JP5164915B2 - 多層構造体の製造方法及び紙容器の製造方法 - Google Patents

多層構造体の製造方法及び紙容器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるフィルムと紙とを、接着性樹脂組成物を用いて溶融押出ラミネートする、多層構造体の製造方法に関する。また、その製造方法によって製造された多層構造体を容器形状に組み立てる紙容器の製造方法に関する。
近年、食品や産業資材などを包装するための材料は、プラスチック、紙、金属などの材料をフィルム状にして貼り合わせて、それぞれの材料の長所を重ね合わせられるように設計されている。こうすることで単独の材料のみでは有し得ない特性、例えば強度、ガスバリア性、防湿性、ヒートシール性、外観などを兼ね備えた多層構造体が得られる。特に紙は、製造が容易であるとともに、可燃性であって環境にやさしいことなどの利点を有するので、多層構造体の原料として広く用いられている。
一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHという場合がある)は、ガスバリア性、耐油性、保香性などに優れていて、様々な用途に用いられている。しかしながら、EVOHは柔軟性に乏しい樹脂であり、吸湿することによってガスバリア性が低下するので、ポリオレフィンと積層して、積層体として用いられることが多い。
しかしながら、EVOHとポリエチレンとの接着性は悪いので、両層の間にアンカーコート剤(以下、AC剤という場合がある)もしくは接着性樹脂の層を設ける、あるいは基材に表面酸化処理やオゾン処理などの前処理や再加熱などの後処理をする必要がある。しかしながら、上記の手段の中で、AC剤は溶剤を使う問題や乾燥工程の時間が長くなる問題があり、また前処理や後処理を行なう工程が入ると工程時間の短縮に繋がらない。そこで工程時間の短縮に効果的なのは接着性樹脂の層を設ける方法である。
EVOH層と接着性樹脂層を積層する方法にはEVOHと接着性樹脂を共押出する方法と、EVOHフィルムに接着性樹脂を押出ラミネートする方法がある。この中で、押出ラミネートする方法は、共押出する方法に比べて、EVOHフィルムと接着性樹脂組成物層との層間接着力を得ることは難しいが、押出機が単純になるため生産現場に導入しやすいことや、メンテナンスが容易なためメンテナンス頻度や時間の短縮になるなどの利点を有する。
一方、紙とEVOHフィルムを押出ラミネートによって接着する場合には、ライン速度を上げても層間接着力を低下させないことが重要である。この課題を解決する手段として押出機のダイス温度を上げて接着性樹脂の温度を上げる方法が考えられる。しかし接着性樹脂の温度を上げて、EVOHの融点以上にしてしまうと、押出ラミネートの工程においてEVOHフィルムが融解してしまうことで膜面異常が生じ、EVOHに求められるバリア性、耐油性、保香性が低下する場合があった。
これまでに、紙とEVOH層を含む積層体を製造する方法として、例えば特許文献1には、容器外側から、ポリエチレン樹脂層/紙層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/ポリエチレン樹脂層の6層構成の積層体を、特許文献2には、容器外側から、ポリエチレン樹脂層/紙層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/アイオノマー樹脂層/ポリアミド樹脂層/アイオノマー樹脂層/ポリエチレン樹脂層の9層構成の積層体を、いずれも、接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層の3層を共押出ラミネートによって積層する方法が開示されている。しかし、特許文献1及び特許文献2の両者とも、接着性樹脂とEVOH樹脂とを共押出することが必須であり、EVOHからなるフィルムと紙との接着性樹脂を介した共押出ラミネートについての記載は何らなされていない。
一方、特許文献3および特許文献4では、ボロン酸基及び水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有する熱可塑性樹脂を用いた積層体の製造方法が検討されているが、いずれも押出ラミネートへの適用には言及されていない。
特開昭63−312143号公報 特開平2−160551号公報 特開2002−225202号公報 WO02/060961号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、EVOHフィルムと紙とを、接着性樹脂組成物を用いて溶融押出ラミネートする際に、ライン速度を向上させても層間接着力の低下を抑制することができるとともに安定的に連続成形することができる、多層構造体の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、押出ラミネートにおいて多層構造体の膜面を良好に保つ方法を鋭意検討し、その結果、特定のメルトテンションとメルトフローレート(MFR)を有するポリオレフィンを接着性樹脂組成物の主成分とすると、多層構造体の成形性の安定化が可能であることを見いだした。
