JP5168028B2 - ブレーキ圧制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブレーキ圧制御装置に関し、特に、大型化を抑制しつつ、漏出したブレーキフルードの貯留可能容積を確保することができるブレーキ圧制御装置に関するものである。
ブレーキ圧制御装置は、ブレーキフルードの液圧を減圧、保持または増圧するための制御装置であり、ハウジングに取り付けられるモータと、そのモータの出力軸に取り付けられると共にハウジングのカム収容室に収容される偏心カムと、その偏心カムの回転運動に伴って往復運動してブレーキフルードの圧送または回収を行うと共にカム収容室に連通して形成されるプランジャ収容室に収容されるプランジャとを備えて構成されるのが一般的である。
このブレーキ圧制御装置では、プランジャの往復運動でかき出されて漏出したブレーキフルードがプランジャ収容室からカム収容室へ流入してしまうことがある。
そこで、例えば、特開2006−307688号公報には、漏出したブレーキフルードを溜めるための液溜め室を設ける技術が開示されている。
即ち、この技術によれば、カム室(カム収容室)にリセス加工を施して、そのカム室の側壁面を窪ませることで、液溜め室を形成する。この場合、カム室の側壁面と液溜め室との境界線が電動機(モータ)から反電動機側へ向けて下降されているので、ブレーキフルードは、境界線を伝って、液溜め室へ確実に導かれる。よって、カム室に流入したブレーキフルードがモータ内へ流入することを抑制することができる。
特開2006−307688号公報(例えば、図4、図5など)
しかしながら、上述した従来の技術では、カム室の側壁面を窪ませることで液溜め室を形成する構成であるため、そのカム室の側壁面を窪ませることのできる量に限界があり(即ち、隣接する他の内部空間と干渉しない位置までしか窪ませることができない)、液溜め室の容積を十分に確保することができないという課題があった。
一方で、液溜め室の容積を確保するべく、カム室の側壁面を大きく窪ませると、その窪みとの干渉を避けるために、隣接する内部空間の形成位置を外方へ変更する必要が生じる。そのため、ハウジングの体格が嵩み、その分、ブレーキ圧制御装置の大型化を招くという課題があった。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、大型化を抑制しつつ、漏出したブレーキフルードの貯留可能容積を確保することができるブレーキ圧制御装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載のブレーキ圧制御装置は、ハウジングと、そのハウジングの一側面に取り付けられると共にターミナルおよびそのターミナルを内包する筒状のホルダーを有するモータと、そのモータの出力軸により駆動されブレーキフルードの圧送および回収を行うポンプと、前記モータのターミナルが接続される基板を収容すると共に前記ハウジングの他側面に取り付けられる基板ボックスと、を備え、前記ハウジングが、前記ポンプが収容される収容室と、その収容室に連通されると共に前記モータの出力軸が挿入される挿入室と、前記モータが取り付けられる一側面から前記基板ボックスが取り付けられる他側面まで貫通して形成され前記ターミナル及びホルダーが挿通される挿通孔と、を備えて構成されたブレーキ圧制御装置において、前記挿通孔に挿通されたホルダーの外周面と前記挿通孔の内周面との間に形成される環状隙を閉封する閉封部材を備え、前記ハウジングは、前記挿入室と前記挿通孔とを連通させる連通部を備え、前記ハウジングの収容室から挿入室へ漏出した前記ブレーキフルードが、前記連通部を介して、前記環状隙に捕集されると共に、捕集されたブレーキフルードの前記基板ボックスへの侵入が前記閉封部材により規制されるように構成されている。
請求項2記載のブレーキ圧制御装置は、請求項1記載のブレーキ圧制御装置において、前記挿通孔は、前記ホルダーの外周面との間で前記閉封部材を挟圧する挟圧部と、その挟圧部に隣設されると共に前記挟圧部よりも小さな内径を有する小径部と、その小径部よりも大きな内径を有すると共に前記小径部を挟んで前記挟圧部と反対側に位置し前記連通部により前記挿入室と連通される大径部とを備えている。
請求項3記載のブレーキ圧制御装置は、請求項1又は2に記載のブレーキ圧制御装置において、前記挿通孔における前記ハウジングの他側面側の開口部分には、前記挿通孔の内周面をその挿通孔の内側へ向けて突出させ前記閉封部材との当接によりその閉封部材の前記他側面側への移動を規制可能なかしめ部が形成される。
請求項4記載のブレーキ圧制御装置は、請求項1又は2に記載のブレーキ圧制御装置において、前記環状隙に挿入される挿入部材を備え、前記基板ボックスは、前記ハウジングの他側面に開口した前記環状隙に対向配置される端面部を備え、前記挿入部材は、前記閉封部材と前記基板ボックスの端面部との間に配置される。
請求項5記載のブレーキ圧制御装置は、請求項4記載のブレーキ圧制御装置において、前記挿入部材は、前記基板ボックスの端面部に一体に構成され、前記基板ボックスを前記ハウジングの他側面に取り付けた場合に、前記挿入部材が前記環状隙に挿入される。
請求項6記載のブレーキ圧制御装置は、請求項1から5のいずれかに記載のブレーキ圧制御装置において、前記連通部は、前記ハウジングの一側面に凹設された凹部として形成され、その凹部を介して前記挿入室と挿通孔とが連通されている。
請求項1記載のブレーキ圧制御装置によれば、ハウジングの外側面に取り付けられたモータが作動されると、ハウジングの連通室内に挿入された出力軸が回転される。この出力軸の回転は、ハウジングの収容室に収容されるポンプに伝達され、かかるポンプが駆動されることで、ブレーキフルードの圧送および回収が行われる。
本発明のブレーキ圧制御装置によれば、挿通孔に挿通されたホルダーの外周面と挿通孔の内周面との間に形成される環状隙を閉封部材により閉封すると共に、その環状隙が閉封部材により閉封された連通孔を連通部により挿入室と連通させる構成であるので、環状隙にブレーキフルードを捕集して、ブレーキフルードが基板ボックスの内部へ流入することを抑制することができるという効果がある。
即ち、漏出したブレーキフルードが収容室から連通室へ流入した場合でも、その連通室内のブレーキフルードを、連通部を介して、環状隙へ流入させて、基板ボックスに収容される基板へのブレーキフルードの付着を防止しつつ、かかる環状隙に溜めることができる。
この場合、本発明のブレーキ圧制御装置によれば、挿入室に流入されたブレーキフルードを、連通部だけでなく、環状隙(即ち、挿通孔に挿通されたホルダーの外周面と挿通孔の内周面との間に形成され閉封部材により閉封された空間)にも溜める構成であるので、その分、内部空間を増加させて、ブレーキフルードを溜めることができる容積(貯留可能容積)を十分に確保することができるという効果がある。
