JP2007190804A - 平版印刷版原版並びに平版印刷版の製版方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】平版印刷版の製版技術において、高廃液の発生がなく明室下での作業性に極めて優れ、また印刷性に於いても特に耐汚れ性に優れた平版印刷版の製版方法を提供することにある。さらに製版作業などで人体に有害な溶剤等を使用せずに平版印刷版を製版することが可能となる。
【解決手段】支持体上に親水性層を設けてなる平版印刷版において、該親水性層が平均粒子径1μm以下の無機顔料を含有し、該親水性層が連続して少なくとも2層あり、支持体に近い層の無機顔料/バインダー比が支持体より遠い層のそれより小さいことを特徴とする平版印刷版原版を用い、特に水系紫外線硬化樹脂を含有するインク組成物をインクジェットプリンターで印字する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い解像性を有する画像を得ることが可能で、かつ明室下での取り扱い及び処理液を必要とせず、また、特に製造コストが安価である平版印刷に用いられる印刷版に関する。
近年のコンピュータ及び周辺機器の発達により各種デジタルプリンタを使用した平版印刷版の製版方法が提案されている。このような平版印刷版の製版方法は、その画像部の形成方法の違いにより、乾式電子写真法レーザプリンタにより製版するもの(特開平6−138719号、特開平6−250424号、特開平7−1847号等)、熱溶融型インクを用いたオンデマンドインクジェットプリンターを用いて製版するもの(特開平9−58144号)、インクジェットプリンターを用いて親油性物質や画像定着物質を印字することで製版するもの(特開昭56−105960号、特開平8−295683号等)、熱転写インクリボンを用いたサーマルプリンタで製版するもの(特開昭63−166590号)、サーマルレーザーもしくはインクリボンを用いずにサーマルプリンタで製版するもの(特許第3522450号)などがある。
上記各種デジタルプリンタによる製版方法は、従来の、ハロゲン化銀感光材料或いは感光性樹脂が保水性付与表面に塗布された平版印刷版の製版方法と異なり、取り扱い上安全光の制約がなく、また画像記録後の水性現像液による現像処理を必要としない点で簡便容易に平版印刷版を製版できる利点がある。
上記各種デジタルプリンタによる製版方法の中でもインクジェットプリンターを用いる製版方法は近年のインクジェットプリンターの発達により他方式に比べ高精細に印字することができ、高品質かつ低コストの製版方法となることが期待できる。
しかしながら乾燥して析出するような物質を含有するインク組成物を用いてインクジェットプリンターで製版しようとした場合、印字中、あるいは印字後にインク組成物が乾燥固化してしまって、インクジェットプリンターのヘッドを詰めてしまうという問題を持っている。例えば特開2004−66816号公報では水性コロイド分散物をインク組成物として用いているが、この様なコロイド分散物は水分の乾燥により固化するので、非常にインクジェットプリンターのヘッドを詰めやすい。
熱溶融型インクを用いたオンデマンドインクジェットプリンターを用いた場合には、印字する際にインクが液体となるためこの問題は存在しないが、プリンタのヘッドに特殊な機構が必要となる問題を有している。さらに、インク組成物がヘッドを出るまでは液体として存在できるが、ヘッドを出た瞬間から冷却され、固体若しくは高粘度の液体となるため、インク組成物が平版印刷版原版に乗っているだけになり、画質が悪くなり、また十分な耐刷力を得ることが難しいなどという問題を有している。
紫外線硬化樹脂をインク組成物として用いるインクジェットプリンターの製版方式も例えば特開昭56−105960(特許文献1)号公報、特開2005−144692号公報(特許文献2)などで提案されている。紫外線硬化樹脂は紫外線に露光されるまで液体であることからインクジェットプリンターのヘッドを詰めるようなことはなく、非常に好ましい方式である。しかしながら、紫外線硬化樹脂は紫外線の照射を受けるまで液体であるという性質上、印字直後に紫外線を照射しなければ画像ににじみが発生し、画質の劣化となる。その問題に対して、UVインクジェットプリンターは例えば特開2004−322560号公報などで提案されているように通常はプリンタヘッドの直ぐ横に紫外線灯を設置させるなどしているが、この場合、紫外線灯の発熱をおさえる機構などが必要となり、非常に特殊な構造のヘッドが要求される。従って、このような特殊なヘッドを用いないでも画像のにじみが発生しないようなシステムの開発が要望されていた。
インクジェットプリンターはその特性上インク組成物の粘度は高くすることは困難である。紫外線硬化樹脂単独では必要な低粘度に調整することは困難で、反応性希釈剤や溶剤を混ぜ、粘度を調整する。しかしながら、これら反応希釈剤や溶剤は人体に対して有害である。近年、この問題に対し、水系の紫外線硬化樹脂が開発され種々の用途に用いられている。一方、水系の紫外線硬化樹脂は非水系の紫外線硬化樹脂に比べると硬度が弱いという欠点を有している。このために水系の紫外線硬化樹脂を用いて平版印刷版を製版した場合、十分な耐刷力を得ることは難しい。水系の紫外線硬化樹脂は人体に無害な水を希釈剤として用いることができるが、この硬度不足からくる耐刷力不足という問題のために、これを用いた平版印刷版の製版方法は未だ提案されていない。
インクジェット記録用紙に関しては数多くの特許が提出されており、インク組成物をより早く吸収させるための層構成についても数多くの提案があり、例えば特開2004−25836号公報(特許文献3)ではシリカと結合材からなる下引き層の上に無機顔料と結合材からなるインク受容層を設け、接着性を改良する方法を提案している。これらインクジェット記録用紙として要求される品質はインク組成物を素早く吸収し、インク組成物中の顔料や色素を素早く固定化することにあり、例えば印字されたインク組成物が平版印刷を実施する際に十分なインキ受理性を保持する、あるいは平版印刷版原版とインク組成物が十分な接着強度を有して、十分な耐刷力を持つ、などの平版印刷版としての要求される品質とは全く異なるものである。
