本発明は、高い解像性を有する画像を得ることが可能で、かつ明室下での取り扱い及び処理液を必要とせず、また、特に製造コストが安価である平版印刷に用いられる印刷版に関する。
近年のコンピュータ及び周辺機器の発達により各種デジタルプリンターを使用した平版印刷版の製版方法が提案されている。このような平版印刷版の製版方法は、その画像部の形成方法の違いにより、乾式電子写真法レーザプリンターにより製版するもの(特開平6−138719号、特開平6−250424号、特開平7−1847号等)、熱溶融型インクを用いたオンデマンドインクジェットプリンターを用いて製版するもの(特開平9−58144号)、インクジェットプリンターを用いて親油性物質や画像定着物質を印字することで製版するもの(特開昭56−105960号、特開平8−295683号等)、熱転写インクリボンを用いたサーマルプリンターで製版するもの(特開昭63−166590号)などがある。サーマルレーザーもしくはインクリボンを用いずにサーマルプリンターで製版するもの(特許第3522450号)などがある。
上記各種デジタルプリンターによる製版方法は、従来の、ハロゲン化銀感光材料或いは感光性樹脂が保水性付与表面に塗布された平版印刷版の製版方法と異なり、取り扱い上安全光の制約がなく、また画像記録後の水性現像液による現像処理を必要としない点で簡便容易に平版印刷版を製版できる利点がある。
上記各種デジタルプリンターによる製版方法に用いる平版印刷用版材の中でも紙、プラスチックフィルム等のフレキシブル支持体を用いたものはデジタルプリンターの版材の移送機構、供給機構、排紙機構などが簡易にできる上に紙、プラスチックフィルム等がアルミニウムに比べ安価であるなどの利点を有している。一方でこれらフレキシブル支持体を用いた平版印刷用上版材には親水性高分子や親水性無機顔料から構成される親水性層が設けられて、オフセット印刷での非画像部を構成するのであるが、陽極酸化アルミニウムを非画像部とする所謂PS版や、銀塩アルミニウム印刷版など各種CTP用アルミニウムベース平版印刷版とは印刷汚れに対する耐性が悪い為に同じ条件で印刷することができず、アルミニウム版と同じ印刷機で印刷しようとしても湿し水を変更するなど煩雑な手間がかかるなどの問題があった。さらに、親水性高分子を有する平版印刷版では印刷中に一度インキなどで汚れが発生した場合、アルミ版に比べ版材の汚れが回復するまでに時間がかかり、多量の不良印刷物を作ってしまう、さらには汚れが回復しない場合には、版を交換しなければならないという問題があった。
この問題に対し従来より種々の検討がなされてきたが、汚れの問題の解決が十分でなかったり、あるいは親油性構成要素との接着性が悪くなり耐刷力が劣ったり、あるいはその他の弊害が出るなど未だ十分な解決法は見出されていない。
例えば支持体上に親水性層が塗布されており、この親水性層が画像受理層となっている平版印刷版原版について考えてみる。このような方式を取っているものとしては乾式電子写真法レーザプリンターにより製版する方式がある。この方式では支持体上に親水性層兼画像受理層が構成されている。該画像受理層上にレーザープリンターよりトナーを画像状に印字することで、トナーが画像部、親水性層が非画像部となって、平版印刷版となる。あるいは熱転写インクリボンを用いたサーマルプリンターで製版する方式もある。この場合、構成的には先のレーザープリンターを用いるものと同じで、その違いはレーザープリンターがトナーを使用するのに対し、こちらはリボンに塗布されたインクを用いるのみである。さらにインクジェットプリンターを用いた製版方式などもある。この方式も基本的な構成は前二者と同様である。
特開平11−42865号公報(参考文献1)では親水性層に親水性の高いポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテルを含有させることで汚れ性を改良しようとしている。このような物質は所謂界面活性剤であり水溶性の為、印刷中に湿し水に溶解していき、印刷すればするほど、また版の交換が多いほど湿し水中に界面活性剤が蓄積し、インクの乳化現象などの原因となる。
また、再公表特許WO01−045959号公報(特許文献2)では、親水性高分子の量と金属酸化物の量の比率を代え、更に層構成を検討して耐汚れ性を改良している。しかしながら、親水性高分子が十分な親水性を有していない為に十分な解決策にはなっていない。特開2001−187489号公報(特許文献3)ではアルミナドープシリカを用いているが、アニオン性のシリカとカチオン性のアルミナを同時に用いているため、金属酸化物のスラリー安定性が悪い上にイオン性の親水性高分子を用いると、凝集等の問題が発生するなどの問題も抱えている。特開2001−270261号公報(特許文献4)ではアルコキシシラン加水分解物を硬化剤として用いているが、アルコキシシランは熱的に不安定で、放置するとゲル化するなど生産上悪影響を及ぼす。
特開2004−66816号公報(特許文献5)では架橋カチオン性ポリマーを親水性層の構成バインダーとしている。やはりこの方式も親水性高分子が十分な親水性を有していない為に十分な解決策にはなっていない。
次にサーマルレーザーもしくはインクリボンを用いずにサーマルプリンターで製版する方式について考えてみる。この方式には更にその構成によって二種類に分けられ、(1)支持体上に感熱層、親水層がこの順に塗布され、熱により親水層が除去されるか機上現像により除去できるようなる、若しくは親水層が親油性に変換されることで製版される方式と(2)支持体上に親水層、感熱層がこの順で塗布され、熱により感熱層が除去できるようになる、若しくは感熱層が親油性でかつ除去可能であり、熱により感熱層が除去不可能になる方式の2種類である。(1)の方式として、例えば特開2001−80226号公報(特許文献6)では金属酸化物や水酸化物コロイドとヒドロキシ基若しくはカルボキシル基を有する親水性高分子から親水性層を形成させているが、やはりこの方式も親水性高分子が十分な親水性を有していない為に十分な解決策にはなっていない。同じ方式で特開平2001−88456なども同様の理由で十分な解決策には成り得ない。また(1)、(2)の両方の方式として特開2001−138652号公報(特許文献7)ではネックレス状コロイダルシリカあるいはアナターゼ型酸化チタンと親水性高分子として結晶性セルロースを用いているが、やはりこの方式も親水性高分子が十分な親水性を有していない。またアナターゼ型酸化チタンに紫外光を照射した場合、確かに親水性を高めるが、その性質上有機物であるバインダーを酸化、破壊してしまうので親水性層の強度が落ちてしまう。