更に、本発明のブレーキ圧制御装置によれば、モータのターミナル及びホルダーを挿通させるための孔としての機能と、ブレーキフルードを溜めるための貯留空間としての機能とを、挿通孔に兼用させる構成であるので、ハウジング内のスペースを有効に活用して、貯留空間を追加で形成することを不要とすることができる。その結果、ブレーキフルードの貯留可能容積の増加を図りつつ、ハウジングの大型化を抑制することができるという効果がある。
請求項2記載のブレーキ圧制御装置によれば、請求項1記載のブレーキ圧制御装置の奏する効果に加え、ホルダーの外周面との間で閉封部材を挟圧する挟圧部を備えるので、閉封部材の機能を発揮させて、環状壁の閉封を確実に行うことができるという効果がある。
この場合、本発明のブレーキ圧制御装置によれば、挟圧部よりも小さな内径を有する小径部が挟圧部に隣設する構成であるので、これら挟圧部と小径部との間に段差を形成して、かかる段差により閉封部材の位置決めを行うことができるという効果がある。その結果、閉封部材の位置ずれに起因する貯留空間の減少を抑制することができる。
また、このように、内径が挟圧部よりも小さくされる小径部を設けることで、ホルダーの位置ずれ(径方向への移動)を小径部によって規制することができるので、ホルダーの位置ずれに起因する電気的接続部の接触不良の発生を抑制することができるという効果がある。
また、このように、ホルダーの位置ずれを小径部によって規制することができれば、ホルダーの外周面と挿通孔の内周面との間で挟圧された閉封部材のしめ代が所定値よりも小さくなることを抑制して、必要な面圧を維持することができるので、閉封部材の機能(閉封効果)を確実に発揮させることができるという効果がある。特に、本発明では、小径部を挟圧部に隣設させる構成であるので、閉封部材の面圧の変動をより効果的に小さくすることができる。
更に、本発明のブレーキ圧制御装置によれば、小径部よりも大きな内径を有し連通部が連通される大径部を備えるので、その分、内部空間を増加させて、ブレーキフルードを溜めることができる容積(貯留可能容積)を十分に確保することができるという効果がある。
この場合、大径部が小径部を挟んで挟圧部と反対側に位置する構成であるので、閉封部材をハウジングの他側面(即ち、基板ボックスが取り付けられる面)における開口から環状隙へ装着することができるので、その装着を容易に行うことができるという効果がある。即ち、仮に挟圧部が小径部と大径部との間に位置する構成としてしまうと、閉封部材を大径部側から装着する必要が生じ、その装着作業性の悪化を招く。こうした構成と比較して、本発明は閉封部材の装着作業性が良好である。
請求項3記載のブレーキ圧制御装置によれば、請求項1又は2に記載のブレーキ圧制御装置の奏する効果に加え、挿通孔におけるハウジングの他側面側の開口部分に、挿通孔の内周面をその挿通孔の内側へ向けて突出させたかしめ部が形成される構成であるので、かかるかしめ部が閉封部材に当接することで、その閉封部材の他側面側への移動を規制して、閉封部材がハウジングの他側面側の開口部分から外部へ脱落することを抑制することができるという効果がある。
この場合、例えば、基板ボックスをハウジングへ組み付けることで、その基板ボックスの一部が挿通孔における閉封部材の移動を規制する構成では、基板ボックスをハウジングに組み付けなければ閉封部材の脱落を抑制できないところ、本発明のブレーキ圧制御装置によれば、挿通孔における閉封部材の移動をかしめ部により規制することができるので、基板ボックスをハウジングに組み付けていない状態であっても、閉封部材の脱落を抑制することができるという効果がある。
その結果、例えば、閉封部材をホルダーの他側面における開口から環状隙へ装着する工程の後、基板ボックスをハウジングに組み付ける工程へ移行するまでの間に、閉封部材が脱落することを抑制して、組み立て作業性の向上を図ることができる。
請求項4記載のブレーキ圧制御装置によれば、請求項1又は2に記載のブレーキ圧制御装置の奏する効果に加え、基板ボックスが端面部を備え、この端面部がハウジングの他側面に開口した環状隙に対向配置される構成であるので、かかる端面部により閉封部材の移動を規制して、閉封部材が環状隙の開口から外部へ脱落することを抑制することができるという効果がある。
また、環状隙に挿入される挿入部材を備え、その挿入部材が閉封部材と基板ボックスの端面部との間に配置される構成であるので、かかる挿入部材により閉封部材の抜け止めや位置決めを行うことができるという効果がある。その結果、閉封部材が基板ボックスの端面部側へ位置ずれすることを規制して、かかる閉封部材を所定位置(即ち、ホルダーの外周面と挿通孔の内周面との間で閉封部材が挟圧される位置)に保持することができるので、閉封効果が低下することを抑制することができる。
請求項5記載のブレーキ圧制御装置によれば、請求項4記載のブレーキ圧制御装置の奏する効果に加え、挿入部材を基板ボックスの端面部に一体に構成したので、基板ボックスをハウジングの他側面に取り付けることで、挿入部材の環状隙への挿入も同時に行うことができる。その結果、挿入部材を環状隙へ挿入する作業を省略できる分、組み立て工程を簡素化して、製造コストの削減を図ることができるという効果がある。
請求項6記載のブレーキ圧制御装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載のブレーキ圧制御装置の奏する効果に加え、ハウジングの一側面に凹設された凹部として連通部を形成し、その凹部を介して連通室と貫通孔とを連通させる構成であるので、所定直径(即ち、挿入室と挿通孔との両者に干渉可能な直径)のドリルやエンドミル等を使用してハウジングの一側面に機械加工を施すことで、連通部を、挿通室および挿通孔を互いに連通させつつ、容易に形成することができるという効果がある。
また、このように、連通部をハウジングの一側面に機械加工を施すことで形成可能な構成とすることで、挿入室を機械加工により形成する(又は下穴を形成する)工程、および、挿通孔を機械加工により形成する(又は下穴を形成する)工程と同時に、連通部を形成する工程を、ハウジングの段替え(加工面の変更)を行うことなく、連続して行うことができる。その結果、作業工程を簡素化して、その分、製造コストの削減を図ることができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態におけるブレーキ圧制御装置100の斜視図である。
まず、図1を参照して、ブレーキ圧制御装置100の構成について説明する。図1に示すように、ブレーキ圧制御装置100は、車輪(図示せず)に制動力を付与するブレーキキャリパ(図示せず)のブレーキフルードの液圧を調整する装置であり、ブレーキキャリパの管路に連通されブレーキキャリパの管路へブレーキフルードを圧送およびその管路から回収するハウジング1と、そのハウジング1に収容されブレーキフルードを加圧するポンプ4(図3参照)と、そのポンプ4に動力を付与するモータ2と、通信用コネクターCを有しモータ2を制御するElectronic Control Unit(以下、「ECU」と略す。)3とを主に備えて構成されている。
