JPWO2018124138A1 - 架橋性樹脂組成物及び架橋物、並びにそれらの製造方法、並びに多層構造体 - Google Patents

架橋性樹脂組成物及び架橋物、並びにそれらの製造方法、並びに多層構造体 Download PDF

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    • C08L29/04Polyvinyl alcohol; Partially hydrolysed homopolymers or copolymers of esters of unsaturated alcohols with saturated carboxylic acids

Abstract

【課題】耐熱水性及び耐熱溶剤性に優れた架橋物であって、多層構造体としたときの層間接着性に優れた架橋物を形成可能な樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対し、架橋剤(B)0.4〜10質量部を含有する樹脂組成物であって、架橋剤(B)が、3以上の重合性基を有する融点40℃を超えるトリアジン誘導体である、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び架橋物、並びにそれらの製造方法、並びに多層構造体に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、単に「EVOH」ともいう)は、その酸素透過量が他のプラスチックに比較して非常に小さく、また溶融成形性も良好であるため、食品包装材料その他の包装材料として幅広く使用されている。しかしながら、EVOHを用いた包装材料にレトルト処理を行ったり、高温高湿度条件で長時間にわたって使用したりした場合、白化や変形が生じたり、バリア性が低下したりすることがあったため、耐熱水性の向上が求められていた。また、産業用パイプ用途にEVOHを用いる場合には、耐熱溶剤性の向上が求められていた。
耐熱水性や耐熱溶剤性を改善する方策として、電子線等の活性エネルギー線の利用により、EVOHに架橋を施すという技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には架橋剤としてトリアリルシアヌレート又はトリアリルイソシアヌレートを使用し、これらをEVOHと溶融混練した後に、電子線を照射して架橋させる方法が開示されている。
また、特許文献2には、EVOHにアリルエーテル基を2つ以上有する化合物を添加し、電子線を照射して架橋させる手法が開示されている。
さらに、特許文献3には、EVOHを、二重結合を有するエポキシ化合物及び二重結合を有しないエポキシ化合物で変性し、得られた変性EVOHの少なくとも一部を、電子線を照射して架橋させる方法が開示されている。
また、特許文献4には、EVOHに複数の二重結合を有するアミド化合物を添加し、電子線を照射して架橋させる手法が開示されている。
特開昭62−252409号公報 特開平9−234833号公報 国際公開第2007/123108号公報 国際公開第2011/111802号公報
しかしながら、特許文献1または特許文献2で得られた架橋物を用いたフィルムをラミネートした多層フィルムは、層間接着性が不十分となることがあると共に、耐熱水性及び耐熱溶剤性に改善の余地があった。特許文献3の架橋物では、EVOHを変性させるのに特殊な押出機が必要であり、汎用性に欠けるといった問題があった。特許文献4には、架橋剤に特定の極性基を持たせ、かつ、そのSP値をEVOHのSP値に近づけることで、ブリードアウトを有効に抑制できることが記載されているが、EVOHのSP値はエチレン含量等により変動するため、用いるEVOHの種類によっては架橋剤のブリードアウトの抑制が十分で無く、包装材としたときに衛生上の問題が懸念された。
本発明は上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、耐熱水性、耐熱溶剤性と多層構造体としたときの層間接着性に優れた架橋物を形成可能な樹脂組成物を、使用するEVOHの種類に制限されることなく提供することにある。
本発明者らは、官能基の種類や対称性など、特定の化学構造を有する架橋性化合物が、EVOHに対して特に架橋効果が高く、耐熱水性及び耐熱溶剤性を向上させることを見出した。また、本発明者らは、架橋性化合物がブリードアウトを起こす要因は、EVOHと架橋剤の化学的相互作用だけではなく、架橋剤の物理的状態や分子量(分子サイズ)なども影響を与えることを見出し、本発明に至った。上記課題を解決するためになされた発明は、以下の通りである。
(1) エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対し、架橋剤(B)0.4〜10質量部を含む樹脂組成物であって、架橋剤(B)が、3以上の重合性基を有する融点40℃を超えるトリアジン誘導体である、樹脂組成物;
(2) 架橋剤(B)がトリアリルシアヌレートの重合体、トリアリルイソシアヌレートの重合体、トリメタリルイソシアヌレート及びトリメタリルイソシアヌレートの重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、上記(1)に記載の樹脂組成物;
(3) 架橋剤(B)がトリメタリルイソシアヌレートである、上記(1)又は(2)に記載の樹脂組成物;
(4) 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対し、エステル結合又はアミド結合を有するヒンダードフェノール系化合物(C)0.05〜10質量部をさらに含む、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の樹脂組成物;
(5) ヒンダードフェノール系化合物(C)がアミド結合を有する、上記(4)に記載の樹脂組成物;
(6) 活性エネルギー線架橋用である、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の樹脂組成物;
(7) 上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の樹脂組成物から得られる架橋物;
(8) 上記(7)に記載の架橋物からなるフィルム;
(9) 上記(7)に記載の架橋物からなる層を有する多層構造体;
(10) 上記(9)に記載の多層構造体を有するレトルト容器;
(11) 上記(9)に記載の多層構造体を有するパイプ;
(12) エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程、前記エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を得るけん化工程、及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と架橋剤(B)とを混合して混合物を得る混合工程を含む、上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法;
