JPH1178225A - 顔料インク用記録媒体 - Google Patents

顔料インク用記録媒体

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JPH1178225A
JPH1178225A JP10202305A JP20230598A JPH1178225A JP H1178225 A JPH1178225 A JP H1178225A JP 10202305 A JP10202305 A JP 10202305A JP 20230598 A JP20230598 A JP 20230598A JP H1178225 A JPH1178225 A JP H1178225A
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pigment ink
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Hitoshi Kijimuta
等 雉子牟田
Sumihito Terayama
純人 寺山
Hiromasa Yugawa
裕正 湯川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】顔料インクの吸収性が良好で、顔料定着性の良
好な記録物を得る。 【解決手段】基材上に、アルミナ水和物を含む多孔質層
を有し、その表面に平均凝集粒子径が0.1〜0.5μ
mの凝集粒子または平均1次粒子径が0.1〜0.5μ
mの単分散性粒子を含む顔料定着層を有する顔料インク
用記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料インク用記録
媒体、特に油性顔料インクを用いたインクジェット記録
方式に適した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子スチールカメラやコンピュー
タの普及とともに、それらの画像を紙面などに記録する
ためのハードコピー技術が急速に発達してきた。これら
ハードコピーの究極の目標は銀塩写真であり、特に色再
現性、色濃度、解像度、光沢、耐候性などをいかに銀塩
写真に近づけるかが開発の課題となっている。ハードコ
ピーの記録方式には、銀塩写真によって画像を表示した
ディスプレイを直接撮影するもののほか、昇華型熱転写
方式、インクジェット方式、静電転写方式など多種多様
である。
【0003】インクジェット方式によるプリンタは、フ
ルカラー化が容易なことや印字騒音が低いことなどか
ら、近年急速に普及しつつある。この方式は、ノズルか
ら記録媒体に向けてインク液滴を高速で射出するもので
ある。また、インクジェット方式のインク中には、多量
の溶媒を含む。このため、インクジェットプリンタ用の
記録媒体は、速やかにインクを吸収し、しかも優れた発
色性を有することが要求される。
【0004】インクジェット方式では、これまで染料を
溶媒に溶解したタイプのインクを用いることが多かった
が、顔料を水などの溶媒に分散させたタイプのインク
(顔料インク)を用いるものも知られている。顔料イン
クを用いたインクジェット記録物は、退色性および変色
性が小さく、さらに耐久性に優れることを特徴としてい
る。しかし、インク中の顔料が記録媒体に定着されにく
い場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、顔料イン
ク、特に油性の溶媒を用いた顔料インクの吸収性が良好
で、インク中の顔料を均一に定着して優れた発色性を示
し、かつ色濃度の高いインクジェット記録物を得ること
のできる顔料インク用記録媒体を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材上に、ア
ルミナ水和物を含む多孔質層を有し、その表面に平均凝
集粒子径が0.1〜0.5μmの凝集粒子または平均1
次粒子径が0.1〜0.5μmの単分散性粒子を含む顔
料定着層を有する顔料インク用記録媒体を提供する。
【0007】本発明の記録媒体において、顔料定着層と
は、顔料インク中の顔料を定着する機能を有する層であ
る。顔料定着層は、特定の大きさの凝集粒子または単分
散性粒子を含むため、記録媒体表面に適度な凹凸が形成
され、この凹凸が顔料インク中の顔料の定着性の向上に
寄与する。
【0008】本発明において凝集粒子とは、1次粒子が
2次またはより高次に凝集した構造を有する粒子であ
