JP4484389B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット用紙、画像形成方法及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、インクの吸収速度を飛躍的に高め、インクジェットプリンティングにおける高速印字を可能としたインクジェット用紙、このインクジェット用紙を用いた画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インク吸収層にある種の微粒子を含有させ、インクの吸収速度を向上させたインクジェット用紙としては、基材上に、平均粒子径2〜50μm、平均細孔直径8〜50nm、細孔容積0.8〜2.5cc/gの多孔性シリカ粒子及びアルミナゾルの混合物をバインダーと共に塗布してなる多孔質層を形成した記録媒体(特開平6−48016号公報)、基材上に2つのコーティング層を有するインクジェット記録媒体に関するもので、媒体の表面コーティング層は主として無機粒子を含み、媒体の下層コーティング層は主としてポリマー層を含むことを特徴とするインクジェット記録媒体(特開平8−187934号公報)、支持体上に固体微粒子及びポリビニルアルコールを含有する少なくとも1層のインク吸収層を有し、このインク吸収層の少なくとも1層が、ポリビニルアルコールの総量に対して固体微粒子を重量比で2〜200倍含有するインクジェット記録用紙において、固体微粒子を含有する層が平均重合度が1000以下のポリビニルアルコールと平均重合度が2000以上のポリビニルアルコールを含有するインクジェット記録用紙(特開平10−81064号公報)及び基材上に、アルミナ水和物を含む多孔質層を有し、その表面に平均凝集粒子径が0.1〜0.5μmの凝集粒子又は平均1次粒子径が0.1〜0.5μmの単分散粒子を含む顔料定着層を有する顔料インク用記録媒体(特開平11−78225号公報)が知られている。
【0003】
インクジェットによる画像形成は、フルカラー化が容易であるという特徴に加え、最近ではさらに、高精細、高画質な画像を得られる技術として急激に進歩した。
さらに、パソコンやインターネットの急激な普及やビジュアルなプレゼンテーションの必要性等の社会的ニーズから、画像形成技術のかなりの領域を占めるにまで急成長した。
【0004】
これらの要求に応えるためのインクジェット用紙に求められる特性は、高精細な画像を表現できるための高解像性、意図したイメージを忠実に再現する色再現性、特にカラー出力用途の場合、色の鮮やかさと光沢性及びインクの吸収速度が大きいことによる速乾性等が挙げられる。
【0005】
このような要求特性を満足させるためには、一般に大きくは、次の2つの達成手段がある。
▲1▼ ゼラチン、ポリビニルアルコール等を用いた膨潤型用紙。
▲2▼ シリカ微粒子、アルミナ微粒子等を用いた空隙型用紙。
しかし、▲1▼の技術においては、耐水性とインクの吸収性を両立させることが困難であり、▲2▼の技術においては、微粒子の径を大きくすると、インクの吸収性が向上するものの透明性が低下し、色再現性や色の鮮やかさを実現できない、といった問題点が発生する。
上記の従来技術では、この▲1▼、▲2▼のいずれか又は両方の組み合わせもしくは最適化によって、問題の解決を図ることを企図したものであるが、いまだ完全に解決するには至っていないものである。
特に、インクの吸収速度に関しては、不十分なものであった。
【0006】
上記のとおり、特開平6−48016号公報には、基材上に、平均粒子径2〜50μm、平均細孔直径8〜50nm、細孔容積0.8〜2.5cc/gの多孔性シリカ粒子及びアルミナゾルの混合物をバインダーと共に塗布してなる多孔質層を形成した記録媒体が開示されている。
この記録媒体は、上記の典型的な空隙型用紙に関するものであるが、インクの吸収は、多孔質層による空隙にインクが吸収されるものであり、吸収速度の向上は望めないという大きな問題がある。
【0007】
また、特開平10−81064号公報には、上記のとおり、支持体上に固体微粒子及びポリビニルアルコールを含有する少なくとも1層のインク吸収層を有し、このインク吸収層の少なくとも1層がポリビニルアルコールの総量に対して固体微粒子を重量比で2〜200倍含有するインクジェット記録用紙において、この固体微粒子を含有する層が平均重合度が1000以下のポリビニルアルコールと平均重合度が2000以上のポリビニルアルコールを含有するインクジェット記録用紙が開示されている。
この記録用紙は、膨潤型用紙と空隙型用紙の複合タイプと見ることができるが、単に組み合わせただけでは、それぞれが本質的に抱える問題点を解決するまでには至っていないものであった。
特に、膨潤型用紙の欠点を有すると言うことは、耐水性に問題があり、用途が限定されてしまうという問題がある。
【0008】
一方、酸化チタンや酸化亜鉛を用いることを特徴とする従来技術としては、上記特開平8−187934号公報、特開平11−78225号公報がある。