ハウジング1は、図1に示すように、アルミニウム合金から構成され、モータ取付面1aと、ECU取付面1bと、一対の側面1cと、底面1dと、上面1eとの計6面を備える直方体状に構成されている。
モータ取付面1aは、図示しないマスターシリンダーに接続されるポート51が開口されると共にモータ2が取り付けられる平坦面であり、ECU取付面1bは、ECU3が取り付けられる平坦面である。そのECU取付面1bとモータ取付面1aとは、平行に配設されている。側面1cは、ECU取付面1bとモータ取付面1aとを接続すると共にモータ取付面1aに対して直交する平坦面である。
底面1dは、図1に示すように、側面1cとECU取付面1bとモータ取付面1aとに接続されると共にモータ取付面1a及び側面1cに対して直交する平坦面であり、上面1eは、ブレーキキャリパに接続されるポート52が開口される平坦面である。その上面1eと底面1dとは、平行に配設されている。
次いで、図2及び図3を参照して、ブレーキ圧制御装置100の詳細構成について説明する。図2は、ブレーキ圧制御装置100の断面図であり、図3は、図2のIII−III線におけるハウジング1の断面図である。なお、図3では、理解を容易とするために、規制孔16cの内径D3及び小径孔16bの内径D2を実際より大きく図示している。
図2及び図3に示すように、ハウジング1は、ポンプカム室10と、一対のポンプ孔11と、送出孔12と、回収孔13と、挿通孔16と、連通部17とを主に備えている。
図2に示すように、ハウジング1には、モータ取付面1a上に開口を有するポンプカム室10が凹設されている。ポンプカム室10は、図3に示すように、略円柱状に構成された凹部であり、そのポンプカム室10には、後述するベアリング22が収容され、そのベアリング22が偏心運動することで後述するポンプ4が作動されてブレーキフルードが加圧される。
また、図3に示すように、ポンプ4を収容するポンプ孔11は、ポンプカム室10の内側面10aに開口を有しており、ポンプ孔11を構成する内径の異なる複数の貫通孔にて構成され、それら3個の貫通孔の内、内径の最も小さな孔が内側面10a側(図3中央)に配設され、最も内径の大きな孔が側面1c側(図3左右側)に配設されている。また、一対のポンプ孔11は、ポンプカム室10を挟んだ位置に対抗して配設されており、後述するポンプ4がそれぞれ収容される。
そのポンプ孔11の側面には、図3に示すように、ポンプ4で加圧されたブレーキフルードを送出する送出孔12と、その送出孔12よりポンプカム室10側(図3左右方向中央側)に配設されると共にブレーキフルードを回収する回収孔13とが連通されている。なお、送出孔12及び回収孔13は、電磁弁V(図2参照)等を介してブレーキキャリパの管路(図示せず)などに連通される。
挿通孔16は、図2に示すように、モータ取付面1aからECU取付面1bまで断面略円形状に形成された貫通孔であり、大径孔16aと、小径孔16bと、規制孔16cと、O(オー)リング収容孔16dと、規制面16e(図4参照)とを備えている。なお、挿通孔16の詳細構成は、図4を参照して後述する。
図2及び図3に示すように、連通部17は、ポンプカム室10と挿通孔16とを連通すると共にモータ取付面1aに開口を有する溝である。
ここで、本実施の形態では、連通部17が、ポンプカム室10と挿通孔16とが開口されるモータ取付面1aに開口されているので、加工面を変更することなく連通部17を加工することができる。
即ち、NC加工機の運転を停止してハウジング素材の固定向きを変更することなく、ポンプカム室10の加工工程または挿通孔16の加工工程から連続して連通部17の加工工程を行うことができる。その結果、ブレーキ圧制御装置100の製造工程を簡略して、製品コスト削減を図ることができる。
図3に示すように、ポンプ4は、ハウジング1のポンプ孔11に収容されており、ポンプ摺動部4aと、ポンプ基部4bと、コイルばねとして構成されるばね部4cと、プラグ4dとを備えている。
ポンプ摺動部4aは、一方向(回収孔13から送出孔12に流れる方向)にのみブレーキフルードを流すチェックバルブ機能を備え、略円筒状に構成されると共にポンプ孔11に対して摺動可能とされている。ポンプ摺動部4aは、ポンプ孔11の回収孔13側(図3左右方向中央側)に配設されており、ポンプ摺動部4aの外周面とポンプ孔11の側面との間には、シールリングRが挟持されている。
ポンプ基部4bは、一方向(回収孔13から送出孔12に流れる方向)にのみブレーキフルードを流すチェックバルブ機能を備え、略円筒形状に構成されると共にポンプ孔11に対して固定されている。
図3に示すように、ポンプ基部4bには、ポンプ摺動部4aが内嵌されており、ポンプ基部4bとポンプ摺動部4aとの間には、ばね部4cが介在している。よって、後述するベアリング22が偏心運動することで、ポンプ摺動部4aが周期的にポンプ基部4b側(図3左右方向外側)に付勢される。また、プラグ4dは、ポンプ孔11の側面1c側(図3右側)に嵌合され、ポンプ基部4bを固定する。
その結果、ポンプ摺動部4aがポンプ基部4bに対して往復運動され、チェックバルブ機能が併用されることで、ポンプ4が回収孔13から回収されたブレーキフルードを加圧して送出孔12へ送出することができる。
図2及び図3に示すように、モータ2は、先端部(図2左側端部)が軸心Oから径方向(図2上下方向)へオフセットされた形状に構成されるモータシャフト21と、そのモータシャフト21の先端部に嵌合されるベアリング22と、ベアリングBを介してモータシャフト21を支持するエンドプレート23と、ターミナルホルダー24と、ターミナル25とを主に備えている。
ベアリング22が軸支されるモータシャフト21の先端部は、軸心Oから径方向(図2上下方向)へオフセットされているので、モータ2にECU3から電力が供給されて、モータシャフト21が回転すると、モータシャフト21の先端部が軸心Oを中心として偏心運動する。そのため、先端部に軸支されるベアリング22が偏心運動する。その結果、上述したように、ポンプ摺動部4aがポンプ基部4bに対して往復運動され、チェックバルブ機能が併用されることで、ポンプ4が回収孔13から回収されたブレーキフルードを加圧して送出孔12へ送出することができる。
ターミナルホルダー24は、図2及び図3に示すように、ターミナル25を保護および絶縁する樹脂部材であり、外径D5(図4参照)の略円柱状に構成されエンドプレート23から軸心Oに沿って突出されている。
また、エンドプレート23は、正面視(図2左側から右側方向視)略円形状に構成され、ハウジング1にモータ2が組み付けられた状態において、エンドプレート23の外縁がポンプカム室10の開口、挿通孔16のモータ取付面1a上の開口および連通部17の開口を囲んでいる。
そのエンドプレート23の外縁にシリコン系充填剤が塗布されることでエンドプレート23の外縁とモータ取付面1aとの隙間が密閉されるので、ポンプカム室10の開口、挿通孔16のモータ取付面1a上の開口および連通部17の開口をエンドプレート23によって閉塞することができる。