すなわち、本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるフィルム(A)と紙(C)とを、接着性樹脂組成物(B)を用いて溶融押出ラミネートする、フィルム(A)と紙(C)とが接着性樹脂組成物(B)からなる層を介して積層されてなる多層構造体の製造方法であって;
接着性樹脂組成物(B)が、ボロン酸基及び水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有する熱可塑性樹脂(b1)と、前記官能基を有さないポリオレフィン(b2)とを含有し;
前記溶融押出ラミネートする際のダイス温度が250〜300℃であり、該ダイス温度において、ポリオレフィン(b2)のメルトテンション(キャピラリー径1mm、キャピラリー長10mm、押出速度1mm/分、引取速度100m/分)が4mN以下であるとともに、ポリオレフィン(b2)のメルトフローレート(2160g荷重下)が40〜100g/10分であり;かつ
熱可塑性樹脂(b1)とポリオレフィン(b2)の質量比(b1/b2)が1/99〜20/80であることを特徴とする多層構造体の製造方法である。
このとき、上記製造方法によって製造された多層構造体を容器形状に組み立てる紙容器の製造方法が好適な実施態様である。
本発明の多層構造体の製造方法によれば、EVOHフィルムと紙とを、接着性樹脂組成物を用いて溶融押出ラミネートする際に、ライン速度を向上させても層間接着力の低下を抑制することができるとともに安定的に連続成形することができる。また、このような製造方法によって製造された多層構造体を容器形状に組み立てることによって、紙容器を製造することができる。
本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるフィルム(A)と紙(C)とを、接着性樹脂組成物(B)を用いて溶融押出ラミネートする、フィルム(A)と紙(C)とが接着性樹脂組成物(B)からなる層を介して積層されてなる多層構造体の製造方法である。
フィルム(A)に用いられるEVOHは、エチレンとビニルエステルとをラジカル開始剤を用いて共重合し、次いでアルカリ触媒の存在下にケン化する公知の方法により製造することができる。ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられる。これらのビニルエステルのうち、1種を使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、酢酸ビニルが好ましい。
このとき、共重合が阻害されない範囲で他の共重合成分を共存させてもよい。他の成分としてはプロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン系単量体;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系単量体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのメタクリルアミド系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;アリルアルコール;ビニルトリメトキシシラン;N−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
フィルム(A)に用いられるEVOHのエチレン含有量は特に限定されないが、5〜60モル%であることが好ましい。エチレン含有量が5モル%未満である場合には、溶融安定性が不十分になる傾向となる。エチレン含有量は、より好適には15モル%以上であり、さらに好適には20モル%以上である。一方、エチレン含有量が60モル%を超える場合には、ガスバリア性および接着性が不十分になる傾向となる。エチレン含有量は、より好適には55モル%以下であり、さらに好適には50モル%以下である。また、フィルム(A)に用いられるEVOHのケン化度は、通常80モル%以上であり、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上がさらに好ましく、99モル%以上であるのが最も好ましい。ケン化度が80モル%よりも低いと、フィルム(A)のガスバリア性および接着性が不十分となったり、溶融成形時の熱安定性が不十分となったりする場合がある。
フィルム(A)の厚さに特に制限はないが、溶融押出ラミネート時の取扱い性などを考慮すれば、通常、1〜40μmの範囲のものを好適に使用することができる。好適には2μm以上であり、より好適には5μm以上である。一方、好適には30μm以下であり、より好適には25μm以下である。
