JP5164530B2 - 皮革用マーキングセット - Google Patents
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Description
前記インキによる筆跡は、平滑面に筆記した場合であっても、擦過や水の付着により剥離されることがない定着性に優れたものである。そのため、誤って筆記した箇所や筆跡全体を変更したい場合に消去することができず、溶剤等で拭いた場合、皮革表面のワックスが剥離して皮革を傷めたり、着色剤が拡がって筆跡が滲んでしまうことがある。
これに対して、皮革への筆記が可能であり、形成した筆跡が水を用いて消去できる油性インキが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、前記特許文献2記載のインキは、耐水性に乏しいため、不用意に濡れた際に筆跡が滲んだり消えてしまうため、使用用途が室内で使用される皮革製品に限定される。
更には、前記メトキシプロパノールが、消去液全量中60重量%以上含有されることを用件とする。
前記顔料は、染料に比べて筆記時に皮革内に浸透し難いため、消去可能なインキに適した着色剤である。
具体的には、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムにアルミニウム等の金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、フィルム等の基材に形成したアルミニウム等の金属蒸着膜を剥離して得られる厚みが0.01〜0.1μmの金属顔料、金、銀、白金、銅から選ばれる平均粒子径が5〜30nmのコロイド粒子、蛍光顔料、蓄光性顔料、熱変色性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
前記顔料は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成物中3〜40重量%の範囲で用いられる。
前記物性の樹脂は、全樹脂成分のうち70重量%以上含有することにより、皮革への筆跡定着性と、消去液への溶解剥離性を満たすと共に、筆跡に水が付着した場合であっても、滲みや剥離を生じることのない筆跡が形成できる。
前記物性の樹脂としては、アルキルフェノール系、テルペンフェノール系、フェノール系、マレイン酸系、ケトン系、スチレン系等の樹脂が用いられ、具体的には、アルキルフェノール系樹脂として、ヒタノール1501〔日立化成工業(株)製〕、タマノル100S〔荒川化学工業(株)製〕、テルペンフェノール系樹脂として、YSポリスターS145、マイティエース〔以上、ヤスハラケミカル(株)製〕、フェノール系樹脂として、レジトップPS−2980〔群栄化学工業(株)製〕、マレイン酸系樹脂として、マルキードNo.33、アラスター700〔以上、荒川化学工業(株)製〕、ケトン系樹脂として、シンセティックレジンSK、シンセティックレジンAP〔以上、デグサ社製〕、スチレン系樹脂として、ピコラスチックA75〔イーストマンケミカルカンパニー社製〕等が例示できる。
具体的には、ケトン樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリメタクリル酸エステル、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物等が挙げられる。
前記有機溶剤は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成中35〜90重量%の範囲で用いられる。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
尚、前記マーキングペンは、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式のマーキングペンの他、ノック式、回転式、スライド式等の出没機構を有し、軸筒内にペン先を収容可能な出没式のマーキングペンであってもよい。
前記メトキシプロパノールは、皮革表面に塗布された天然ワックスに対して、溶解や剥離を生じることがなく、適度な乾燥性を備えているため、前記皮革表面に筆跡を形成した場合であっても、天然ワックスの皮膜を溶解、剥離することなく、インキのみを確実に消去できる。そのため、本願の皮革用マーキングセットを用いることにより、皮革を傷めることなく筆跡を消去でき、再筆記や再描画が可能となる。
その際、前記メトキシプロパノールが消去液全量中60重量%以上含有するように前記溶剤を添加することが好ましい。
これにより、消去液塗布時の乾燥性を筆跡消去に適した状態とすることができるため、筆跡が残ったまま消去液が乾燥することや、消去液が乾燥せずに皮革上に残ること等の不具合を生じることがなくなる。
その他必要に応じて香料等を添加することもできる。
(1)東洋アルミニウム(株)製、商品名:アルミニウムペースト0241M、アルミニウム含有量70%
(2)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストブラック3806
(3)ヤスハラケミカル(株)製、商品名:YSポリスターS145
〔25℃溶解度〕メトキシプロパノール;100g以上、水;5g以下
(4)荒川化学工業(株)製、商品名:マルキードNo.33
〔25℃溶解度〕メトキシプロパノール;100g以上、水;5g以下
(5)理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスチックA−75
〔25℃溶解度〕メトキシプロパノール;100g以上、水;5g以下
(6)積水化学工業(株)製、商品名:エスレックBM−1
〔25℃溶解度〕メトキシプロパノール;100g以上、水;5g以下
(7)群栄化学工業(株)製、商品名:レヂトップPS−2980
〔25℃溶解度〕メトキシプロパノール;100g以上、水;5g以下
(8)荒川化学工業(株)製、商品名:アルコンP−100
〔25℃溶解度〕メトキシプロパノール;5g以下、水;5g以下
(9)ニホンゼオン(株)製、商品名:クイントンA100
〔25℃溶解度〕メトキシプロパノール;5g以下、水;5g以下
(10)BASFジャパン(株)製、商品名:ルビテックK17
〔25℃溶解度〕メトキシプロパノール;100g以上、水;30g以上
前記実施例及び比較例の配合量で各原料を混合し、25℃で3時間撹拌溶解することにより油性インキ組成物を得た。
前記実施例及び比較例のインキ組成物を市販のマーキングペン(パイロットコーポレーション製;M−20PM)に充填することで、黒色、白色、黄色、銀色の油性マーキングペンを得た。
前記実施例及び比較例の配合量で各原料を混合、撹拌することにより消去液を得た。尚、得られた消去液は、ガラス瓶に収容してなる(消去液A〜E)。
各マーキングペンを用いて、白色の牛革と合皮の表面に三個連続して丸を書き、十分に乾燥させた後、筆跡部分を浸水させて、25℃で20時間放置した際の筆跡の状態を目視により観察した。
消去性試験
各マーキングペンを用いて、白色の牛革と合皮の表面に三個連続して丸を書き、十分に乾燥させた後、各セットの消去液に浸漬した綿棒で筆跡上を一往復擦った際の消去性を目視により観察した。
試験結果を以下の表に示す。
耐水性試験
○:筆跡に変化は見られない。
×:筆跡に剥離箇所が見られる。
消去性試験
○:筆跡が完全に剥離消去できる。
△:筆跡が皮革上に拡がり、一部が残存する。
×:筆跡が皮革内部に浸透する、もしくは、全く消去できない。
Claims (2)
- 顔料と樹脂と有機溶剤を含む油性インキ組成物を内蔵するマーキングペンと、前記マーキングペンによる筆跡を消去する消去液とからなる皮革用マーキングセットであって、前記消去液がメトキシプロパノールを全溶剤中の50重量%以上とすると共に、前記樹脂として、25℃におけるメトキシプロパノールへの溶解度が100g以上、且つ、水への溶解度が5g以下であるものを樹脂成分全量中70重量%以上含有することを特徴とする皮革用マーキングセット。
- 前記メトキシプロパノールが、消去液全量中60重量%以上含有される請求項1記載の皮革用マーキングセット。
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