特開平11−42865(第1頁)
再公表特許WO01−045959号パンフレット(第1頁)
特開2001−187489(第1頁)
特開2001−270261公報(第1頁)
特開2004−66816号公報(第1頁)
特開2001−80226号公報(第1頁)
特開2001−138652号公報(第1頁)
本発明の目的は、平版印刷版の製版技術において、廃液の発生がなく明室下での作業性に極めて優れ、また印刷性に於いても特に耐汚れ性に優れた平版印刷版の製版方法を提供することにある。
本発明の上記目的は鋭意検討した結果、以下の発明によって基本的に達成された。
1)支持体上に親水性層を設けてなる平版印刷版において、該親水性層が印刷時に最表面を構成する層であり、かつ1分子中に水酸基とその硫酸エステル基を同時に有するポリマー及び金属酸化物として平均直径25nm以下の一次粒子が凝集し、平均粒径1μm以下の2次粒子を形成しているシリカ粒子を含有することを特徴とする平版印刷版原版。
本発明によれば、平版印刷版の製版技術において、廃液の発生がなく明室下での作業性に極めて優れ、また印刷性に於いても特に耐汚れ性に優れた平版印刷版を提供することが可能となる。
本発明における平版印刷版の親水層は従来の紙、あるいはフィルムベースの平版印刷版の親水層と同様、金属酸化物と親水性高分子から形成される。平版印刷版における非画像部として親水性層を利用する場合、どうしても親水性高分子をバインダーとして用いないと、金属酸化物同士の結合力が弱く、印刷中に取れてしまう結果となる。しかし、親水性高分子は分子内に疎水性の部分も有している為にその親水性は金属酸化物に比べ劣っており、印刷時の汚れの原因となる。しかしながら、本発明者の注意深い実験から、ある種のバインダーを金属酸化物、特にシリカ粒子と併用して用いると、むしろ親水性が上がり、耐汚れ性がアルミニウム支持体を用いた平版印刷版に勝るとも劣らない結果を見出し、本発明に至ったことは驚くべきことであった。以下に本発明の詳細を記述する。
本発明において支持体上に金属酸化物と水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子とを有する親水層を有する平版印刷版原版を用いての製版方法には次の二通りの手法を用いることができる。(a)外部より親油性物質を画像状に印字し平版印刷版を製版する。(b)平版印刷版に感熱層を設け、サーマルレーザー若しくはサーマルプリンターで印字し平版印刷版を製版する。(a)の手法で外部より親油性物質を画像状に印字する方法としては各種公知の手法を用いることができ、乾式電子写真法レーザプリンターによりトナー粒子を印字する方法や、熱溶融型インクを用いたオンデマンドインクジェットプリンターを用いて熱溶融型インクを印字する方法、インクジェットプリンターを用いて親油性物質を印字する方法、熱転写インクリボンを用いてサーマルプリンターでインクを転写する方法、昇華型熱転写プリンターを用いてインクを転写する方法などを用いることができるが、非画像部に不必要な親油性物質を印字し難いインクジェットプリンター方式を用いることが好ましい。また、印字後に乾燥、加熱、光照射などし、印字した親油性物質を定着させることもできる。まず、(a)の手法に用いられる平版印刷版原版について説明する。
本発明の平版印刷版原版は支持体上に親水性層が設けられ、その親水性層は水酸基とその硫酸エステル基を有する親水性高分子、および金属酸化物を主構成物質として含有する。
本発明の平版印刷版の親水性層に用いる該親水性高分子は水酸基及びその硫酸エステル基を有していれば何れでも用いることができるが、好ましくはエステル化度が5〜95%、更に好ましくはエステル化度が10〜90%、更に好ましくは20〜80%である親水性高分子を用いる。これら好ましい水酸基及びその硫酸エステル基を有している親水性高分子としてはκカラギーナンなどのように分子中の特定の位置の水酸基が硫酸エステル化されていても、あるいは部分エステル化されたポリビニルスルホン酸カリウムなどのようにランダムに水酸基が硫酸エステル化されていても良い。水酸基及びその硫酸エステル基を有している親水性高分子の分子量に関しては特に規定しないが、好ましくは50000以上、さらに好ましくは80000以上である。これら好ましい水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子の具体例としてはカッパ型、イオタ型、ラムダ型のカラギーナン、フコイダン、ポルフィラン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン、ヒアルロン硫酸、デキストラン硫酸、部分エステル化ポリビニル硫酸(エステル化度が本発明の好ましい範囲内にあるもの)、特開2005−120068などに記載されている硫酸化キトサン、あるいはこれら親水性高分子のナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩などが挙げられるが、中でもセット性を有している為塗布がしやすいことなどからカラギーナン類が好ましい。これら水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子は単独でも、複数を混合させて用いても良い。水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子の使用量は0.01〜3g/m2、好ましくは0.05〜1g/m2である。
本発明における平版刷版の親水性層は金属酸化物を含有する。金属酸化物としてはシリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ニオブなど各種金属酸化物粒子を用いることもできるが、シリカ粒子が最も好ましい。
本発明に用いる金属酸化物粒子はスラリーの形にして用いることが好ましい。本発明の金属酸化物粒子スラリーの製造工程は、分散媒に金属酸化物粒子を添加し混合(予備混合)する一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液を分散装置(例えば高圧ホモジナイザーやボールミル)で分散する二次分散工程からなる。