また、ターミナルホルダー24には、図3に示すように、一対のターミナル25が埋設されており、それらターミナル25の間には、呼吸孔24aが形成されている。
呼吸孔24aは、図2に示すように、モータ2の内部空間の換気を行うための貫通孔であり、軸心Oに沿って貫通形成されている。また、呼吸孔24aは、モータ2側(図2右側)の部位がモータ2の内部空間に開口しており、ECU3側(図2左側)の部位がECU3の内部空間S3に開口している。
上述したように、一対のターミナル25の間に呼吸孔24aが形成されているので、ハウジング1に別途、呼吸孔を設ける必要がなく、その分、ハウジング1を小型化することができる。その結果、ブレーキ圧制御装置100の小型化を図ることができる。
ターミナル25は、図2及び図3に示すように、ECU3からの電力をモータ2に供給する電力供給線であり、後述するターミナル受け部37に埋設される電力供給端子に接続されている。
ECU3は、上述したように、ハウジング1のECU取付面1bに取着されると共に、CPU、ROM、RAM、電磁弁Vを駆動する駆動回路およびモータ2に電力を供給する供給回路(いづれも図示せず)が配設されたECU基板31と、そのECU基板31を収容するECUケース32とを主に備えている。
図2に示すように、ECUケース32は、プラスチック樹脂にて構成されており、ECU基板31が固定されるケース基体33と、そのケース基体33のECU基板31側(図2左側)からこのECU基板31を囲って取り付けられる基板カバー34とを備えている。内部空間S3は、ケース基体33と基板カバー34とで囲まれた空間であり、基板カバー34に設けられた図示しない呼吸孔を介して外部と連通されている。
ケース基体33は、図2に示すように、凹部として構成される収容凹部35と、その収容凹部35の底面から突設されるターミナル受け部37とを有している。収容凹部35には、電磁弁Vの群が収容されており、それら各電磁弁Vは、ECU取付面1b上に突出する部分に外嵌される電磁コイル(図示せず)を備えている。これら電磁コイルはECU基板31に電線(図示せず)を介して接続されECU3からの信号によって弁の開閉を制御する。
ターミナル受け部37は、図2に示すように、モータ2の軸心Oに沿ってモータ2側(図2右側)に向かって突設されている。なお、ターミナル受け部37の詳細構成については、図4を参照して後述する。
次いで、図4を参照して、主に挿通孔16の詳細構成について説明する。図4は、図2のAで示した部分を拡大した挿通孔16の部分拡大断面図である。上述したように、挿通孔16は、モータ取付面1aからECU取付面1bまで貫通形成された貫通孔であり、大径孔16aと、小径孔16bと、規制孔16cと、Oリング収容孔16dと、規制面16eとを備えている。
大径孔16aは、図4に示すように、モータ取付面1a(図2参照)に開口を有する断面略円形状に形成された貫通孔である。その大径孔16aは、モータ取付面1a(図2参照)側(図4右側)の部位が内径D1の略円筒状に構成され、ECU取付面1b側(図4左側)の部位がモータ取付面1a側(図4右側)からECU取付面1b側(図4左側)へ向かうにしたがって内径が小さくなるテーパー状に形成されている。
小径孔16bは、図4に示すように、大径孔16aのECU取付面1b側(図2左側)の部位に連接される断面略円形状に形成された内径D2の貫通孔であり、その内径D2は、大径孔16aの内径D1より小さな寸法値に設定されている(D2<D1)。
規制孔16cは、小径孔16bのECU取付面1b側(図2左側)の部位に連接される断面略円形状に形成された内径D3の貫通孔であり、その内径D3は、小径孔16bの内径D2より小さな寸法値に設定されている(D3<D2)。
Oリング収容孔16dは、図4に示すように、ECU取付面1bに開口を有する断面略円形状に形成された貫通孔である。そのOリング収容孔16dは、規制面16e(図5右側)側の部位が内径D4の略円筒状に構成され、ECU取付面1b側(図5左側)には、テーパー部16d2が形成されている。なお、内径D4は、規制孔16cの内径D3より大きな寸法値に設定されている(D3<D4)。
テーパー部16d2は、規制面16e側(図5右側)からECU取付面1b側(図4左側)へ向かうにしたがって内径が大きくなるテーパー状に形成されており、そのテーパー部16d2側からOリング収容孔16dにOリングR1が挿入される。また、挿入されたOリングR1は、後述する規制面16eに当接するまで押し込まれる。よって、OリングR1の移動が規制面16eにより規制されて、OリングR1の配設位置が確定される。
また、OリングR1は、ゴム状弾性体から断面円形状に構成される環状体であり、そのOリングR1の外径は、OリングR1が弾性変形可能な範囲でOリング収容孔16dの内径D4より大きい寸法値に設定されている。よって、OリングR1の弾性力によりOリング収容孔16dの内周面にOリングR1の外周面が密着されるので、Oリング収容孔16dの内周面と、OリングR1の外周面との間からブレーキフルードが漏れ出すことを防止することができる。
また、OリングR1がOリング収容孔16dに内嵌された状態で、OリングR1の内径は、OリングR1が弾性変形可能な範囲でターミナルホルダー24の外径D5より小さい寸法値に設定されている。よって、OリングR1の弾性力によりターミナルホルダー24の外周面にOリングR1の内周面が密着されるので、ターミナルホルダー24の外周面とOリングR1の内周面との間からブレーキフルードが漏れ出すことを防止することができる。
規制面16eは、図4に示すように、モータ2の軸心O(図2参照)に対して直交する円環状に構成された平坦面である。また、規制面16eは、内縁側(図4上下方向内側)の部位が規制孔16cに接続され、外縁側(図4上下方向外側)の部位がOリング収容孔16dに接続されている。
また、規制面16eの外径は、Oリング収容孔16dの内径D4と同寸法とされ、内径は、規制孔16cの内径D3と同寸法とされている。よって、OリングR1がターミナルホルダー24に外嵌された状態において、OリングR1の外径を内径D3以上に設定すると、OリングR1がモータ取付面1a(図2参照)側(図4右側)への移動しようとした場合には、OリングR1が規制面16eに当接されてOリングR1のモータ取付面1a側(図4右側)への移動が規制される。その結果、OリングR1の位置決めが可能となる。
また、規制孔16cの内径D3は、OリングR1の締め代t(図示せず)(弾性変形)の2倍を超えない分だけ、ターミナルホルダー24の外径D5より大きな寸法値に設定されている(D5<D3≦D5+2t)。例えば、ハウジング1及びモータ2の組み付け公差または走行振動によって、ターミナルホルダー24の挿通孔16に対する径方向(図4上下方向)の位置がずれると、ターミナルホルダー24の外周面が規制孔16cの内周面に当接されることで、ターミナルホルダー24の径方向の位置を規制することができる。