しかしながら、これらの技術によるものも、無機微粒子が形成する微小空間にインクを吸収させるという空隙型用紙の範疇を出ていないものであり、したがって、インクの吸収速度は、無機微粒子の粒子径や含有量を最適化しても限界があり、解決すべき課題は多いものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑み、インクの吸収速度を飛躍的に高め、インクジェットプリンティングにおける印字速度を電子写真プロセスを凌ぐほどに向上させたインクジェット用紙、このインクジェット用紙を用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することをその課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために、インク吸収層に含有させる無機粒子に着目して鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
【0011】
すなわち、本発明によれば、支持体上に、光触媒機能を有する無機粒子を含有する少なくとも1層のインク吸収層を有するインクジェット用紙において、該無機粒子が、光触媒機能を有する物質であることを特徴とするインクジェット用紙が提供される。
【0012】
このインクジェット用紙には、下記(i)〜(iii)に記載のインクジェット用紙が含まれる。
(i)該インク吸収層が、バインダーを含有するものであるインクジェット用紙。
(ii)該光触媒機能を有する物質が、金属酸化物であるインクジェット用紙。
(iii)該金属酸化物が、酸化チタン、ヘマタイト(α−Fe2O3)、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タングステン及びチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)の中から選ばれた少なくとも1種以上の材料であるインクジェット用紙。
【0013】
本発明によれば、第1に、前記インクジェット用紙に励起用光源から発する光を照射した後、インク液滴の噴射によって画像を形成することを特徴とする画像形成方法が提供され、この励起用光源には、下記(i)〜(iv)記載の励起用光源が含まれる。
(i)該励起光源が、紫外光を含む光源である。
(ii)該紫外光を含む光源が、紫外及び近紫外レーザー光源である。
(iii)該励起光源が、低圧水銀ランプである。
(iv)該励起光源が、ブラックライトである。
【0014】
また、本発明によれば、第2に、前記画像形成方法に用いる画像形成装置であって、前記インクジェット用紙に励起用の光を照射する手段と、励起用の光が照射されたインクジェット用紙にインク液滴の噴射によって画像を形成する手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
これまで提案されてきた従来技術は、たとえ無機微粒子を使用したとしても、その形状に起因する無機微粒子が形成する微小空間を利用しているに過ぎなかった。
これに対し、本発明は、無機微粒子の有する形状に起因する特性も利用することはもちろん、表面の濡れ性の変化を制御して、これを積極的に利用し、インクの吸収速度を飛躍的に向上させることを実現できたのである。
【0016】
現状では、パーソナルユースのインクジェットプリンタの印刷速度は、A4サイズで毎分1枚以下であり、それに対応するインクジェット用紙は、これまで提案されてきたような技術で十分適応可能な領域である。
しかしながら、インクジェット方式と電子写真方式を比較した場合、電子写真方式利用のカラープリンターは、その10倍以上の印刷スピードを既に達成している。
この両方式の大きな差は、現状では、インクジェット方式はインク液滴を噴射する印字ヘッドが、せいぜい数百ドット程度のスペックしか有していないことによるものであり、それをスキャンしながら印刷面全面に画像を形成しているというプロセス上の制約が大きい。
【0017】
しかしながら、インクジェット方式の分野においても、印刷速度の向上は必須の課題であり、ハード面、すなわち、印字ヘッドの多ドット化、マルチヘッド化、さらにはラインヘッド化のための研究開発は積極的に行われており、近い将来、それらの技術が現実のものとなることは容易に予想される。
【0018】
そのようになった場合、印刷速度の向上の次の障害は、印刷したインクの吸収速度、及び乾燥時間にあるということは十分予想されていることである。
すなわち、いくら早く印刷ができたとしても、インクの吸収速度が不十分で、色のにじみやボケ等が発生することにより、高品質の画像を得ることは非常に困難であり、さらには、印刷が完了し、出力された用紙の上に、乾燥が不十分のまま、次の印刷物が出力されてしまうと、乾燥不十分の画像のインクが、次の印刷物の裏面に付着してしまい、大きな問題となる。
【0019】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、インク吸収層に光触媒機能を有する金属酸化物を含有させ、インク液滴の噴射前に、励起光を照射し、金属酸化物の表面の濡れ性を向上させ、これを推進力として、インクの吸収速度を飛躍的に向上させることを最大の特徴としている。
