以下各実施例につき、図とともに説明する。
まず実施例1による通信システムにつき説明する。
実施例1によれば、WiMAXの技術を利用した通信システムにおいて、図9に示されるように、ASN−GW31が、互いに通信を行う移動局11,12を管理する基地局21に対し、パケットの折り返しの指示を行う。ここで「パケットの折り返し」とは、図9に示すように、移動局11から発信されたパケットを、そのまま基地局21にて折り返して直接移動局12へ発信する経路をとることを意味する。したがってパケットの折り返しの指示とは、受信したパケットに対しそのような処理を行わせるための、基地局21に対する指示を意味する。
このような「パケットの折り返し」の場合の通信経路は図1に示した、ルータ51及びHA41を経由する経路とは異なる。そのためASN−GW31,ルータ51,HA41のそれぞれのパケット処理負荷が軽減されるとともに、基地局21,ASN−GW31、ルータ51,HA41の間の通信経路が使われないため、伝送リソースの負荷が効果的に軽減される。
すなわち実施例1による通信システムによれば、ASN−GWがその管理下に存在する移動局の通信状態を監視し、必要に応じて上記パケットの折り返し指示を行う。
また実施例1による通信システムによれば、基地局が、ASN−GWからの上記パケットの折り返しの指示を受け、第1の移動局から受信されたパケットをそのまま第2の移動局へ折り返して送信する経路を設定する。
また実施例1による通信システムによれば、ASN−GWは、ハンドオーバの発生等、パケットの折り返しの状態を維持することが不適当な状況が生じた場合には同状態を解消するため、前記経路の設定を解除する。
より具体的には、実施例1によれば、基地局を管理しているASN−GW装置が、PDA(Personal
Digital Assistant)等の移動局から受信したパケットの宛先をチェックする。同宛先が同ASN−GW管理下の基地局の管理下のものであった場合、基地局に対し、NAT(Network Address Translation、すなわちIPアドレスの変更、以下同様)処理、基地局間のトンネルの構築、ルーティングテーブルの変更指示を行う。このようにして基地局内及び基地局間でパケットの折り返しを行わせる。その結果上記のように、ASN−GWにおける処理負荷の軽減及び伝送リソースの負荷の軽減が図れる。
図10は実施例1における、基地局内で、パケットの折り返しを行う状態へ移行する際の動作を説明するための図である。図10は、基地局21の管理下の2つの移動局11、12が相互に通信する場合の、当該通信に係るパケットの流れを示す。
この場合、移動局11から移動局12へのパケットの転送が行われる場合、以下の動作が行われる。
1)移動局11から基地局21に対し、宛先がHA42(すなわち移動局12についての、モバイルIP上のHAのアドレス)とされたパケットが無線区間で転送される。
2)基地局21からASN−GW31との間はGeneric Routing Encapsulationトンネル(以下単にGREトンネルと称する)のカプセル化がなされて転送される。当該カプセル化により、同パケットの宛先はASN−GW31のアドレスとされる。カプセル化されたパケットの内部ヘッダは受信されたままの状態に維持される。
3)ASN−GW31は移動局11のフォーリンエージェント(Foreign Agent、以下単にFAと称する)としての処理を実行する。すなわち受信したパケットの送信元アドレスを移動局11のアドレスから移動局11のHAであるHA41のアドレスに置き換え、HA42宛に転送する。
4)HA42はモバイルIPトンネル(以下単にMIPトンネルと称する)を経由し、移動局12のFAとしてのASN−GW31宛に、当該パケットをカプセル化し転送する。このとき、HA42は、HAとしての処理として、カプセル化の内部ヘッダの宛先を、HA42のアドレスから移動局12のアドレスに置き換える。なお、このカプセル化の内部ヘッダの宛先をHA42のアドレスから移動局12のアドレスに置き換える処理は、FAであるASN−GW31が行ってもよい。
5)ASN−GW31はGREトンネルを経由し基地局21へ当該パケットを転送する。
6)基地局21は当該パケットのカプセル化を解除し、移動局12へ同パケットを転送する。
図11は、図10に示された基地局21の管理下の2つの移動局11、12が相互に通信する場合のパケットの流れの動作シーケンスを示す。
図11中、ステップS1(以下、「ステップ」の語を省略する)で移動局11はFTP(ファイル転送プロトコル、以下同様)を実行し、パケットを基地局21へ転送する。基地局21はこれを受信すると、同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かを判定する(S2)。同判定の結果当該パケットがパケットの折り返しの対象でない場合、同パケットをカプセル化し、その宛先をASN−GW31として同パケットを転送する(S3)。
ASN−GW31は同パケットを受信し、後述する折り返し適応判定を実施する(S4)。ASN−GW31は又FAとして、カプセル化の内部ヘッダの宛先を移動局11のものからHA41のものに置き換え(S5)、HA42に転送する。
HA42はこれを受け、MIPトンネルのカプセル化を行い(S6),ASN−GW31に同パケットを転送する。
ASN−GW31はこれを受け、上記同様折り返し適用判定を行い(S7)、GRE(Generic Routing
Encapsulation)トンネルのカプセル化を行い(S8),基地局21に同パケットを転送する。
基地局21は同パケットを受信し、GREトンネルのカプセル化を解除し(S9)、同パケットを移動局12に転送する。
ここでASN−GW31は、HA42へのパケットの送信時、HA42からのパケットを受信時の各々の時点で、同パケットの宛先或いは送信元アドレスがHA41,HA42等、モバイルIPに関連するアドレスか否かを判定する。当該パケットの宛先或いは送信元アドレスがHA41,HA42等、モバイルIPに関連するアドレスであった場合、ASN−GW31は、同パケットがASN−GW31管理下の基地局においてパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かを判断する。この判断を行うため、ASN−GW31は、その内部で図12に示す折り返し管理テーブルを管理する。
ASN−GW31は自己が扱うパケットに係るトラフィックの状況や、同パケットのプロトコル(FTP、ストリーミング等)を解析することにより、前記折り返し適応判定を行う。折り返し適応判定とは、ある条件(その宛先と送信元)のパケットをパケットの折り返しの対象として登録するか否かの判定をいう。同判定の結果該当する条件(その宛先と送信元)のパケットをパケットの折り返しの対象として登録すべきと判定した場合、上記折り返し管理テーブルに基づき、パケットの折り返しのために要されるNATに関する情報及びルーティング情報を生成する。そして図13に示すように、当該折り返し管理テーブルの折り返し状態の更新を行う。また図14に示すように、基地局21に対しパケットの折り返しの指示を行うことにより当該基地局21に対しパケットの折り返しの設定を行う。
このようなパケットの折り返しの設定を行うことにより、移動局11からのパケットは、上記NATに関する情報及びルーティング情報に基づき、基地局21にて該当するNAT処理及びルーティング処理がなされる。その結果基地局21から同パケットはそのまま折り返され、移動局12に対し転送される。
図15は図14に示したパケットの折り返しの設定を行う際の動作シーケンスを示す。
図15中、ASN−GW31は折り返し適応判定を行い、同判定の結果、所定の条件(その宛先と送信元)に合致したパケットをパケットの折り返しの対象として登録すべきと判定した場合(S21)、折り返し管理テーブルを更新する。すなわち移動局11と移動局12との間の通信に係るパケットにつき、図13に示されるように、該当するレコードの折り返し状態欄に「MS2との折り返し」、「MS1との折り返し」と書き込む(S22)。またASN−GW31は、該当するパケットの折り返しが基地局21にて実施されるよう、必要なNATの情報及びルーティング情報を生成し、基地局21に送信する(S23)。
これを受けた基地局21では、当該NATの情報及びルーティング情報を自身に設定(S24)し、該当するパケット(移動局11と移動局12との間の通信に係るパケット)をパケットの折り返しの対象として登録を行う(S25)。
その後移動局11にてFTP処理がなされ、移動局12宛のパケットが基地局21に対し転送されると(S26),基地局21では同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かをチェックする(S27)。当該パケットがS25にて登録された条件(その宛先と送信元)に合致するため、上記パケットの折り返しのためのNAT処理及びルーティング処理を行う(S28)。その結果基地局21にて、当該パケットの宛先アドレスが移動局12のアドレスに置き換えられ、送信元アドレスが移動局11のHA41のアドレスに置き換えられる。その結果パケットの折り返しが実施され、当該パケットは直接移動局12に転送される。
実施例1では上記のように、ASN−GW31が、自己が扱うパケットに係るトラフィックの状況や、同パケットのプロトコルを解析することにより、折り返し適応判定を行う。この点につき以下に、より具体的に説明する。
1)ASN−GW31は一定周期で特定の移動局の通信先のパケット量を監視する。そして同移動局が、当該ASN−GW31管理下の第2の移動局との間で、ある閾値以上のパケット量の通信を行っていた場合、該当するパケットをパケットの折り返しの対象として登録すべきと判定する。
2)或いは当該パケットのプロトコル種別を監視し、同種別が所定のものであった場合、該当するパケットをパケットの折り返しの対象として登録すべきと判定する。
定期的に特定移動局のパケット量をチェックし判定する方法につき、図16とともに説明する。
ここでは特定の移動局に係る通過パケットの量を監視する。そして特定の移動局につき、ある規定以上のパケット量の通過を検知した場合、該当するパケットを、パケットの折り返しの対象として登録すべきと判定する。ASN−GW31では、予め各移動局に割り当てられた移動局毎の通信タスク(スレッド/プロセス等)が常時受信処理を行う(図16中、ステップS41乃至S45)。また、他のタスクとしての、折り返しのチェックを行うタスクが、各移動局を前記特定の移動局を監視対象として順次選択し、当該選択に係る移動局につき、前記通過パケット量に基づいた判断を行う(同図中、ステップS51乃至S55)。
図16中、上記移動局毎の通信タスクは、ASN−GW31がパケットを受信すると(S41),当該パケットが後述するステップS51で決定された監視対象の移動局からのパケットか否かを判定する(S42)。監視対象の移動局からのパケットであった場合(Yes),当該パケットの宛先が当該ASN−GW31の管理下のアドレスか否かを判定する(S43)。当該ASN−GW31の管理下のアドレスであった場合(Yes)、当該パケットのサイズを得る(S44)。そして前記宛先のIPアドレスと前記パケットサイズとを前記送信元の移動局に関連付けて集計する(S45)。
前記折り返しのチェックを行うタスクは、監視対象の移動局を決定し(S51)、規定時間待つ(S52)。その間の、該当する移動局に係る上記IPアドレスとパケットサイズの集計(上記S45で得られる)を得る(S53)。当該集計に基づき、規定量以上のパケットを記録したIPアドレスがあるか否かを判定する(S54)。規定量以上のパケットを記録したIPアドレスが有った場合(Yes),当該移動局と当該IPアドレスに係る移動局との間の通信に係るパケットを、パケットの折り返しの対象として登録すべきと判定する(S55)。
次に図17とともに、上記プロトコル種別でパケットの折り返しの対象として登録すべきか否かを判定する方法につき説明する。
このように上記プロトコル種別でパケットの折り返しの対象として登録すべきか否かを判定する場合、特定の移動局の通過パケットのプロトコルを監視する。そして当該プロトコルがFTPやストリーミング等の大量パケットの送受信を生ずるプロトコルであった場合、該当する移動局間の通信に係るパケットを、パケットの折り返しの対象として登録すべきと判定する。