直描型平版印刷版においては、無機顔料と親水性バインダーの比率を変えて、印刷性能を上げようとする試みが数多くなされており、例えば国際公開第01/045959号パンフレット(特許文献4)では表面層に粒子径の小さな無機顔料、下引き層に大サイズの無機顔料を含有させ、耐刷性、汚れ性を向上させる方法が提案されている。これら直描型平版印刷版では画像部はトナーや熱転写インクリボンからの転写物などから構成されているが、この画像構成要素は、本発明の画像部を形成する粘度が数mPa・s程度のインク組成物とは異なり、固体、若しくは液体であっても極めて粘度が高く、ほとんど流動性を持たないものである。従って、特許文献3などでは数mPa・s程度の低粘度画像構成要素を用いた場合に特異的に発生する画像のにじみという問題に対しては何ら考慮されておらず、これらの手法ではこの問題を解決することはできなかった。
特開昭56−105960号公報(第1頁) 特開2005−144692号公報(第1頁) 特開2004−25836号公報(第1頁) 国際公開第01−045959号パンフレット(第1頁)
本発明の目的は、平版印刷版の製版技術において、廃液の発生がなく明室下での作業性に極めて優れ、また印刷性に於いてもにじみが無く高画質でかつ十分な耐刷力、汚れ性を有した平版印刷版の製版方法を提供することにある。さらに製版作業などで人体に有害な溶剤等を使用せずにすむ平版印刷版の製版方法を提供することも、また本発明の目的である。
本発明の上記目的は鋭意検討した結果、以下の発明によって達成された。
1) 支持体上に親水性層を設けてなる平版印刷版において、該親水性層が連続して少なくとも2層あり、該親水性層が平均粒子径1μm以下の無機顔料を含有し、支持体に近い層の無機顔料/バインダー比が支持体より遠い層のそれより小さいことを特徴とする平版印刷版原版を用いる。
2) 該支持体より遠い親水性層の無機顔料/バインダー比が2/1以上であることを特徴とする1)に記載の平版印刷版原版を用いる。
3) 該支持体より遠い親水性層の塗布量が固形分で0.5g/m2以下であることを特徴とする1)、若しくは2)に記載の平版印刷版原版を用いる。
4) 該支持体より近い親水性層の無機顔料/バインダー比が1/1以上であることを特徴とする1)から3)のいずれかに記載の平版印刷版原版を用いる。
5) 1)から4)のいずれかに記載の平版印刷版原版にインクジェット方式で親油性物質を含有するインク組成物を印字することを特徴とする平版印刷版の製版方法を用いる。
6) 該親油性物質が紫外線硬化性であることを特徴とする5)に記載の平版印刷版の製版方法を用いる。
7) 該インク組成物が水、若しくはエチルアルコールを含有することを特徴とする5)若しくは6)に記載の平版印刷版の製版方法を用いる。
本発明によれば、平版印刷版の製版技術において、廃液の発生がなく明室下での作業性に極めて優れ、また印刷性に於いても特に耐汚れ性に優れた平版印刷版を提供することが可能となる。さらに製版作業などで人体に有害な溶剤等を使用せずに平版印刷版を製版することが可能となる。
本発明における平版印刷版は親水性層が2層構成となっており、支持体から遠い親水性層(以下表面親水性層と称する)は無機顔料が多く、その結果多孔質の層となっており、さらにその下の支持体に近い親水性層(以下中親水性層と称する)に比率的には顔料比の小さく、多孔質性がやや少ない層からなっている。さらに本発明者の注意深い実験によれば、支持体に遠い親水性層の「孔」の容積が大きいだけではなく、その径が大きく、また逆に、支持体に近い親水性層の孔の平均径は小さくなることを見いだした。インク組成物として最も好ましい水系の紫外線硬化樹脂を用いる場合には、インクは高粘度の紫外線硬化樹脂を水、あるいはアルコール類で希釈し、インクジェットプリンターで印字できるだけの低粘度溶液となっている。このようなインク組成物を本発明の平版印刷版原版に打ち込むと、まず孔の大きい層が素早くインク組成物を吸収し、さらに、分子が小さい希釈剤の類はその下の孔の小さい親水性層に吸収されるが、粘度が大きい、これは分子サイズが大きいことに起因するのであるが、紫外線硬化樹脂は孔の小さい親水性層に入っていくことはできずに、そのままの位置に留まることとなる。インク組成物中の希釈剤が減少するが、この結果インク組成物の粘度は紫外線硬化樹脂そのものの粘度に近づき、高粘度溶液となるため、それ以上の移動はほとんどできなくなり、印字後少々の時間が経過してもにじみは非常に発生し難くなる。また、インキを受理する紫外線硬化樹脂は表面側の層に存在するために十分な受理性を有することができる。さらに驚くべきことは硬度の弱い水系の紫外線硬化樹脂を用いても、紫外線硬化樹脂が親水性層のバインダーや無機顔料を抱き込んで硬化するために、これが骨格となり、高い強度を得ることができ、その結果十分な耐刷性を得ることができるようになることを本発明者は見いだした。従って、本発明においては、この孔のサイズ、容積をコントロールすることが重要であり、これは無機顔料のサイズと無機顔料/親水性高分子の比率を好ましい範囲に収めることで可能であることを見いだし、本発明に至った。以下に本発明の詳細を記述する。
本発明において、親水性層とは少なくとも1種類の親水性高分子を含有するか、若しくはシリカ、アルミナなどの親水性無機顔料を含有する層のことを意味する。本発明の平版印刷版原版は支持体上に親水性層が設けられ、さらにその親水性層は少なくとも2層に分かれている。本発明の目的を達するにはこれら親水性層は連続して設けられていなければならない。本発明においては更にそのほかに親水性層を設けることもできるが、本発明の目的を達するためには表面親水性層と、それに続く中親水性層の関係が重要であるので、この2層についてまず記述する。
本発明においては、表面親水性層、中親水性層のいずれにも親水性高分子、および無機顔料を含有する。