これにより、インクジェット方式の技術が進展し、印刷速度が現状の10倍以上に向上した場合でも、インクが瞬時に吸収されることにより、色のにじみやボケ等が発生することを確実に防止し、高精細画像を安定して容易に得られるものとなる。
さらには、裏写り等の問題も解決し、インクジェット方式が高速印字を達成するための障害を、記録用紙側からの技術革新によって解決するものである。
【0020】
本発明のインクジェット用紙、画像形成方法及び画像形成装置について、図に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明によるインクジェット用紙の構成を模式的に断面図で示したものである。
紙やプラスチックフィルム等からなる基材(1)上に、必要に応じてバインダー樹脂(2)中に金属酸化物微粒子(3)が分散された状態で含有されている。また、図1(b)は、励起光照射後に、金属酸化物の表面の濡れ性が親水性に変化し、その効果で、インク液滴(104)が速やかに記録用紙中に吸収されていく様子を示している。
このように、本発明においては、インク吸収層に光触媒機能を有する金属酸化物を含有していることを大きな特徴としている。
ここでいう光触媒機能を有する物質の例としては、酸化チタン,ヘマタイト(α−Fe2O3)、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等が挙げられるが、これに限ったものではない。
【0021】
上記酸化チタン等は、紫外光により励起され光触媒機能を発揮するものである。
これらの光触媒機能を有する物質は、元々疎水性を示すものであるが、紫外光により励起され、光触媒機能を発揮することにより、紫外光により励起された領域が親水性を示すようになる。
この表面性の変化のメカニズムは、現在広く研究されているものであるが、酸化チタンにおいて提唱されている有力なモデルとしては、酸化チタンを構成している2つの酸素のうちのひとつと、空気中のH2Oが反応を起こし、その結果、酸化チタン表面に水とのなじみが非常によい−OH(親水基)ができるためというモデルである。
本発明においては、励起光源となる励起光は、光触媒機能を発揮させるために適した紫外光を用いているために、効率よく光触媒機能を発揮させることができる。
【0022】
励起光により光触媒機能を発揮され、親水性になった領域にインク液滴が噴射された場合,単純に微粒子が形成する空隙にインクが吸収される速度を、遥かに上回る速度で吸収が進む。
これは、空隙にインクが吸収するための推進力として、金属酸化物の表面の濡れ性が変化し親水性となり、しみこみやすさが飛躍的に向上するためである。
【0023】
図2は、本発明における実際の印刷プロセスを模式的に示したものである。
励起光源(6)によって、インクジェット用紙全体に励起光を照射し、インクジェット用紙のインク吸収層に含まれる金属酸化物を励起し、光触媒機能、すなわち、表面を親水性化する。
その後、公知の手段により、インクジェットヘッド(7)からインク液滴(4)を噴射し、画像を形成するものである。
【0024】
ここで、励起光源として用いることのできるものは、近紫外のレーザー光源、低圧水銀ランプ及びブラックライト等の金属酸化物を励起し得る波長を発するものであれば、これらに限定されるものではない。
低圧水銀ランプやブラックライト等は、インクジェット用紙全体を励起するのに適しているのに対し、近紫外のレーザー光源は、全体を励起するためには光のビームをスキャンさせる必要があるようにとられかねないが、印刷に必要な箇所だけ光を照射すればよく、デメリットは全くない。
逆に装置が小型化、省エネ化が図れるといったメリットが大きい。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限定されるものではない。
【0026】
実施例1
▲1▼インクジェット用紙の作成
支持体として上質紙(坪量:72.5g/m2、密度:0.8g/cm3、厚さ:94μm)を用い、この用紙に以下の塗布液をスプレーコーティング法により塗布し、塗布後、1分間放置し、約50℃の温風を当てて乾燥させて、インクジェット用紙を得た。
【0027】
塗布液
純水 500ml
IPA(イソプロピルアルコール) 150ml
二酸化チタン(石原産業製、TTO-55 ルチル型、平均粒径:30nm) 25g
ポリビニルアルコール(関東化学製、#2000、試薬特級) 16g
オレイン酸ナトリウム(関東化学製、試薬1級) 12g
【0028】
▲2▼画像形成とその評価方法
インクジェットプリンタ(リコー製、IPSIO JET 300)を改造し、印刷前のインクジェット用紙に励起光を照射できるように、波長が400nmの近紫外レーザー光源(出力=10mW)を設置した。
次に、▲1▼で作成したインクジェット用紙に対し、印刷前に、近紫外レーザー光源(出力=10mW)を照射し、その後、黒インクのみを使用して、A4サイズのインクジェット用紙の中央部に帯状のベタ印刷を行った。
このプロセスは連続で行った。
吸水性の評価は、印刷後、出力されたベタ部に吸い取り紙を当てて、吸い取り紙側にインクが移らなくなるまでの時間、1、2、3、5、7、10、15秒後に新たな面に対して行った。