図17中、ASN−GW31はパケットを受信すると(S61),その宛先が当該ASN−GW31の管理下のアドレスか否かを判定する(S62)。当該ASN−GW31の管理下のアドレスであった場合(Yes),そのプロトコルを得る。当該プロトコルがFTPやストリーミング等の大量パケットの送受信を生ずるプロトコルであった場合(S63のYes),当該パケットに係る両移動局間の通信に係るパケットを、パケットの折り返しの対象として登録すべきと判定する(S64)。
次に図18乃至図23とともに、実施例2による通信システムの説明を行う。
実施例2は、上記実施例1と比較すると、移動局11から移動局12へパケットを転送する場合であって、図18に示すように、当該移動局11,12がそれぞれ異なる基地局21,22に管理されている点が異なる。それ以外の構成は実施例1のものと同様であり、重複する説明を省略する。ASN−GW31及び基地局21,22は、これら2つの実施例1,2の両方を実現可能な構成を有していてもよいし、実施例1のみ或いは実施例2のみを実現可能な構成を有していてもよい。
1)図18中、移動局11から基地局21に対し、宛先がHA42(移動局12のモバイルIP上のHAのアドレス)のパケットが、無線区間で転送される。
2)基地局21からASN−GW31への間の転送は、GREトンネルによってカプセル化されてなされる。したがってパケットの宛先はASN−GW1のアドレスとされる。カプセル化されたパケットの内部ヘッダは元のまま維持される。
3)ASN−GW31は移動局11に係るFAとして、当該パケットの送信元アドレスを移動局11のアドレスから移動局11のHA41のアドレスに置き換え、同パケットをHA42宛に転送する。
4)HA42はこれを受け、MIPトンネルを経由し移動局42のFAであるASN−GW31宛にパケットをカプセル化し転送する。この時HA42は、HAとしてカプセル化されたパケットの内部ヘッダの宛先を、HA42のアドレスから移動局12のアドレスに置き換える。
5)ASN−GW31はこれを受け、当該パケットを、GREトンネルを経由し、基地局22へ転送する。
6)基地局22はこれを受け、当該パケットのカプセル化を解除し、同パケットを移動局12へ転送する。
図19は図18に示した通信システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
図19中、ステップS71で移動局11はFTPを実行し、パケットを基地局21へ転送する。基地局21はこれを受信すると、同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かを判定する(S72)。同判定の結果当該パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当しない場合、同パケットをカプセル化し、その宛先をASN−GW31として同パケットを転送する(S73)。
ASN−GW31は同パケットを受信し、前記折り返し適応判定を実施する(S74)。ASN−GW31は又FAとして、カプセル化の内部ヘッダの宛先を移動局11のものからHA41のものに置き換え(S75)、HA42に転送する。
HA42はこれを受け、MIPトンネルのカプセル化を行い(S76),ASN−GW31に同パケットを転送する。
ASN−GW31はこれを受け、上記同様折り返し適用判定を行い(S77)、GREトンネルのカプセル化を行い(S78),基地局22に同パケットを転送する。
基地局22は同パケットを受信し、GREトンネルのカプセル化を解除し(S79)、同パケットを移動局12に転送する。
実施例1同様、ASN−GW31は、HA42へのパケットの送信時や、HA42からのパケットを受信する際に、同パケットの宛先或いは送信元アドレスがHA41,HA42のようなモバイルIPに関連するアドレスとなっているか否かを判定する。当該パケットの宛先或いは送信元アドレスがHA41,HA42のようなモバイルIPに関連するアドレスとなっている場合、ASN−GW31は、当該条件(その宛先と送信元)のパケットに対し、ASN−GW31管理下の基地局においてパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かを判断する。この判断を行うため、ASN−GW31は、その内部で図20に示す如くの折り返し管理テーブルを管理する。
実施例1同様、ASN−GW31は自己が扱うパケットに係るトラフィックの状況や、同パケットのプロトコル(FTP、ストリーミング等)を解析することにより、折り返し適応判定を行う。折り返し適応判定とは、当該条件(その宛先と送信元)に合致する通信に係るパケットをパケットの折り返しの対象として登録すべきか否かの判定をいう。同判定の結果パケットの折り返しの対象として登録すべきと判定された場合、上記折り返し管理テーブルに基づき、パケットの折り返しのために要されるNATに関する情報及びルーティング情報を生成する。そして図21に示すように、当該折り返し管理テーブルの折り返し状態の更新を行う。また図22に示すように、基地局21、22に対しパケットの折り返しの指示を行うことにより当該基地局21、22に対し、パケットの折り返しの設定を行う。
このようなパケットの折り返しの設定を行うことにより、移動局11からのパケットは、上記NATに関する情報及びルーティング情報に基づき、基地局21にて該当するNAT処理及びルーティング処理がなされる。その結果基地局21から同パケットは、直接基地局22へ転送され、その後移動局12に対し転送される。すなわち実施例2の場合、通信に係る両移動局11,12のそれぞれに係る基地局21,22において、当該通信に係るパケットが折り返される。
図23は図22に示したパケット折り返しの動作シーケンスを示す。
図23中、ASN−GW31は折り返し適応判定を行い、同判定の結果所定の条件(その宛先と送信元)のパケットをパケットの折り返しの対象として登録すべきと判定した場合(S91)、折り返し管理テーブルを更新する。すなわちこの場合移動局11と移動局12との間の通信に係るパケットにつき、図21に示されるように、該当するレコードの折り返し状態欄に「MS2との折り返し」、「MS1との折り返し」と書き込む(S92)。またASN−GW31は、当該パケットの折り返しが基地局21、22にて実施されるよう、必要なNATの情報及びルーティング情報を生成し、基地局21、22に送信する(S93)。
これを受けた基地局21、22は、当該パケットの折り返しに係る経路(すなわち該当するパケットを両基地局21,22間で直接転送する経路)を自己に設定する(S94,S95)。そして両基地局21,22の間で、当該パケットの折り返しにかかる経路を確認し合うため情報の交換を行う(図中、「折り返しパス確認」)。そして各々、当該NATの情報及びルーティング情報を自身に設定する(S96,S98)。そして該当するパケット(移動局11と移動局12との間の通信に係るパケット)を、パケットの折り返しの対象として登録する(S97,S99)。
その後移動局11にてFTP処理がなされ、移動局12宛のパケットが基地局21に対し転送されると(S100),基地局21では同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かをチェックする(S101)。また、GREトンネルのカプセル化を行う(S102)。そして、S101の結果当該パケットはS97にて登録された条件(その宛先と送信元)に合致するため、上記パケットの折り返しに係るNAT処理及びルーティング処理を行う(S103)。すなわち基地局21にて、当該パケットの宛先が基地局22のアドレスとされ、送信元が基地局21のアドレスとされる。また、カプセル化されたパケットの内部ヘッダの送信元アドレスが、移動局11のHA41のアドレスに置き換えられる。その結果当該パケットは基地局22へ転送され、基地局22は当該GREトンネルのカプセル化を解除する(S104)。そして当該パケットがS99にて登録された条件(その宛先と送信元)に合致するため、上記パケットの折り返しに係るNAT処理及びルーティング処理を行う(S103)。すなわち、当該パケットの宛先アドレスが移動局12のアドレスに置き換えられる。その結果パケットの折り返しが実施され、当該パケットは基地局21,22で折り返されて移動局12に転送される。
以下図24乃至図28とともに、実施例3による通信システムの説明を行う。
実施例3は、上記実施例1或いは実施例2による通信システムおいて上記パケットの折り返しの設定(図15中、S21乃至S25,図23中、S91乃至S99)を行った後、当該設定を解除する構成を有する。当該構成を有する点以外は、実施例3の構成は実施例1或いは実施例2のものと同様であり、重複する説明を省略する。ASN−GW31は、これら3つの実施例1,2、3の全ての処理を実行可能な構成を有していてもよいし、実施例3と実施例1との両方の処理のみ或いは実施例3と実施例2との両方の処理のみを実行可能な構成を有していてもよい。
前記パケットの折り返しの設定の解除は、基本的には通信先の移動局の存在が確認できなくなった場合等に行われる。具体的には、図26に示すように、例えば移動局12を構成するPDA等の機器の電源の切断がなされた場合、これを管理する基地局22では移動局12の存在を確認できなくなる。そのような場合、当該基地局22からASN−GW31に対し、基地局22とASN−GW31との間のインタフェースであるR6のData Path De−Registration Requestが送信される。その結果ASN−GW31では、該当するGREトンネル等の経路管理を削除する処理が発生する。
ASN−GW31は当該処理の発生をトリガとし、図25に示すように、折り返し管理テーブル上、該当するレコードを削除する。その結果折り返し管理テーブルは図27に示す状態となる。
図28は実施例3の通信システムにおける動作の流れを示すシーケンス図である。
図28中、移動局12を管理する基地局22が移動局12の存在を確認できなくなった際(S111),当該基地局22はASN−GW31に対し、上記Data Path De−Registration Requestを送信する。ASN−GW31はこれを受け、自己と当該基地局22との間の、該当する通信経路を解除する(S112)。そして折り返し管理テーブルをチェックする(S113)。そして図25,27とともに上記の如く該当するレコードを削除して同テーブルを更新する(S114)。そして該当するパケットの折り返しの設定の解除が基地局21、22にて実施されるよう、該当するNATの情報及びルーティング情報を削除するための情報を生成し、基地局21、22に送信する。これを受けた基地局21、22は、当該パケットの折り返しに係る経路(すなわち該当するパケットを両基地局21,22間で直接転送する経路)の設定を解除する(S115,S118)。そして基地局21,22は、該当するNATの情報及びルーティング情報を削除する(S116,S119)。そして該当するパケット(移動局11と移動局12との間の通信に係るパケット)を、パケットの折り返しの対象から削除する(S117,S120)。
以下図29乃至図33とともに、実施例4による通信システムの説明を行う。
実施例3は、上記実施例1或いは実施例2による通信システムおいて上記パケットの折り返しの設定(図15中、S21乃至S25,図23中、S91乃至S99)を行った後、該当する移動局のうちの一方につきハンドオーバが実行される場合に対する処理を有する。ここでハンドオーバとは、移動局が、当該移動局を管理する基地局が管理するセルの外に移動した際、当該移動局を管理する基地局を、前記移動後のセルを管理する基地局に自動的に切り替える処理をいう。前記ハンドオーバが実行される場合に対する処理を有する点以外は、実施例4の構成は実施例1或いは実施例2のものと同様であり、重複する説明を省略する。ASN−GW31は、これら3つの実施例1,2、4の全てを実現可能な処理を有していてもよいし、実施例4と実施例2の両方を実現可能な処理を有していてもよい。或いはそれらの何れかの場合に、更に実施例3の処理も併せて有する構成としてもよい。