(13) エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程、前記エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を得るけん化工程、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と架橋剤(B)とを混合して混合物を得る混合工程、及び前記混合工程で得られた前記混合物に活性エネルギー線を照射する架橋工程を含む、上記(7)に記載の架橋物の製造方法。
本発明の樹脂組成物は、耐熱水性及び耐熱溶剤性に優れた架橋物を形成可能である。また、前記架橋物を用いた多層構造体は層間接着性に優れる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、EVOH(A)及び架橋剤(B)を含有する。前記樹脂組成物では、架橋剤(B)として、3以上の重合性基を有する融点40℃を超えるトリアジン誘導体を用いているので、架橋反応が安定かつ十分に進行し、また、架橋剤(B)のブリードアウトを抑制することができ、耐熱水性、耐熱溶剤性及び層間接着性に優れかつ安全性の高い架橋物を提供することができる。以下、各成分について説明する。
<EVOH(A)>
EVOH(A)は、本発明の樹脂組成物の主成分である。ここで、EVOH(A)は、主構造単位として、エチレン単位及びビニルアルコール単位を有する共重合体である。
EVOH(A)のエチレン単位含有量(EVOH(A)中の単量体単位の総数に対するエチレン単位の数の割合)の下限としては20mol%が好ましく、22mol%がより好ましく、24mol%がさらに好ましい。一方、EVOHのエチレン単位含有量の上限としては60mol%が好ましく、55mol%がより好ましく、50mol%がさらに好ましい。EVOH(A)のエチレン単位含有量が20mol%以上であることで、高湿度下での架橋物の酸素バリア性や溶融成形性に優れたものとなる。また、EVOH(A)のエチレン単位含有量が60mol%以下であることで、酸素バリア性に優れたものとなる。
EVOH(A)のけん化度(EVOH(A)中のビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の総数に対するビニルアルコール単位の数の割合)の下限としては、80mol%が好ましく、95mol%がより好ましく、99mol%がさらに好ましい。一方、EVOH(A)のけん化度の上限としては100mol%が好ましく、99.99mol%がより好ましい。
EVOH(A)が、エチレン単位含有量の異なる2種類以上のEVOHの混合物からなる場合には、混合質量比から算出される平均値をエチレン単位含有量とする。この場合、エチレン単位含有量が最も離れたEVOH同士のエチレン単位含有量の差が30モル%以下であることが好ましい。エチレン単位含有量の差は20モル%以下がより好ましく、15モル%以下がさらに好ましい。同様に、EVOH(A)が、けん化度の異なる2種類以上のEVOHの混合物からなる場合には、混合質量比から算出される平均値を混合物のけん化度とする。この場合、けん化度の差は7%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。EVOH(A)を含む樹脂組成物から得られる架橋物を成形して多層構造体とした時に、前記多層構造体として、熱成型性及び酸素バリア性がより高いレベルでバランスがとれたものを所望する場合は、エチレン単位含有量が24モル%以上34モル%以下であり、けん化度が99%以上のEVOHと、エチレン単位含有量が34モル%以上50モル%以下であり、けん化度が99%以上のEVOHとを、配合質量比が60/40〜90/10となるように混合し、EVOH(A)として使用することが好ましい。
EVOH(A)のエチレン単位含有量及びけん化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
EVOH(A)のメルトフローレート(JIS K 7210に準拠、温度210℃、荷重2160gでの測定値)の下限としては、0.1g/10分が好ましく、0.5g/10分がより好ましく、1g/10分がさらに好ましく、3g/10分が特に好ましい。一方、EVOH(A)のメルトフローレートの上限としては、200g/10分が好ましく、50g/10分がより好ましく、30g/10分がさらに好ましく、15g/10分が特に好ましく、10g/10分が最も好ましい。EVOH(A)のメルトフローレートを上記範囲の値とすることで、得られる樹脂組成物の溶融混練性及び溶融成形性が向上する。
EVOH(A)は、本発明の目的が阻害されない範囲で、エチレン単位及びビニルアルコール単位以外のその他の単量体の単位を共重合単位として少量含有することもできる。このような単量体としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分又は完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸又はその塩;不飽和チオール類;ビニルピロリドン類等が挙げられる。
上記その他の単量体の中でも、EVOH(A)に共重合成分としてビニルシラン化合物を0.0002モル%以上0.2モル%以下含有させると、EVOH(A)を含む本発明の樹脂組成物を、基材となるべき重合体(例えば、ポリエステル)と共に、共押出成形又は共射出成形して多層構造体を得る際に、前記基材となるべき重合体との溶融粘性の整合性を改善でき、均質な成形物を製造できる。ビニルシラン系化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が好適に用いられる。
また、EVOH(A)に柔軟性を付与するために、従来公知の方法でEVOHを変性することも好適である。この場合、後述する架橋剤(B)の構造や量、EVOHの製法を調整して、EVOH(A)の酸素透過速度を調整することもできる。
<架橋剤(B)>
架橋剤(B)は、3以上の重合性基を有する融点40℃を超えるトリアジン誘導体である。架橋剤(B)の融点は40℃を超えているため、包装材料として通常使用され得る温度条件下では固体となり、ブリードアウトを防止することができる。また、架橋剤(B)が3以上の重合性基を有することから、電子線等の活性エネルギー線照射により、効率よく架橋物を製造することができる。このようにして得られる架橋物は、衛生的で耐熱水性及び耐熱溶剤性に優れ、かつ多層構造体としたときの層間接着性にも優れる。なお、本発明において、架橋剤(B)が明確な融点を示さない場合は、軟化温度を融点の代わりに用いることができ、軟化温度が40℃を超えるものも架橋剤(B)として用いることができる。また、40℃を超える領域で融解も軟化も示さないものについても、架橋剤(B)として用いることができる。