【0029】
▲3▼評価結果
比較例として、本発明によるインクジェット用紙を用いて、励起光源の有無により評価実験を行った。
その結果、励起光源が無いものは、印刷完了後5秒後でも吸い取り紙側にインクが移ることが確認され、7秒後に完全に吸い取り紙側にインクが移ることはなかった。
これに対し、励起光源として近紫外レーザー光源(出力=10mW)を照射した後に同様に印刷を行ったものは、1秒後で、僅かに吸い取り紙側にインクが移ることが認められ、2秒後には全く吸い取り紙側にインクが移ることはなかった。
この結果から、励起光源により光触媒機能を発揮したインクジェット用紙においては、インクの吸収速度が飛躍的に向上することが確認された。
【0030】
実施例2
▲1▼インクジェット用紙の作成
使用する二酸化チタンを以下のものに代えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用紙を作成した。
二酸化チタン(石原産業製、TTO-55 アナターゼ型、平均粒径:30nm)25g
【0031】
▲2▼画像形成とその評価方法
実施例1と同様に、インクジェットプリンタ(リコー製、IPSIO JET 300)を改造し、印刷前のインクジェット用紙に励起光を照射できるように、波長が400nmの近紫外レーザー光源(出力=10mW)を設置した。
次に、▲1▼で作成したインクジェット用紙に対し、印刷前に、近紫外レーザー光源(出力=10mW)を照射し、その後、シアンとマゼンタの2色のインクを使用して、A4サイズのインクジェット用紙に5mm×5mmの市松模様のパターンを印刷した。
吸水性の評価は、実施例1と同様に行った。
さらに、シアンとマゼンタで構成された5mm×5mmの市松模様の境界領域を100倍に拡大した顕微鏡観察を行った。
【0032】
▲3▼評価結果
インクの吸収速度の評価は、実施例1と同様に行った。
すなわち、比較例として、本発明によるインクジェット用紙を用いて、励起光源の有無により評価実験を行った。
その結果、励起光源が無いものは、印刷完了後5秒後でも吸い取り紙側にインクが移ることが確認され、7秒後に完全に吸い取り紙側にインクが移ることはなかった。
それに対し、励起光源として近紫外レーザー光源(出力=10mW)を照射した後に同様に印刷を行ったものは、1秒後で、僅かに吸い取り紙側にインクが移ることが認められ、2秒後には全く吸い取り紙側にインクが移ることはなかった。
この結果から、励起光源により光触媒機能を発揮したインクジェット用紙においては、インクの吸収速度が飛躍的に向上することが確認された。
【0033】
また、シアンとマゼンタで構成された5mm×5mmの市松模様の境界領域を100倍に拡大した顕微鏡観察を行ったところ、励起光源を照射していない比較例では、境界線での色の混色、つまりにじみが見られたのに対し、励起光源により光触媒機能を発揮したインクジェット用紙においては、ほとんどにじみが認められなかった。
【0034】
実施例3
▲1▼インクジェット用紙の作成
使用する二酸化チタンを以下のものに代えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用紙を作成した。
酸化亜鉛(関東化学、試薬特級、平均粒径:40nm) 25g
▲2▼画像形成とその評価方法
実施例3においては、インクジェットプリンタ(リコー製 IPSIO JET 300)を改造し、印刷前のインクジェット用紙に励起光を照射できるように、低圧水銀ランプを設置した。
次に、▲1▼で作成したインクジェット用紙に対し、印刷前に、低圧水銀ランプを照射し、その後、シアンとマゼンタの2色のインクを使用して、A4サイズのインクジェット用紙に5mm×5mmの市松模様のパターンを印刷した。
吸水性の評価は、実施例1と同様に行った。
さらに、シアンとマゼンタで構成された5mm×5mmの市松模様の境界領域を100倍に拡大した顕微鏡観察を行った。
【0035】
▲3▼評価結果
インクの吸収速度の評価は、実施例1と同様に行った。
すなわち、比較例として本発明によるインクジェット用紙を用いて、励起光源の有無により評価実験を行った。
その結果、励起光源が無いものは、印刷完了後5秒後でも吸い取り紙側にインクが移ることが確認され、7秒後に完全に吸い取り紙側にインクが移ることはなかった。
それに対し、励起光源として低圧水銀ランプを照射した後に同様に印刷を行ったものは、1秒後で、僅かに吸い取り紙側にインクが移ることが認められ、2秒後には全く吸い取り紙側にインクが移ることはなかった。
この結果から、励起光源により光触媒機能を発揮したインクジェット用紙においては、インクの吸収速度が飛躍的に向上することが確認された。
【0036】
また、シアンとマゼンタで構成された5mm×5mmの市松模様の境界領域を100倍に拡大した顕微鏡観察を行ったところ、励起光源を照射していない比較例では、境界線での色の混色、つまりにじみが見られたのに対し、励起光源により光触媒機能を発揮したインクジェット用紙においては、ほとんどにじみが認められなかった。
【0037】
実施例4
▲1▼インクジェット用紙の作成