一次分散工程における予備混合は、通常のプロペラ攪拌、タービン型攪拌、ホモミキサー型攪拌、超音波攪拌等で行うことができる。二次分散工程に用いられる分散装置としては、好ましくは高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散機、及び薄膜施回型分散機から選ばれる少なくとも1つを用いる。高圧ホモジナイザーはバルブ/バルブシート間の間隙を高圧・高速で被処理物を通過させる際の剪断力を利用した分散機でゴウリンタイプとして広く知られており、APVゴウリン社、ラニー社、NIRO SOAVI社、(株)日本精機製作所、三和機械(株)等から市販されているものを使用できる。超高圧ホモジナイザーは高圧ホモジナイザーでは達成できないような更に高圧の処理ができる分散機であり、チャンバー中の折れ曲がった細い経路内を高圧・高速で被処理物を通過させる際の剪断力や衝撃力を利用したタイプや、対向するノズルから被処理液を高圧・高速で噴射して被処理液同士を衝突させる際の剪断力を利用した対向衝突型ジェット粉砕タイプが知られており、(株)スギノマシン、みづほ工業(株)、ナノマイザー社等からアルティマイザー、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の商品名で市販されているものを使用できる。超音波分散機は超音波発振器より発生する超音波振動エネルギーを利用した分散機であり(株)日本精機製作所等から市販されているものを使用できる。薄膜施回型分散機はブラシを備えた高速回転軸を有するチャンバー内に被処理液を導入し、被処理液が薄膜となってチャンバー内壁を上部に移動する際のずり応力を利用したタイプであり、特殊機化工業(株)からフィルミックスという商品名で市販されているものを用いることができる。
金属酸化物粒子の分散媒は水を主体とするものであるが、少量の有機溶剤(エタノール等の低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含んでもよい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20質量%以下、更には10質量%以下であることが好ましい。また、酢酸ナトリウム、硼砂、炭酸水素ナトリウムなど各種公知のpH緩衝剤を添加することもできる。またその他に分散助剤として親水性高分子を用いることもできる。
本発明に用いる金属酸化物粒子の形態についてはスラリー製造が終了した段階での形態を意味する。粒子の形状は球形、針状、羽毛状、不定形など如何なる形を取ることもでき、さらにこれらの粒子を一次粒子として、それらの凝集した二次粒子の形を取ることもできる。本発明に用いる金属酸化物粒子の形状としてはこれらの中で、一次粒子として平均粒径25nm以下の球状粒子が塊状に凝集した二次粒子であることが好ましい。このようなシリカは特公平3−56552号、特開平10−81064号等に開示されている気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)がある。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジルとして市販されており入手することができる。本発明における好ましい金属酸化物微粒子の二次粒子サイズ、若しくは二次粒子を形成していない場合の一次粒子の粒子サイズは好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。平均粒径50nm以上の二次粒子、若しくは二次粒子を形成していない場合の一次粒子でやはり50nm以上の平均粒子径を持つ粒子の平均粒径は、レーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製、LA920)で測定することができる。それ以下の微小粒子に関しては電子顕微鏡を用いて確認することができる。また、粒子が一次粒子の凝集した二次粒子を形成している場合には、同じく電子顕微鏡を用いて、一次粒子のサイズ、また凝集の形を確認することができる。
本発明において金属酸化物粒子の使用量は固形分で0.03〜1g/m2、好ましくは0.05〜0.5g/m2である。また水酸基とそれを硫酸エステル化した親水性高分子に対し30〜300質量%、好ましくは40〜150質量%の使用量であることが好ましい。これら好ましいシリカ粒子は単独でもあるいは組み合わせて用いることもできる。また、シリカとその他の金属酸化物粒子も組み合わせて用いることもできるが、その場合シリカ粒子は金属酸化物粒子全体の50質量%以上、好ましくは75%以上、更に好ましくは90%以上用いる。
本発明において親水性層は水酸基と架橋反応し得る架橋剤を用いて架橋させ、印刷時に親水性層が取れないようにする。架橋剤としては、例えば、クロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオキサール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチラール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンのようなアルデヒド類縁化合物、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−S−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、イソシアネート基を分子中に二個以上有する化合物、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の1種もしくは2種以上を用いることができる。これらの他にも「高分子の化学反応」(大河原 信著 1972、化学同人社)の2・6・7章、5.2章、9・3章など記載の架橋剤など公知の架橋剤を用いることができる。これら架橋剤の中でもアルデヒド類を用いることが好ましい。架橋剤の使用量は水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子に対し1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%である。
本発明に係わる平版印刷版原版の親水性層は、水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子以外に種々の目的でその他の親水性ポリマーを併用しても良い。例えば本発明での好ましい水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子の1つであるカラギーナンをローストビーンガムを混合させることでゲル化し易くし、親水性塗布時の安定性を高めることなどできる。これらその他の親水性ポリマー使用量は水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子に対して30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下である。