上記した通り、架橋剤(B)の融点は、40℃を超えている。ブリードアウトをさらに抑制する目的から、架橋剤(B)の融点または軟化温度は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。また、EVOHとの混合を容易にする目的から、架橋剤(B)の融点または軟化温度は、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。架橋剤(B)の沸点及び熱分解温度は、200℃以上であることが好ましく、240℃以上であることがより好ましく、260℃以上であることがさらに好ましい。沸点及び熱分解温度が高いことで、溶融混練及び溶融成形時の化合物の損失が抑制され、十分な架橋効果を得やすくなる。
架橋剤(B)が有する重合性基としては、EVOH(A)との架橋反応を生じ得る限り限定されず、例えば、不飽和炭化水素基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基が挙げられる。これらの中でも、活性エネルギー線による架橋を容易に行える点から不飽和炭化水素基が好ましい。
上記不飽和炭化水素基としては、エチレン性不飽和結合及びアセチレン性不飽和結合のうちの少なくとも1種を有する基である限り限定されず、例えばアルケニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基、アリールアルケニル基、アルキニル基、アルカジイニル基、アルカトリイニル基が挙げられる。不飽和炭化水素基の炭素数としては、通常2〜12であり、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等の直鎖状アルケニル基、2−プロペニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基等の分岐鎖状アルケニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基等が挙げられる。
上記アルカジエニル基としては、例えば、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、ヘプタジエニル基、オクタジエニル基等の直鎖状アルカジエニル基、1−メチルペンタジエニル基、2−メチルペンタジエニル基等の分岐鎖状アルカジエニル基等が挙げられる。
上記アルカトリエニル基としては、例えば、ヘキサトリエニル基、ヘプタトリエニル基、オクタトリエニル基等の直鎖状アルカトリイニル基、1−メチルヘキサトリエニル基、2−メチルヘキサトリエニル基等の分岐鎖状アルカトリエニル基等が挙げられる。
上記アリールアルケニル基としては、例えば、フェニルビニル基、フェニルプロペニル基等が挙げられる。
上記アルキニル基としては、例えば、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基等の直鎖状アルキニル基、1−メチルプロピニル基、2−メチルブチニル基等の分岐鎖状アルキニル基等が挙げられる。
上記アルカジイニル基としては、例えば、ペンタジイニル基、ヘキサジイニル基、ヘプタジイニル基、オクタジイニル基等の直鎖状アルカジイニル基、1−メチルペンタジイニル基、2−メチルヘキサジイニル基等の分岐鎖状アルカジイニル基が挙げられる。
上記アルカトリイニル基としては、例えば、ヘキサトリイニル基、ヘプタトリイニル基、オクタトリイニル基等の直鎖状アルカトリイニル基、1−メチルヘプタトリイニル基、2−メチルオクタトリイニル基等の分岐鎖状アルカトリイニル基等が挙げられる。
上述の重合性基の中でも、ビニル基又は炭素数3〜8のアルケニル基若しくはアルカジエニル基が好ましく、ビニル基又は炭素数3〜6のアルケニル基がより好ましく、ビニル基又は炭素数3〜5のアルケニル基がさらに好ましい。架橋剤(B)の重合性基をこれらの特定の基とすることにより、EVOH(A)との架橋反応をスムーズかつ十分に進行させることができる。また、十分な架橋効果を得るため、架橋剤(B)は3以上の重合性基を有することが必要である。重合性基が2以下の場合は、耐熱水性または耐熱溶剤性が不足するか、十分な耐熱水性または耐熱溶剤性を得るために電子線照射量を増やす必要があるという問題が生じ、包装材料や産業用パイプとしての外観や機械物性に悪影響を及ぼすことがある。
上記不飽和炭化水素基の水素原子の一部又は全部は、ヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。この場合のヘテロ原子としては、炭素原子及び水素原子以外の原子であればよく、例えば、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。上記ヘテロ原子を含む置換基の具体例としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。上記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
架橋剤(B)はトリアジン誘導体である必要がある。架橋剤(B)が熱的に安定なトリアジン構造を有することにより、架橋剤(B)の耐熱性が大幅に向上し、溶融混練や溶融成形時の架橋剤(B)の分解を防止することができ、得られる架橋物での架橋レベルを十分なものとすることができる。トリアジン基本骨格としては、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジンの3種が挙げられるが、熱安定性や架橋部位の位置対称性の面からは、1,3,5−トリアジンを基本骨格とすることがより好ましい。
架橋剤(B)は重合性基と同数以上のカルボニル基を有することが好ましい。カルボニル基の種類は特に限定されず、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、エノンなどの部分構造が挙げられる。当該カルボニル基は、EVOH(A)と架橋剤(B)との相溶性を向上させる効果があり、両者の架橋反応をスムーズかつ十分に進行させることができ、ブリードアウトを抑制することができる。架橋剤(B)におけるカルボニル基の位置は特に限定されないが、架橋剤(B)の熱安定性を向上させ、同時にEVOH(A)との相溶性を効果的に向上させる点から、トリアジン骨格に含まれることが好ましく、例えば、1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン構造が挙げられる。
架橋剤(B)の具体的な構造としては、例えばトリアリルシアヌレートの重合体、トリアリルイソシアヌレートの重合体、トリメタリルイソシアヌレート及びトリメタリルイソシアヌレートの重合体などが挙げられる。これらの架橋剤は、熱的に安定で、活性エネルギー線等による架橋反応効率も良好である。また、入手も容易であり、経済的にも優れている。これらの中でも、架橋反応効率、耐熱溶剤性、得られる架橋物の外観が特に優れる点で、トリメタリルイソシアヌレートが好ましい。