この場合、規制孔16cの内径D3がOリングR1の締め代(弾性変形)の2倍を超えない分だけ、ターミナルホルダー24の外径D5より大きな寸法値に設定されているので、ターミナルホルダー24の外周面と規制孔16cの内周面との隙間がOリングR1の締め代(弾性変形)分よりも大きく広がることを防止することができる。よって、Oリング収容孔16dの内周面とOリングR1の外周、又は、ターミナルホルダー24の外周面とOリングR1の内周のシール性を確保することができる。
その結果、ハウジング1及びモータ2の組み付け公差または走行振動によって、ターミナルホルダー24の挿通孔16に対する位置がずれた場合であっても、Oリング収容孔16dの内周面とOリングR1の外周、又は、ターミナルホルダー24の外周面とOリングR1の内周からのブレーキフルード漏れを防いで、ブレーキフルードがECU3の内部に侵入することによるECU3の破損を防止することができる。
また、ターミナルホルダー24の径方向(図4上下方向)の位置を規制することができるので、ターミナルホルダー24の位置ずれに起因するターミナル25の接触不良の発生を抑制することができる。
また、図4に示すように、ECU取付面1b側(図4左側)からモータ取付面1a(図2参照)側(図4右側)に向かう方向(図4左右方向)において、規制孔16cが規制面16eに隣接している。そのため、OリングR1とOリング収容孔16dとのシール性を確保して、OリングR1からのブレーキフルード漏れを防ぐことができる。よって、ブレーキフルードがECU3の内部に侵入することによるECU3の破損を防止することができる。
ターミナル受け部37は、図4に示すように、ターミナル受け部37の外径寸法がターミナルホルダー24の外径D5より大きな寸法値である外径D10に設定されている。また、ターミナルホルダー24側(図4右側)の端部には、平坦面として構成される先端面37cが形成されている。
そのため、先端面37cからOリング収容孔16dのターミナル受け部37側(図4左側)の開口端部までの距離(図4左右方向寸法値)をOリングR1の厚さ寸法値(図4左右方向寸法値)より小さな寸法値に設定することで、OリングR1が先端面37cに当接した状態において、OリングR1がOリング収容孔16dから抜け出すことを防止することができる。
よって、OリングR1の抜けによるブレーキフルード漏れの発生を防止することができる。その結果、ECU3(図2参照)の内部にブレーキフルードが流入することを防止して、ECU3が破損することを防止することができる。
また、OリングR1がOリング収容孔16dから抜け出すことを防止することができるので、OリングR1の脱落を防止するための部材を別途設けることを不要として、部品点数を削減することができる。その結果、ブレーキ圧制御装置100の部品コストおよび組み立てコストの削減を図ることができる。
また、本実施の形態のターミナルホルダー24は柔軟性を有した樹脂材料にて構成されているので、先端面37c側(図4左側)の端部から突設されるターミナル25がターミナル受け部37に緩嵌されることで、先端面37c側(図4左側)の端部が移動可能とされており、モータ2側(図4右側)の根元部はモータ2と一体とされている。
そこで、例えば、ハウジング1にモータ2を組み付ける場合に、加工公差によりモータ2の取り付け位置が挿通孔16の径方向(図4上下方向)にずれると、ターミナルホルダー24が規制孔16cに当接され、規制孔16cを支点として、ターミナルホルダー24が挿通孔16に対して傾斜される。
そのため、規制面16eに対して規制孔16cがターミナルホルダー24の根元側(図4右側)に近づくと規制面16eの位置が支点から離れることになり、規制面16eの位置では、挿通孔16の径方向(図4上下方向)への移動量が大きくなる。そのため、規制面16eに当接して位置決めされるOリングR1のOリング収容孔16dに対する緊迫力が減少して、OリングR1の外周面とOリング収容孔16dの内周面との間からブレーキフルードが漏れ出すという不具合が発生する場合がある。
これに対し、第1実施の形態では、規制孔16cが規制面16eに隣接しているので、規制孔16cが規制面16eから離れてモータ2側(図4左側)にある場合と比較して、モータ2が挿通孔16の径方向(図4上下方向)に同じだけ動いた場合でも、ターミナルホルダー24の径方向(図4上下)への移動量は小さい。
そのため、OリングR1のOリング収容孔16dに対する緊迫力の減少を防止することができる。その結果、Oリング収容孔16dの内周面とOリングR1の外周面との間、又は、ターミナルホルダー24の外周面とOリングR1の内周面との間からのブレーキフルード漏れを防いで、ブレーキフルードがECU3の内部に侵入することによるECU3の破損を防止することができる。
上述したように、ポンプ4がモータ2により駆動されると、ポンプ孔11の側面とシールリングRとの間からブレーキフルードがポンプカム室10に掻きだされる。そして掻きだされたブレーキフルードは、車両(図示せず)取り付け状態において、ポンプカム室10の内側面10a上を流れて、その後、内側面10aに連通される挿通孔16に連通部17を介して流れ込む。
その挿通孔16には、図4に示すように、ターミナルホルダー24が内挿されており、挿通孔16とターミナルホルダー24との間にOリングR1が介在している。また、ターミナルホルダー24がエンドプレート23から軸心Oに沿って突出されており、エンドプレート23の外縁にシリコン系充填剤が塗布されることでエンドプレート23の外縁とモータ取付面1aとの隙間が密閉されている。よって、挿通孔16の内周面とターミナルホルダー24の外周面との間の空間である油溜まり室S16が閉塞されるので、その油溜まり室S16に連通部17から流れ込むブレーキフルードを貯留することができる。
第1実施の形態では、ハウジング1の内部に形成された油溜まり室S16にブレーキフルードを溜める構成としたので、例えば、ハウジング1に油溜まり室を形成するための容器をハウジング1の外部に突設する場合と比較して、ハウジング1の外部に突出する部位を省略して、ハウジング1を小型化することができ、ブレーキ圧制御装置100の小型化を図ることができる。
また、ターミナルホルダー24の外周面と挿通孔16の内周面との間をOリングR1及びシリコン系充填剤にて閉塞させて油溜まり室S16を形成したので、挿通孔16は、ブレーキフルードを溜める機能と、ターミナルホルダー24を挿通する機能との両方を備えることができる。よって、挿通孔16を加工する1つの工程で、ブレーキフルードの貯留機能と、ターミナルホルダー24を挿通させる機能とを実現することができる。
そのため、別途、ブレーキフルードを溜める空間(油溜まり室)を設ける場合に比べて、油溜まり室を加工する工程を省略することができ、ブレーキ圧制御装置100の製造コストを削減して、ブレーキ圧制御装置100の製品コストの削減を図ることができる。
また、上述したように、ハウジング1に油溜まり室を形成するための容器をおよびその容器の取り付け工程を省略することができるので、ブレーキ圧制御装置100の製品コストを削減することができる。