る。また、単分散性粒子とは、そのような凝集構造を有
さない粒子である。これらの構造は、例えば、記録媒体
の表面を走査型電子顕微鏡で観察して確認できるもので
ある。本発明では、凝集粒子の場合は平均凝集粒子径が
0.1〜0.5μm、単分散性粒子の場合は平均1次粒
子径が0.1〜0.5μmであることが必要である。
【0009】凝集粒子の場合、平均凝集粒子径が0.1
μm未満の場合は、顔料の定着性が不充分であるので不
適当である。平均凝集粒子径が0.5μmを超える場合
は、顔料の定着性は向上するが、記録媒体の透明性や光
沢性などが低下するので不適当である。凝集粒子の場
合、平均凝集粒子径が0.15〜0.4μmである場合
はさらに好ましい。
【0010】単分散性粒子の場合も同様に、平均1次粒
子径が0.1μm未満の場合は、顔料の定着性が不充分
であるので不適当である。平均1次粒子径が0.5μm
を超える場合は、顔料の定着性は向上するが、記録媒体
の透明性や光沢性などが低下するので不適当である。単
分散性粒子の場合、平均1次粒子径が0.15〜0.4
μmである場合はさらに好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で使用される基材として
は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとい
う)などのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレ
ンなどのフッ素系樹脂のようなプラスチック類、各種の
紙類、合成紙などが使用できる。さらに、ガラスや金属
も使用できる。これらの基材には、アルミナ水和物を含
有する多孔質層の接着強度を向上させるなどの目的で、
コロナ放電処理や各種アンダーコートを行うこともでき
る。基材として透明プラスチックフィルムを使用した場
合、トレース用シートなどにも使用できる透明または半
透明の記録媒体が得られる。
【0012】本発明において、アルミナ水和物を含む多
孔質層は、インク中の溶媒の吸収層として機能する。ア
ルミナ水和物としては、溶媒を良く吸収することからベ
ーマイトであることが好ましい。ここで、ベーマイト
は、Al23 ・nH2 O(n=1〜1.5)の組成式
で表されるアルミナ水和物である。
【0013】アルミナ水和物を含む多孔質層には、バイ
ンダが含まれているのが好ましい。バインダとしては、
でんぷんまたはその変性物、ポリビニルアルコールまた
はその変性物、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SB
R)ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
ゴム(NBR)ラテックス、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリド
ンなどを使用できる。
【0014】バインダの使用量は、アルミナ水和物の5
〜50重量%を採用することが好ましい。バインダの使
用量が5重量%未満の場合は、多孔質層の強度が不充分
になるおそれがあるので好ましくない。バインダの使用
量が、50重量%を超える場合は、溶媒の吸収性が不充
分になるおそれがあるので好ましくない。
【0015】アルミナ水和物を含む多孔質層は、平均細
孔半径が1〜20nmであることが好ましく、さらに細
孔容積が0.3〜1.0cm3 /gである場合は充分な
吸収性を有し、かつ多孔質層も透明であるので好まし
い。このとき、基材が透明であれば高い透明性を有する
記録媒体が得られる。基材が不透明である場合にも、基
材の質感を損なわない品質のものが得られる。なお、こ
れらの細孔特性の測定は窒素脱吸着法によるものであ
る。
【0016】アルミナ水和物を含む多孔質層の厚さは、
各プリンタの仕様などによって適宣選択されるが、一般
には5〜100μmを採用するのが好ましい。多孔質層
の厚さが5μm未満の場合は、インク中の溶媒を充分吸
収しないおそれがある。多孔質層の厚さが100μmを
超える場合は、透明性が損なわれたり多孔質層の強度が
低下するおそれがある。アルミナ水和物を含む多孔質層
の厚さが10〜50μmである場合は、さらに好まし
い。
【0017】基材上にアルミナ水和物を含む多孔質層を
形成する方法としては、アルミナ水和物にバインダと溶
媒を加えてゾル状塗工液にし、これを基材に塗布した後