トリアリルシアヌレートやトリアリルイソシアヌレートは融点が40℃以下であり、40℃においては液体であるが、それらをオリゴマー化またはポリマー化することで、40℃において固体とすることができる。これらのオリゴマー化やポリマー化を達成する方法としては、たとえば、酸素の存在下に適当な温度(例えば50〜120℃)で適当期間(例えば1時間から24時間程度)加熱処理する方法、有機過酸化物などのラジカル重合開始剤や紫外線を利用する方法などが挙げられる。このこれらのオリゴマーやポリマーとしては、分子量が約500〜100000、好ましくは約2000〜50000のものが用いられ、このような分子量範囲の市販品をそのまま用いることができる。なお、架橋剤(B)が40℃を超える領域において実質的に固体である限り、融点が40℃以下のトリアリルシアヌレートやトリアリルイソシアヌレートなどの単量体が混在することは、本発明の一態様であるが、40℃において液体で存在する単量体が少ないことで、白化ムラをより低減できる。
本発明の樹脂組成物における架橋剤(B)の使用量は、架橋物において要求される架橋度に応じて決めればよいが、その下限はEVOH(A)100質量部に対して0.4質量部であることが必要であり、0.6質量部が好ましく、0.8質量部がより好ましい。その上限はEVOH(A)100質量部に対して10質量部であることが必要であり、8質量部が好ましく、6質量部がより好ましい。架橋剤(B)の使用量を上記範囲とすることで、EVOH(A)の架橋を十分に進行させることができ、耐熱水性、耐熱溶剤性及び層間接着性に優れた架橋物を得ることができる。加えて、前記架橋物をレトルト用のフィルムなどにした場合には、レトルト前後でのガスバリア性に優れたものとなる。架橋剤(B)の使用量が上記範囲より多い場合は、層間接着性が悪化したり、ゲル、ブツや白化ムラなどの外観不良が発生したりすることがある。
<ヒンダードフェノール系化合物(C)>
本発明の樹脂組成物は必要に応じてヒンダードフェノール系化合物(C)を含有してもよい。ヒンダードフェノール系化合物(C)は、エステル結合又はアミド結合を有する。エステル結合又はアミド結合を有するヒンダードフェノール系化合物(C)を含有することで、EVOH(A)に対する粘度の安定化効果、溶融混練や溶融成形時のゲル状ブツの発生防止効果が優れたものになる。ここで、ヒンダードフェノール系化合物(C)とは、少なくとも1つのフェノール基を含有する有機化合物であって、その芳香族部位が、置換基としてフェノール性ヒドロキシル基を有する炭素に直接隣接する少なくとも1つの位置、好ましくは両方の位置で置換されている、有機化合物を意味する。ヒドロキシル基に隣接する置換基は、炭素原子1〜10個を有するアルキル基から適切に選択されるアルキルラジカルであり、好ましくは第3級ブチル基である。
ヒンダードフェノール系化合物(C)の融点は40℃以上であることが好ましい。ブリードアウトを抑制する目的から、ヒンダードフェノール系化合物(C)の融点又は軟化温度は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。同様の理由から、ヒンダードフェノールの分子量は、200以上が好ましく、400以上がより好ましく、600以上がさらに好ましい。また、EVOH(A)との混合を容易にする目的から、ヒンダードフェノール系化合物(C)の融点又は軟化温度は、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、180℃以下がさらに好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物(C)はアミド結合を有することが好ましい。ヒンダードフェノール系化合物(C)がアミド結合を有することで、EVOH(A)に対する粘度の安定化効果、溶融混練や溶融成形時のゲル状ブツの発生防止効果が特に優れたものになる。
ヒンダードフェノール系化合物(C)の具体的な構造としては、例えば、
・BASF社からからイルガノックス1010として市販されているペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]
・イルガノックス1076として市販されている3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル
・イルガノックス1035として市販されている2,2'-チオジエチルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]
・イルガノックス1135として市販されている3-(3,5-ジ-
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-4-ヒドロキシフェニル)
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オクタデシル
・イルガノックス245として市販されているビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)
・イルガノックス259として市販されている1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]
・イルガノックス1098として市販されているN,N'-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]
が挙げられ、これらの中でも、アミド結合を有することから、イルガノックス1098として市販されているN,N'-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]が好ましい。
本発明の樹脂組成物におけるヒンダードフェノール系化合物(C)の使用量としては、溶融混練や溶融成形時の条件に応じて決めればよく、その下限は、EVOH(A)100質量部に対して0.05質量部が好ましく、0.2質量部がより好ましく、0.4質量部がさらに好ましい。その上限は、EVOH(A)100質量部に対して10質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、3質量部がさらに好ましい。ヒンダードフェノール系化合物(C)の使用量を上記範囲とすることで、溶融混練や溶融成形時に架橋剤(B)に起因する過度な架橋を防止することができ、長時間にわたって安定した粘度を維持することができる。さらに、溶融混練や溶融成形時のゲル状ブツの発生を防止できるため、外観に優れた架橋物を製造することができる。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えばホウ素化合物、アルカリ金属塩、リン酸化合物、酸化され得る物質、その他の重合体、酸化促進剤、その他の添加剤等が挙げられる。
<ホウ素化合物>
本発明の樹脂組成物にホウ素化合物が添加されている場合、EVOHの溶融粘性が改善され、均質な共押出成形体又は共射出成形体が得られる点で有効である。上記ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸(以下、単に「ホウ酸」ともいう)、メタホウ酸、四ホウ酸等が挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル等が挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂等が挙げられる。これらの化合物のうちでもオルトホウ酸が好ましい。