図29示す例では、移動局11が基地局21の管理下に存在し、移動局12がハンドオーバにより基地局22の管理下から基地局23の管理下に切り替わる。この場合、移動局12はハンドオーバ先の基地局23に対し、Mobile MS Handover Request(以下単にMOB_MSHO−REQと称する)を送信し、それを受信した基地局23はASN−GW31に対し、Handover Request(以下単にHOリクエストと称する)を送信する。ASN−GW31は当該HOリクエストを送信した移動局12を認識する。そして図30に示される折り返し管理テーブルを参照し、当該移動局12につき、パケットの折り返しの設定の有無をチェックする。
ここで図30に示されるように、当該移動局12に対し、パケットの折り返しの設定がなされている。これを確認したASN−GW31は、図31に示されるように、該当するパケットの折り返しの設定の解除を行う。そして前記ハンドオーバに係るシーケンスを継続させる。同パケットの折り返しの設定の解除により、折り返し管理テーブルは図32に示す状態となる。
図33は図31に示したパケットの折り返しの設定の解除動作を示すシーケンス図である。
図33中、移動局12からHOリクエストが移動先の基地局23に送信されると、同基地局23はASN−GW31に対し、HOリクエストを送信する。ASN−GW31はこれを受け、折り返し管理テーブルを参照する(S131)。ここで図30に示すように、移動局12と移動局11との間の通信に係るパケットに対し、パケットの折り返しの設定がなされている。したがってこれを図32に示すように更新する(S132)。すなわちパケットの折り返しの設定を解除すべく、折り返し管理テーブル中、「折り返し状態」の欄に「なし」を設定する。そして該当するパケットの折り返しの設定の解除が基地局21、22にて実施されるよう、該当するNATの情報及びルーティング情報を削除するための情報を生成し、基地局21、22に送信する。これを受けた基地局21、22は、当該パケットの折り返しに係る経路(すなわち該当するパケットを両基地局21,22間で直接転送する経路)の設定を解除する(SS133,S136)。そして基地局21,22は、該当するNATの情報及びルーティング情報を削除する(S134、S137)。そして該当するパケット(移動局11と移動局12との間の通信に係るパケット)を、パケットの折り返しの対象から削除する(S135,S138)。その後、ハンドオーバの動作が実行される(S139)。
上記のようにハンドオーバの実施時は一旦パケットの折り返しの設定が解除され、HA経由でのパケット転送ルートを使用してハンドオーバに係る制御動作が実行される。ハンドオーバの実施の完了後、上記実施例2の構成により、移動局11及び移動局12の間のパケット転送量やプロトコル種別のチェック等により再度折り返し適用判定を行う。同判定の結果移動局11及び移動局12の間の通信に係るパケットが、パケットの折り返しの対象として登録すべきと判定された場合、実施例2の構成により、再度該当するパケットに対し、パケットの折り返しの設定を行う。
以下、上記各実施例による通信システムとしての各装置が有する構成につき、ブロック図を用いて説明する。
図34は上記実施例1を構成する移動局11、基地局21,ASN−GW31としての構成を有する通信装置11,21,31のブロック図である。尚、移動局12としての処理を実行する通信装置12は上記移動局11としての処理を実行する通信装置11と同様のブロック構成を有するため、重複する説明を省略する。同様に基地局22としての処理を実行する通信装置22は上記基地局21としての処理を実行する通信装置21と同様のブロック構成を有するため、重複する説明を省略する。同様にASN−GW32としての処理を実行する通信装置32は上記ASN−GW31としての処理を実行する通信装置31と同様のブロック構成を有するため、重複する説明を省略する。
図34に示す如く、移動局11としての処理を実行する通信装置11は、C−Plane処理部102,MS APL部101Aを有するU−Plane処理部101,R1-IF部103,IP部104及びAir−IF部105を有する。C−Plane処理部102は制御処理を行う。U−Plane処理部101はユーザデータに係る処理を行う。MS APL部101Aは各種アプリケーション(VoIPやWebブラウザ、メール等)に係る処理を行う。R1−IF部103はR1インタフェース処理(移動局と基地局との間のインタフェース)の処理を行う。IP部104はIP処理(TCP/IF,UDP/IP,ルーティング処理等)を行う。Air−IF部105は無線インタフェースを提供する。
基地局21としての処理を実行する通信装置21は、C−Plane処理部201,U−Plane処理部202、R1−IF部203,R6-IF部205,Tunnel処理部204,IP部207、NIC部208,及びAir−IF部206を有する。C−Plane処理部201は折り返しIF処理部201Aを有する。U−Plane処理部202はDataPath処理部202Aを有し、DataPath処理部202Aは折り返し管理部202Bを有する。又R6−IF部205は折り返し用IF部205Aを有する。
C−Plane処理部201は制御処理を行う。U−Plane処理部202はユーザデータに係る処理を行う。R1−IF部203はR1インタフェース処理(移動局と基地局との間のインタフェース)の処理を行う。R6−IF部205はR6インタフェース処理(基地局とASN−GWとの間のインタフェース処理)を行う。IP部207はIP処理(TCP/IF,UDP/IP,ルーティング処理等)を行う。Air−IF部206は無線インタフェースを提供する。
またDataPath処理部202Aはデータ転送に係る経路管理を行う。Tunnel処理部204はGREトンネルの管理を行う。NIC部208はネットワークインタフェースカード(Network Interface Card、以下同様)である。折返し用IF部205Aは、ASN−GWからの、R6のインタフェースを拡張した折返し指示(設定/解除/経路設定/経路解除)を解析する。折返しIF処理部201Aは受信した折返し指示を折返し管理部202Bに伝達する。折返し管理部202Bは折返し指示に従ってNAT/経路/ルーティングを設定する。
ASN−GW31としての処理を実行する通信装置31は、C−Plane処理部301,U−Plane処理部302、FA部303,DHCP Proxy部304,R6−IF部307,R4/R3−IF部306,Tunnel処理部305,IP部308、NIC部309,310を有する。C−Plane処理部301は折り返しIF処理部301Aを有する。U−Plane処理部302はDataPath処理部302Aを有し、DataPath処理部302Aは折り返し管理部302Bを有する。又R6−IF部307は折り返し用IF部307Aを有する。
C−Plane処理部301は制御動作を行う。U−Plane処理部302はユーザデータに係る処理を行う。R6−IF部307はR6インタフェースに係る処理(基地局とASN−GWとの間のインタフェース処理)を行う。IP部308はIP処理(TCP/IF,UDP/IP,ルーティング処理等)を行う。DataPath処理部302Aはデータ転送に係る経路管理を行う。Tunnel処理部305はGRE/MIPトンネルの管理を行う。NIC部309,310はネットワークインタフェースカードである。FA部303はFAとしての処理を行う。R4/R3-IF部はR4(ASN−GWと他のASN−GWとの間のインタフェース)及びR3(ASN−GW31と上位の装置との間のインタフェース)に係る処理を行う。折返し用IF部307Aは基地局に対してR6インタフェースにて折返し指示メッセージを組み立てて送信する。折返しIF処理部301Aは折返しの状態により基地局に対して指示を発行する。折返し管理部302Aは折返し管理テーブルを基にパケットチェック及び折返し判定を行う。
以下に図34とともに、図10とともに上述の実施例1の通信システムの上り側の動作における、これら各ブロックの動作を説明する。尚図34図中、矢印はデータの流れを示し、各矢印に付した数字は、以下に示す各動作の項目番号に対応する(以下同様)。
1)移動局11のMS APL部101Aにより、FTPや音声等の、各アプリケーションに係るデータのパケットがIP部104に転送される。
2)IP部104でIPヘッダが設定されたパケットが、Air−IF部を経由して基地局21に転送される。
3)基地局21ではAir−IF部206から受け取ったパケットをDataPath処理部202Aで経路管理し、該当する経路に対応するトンネリング処理を決定する。
4)Tunnel処理部204ではGREトンネルのカプセル化が行われる。
5)GREトンネルのカプセル化がなされたパケットがIP部207に転送される。
6)IP部207により、パケットがASN−GW31に向けて転送される。
7)ASN−GW31が、GREトンネルにより転送されたパケットを受信する。
8)トンネル処理部305がGREトンネルのカプセル化を解除し、DataPath処理部302Aにパケット情報を転送する。
9)DataPath処理部302Aは受け取ったパケットを経路管理しTunnel処理部305へ転送する。尚折り返し判定を行うときのパケットチェック及び判定はDataPath処理部302A内の折り返し管理部302bが行う。
10)パケットはTunnel処理部305からFA部303へ転送され、FA部303がFAとしての処理を実行し、移動局11のローカルIPをHAのアドレスであるHA1に書き換える。パケットはTunnel処理部305へ転送される。
11)Tunnel処理部305は当該パケットをIP部308に転送する。
12)当該パケットが更にNIC310からHA42に転送される。
次に図35とともに、上記実施例1の構成において、下り側の動作における各ブロックの動作について説明する。
13)移動局12のHAであるHA42によりパケットがMIPトンネル経由でASN−GW31のNIC部310に転送される。
14)Tunnel処理部305へパケットが転送される。
15)Tunnel処理部305がMIPトンネルを解除し、FA303がFAとしてHA42宛のIPアドレスを移動局42宛のIPアドレスに変更する(HA42から移動局12へのIPアドレスの変更はHAで行われる場合もある)。
16)カプセル化が解除されたパケットがDataPath処理部302Aに転送される。
17)移動局12へのデータ経路として経路管理されたパケットがTunnel処理部305へ転送される。
18)Tunnel処理部305でGREトンネルのカプセル化がなされ、基地局21宛とされ、IP部308へ転送される。
19)GREトンネルのカプセル化がなされたパケットが基地局21宛に転送される。
20)基地局21では、前記GREトンネルのカプセル化がなされたパケットがIP部207からTunnel処理部204に転送される。
21)Tunnel処理部204はGREトンネルのカプセル化を解除しDataPath処理部202Aへパケットを転送する。
22)DataPath部202Aでデータ経路として無線区間が割り当てられたパケットがAir−IF部206に転送される。
23)Air−IF部206から無線区間でパケットが転送される。
24)これを受信した移動局12では、無線区間を転送された当該パケットがIP部104から、IPパケットとして、当該移動局12のアプリケーション処理を行うMS APL部101Aに転送される。
次に図36とともに、図14とともに上述の実施例1の通信システムの、パケットの折り返しの設定の動作における、これら各ブロックの動作を説明する。
1)ASN−GW31のDataPath処理部302A内の折り返し管理部302Bが、移動局11,12間の通信に係るパケットを折り返しの対象として登録すべきか否かを決定する。折り返しの対象とすべきと決定されると、折り返し情報(すなわち上記NAT情報、ルーティング情報、経路情報等)が抽出され、C−Plane処理部301内の折り返しIF処理部301Aに対し、折り返し指示が出される。
2)折り返しIF処理部301Aにて折り返し指示メッセージが組み立てられ、当該メッセージが、基地局とASN−GWとの間の制御IFであるR6-IF処理部307に転送される。
3)R6−IF処理部307にて当該メッセージがR6によるメッセージとして組み立てられ、基地局21宛とされてIP部308に転送される。