本発明において親水性層に併用することができる親水性ポリマーとしては、以下の例が挙げられる。天然物では、澱粉類、海藻マンナン、寒天、アルギン酸ナトリウム、マンナン、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローストビンガム、アラビアガム、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、およびレバンなどのホモ多糖類、サクシノグルカン、プルラン、カードラン、およびザンタンガムなどのヘテロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼインおよびコラーゲン等のタンパク質、キチンおよびその誘導体等。また、半天然物(半合成物)類としては、セルロース誘導体、カルボキシメチルグアーガム等の変性ガム、並びにデキストリン等の培焼澱粉類、酸化澱粉類、エステル化澱粉類等の加工澱粉等。合成品には、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等の変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物、カルボキシビニル重合物、スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/クロトン酸共重合物等が挙げられる。
また、本発明の平版印刷版原版の親水性層を塗設するために、助剤としてアニオン系、カチオン系もしくはノニオン系界面活性剤のいくつかを用いても良いし、マット剤、増粘剤、帯電防止剤等を用いることもできる。また、塗布時の安定性を高めるため、水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子の種類によっては硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸カリウムなどの塩類を加え、ゲル化能を高めることもできる。さらに、カーボンブラック、フタロシアニンブルーなどの顔料や食用青色1号、同2号、食用赤色3号などの染料など色材を加えることもできる。
本発明おいて平版印刷版原版の支持体としては、樹脂被覆紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等の合成もしくは半合成高分子フィルム、アルミニウムや鉄等の金属板で、平版印刷に耐えるものであれば良いが、本発明の目的を達するためには安価な紙、フィルムベースを用いることが好ましい。また、これらの支持体の表面は、上層として塗設される層との接着を良くするために表面処理を行うこともできる。
本発明において平版印刷版原版には親水性層の他、必要に応じて下引き層、導電層、帯電防止層、支持体のカールを防止するカール防止層、所望のカールを付与するカール促進層等を設けることができる。
本発明において平版印刷版を製版する際に用いる親油性物質は各種の印字方式で用いられている公知の物質を用いることができる。例えば乾式電子写真方式を用いるなら特開平5−53369号公報や特開2003−228179号公報などの公知のトナーを用いることができる。また熱転写インクリボンを用いたサーマルプリンターを用いる場合、特開平9−193559号公報などに記載されているような公知のインク組成物を用いることができる。インクジェット方式ではインク中に親油性物質を含有していなければならない。好ましいインクジェット方式のインク組成物としては、例えば特開2001−270261号公報などに記載されているようなワックスを主成分とする熱溶融固形インクのインク組成物、あるいは特開昭56−10960号公報、特開平5−204138号公報などに記載されているような紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂を含有したインク組成物、あるいは特開2004−66816号公報、特開平10−119230号公報などに記載の親油性物質を含有したインク組成物、あるいは特開2005−88937号公報や特開2001−316423号公報などに記載されている水系紫外線硬化樹脂を含有したインク組成物などがある。この中でも、印字画質が良く、強度なども大きい紫外線硬化樹脂、水系紫外線硬化樹脂を含有したインク組成物を用いることが好ましい。
次に本発明における好ましい製版方法の1つである(b)平版印刷版に感熱層を設け、サーマルレーザー若しくはサーマルプリンターで印字し平版印刷版を製版する方式に用いられる平版印刷版原版について説明する。
本発明に係わる平版印刷版原版の好ましい一例として、支持体の表面上に熱により疎水性へと変換する層さらにその上に親水性層を設ける。一方、裏面はカールバランスを調整するために裏面層を設ける。該熱による疎水性へと変換する層とは、熱が与えられない場合は親水性を維持するが、熱が加わるとその部位の層は溶融し、疎水性へと変換するものである。一方、その上層に設けられた親水性層については、熱の与えられた部位の下層(熱による疎水性へ相変換する層)が熱により溶融される際にその親水性層が下層に取り込まれることで疎水性になる、若しくはアブレーションなどで親水性層が破壊された際、熱によって溶融した下層は疎水性へと変換し表面へ露出する。上記原理で平版印刷版を製版する方法として、まず、平版印刷用原版にサーマル印字ヘッドによる接触やレーザー照射等により所望する画像形成を行う。これら熱が照射された部分は疎水性へと変換するため親油性となる。一方、熱が照射されていない部位は下層(熱による疎水性へと変換する層)及び上層(親水性層)共に親水性を維持している。この後に、平版印刷機に装着すれば、熱が掛かり疎水性へと変換した部分にはインキが、また熱が掛かっていない部分には水がそれぞれ受理され、印刷が可能となる。以下、この方式(b−1と略す)に用いる平版印刷版原版について説明する。
b−1方式に用いる平版印刷版原版の熱で疎水性へ相変換する層としては、熱融着性微粒子、または熱溶融性微粒子を含有する構成が好ましく用いられるが、特に熱溶融性微粒子を用いることが好ましい。