また、小径孔16bの内径D2、規制孔16cの内径D3及びOリング収容孔16dの内径D4が大径孔16aの内径D1より小さな寸法値に設定されているので(D3<D1,D4<D1,D2<D1)、ハウジング1のモータ取付面1a側の領域に形成される大径孔16aを油溜まり室として有効に活用しつつECU取付面1b側に形成される小径孔16b、規制孔16c及びOリング収容孔16dが他の油通路へ連通されることを回避することができる。
例えば、小径孔16bの内径D2、規制孔16cの内径D3及びOリング収容孔16dの内径D4が大径孔16aの内径D1とほぼ同等の寸法値に設定されている場合には、ハウジング1の一部であって、モータ取付面1a側からECU取付面1b側に向けて内径D1の貫通孔が形成できる部位にのみ挿通孔16を形成することができる。
これに対し本実施の形態では、挿通孔16のECU取付面1b側の部位であるOリング収容孔16dの内径D4、規制孔16cの内径D3及び小径孔16bの内径D2が大径孔16aの内径D1より小さな寸法値に設定されているので(D3<D1,D4<D1,D2<D1)、ハウジング1の一部であって、ECU取付面1b側の部位に内径D1の貫通孔が形成できない部位であっても、内径D3、内径D4及び内径D2が形成できる部位であれば、挿通孔16を形成することができる。
即ち、モータ取付面1a側を内径D1とし、ECU取付面1b側を内径D1より小さな内径とすることで、モータ取付面1aからECU取付面1bまで一様に内径D1の貫通孔を形成できない場合であっても、ECU取付面1b側に内径D1より小さな寸法値とされる内径D3、内径D4及び内径D2が形成できる部位があれば、モータ取付面1a側の内径D1を確保することができる。
よって、油溜まり室の容積を確保しつつ挿通孔16のレイアウトの自由度を確保することができるので、ハウジング1の内部に形成される油通路の間に挿通孔16を形成することが可能となる。また、油通路を移動させる必要がなくなるので、移動によるハウジング1の大型化を防ぐことができる。
また、例えば、Oリング収容孔16dが大径孔16a及び小径孔16bと規制孔16cとの間に位置する構成では、OリングR1を大径孔16a側から装着する必要が生じ、その装着作業性の悪化を招く。
ここで、第1実施の形態では、大径孔16a及び小径孔16bが規制孔16cを挟んでOリング収容孔16dと反対側に位置する構成であるので、OリングR1をターミナルホルダー24のECU取付面1bにおける開口であるOリング収容孔16dから油溜まり室S16へ装着することができるので、その装着を容易に行うことができる。
次いで、図5(a)を参照して、第2実施の形態について説明する。図5(a)は、第2実施の形態における挿通孔216及びターミナル受け部37の部分拡大断面図であり、図4に対応する。
第2実施の形態では、かしめ部216d1がOリング収容孔16dの内周面に形成されて構成されている。なお、上記各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図5(a)に示すように、第2実施の形態では、OリングR1をOリング収容孔16dに配置した後に、ハウジング1のECU取付面1bの一部であってOリング収容孔16dの外縁に近接する部位をポンチ(鋼材にて構成される先端テーパー形状の工具)にて凹ませることで、Oリング収容孔16dの内周面を内側に隆起(突出)させてかしめ部216d1を形成する。
そのため、OリングR1がECU取付面1b側(図5(a)左側)へ移動しようとした場合には、かしめ部216d1にOリングR1が当接されて、ECU取付面1b側(図5(a)左側)への移動が規制される。
このように、OリングR1のECU取付面1b側(図5(a)左側)への移動が規制されるので、ECU取付面1b側にOリングR1が移動してOリング収容孔216dから抜けることを防止することができる。よって、OリングR1の抜けによるブレーキフルード漏れの発生を防止することができる。その結果、ECU3の内部にブレーキフルードが流入することを防止して、ECU3が破損することを防止することができる。
次いで、図5(b)を参照して、第3実施の形態について説明する。図5(b)は、第3実施の形態における挿通孔16及びターミナル受け部337の部分拡大断面図であり、図4に対応する。
第3実施の形態では、ターミナル受け部37の端部から正面視(図5(b)右側から左側方向視)略円筒状の突出部337bが突出する構成とされている。なお、上記各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図5(b)に示すように、第3実施の形態では、ターミナル受け部337の外径寸法がターミナルホルダー24の外径D5より大きな寸法値である外径D11に設定されており、ターミナル受け部337の端部(図5(b)右端部)である先端面337cから突出部337bがハウジング1側(図5(a)b)右側)に向かって突出している。
また、突出部337bは、略円筒形状に構成されその外径寸法は、外径D6とされており、その外径D6は、Oリング収容孔16dの内径D4より小さな寸法値とされている(D6<D4)。また、突出部337bの内径寸法は、内径D7とされており、その内径D7は、ターミナルホルダー24の外径D5より大きな寸法値とされている(D5<D7)。そのため、Oリング収容孔16dとターミナルホルダー24との間に突出部337bを挿入することができる。
また、突出部337bの突設高さである高さL2は、図5(b)に示すように、ハウジング1にモータ2とECU303とが組み付けられた状態において、テーパー部16d2の規制面16e側(図5(b)右側端部)の部位である拡径始端部16d3とターミナル受け部337の先端面337cとの離間距離である距離L1より大きな寸法値とされている(L1<L2)。即ち、ハウジング1とモータ2とECU303とが組みつけられた状態において、少なくとも突出部337bの先端(図5(b)右側端部)がOリング収容孔16dに嵌合される寸法値とされている。
よって、ハウジング1のECU取付面1bにECU303が組み付けられると、ターミナル受け部337の突出部337bがOリング収容孔16dとターミナルホルダー24との間に挿入され、Oリング収容孔16dの内部においてOリングR1のECU取付面1b側(図5(b)左側)に突出部337bが配設される。
その結果、OリングR1がECU取付面1b側(図5(b)左側)へ移動しようとした場合には、突出部337bにOリングR1が当接されて、ECU取付面1b側(図5(b)左側)への移動が規制される。
このように、OリングR1のECU取付面1b側(図5(b)左側)への移動が規制されるので、ECU取付面1b側にOリングR1が移動してOリング収容孔16dから抜けることを防止することができる。よって、OリングR1の抜けによるブレーキフルード漏れの発生を防止することができる。その結果、ECU303の内部にブレーキフルードが流入することを防止して、ECU3が破損することを防止することができる。