本発明において両方の親水性層に使用することができるバインダーとしては、各種公知の親水性ポリマーを用いることができる。その具体例としてはカッパ型、イオタ型、ラムダ型のカラギーナン、フコイダン、ポルフィラン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン、ヒアルロン硫酸、デキストラン硫酸、ポリビニル硫酸、特開2005−120068号などに記載されている硫酸化キトサン、あるいはこれら親水性高分子のナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩など、また澱粉類、海藻マンナン、寒天、アルギン酸ナトリウム、マンナン、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローストビンガム、アラビアガム、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、およびレバンなどのホモ多糖類、サクシノグルカン、プルラン、カードラン、およびザンタンガムなどのヘテロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼインおよびコラーゲン等のタンパク質、キチンおよびその誘導体等。セルロース誘導体、カルボキシメチルグアーガム等の変性ガム、並びにデキストリン等の培焼澱粉類、酸化澱粉類、エステル化澱粉類等の加工澱粉等。合成品には、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等の変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物、カルボキシビニル重合物、スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/クロトン酸共重合物等が挙げられる。なかでも水酸基とその硫酸エステルを有している親水性高分子が好ましく、さらに紫外線硬化樹脂との接着性も良く、またセット性を有している為塗布がしやすいことなどからカラギーナン類を用いることが好ましい。好ましい親水性高分子の分子量に関しては特に規定しないが、好ましくは50000以上、さらに好ましくは80000以上である。これら親水性高分子は単独でも複数を混合させて用いても良い。また表面親水性層と中親水性層を構成する親水性高分子の種類は同じであっても良いし、別であっても良い。
本発明における平版印刷版原版の両方の親水性層は共に無機顔料を含有する。無機顔料としてはシリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ニオブ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、クレーなど各種公知の無機顔料粒子を用いることができるが、シリカ粒子を用いることが最も好ましい。また、これら無機顔料を組み合わせて用いることもできるし、表面親水性層と中親水性層の顔料を同じ種類のものを用いても、別の種類の顔料を用いても良い。
本発明において、親水性層は塗工液を塗布することで設けられることが好ましいので、本発明に用いる無機顔料粒子はスラリーの形にして、それを塗工液に混合して用いることが好ましい。本発明の無機顔料粒子スラリーの製造工程は、分散媒に無機顔料粒子を添加し混合(予備混合)する一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液を分散装置(例えば高圧ホモジナイザーやボールミル)で分散する二次分散工程からなる。
一次分散工程における予備混合は、通常のプロペラ攪拌、タービン型攪拌、ホモミキサー型攪拌、超音波攪拌等で行うことができる。二次分散工程に用いられる分散装置としては、好ましくは高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散機、及び薄膜施回型分散機から選ばれる少なくとも1つを用いる。高圧ホモジナイザーはバルブ/バルブシート間の間隙を高圧・高速で被処理物を通過させる際の剪断力を利用した分散機でゴウリンタイプとして広く知られており、APVゴウリン社、ラニー社、NIRO SOAVI社、(株)日本精機製作所、三和機械(株)等から市販されているものを使用できる。超高圧ホモジナイザーは高圧ホモジナイザーでは達成できないような更に高圧の処理ができる分散機であり、チャンバー中の折れ曲がった細い経路内を高圧・高速で被処理物を通過させる際の剪断力や衝撃力を利用したタイプや、対向するノズルから被処理液を高圧・高速で噴射して被処理液同士を衝突させる際の剪断力を利用した対向衝突型ジェット粉砕タイプが知られており、(株)スギノマシン、みづほ工業(株)、ナノマイザー社等からアルティマイザー、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の商品名で市販されているものを使用できる。超音波分散機は超音波発振器より発生する超音波振動エネルギーを利用した分散機であり(株)日本精機製作所等から市販されているものを使用できる。薄膜施回型分散機はブラシを備えた高速回転軸を有するチャンバー内に被処理液を導入し、被処理液が薄膜となってチャンバー内壁を上部に移動する際のずり応力を利用したタイプであり、特殊機化工業(株)からフィルミックスという商品名で市販されているものを用いることができる。
無機顔料粒子の分散媒は水を主体とするものであるが、少量の有機溶剤(エタノール等の低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含んでもよい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20質量%以下、更には10質量%以下であることが好ましい。また、酢酸ナトリウム、硼砂、炭酸水素ナトリウムなど各種公知のpH緩衝剤を添加することもできる。またその他に分散助剤として親水性高分子を用いることもできる。