本発明において熱融着性微粒子とは、熱可塑性微粒子が挙げられる。具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、合成ゴム、(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン等が好ましく用いられる。さらに好ましくはスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体が挙げられる。これらの樹脂は必要に応じて2種以上混合して使用することができるし、また複数の層としても良い。また、熱が与えられたときに自己架橋する樹脂が特に好ましい。
本発明において熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。具体例としては、例えば、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。
b−1方式に用いる平版印刷版原版の熱で疎水性へ相変換する層に含有する熱融着性微粒子、または熱溶融性微粒子は0.1〜100g/m2の範囲で有れば良く、好ましくは5〜80g/m2である。更に好ましくは、10〜50g/m2である。
b−1方式に用いる平版印刷版原版の熱で疎水性へ相変換する層は、前述した熱融着性微粒子または/および熱溶融性微粒子単独で層を構成しても良いが、支持体への塗布に対しては親水性ポリマーを含有する事が好ましく、熱融着性微粒子または/および熱溶融性微粒子の添加量に対して200%以下の範囲であれば良い。好ましくは100%以下であり、さらに好ましくは50%以下である。親水性ポリマーは下記に代表例を挙げるが、これらに限定されない。
天然物では、澱粉類、海藻マンナン、寒天およびアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるもの、マンナン、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローカストビンガム、アラビアガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、およびレバンなどのホモ多糖類、サクシノグルカン、プルラン、カードラン、およびザンタンガムなどのヘテロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼインおよびコラーゲン等のタンパク質、キチンおよびその誘導体等が挙げられる。
また、半天然物(半合成物)類としては、セルロース誘導体、カルボキシメチルグアーガム等の変性ガム、並びにデキストリン等の培焼澱粉類、酸化澱粉類、エステル化澱粉類等の加工澱粉等が挙げられる。
合成品には、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等の変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物、カルボキシビニル重合物、スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/クロトン酸共重合物等が挙げられる。
これらの中でも、特にゼラチン、変性及び無変性のポリビニルアルコール、及びセルロース誘導体が有利に使用できる。
b−1方式の平版印刷版原版は感熱層の上に親水性層が設けられる。親水性層の構成は基本的には前述の支持体の上に親水性層が設けられ、親油性物質を画像状に印字する平版印刷版の原版の親水性層と同じものが使われる。しかしながら、親水性層が厚過ぎると感熱層との融合や親水性層のアブレーションが起き難くなるため、その好ましい量は少なくなり、水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子の使用量は0.005〜1.2g/m2、好ましくは0.02〜0.4g/m2、金属酸化物粒子の使用量は固形分で0.01〜0.4g/m2、好ましくは0.02〜0.2g/m2である。また金属酸化物粒子は水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子に対し、20〜200質量%、好ましくは30〜100質量%使用する。
b−1方式の平版印刷版原版に用いる好ましい支持体については前述のaの方式と同じものが使われる。親水性層、感熱層の他、必要に応じて下引き層、導電層、帯電防止層、支持体のカールを防止するカール防止層、所望のカールを付与するカール促進層等を設けることができることも同じである。
本発明の平版印刷版原版の製版方法(b)である熱による直接描画方法としては、例えば、サーマルプリントヘッド、レーザーとして炭酸ガスレーザ、窒素レーザ、Arレーザ、He/Neレーザ、He/Cdレーザ、Krレーザ等の気体レーザ、液体(色素)レーザ、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザ等の固体レーザ、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザ等の半導体レーザ、KrFレーザ、XeClレーザ、XeFレーザ、Ar2等のエキシマレーザ等を挙げることができるが上記に限定されない。
b−1方式の平版印刷版原版の製版方法(b)において、熱による描画効率(即ち本発明の方法における平版印刷版原版の感度と言える)を向上させるためには、何れかの層に光熱変換剤を含有させることができる。
光熱変換剤としては一般的に染料または顔料であれば良く、例えばカーボンブラック、シアニン、無金属または金属フタロシアニン、金属ジチオレン、アントラキノン等を挙げることができる。
本発明に係わる平版印刷版原版の好ましいもう一つの例として、支持体の表面上に親水性層が設けられ、さらにその上に疎水性層を設ける。一方、裏面はカールバランスを調整するために裏面層を設ける。疎水性層は熱により硬化させれ、印刷時に熱がかからず硬化していない疎水性層が機上現像されて取れ、親水性層が表面に出てくるか、もしくはアブレーションで疎水性層が破壊され親水性層が表面に出てくる。上記原理で疎水性層の残っている部分は画像部となり、親水性層が表面に出てきたところは非画像部となり、平版印刷が可能となる。以下、この方式(b−2と略す)に使用する平版印刷版原版について説明する。
b−2方式の平版印刷版原版の疎水性層としては、前述の熱融着性微粒子、または熱溶融性微粒子を含有する構成が好ましく用いられるが、特にこれらを混合して用いることが好ましい。