本発明で用いられる接着性樹脂組成物(B)は、ボロン酸基及び水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有する熱可塑性樹脂(b1)と、前記官能基を有さないポリオレフィン(b2)とを含有する。一般に、溶融押出ラミネートでライン速度を上げると、フィルム(A)と接着性樹脂との溶融接着の時間が減少することから、温度が充分にフィルム(A)に伝わらず、その結果、層間接着力が低下する傾向がある。しかし、上記の接着性樹脂組成物(B)を用いると、フィルム(A)と比較的低温で反応させることが可能であるため、ライン速度を上げて溶融接着の時間が減少しても良好な接着性を示す。
熱可塑性樹脂(b1)は、ボロン酸基及び水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有することを特徴とする。ホウ素含有官能基のうち、ボロン酸基とは下記式(I)で示されるものである。
Figure 0005164915
また、水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基とは、水の存在下で加水分解を受けて上記式(I)で示されるボロン酸基に転化し得るホウ素含有基を指す。より具体的には、水単独、水と有機溶媒(トルエン、キシレン、アセトンなど)との混合物、5%ホウ酸水溶液と前記有機溶媒との混合物などを溶媒とし、室温〜150℃の条件下に10分〜2時間加水分解したときに、ボロン酸基に転化し得る官能基を意味する。このような官能基の代表例としては、下記式(II)で示されるボロン酸エステル基、下記式(III)で示されるボロン酸無水物基、下記式(IV)で示されるボロン酸塩基などが挙げられる。
Figure 0005164915
Figure 0005164915
Figure 0005164915
{式中、X及びXは同一、又は異なり、それぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基(炭素数1〜20の直鎖状、又は分岐状アルキル基、又はアルケニル基など)、脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基など)、及び、芳香族炭化水素基(フェニル基、ビフェニル基など)を表し、ここで脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよく、また、XとXは結合していてもよく、ただし、X及びXがともに水素原子であることはない。またR、R及びRは上記X及びXと同様の水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を表し、Mはアルカリ金属を表す。}
一般式(II)で示されるボロン酸エステル基の具体例としては、ボロン酸ジメチルエステル基、ボロン酸ジエチルエステル基、ボロン酸ジプロピルエステル基、ボロン酸ジイソプロピルエステル基、ボロン酸ジブチルエステル基、ボロン酸ジヘキシルエステル基、ボロン酸ジシクロヘキシルエステル基、ボロン酸エチレングリコールエステル基、ボロン酸プロピレングリコールエステル基、ボロン酸1,3−プロパンジオールエステル基、ボロン酸1,3−ブタンジオールエステル基、ボロン酸ネオペンチルグリコールエステル基、ボロン酸カテコールエステル基、ボロン酸グリセリンエステル基、ボロン酸トリメチロールエタンエステル基、ボロン酸トリメチロールプロパンエステル基、ボロン酸ジエタノールアミンエステル基などが挙げられる。
また、一般式(IV)で示されるボロン酸塩基としては、ボロン酸のアルカリ金属塩基などが挙げられる。具体的には、ボロン酸ナトリウム塩基、ボロン酸カリウム塩基などが挙げられる。
このようなホウ素含有官能基のうち、熱安定性の観点からボロン酸環状エステル基が好ましい。ボロン酸環状エステル基としては、例えば5員環又は6員環を含有するボロン酸環状エステル基が挙げられる。具体的には、ボロン酸エチレングリコールエステル基、ボロン酸プロピレングリコールエステル基、ボロン酸1,3−プロパンジオールエステル基、ボロン酸1,3−ブタンジオールエステル基、ボロン酸グリセリンエステル基などが挙げられる。
熱可塑性樹脂(b1)が含有するホウ素含有官能基は、1種のみであっても2種以上であってもよい。ホウ素含有官能基の量は、熱可塑性樹脂(b1)1g当たり0.0001〜0.002当量、すなわち、100〜2000μeq/gであることが好ましく、150〜1500μeq/gがより好ましい。官能基量が100μeq/gに満たない場合は、得られる多層構造体の層間接着力が低下するおそれがある。また、官能基量が2000μeq/gを超える場合は、ゲル化し易くなり、得られる多層構造体の外観が悪化する傾向となる。
熱可塑性樹脂(b1)が含有するホウ素含有官能基の結合形態は特に限定されないが、重合体の側鎖として含有していることが好適である。側鎖として含有していることによって、ホウ素含有官能基の含有量を大きくすることが容易である。ホウ素含有官能基が重合体の末端のみに結合している場合は、特に高分子量の重合体では官能基量が相対的に低くなり、熱可塑性樹脂(b1)の反応性が不十分となるおそれがある。熱可塑性樹脂(b1)は、側鎖および末端にホウ素含有官能基を含有していてもよい。