ホウ素化合物が添加される場合には、当該組成物中での含有量はホウ素元素換算で20〜2000ppmが好ましく、50〜1500ppmがより好ましい。この範囲にあることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたEVOHを得ることができる。20ppm未満ではそのような効果が小さく、一方、2000ppmを超えるとゲル化しやすく、成形性不良となる場合がある。
<アルカリ金属塩>
本発明の樹脂組成物には、アルカリ金属塩をアルカリ金属元素換算で5〜5000ppm含むことが好ましく、20〜1000ppmがより好ましく、30〜500ppmがさらに好ましい。上記範囲でアルカリ金属塩を含むことにより、層間接着性や相溶性を改善することができる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ金属塩としては、アルカリ金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体等が挙げられる。例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等が挙げられ、これらの中でも酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウムが好ましい。
<リン酸化合物>
本発明の樹脂組成物には、リン酸化合物をリン酸根換算で1〜500ppm含むことが好ましく、5〜300ppmがより好ましく、10〜200ppmがさらに好ましい。上記範囲でリン酸化合物を配合することにより、EVOHの熱安定性を改善することができる。特に、長時間にわたる溶融成形を行う際のゲル状ブツの発生や着色を抑制することができる。
本発明の樹脂組成物に添加するリン酸化合物の種類は特に限定されず、例えば、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩は第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形であってもよい。リン酸塩のカチオン種も特に限定されないが、カチオン種がアルカリ金属、アルカリ土類金属であることが好ましい。中でも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムの形でリン化合物を添加することが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果が阻害されない範囲内で各種の添加剤を含有させてもよい。このような添加剤の例としては、可塑剤、熱安定剤(溶融安定剤)、光開始剤、脱臭剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、乾燥剤、充填剤、顔料、染料、加工助剤、難燃剤、防曇剤、化合物(C)以外の酸化防止剤等が挙げられる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造方法は、エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程、前記エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化してEVOH(A)を得るけん化工程、及びEVOH(A)と架橋剤(B)とを混合して混合物を得る混合工程を含む。
共重合工程は、エチレンとビニルエステルとの共重合の工程に加え、必要に応じて重合禁止剤を添加し、それに続いて未反応エチレン、未反応ビニルエステルを除去してエチレン−ビニルエステル共重合体溶液を得る工程を含む。エチレンとビニルエステルとの共重合方法としては、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バルク重合などの公知の方法が挙げられる。
重合に用いられる代表的なビニルエステルとして酢酸ビニルが挙げられるが、その他の脂肪族ビニルエステル、例えばプロピオン酸ビニルやピバリン酸ビニルも使用できる。他にも、共重合し得る単量体を少量共重合させることができる。
重合温度としては、20〜90℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。重合時間としては、2〜15時間が好ましく、3〜11時間がより好ましい。重合率は、仕込みのビニルエステルに対して10〜90%が好ましく、30〜80%がより好ましい。重合後の溶液中の樹脂分は、5〜85質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。
けん化工程では、エチレン−ビニルエステル共重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、溶液中の共重合体をけん化する。けん化方法は、連続式、回分式のいずれも可能である。このアルカリ触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラートが挙げられる。
混合工程では、EVOH(A)及び架橋剤(B)、必要に応じてヒンダードフェノール系化合物(C)を添加してから溶融混練することが好ましい。この際、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの既知の混合装置または混練装置を使用して行うことができる。溶融混練時の温度は、通常、110〜300℃である。ヒンダードフェノール系化合物(C)は、予めEVOH(A)や架橋剤(B)に含有されていてもよい。
<架橋物の製造方法>
前記混合物は、外部からのエネルギー付与により、EVOH(A)が架橋剤(B)により架橋される(架橋工程)。この架橋は、電子線、X線、γ線、紫外線及び可視光線からなる群より選ばれる少なくとも1種の活性エネルギー線を照射するか、加熱を行うことにより行うことが好ましい。これらの中でも、活性エネルギー線を照射する場合には、活性エネルギー線の照射を行うだけで架橋することができるので、特殊な押出機等が不要となり、簡便にかつ低コストで架橋物を製造することができる。活性エネルギー線の中でも、架橋スピード及び架橋効率の点から、上記電子線により架橋を行うことが好ましい。これにより、低ブリードアウト性、良好な耐熱水性、耐熱溶剤性及び層間接着性を兼ね備える架橋物を効率的に製造することができる。
電子線、X線又はγ線を用いる場合、吸収線量が1kGy以上が好ましく、1kGy〜1MGyがより好ましく、5kGy〜500kGyがさらに好ましく、10kGy〜200kGyが特に好ましい。吸収線量が1kGyより小さい場合は架橋度が向上せず、耐熱水性や耐熱溶剤性等の目的の性能が得られないことがある。また、吸収線量が1MGyより大きい場合はEVOH等の分解が生じるおそれがあり、架橋物をフィルムにした際の機械強度の低下や、着色等の問題が生じることがある。