本発明に用いる無機顔料粒子の形態についてはスラリー製造が終了した段階での形態を意味する。粒子の形状は球形、針状、羽毛状、不定形など如何なる形を取ることもでき、さらにこれらの粒子を一次粒子として、それらの凝集した二次粒子の形を取ることもできる。本発明に用いる無機顔料粒子の形状としてはこれらの中で、一次粒子が塊状に凝集した二次粒子であることが好ましく、さらにその一次粒子は平均粒子径25μm以下の粒子であり、これが塊状凝集した二次粒子を形成していることが好ましい。このようなシリカは特公平3−56552号、特開平10−81064号等に開示されている気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)がある。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジルとして市販されており入手することができる。
本発明において、無機顔料の平均粒子径は顔料が二次粒子を形成している場合にはその二次粒子の粒子径を、形成していない場合には一次粒子の粒子径を意味する。本発明における好ましい無機顔料微粒子の平均粒子径は好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下であり、このような微小粒子を用いることで好ましい多孔質構造の層を形成することができる。平均粒子径50nm以上の二次粒子、若しくは二次粒子を形成していない場合の一次粒子でやはり50nm以上の平均粒子径を持つ粒子の平均粒子径は、レーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製、LA920)で測定することができる。それ以下の微小粒子に関しては電子顕微鏡を用いて確認することができる。また、粒子が一次粒子の凝集した二次粒子を形成している場合には、同じく電子顕微鏡を用いて、一次粒子のサイズ、また凝集の形を確認することができる。
本発明において表面親水性層の無機顔料/バインダー比は質量比で2/1以上であることが好ましく、更に好ましくは3/1以上である。この比率になると100nm以上の孔の開いた好ましい多孔質構造を取ることができるようになる。このような好ましい多孔質構造を取っているかどうかは、ポリエステルフィルムなど無孔性のベースに同じ構成の親水性層を塗布し、ガス吸着法を用いて測定することができる。
本発明において表面親水性層は塗布量は厚すぎると中親水性層までインク組成物が吸収されず、薄すぎるとインク組成物を吸収しきれなくなるなどの問題が発生するので極めて重要な因子である。その好ましい塗布量は固形分で0.5g/m2以下、更に好ましくは0.01〜0.4g/m2、更に好ましくは0.05〜0.3g/m2である。その中での主構成要素である無機顔料の好ましい使用量は0.02〜0.4g/m2、更に好ましくは0.06〜0.25g/m2である。またバインダーの使用量は好ましくは0.001〜0.1g/m2、更に好ましくは0.002〜0.05g/m2である。
本発明において中親水性層の無機顔料/バインダー比は表面親水性層のそれより小さくなければならない。しかし、一方でその値を小さくしすぎるとインク組成物の吸収性が悪くなり、にじみが発生する。好ましい無機顔料/バインダー比は1/1以上、更に好ましくは3/2〜2/1である。このような比率であれば50〜100nmの細孔の開いた多孔質構造を取ることができる。また中親水性層中の無機顔料の使用量は0.05〜5g/m2、好ましくは0.1〜0.4g/m2である。また同じくバインダーの使用量は0.025〜5g/m2、好ましくは0.05〜0.4g/m2である。
本発明において両方の親水性層共に使用するバインダーと架橋反応し得る架橋剤を用いて架橋させ、印刷時に親水性層が取れないようにすることが好ましい。架橋剤としては、例えば、クロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオキサール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチラール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンのようなアルデヒド類縁化合物、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−S−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、イソシアネート基を分子中に二個以上有する化合物、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の1種もしくは2種以上を用いることができる。これらの他にも「高分子の化学反応」(大河原 信著 1972、化学同人社)の2・6・7章、5.2章、9・3章など記載の架橋剤など公知の架橋剤を用いることができる。これら架橋剤の中でもアルデヒド類を用いることが好ましい。架橋剤の使用量はバインダーに対し1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%である。
また、本発明の平版印刷版原版の両方の親水性層を塗設するために、助剤としてアニオン系、カチオン系もしくはノニオン系界面活性剤のいくつかを用いても良い。特に表面親水性層については画像のにじみを防止するため含フッ素界面活性剤、若しくは含シリコン界面活性剤等表面張力を著しく落とすことのできる界面活性剤を用いることで、さらに画像のにじみを防止することができるので好ましい。
本発明の平版印刷版原版の両方の親水性層はその他にマット剤、増粘剤、帯電防止剤等を用いることもできる。また、塗布時の安定性を高めるため、水酸基とその硫酸エステルを有する親水性高分子の種類によっては硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸カリウムなどの塩類を加え、ゲル化能を高めることもできる。さらに、カーボンブラック、フタロシアニンブルーなどの顔料や食用青色1号、同2号、食用赤色3号などの染料など色材を加えることもできる。
本発明おいて平版印刷版原版の支持体としては、樹脂被覆紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等の合成もしくは半合成高分子フィルム、アルミニウムや鉄等の金属板で、平版印刷に耐えるものであれば良いが、本発明の目的を達するためには安価な紙、フィルムベースを用いることが好ましい。また、これらの支持体の表面は、上層として塗設される層との接着を良くするために表面処理を行うこともできる。