熱可塑性樹脂(b1)の具体例としては、ポリエチレン(超低密度、低密度、中密度、高密度)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと1−ブテン、イソブテン、3−メチルペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィンとの共重合体などのポリオレフィン;前記ポリオレフィンの無水マレイン酸、グリシジルメタクリレートなどのグラフト変性物;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂;スチレン−ブタジエンジブロック共重合体、スチレン−イソプレンジブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体などのスチレン−ジエンブロック共重合体またはその水素添加物;ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系樹脂;ポリ塩化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの半芳香族ポリエステル;ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどの脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。これらは1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、ポリオレフィン、スチレン−ジエンブロック共重合体またはその水素添加物が好ましく、スチレン−ジエンブロック共重合体の水素添加物が特に好ましい。
熱可塑性樹脂(b1)がスチレン−ジエンブロック共重合体の水素添加物である場合、該共重合体樹脂に含有されるスチレン単位とジエン単位の質量比は、水素添加前の質量比として5/95〜70/30であることが好ましく、10/90〜50/50であることがより好ましい。当該質量比がこのような範囲にあることによって、熱可塑性樹脂(b1)とポリオレフィン(b2)との相溶性が良好になる。また、特に高い層間接着力が望まれる場合には、スチレン単位の含有量が少ない方が好ましく、具体的にはスチレン単位とジエン単位の質量比が30/70以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(b1)のメルトフローレート(MFR;2160g荷重)は特に限定されないが、190℃で0.2〜50g/10分であることが好ましい。MFRがこのような範囲に含まれることで、接着性樹脂組成物(B)中での熱可塑性樹脂(b1)の分散性が良好になる。熱可塑性樹脂(b1)のMFRはより好適には0.5g/10分以上であり、また、より好適には30g/10分以下である。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(b1)は、特許文献4(WO02/060961号公報)に記載された方法によって製造することができる。
ポリオレフィン(b2)は本発明の接着性樹脂組成物(B)において主成分となるものである。ポリオレフィン(b2)は、ボロン酸基及び水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有さないものである。
ポリオレフィン(b2)のメルトテンション(キャピラリー径1mm、キャピラリー長10mm、押出速度1mm/分、引取速度100m/分)は溶融押出ラミネートする際のダイス温度において4mN以下となることが重要である。このメルトテンションは3mN以下であることがより好適であり、2.5mN以下であることがさらに好適である。フィルム(A)との押出ラミネートでは、接着性樹脂組成物(B)が溶融状態でフィルム(A)と接触することが高接着性を得るための条件の一つであり、ライン速度100m/分で4mN以下のメルトテンションを有するポリオレフィン(b2)を使用することで課題の解決に至った。4mNを超えると、接着性樹脂組成物(B)にかかる張力が強くなって、押出ラミネートの工程において該接着性樹脂組成物(B)の端部が切れやすくなる。メルトテンションは、通常0.3mN以上である。
ポリオレフィン(b2)のメルトフローレート(MFR;2160g荷重)は溶融押出ラミネートする際のダイス温度において40〜100g/10分であることが好適である。このMFRが40g/10分未満では、押出ラミネート工程において、樹脂が早く押し流されないため、ポリオレフィン(b2)がフィルム(A)と接着する前に結晶化しやすくなり、その結果、層間接着力が低下する場合がある。ポリオレフィン(b2)の成形時の温度におけるMFRは45g/10分以上であるのが好ましく、50g/10分以上であるのがさらに好ましい。また、かかるMFRが100g/10分を超えると、樹脂の吐出が不安定になり、押出ラミネート工程において、接着性樹脂組成物(B)層の厚みムラが生じやすくなる。ポリオレフィン(b2)の成形時の温度におけるMFRは90g/10分以下であるのが好ましく、85g/10分以下であるのがさらに好ましい。