光照射を用いる場合、照射時間は架橋物の厚さ、光源の種類、その他の諸条件に影響されるが、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、LED等を用い、長くて数分、通常1分以内、場合によっては1秒以下でもよい。
なお、本発明の樹脂組成物の架橋工程は、目的とする成形物の性状に合わせて決めればよく、成形前であっても成形後であってもよい。特に、樹脂組成物を成形する際の自由度を考慮すると、成形後に架橋を行うことが好ましい。
<架橋物の成形方法>
本発明の樹脂組成物を成形するに当たっては、成形方法を適宜採用することにより、種々の成形物、例えば、フィルム、シート、容器その他の包装材等に成形することができる。このとき、樹脂組成物を一旦ペレットとしてから成形に供してもよいし、樹脂組成物の各成分をドライブレンドして、直接成形に供してもよい。
成形方法及び成形物としては、例えば、溶融押出成形によりフィルム、シート、パイプ等に、射出成形により容器形状に、また中空成形によりボトル状等の中空容器に成形することができる。中空成形としては、押出成形によりパリソンを成形し、これをブローして成形を行う押出中空成形と、射出成形によりプリフォームを成形し、これをブローして成形を行う射出中空成形を挙げることができる。これらのうちレトルト用包装材には、溶融押出成形によって多層フィルム等の包装材を成形する方法、溶融押出成形によって成形した多層シートを熱成形して容器状の包装材にする方法が好ましい。また、用途によっては押出成形によってパリソンを形成し、これをブロー成形して比較的柔軟な多層容器状の包装材とする方法も好ましい。
<多層構造体>
前記架橋物の用途は多岐に亘る。例えば、押出成形品、フィルム又はシート(特に延伸フィルム又は熱収縮フィルム)、熱成形品、壁紙又は化粧板、パイプ又はホース、異形成形品、押出ブロー成形品、射出成形品、フレキシブル包装材、容器(特にレトルト容器)等が好適なものとして例示される。成形品が多層構造体である場合には、共押出フィルム又は共押出シート、熱収縮フィルム、容器(特に共押出ブロー成形容器、共射出成形容器、レトルト容器)、パイプ(特に燃料パイプ又は温水循環用パイプ)、ホース(特に燃料ホース)等が好ましい。
前記多層構造体は、上記成形により得られる架橋物の層と他の層とを積層して得られる。
多層構造体の層構成としては、本発明の樹脂組成物以外の重合体からなる層をx層、本発明の樹脂組成物層をy層、接着性重合体層をz層とすると、x/y、x/y/x、x/z/y、x/z/y/z/x、x/y/x/y/x、x/z/y/z/x/z/y/z/x等が例示される。複数のx層を設ける場合は、その種類は同じであっても異なっていてもよい。また、成形時に発生するトリム等のスクラップからなる回収重合体を用いた層を別途設けてもよいし、回収重合体を他の重合体からなる層にブレンドしてもよい。当該多層構造体の各層の厚さ構成は、特に限定されるものではないが、成形性及びコスト等の観点から、全層厚さに対するy層の厚さ比は2〜20%が好ましい。
上記のx層に使用される重合体としては、加工性等の観点から熱可塑性重合体が好ましい。かかる熱可塑性重合体としては、例えば次の重合体が挙げられる。
・ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン又はプロピレン共重合体(エチレン又はプロピレンと次の単量体の少なくとも1種との共重合体:1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分又は完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルオクタノエート、ビニルドデカノエート、ビニルステアレート、ビニルアラキドネート等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸又はその塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類等);
・ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ1−ブテン等のポリオレフィン;
・ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;
・ポリε−カプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド;
・ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアクリレート等。
かかる熱可塑性重合体層は無延伸のものであってもよいし、一軸もしくは二軸に延伸又は圧延されているものであっても構わない。これらの重合体のうち、レトルト容器に用いられる場合には、食品等を包装して包装体とした際の外層側がポリアミド、ポリエステル、またはポリプロピレンであることが好ましい。内層側はポリプロピレンであることが好ましい。また、y層を中間層に有する産業用パイプに用いられる場合には、内層側、外層側ともにポリエチレンまたはポリピロピレンであることが好ましい。
これらの熱可塑性重合体のうち、ポリオレフィンは耐湿性、機械的特性、経済性、ヒートシール性等の点で、また、ポリアミドやポリエステルは機械的特性、耐熱性等の点で好ましい。
一方、z層に使用される接着性重合体としては、各層間を接着できるものであればよく、ポリウレタン系又はポリエステル系の一液型又は二液型硬化性接着剤、カルボン酸変性ポリオレフィン重合体等が好ましい。カルボン酸変性ポリオレフィン重合体は、不飽和カルボン酸又はその無水物(無水マレイン酸等)を共重合成分として含むオレフィン系重合体又は共重合体;又は不飽和カルボン酸又はその無水物をオレフィン系重合体又は共重合体にグラフトさせて得られるグラフト共重合体である。
共射出成形法や共押出成形法等で多層構造体を製造する場合は、カルボン酸変性ポリオレフィン重合体がより好ましい。特に、x層がポリオレフィン重合体である場合、y層との接着性が良好となる。かかるカルボン酸変性ポリオレフィン重合体を構成するポリオレフィン重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン;共重合ポリプロピレン;エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステル又はエチルエステル)共重合体等が挙げられる。一方、ドライラミネート法で多層構造体を製造する場合には、ポリウレタン系の二液型硬化性接着剤がより好ましい。この場合、x層に多様な重合体を用いることができるため、多層構造体の機能をより高度なものにすることができる。
本発明の多層構造体を得る方法としては、例えば押出ラミネート法、ドライラミネート法、共射出成形法、共押出成形法等が挙げられる。共押出成形法としては、共押出ラミネート法、共押出シート成形法、共押出パイプ成形法、共押出チューブ成形法、共押出インフレーション成形法、共押出ブロー成形法等を挙げられる。