4)当該メッセージがIP部308によりR6によるメッセージとして基地局31へ転送される。
5)基地局21では、そのIP部207がこれを受信し、前記R6によるメッセージを抽出してR6−IF処理部205に転送する。
6)R6−IF処理部205は前記折り返し指示メッセージを抽出し、C−Plane処理部201内の折り返しIF処理部201Aに同メッセージを転送する。
7)折り返しIF処理部201Aは、同メッセージから返し情報を抽出し、DataPath処理部202A内の折り返し管理部202Bに折り返し指示を出す。これを受け、折り返し管理部202Bはパケットの折り返しの実施のために必要なNATの設定、ルーティングの設定を実施する。
次に図37とともに、図14とともに上述の実施例1の通信システムの、上記パケットの折り返しの設定後に実施される、パケットの折り返しの動作における、これら各ブロックの動作を説明する。
1)FTPや音声等の、アプリケーションに係るデータが移動局11のMS APL部101Aで生成され、同データのパケットとしてIP部104に転送される。
2)IP部104は同パケットに対しIPヘッダを設定し、Air−IF部105を経由して基地局21に転送する。
3)基地局21では、Air−IF部206が同パケットを受信し、DataPath処理部202Bが同パケットの経路管理を実施する。
4)折り返し管理部202Bが同パケットの宛先のIPアドレスに基づいて同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当すると判定し、パケットの折り返しのための処理を行う。具体的にはNAT処理であり、宛先アドレスをHA42から移動局12のものに置き換え、送信元アドレスを移動局11のものからHA31ものへと置き換え、同パケットをTunnel処理部204へ転送する。
5)Tunnel処理部204はカプセル化を実施せず、同パケットをIP部207へ転送する。
6)IP部207は同パケットに対し、その宛先ヘッダ部にしたがってルーティング処理を実施し、同パケットをTunnel処理部204に転送する。すなわち同パケットが折り返される。
7)同パケットはカプセル化されずにDataPath処理部202Aに転送される。
8)DataPath処理部202Aは、同パケットに対する経路として、移動局12への経路を割り当て、同パケットをAir−IF部206に転送する。
9)Air−IF部206は同パケットを、無線区間で移動局12宛に転送する。
10)移動局12はこれを受信し、IP部104が同パケットをIPパケットとしてMS APL部101Aに転送する。
次に図38とともに、図22とともに上述の実施例2の通信システムの、パケットの折り返しの設定の動作における、上記各ブロックの動作を説明する。
1)ASN−GW31のDataPath処理部302A内の折り返し管理部302Bは、移動局11、12間の通信に係るパケットを、パケットの折り返しの対象として登録すべきとの決定を行う。同処理部302Aは同決定後、パケットの折り返しの実施に必要な情報、すなわちNAT情報、ルーティング情報、経路情報等を抽出し、C−Plane処理部301内の折り返しIF処理部301Aに対し、パケットの折り返しの指示を出す。
2)同折り返しIF処理部301Aは、基地局21向けとして、パケットの折り返しのための折り返し指示メッセージを組み立て、基地局とASN−GWとの間の制御IFとしてのR6−IF処理部307へ同パケットを転送する。
3)R6−IF処理部307は基地局21向けのR6−IF処理としてR6によるメッセージを組み立て、同メッセージを基地局21宛として、IP部308へ転送する。:
4)又上記折り返しIF処理部301Aは、基地局22向けの、パケットの折り返しのためのIF処理として折り返し指示メッセージを組み立て、基地局とASN−GWとの間の制御IFとしてのR6−IF処理部307に対し、同メッセージを転送する。
5)他方R6−IF処理部307は基地局22向けのR6−IF処理としてR6によるメッセージを組み立て、同メッセージを基地局22宛としてIP部308へ転送する。
6)IP部308から各基地局21,22に対し、前記折り返し指示メッセージが前記R6によるメッセージとして転送される。
7)各基地局21,22はそれぞれ同メッセージを受信し、各々のIP部107が同R6によるメッセージを抽出し、R6−IF処理部205に転送する。
8)同R6−IF処理205は前記折り返し指示メッセージを抽出し、C−Plane処理部201内の折り返しIF処理部201Aに同メッセージを転送する。
9)同折り返しIF処理部201Aは同メッセージから前記折り返し情報を抽出し、DataPath処理部202A内の折り返し管理部201Aに対し、パケットの折り返しのための指示を出して経路設定を行う。
10)又同折り返し管理部201Aは折り返し経路確認用パケットを生成しTunnel処理部204に転送する。
11)Tunnel処理部204は、同折り返し経路確認パケットに対しGREトンネルのカプセル化を行い、IP部207へ転送する。
12)IP部207は当該GREトンネルのカプセル化がなされたパケットを、互いに他の基地局に対し転送する。すなわち基地局21が基地局22へ、基地局22が基地局21へ、相互に折り返し経路確認パケットを転送し合う。
13)各基地局21,22では同パケットを受信する。同パケットは各基地局において、IP部207からTunnel処理部204へと転送される。
14)Tunnel処理部204ではGREトンネルのカプセル化を解除し、解除後のパケットを折り返し管理部202Bに転送する。折り返し管理部202Bは前記折り返し情報(すなわちNAT情報、ルーティング情報)の設定を行う。
次に図39とともに、図22とともに上述の実施例2の通信システムの、上記パケットの折り返しの設定後に実施される、パケットの折り返しの動作における、これら各ブロックの動作を説明する。
1)移動局11において、FTPや音声等の、アプリケーションに係るデータをMS APL部101Aが生成し、同データをパケットとしてIP部104へ転送する。
2)IP部104はこれにIPヘッダを設定し、Air−IF部105経由で基地局21に転送する。
3)基地局21において、そのAir−IF206が同パケットを受信し、DataPath処理部202Aに転送する。同処理部202Aは同パケットに対し経路管理を実施する。
4)DataPath処理部202Aが、同パケットの宛先のIPアドレスに基づき、同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するとの判定を行う。DataPath処理部202Aの折り返し管理部202Bは、パケットの折り返しの実施に必要な処理を実施する。すなわち、NAT処理を行い、送信元アドレスを移動局11のものからHA41のものへと置き換え、基地局21から基地局22へ向けたGREトンネルによるカプセル化を行う。その後同パケットはTunnel処理部204へ転送される。
5)Tunnel処理部204でGREトンネルのカプセル化がなされたパケットはIP部207に転送される。
6)IP部207は同GREトンネルに基づき、同パケットを基地局22へ転送する。
7)基地局22において同パケットが受信され、そのTunnel処理部204へ転送される。
8)Tunnel処理部204は上記GREトンネルのカプセル化を解除し、DataPath処理部202Aへ同パケットを転送する。同処理部202Aの折り返し管理部202Bは折り返し管理を実施し、パケットの折り返しのための処理を行う。すなわち、NAT処理を行い、同パケットの宛先アドレスをHA42のものから移動局12のものに置き換える。
9)その結果DataPath処理部202Aは当該パケットに対する経路として移動局12への経路を割り当て、同パケットをAir−IF部206へ転送する。
10)同Air−IF部206は同パケットを無線区間で移動局12に転送する。
11)移動局12において、同パケットが受信されると、そのIP部104が同パケットをIPパケットとしてMS APL部101Aへ転送する。
次に図40とともに、図26とともに上述の実施例3の通信システムの、上記パケットの折り返しの設定の解除の動作における、上記各ブロックの動作を説明する。
1)移動局12における電源断等により該当するデータ経路の消失が発生し、これが基地局22内のDataPath処理部202Aで検知されると、同処理部202AからC−Plane処理部201にデータ経路削除の指示が出される。
2)その結果C−Plane処理部201はDataPath De−Registration Requestメッセージを生成し、R6−IF処理部205に転送する。
3)R6−IF処理部205は同メッセージをR6によるメッセージとして組み立て、IP部207へ転送する。
4)IP部207は同メッセージをASN−GW31宛に転送する。
5)ASN−GW31において、同メッセージがR6によるメッセージであるため、R6−IF処理307に同メッセージが転送される。
6)R6−IF処理部307は同メッセージから前記DataPath De−Registration Requestメッセージを抽出し、これをC−Plane処理部301に転送する。
7)C−Plane処理部301は前記DataPath De−Registration Requestメッセージを解析し、前記移動局12の経路削除情報を得る。同情報は折り返しIF処理部301Aを介し、DataPath処理部302Aの折り返し管理部302Bに転送される。折り返し管理部302Bは、対応するパケットの折り返しの設定の解除が必要かどうかを判断する。
8)その結果パケットの折り返しの設定の解除が必要な場合、折り返し管理部302Bは該当するパケットの折り返しの設定を解除するための情報を生成し、同情報を折り返しIF処理部301Aに転送し、パケットの折り返しの設定を解除する指示を行う。
9)折り返しIF処理部301Aはこれを受け、基地局21向けの折り返しIF処理として、折り返し解除メッセージを組み立て、R6-IF処理部307に転送する。
10)R6−IF処理部307は同メッセージをR6によるメッセージとして組み立て、基地局21宛として、IP部308へ転送する。
11)又上記折り返しIF処理部301Aは基地局22向けの折り返し解除メッセージを組み立て、R6−IF処理部307に転送する。
12)R6−IF処理部307は同メッセージをR6によるメッセージとして組み立て、基地局22宛としてIP部308に転送する。
13)その結果、IP部308から各基地局21,22に対し、折り返し解除メッセージがR6によるメッセージとして転送される。
14)各基地局21,22において、同メッセージが受信され、各々のIP部207が同メッセージからR6によるメッセージを抽出し、R6−IF部205へ転送する。
15)同R6−IF部205は同メッセージから前記折り返し解除メッセージを抽出し、C−Plane処理部201内の折り返しIF処理部201Aに転送する。
16)同折り返しIF処理部201Aは、同メッセージから前記パケットの折り返しの設定の解除のための情報を抽出する。同折り返しIF処理部201Aは同情報に基づき、DataPath処理部202内の折り返し管理部202Aに対し、パケットの折り返しの設定の解除を指示する。その結果、同折り返し管理部202Aは、これを受け、該当するパケットの折り返しに係る経路の解除、NATの解除,ルーティングの解除を行う。
次に図41とともに、図33とともに上述の実施例4の通信システムにおいて、ハンドオーバが実行された場合の上記各ブロックの動作を説明する。
1)移動局12が基地局23の管理下に移動することによってハンドオーバが実行される場合、移動局12内のC−Plane処理部102がHOリクエストメッセージを生成し、これをR1−IF処理部103に転送する。
2)同処理部103は同メッセージからR1メッセージを生成してAir−IF部105を介し送信する。
3)Air−IF部105は無線区間でR1メッセージとしてHOリクエストメッセージを基地局23へ転送する。
4)基地局23において、同メッセージが受信され、同メッセージがR1メッセージのため、同メッセージはAir−IF部206からR1−IF処理部203に転送される。