ポリオレフィン(b2)としては、ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンは、エチレンの単独重合体及びエチレンを主成分とする共重合体を含む。ここで、「主成分とする」とは、50質量%以上含むという意味である。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンが典型例として挙げられ、好適には直鎖状低密度ポリエチレンが用いられる。なお、エチレンと共重合される単量体としては、直鎖状低密度ポリエチレンに用いられるα−オレフィンに限られることなく、それ以外のエチレン性二重結合を有する単量体を使用することもできる。
ポリオレフィン(b2)の密度には特に制限はないが、0.925g/cm以下であることが好ましい。密度が高いと、フィルム(A)との層間接着力が低下する場合があり、より好適には0.920g/cm以下であり、さらに好適には0.918g/cm以下であり、特に好適には0.915g/cm以下である。ポリオレフィン(b2)の密度は、通常0.89g/cm以上である。
ポリオレフィン(b2)の融点は90〜130℃の範囲にあることが好ましい。90℃未満では、装置にもよるが、押出ラミネート工程において、結晶化せずにロールに巻き取られて、接着性樹脂組成物(B)の厚みが変化する場合がある。一方、130℃を越えると接着性樹脂組成物(B)の結晶化速度が早くなり、フィルム(A)との層間接着力が低下する場合がある。
本発明における接着性樹脂組成物(B)においては、熱可塑性樹脂(b1)とポリオレフィン(b2)の質量比(b1/b2)が1/99〜20/80の範囲である。この質量比(b1/b2)が1/99未満の場合、フィルム(A)との層間接着力が十分に得られない。一方、質量比(b1/b2)が20/80を超えると、得られる接着性樹脂組成物(B)に流れムラが生じて膜面異常が発生し、その結果、フィルム(A)との層間接着力が低下する。質量比(b1/b2)は、2/98〜15/85の範囲であるのがより好適であり、3/97〜10/90の範囲であるのがさらに好適である。
本発明における接着性樹脂組成物(B)層の厚みは、厚みムラなく成形できれば特に限定されないが、3〜200μmの範囲であることが好ましい。3μm未満ではフィルム(A)との層間接着力が低下する場合がある。また200μmを超えると、用いる成形機の種類にもよるが、接着性樹脂組成物(B)の吐出不足によりライン速度を低下させなくてはならなくなる場合がある。
本発明の製造方法においては、接着性樹脂組成物(B)に、本発明の効果が阻害されない範囲で、公知の添加剤、例えば酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、アンチブロッキング剤、耐候剤、中和剤、難燃剤、防曇剤、または他の高分子化合物を配合してもよい。
接着性樹脂組成物(B)を得る手段としては、熱可塑性樹脂(b1)とポリオレフィン(b2)を例えばドライブレンドして混合した後、溶融混練する。溶融混練にはリボンブレンダー、高速ミキサーコニーダー、ペレタイザー、ミキシングロール、押出機、インテンシブミキサーなどを用いることができる。これらの中でも、工程の簡便さおよびコストの観点から押出機を使用することが好ましい。押出機は単軸または二軸スクリューいずれでも構わない。溶融混練の温度は、設備の特性、熱可塑性樹脂(b1)とポリオレフィン(b2)の種類や配合比率などにより適宜選択されるが、多くの場合150〜300℃の範囲である。本発明の場合には、多層構造体を成形する際に、成形機に付属している押出機を用いて熱可塑性樹脂(b1)とポリオレフィン(b2)を溶融混練して接着性樹脂組成物(B)を製造し、引き続いて即座に使用することが好ましい。
接着性樹脂組成物(B)は、フィルム(A)と紙(C)を接着するための接着性樹脂層として用いられる。接着性樹脂組成物(B)を接着性樹脂組成物層として用いることによって、良好な層間接着力を有する多層構造体が得られる。そして、フィルム(A)と紙(C)とを、接着性樹脂組成物を用いて溶融押出ラミネートする際に、ライン速度を向上させても層間接着力の低下を抑制することができるとともに安定的に連続成形することができる。
本発明で用いられる紙(C)は天然繊維、合成繊維いずれを原料としてもよい。また必要に応じてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、湿潤紙力剤、染料などが含有されていてもよい。さらには、印刷が施されていてもよい。高速で溶融押出ラミネートする場合の取扱い性の観点から、紙(C)の坪量が30〜200g/mであることが好ましい。
