素系樹脂、公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子などを配合してもよい。
<環状オレフィン系樹脂組成物の製造>
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂組成物は、上述の各成分を配合することにより製造される。配合方法としては特に限定されず、例えば、環状オレフィン系樹脂をロール、ニーダー、押出混練機、バンバリーミキサー、フィーダールーダーなどの混練機で練りながら、硫黄系安定剤や添加剤を配合する方法;環状オレフィン系樹脂の溶液と硫黄系安定剤や添加剤を溶解または分散させた液とを混合し、次いで得られた混合液から溶媒を除去する方法が挙げられる。また、混練時の温度は、好ましくは200〜400℃、さらに好ましくは240〜350℃である。
〔光学部材用成形体〕
本発明に係る成形体は、上述の環状オレフィン系樹脂組成物を用いて形成され、光学部材として用いられる。前記成形体はそのまま光学部材として用いてもよいし、従来公知の方法に従って、適宜加工などを施してもよい。
上記光学部材としては、例えば、凸レンズ、凹レンズ、フレネルレンズ、コリメートレンズ、レンチキュラーレンズ、ピックアップレンズ、グレーティングレンズ、ジオデシックレンズ、fθレンズ、非球面レンズなどのレンズ(特に、光学機器用レンズ);プリズム;MO、DVD、CDなどの光情報記録媒体;位相差フィルム、偏光フィルム、光反射板、光拡散板、導光板、プリズムシートなどの表示装置用光学フィルム、板またはシートが挙げられる。これらの中では、本発明に係る成形体は、青色光に対する耐久性および熱安定性が優れることから、これらの特性が特に要求されるピックアップレンズ(特に、DVD用ピックアップレンズ)として好適に用いられる。
すなわち、本発明に係る成形体は、青色光などの波長395〜420nmの光に対する耐久性に優れることから、波長395〜420nmの光を使用する光学部材として用いら
れる。
上述の環状オレフィン系樹脂組成物を用いて成形体を形成する方法としては、例えば、溶液キャスト法(流延法)、溶融押出成形法、射出成形法、射出圧縮成形法などが挙げられる。
<溶液キャスト法、溶融押出成形法>
溶液キャスト法とは、樹脂組成物を溶媒に溶解して該樹脂組成物の溶液を調製し、次いで、該溶液を支持体に塗工した後、該溶媒を乾燥させることによって、フィルム状またはシート状の成形体を得る方法である。また、溶融押出成形法とは、樹脂組成物を溶融状態で細い孔またはスリットから押し出して連続的にフィルム状またはシート状の成形体を得る方法である。
上述の環状オレフィン系樹脂組成物をフィルム状またはシート状に成形する方法として、該樹脂組成物が溶液である場合は溶液キャスト法、ペレットである場合は溶融押出成形法が好適である。
<射出成形法、射出圧縮成形法>
レンズなどの光学部材は、例えば、上述の環状オレフィン系樹脂組成物を射出成形して製造することができる。具体的には、上述の環状オレフィン系樹脂組成物からなるペレットを射出成形して得られる。
上述の環状オレフィン系樹脂組成物を用いて射出成形を行う場合は、射出成形の前に、予め乾燥装置を用いた公知の方法で該樹脂組成物中に溶存する水分や酸素成分を除去することが好ましい。
上記乾燥装置としては、例えば、熱風乾燥機;除湿乾燥機;窒素循環式乾燥機、除湿窒素循環式乾燥機などの不活性ガス循環式乾燥機;真空乾燥機などの減圧乾燥機が挙げられる。これらの中では、色相が均一な成型体が得られやすい点で、減圧乾燥機、または窒素などの不活性ガス循環式乾燥機を用いることが好ましい。乾燥温度および乾燥時間は特に限定されないが、通常はTg−100℃〜Tg−20℃で(Tg:環状オレフィン系樹脂組成物のガラス転移温度)、2〜6時間乾燥される。
≪射出成形機≫
射出成形に使用される射出成形機としては、例えば、シリンダー方式としてはインライン方式、プリプラ方式;駆動方式としては油圧式、電動式、ハイブリッド式;型締め方式としては直圧式、トグル式;射出方向としては横型、縦型が挙げられる。
シリンダー方式がインライン方式の場合、圧縮比、長さ/直径の比、サブフライトの有無などのスクリュー形状は適宜選択でき、スクリュー表面には、クロム系、チタン系、窒化物系、炭素系などの公知のコーティングを施してもよい。また、計量や射出動作の安定性を向上させるためにスクリューの回転や圧力を制御する機構などを設けてもよい。また、シリンダー内および樹脂組成物を貯蔵するホッパー内を減圧することや、シリンダーおよびホッパーを窒素などの不活性ガスでシールすることは、成形体が安定に得られるという観点から好ましい。
型締め方式においては射出圧縮可能な射出成形機が好ましい。また、シリンダー径および型締め力は目的とする成形体の形状により設定されるが、一般に成形体の投影面積が大きい場合は型締め力を大きくすることが好ましく、成形体の容量が大きい場合はシリンダー径を大きくすることが好ましい。
≪金型≫
射出成形に使用される金型としては、公知の材質や構造を有し、目的とする成形体の形状に対応するキャビティーを有する金型が用いられる。金型の好ましい材質としては、通常の炭素鋼、ステンレス鋼、これらをベースにした公知の合金類が挙げられる。また、金型の表面に、焼き入れ処理、クロム、チタン、ダイヤモンドなどによる公知のコーティング処理;パターン加工のために、ニッケル系金属、銅合金などによる金属メッキを施してもよい。