5)同処理部203は前記HOリクエストメッセージを抽出し、C−Plane処理部201に転送する。
6)C−Plane処理部201はHOリクエストメッセージをそのままR6−IF処理部205へ転送する。
7)同処理部205は同メッセージをR6によるメッセージとして組み立てIP部207に転送する。
8)IP部207は同メッセージをASN−GW31宛に転送する。
9)ASN−GW31において、同メッセージがR6によるメッセージであるため、同メッセージはIP部308からR6−IF処理部307に転送される。
10)同処理部307はHOリクエストメッセージを抽出し、C−Plane処理部301に転送する。
11)C−Plane処理部301はHOリクエストメッセージを解析し、移動局12の経路に対するハンドオーバの実施に係る情報を折り返しIF処理部301Aを介してDataPath処理部302Aの折り返し管理部302Bに転送する。折り返し管理部302Bは同情報を参照し、対応するパケットの折り返しの設定の解除が必要かどうかを判断する。
12)その結果該当するパケットの折り返しの設定の解除が必要との判断となった場合、折り返し管理部302Bは折り返し解除情報を生成し、折り返しIF処理301Aに対し折り返し解除指示を与える。
13)折り返しIF処理301Aは同指示により基地局21向けの折り返し解除メッセージを組み立て、R6−IF処理部307に転送する。
14)R6−IF処理部307は同メッセージをR6によるメッセージとして組み立て、IP部308に転送する。
15)上記同様、折り返しIF処理301Aは同指示により基地局22向けの折り返し解除メッセージを組み立て、R6−IF処理部307に転送する。
16)R6−IF処理部307は同メッセージをR6によるメッセージとして組み立て、IP部308に転送する。
17)このようにして前記折り返し解除メッセージが各基地局21,22に転送される。
18)各基地局21,22では、同メッセージが抽出され、R6−IF処理部205に転送される。
19)各基地局21,22において、同処理部205にて前記折り返し解除メッセージが抽出され、C−Plane処理部201内の折り返しIF処理部201Aに同メッセージが転送される。
20)各基地局21,22において、折り返しIF処理部201Aは上記折り返し解除情報を抽出し、DataPath処理部202Aの折り返し管理部202Bに対し、パケットの折り返しの設定の解除の指示を行う。同管理部202Bはこれに従い該当するパケットの折り返しの設定に係る経路の解除、NATの解除,ルーティングの解除を実施する。
以下に図42乃至61とともに、実施例5及び6による通信システムについて説明する。
実施例5,6による通信システムでは、上記実施例1乃至4による通信システムにおける基本的な考え方を3GPPの技術に適用する。実施例1乃至4による通信システムではWiMAXの技術に基づいた基地局とASN−GWとにおいて行われるパケットの転送経路制御により、パケットの折り返しを行う。その結果基地局及びASN−GWの各々におけるデータ処理負荷の軽減及び伝送リソースの負荷の軽減を図る。これに対し実施例5,6では、WiMAXの技術における基地局に対応するeNBと、ASN−GWに対応するaGWとにおいて行われるパケット転送経路制御により、パケットの折り返しを行う。その結果eNB及びaGWの各々におけるデータ処理負荷の軽減及び伝送リソースの負荷の軽減を図る。
3GPPの技術に基づく通信システムにおいては高速化する無線側の通信パケットを集約するaGWにパケット振り分け処理が集中し、マシン負荷が大きい。又3GPPの技術に基づく通信システムにおいては高速化する無線側の通信パケットを集約するaGWの管理下の通信網は通常1Gbpsのデータ伝送速度を有する。このため無線側のデータ伝送速度が高速化すればするほどリソース不足となる。又複数のaGWを跨って行われる移動局間パケット通信においてもこれら2つの課題が想定される。
実施例5、6による通信システムでは、aGWがその管理下の移動局の通信状態を監視し、必要に応じ上記の如くのパケットの折り返しのための設定を行う。又eNBは、このようなaGWからのパケットの折り返しのための設定により、eNB間でパケットを折り返す転送経路を設定する。またaGWはハンドオーバが実施される際、前記パケットを折り返す転送経路の設定を解除する。aGWは又、複数のaGWを跨った移動局間の通信において、aGW装置相互間で連携しパケットの折り返しのための設定を行う。
すなわち実施例5,6による通信システムでは、eNBを管理しているaGWがPDA等による移動局からのパケットの宛先をチェックする。同宛先が当該aGWの管理下のeNBの管理下の移動局であった場合、aGWは当該eNB装置に対してNAT(すなわちIPアドレスの変更/置き換え)処理、eNB間のトンネルの構築、ルーティングテーブルの変更指示を行う。すなわちeNB内及びeNB間内でパケットの転送経路を変更し、パケットの折り返しを実施する。このようにしてaGW等における処理負荷及び伝送リソースの負荷を軽減する。
上記WiMAXの技術に基づいた実施例1乃至4による通信システムの基本的な考え方を3GPPの技術に基づいた通信システムに適応させて実施例5,6による通信システムを実現するための具体的な方法につき、以下に説明する。
上記した図4,5に示す如く、基本的に3GPP系の技術と無線LAN系(すなわちWiMAX)の技術とが相互に統合段階にあるため、主な装置構成や各装置が実行する処理は相互に類似している。しかしながら装置間のインタフェースについてはWiMAX、3GPPのそれぞれ技術において別個にインタフェース規定が設けられている。このため、実施例1乃至4による通信システムの基本的な考え方を3GPPの技術に適用するためには、以下のインタフェース(Reference Point)においてメッセージの追加が必要となる。
すなわち、図42中、Reference Point X2において、eNB21A,22A間でパケットの折り返しのために転送経路を確立或いは同経路を解除するためのメッセージを追加する。図42は3GPPの技術におけるReference Pointの例を示す。
Refernce Point S1において、eNB21AとaGW31Aとの間で、パケットの折り返しを実施する旨の指示(すなわち、パケットの折り返しの設定或いはその解除を行う旨)を行うメッセージを追加する。
Reference Point S5において、aGW31A,32Aの間で、パケットの折り返しを実施する旨の指示の連携を行うためのメッセージを追加する。
尚現在、3GPPの技術に係る勧告が作成中の段階であるため、下記装置は以下の別名で表される場合もある。
すなわちaGWはServing GWと称されることがある。又LTEアンカーはPDN(Packet Data Network or Public Data Network)GWと称されることがある。
上記した図7,8に示す3GPPの技術における移動局からaGWまでのプロトコルスタックの実装において、3GPPにおいては上記PDCPと称されるヘッダの圧縮、シーケンス番号管理等を行うプロトコルがIPパケットの層の下層に位置する。このためeNBでIPパケットを抽出或いは生成する場合、PDCP情報が必要となる。このため、aGWからeNBへのパケットの折り返しを実施する旨の指示の情報の転送にPDCP情報も追加する必要がある。
ここで上記プロトコルスタックについても規定中の段階であるため、上記した図8に示す構成もあり得る。この場合はeNBにてPDCPが終端されるため、aGWからeNBに向けてのPDCP情報の転送は不要となる。
以下実施例5による通信システムの構成につき、図43乃至図49とともに説明する。
図43はeNBの管理下の移動局11と移動局12との間で通信がなされる場合のパケットの流れを示す。
移動局11から移動局12へパケットの転送が行われる場合につき、図中の矢印で示される経路を順に説明する。
1)移動局11からeNB21Aに対し、宛先アドレスがGA2(移動局12のローカルIPアドレスに対応するグローバルIPアドレス)とされたパケットが無線区間を転送される。また当該IPパケットはPDCPの設定処理(エンコード)が行われPDCPパケットヘッダが付与されている。
2)eNB21AからaGW31A迄の間の転送では、当該パケットはGREトンネル或はGPRS Tunneling Protocol for the
U−Plane(以降単にGTP−Uと称する)によってカプセル化される。その宛先アドレスはaGW31Aのアドレスとされる。同カプセル化されたパケットの内部ヘッダは維持される。
3)aGW31Aは当該パケットを受け、PDCPの解除処理(デコード)を行って前記IPパケットを抽出する。そして当該移動局11からのパケットの送信元のアドレスを移動局11のアドレスから移動局11のグローバルIPアドレスであるGA1に置き換える。そして同パケットはLTEアンカー41A宛のGTP−Uトンネルにより転送される。尚この移動局11のグローバルIPアドレスであるGA1にパケットの送信元アドレスを変更する処理は、LTEアンカー41A側で行う場合もある。
4)LTEアンカー41Aは、GTP−Uトンネルを経由し、移動局12を管理するaGWとしてのaGW31A宛に、当該パケットをカプセル化して転送する。この時LTEアンカー41Aは、ヘッダの宛先アドレスをGA2から移動局12のものに置き換える。このようにヘッダの宛先アドレスをGA2から移動局12のものに置き換える動作は、aGW31Aが行ってもよい。
5)aGW31AはIPパケットにPDCPの設定処理を行い、GREトンネル或いはGTP−Uを経由し、eNB21Aへ同パケットを転送する。
6)これを受けたeNB21はGREトンネル或いはGTP−Uのカプセル化を解除し、移動局12へ同パケットを転送する。
7)移動局12はこれを受け、PDCPの解除処理を行い前記IPパケットを抽出する。
尚上記の如くPDCPの終端が移動局とeNBとの間でなされる構成の場合には、前記項目3)のPDCPの解除と項目5)のPDCP設定とが、それぞれ項目2)と項目6)との各々におけるeNB21Bでの処理に移行する。又図43におけるeNB21AとaGW31Aとの間のパケットにPDCPヘッダは設定されない。
次に、上記のIPパケットの転送及び処理に係るシーケンスを、図44とともにPDCPの終端が移動局とaGWとの間でなされる構成の場合につき説明し、図45とともに移動局とeNBとの間でなされる構成の場合につき説明する。
図44のシーケンスでは、ステップS151で移動局11はFTPを実行する。そしてPDCPを設定し(S152)、パケットをeNB21Aに転送する。eNB21Aはこれを受信すると、同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かを判定する(S153)。同判定の結果当該パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当しない場合、同パケットをカプセル化し、その宛先をaGW31Aとして同パケットを転送する(S154)。
aGW31Aは同パケットを受信すると、カプセル化を解除し(S155)、PDCPを解除する(S156)。そして実施例1の場合と同様に折り返し適応判定を実施する(S157)。aGW31Aは又、パケットの宛先を移動局11のものからGA1に置き換え(S158)、カプセル化を行い(S159),LTEアンカー41Aに転送する。
LTEアンカー41Aはこれを受け、カプセル化を解除し(S160),パケットの宛先を移動局12のアドレスとするルーティングを行う(S161)。そしてカプセル化を行って(S162),同パケットをaGW31Aに転送する。
aGW31Aはこれを受け、カプセル化を解除し(S163)、上記同様折り返し適用判定を行い(S164)、PDCPの設定を行う(S165)。そしてカプセル化を行い(S166),eNB21Aに同パケットを転送する。
eNB21Aは同パケットを受信してカプセル化を解除し(S167)、同パケットを移動局12に転送する。
移動局12はこれを受信し、PDCPを解除し(S168),当該パケットのデータを得る(S169)。