また、ECUケース32をハウジング1のECU取付面1bに取り付けることで、ハウジング1のOリング収容孔16dにECU303のターミナル受け部337の突出部337bが収容される構成であるので、OリングR1が規制面16eと突出部337bとの間に配設されることとなり、Oリング収容孔16dからの脱落を防止することができる。
その結果、OリングR1の脱落を防止するための部材を別途設けることを不要として、部品点数を削減することができるので、その分、ブレーキ圧制御装置100の部品コストおよび組み立てコストの削減を図ることができる。
なお、突出部337bは、Oリング収容孔16dに収容されてOリングR1の移動を規制する部材であり、請求項4記載の挿入部材に対して、端面部と一体に構成されている点以外は同一であり、請求項4記載の挿入部材に対応する。
次いで、図5(c)を参照して、第4実施の形態について説明する。図5(c)は、第4実施の形態における挿通孔16及びターミナル受け部437の部分拡大断面図であり、図4に対応する。
第1実施の形態では、Oリング収容孔16dにOリングR1のみを収容する構成としたが(図4参照)、第4実施の形態では、ターミナル受け部437の端面である先端面337cとOリングR1との間に正面視(図5(c)右側から左側方向視)円環状のスペーサー437dが挿入されて構成されている。なお、上記各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図5(c)に示すように、第4実施の形態では、略円筒状に構成されたスペーサー437dを備え、ターミナル受け部437の外径寸法がターミナルホルダー24の外径D5より大きな寸法値である外径D11に設定されている。
スペーサー437dは、略円筒形状に構成され、その外径寸法は、外径D8とされており、その外径D8は、Oリング収容孔16dの内径D4より小さな寸法値とされている(D8<D4)。また、スペーサー437dの内径寸法は、内径D9とされており、その内径D9は、ターミナルホルダー24の外径D5より大きな寸法値とされている(D5<D9)。そのため、Oリング収容孔16dとターミナルホルダー24との間にスペーサー437dを挿入することができる。
また、スペーサー437dの高さ寸法値である高さL3は、ハウジング1にモータ2とECU303とが組み付けられた状態において、拡径始端部16d3と先端面337cとの離間距離である距離L1より大きな寸法値とされている(L1<L3)。即ち、ハウジング1とモータ2とECU303とが組みつけられた状態において、ターミナル受け部37の端部にスペーサー437dの一端部(図5(c)左側端部)が当接された状態であっても、少なくともスペーサー437dの他端部(図5(c)右側端部)がOリング収容孔16dに嵌合される寸法値とされている。
よって、Oリング収容孔16dにOリングR1を挿入した後に、スペーサー437dをOリング収容孔16dに挿入して、ハウジング1のECU取付面1bにECU403を取り付けることができる。
その結果、OリングR1がECU取付面1b側(図5(c)左側)へ移動しようとした場合には、スペーサー37cにOリングR1が当接されて、そのスペーサー37cは、ターミナル受け部37の先端面337cに当接されるので、OリングR1のECU3側(図5(a)左側)への移動が規制される。
このように、OリングR1のECU取付面1b側(図5(c)左側)への移動が規制されるので、ECU取付面1b側にOリングR1が移動してOリング収容孔16dから抜けることを防止することができる。よって、OリングR1の抜けによるブレーキフルード漏れの発生を防止することができる。その結果、ECU403の内部にブレーキフルードが流入することを防止して、ECU3が破損することを防止することができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の寸法など)は一例を示すものであり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、ターミナル25がECU3からの電力をモータ2に供給する電力供給線とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、モータ2をブラシレスモータとして構成し、ターミナル25をモータ2を制御するための信号線としても良い。
上記各実施の形態では、連通部17が溝状に構成されエンドミルにて加工される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、連通部17を略円形状に構成してドリルで加工しても良い。
例えば、車両(図示せず)搭載状態において、ポンプカム室10の内側面10aの下側面と挿通孔16の内側面の上側との最短距離が規制孔16cの内径D3より小さな寸法値に設定される場合には、ポンプカム室10と挿通孔16との間に加工される連通部17を円形の孔としてもポンプカム室10と挿通孔16とを連通させることができる。
よって、外径が内径D3と同一寸法に構成されたドリルを使って連通部17と規制孔16cとの両方を加工することができるので、ドリル交換のための工程を省いて、連通部17の加工工程と、規制孔16cの加工工程とを連続して行うことができる。その結果、ブレーキ圧制御装置100の製造工程を簡略して、製品コスト削減を図ることができる。
なお、ポンプカム室10の内側面10aの下側面と挿通孔16の内側面の上側との最短距離が大径孔16aの内径D1または小径孔16bの内径D2より小さな寸法値に設定され、連通部17の幅Wが大径孔16aの内径D1または小径孔16bの内径D2と同一寸法値に設定される場合にも、上述したように、製品コスト削減を図ることができる。また、上述したように、停止工程を行うことなくポンプカム室10、挿通孔16及び連通部17を加工することができる。
上記各実施の形態では、モータシャフト21に軸支されたベアリング22が偏心運動することで、ポンプ摺動部4aをポンプ基部4bに対して往復運動させてブレーキフルードに液圧を付与する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、略環状に構成されたアウターロータと、そのアウターロータを内側に配設しアウターロータの内周面との間の空間にブレーキフルードを貯留する略環状に構成されたインナーロータとを備え、そのインナーロータがモータの軸に連結されて回転することで、アウターロータを回転させ、ブレーキフルードが貯留される空間の容積を変化させるトロコイド式オイルポンプ(例えば、特開2007−278085号公報に記載の回転式オイルポンプ10,13「特開2007−278085号公報の図2参照」)にてブレーキフルードを加圧しても良い。
この場合、ポンプ4が往復式であるのに対し、トロコイド式オイルポンプは、回転式であるため、ポンプ4に比べて、ブレーキフルードの液圧の脈動を少なくすることができる。よって、ブレーキ圧制御装置100による液圧の制御精度の向上を図ることができる。
また、第3実施の形態では、突出部337bが略円筒形状に構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、先端面337cから複数の突出部を突設して、それら複数の突出部をOリング収容孔16dの内周面とターミナルホルダー24の外周面との間に収容する構成としても良い。