このようにして得られた本発明の多層構造体のシート、フィルム、パリソン等を、含有される重合体の融点以下の温度で再加熱し、絞り成形等の熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、インフレーション延伸法、ブロー成形法等により一軸又は二軸延伸して、延伸された成形物を得ることもできる。
本発明の多層構造体は種々の用途に応用することができ、例えば、上述の架橋物において例示したような用途に用いることができる。中でも、多層構造体の架橋剤の低ブリードアウト性、良好な耐熱水性、耐熱溶剤性及び層間接着性という利点を活かせるため、レトルト容器やパイプに用いることが好ましい。また、化学的に活性な化学品や農薬などの容器としても好適に応用することができる。以下、本発明の多層構造体をレトルト容器として利用した態様について説明する。
本発明の多層構造体を用いることにより、全層の合計の厚さ(以下、単に「全層厚さ」ともいう)が300μm以下である薄い多層構造体からなるフレキシブルなレトルト容器とすることができる。通常、このようなフレキシブルなレトルト容器は、パウチ等の形態に加工されている。この容器は酸素バリア性、耐熱水性及び層間接着性に優れ、かつ製造が簡便であるので、酸素に対し感受性が高く劣化し易い製品の包装に有用である。
このような多層フィルムの全層厚さは、フレキシブル性を維持するという観点から、その上限は300μmが好ましく、250μmがより好ましく、200μmさらに好ましい。一方、容器としての機械的特性を考慮すると、全層厚さの下限は10μmが好ましく、20μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。
上記全層厚さが300μm以下の多層フィルムからなるレトルト容器は、例えば本発明の樹脂組成物からなる層と熱可塑性樹脂層とをドライラミネート、共押出ラミネート等の方法で積層することによって得られる多層フィルムから製造することができる。
ドライラミネートすることで得られる多層フィルムから製造する場合には、多層フィルムとして、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、圧延フィルム等が使用可能である。これらの中でも、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルムが、機械的強度や耐熱性の観点から好ましい。無延伸フィルム又は一軸延伸フィルムを使用する場合、積層した後に多層フィルムを再加熱し、絞り成形等の熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、インフレーション延伸法等により一軸又は二軸延伸することによって、延伸された多層フィルムを得ることもできる。
得られるレトルト容器を密封するために、多層フィルムの製造段階において、少なくとも一方の最外層表面にヒートシール可能な樹脂からなる層を設けることも好ましい。かかる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを挙げることができる。
こうして得られるレトルト容器は、安全性に優れ、フレキシブルで簡便であり、かつ酸素バリア性に優れるので、酸素の存在により劣化しやすい内容物、特に食品やペットフード、医薬品等の包装に有用である。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、量的関係については、特記しない限り質量基準である。実施例及び比較例における各測定・評価は、下記の要領で行った。
(1)ゲル分率
以下の実施例及び比較例で得られた樹脂組成物のペレットを20mmφ一軸押出機(210℃)に通して、コートハンガーダイより溶融押出を行い、厚さ20μmの単層フィルムを得た。得られた単層フィルムを電子線照射装置に導入して、加速電圧250kVにて電子線を照射して架橋を行い、照射単層フィルムを得た。次いで、得られた照射単層フィルムを20cm四方に切り出した。水(15質量%)−フェノール(85質量%)の混合溶剤100質量部に前記照射単層フィルム1質量部を浸し、60℃で12時間加熱溶解させた後、ろ過し、ろ液を蒸発乾固することで固形分残分(%)を算出し、これをゲル分率とした。
(2)耐熱水性(単層フィルムの評価)
上記(1)と同様にして得た照射単層フィルムを10cm四方に切り出し、12cm四方のパウチに水100mlと共に封入し、135℃、60分間レトルト処理した後のフィルムの外観を目視にて観察した。そのときのフィルムの外観を以下の基準で評価した。
A:全体的にフィルムの溶解がなかった。
B:一部フィルムの溶解がみられた。
C:全体的にフィルムが溶解し、原形をとどめていなかった。
(3)耐熱水性(多層フィルムの評価)
延伸ポリアミドフィルム(ON)及び無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を、上記(1)と同様にして得た単層フィルム(電子線照射前)の両側に、三井化学株式会社製タケラックA−520及びタケネートA−50からなる、ポリウレタン系二液型硬化性接着剤(Ad)を介してラミネートすることにより、多層フィルム((外層)ON 15μm/Ad/EVOH層(単層フィルム) 20μm/Ad/CPP 50μm(内層))を得た。得られた多層フィルムを電子線照射装置に導入して、加速電圧250kVにて電子線を照射して架橋を行い、照射多層フィルムを得た。得られた照射多層フィルムを用いて、10cm四方のパウチを作製し、その中に水80mlを注ぎ込んで、135℃で60分間レトルト処理した後のパウチの外観を目視にて観察した。そのときのパウチの外観を以下の基準で評価した。
A:EVOH層と内外層の剥離は確認されず、EVOH層の透明性は保たれていた。
B:EVOH層と内外層の一部に剥離が見られた、又は、EVOH層に軽微な白化が見られた。
C:EVOH層と内外層の大部分に剥離が見られた、又は、EVOH層に顕著な白化が見られた。
(4)耐熱溶剤性
上記(1)と同様にして得た照射単層フィルム上にグリセロール1mlを滴下し、フィルムを折りたたんでグリセロールを挟み、その上に1kgの荷重をかけた。この状態で100℃、30分間の加熱処理を行った。室温まで冷却した後、フィルムの膠着度及び外観(白化又は白化ムラ)を目視にて観察した。そのときのフィルムの膠着度及び外観を以下の基準で評価した。
A:膠着及び外観変化は見られなかった。
B:わずかに膠着及び外観変化が見られた。
C:やや膠着及び外観変化が見られた。
(5)OTR(酸素透過速度;レトルト前)
上記(3)と同様にして得た照射多層フィルムを用いて、下記の条件でOTRを測定した。
条件:20℃、(外)65%RH/(内)100%RH
(6)OTR(酸素透過速度;レトルト後)
上記(3)と同様にして得た照射多層フィルムを用いてパウチを作製し、その中に水を注ぎ込んで、135℃で60分間レトルト処理した後のOTRを、下記の条件で測定した。
条件:20℃、(外)65%RH/(内)100%RH、レトルト1日後
(7)層間接着性
上記(1)と同様にして得た照射単層フィルムを40℃、90%RH条件下にて3ヶ月保管した後、ポリウレタン系の二液型硬化性接着剤を用いてCPPフィルム(50μm)とラミネートした。これを40℃、2日間エージング処理した後に接着性を評価した。