図45のシーケンスでは、ステップS171で移動局11はFTPを実行する。そしてPDCPを設定し(S172)、パケットをeNB21Aに転送する。eNB21Aはこれを受信すると、PDCPを解除する(S173)。そして同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かを判定する(S174)。同判定の結果当該パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当しない場合、同パケットをカプセル化し、その宛先をaGW31Aとして同パケットを転送する(S175)。
aGW31Aは同パケットを受信すると、カプセル化を解除し(S176)、図44の場合同様、折り返し適応判定を実施する(S177)。aGW31Aは又、パケットの宛先を移動局11のものからGA1に置き換え(S178)、カプセル化を行い(S179),LTEアンカー41Aに転送する。
LTEアンカー41Aはこれを受け、カプセル化を解除し(S180),パケットの宛先を移動局12のアドレスとするルーティングを行う(S181)。そしてカプセル化を行って(S182),同パケットをaGW31Aに転送する。
aGW31Aはこれを受け、カプセル化を解除し(S183)、上記同様折り返し適用判定を行い(S184)、そしてカプセル化を行い(S185),eNB21Aに同パケットを転送する。
eNB21Aは同パケットを受信してカプセル化を解除し(S186),PDCPを設定し(S187),同パケットを移動局12に転送する。
移動局12はこれを受信し、PDCPを解除し(S188),当該パケットのデータを得る(S189)。
上記のaGW31AからLTEアンカー41Aへのパケットの送信時及びLTEアンカー41AからaGW31Aへのパケットの受信時の各々において、当該パケットの宛先或いはその送信元のアドレスをチェックする。当該アドレスが、GA1,GA2のようなLTEアンカー41Aの管理下のIPアドレスとなっている場合、aGW31Aは、そのパケットがaGW31Aの管理下のeNBにてパケットの折り返しを行うか判断する。
この判断を行うため、aGW31Aは、実施例1においてASN−GW31が行うものとして説明した如く、図46に示す如くの折り返し管理テーブルを設ける。その後、aGW31Aはトラフィック状況やパケットのプロトコル(FTPやストリーミング等)を解析し上記折り返し適応判定を行う。同判定の結果移動局11,12間の通信に係るパケットの折り返しの設定をおこなうべきと判断した場合,aGW31Aは、図46の折り返し管理テーブルに基づき、実施例1のASN−GW31の場合同様、該当するパケットの折り返しを実施するためのNAT情報及びルーティング情報を生成する。更に図47に示す如くに折り返し管理テーブルの折り返し状態を更新し、又図48に示すように、パケットの折り返しを実施する旨の指示を、eNB21Aに対し行う。
図49は上記したパケットの折り返しを行う旨の指示を行う動作、及びその後の移動局11から移動局12へのパケット転送動作のシーケンスを示す。
図49中、aGW31Aは折り返し適応判定を行い、同判定の結果所定の条件(その宛先と送信元)のパケットをパケットの折り返しの対象として登録すべきと判定した場合(S201)、折り返し管理テーブルを更新する。この例の場合は移動局11と移動局12との間の通信に係るパケットにつき、図47に示されるように、該当するレコードの折り返し状態欄に「MS2との折り返し」、「MS1との折り返し」と書き込む(S202)。またaGW31Aは、当該パケットの折り返しがeNB21Aにて実施されるよう、必要なNATの情報及びルーティング情報を生成し、eNB21Aに送信する(S203)。
これを受けたeNB21Aは、当該NATの情報及びルーティング情報を自身に設定(S204)し、該当する移動局11と移動局12との間の通信に係るパケットを、パケットの折り返しの対象として登録する(S205)。
その後移動局11にてFTP処理がなされ(S206)、更にPDCPの設定がなされ(S207),移動局12宛のパケットがeNB21Aに対し転送される。
eNB21Aは同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かをチェックする(S208)。当該パケットはS205にて登録された条件(その宛先と送信元)に合致するため、上記パケットの折り返しのためのNAT処理及びルーティング処理を行う(S209)。その結果eNB21Aにて、パケットの宛先アドレスが移動局12のアドレスに置き換えられ、送信元アドレスが移動局11のGA1に置き換えられる。その結果パケットの折り返しが実施され、当該パケットは直接移動局12に転送される。
移動局12はこれを受信し、PDCPを解除し(S212),当該パケットのデータを得る(S213)。
このようにして、移動局11からのパケットはパケットの折り返しのためのNAT処理及びルーティング処理によりeNB21Aにて折り返され、直接移動局12に対し転送される。
尚PDCPの終端が移動局とeNBとの間でなされる構成とされている場合、aGW31AからeNB21Aへの、パケットの折り返しを行う旨或いはその設定を解除する旨の指示の情報の転送の際のPDCP情報の転送は不要となる。又その後のPDCP情報の設定も不要となる。
次に実施例6による通信システムについて説明する。
実施例6による通信システムは、上記実施例5による通信システムと同様の構成を有する。但し実施例6では、パケットの転送元の移動局11と転送先の移動局12とが、それぞれ別個のaGW31A,32Aに管理されている場合である点が実施例5とは異なる。
実施例1乃至4による通信システムの場合、すなわちWiMAX技術による通信システムの場合、全ASN−GWが管理する移動局をIPアドレスから検索する作業が高負荷となると考えられる。そのため、当該ASN−GWの管理下の範囲内にパケットの折り返しの実施を限定していた。しかしながら、逆にパケットが有するIPアドレスから、同アドレスがどのaGW或いはeNBの管理下の移動局のものかを低負荷で検索可能であれば、このような実施範囲の限定は不要となる。すなわち複数のaGWを跨った移動局間の通信においてもパケットの折り返しを実施することが可能となる。これを実現するための具体的な2つの方法を以下に順に述べる。
まず第1の方法を述べる。第1の方法は、複数のaGWの管理下のE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network、以下同様)を相互に接続することで当該複数のaGW間で連携を行う。図50は当該第1の方法の場合のパケットの流れを示す。
図50中、aGW31Aの管理下のE−UTRAN(E−UTRAN1)及びaGW32Aの管理下のE−UTRAN(E−UTRAN2)の間をルータ55で相互に接続する。その結果aGW31A,32Aの間が連携され、aGW31A,32Aの間で、パケットの折り返しの指示或いはその設定の解除の指示の情報のやりとりが可能となる。その結果図50に示される如くの、複数のaGWを跨った形態であっても、eNB21AとeNB22Aとの間でパケットの折り返しを実施するためのトンネルの構築が可能となり、同トンネルを介したパケットの転送が可能となる。
第2の方法を説明する。第2の方法では、パケットのIPアドレスから、該当する移動局を管理するaGW或いはeNBの位置の低負荷で特定する。上記第1の方法の場合、aGW31Aが移動局12宛のパケットがローカルパケット否かを判定する。この時aGW31Aが、転送中のパケットの宛先IPアドレスから移動局の所在(すなわち移動局12がaGW32AのeNB22の管理下のものか否か等)を出来るだけ低負荷で特定する。当該第2の方法の更に具体的な方法として、以下の第3の方法及び第4の方法が考えられる。
第3の方法は以下の通りである。HSS等、ユーザ情報管理データベースから、移動局を管理するaGWの位置を入手する。すなわちHSS(WiMAXの技術の場合、HAやAAA等に相当する)において、IPアドレスとaGW/eNBとの間の対応付けが管理できるような構成を設ける。そして当該対応付けに基づき、パケットのIPアドレスから、該当する移動局を管理するaGW/eNBの位置を入手する。この方法は、図42に示されるReference Point S6のインタフェースを拡張することにより実現できる。
又第4の方法は以下の通りである。すなわち移動局宛の特殊パケットを送信する。図51に示される如く、aGW31Aが中継する、移動局12へのIPアドレス宛にエコー要求を送信する。同エコー要求は、ICMP等のパケットが拡張されたものが、相手のaGW32A側に対して送信されるものである。これに対するaGW32Aによるエコー応答において該当するaGW情報及びeNB情報を応答させる。aGW31Aが当該aGW情報及びeNB情報を参照することにより、当該IPアドレスの移動局12を管理するaGW32A及びeNB22Aを特定する。
以下図52とともに、実施例6による通信システムにおけるパケットの流れについて説明する。
図52は、互いに異なるaGW31A,32Aの管理下の移動局11,12間で通信がなされる場合を示す。移動局11から移動局12へパケットの転送が行われる場合につき、図52において矢印で示される経路に沿って順に説明する。
1)移動局11からeNB21Aに対し、宛先アドレスがGA2(移動局12のローカルIPアドレスに対応するグローバルIPアドレス)とされ、無線区間でパケットが転送される。また、当該IPパケットはPDCPの設定処理(エンコード)が行われPDCPパケットヘッダが付与されている。
2)eNB21AからaGW31Aへの間の転送はGRE或いはGTP−Uトンネルによるカプセル化で実現され、当該パケットの宛先アドレスはaGW31Aのアドレスとされる。当該カプセル化されたパケットの内部ヘッダは維持される。
3)aGW31Aはこれを受け、PDCPの解除(デコード)を行ってIPパケットを抽出し、当該移動局11からのパケットの送信元アドレスを移動局11のアドレスから移動局11のグローバルIPアドレスであるGA1に置き換える。そしてLTEアンカー41A宛に当該パケットを、GTP−Uトンネルを使用して転送する。尚パケットの送信元アドレスを移動局11のグローバルIPアドレスであるGA1に変更する処理はLTEアンカー41Aの側で行う場合もある。
4)LTEアンカー41Aはこれを受け、GTP−Uトンネルを経由し、移動局12を管理するaGWとしてのaGW32A宛に、当該パケットをカプセル化し転送する。この時LTEアンカー41Aは、当該パケットのヘッダの宛先をGA2から移動局12のアドレスに置き換える。なおこのアドレスの置き換えはaGW32Aが行う場合もある。
5)aGW32Aは当該IPパケットに対しPDCPの設定処理を行い、GREトンネル或いはGTP−Uトンネルを経由しeNB22Aへ転送する。
6)eNB22Aはこれを受け、GREトンネル或いはGTP−Uトンネルのカプセル化を解除し、移動局12へ当該パケットを転送する。
7)移動局12は当該パケットを受信し、PDCPの解除処理を行ってIPパケットを抽出する。
尚PDCPの終端が移動局とeNBとの間で行われる構成の場合には、上記項目3)PDCPの解除処理と項目5)のPDCPの設定処理とが、それぞれ項目2)と項目6とのeNB21Aでの処理に移行する。又この場合、図52において、eNB21AとaGW31Aとの間の転送に係るパケットにPDCPヘッダは設定されない。
次に、このようなIPパケットの転送及び処理のシーケンスを、PDCPの終端が移動局とaGWとの間でなされる構成の場合について(図53)、並びに移動局とeNBとの間でなされる構成の場合について(図54)、順に説明する。
図53のシーケンスでは、ステップS221で移動局11はFTPを実行する。そしてPDCPを設定し(S222)、パケットをeNB21Aに転送する。eNB21Aはこれを受信すると、同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かを判定する(S223)。同判定の結果当該パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当しない場合、同パケットをカプセル化し、その宛先をaGW31Aとして転送する(S224)。