本発明において平版印刷版原版には前記親水性層の他に、さらに親水性を確保するために親水性層の下に下引き層を設けることもできる。下引き層には前記表面親水性層、中新水総同様の親水性高分子をバインダーとして用い、また前記表面親水性層、中新水総同様同様の無機顔料を加えることもできる。その好ましい使用量は親水性高分子バインダーが0.05〜5g/m2、さらに好ましくは0.1〜3g/m2、無機顔料が0〜0.5g/m2である。
さらに下引き層には親水性高分子以外のバインダーとして非水溶性ポリマーとしての高分子ラテックスも使用することができる。高分子ラテックスとしては単独重合体や共重合体など各種公知のラテックスを用いることができる。単独重合体としては酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレンなどがあり、共重合体としてはエチレン・ブタジエン、スチレン・ブタジエン、スチレン・p−メトオキシスチレン、スチレン・酢酸ビニル、酢酸ビニル・塩化ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル、メチルメタクリレート・アクリロニトリル、メチルメタクリレート・ブタジエン、メチルメタクリレート・スチレン、メチルメタクリレート・酢酸ビニル、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン、メチルアクリレート・アクリロニトリル、メチルアクリレート・ブタジエン、メチルアクリレート・スチレン、メチルアクリレート・酢酸ビニル、アクリル酸・ブチルアクリレート、メチルアクリレート・塩化ビニル、ブチルアクリレート・スチレン等がある。本発明で用いる高分子ラテックスの平均粒子径は0.01〜1.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.8μmである。高分子ラテックスの好ましい使用量は固形分で0〜0.3g/m2である。また、好ましい無機顔料/バインダー比は0〜1/2である。その他にも下引き層には各種マット剤や、耐電防止剤、界面活性剤、架橋剤、顔料、色素などの色剤などを加えることもできる。
本発明において平版印刷版原版には親水性層、下引き層の他、必要に応じて導電層、帯電防止層、支持体のカールを防止するカール防止層、所望のカールを付与するカール促進層等を設けることができる。
本発明において平版印刷版を製版するにはインクジェットプリンターで親油性物質を含有するインク組成物を像様に印字し、その後印字された平版印刷版を全面紫外線で照射することでなされる。インクジェットプリンターは一般的にその使用するインク組成物が水系か溶剤系か、あるいは紫外線硬化型であるかに応じてそれぞれ専用のインクジェットヘッドを搭載している。本発明において好ましいインクジェット組成物は水系であるので、好ましいインクジェットプリンターは水系専用のインクジェットヘッドを搭載したインクジェットプリンターである。
本発明に用いるインク組成物は紫外線硬化樹脂、重合開始剤、希釈剤を含有し、さらに色材、界面活性剤、助剤を含有してもよい。
本発明に用いるインク組成物に用いる紫外線硬化樹脂としては、ウレタンアクリレート型、エポキシアクリレート型、ポリエステルアクリレート型など、各種公知の水系紫外線硬化樹脂を用いることができる。このような水系紫外線硬化樹脂としては例えば特開平3−168209号公報、特開平4−211413号公報、特開平5ー140251号公報特開平7−242716号公報、特開平7−25958号公報、特開平7−62026号公報、特開平6−287260号公報、特開平9−146270号公報、特開平5−222135号公報、特開平9−136981号公報、特開平6−298851号公報、特開平7−43900号公報などに記載されている紫外線硬化樹脂などがある。特に好ましい紫外線硬化樹脂は反応性基を分子中に3ヶ以上保有し、またその粘度が10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、さらに好ましくは100〜3000の紫外線硬化樹脂である。また、水系硬化樹脂としてはその形態から、水溶性の紫外線硬化樹脂、強制乳化型の紫外線硬化樹脂、自己乳化型の紫外線硬化樹脂に大別されるが、乳化分散物とした紫外線硬化樹脂は乾燥後、希釈剤に再溶解し難く、ヘッドを詰まらせやすいので水溶性の硬化樹脂を用いることが好ましい。しかし、自己乳化型の紫外線硬化樹脂でもエチルアルコールなどの水溶性有機溶媒、あるいは水溶性紫外線硬化樹脂、重合開始剤を溶剤として、一旦溶解させることでその欠点を消すことができることを本発明者が見いだしており、一般的に紫外線照射後強い皮膜を形成する自己乳化型紫外線硬化樹脂をこのように溶解させ用いることも好ましい。
本発明に用いるインク組成物中の紫外線硬化樹脂は単独でも複数種を混合させて使用することもできるが、特に水溶性紫外線樹脂と自己乳化型紫外線硬化樹脂を混合させて用いることが好ましい。その好ましい混合比率は固形分の質量比で10:1〜1:2、好ましくは5:1〜1:1である。またインク組成物中の総紫外線硬化樹脂の濃度は1〜40質量%、更に好ましくは5〜30%である。
本発明に用いるインク組成物には光重合開始剤が含有される。紫外線の代わりに活性エネルギー線として電子線のような高エネルギー線を使用する場合は光重合開始剤無しでも印刷可能なだけの強度を持つ画像をつくることはできるが、安全性、簡便性の点から紫外線を使用する事が好ましい。よって、本発明に用いるインク組成物には光重合開始剤を含有させ、印字後紫外線で照射し、画像を定着させる。