また本発明で用いられる紙(C)は紙単層でもよく、紙を含む多層構造体であってもよい。多層構造体である場合には、ポリオレフィンを紙の片側あるいは両側に層として有するものが好適に使用される。
紙(C)がポリオレフィンとの多層構造体である場合、用いられるポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルエステル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることが好ましい。また必要に応じて、他の樹脂を50質量%未満の範囲で混合してもよい。ポリオレフィンは、加工性、耐熱性、易ヒートシール性、防湿性、耐油性、耐薬品性など、それらの樹脂の有する機能や被包装物の性状によって使い分けられる。
紙(C)がポリオレフィンとの多層構造体である場合、かかるポリオレフィンの層の厚みに特に制限はないが、5〜100μmの範囲が好ましく、10〜80μmの範囲がより好ましい。
本発明の製造方法において、溶融押出ラミネートする際のダイス温度は250〜300℃であることが好ましい。250℃未満では接着性樹脂組成物(B)の温度が低くなり、接着性樹脂組成物(B)からなる層と、フィルム(A)又は紙(C)との層間接着力が弱くなる場合がある。また300℃を超えると接着性樹脂組成物(B)の温度が高くなりすぎ、接触したフィルム(A)を溶融させてしまう場合がある。
本発明の製造方法によれば、フィルム(A)と紙(C)とを溶融押出ラミネートする場合において、ライン速度を向上させても層間接着力の低下を抑制することができるとともに安定的に連続成形することができる。ライン速度は、50m/分以上である場合、特に100m/分以上である場合に、本発明の製造方法を採用する利益が大きい。ライン速度は、通常300m/分以下である。
溶融押出ラミネートに際しては、フィルム(A)と紙(C)を一定の速度で送り出し、フィルム(A)と紙(C)の間に接着性樹脂組成物(B)を押出機で溶融押出した後、冷却ロールで多層構造体を冷却し、引取機でロール状に巻き取る。このとき、押出機、冷却ロール、引取機はいずれも公知の装置を用いることができる。また、かかる工程の途中で、印刷、コロナ処理、表面酸化処理などの工程をさらに有していてもよい。
本発明の製造方法において、得られる多層構造体は少なくともフィルム(A)層/接着性樹脂組成物(B)層/紙(C)層の3層があればよく、生産性や経済性の観点からは、10層以下がよく、さらに好ましくは8層以下がよい。
本発明の製造方法によって得られる多層構造体の具体例を下記に示す。フィルム(A)を「EVOH」、接着性樹脂組成物(B)層を「AD(1)」、接着性樹脂組成物(B)以外の接着性樹脂層を「AD(2)」、ポリオレフィン層を「PO」、紙(C)を「紙」、ポリアミド層を「Ny」と略称すると、例えば下記の層構成が挙げられる。ここで、「紙」は、その片面または両面にポリオレフィン層「PO」を有していても構わない。
紙/AD(1)/EVOH
紙/AD(1)/EVOH/AD(2)/PO
紙/AD(1)/EVOH/Ny/AD(2)/PO
紙/AD(1)/EVOH/Ny/EVOH/AD(2)/PO
本発明の製造方法によって得られる多層構造体を容器形状に組み立てることによって、各種の紙容器を製造することができる。紙容器の代表的な態様としては、例えば、テトラパック、ケーブルトップ型容器、ブリックス型容器、バックインボックス型容器などが挙げられる。
本発明の製造方法によって得られる多層構造体は各種包装材料に使用できる。内容物は食品、非食品いずれの用途でも使用でき、粉体、液体、顆粒、固形物、半固形物、ペースト状の物など様々な状態で使用可能である。
食品用途では、例えば液体食品としては、牛乳や生クリーム類などの乳製品、果実飲料、日本酒や焼酎などのアルコール類、コーヒー飲料、ウーロン茶、紅茶、野菜ジュース、ミネラルウォーター、豆乳、しょうゆ、ソース類、ドレッシング、食用油、各種調味液などが挙げられる。湿性食品としては豆腐などが挙げられる。
また、非食品の用途では工業薬品の包剤や産業資材などで使用できる。例えば液体合成洗剤、界面活性剤、シャンプー、リンス、液体肥料、現像液、各種塗料、漂白剤、有機溶剤、潤滑油及びモーターオイルの包材などが挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本実施例におけるメルトテンションとメルトフローレートの測定方法は、それぞれ以下のとおりである。
(1)メルトテンション
株式会社東洋精機製作所製「CAPILOGRAPH 1D」を用い、キャピラリー径1mm、キャピラリー長10mm、押出速度1mm/分、引取速度100m/分の条件で測定した。測定温度は、各実施例又は比較例において溶融押出ラミネートする際のダイス温度と同じ温度である。具体的には、実施例1、3、4及び比較例1〜4は270℃、実施例2は260℃、比較例5は230℃、比較例6は310℃である。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に準じて測定した。測定温度は、上記メルトテンションの測定と同様に、各実施例又は比較例において溶融押出ラミネートする際のダイス温度と同じ温度である。