乾燥する方法が好ましい。アルミナ水和物としては、原
料としてアルミナゾルを用いるのが好ましい。塗布方法
は、例えば、ロールコータ、エアナイフコータ、ブレー
ドコータ、ロッドコータ、バーコータ、コンマコータ、
ダイコータ、グラビアコータなどを用いるのが好まし
い。塗工液の溶媒としては、水系が好ましく採用され
る。
【0018】顔料定着層に含有される粒子としては、金
属酸化物またはそれらの水和物からなるものが好まし
い。具体的には、シリカ、アルミナ、二酸化チタンおよ
びそれらの水和物からなる群から選ばれる1種類以上か
らなるものが好ましい。単分散性粒子としては、例えば
硫酸法または塩素法で得られる二酸化チタン、バイヤー
法で得られるアルミナ水和物であるギブサイトやバイヤ
ライトの結晶粒子およびそれらを焼成して得られるアル
ミナ、粒子成長法で合成されたシリカ球状粒子などが使
用できる。凝集粒子としては、ベーマイトなどのアルミ
ナ水和物、アルミナ、二酸化チタン、シリカ水和物、火
炎加水分解法で得られるシリカなどが挙げられる。
【0019】これらの粒子は、1種を単独で、または2
種以上を混合して使用することができる。また、凝集粒
子と単分散性粒子を混合して使用することもできる。こ
れらの粒子は、水系の溶媒に分散させて、アルミナ水和
物を含む多孔質層上に塗工するのが好ましい。さらに好
ましくは、凝集粒子または単分散性粒子の分散液、また
は凝集粒子と単分散性粒子とを含む分散液に、バインダ
を混合して塗工する。
【0020】バインダとしては、アルミナ水和物を含む
多孔質層の形成に使用されるバインダがいずれも使用で
きるが、例えばポリビニルアルコールやその変性物が好
ましく使用される。バインダの使用量は、凝集粒子また
は単分散性粒子の合計量に対して10〜70重量%であ
ることが好ましい。すなわち、凝集粒子または単分散性
粒子の1種を用いる場合には、その重量に対してバイン
ダが10〜70重量%であることが好ましく、凝集粒子
または単分散性粒子を2種以上混合して用いる場合には
それらの合計量に対して、バインダが10〜70重量%
であることが好ましい。バインダの使用量が10重量%
未満の場合は顔料定着層の機械的強度が不充分になるお
それがある。また、バインダの使用量が70重量%を超
える場合はインクの吸収性が不充分になるおそれがあ
る。
【0021】顔料定着層の塗工量は、各プリンタなどの
仕様によって適宣選択されるが、一般には0.1〜5g
/m2 を採用するのが好ましい。顔料定着層の塗工量と
は、記録媒体の単位面積あたりの顔料定着層の重量であ
り、バインダやその他の添加物を含む場合はその重量も
含む。顔料定着層の塗工量が0.1g/m2 未満の場合
は、顔料の定着性が充分でなくなるおそれがある。顔料
定着層の塗工量が5g/m2 を超える場合は、インクの
吸収性が悪くなるおそれがある。顔料定着層の塗工量が
0.2〜1g/m2 である場合はさらに好ましい。
【0022】顔料定着層を形成する方法としては、粒子
を水に分散し、これにバインダを加えて塗工液とし、こ
れをアルミナ水和物を含む多孔質層上に塗工した後乾燥
する方法が好ましい。塗工方法は、アルミナ水和物を含
む多孔質層形成の場合と同様、ロールコータ、エアナイ
フコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、バーコー
タ、コンマコータ、ダイコータ、グラビアコータなどを
採用できる。
【0023】顔料インクを用いてインクジェット方式に
より記録した場合、1つのインク液滴によって形成され
る印字ドットの大きさが、インクの種類によって異なる
場合がある。例えば、カラープリンタのように複数の色
のインクを用いて印字する場合、インクの色によって印
字ドットの大きさが異なるため、画質が低下する場合が
ある。この傾向は、記録の際の温度が低いときに顕著で
ある。本発明において、顔料定着層に、撥油剤を含有す
る場合は、インクの種類による印字ドット径の変動を抑
制する効果を有するので好ましい。
【0024】ここで撥油剤とは、記録媒体に塗布したと
きに、記録媒体表面の油性溶媒に対する接触角を減少さ
せる物質である。撥油剤としては、フッ素含有量が5重
量%以上の有機高分子が好ましい。有機高分子中のフッ
素含有量が10重量%以上である場合はさらに好まし
い。具体的には、含フッ素アクリル樹脂系の撥油剤が好
ましい。撥油剤の形態としては、水性エマルジョン型、
有機溶剤溶液型などが用いられる。