光重合開始剤としては、水、または本発明で使用する表面張力調整剤、水溶性有機溶剤に可溶で、インク中で安定に存在し、紫外線により発生したラジカルが不飽和二重結合と効率的に反応するものであれば全て使用できる。具体的には、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン系化合物、2−ヒドロキシ−2メチル−1−フェニルプロパン−1−オン,4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンの如きアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン系化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種類以上を併用する事もできる。これらの光重合開始剤の使用量は、紫外線硬化樹脂に対して、0.1〜20質量%とする。また,トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の光開始助剤も使用する事ができる。
本発明に用いるインク組成物には粘度を調整するため希釈剤が用いられる。インクジェットプリンター、特に水系のインクジェットプリンターでは粘度の高いインク組成物ではヘッドを詰まらせるので、好ましいその粘度は15mPa・s以下、更に好ましくは10mPa・s以下、更に好ましくは2〜5mPa・sである。このような好ましい粘度を得るためには紫外線硬化樹脂や重合開始剤のみでは不可能であるが故に希釈剤を用いる。希釈剤としては環境上の問題から水が最も好ましいが、水単独で紫外線硬化樹脂を完全に溶解できない場合はエタノールを用いることが好ましい。さらに、その他に公知の水溶性有機溶媒を用いることもできる。その具体例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンの如きグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコーモノフェニルエーテルの如きグリコールエーテル類、N−メチル−2−ピロリドンの如きピロリドン類、トリエタノールアミンの如きアルカノールアミン類、メタノール、イソプロピルアルコールの如きアルコール類、ジメチルスルフォキシド等が挙げられる。溶剤が紫外線露光時に残存すると画像強度が落ちるので、沸点が100℃以下の有機溶媒を用いることが好ましい。希釈剤の使用量としては水が0〜50質量%、好ましくは2〜20質量%で、その他の有機溶媒と併せて希釈剤で30〜90質量%が好ましい。
本発明に用いるインク組成物には印字後の検版用に色材を含有することが好ましい。色材としては、インクジェット記録用インクに一般的に用いられている染料、顔料を用いる事ができる。染料としては、例えば直接染料としてのアゾ染料、フタロシアニン染料、酸性染料としてのアゾ染料、アントラキノン染料等が挙げられる。顔料としては、従来公知な有機顔料、無機顔料を全て用いる事ができる。具体的には、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料等の有機顔料、酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの色材は単独または複数を組合せて使用する事ができる。色材のインク組成物 中の含有量は、良好な被膜強度と着色性を得るため、0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
本発明に用いるインク組成物には表面張力調整剤としての界面活性剤を含有させることもできる。界面活性剤としては一般的に水性塗料、インキに用いられているシリコーン系、フッ素系、アクリル系、アセチレンジオール系界面活性剤を用いることが出来る。
本発明に用いるインク組成物にはその他に公知のインク組成物に含有される助剤を含有させることもできる。助剤としては、アルカリ金属の水酸化物や、アルカノールアミンのようなpH調整剤、防菌、防黴剤、金属封鎖剤、顔料分散剤、水溶性樹脂等を使用してもよい。
本発明ではインクジェットプリンターでの印字後、画像に紫外線を照射し、画像を硬化させる。紫外線照射は印字中でも印字後に行っても良く、例えば特開2004−322560号公報に記載されているようにインクジェットヘッドの直ぐ横に紫外線灯をつけても、あるいは特開2000−186243号公報に記載されているようにインクジェットプリンターの出口部分に紫外線灯をつけても良いし、あるいはプリンターから独立させた公知の紫外線照射装置を用いても良い。しかしながら、希釈剤の蒸発後に紫外線照射を行う方が画像の強度が強くなり、また迷光によりインクジェットヘッドに付着したインクが硬化してしまわないようするため、プリンターからは独立した紫外線照射装置を用いることが好ましい。印字後、紫外線照射されるまでの時間は従って好ましくは数秒後から数分までのあいだになされることが好ましい。また印字後、紫外線照射までの間に平版印刷版をドライヤーに通して、希釈剤の乾燥を促すこともできるが、温度をかけると紫外線硬化樹脂の粘度が下がり、樹脂の移動が起きるので、好ましくは50℃以下の風を当てて乾燥させる。
紫外線照射装置に用いる紫外線ランプとしては、水銀の蒸気圧が点灯中で1〜10Paであるような、いわゆる低圧水銀ランプ、あるいはそれ以上の圧力を有する高圧水銀ランプ、蛍光体が塗布された水銀灯等が好ましい。これらの水銀ランプの紫外線領域の発光スペクトルは184nm〜450nmの範囲であり、黒色あるいはカラー着色されたインク中の紫外線重合性化合物を効率的に反応させるのに適している。また、小型の電源を使用できるので、その意味でも適している。水銀ランプには、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、クセノンフラッシュランプ、ディープUVランプ、UVレーザーなどが実用化されており、発光波長領域としては上記範囲を含むので、電源サイズ、入力強度、ランプ形状などに応じて適宜選択して用いることができる。光源は、用いる光重合開始剤との適性を考慮して選択することが好ましい。
必要な紫外線強度は、紫外部のエネルギー総量が2〜50mW/cm2程度のものがより良好な重強速度を得る上で望ましい。積算照射量が不足していると印刷しうる強度が得られないので、必要な積算照射量を考慮して照射処理を行うのが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、無論この記述により本発明が制限されるものではない。