b−2方式の平版印刷版原版の疎水性層に含有する熱融着性微粒子、または熱溶融性微粒子は0.1〜100g/m2の範囲で有れば良く、好ましくは5〜80g/m2である。更に好ましくは、10〜50g/m2である。疎水性層を硬化させる場合、熱融着性微粒子と熱溶融性粒子の好ましい比率は8:2から4:6、好ましくは7:3から5:5である。アブレーションで疎水性層を除去する場合はその好ましい比率は10:0〜5:5である。
b−2方式の平版印刷版原版の疎水性層は、前述した熱融着性微粒子または/および熱溶融性微粒子単独で層を構成しても良いが、支持体への塗布に対しては親水性ポリマーを含有する事が好ましく、熱融着性微粒子または/および熱溶融性微粒子の添加量に対して200%以下の範囲であれば良い。好ましくは100%以下であり、さらに好ましくは50%以下である。親水性ポリマーはb−1方式の平版印刷版原版で用いることのできる親水性ポリマーと同様のものを用いることができる。
b−2方式の平版印刷版原版は支持体と疎水層の間に親水性層が設けられる。親水性層の構成は基本的には前述のa方式の平版印刷版原版の親水性層と同じである。またその好ましい使用量も同様である。
b−2方式の平版印刷版原版に用いる好ましい支持体についてはa方式の平版印刷版原版と同じものが使えわれる。親水性層、感熱層の他、必要に応じて下引き層、導電層、帯電防止層、支持体のカールを防止するカール防止層、所望のカールを付与するカール促進層等を設けることができることも同じである。
b−2方式の平版印刷版原版の製版方法(b)である熱による直接描画方法としては、例えば、サーマルプリントヘッド、レーザーとして炭酸ガスレーザ、窒素レーザ、Arレーザ、He/Neレーザ、He/Cdレーザ、Krレーザ等の気体レーザ、液体(色素)レーザ、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザ等の固体レーザ、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザ等の半導体レーザ、KrFレーザ、XeClレーザ、XeFレーザ、Ar2等のエキシマレーザ等を挙げることができるが上記に限定されない。
b−2方式の平版印刷版原版の製版方法(b)において、熱による描画効率(即ち本発明の方法における平版印刷版原版の感度と言える)を向上させるためには、何れかの層に光熱変換剤を含有させることができる。特に疎水層に含有させることが好ましい。
光熱変換剤としては一般的に染料または顔料であれば良く、例えばカーボンブラック、シアニン、無金属または金属フタロシアニン、金属ジチオレン、アントラキノン等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、無論この記述により本発明が制限されるものではない。
実施例1
アエロジル200((株)トクヤマ社製)1.44kgを、水酸化ナトリウム14.4g、酢酸ナトリウム6.12gを含有している水溶液に加え全量を8kgとした。これをのこぎり歯状ブレード型分散機でブレードの周速が30m/秒で90分間攪拌して18質量%のシリカ粗分散物を得た。一次分散工程で得られたシリカ粗分散物を高圧ホモジナイザーにより処理量40l/時間、圧力200kg/cm2の条件で3回乳化分散してシリカ分散物を得た。得られた分散物を60℃で1時間プロペラ羽根型分散機で低速攪拌しながら保存してシリカスラリーを得た。得られたスラリー内の粒径をレーザー散乱粒度分布計HORIBA LA920を用いて二次粒径を調べたところ0.1μmであった。また電子顕微鏡で観察したところ、一次粒径12nmの一次粒子が塊状に凝集した凝集体であった。
135g/m2の両面ポリエチレン被覆紙(RC紙)をコロナ放電加工した後、次に示す処方からなる層(熱で疎水性へ相変換する層)を塗設した。
(熱で疎水性へ相変換する層の塗液処方/1m2当たり)
ゼラチン 3.5g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム 0.5g
カーボンブラック 3g
スチレン/ブタジエン共重合体(40%分散液) 40g
活性剤(塗布助剤) 1g
上記により得た塗液を50g/m2(湿分塗布量)で塗布を行った。その後、更に前述のシリカスラリーを含有する下記親水性層を塗布した。
(親水性層処方A/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200(日本エアロジル社製シリカ、一次粒径12nm、BET比表面積200m2/g) 0.05g
(親水性層処方B/1m2当たり)
iカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.05g
(親水性層処方C/1m2当たり)
デルマタン硫酸 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.05g
(親水性層処方D/1m2当たり)
コンドロイチン硫酸 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.05g
(親水性層処方E/1m2当たり)
ポリビニル硫酸(和光純薬社(株)製、エステル化度92.2%) 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.05g
(比較親水性層処方F/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
(比較親水性層処方G/1m2当たり)
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.05g
(比較親水性層処方H/1m2当たり)
PVA215(クラレ社製、重合度1500 ケン化度88%) 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.05g
(比較親水性層処方I/1m2当たり)
ポリアクリル酸(平均分子量100000) 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.05g
(比較親水性層処方J/1m2当たり)
CMCダイセル3042(ダイセル(株):CMC)0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.05g
(親水性層処方K/1m2当たり)