【0025】顔料定着層中の撥油剤の含有量は、撥油剤
の固形分が0.0001〜0.05重量%であることが
好適である。撥油剤固形分の含有量が0.0001重量
%に満たない場合は、印字ドット径の変動を抑制する効
果が不充分であるので好ましくない。撥油剤固形分の含
有量が0.05重量%より多い場合は、記録媒体の撥油
性が強くなりすぎて、インク吸収性を阻害するおそれが
あるので好ましくない。撥油剤固形分の含有量が0.0
03〜0.03重量%である場合はさらに好ましい。
【0026】撥油剤を顔料定着層に含有させる方法とし
ては、顔料定着層を形成するときに、塗工液に添加する
方法がもっとも簡便で好ましい。顔料定着層を形成した
後で、スプレーコーティング、ディップコーティングな
どの方法で塗布することもできる。
【0027】本発明の記録媒体に対しインクジェット記
録する場合、使用される顔料インクとしては、顔料が顔
料インク全体中に0.5〜20重量%配合されたものが
好ましい。顔料が2〜12重量%含有される場合はさら
に好ましい。顔料インクには、必要に応じて、さらに分
散剤、酸化防止剤、粘度調整剤などが添加される。
【0028】顔料としては、各種有機顔料または無機顔
料が使用できる。有機顔料としては、アゾ系、アントラ
キノン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソイ
ンドリノン系、ジオキサジン系、ペリノン系、ペリレン
系、インジゴ系、キノフタロン系、ジケトピロロピロー
ル系などの顔料が例示できる。無機顔料としては、酸化
チタン系、カドミウム系、酸化鉄系、クロム酸塩系、ケ
イ酸塩系などの酸化物系顔料、硫化物系顔料、炭酸塩系
顔料、金属錯体系顔料、カーボンブラックなどの顔料が
例示できる。これらの顔料は、インク中での粒子が各々
数nm〜数百nm程度の粒子であることが望ましい。
【0029】インクの溶媒としては、油性の有機溶媒が
使用される。有機溶媒は、25℃での粘度が0.001
〜0.02Pa・sであることが好ましく、例えばオレ
フィン系炭化水素系の溶媒が好ましい。顔料インクとし
ては、例えば15℃での粘度が0.01〜0.05Pa
・sのものが好適に使用される。
【0030】
【実施例】
[例1]アルミニウムアルコキシドを加水分解した後、
解膠し、さらに濃度を調整して、ゾル粒子としてベーマ
イトを含むアルミナゾル(固形分18重量%)を合成し
た。このアルミナゾル100gと、ポリビニルアルコー
ル(ケン化度98.5%、重合度2400、クラレ社
製、商品名:PVA124)の6.2重量%水溶液32
gとを混合して、塗工液を調製した。この塗工液をPE
Tフィルム(厚さ100μm、白色)上に、乾燥後の塗
工層の厚さが30μmになるようにバーコータを用いて
塗工した。これを、140℃で熱処理して、PETフィ
ルム基材上にアルミナ水和物を含む多孔質層を形成し
た。
【0031】次に、火炎加水分解法で得られたシリカ凝
集粒子(平均凝集粒子径0.33μm、平均1次粒子径
40nm、日本アエロジル社製、商品名:アエロジルO
X50)10重量部、ポリビニルアルコール(クラレ社
製、商品名:PVA124)4重量部(固形分換算)お
よび水とを混合して、総固形分濃度が5重量%の塗工液
を調製した。
【0032】この塗工液を、上記のアルミナ水和物を含
む多孔質層の上に、乾燥後の塗工量が0.5g/m2
なるようにバーコータを用いて塗工し、乾燥して、14
0℃で熱処理した。この結果、PETフィルム基材上に
アルミナ水和物を含む多孔質層を有し、その上に平均凝
集粒子径0.33μmのシリカ凝集粒子を含む顔料定着
層を有する記録媒体が得られた。この顔料定着層の構造
は、記録媒体の表面を走査型電子顕微鏡で観察して確認
した(以下の例2〜7においても同様である)。
【0033】[例2]平均1次粒子径0.3μmの単分
散性のシリカ球状粒子(日本触媒社製、商品名:シーホ
スターKE P30)10重量部、ポリビニルアルコー
ル(クラレ社製、商品名:PVA124)5重量部(固
形分換算)および水とを混合して、総固形分濃度5重量
%の塗工液を調製した。
【0034】この塗工液を、例1と同様にして作成した
PETフィルム基材上の厚さ30μmのアルミナ水和物
を含む多孔質層の上層に、例1と同様に、乾燥後の塗工
量が0.5g/m2 になるように塗工、乾燥し、熱処理
した。この結果、PETフィルム基材上にアルミナ水和
物を含む多孔質層を有し、その上に平均1次粒子径0.