A:接着性は良好であり、力を入れても剥離しない。
B:良好に接着しているが、力を入れると剥離する場合がある。
C:通常の使用では剥離は見られないが、力を入れると剥離する。
(8)外観特性
上記(1)と同様にして得た照射単層フィルムのゲル及びブツの発生量と白化ムラを目視で確認し、下記のA〜Dの基準で評価することで外観特性の指標とした。基準Cが実使用に耐えられるボーダーレベルである。
A :ほとんどゲル、ブツ及び白化ムラが見られない
B :わずかにゲル、ブツ及び白化ムラが見られる
C :ややゲル、ブツ及び白化ムラが見られる
D :かなりゲル、ブツ及び白化ムラが見られる
各実施例等で使用したエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)、架橋剤(B)及びヒンダードフェノール系化合物(C)を以下に示す。
<エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)>
(EVOH−1)エチレン単位含有量:27モル%、けん化度:99.8%
(EVOH−2)エチレン単位含有量:44モル%、けん化度:99.8%
<架橋剤(B)>
(架橋剤1)日本化成株式会社製タイクプレポリマー トリアリルイソシアヌレート重合体:200℃で融解も軟化もせず、熱分解が始まった。
(架橋剤2)トリメタリルイソシアヌレート:融点84℃
(架橋剤3)トリアリルシアヌレート:融点27℃
(架橋剤4)トリアリルイソシアヌレート:融点25℃
(架橋剤5)トリメチロールプロパントリメタクリレート(トリアジン誘導体以外の架橋剤):融点−14℃
(架橋剤6)ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(トリアジン誘導体以外の架橋剤):融点約−20℃
<ヒンダードフェノール系化合物(C)>
(ヒンダードフェノール系化合物1)BASF社製イルガノックス1010 ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]
(ヒンダードフェノール系化合物2)BASF社製イルガノックス1098 N,N'-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]
(実施例1〜10及び比較例1〜8)
25mmφ二軸押出機を用いて、210℃にて上述のEVOH、架橋剤及びヒンダードフェノール系化合物を表1に示した割合で溶融混練することにより、架橋性樹脂組成物のペレットを調製した。各測定・評価における電子線の照射線量は、実施例9は10kGy、比較例1は照射なし、その他の実施例及び比較例においては100kGyである。評価結果を表2に示す。
Figure 2018124138
Figure 2018124138
表2の結果からも明らかなように、実施例の樹脂組成物を用いて得られた各フィルムでは、ゲル分率が高く十分に架橋が進行していた。これにより、実施例の各フィルムは、耐熱水性と耐熱溶剤性に優れ、OTRも低い値となったと共に、良好な層間接着性を維持した。これに対し、比較例の樹脂組成物を用いて得られたフィルムでは、耐熱水性、耐熱溶剤性、OTR、層間接着性及び外観特性のいずれかに劣る結果となった。また、ヒンダードフェノール系化合物を適切に添加した実施例では、溶融混練や溶融成形時の粘度が安定しており、得られる架橋物の外観も良好であった。特に、アミド結合を有するヒンダードフェノール系化合物を用いた実施例では、得られる架橋物の外観特性が優れていた。
本発明の樹脂組成物は、架橋物からの架橋剤のブリードアウトを十分抑制することができ、耐熱水性、耐熱溶剤性及び層間接着性に優れかつ衛生的な架橋物を実現することができることから、食品包装材料その他の包装材料や産業用パイプの製造に好適に用いることができる。また、使用されるEVOH(A)に特に制限はないため、多様な架橋物を形成することが可能である。

Claims (13)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対し、架橋剤(B)0.4〜10質量部を含む樹脂組成物であって、架橋剤(B)が、3以上の重合性基を有する融点40℃を超えるトリアジン誘導体である、樹脂組成物。
  2. 架橋剤(B)がトリアリルシアヌレートの重合体、トリアリルイソシアヌレートの重合体、トリメタリルイソシアヌレート及びトリメタリルイソシアヌレートの重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 架橋剤(B)がトリメタリルイソシアヌレートである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対し、エステル結合又はアミド結合を有するヒンダードフェノール系化合物(C)0.05〜10質量部をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. ヒンダードフェノール系化合物(C)がアミド結合を有する、請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 活性エネルギー線架橋用である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物から得られる架橋物。
  8. 請求項7に記載の架橋物からなるフィルム。
  9. 請求項7に記載の架橋物からなる層を有する多層構造体。
  10. 請求項9に記載の多層構造体を有するレトルト容器。
  11. 請求項9に記載の多層構造体を有するパイプ。
  12. エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程、
    前記エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を得るけん化工程、及び
    エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と架橋剤(B)とを混合して混合物を得る混合工程を含む、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  13. エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程、
    前記エチレン−ビニルエステル共重合体をけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を得るけん化工程、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と架橋剤(B)とを混合して混合物を得る混合工程、及び
    前記混合工程で得られた前記混合物に活性エネルギー線を照射する架橋工程を含む、請求項7に記載の架橋物の製造方法。



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