ポリビニル硫酸(ナカライテスク社(株)製、エステル化度95.3%) 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.05g
(比較親水性層処方L/1m2当たり)
メトローズ60SH
(信越化学工業(株):ヒドロキシプロピルセルロース) 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.05g
次いで、半導体レーザ照射装置(830nm)で画像部に相当する部分のレーザ照射を上記原版(熱で疎水性へ相変換する層を有する側)に行い、疎水性表面を露出させて、印刷版を得た。この印刷版を用いて、オフセット印刷機(リョービイマジクス(株)製3200CD)にて印刷を行った。また印刷の比較としてアルミニウム支持体を利用しているSDP−αR15(現像液としてSDP−αDV,安定液としてSDP−αST、ガム液としてSDP−αGUM、以上いずれも三菱製紙(株)社製)を用いた。
印刷物の汚れ状態と耐刷性を以下の基準で評価した。
<印刷物の汚れ状態の評価>
1:全く汚れない。
2:部分的に薄く汚れる。
3:全面が薄く汚れる。
4:全面が汚れる。
<印刷物の耐刷状態の評価>
1:全く印刷画像が変わらない。
2:ほとんど印刷画像は変わらないが、やや細線画像が細る。
3:やや画像部のインキ濃度が低下する。
4:画像部のインキ濃度低下、細線部が細る。
印刷物の汚れ状態、及び耐刷性を評価するために使用した給湿液及びインキを以下に示す。
<汚れ状態の評価>
1:給湿液
日研化学(株)アストロマークIII 1%(上水道を使用し1%にする。)
2:インキ
大日本インキ化学工業(株)製ニューチャンピオン 紫68N
<耐刷性の評価>
1:給湿液
三菱製紙(株)SLM−OD30 3%(上水道を使用し3%にする。)
2:インキ
大日本インキ化学工業(株)製ニューチャンピオン 墨85H
汚れ状態の評価は、1000枚目のブランケットの汚れ状態で評価。耐刷性は10000枚印刷した後の印刷物の細線画像部(50 ミクロン細線)の細りと画像部の濃度低下の状態で評価した。これらの結果を表1に示す。
上記の結果から明らかなように、水酸基とその硫酸エステル基を持つ親水性高分子を親水層に用いたものは高い耐汚れ性を示す。また、この親水性高分子はシリカと併せて用いることで非常に高い耐汚れ性を示すことが判る。また、本発明の平版印刷版原版はアルミニウム支持体を用いたSDP−αと遜色ない結果を示している。
実施例2
下記親水層処方を用いる以外は実施例1と同様に平版印刷版原版を作製し、汚れの評価を1000枚だけではなく2000枚、3000枚で評価する以外、実施例1同様に評価した結果、表2のような結果を得た。なお、スノーテックス、MP4540、ジルコニア以外は実施例1と同様に分散した。スノーテックス、MP4540、ジルコニアについては、分散液の形で供給されているので、そのまま用いた。レーザー散乱粒度分布計HORIBA LA920を用いてこれらの二次粒径を調べたところ、アエロジルに関してはグレードに係わらず0.1μmであった。その他の粒子については塗液処方に併記する。また、電子顕微鏡観察ではアエロゾル、酸化チタンP25は一次粒子が塊状に凝集した凝集体構造をとっていた。
(親水性層処方M/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル130(日本エアロジル社製、一次粒径16nm) 0.05g
(親水性層処方N/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル50(日本エアロジル社製、一次粒径30nm) 0.05g
(親水性層処方O/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
スノーテックスS(日産化学工業(株)社製コロイダルシリカ、TEMより平均粒径10nmの非凝集粒子) 0.05g(固形分)
(親水性層処方P/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
スノーテックスPS(日産化学工業(株)社製コロイダルシリカ、TEMより平均粒径20nmの一次粒子のつながった数珠状粒子) 0.05g(固形分)
(親水性層処方Q/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
MP4540(日産化学工業(株)社製シリカ、粒径500nmの非凝集一次粒子)
0.05g(固形分)
(親水性層処方R/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
カープレックスFPS101(DSLジャパン(株)社製シリカ、粒径1.7μmの非凝集一次粒子) 0.05g
(親水性層処方S/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
カープレックスFPS1(粒径2.1μmの非凝集一次粒子) 0.05g
(親水性層処方T/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
カープレックス#80(粒径8.1μmの非凝集一次粒子) 0.05g
(親水性層処方U/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
二酸化チタンP25(日本アエロジル(株)社製、一次粒径21μm) 0.05g
(親水性層処方V/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
二酸化チタンTISR1
(帝国化学(株)社製、粒径0.2μmの非凝集一次粒子) 0.05g
(親水性層処方W/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
ジルコニアUEP
(第一稀元素(株)社製、粒径0.25μmの非凝集一次粒子) 0.05g
表2より、一次粒子が凝集したものが最も耐汚れ性が良く、非凝集品(スノーテックス)よりも勝っており、かつ一次粒子も小さく、BET比表面積の大きな方が良いことが判る。またBET比表面積が大きいが粒径も大きいシリカについては汚れ性はこれら凝集体に比べれば悪いが、粒径は小さくなる方が耐汚れ性は良くなっていくことが判る。さらにシリカ以外の金属酸化物ではあまり汚れが芳しくないことも判る。
実施例3