3μmの単分散性のシリカ球状粒子を含む顔料定着層を
有する記録媒体が得られた。
【0035】[例3]平均1次粒子径0.28μmの単
分散性の二酸化チタン(石原産業社製、商品名:タイペ
ークCR−95)8重量部、平均凝集粒子径0.15μ
mのベーマイト凝集粒子を含むゾル2重量部(固形分換
算)、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:P
VA124)5重量部(固形分換算)および水とを混合
して、総固形分濃度5重量%の塗工液を調製した。
【0036】この塗工液を、例1と同様にして作成した
PETフィルム基材上の厚さ30μmのアルミナ水和物
を含む多孔質層の上層に、例1と同様に、乾燥後の塗工
量が0.5g/m2 になるように塗工、乾燥し、熱処理
した。この結果、PETフィルム基材上にアルミナ水和
物を含む多孔質層を有し、その上に平均1次粒子径0.
28μmの単分散性の二酸化チタン粒子と平均凝集粒子
径0.15μmのベーマイト凝集粒子との混合物を含む
顔料定着層を有する記録媒体が得られた。
【0037】[例4(比較例)]平均1次粒子径40〜
50nmの単分散性シリカ粒子を含むシリカゾル(触媒
化成工業社製、商品名:カタロイドSI−45P)を1
0重量部(固形分換算)、ポリビニルアルコール(クラ
レ社製、商品名:R1130)を1重量部(固形分換
算)および水とを混合して、総固形分濃度5重量%の塗
工液を調製した。
【0038】この塗工液を、例1と同様にして作成した
PETフィルム基材上の厚さ30μmのアルミナ水和物
を含む多孔質層の上層に、例1と同様に、乾燥後の塗工
量が0.5g/m2 になるように塗工、乾燥し、熱処理
した。この結果、PETフィルム基材上にアルミナ水和
物を含む多孔質層を有し、その上に平均1次粒子径40
〜50nmの単分散性のシリカ球状粒子を含む顔料定着
層を有する記録媒体が得られた。
【0039】[印字評価1]例1〜4で得られた記録媒
体について、インクジェットプリンタ(セイコーエプソ
ン社製、商品名:MJ−500C)に、黒色の油性顔料
インクを入れて印字を行い、インク吸収性およびインク
定着性について評価した。
【0040】インク吸収性については、黒インクを単色
ベタ印字した後、インクを完全に吸収するまでの時間で
評価した。結果を表1に示す。表1において、吸収完了
まで1秒未満のものを○、1〜10秒のものを△、10
秒を超えるものを×とした。
【0041】インク定着性については、黒インクを単色
ベタ印字した後、室温で5分間放置後、その印字部を指
で擦って評価した。結果を表1に示す。表1において、
印字部が消えない場合を○、消える場合を×とした。
【0042】
【表1】
【0043】[例5]例1と同様にして、PETフィル
ム上に厚さ30μmのアルミナ水和物を含む多孔質層を
形成した。平均1次粒子径0.28μmの単分散性の二
酸化チタン(石原産業社製、商品名:タイペークCR−
95)8重量部、平均凝集粒子径0.15μmのベーマ
イト凝集粒子を含むゾル2重量部(固形分換算)、ポリ
ビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA12
4)5重量部(固形分換算)および水とを混合して、総
固形分濃度1.2重量%の塗工液を調製した。この塗工
液に、さらに水性エマルジョン型の含フッ素アクリル樹
脂系の撥油剤(旭硝子社製、商品名:アサヒガードAG
780、高分子中のフッ素含有量は20重量%)を、二
酸化チタン、ベーマイト、ポリビニルアルコールの固形
分の合計量に対し0.005重量%(固形分換算)添加
した。
【0044】この塗工液を、上記のアルミナ水和物を含
む多孔質層の上に、乾燥後の塗工量が0.3g/m2