合成例1
スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体の水素添加物(スチレン/ブタジエン=16/84(質量比)、ブタジエン単位の水添率94%、二重結合量960μeq/g、MFR(230℃、2160g荷重)5g/10分)を、投入口を1l/分の窒素で置換しながら7kg/時の速度で二軸押出機に供給した。次に、液体フィーダー1よりボラン−トリエチルアミン錯体(TEAB)とホウ酸1,3−ブタンジオールエステル(BBD)の混合液(TEAB/BBD=29/71、質量比)を0.6kg/時の速度で、液体フィーダー2より1,3−ブタンジオールを0.4kg/時の速度で供給し、連続的に混練した。混練の間、ベント1及びベント2のゲージが約20mmHgを示すように圧力を調節した。その結果、吐出口から7kg/時の速度で、ボロン酸1,3−ブタンジオールエステル基を含有するスチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、熱可塑性樹脂(b1−1)と称する)をペレットとして得た。この熱可塑性樹脂(b1−1)のボロン酸1,3−ブタンジオールエステル基量は650μeq/g、二重結合量は115μeq/g、MFRは1.6g/10分(190℃、2160g荷重)であった。
上記反応に使用した二軸押出機の構成、運転条件は下記のとおりである。
同方向二軸押出機TEM−35B(東芝機械製)
スクリュー径:37mmφ
L/D:52(15ブロック)
液体フィーダー:C3(液体フィーダー1)、C11(液体フィーダー2)
ベント位置:C6(ベント1)、C14(ベント2)
スクリュー構成:C5−C6間、C10−C11間及びC12の位置にシールリングを使用。
シリンダー設定温度:C1(水冷)、C2〜C3(200℃)、C4〜C15(250℃)、ダイ(250℃)
スクリュー回転数:400rpm
実施例1
合成例1で得られた熱可塑性樹脂(b1−1)のペレットと、日本ポリエチレン株式会社製直鎖状低密度ポリエチレン「カーネルKC573」(商品名、融点102℃、メルトテンション0.6mN(270℃、100m/分)、MFR(270℃、2160g荷重)57.0g/10分、密度0.910g/cm;以下ポリオレフィン(b2−1)と称する)のペレットを、熱可塑性樹脂(b1−1)/ポリオレフィン(b2−1)の質量比として5/95で、タンブラーを使用してドライブレンドし、ペレット混合物を得た。
株式会社クラレ製EVOHフィルム「エバールフィルム EF−XL」(商品名、エチレン−ビニルアルコール共重合体、15μm厚み、2軸延伸フィルム;以下EVOHフィルム(A)と称する。)とクラフト紙(日本製紙株式会社製、坪量70g/m;以下紙(C)と称する。)に対して上記(1)で得たペレット混合物を押出機で押出し、接着性樹脂組成物(B)としてサンドイッチ押出ラミネートしたところ、安定した運転が可能であった。溶融押出ラミネート時の押出機のダイス温度は270℃に設定し、EVOHフィルム(A)と紙(C)のライン速度は80m/分と130m/分の2通りの速度で運転した。押出機のスクリュー径は65mmで、L/Dは31であった。また、溶融押出ラミネート時のエアーギャップは110mmであった。
得られた積層体を40℃で2時間エージングした後、接着性樹脂組成物(B)(熱可塑性樹脂(b1−1)/ポリオレフィン(b2−1))層とEVOHフィルム(A)との界面、ならびに接着性樹脂組成物(B)層と紙(C)との界面でのT型剥離強度を、20℃、65%RHの条件下、オートグラフ(引張速度250mm/分)を用いてそれぞれ測定し、得られた数値を層間接着力とした。評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1においてダイス温度を270℃から260℃に変えたこと以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において熱可塑性樹脂(b1−1)/ポリオレフィン(b2−1)の質量比を5/95から10/90に変えたこと以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
実施例4