実施例1、及び2で使用した平版印刷版原版を、半導体レーザー照射機を用いる代わりに感熱プリンターで上記原版(熱で疎水性へ相変換する層を有する側)の画像部に相当する部分に熱を与え、疎水性表面を露出させて、印刷版を得る以外は実施例1、2と同様に実施した結果、同様の結果を得た。
実施例4
135g/m2の両面ポリエチレン被覆紙(RC紙)をコロナ放電加工した後、次に示す親水性層を塗設した。
(親水性層処方A2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.27g
(親水性層処方B2/1m2当たり)
iカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.27g
(親水性層処方C2/1m2当たり)
デルマタン硫酸 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.27g
(親水性層処方D2/1m2当たり)
コンドロイチン硫酸 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.27g
(親水性層処方E2/1m2当たり)
ポリビニル硫酸(和光純薬社(株)製、エステル化度92.2%) 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.27g
(比較親水性層処方F2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
(比較親水性層処方G2/1m2当たり)
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.27g
(比較親水性層処方H2/1m2当たり)
PVA215(クラレ社製、重合度1500 ケン化度88%) 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.27g
(比較親水性層処方I2/1m2当たり)
ポリアクリル酸(平均分子量100000) 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.27g
(比較親水性層処方J2/1m2当たり)
CMCダイセル3042(ダイセル(株):CMC) 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.27g
(親水性層処方K2/1m2当たり)
ポリビニル硫酸(ナカライテスク(株)製、エステル化度95.3%) 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.27g
(比較親水性層処方L2/1m2当たり)
メトローズ60SH
(信越化学工業(株):ヒドロキシプロピルセルロース) 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル200 0.27g
(親水性層処方M2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル130 0.27g
(親水性層処方N2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
アエロジル50 0.27g
(親水性層処方O2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
スノーテックスS 0.27g(固形分)
(親水性層処方P2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
スノーテックスPS 0.27g(固形分)
(親水性層処方Q2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
MP4540 0.27g(固形分)
(親水性層処方R2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
カープレックスFPS101 0.27g
(親水性層処方S2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
カープレックスFPS1 0.27g
(親水性層処方T2/1m2当たり)
κカラギーナン0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
カープレックス#80 0.27g
(親水性層処方U2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
二酸化チタンP25 0.27g
(親水性層処方V2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
二酸化チタンTISR1 0.27g
(親水性層処方W2/1m2当たり)
κカラギーナン 0.12g
活性剤(塗布助剤) 0.4g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
ジルコニアUEP 0.27g
下記処方にてインクジェットプリンターのインクを作製し、PM−750C(セイコーエプソン(株)社製)の黒インクに、これを入れ、作製した平版印刷版原版に印字した。印字後高圧水銀ランプ80W/cm2で印字部を露光し、硬化させた。これを実施例2と同様に評価した結果、表3のような結果を得た。
<インクジェットプリンター用インク>
ミラゾールSK004A0−100(大日本インキ化学工業(株)製) 12.5g
ミラゾールSK004B 0.25g
食用青色1号 0.1g
水を加えて全量を100gとする。
表3より支持体上に親水性層を有し、これに外部から親油性物質を画像状に印字した場合でも感熱層を持つ平版印刷版原版を用いたときと同様の結果を得ることができることが判る。
実施例5
135g/m2の両面ポリエチレン被覆紙(RC紙)をコロナ放電加工した後、実施例4で使用した親水層を塗布し、その上に疎水層を塗設した。
(疎水性処方/1m2当たり)
ゼラチン 3.5g
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム 0.5g
カーボンブラック 3g
スチレン/ブタジエン共重合体(40%分散液) 20g
ステアリン酸亜鉛分散物ZJ538(中京油脂性。平均粒径0.2μm)20g
活性剤(塗布助剤) 1g
上記により得た塗液を50g/m2(湿分塗布量)で塗布を行った。その後、実施例1同様に印字し、実施例4同様に評価したところ、同様の結果を得た。