<実施例1>
アエロジル300((株)トクヤマ社製気相法シリカ)1.44kgを、水酸化ナトリウム14.4g、酢酸ナトリウム6.12gを含有している水溶液に加え全量を8kgとした。これをのこぎり歯状ブレード型分散機でブレードの周速が30m/秒で90分間攪拌して18質量%のシリカ粗分散物を得た。一次分散工程で得られたシリカ粗分散物を高圧ホモジナイザーにより処理量40l/時間、圧力200kg/cm2の条件で3回乳化分散してシリカ分散物を得た。得られた分散物を60℃で1時間プロペラ羽根型分散機で低速攪拌しながら保存してシリカスラリーを得た。得られたスラリー内の粒子径をレーザー散乱粒度分布計HORIBA LA920を用いて二次粒子径を調べたところ0.1μmであった。また電子顕微鏡で観察したところ、一次粒子径12nmの一次粒子が塊状に凝集した凝集体であった。
PETベースの両面に上記シリカスラリーを含有する親水性層を下記処方にて塗布した。得られた試料1gを比表面積測定装置SA3100(ベックマンコールカウンター(株)社製)を用いて、その細孔径の分布を測定した結果、表1のようになった。
<親水性処方A/1m2当たり(片面)>
アエロジル300(固形分) 1.89g
κカラギーナン 0.51g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
活性剤(塗布助剤) 1g
<親水性処方B/1m2当たり(片面)>
アエロジル300(固形分) 1.85g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
κカラギーナン 0.55g
活性剤(塗布助剤) 1g
<親水性処方C/1m2当たり(片面)>
アエロジル300(固形分) 1.66g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
κカラギーナン 0.74g
活性剤(塗布助剤) 1g
<親水性処方D/1m2当たり(片面)>
アエロジル300(固形分) 1.55g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
κカラギーナン 0.85g
活性剤(塗布助剤) 1g
<親水性処方E/1m2当たり(片面)>
アエロジル300(固形分) 1.5g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
κカラギーナン 0.9g
活性剤(塗布助剤) 1g
<親水性処方F/1m2当たり(片面)>
アエロジル300(固形分) 1.33g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
κカラギーナン 1.07g
活性剤(塗布助剤) 1g
<親水性処方G/1m2当たり(片面)>
アエロジル300(固形分) 1.03g
グリオキサール(37%水溶液) 0.02g
κカラギーナン 1.37g
活性剤(塗布助剤) 1g
Figure 2007190804
135g/m2の両面ポリエチレン被覆紙(RC紙)をコロナ放電加工した後、次に下に示す処方にて下引き層を塗設した。
(下引き層処方/1m2当たり)
κカラギーナン 0.36g
PA9281(日本A&L(株)社製、SBRラテックス) 3g
グリオキサール(37%水溶液) 0.01g
活性剤(塗布助剤) 1g
上記下引き層の上に前述のシリカスラリーを含有する親水性層を表2のような塗布量(固形分で)にて塗布し、平版印刷版原版1〜17を得た。なお、表面親水層にはさらにサーフロンS−132(セイミケミカル(株)社製、含フッ素界面活性剤)を20mg/m2加えた。
Figure 2007190804
下記処方にてインクジェットプリンターのインクを作製し、PM−750C(セイコーエプソン(株)社製)の黒インクに、これを入れ、作製した平版印刷版原版に印字した。印字後高圧水銀ランプ(80W/cm2、電源1kW)で印字部を15秒露光し、硬化させた。
<インクジェットプリンター用インク組成物>
ビームセットAQ9(荒川化学工業(株)社製、水溶性タイプ、粘度1500mPa・s、反応基2〜3) 12.5g
ビームセットEM90(荒川化学工業(株)社製、自己乳化型40%水分散物、粘度100mPa・s、反応基6〜9) 12.5g
食用青色1号 0.1g
ダロキュア1173(チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製) 2g
エタノール 58g
エタノールで完全に溶解し、その後水を加えて全量を100gとする。
得られた印刷版を用いて、オフセット印刷機(リョービイマジクス(株)社製3200CD)にて印刷を行った。
印刷物の汚れ状態と耐刷性を以下の基準で評価した。
<印刷物の汚れ状態の評価>
1:全く汚れない。
2:部分的に薄く汚れる。
3:全面が薄く汚れる。
4:全面が汚れる。
<印刷物の耐刷状態の評価>
1:全く印刷画像が変わらない。
2:ほとんど印刷画像は変わらないが、やや細線画像が細る。
3:やや画像部のインキ濃度が低下する。
4:画像部のインキ濃度低下、細線部が細る。
印刷物の汚れ状態、及び耐刷性を評価するために使用した給湿液及びインキを以下に示す。
<汚れ状態の評価>
1:給湿液
日研化学(株)アストロマークIII 1%(上水道を使用し1%にする。)
2:インキ
大日本インキ化学工業(株)製ニューチャンピオン 紫68N
<耐刷性の評価>
1:給湿液
三菱製紙(株)SLM−OD30 3%(上水道を使用し3%にする。)
2:インキ
大日本インキ化学工業(株)製ニューチャンピオン 墨85H
汚れ状態の評価は、1000枚目のブランケットの汚れ状態で評価した。耐刷性は10000枚印刷した後の印刷物の細線画像部(50ミクロン細線)の細りと画像部の濃度低下の状態で評価した。また、画像にじみを耐刷試験での100枚目の印刷物を目視し、にじみのないものを○、発生しているものを△、はげしくにじみが発生しているもの×とした。これらの結果を表3に示す。
Figure 2007190804