この場合、突出部337bを形成するために使用される材料の量を削減することができるので、ブレーキ圧制御装置100の製造コストが削減され、ブレーキ圧制御装置100の製品コストの削減を図ることができる。
上記各実施の形態における技術的思想を他の実施の形態に適用する、或いは、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせることは当然可能である。例えば、第4実施の形態で説明したように、スペーサー437dをOリング収容孔16dに挿入して、OリングR1の移動を規制する技術的思想を第3実施の形態に適用しても良い。
この場合、突出部337bの高さL2を拡径始端部16d3と先端面337cとの離間距離である距離L1より大きくできない場合、即ち、組み付け上の理由で突出部337bの高さL2に制約が生じた場合に、スペーサー437dをOリング収容孔16dに挿入することで、OリングR1の移動を規制してOリングR1の抜けを防止することができる。
本発明の第1実施の形態におけるブレーキ圧制御装置の斜視図である。 ブレーキ圧制御装置の断面図である。 図2のIII−III線におけるハウジングの断面図である。 図2のAで示した部分を拡大した挿通孔の部分拡大断面図である。 (a)は、第2実施の形態における挿通孔およびターミナル受け部の部分拡大断面図であり、(b)は、第3実施の形態における挿通孔およびターミナル受け部の部分拡大断面図であり、(c)は、第4実施の形態における挿通孔およびターミナル受け部の部分拡大断面図である。
符号の説明
100 ブレーキ圧制御装置
1,201 ハウジング
2 モータ
3 ECU
4 ポンプ
1a モータ取付面(一側面)
1b ECU取付面(他側面)
10 ポンプカム室(挿入室)
11 ポンプ孔(収容室)
16,216 挿通孔
16a 大径孔(大径部の一部)
16b 小径孔(大径部の一部)
16c 規制孔(小径部)
16d Oリング収容孔(挟圧部)
216d1 かしめ部
16e 規制面(挿通孔の一部)
17 連通部
21 モータシャフト(出力軸)
24 ターミナルホルダー(ホルダー)
25 ターミナル
31 ECU基板(基板)
32 ECUケース(基板ボックス)
33 ケース基体(基板ボックスの一部)
34 基板カバー(基板ボックスの一部)
337b 突出部(挿入部材)
337c 先端面(端面部)
437d スペーサー(挿入部材)
S16 油溜まり室(環状隙)
D1 内径(小径部よりも大きな内径)
D2 内径(小径部よりも大きな内径)
D3 内径(挟圧部よりも小さな内径)
R1 Oリング(閉封部材)

Claims (6)

  1. ハウジング(1,201)と、そのハウジング(1,201)の一側面(1a)に取り付けられると共にターミナル(25)およびそのターミナル(25)を内包する筒状のホルダー(24)を有するモータ(2)と、そのモータ(2)の出力軸(21)により駆動されブレーキフルードの圧送および回収を行うポンプ(4)と、前記モータ(2)のターミナル(25)が接続される基板(31)を収容すると共に前記ハウジング(1,201)の他側面(1b)に取り付けられる基板ボックス(32)と、を備え、
    前記ハウジング(1,201)が、前記ポンプ(4)が収容される収容室(11)と、その収容室(11)に連通されると共に前記モータ(2)の出力軸(21)が挿入される挿入室(10)と、前記モータ(2)が取り付けられる一側面(1a)から前記基板ボックス(32)が取り付けられる他側面(1b)まで貫通して形成され前記ターミナル(25)及びホルダー(24)が挿通される挿通孔(16,216)と、を備えて構成されたブレーキ圧制御装置(100)において、
    前記挿通孔(16,216)に挿通されたホルダー(24)の外周面と前記挿通孔(16,216)の内周面との間に形成される環状隙(S16)を閉封する閉封部材(R1)を備え、
    前記ハウジング(1,201)は、前記挿入室(10)と前記挿通孔(16,216)とを連通させる連通部(17)を備え、
    前記ハウジング(1,201)の収容室(11)から挿入室(10)へ漏出した前記ブレーキフルードが、前記連通部(17)を介して、前記環状隙(S16)に捕集されると共に、捕集されたブレーキフルードの前記基板ボックス(32)への侵入が前記閉封部材(R1)により規制されるように構成されていることを特徴とするブレーキ圧制御装置(100)。
  2. 前記挿通孔(16,216)は、前記ホルダー(24)の外周面との間で前記閉封部材(R1)を挟圧する挟圧部(16d)と、その挟圧部(16d)に隣設されると共に前記挟圧部(16d)よりも小さな内径(D3)を有する小径部(16c)と、その小径部(16c)よりも大きな内径(D1,D2)を有すると共に前記小径部(16c)を挟んで前記挟圧部(16d)と反対側に位置し前記連通部(17)により前記挿入室(10)と連通される大径部(16a,16b)とを備えていることを特徴とする請求項1記載のブレーキ圧制御装置(100)。
  3. 前記挿通孔(16,216)における前記ハウジング(1,201)の他側面(1b)側の開口部分には、前記挿通孔(16,216)の内周面をその挿通孔(16,216)の内側へ向けて突出させ前記閉封部材(R1)との当接によりその閉封部材(R1)の前記他側面(1b)側への移動を規制可能なかしめ部(216d1)が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキ圧制御装置(100)。
  4. 前記環状隙(S16)に挿入される挿入部材(437d)を備え、
    前記基板ボックス(32)は、前記ハウジング(1,201)の他側面(1b)に開口した前記環状隙(S16)に対向配置される端面部(337c)を備え、
    前記挿入部材(437d)は、前記閉封部材(R1)と前記基板ボックス(32)の端面部(337c)との間に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキ圧制御装置(100)。
  5. 前記挿入部材(437d)は、前記基板ボックス(32)の端面部(337c)に一体に構成され、前記基板ボックス(32)を前記ハウジング(1,201)の他側面(1b)に取り付けた場合に、前記挿入部材(437d)が前記環状隙(S16)に挿入されることを特徴とする請求項4記載のブレーキ圧制御装置(100)。
  6. 前記連通部(17)は、前記ハウジング(1,201)の一側面(1a)に凹設された凹部として形成され、その凹部を介して前記挿入室(10)と挿通孔(16,216)とが連通されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のブレーキ装置。
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