なるようにバーコータを用いて塗工し乾燥して、140
℃で熱処理した。この結果、PETフィルム基材上にア
ルミナ水和物を含む多孔質層を有し、その上に平均1次
粒子径0.28μmの単分散性の二酸化チタン粒子と平
均凝集粒子径0.15μmのベーマイト凝集粒子との混
合物を含む顔料定着層を有する記録媒体が得られた。
【0045】[例6]例5と同じ撥油剤を用い、撥油剤
の含有量が、二酸化チタン、ベーマイト、ポリビニルア
ルコールの固形分の合計量に対し0.01重量%(固形
分換算)となるようにした以外は、例5と同様にして記
録媒体を得た。
【0046】[例7]例5と同じ撥油剤を用い、撥油剤
の含有量が、二酸化チタン、ベーマイト、ポリビニルア
ルコールの固形分の合計量に対し0.02重量%(固形
分換算)となるようにした以外は、例5と同様にして記
録媒体を得た。
【0047】[印字評価2]例3および例5〜7の記録
媒体に、人物のカラー画像を記録して、目視にて画質を
評価したところ、例5〜7の記録媒体は例3の記録媒体
より優れた画質であった。これは、インクの種類による
ドット径の変動が少ないためと思われる。
【0048】また、印字評価1と同様にして、インク吸
収性およびインク定着性について評価したところ、例5
〜7の記録媒体は、いずれも例3の記録媒体と同様の良
好な結果が得られた。
【0049】
【発明の効果】本発明の顔料インク用記録媒体は、特に
油性顔料インクに対して高い吸収性と定着性を有する。
さらに、撥油剤を添加した場合には、インクによる印字
ドット径の変動が少ないため、優れた画質が得られる。
さらに、環境温度による変動も少ない。本発明の記録媒
体は、インクジェットプリンタ用の記録媒体として好適
である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に、アルミナ水和物を含む多孔質層
    を有し、その表面に平均凝集粒子径が0.1〜0.5μ
    mの凝集粒子または平均1次粒子径が0.1〜0.5μ
    mの単分散性粒子を含む顔料定着層を有する顔料インク
    用記録媒体。
  2. 【請求項2】顔料定着層が、平均凝集粒子径が0.1〜
    0.5μmの凝集粒子または平均1次粒子径が0.1〜
    0.5μmの単分散性粒子とバインダとからなる請求項
    1に記載の顔料インク用記録媒体。
  3. 【請求項3】凝集粒子または単分散性粒子の合計量に対
    して、バインダが10〜70重量%である請求項2に記
    載の顔料インク用記録媒体。
  4. 【請求項4】アルミナ水和物がベーマイトである、請求
    項1〜3のいずれかに記載の顔料インク用記録媒体。
  5. 【請求項5】凝集粒子または単分散性粒子が、シリカ、
    アルミナ、二酸化チタンおよびそれらの水和物からなる
    群から選ばれる1種類以上からなる請求項1〜4のいず
    れかに記載の顔料インク用記録媒体。
  6. 【請求項6】顔料定着層の塗工量が、0.1〜5g/m
    2 である請求項1〜5のいずれかに記載の顔料インク用
    記録媒体。
  7. 【請求項7】顔料定着層に、撥油剤が含有されている請
    求項1〜6のいずれかに記載の顔料インク用記録媒体。
  8. 【請求項8】顔料定着層中に、撥油剤が固形分換算で
    0.0001〜0.05重量%含有されている請求項7
    に記載の顔料インク用記録媒体。
  9. 【請求項9】撥油剤が、フッ素を5重量%以上含有する
    有機高分子からなる請求項7または8に記載の顔料イン
    ク用記録媒体。
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