aGW31Aは同パケットを受信すると、カプセル化を解除し(S225)、PDCPを解除する(S226)。そして実施例5の場合と同様に折り返し適応判定を実施する(S227)。aGW31Aは又、パケットの宛先を移動局11のものからGA1に置き換え(S228)、カプセル化を行い(S229),LTEアンカー41Aに転送する。
LTEアンカー41Aはこれを受け、カプセル化を解除し(S230),パケットの宛先を移動局12のアドレスとするルーティングを行う(S231)。そしてカプセル化を行って(S232),aGW32Aに転送する。
aGW32Aはこれを受け、カプセル化を解除し(S233)、上記同様折り返し適用判定を行い(S234)、PDCPの設定を行う(S235)。そしてカプセル化を行い(S236),管理下のeNB22Aに転送する。
eNB22Aは同パケットを受信してカプセル化を解除し(S237)、同パケットを管理下の移動局12に転送する。
移動局12はこれを受信し、PDCPを解除し(S238),当該パケットのデータを得る(S239)。
図54のシーケンスでは、ステップS251で移動局11はFTPを実行する。そしてPDCPを設定し(S252)、パケットをeNB21Aに転送する。eNB21Aはこれを受信すると、PDCPを解除する(S253)。そして同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かを判定する(S254)。同判定の結果当該パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当しない場合、同パケットをカプセル化し、その宛先をaGW31Aとして同パケットを転送する(S255)。
aGW31Aは同パケットを受信すると、カプセル化を解除し(S256)、図53の場合同様、折り返し適応判定を実施する(S257)。aGW31Aは又、パケットの宛先を移動局11のものからGA1に置き換え(S258)、カプセル化を行い(S259),LTEアンカー41Aに転送する。
LTEアンカー41Aはこれを受け、カプセル化を解除し(S260),パケットの宛先を移動局12のアドレスとするルーティングを行う(S261)。そしてカプセル化を行って(S262),同パケットをaGW32Aに転送する。
aGW32Aはこれを受け、カプセル化を解除し(S263)、上記同様折り返し適用判定を行い(S264)、そしてカプセル化を行い(S265),管理下のeNB22Aに同パケットを転送する。
eNB22Aは同パケットを受信してカプセル化を解除し(S266),PDCPを設定し(S267),同パケットを管理下の移動局12に転送する。
移動局12はこれを受信し、PDCPを解除し(S268),当該パケットのデータを得る(S269)。
上記したaGW31AからLTEアンカー41Aへのパケットの送信時及びLTEアンカー41AからaGW43Aへのパケットの受信時の各々において、当該パケットの宛先および送信元の各アドレスをチェックする。同アドレスがGA1,GA2のようなLTEアンカー41Aの管理下のIPアドレスであった場合には、当該パケットにつき、当該aGWの管理下のeNBにてパケットの折り返しを行うか否かを判断する。
この判断を行うためaGW31A及びaGW32Aは、それぞれ図55及び56に示す如くの折り返し管理テーブルを管理する。その後、aGW31A或はaGW32Aはトラフィック状況やパケットのプロトコル(FTPやストリーミング等)を解析し、該当するパケットに対し、上記の如くの折り返し適応判定を行う。判定の結果、移動局11,12間の通信に係るパケットをパケットの折り返しの対象として登録すべきと判断した場合、aGW31A、aGW32Aは、該当するパケットの通信に係る移動局11,12に対し、上記第3の方法或いは第4の方法による検索を行う。その結果、相手側の、各移動局を管理するeNB,aGWを特定する。このように相互に特定されたaGW31A、aGW32A相互間で連携し、互いに図55,図56の折り返し管理テーブルを更新する。又aGW31A、aGW32Aは当該折り返し管理テーブルに基づいて、パケットの折り返しの実施のためのNAT情報及びルーティング情報を生成する。そして図59に示す如く、パケットの折り返しの実施を行う旨の指示を、それぞれの管理下のeNB21A,eNB22Aに対し、行う。
図60は、実施例6による通信システムにおける、上記パケットの折り返しを実施する旨の指示を行う動作及びその後の移動局12から移動局12へのパケット転送動作の一例の動作シーケンスを示す。
図60中、aGW31Aが折り返し適応判定を行う(S281)。又上記第3の方法(S282)或いは第4の方法(S283)を使用し、相互に相手側のeNB、aGWを特定する。上記判定の結果、移動局11,12間の通信に係るパケットをパケットの折り返しの対象として登録すべきと判定した場合、aGW31AはaGW32Aと連携し、折り返し管理テーブルを更新する(S284,S286)。すなわち移動局11と移動局12との間の通信に係るパケットにつき、図57,58に示されるように、該当するレコードの折り返し状態欄に「MS2との折り返し」、「MS1との折り返し」と書き込む。またaGW31A、aGW32Aは、当該パケットの折り返しがそれぞれの管理下のeNB21A、eNB21Bにて実施されるよう、必要なNATの情報及びルーティング情報を生成し、eNB21A、eNB21Bに送信する(S285,S287)。
これを受けた各eNB21B、22Bは、当該パケットの折り返しに係る経路(すなわち該当するパケットを両eNB21A,22A間で直接転送する経路)を自己に設定する(S288,S289)。そして両eNB21A,22Bの間で、当該パケットの折り返しにかかる経路を確認し合うため情報の交換を行う(図中、「折り返しパス確認」)。そして各々、当該NATの情報及びルーティング情報を自身に設定する(S290,S292)。そして移動局11と移動局12との間の通信に係るパケットを、パケットの折り返しの対象として登録する(S291,S293)。
その後移動局11にてFTP処理がなされ(S294)、PDCPの設定がなされ(S295),移動局12宛のパケットがeNB21Aに対し転送される。eNB21Aでは同パケットを受信し、同パケットのPDCPを解除する(S296)。そして同パケットがパケットの折り返しの対象として登録されたものに該当するか否かをチェックする(S297)。そして同パケットに対し、カプセル化を行う(S298)。S297の結果当該パケットはS291にて登録された条件(その宛先と送信元)に合致するため、上記パケットの折り返しに係るNAT処理及びルーティング処理を行う(S299)。すなわちeNB21Aにて、当該パケットの宛先がeNB22Aのアドレスとされ、送信元がeNB21Aのアドレスとされる。又、カプセル化されたパケットの内部ヘッダの送信元アドレスが、移動局11のグローバルアドレスGA1に置き換えられる。その結果当該パケットはeNB22Aへ転送され、eNB22Aはカプセル化を解除する(S300)。そして当該パケットがS293にて登録された条件(その宛先と送信元)に合致するため、上記パケットの折り返しに係るNAT処理及びルーティング処理を行う(S301)。すなわち、当該パケットの宛先アドレスが移動局12のアドレスに置き換えられる。その結果パケットの折り返しが実施され、当該パケットはeNB21A,22Bで折り返されて移動局12に転送される。これを受信した移動局12は同パケットのPDCPを解除し(S303),FTP受信処理にて同パケットのデータを得る(S304)。
尚PDCPの終端が移動局とeNBとの間でなされる構成の場合には、aGWからeNBへの折り返し指示情報にPDCP情報の設定は不要となる。
図61は、それぞれが上記実施例5,6を構成する移動局11、eNB21A,aGW31Aとしての処理を実行する通信装置11,通信装置21A,通信装置31Aのブロック構成を示すブロック図である。尚、移動局12としての処理を実行する通信装置12は上記移動局11としての処理を実行する通信装置11と同様のブロック構成を有するため、重複する説明を省略する。同様にeNB22Aとしての処理を実行する通信装置22Aは上記eNB21Aとしての処理を実行する通信装置21Aと同様のブロック構成を有するため、重複する説明を省略する。同様にaGW32Aとしての処理を実行する通信装置32Aは上記aGW31Aとしての処理を実行する通信装置31Aと同様のブロック構成を有するため、重複する説明を省略する。
図61に示す如く、移動局11としての処理を実行する通信装置11は、MS APL部101Aを有するU−Plane処理部101,C−Plane処理部102、Un−IF部103,IP部104,PDCP処理部106,Air−IF部105を有する。
Control Plane部102は制御用処理を実行し、U−Plane処理部101はユーザデータの処理を行う。MS APL部101Aは種々のアプリケーション(VoIPやWebブラウザ、メール等)に係る処理を行う。Uu−IF部はLTE−Uuインタフェース処理、すなわち移動局とeNBとの間の無線区間のインタフェースに係る処理を行う。IP部104はIP処理、すなわちTCP/IF,UDP/IP,ルーティング処理等を行う。Air−IF部105は無線インタフェースである。
eNB21Aとしての処理を実行する通信装置21Aは、折り返しIF処理部201Aを含むC−Plane処理部201,折り返し管理部202Dを有するBearer管理部202Cを有するU−Plane処理部202を有する。また同通信装置21Aは、折り返し用IF部213Aを有するS1/X2―IF部213,GRE/GTP−U処理部212,Un−IF部211,IP部207,PDCP処理部209,Air−IF部206、NIC部208を有する。
Control Plane部201は制御処理を実行し、U−Plane処理部202はユーザデータの処理を行う。Uu−IF部211はLTE−Uuインタフェース処理、すなわち移動局とeNBとの間の無線区間のインタフェースに係る処理を行う。IP部207はIP処理、すなわちTCP/IF,UDP/IP,ルーティング処理等を行う。Air−IF部206は無線インタフェースである。
Bearer管理部202Cはデータ転送の経路管理を行う。GRE/GTP−U処理部はGREトンネル或はGTP−Uトンネルの管理を行う。S1/X1−IF部はS1(すなわちeNBとaGWとの間)及びX2(すなわちeNB同士)インタフェースの処理を行う。NIC部208はネットワークインタフェースカードである。PDCP処理部209はIPパケットを加工しヘッダの圧縮やシーケンス番号を管理する処理を行う。折返し用IF部213AはaGWから得られる、S1を拡張した折返し指示(設定/解除/経路設定/経路解除)を解析する。折返しIF処理部201Aは受信した折返し指示を折返し管理部202Dに伝達する。折返し管理部202Dは折返し指示に従ってNAT/経路/ルーティング/PDCPを設定する。
aGW31Aとしての処理を実行する通信装置31Aは、折り返しIF処理部301A及びaGW間連携IF処理部301Bを含むC−Plane処理部301を有する。又同通信装置31Aは,折り返し管理部304D及びMS検索処理部302Eを有するBearer管理部302Cを有するU−Plane処理部302を有する。また同通信装置31Aは、折り返し用IF部317Aを有するS1―IF部317、MS検索処理部316Aを有するS6/S5−IF部316を有する。また同通信装置31Aは、PDCP処理部313、GTP−U処理部314,GRE/GTP−U処理部315,IP部311,312,NIC部309,310を有する。
Control Plane部301は制御処理を実行し、U−Plane処理部302はユーザデータの処理を行う。IP部311,312はIP処理、すなわちTCP/IF,UDP/IP,ルーティング処理等を行う。Bearer管理部302Cはデータ転送の経路管理を行う。GRE/GTP−U処理部315はGREトンネル或はGTP−Uトンネルの管理を行う。NIC部309,310はネットワークインタフェースカードである。PDCP処理部313はIPパケットを加工しヘッダの圧縮やシーケンス番号を管理する処理を行う。