使用する二酸化チタンを以下のものに代えた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用紙を作成した。
二酸化チタン(石原産業製、TTO-55 アナターゼ型、平均粒径:30nm)25g
【0038】
▲2▼画像形成とその評価方法
実施例4においては、インクジェットプリンタ(リコー製 IPSIO JET 300)を改造し、印刷前のインクジェット用紙に励起光を照射できるように、定格出力が10Wのブラックライトを設置した。
次に、▲1▼で作成したインクジェット用紙に対し、印刷前に、ブラックライトを照射し、その後、シアンとマゼンタの2色のインクを使用して、A4サイズのインクジェット用紙に5mm×5mmの市松模様のパターンを印刷した。
吸水性の評価は、実施例1と同様に行った。
さらに、シアンとマゼンタで構成された5mm×5mmの市松模様の境界領域を100倍に拡大した顕微鏡観察を行った。
【0039】
▲3▼評価結果
インクの吸収速度の評価は、実施例1と同様に行った。
すなわち、比較例として本発明によるインクジェット用紙を用いて、励起光源の有無により、評価実験を行った。
その結果、励起光源が無いものは、印刷完了後5秒後でも吸い取り紙側にインクが移ることが確認され、7秒後に完全に吸い取り紙側にインクが移ることはなかった。
これに対し、励起光源としてブラックライトを照射した後に同様に印刷を行ったものは、1秒後で、僅かに吸い取り紙側にインクが移ることが認められ、2秒後には全く吸い取り紙側にインクが移ることはなかった。
この結果から、励起光源により光触媒機能を発揮したインクジェット用紙においては、インクの吸収速度が飛躍的に向上することが確認された。
【0040】
また、シアンとマゼンタで構成された5mm×5mmの市松模様の境界領域を100倍に拡大した顕微鏡観察を行ったところ、励起光源を照射していない比較例では、境界線での色の混色、つまりにじみが見られたのに対し、励起光源により光触媒機能を発揮したインクジェット用紙においては、ほとんどにじみが認められなかった。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、インクの吸収速度を飛躍的に高め、インクジェットプリンティングにおける印字速度を電子写真プロセスを凌ぐほどに向上させたインクジェット用紙、このインクジェット用紙を用いた画像形成方法及び画像形成装置が提供され、さらに、安全で取扱いが容易であり、環境に易しく、しかも小型化と省電力化に有効なインクジェット用紙、画像形成方法及び画像形成装置が提供され、インクジェット記録分野に寄与するところはきわめて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット用紙を模式的に示した断面図である。
【図2】本発明における印刷プロセスを示した図である。
【符号の説明】
1 基材
2 バインダー樹脂
3 金属酸化物粒子
4 インク液滴
5 親水性表面
6 励起光源
7 インクジェットヘッド
8 インクジェット用紙
Claims (9)
- 支持体上に、光触媒機能を有する無機粒子を含有する少なくとも1層のインク吸収層を有するインクジェット用紙に励起用光源から発する光を照射した後、インク液滴の噴射によって画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
- 前記インク吸収層が、バインダーを含有するものである請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記光触媒機能を有する物質が、金属酸化物である請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 前記金属酸化物が、酸化チタン、ヘマタイト(α−Fe2O3)、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タングステン及びチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)の中から選ばれた少なくとも1種以上の材料である請求項3に記載の画像形成方法。
- 前記励起光源が、紫外光を含む光源である請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記紫外光を含む光源が、紫外及び近紫外レーザー光源である請求項5に記載の画像形成方法。
- 前記励起光源が、低圧水銀ランプである請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記励起光源が、ブラックライトである請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成方法に用いる画像形成装置であって、前記インクジェット用紙に励起用の光を照射する手段と、励起用の光が照射されたインクジェット用紙にインク液滴の噴射によって画像を形成する手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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