上記の結果から、表面親水性層の無機顔料/バインダー比が中親水性層のそれより大きい方が耐刷、汚れ、画像のにじみ全てにおいて、良好な結果を得られることが判る。また、表面親水性層の塗布量が0.6gになると耐刷が悪化してくることが判る。また、表面親水性層の無機顔料/バインダー比は高いほど良く、3を超えているものは良好な結果を示している。更に、中親水性層も無孔質よりは多孔質であることが好ましく、3/2〜2/1程度の無機顔料/バインダー比になっている方が良い結果を得られることが判る。
<実施例2>
水酸化ナトリウム14.4g、酢酸ナトリウム6.12gを含有している水溶液を20l容量のビーカー中で攪拌しながら、初期二次粒子径17μmの沈降法シリカ(ニップシールLB、東ソー・シリカ(株)社製)1.44kgを加え全量を8kgにし、一次分散液を調製した。次いで粉砕機、GALIN社製15MR型ホモジナイザーを処理量40l/h、圧力200kg/cm2の条件で運転し、2回通しで二次分散液を得た。得られたスラリー内の粒子径をレーザー散乱粒度分布計HORIBA LA920を用いて二次粒子径を調べたところ0.5μmであった。また電子顕微鏡で観察したところ、0.5μmの球形粒子であった。
得られたシリカ分散液を下記処方にて実施例1で使用した下引き層塗布済み支持体上に中親水性層として塗布し、実施例1の平版印刷版No1で使用した表面親水性層(処方AにサーフロンS132を加えたもの、塗布量0.1g/m2)を塗布し、実施例1同様に製版して平版印刷版18を作製した。
<中親水性層処方H/1m2あたり>
κカラギーナン 0.15g
ニップシールLB(固形分で) 0.25g
グリオキサール(37%水溶液) 0.005g
界面活性剤(塗布助剤) 0.05g
さらに下記中親水性層処方I〜Lに記載の無機顔料を10質量%となるよう水を加え超音波洗浄機で5分分散し、無機顔料分散液を作製し、下記処方の通り中親水性層塗布液を作製した。平版印刷版18同様に下引き済み支持体上に各中親水層I〜Lと、表面親水層(処方AにサーフロンS132を加えたもの、塗布量0.1g/m2)を塗布して、実施例1同様に製版し平版印刷版19〜22を作製した。
<中親水性層処方I/1m2あたり>
κカラギーナン 0.15g
サイリシア310(富士シリシア化学(株)社製、平均粒子径1.4μmの非凝集一次粒子) 0.25g
グリオキサール(37%水溶液) 0.005g
界面活性剤(塗布助剤) 0.05g
<中親水性層処方J/1m2あたり>
κカラギーナン 0.15g
サイリシア770(富士シリシア化学(株)社製、平均粒子径6μmの非凝集一次粒子)
0.25g
グリオキサール(37%水溶液) 0.005g
界面活性剤(塗布助剤) 0.05g
<中親水性層処方K/1m2あたり>
κカラギーナン 0.15g
硫酸バリウムB−1(堺化学工業(株)社製、平均粒子径0.8μmの非凝集一次粒子)
0.25g
グリオキサール(37%水溶液) 0.005g
界面活性剤(塗布助剤) 0.05g
<中親水性層処方L/1m2あたり>
κカラギーナン 0.15g
硫酸バリウムB−54(堺化学工業(株)社製、平均粒子径1.2μmの非凝集一次粒子)
0.25g
グリオキサール(37%水溶液) 0.005g
界面活性剤(塗布助剤) 0.05g
得られた平版印刷版18〜22を実施例1同様に評価した結果、表4のようになった。
Figure 2007190804
表4より無機顔料の種類にかかわらずその平均粒子径が1μ以下でないと、特ににじみが悪くなることが判る。
<実施例3>
実施例1で作製した平版印刷版1、2を用いてUVプリンターUJF−604(ミマキ(株)社製、インクジェットヘッドの横にUV照射装置を装備)の黒インクで画像を印字し、実施例1同様に評価したところ、どちらも耐刷、汚れは1の評価、にじみも発生しない結果を得た。プリンターは高価ではあるが、非水系UVインクジェットプリンターを用いても良好な結果を得られることが判明した。
<実施例4>
紫外線の光源として高圧水銀灯の代わりに殺菌灯(東芝(株)社製、GL10)を用いて、版と光源の距離を2cm、露光時間5分とする以外は実施例1同様に行い、実施例1と同様の結果を得た。本発明では紫外線硬化樹脂が硬化するまで時間を要しても、画像のにじみが発生しないため、紫外線硬化樹脂を硬化できるだけの十分なエネルギーを与えるのに時間がかかる簡易な硬化装置が使えることが判り、本発明の有用性が理解できる。

Claims (7)

  1. 支持体上に親水性層を設けてなる平版印刷版において、該親水性層が連続して少なくとも2層あり、該親水性層が平均粒子径1μm以下の無機顔料を含有し、支持体に近い層の無機顔料/バインダー比が支持体より遠い層のそれより小さいことを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 該支持体より遠い親水性層の無機顔料/バインダー比が2/1以上であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版原版。
  3. 該支持体より遠い親水性層の塗布量が固形分で0.5g/m2以下であることを特徴とする請求項1、若しくは2記載の平版印刷版原版。
  4. 該支持体より近い親水性層の無機顔料/バインダー比が1/1以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の平版印刷版原版。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の平版印刷版原版にインクジェット方式で親油性物質を含有するインク組成物を印字することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
  6. 該親油性物質が紫外線硬化性であることを特徴とする請求項5記載の平版印刷版の製版方法。
  7. 該インク組成物が水、若しくはエチルアルコールを含有することを特徴とする請求項5若しくは6記載の平版印刷版の製版方法。
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