実施例1においてポリオレフィン(b2−1)の代わりに、日本ポリエチレン株式会社製直鎖状低密度ポリエチレン「ハーモレックス NH845N」(商品名、融点120℃、メルトテンション1.1mN(270℃、100m/分)、MFR(270℃、2160g荷重)60.3g/10分、密度0.913g/cm;以下ポリオレフィン(b2−2)と称する)のペレットを使用したこと以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において熱可塑性樹脂(b1−1)/ポリオレフィン(b2−1)のペレット混合物の代わりに三井化学株式会社製の接着性樹脂「ADMER SF715」(商品名、MFR(270℃、2160g荷重)47.2g/10分、密度0.903g/cm;以下熱可塑性樹脂(b1−2)と称する)を使用したこと以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、熱可塑性樹脂(b1−1)/ポリオレフィン(b2−1)の質量比を0.5/99.5に変えたこと以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、熱可塑性樹脂(b1−1)/ポリオレフィン(b2−1)の質量比を25/75に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
比較例4
実施例1において、ポリオレフィン(b2−1)の代わりに株式会社プライムポリマー製直鎖状低密度ポリエチレン「ウルトゼックス 2022L」(商品名、融点120℃、メルトテンション2.7mN(270℃、100m/分)、MFR(270℃、2160g荷重)6.4g/10分、密度0.919g/cm;以下ポリオレフィン(b2−3)と称する)に変えたこと以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
比較例5
実施例1において、押出機のダイス温度を270℃から230℃にした以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。尚、230℃におけるポリオレフィン(b2−1)のメルトテンション(230℃、100m/分)は6.2mN、MFR(2160g荷重)は29.8g/10分であった。
比較例6
実施例1において、押出機のダイス温度を270℃から310℃にした以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。尚、310℃におけるポリオレフィン(b2−1)のメルトテンション(310℃、100m/分)は0.2mN、MFR(2160g荷重)は89.3g/10分であった。
Figure 0005164915
実施例1〜4ではいずれも工程通過性に問題なく、且つ得られた積層体の層間接着力も(A)/(B)間、(B)/(C)間いずれも良好である。しかし、ボロン酸基及び水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有する熱可塑性樹脂の代わりに市販の接着性樹脂を用いた比較例1では(B)/(C)間の層間接着力は高かったが、高速運転時の(A)/(B)間の層間接着力は低かった。また、層間接着力を与える成分である熱可塑性樹脂(b1−1)の添加量が少ない比較例2は層間接着力が無く、また熱可塑性樹脂(b1−1)を過剰に加えた比較例3でも層間接着力が低下した。MFRが低い銘柄を使用したポリオレフィン(b2−3)を使用した比較例4では、高速製膜時に接着性樹脂組成物(B)の端部切れが生じた。また層間接着力も高くなかった。ダイス温度を低くしてポリオレフィン(b2−1)のメルトテンションを上げ、MFRを下げた比較例5では、ライン速度を上げると接着性樹脂組成物(B)が破断した上に、層間接着力も低かった。ダイス温度を高くして接着性樹脂組成物(B)の温度が高くなった比較例6ではEVOHフィルム(A)が溶融し、EVOHフィルム(A)の厚みムラが生じた。

Claims (2)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるフィルム(A)と紙(C)とを、接着性樹脂組成物(B)を用いて溶融押出ラミネートする、フィルム(A)と紙(C)とが接着性樹脂組成物(B)からなる層を介して積層されてなる多層構造体の製造方法であって;
    接着性樹脂組成物(B)が、ボロン酸基及び水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有する熱可塑性樹脂(b1)と、前記官能基を有さないポリオレフィン(b2)とを含有し;
    前記溶融押出ラミネートする際のダイス温度が250〜300℃であり、該ダイス温度において、ポリオレフィン(b2)のメルトテンション(キャピラリー径1mm、キャピラリー長10mm、押出速度1mm/分、引取速度100m/分)が4mN以下であるとともに、ポリオレフィン(b2)のメルトフローレート(2160g荷重下)が40〜100g/10分であり;かつ
    熱可塑性樹脂(b1)とポリオレフィン(b2)の質量比(b1/b2)が1/99〜20/80であることを特徴とする多層構造体の製造方法。
  2. 請求項記載の製造方法によって製造された多層構造体を容器形状に組み立てる紙容器の製造方法。
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