また、集光や反射防止などを目的として成形体表面にパターンを形成する場合には、金型の金属コーティング面もしくは金属メッキ面またはスタンパ表面に、放電加工機、切削加工機などの公知の加工機で直接パターンを形成してもよく、電鋳などの方法でパターンを形成してもよい。
≪射出成形条件≫
射出成形の際、成形体のソリの低減や安定した連続成形を目的として、(1)金型内空隙を減圧する方法、または(2)射出圧縮成形方法が好適に用いられる。
(1)金型内空隙を減圧して射出成形する場合、減圧度(ゲージ圧)は、好ましくは−0.08MPa以下、さらに好ましくは−0.09MPa以下、特に好ましくは−0.1MPa以下である。減圧度が前記値を超えると、減圧度が不足して光透過性および光拡散性に優れた成形体が得られないことがある。
上記範囲の減圧度は、公知の方法、例えば真空ポンプを使用して達成される。ここで、キャビティー周囲やエジェクター機構部などに、Oリングなどの公知のシール材を使用することが好ましく、成形体に不純物が混入しない範囲で真空用グリースなどを使用してもよい。また、真空ポンプなどの減圧装置と接続するための吸引口は、金型内の任意の場所に設ければよいが、通常はエジェクター機構部、スプルーおよびランナーの端部、入れ子構造部などに設けられる。また、真空ポンプは、金型の開閉に併せて電磁バルブなどで制御してもよく、常時運転してもよく、溶融樹脂の充填時に金型内空隙を所望の減圧度にできる方法であれば特に制限されない。
金型内空隙を減圧して射出成形する場合、キャビティー・コアを閉じ減圧になった状態で溶融樹脂を射出するため、通常は射出遅延時間を設定する。射出遅延時間は、使用する真空ポンプの能力およびキャビティー・コアサイズに依存するが、通常は0.5〜3秒程度である。
(2)一方、射出圧縮成形方法では、金型内空隙を成形体の厚みの1.5〜20倍に設定し、該空隙に溶融樹脂を射出し、シリンダー側で測定される溶融樹脂の圧力を200〜2000kgf/cm2の範囲に保持しながら、キャビティー・コア間隔を狭くし、金型
内空隙で形成される成形体面を圧縮すればよい。
また、金型内空隙を成形体の厚みの1.1〜10倍となるよう可動側コアおよび固定側コアを設定して、該空隙に溶融樹脂を射出して、射出開始あるいは射出終了後から、可動側コアを平均速度0.01〜1mm/secで圧縮してもよい。これらの射出圧縮成形方法には、公知の成形機が用いられる。
射出成形のその他の条件は、特に限定されるものではないが、シリンダー温度は、好ましくは260〜350℃、金型温度は、好ましくはTg−1℃〜Tg−40℃、より好ましくはTg−5℃〜Tg−25℃である(Tg:環状オレフィン系樹脂組成物のガラス転
移温度)。また、射出速度は、目的とする成形体の大きさや射出成形機のシリンダー径により異なるが、例えば、シリンダー径が28mmの場合、通常は80mm/sec以上、好ましくは90〜250mm/secである。保圧および保圧時間は、成形体の形状が保持できる程度の最小圧および時間に適宜調整することが好ましい。
さらに、金型内空隙に存在するガス成分が圧縮により高温化することに起因する樹脂の炭化や、該空隙に滞留する樹脂の揮発成分の凝縮防止を目的として、キャビティー周囲にガスベント機構を設けてもよい。ガスベントの厚みは、通常は50〜150nmの深さで形成される。ガスベントはキャビティーの一部に設けてもよいが、ゲート部を除く全面に形成することも好ましい。また、このようなガスベントは、金型のゲート部またはランナー部に形成してもよい。
次に実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例で得られた環状オレフィン系樹脂および成形体の評価は下記の方法によって行った。
<環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)>
環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、DSC6200(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、昇温速度=毎分20℃・窒素気流下で測定し、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)および最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた値である。
<環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量および分子量分布>
環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー(株)製、商品名:HLC−8020)を用いて、テトラヒドロフラン(THF)溶媒の条件下、ポリスチレン換算で測定した値である。
測定方法:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法
標準物質:ポリスチレン換算
装置:東ソー(株)製、商品名:HLC−8020
カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSK gel GMHXL 2本、TSK gel G2000HXLを順次連結したもの
溶媒:THF
サンプル濃度:0.7wt%
注入量;70μL
流速:1mL/min
<青色光に対する耐久性>
出力23mWのレーザー(ネオアーク社製)を用い、波長405nmの青色光を光源から75mm離れた試験フィルムに照射した。この時の照射光の直径は、試験フィルムの照射面において100μmであった。試験フィルムを透過した青色光の強度をパワーメーター(ネオアーク社製)を用いて測定し、初期の強度から10%低下するまでの時間を測定した。
〔合成例1〕
特定単量体(1)として8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン89重量部、ビシクロ[2.2.1]へプトー2−エン11重量部、分子量調節剤として1−ヘキセン35重量部、および溶媒としてトルエン200重量部を窒素置換した反応容器に加え、80℃に加熱した。
上記反応容器にトリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6mol/l)0.20重量部、およびメタノール変性WCl6のトルエン溶液(0.025mol/l)0.9
重量部を加え、80℃で1時間反応させることにより開環共重合体のトルエン溶液を得た。前記トルエン溶液に、さらにトルエン100重量部を加えて希釈を行った。
上記開環共重合体のトルエン溶液に水素添加触媒であるRuHCl(CO)[P(C6
533を0.04重量部加え、水素ガス圧を9〜10MPaとし、160〜165℃
の温度で3時間反応させた。
反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中で沈殿させることにより開環共重合体の水素添加物(水素添加共重合体)のメタノール溶液を得た。前記水素添加共重合体を真空乾燥して、環状オレフィン系樹脂(A)を得た(重量平均分子量(Mw)=48000、分子量分布(Mw/Mn)=3.5、ガラス転移温度(Tg)=127℃)。
[実施例1]
環状オレフィン系樹脂(A)13g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)92mgを塩化メチレンに溶解し、減圧濾過(濾剤:ADVANTEC製GA200)した溶液を平滑な硝子製浴槽(内寸:幅260mm×奥行380mm×深さ5mm)にキャストした。得られたフィルムを前記浴槽から剥離後、100℃の真空乾燥機で乾燥して厚さ96μmの試験フィルムを得た。
上記試験フィルムは目視観察で無色透明であり、該フィルム中の残留溶媒量は3000wppm以下であった。上記試験フィルムが初期透過光の強度から10%低下するまでの時間は15時間であった。
[比較例1]
実施例1において、環状オレフィン系樹脂(A)13gのみを塩化メチレンに溶解したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ93μmの試験フィルムを得た。
上記試験フィルムは目視観察で無色透明であり、該フィルム中の残留溶媒量は3000wppm以下であった。上記試験フィルムが初期透過光の強度から10%低下するまでの時間は7時間であった。

Claims (3)

  1. 下記式(1)で表される単量体から導かれる構造単位を有する環状オレフィン系樹脂100重量部と、下記式(2)〜(4)で表される硫黄系安定剤および(5)下記式(ii)で表される基を少なくとも2つ有する硫黄系安定剤からなる群から選択される少なくとも1種の硫黄系安定剤0.05〜3重量部とを含有する環状オレフィン系樹脂組成物を用いて形成され、波長395〜420nmの光を使用する光学部材に用いる成形体。
    Figure 2010121061
    [式(1)において、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の1価の炭化水素基またはその他の1価の有機基を表す。R1およびR2、またはR3
    およびR4は、一体化して2価の有機基を形成してもよく、R1〜R4のうち任意の2つは
    、互いに結合して単環または多環を形成してもよい。mおよびnは、それぞれ独立に0または正の整数を表す。]
    R−S−H・・・(2)
    R−S−R・・・(3)
    R−S−S−R・・・(4)
    [式(2)〜(4)において、Rは硫黄原子以外のヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜30の炭化水素基を表し、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。]
    Figure 2010121061
    [式(ii)において、R1は炭素数1〜15の1価の炭化水素基であり、R2は炭素数1〜30の2価の炭化水素基である。]
  2. 請求項1に記載の成形体からなるレンズ。
  3. 請求項1に記載の成形体からなるピックアップレンズ。
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