S6/S5-IF部316はS5(すなわちaGW同士、或いはaGWとLTEアンカーとの間)並びにS6(すなわちaGWとHSSとの間)インタフェースに係る処理を行う。折返し用IF部317AはeNBに対し、S1インタフェースにて折返し指示メッセージを組み立てて送信する。折返しIF処理部301Aは折返しの状態によりeNBに対して指示を発行する。折返し管理部304Dは折返し管理テーブルを基にパケットチェック及び折返し判定を行う。aGW間連携IF処理部301BはaGW間で折返し情報の連携を行う場合のインタフェースに係る処理を行う。MS検索処理部316AはHSSに対し、相互に通信する移動局を管理するaGW及びeNBの位置に係る情報を要求し、或いは同要求に対する応答のメッセージを組み立てる。MS検索処理部302EはICMPパケットを拡張し、相互に通信する移動局を管理するaGW及びeNBの位置の情報を特定するためのメッセージを送信し或いは受信する。
図62は上述の各実施例による通信システムを構成する各装置をコンピュータで実現する場合について説明するための、コンピュータのハードウェアブロック図である。上記各通信システムとは、移動局11,12,基地局21,22,ASN−GW31、32,eNB21A,22A,aGW31A,32Aの各々としての処理を実行する通信装置11,12,21,22,31,32,21A,22A,31A,32Aを指す。
図62に示すごとく、同コンピュータ500は、与えられたプログラムを構成する命令を実行することによって様々な動作を実行するためのCPU501と、キーボード、マウス等よりなりユーザが操作内容又はデータを入力するための操作部502と、ユーザにCPU501による処理経過、処理結果等を表示するCRT、液晶表示器等よりなる表示部503と、ROM、RAM等よりなりCPU504が実行するプログラム、データ等を記憶したり作業領域として使用されるメモリ504と,プログラム、データ等を格納するハードディスク装置505と、CD−ROM507を媒介として外部からプログラムをロードしたりデータをロードするためのCD−ROMドライブ506と、インターネット、LAN等の通信網509を介して外部サーバからプログラムをダウンロード等するためのモデム508とを有する。
同コンピュータ500はCD−ROM507を媒介として、あるいは通信ネットワーク509を媒介として、プログラムをロードあるいはダウンロードする。同プログラムは、上記各通信装置11,12,21,22,31,32,21A,22A,31A,32Aが実行する処理をCPU501に実行させるための命令を含む。そしてコンピュータ500は同プログラムをハードディスク装置505にインストールし、適宜メモリ504にロードしてCPU501がこれを実行する。その結果、同コンピュータ500により上記各通信装置11,12,21,22,31,32,21A,22A,31A,32Aが実現される。
以上の実施例1乃至6を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
第1のホームエージェントの管理下の端末装置であって基地局の管理下にある第1の端末装置から第2のホームエージェントの管理下の端末装置であって前記基地局の管理下にある第2の端末装置に対し発信された、前記第2のホームエージェント宛のパケットに対し、前記第1の端末装置を管理するフォーリンエージェントとして、前記第1の端末装置から前記基地局を介し転送されてきた前記パケットを前記第2のホームエージェントへ転送する第1の転送手段と、
前記第2の端末装置を管理するフォーリンエージェントとして、前記第2のホームエージェントから自機宛に転送されてきた前記パケットを前記基地局に転送する第2の転送手段と、
所定の条件が満たされた場合、前記第1の端末装置から前記第2の端末装置に対し発信された、前記第2のホームエージェント宛のパケットを受信した前記基地局に対して、前記パケットを直接前記第2の端末装置に転送するよう指示する指示信号を送信する折り返し指示手段と
を有する通信装置。
(付記2)
第1のホームエージェントの管理下の端末装置であって第1の基地局の管理下にある第1の端末装置から、第2のホームエージェントの管理下の端末装置であって第2の基地局の管理下にある第2の端末装置に対し発信された、前記第2のホームエージェント宛のパケットに対し、前記第1の端末装置を管理するフォーリンエージェントとして、前記第1の端末装置から前記第1の基地局を介し転送されてきた前記パケットを前記第2のホームエージェントへ転送する第1の転送手段と、
前記第2の端末装置を管理するフォーリンエージェントとして、前記第2のホームエージェントから自機宛に転送されてきた前記パケットを前記第2の基地局に転送する第2の転送手段と、
所定の条件が満たされた場合、前記第1の端末装置から前記第2の端末装置に対し発信された、前記第2のホームエージェント宛のパケットを受信した前記第1の基地局に対して前記パケットを直接前記前記第2の基地局へ転送するよう指示する第1の指示信号を送信し、前記第2の基地局に対して前記第1の基地局から転送されてきた前記パケットを前記第2の端末装置に転送するよう指示する第2の指示信号を送信する折り返し指示手段と
を有する通信装置。
(付記3)
前記所定の条件は、当該パケットが前記第1の端末装置から前記第2の端末装置へ向けて発信されたパケットであり、
前記第1の端末装置から前記第2の端末装置へ転送されたパケットの量が所定の閾値を超えているという条件、または所定の種別のプロトコルによるパケットであるという条件のうちの、少なくとも一つである付記1または2に記載の通信装置。
(付記4)
前記基地局では、前記第1の端末装置から送信されてきた前記第2のホームエージェント宛のパケットがカプセル化されて前記パケットの宛先アドレスが前記通信装置のアドレスとされ、
前記第1の転送手段は、前記第1の端末装置のフォーリンエージェントとして、前記基地局から転送されてきた前記パケットの前記カプセルの内部の送信元アドレスを、前記第1の端末装置のアドレスから前記第1のホームエージェントのアドレスに置き換え、
前記第2のホームエージェントでは、前記通信装置から転送されてきた前記パケットの前記カプセルの内部の宛先アドレスが前記第2のホームエージェントのアドレスから前記第2の端末装置のアドレスに置き換えられ、更に前記パケットがカプセル化されて前記パケットの宛先アドレスが前記通信装置のアドレスとされ、
前記第2の転送手段は、前記第2の端末装置のフォーリンエージェントとして、前記第2のホームエージェントから転送されてきた前記パケットをカプセル化し、前記パケットの宛先アドレスを前記基地局のアドレスとし、
前記基地局では、前記通信装置から転送された前記パケットのカプセル化が解除され、当該パケットは前記カプセルの内部の宛先アドレスである前記第2の端末装置のアドレスにしたがって前記第2の端末装置へ転送され、
前記折り返し指示手段によって送信される前記指示信号は、宛先アドレスが前記第2のホームエージェントであり送信元アドレスが前記第1の端末装置とされたパケットの当該宛先アドレスを前記第2の端末装置のアドレスに置き換え、前記送信元アドレスを前記第1のホームエージェントのアドレスに置き換える旨の指示内容を有する構成とする付記1に記載の通信装置。
(付記5)
前記第1の基地局では、前記第1の端末装置から転送されてきた前記第2のホームエージェント宛のパケットがカプセル化されて前記パケットの宛先アドレスが前記通信装置のアドレスとされ、
前記第1の転送手段は、前記第1の端末装置のフォーリンエージェントとして、前記第1の基地局から転送されてきた前記パケットの前記カプセルの内部の送信元アドレスを、前記第1の端末装置のアドレスから前記第1のホームエージェントのアドレスに置き換え、
前記第2のホームエージェントでは、前記通信装置から転送された前記パケットの前記カプセルの内部の宛先アドレスが前記第2のホームエージェントのアドレスから前記第2の端末装置のアドレスに置き換えられ、更に前記パケットがカプセル化されて前記パケットの宛先アドレスが前記通信装置のアドレスとされ、
前記第2の転送手段は、前記第2の端末装置のフォーリンエージェントとして、前記第2のホームエージェントから転送されてきた前記パケットをカプセル化して前記パケットの宛先アドレスを前記第2の基地局のアドレスとし、
前記第2の基地局では、前記通信装置から転送されてきた前記パケットのカプセル化が解除され、当該パケットは前記カプセルの内部の宛先アドレスである前記第2の端末装置のアドレスにしたって前記第2の端末装置へ転送され、
前記折り返し指示手段によって送信される前記第1の指示信号は、前記第1の基地局が、宛先アドレスが前記第2のホームエージェントであり送信元アドレスが前記第1の端末装置とされたパケットをカプセル化して当該パケットのアドレスを前記第2の基地局のアドレスとし、前記カプセル内部の送信元アドレスを前記第1のホームエージェントのアドレスに置き換え、前記第2の指示信号は、前記第2の基地局が、前記第1の基地局から転送されてきた前記パケットの前記カプセル化を解除し、前記カプセルの内部の宛先アドレスを前記第2の端末のアドレスに置き換える旨の指示内容を有する構成とする付記2に記載の通信装置。
(付記6)
前記折り返し指示手段は、前記第2の端末装置の電源断或いはハンドオーバが検出された際、前記指示を解除する前記基地局へ送信の基地局へ送信する構成とされてなる付記1乃至5のうちの何れかに記載の通信装置。
(付記7)
第1のホームエージェントの管理下の第1の端末装置から第2のホームエージェントの管理下の第2の端末装置に向けて発信された、前記第2のホームエージェント宛のパケットをカプセル化して前記パケットの宛先アドレスを前記第2の端末装置を管理するフォーリンエージェントとしての装置のアドレスとして転送する転送手段と、
前記フォーリンエージェントとしての装置から転送されてきたパケットのカプセル化を解除して発信する第1の発信手段と、
前記フォーリンエージェントとしての装置からの指示を受け、宛先アドレスが前記第2のホームエージェントであり送信元アドレスが前記第1の端末装置とされたパケットを受信すると当該パケットの前記宛先アドレスを前記第2の端末装置のアドレスに置き換え前記送信元アドレスを前記第1のホームエージェントのアドレスに置き換えて発信する第2の発信手段と
を有する通信装置。
(付記8)
第1のグローバルアドレスを有し基地局の管理下にある第1の端末装置から第2のグローバルアドレスを有し前記基地局の管理下にある第2の端末装置に対し発信された、前記第2のグローバルアドレス宛のパケットに対し、前記第1の端末装置から前記基地局を介し転送されてきた前記パケットを前記第2のグローバルアドレス宛に転送する第1の転送手段と、
アンカーを介し自機宛に転送されてきた前記第2の端末装置宛のパケットを前記基地局に転送する第2の転送手段と、
所定の条件が満たされた場合、前記第1の端末装置から前記第2の端末装置に対し発信された、前記第2のグローバルアドレス宛のパケットを受信した前記基地局に対して前記パケットを直接前記第2の端末装置に転送するよう指示する折り返し指示手段と
を有する通信装置。
(付記9)
第1のホームエージェントの管理下の端末装置であって基地局の管理下にある第1の端末装置から第2のホームエージェントの管理下の端末装置であって前記基地局の管理下にある第2の端末装置に対し発信された、前記第2のホームエージェント宛のパケットに対し、前記第1の端末装置を管理するフォーリンエージェントとして、前記第1の端末装置から前記基地局を介し転送されてきた前記パケットを前記第2のホームエージェントへ転送する第1の転送段階と、
前記第2の端末装置を管理するフォーリンエージェントとして、前記第2のホームエージェントから自機宛に転送されてきた前記パケットを前記基地局に転送する第2の転送段階と、
所定の条件が満たされた場合、前記第1の端末装置から前記第2の端末装置に対し発信された、前記第2のホームエージェント宛のパケットを受信した前記基地局に対して前記パケットを直接前記第2の端末装置に転送するよう指示する折り返し指示段階と
を有する通信装置の制御方法。
(付記10)
前記所定の条件は、当該パケットが前記第1の端末装置から前記第2の端末装置へ向けて発信されたパケットであり、
前記第1の端末装置から前記第2の端末装置へ転送されたパケットの量が所定の閾値を超えているという条件、または所定の種別のプロトコルによるパケットであるという条件のうちの、少なくとも一つである付記9に記載の通信装置の制御方法。