JP5164233B2 - 歯科技工用作業模型 - Google Patents

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Description

この発明は、歯科補綴物等を製作する場合に用いる歯科技工用作業模型に関する。
歯科技工用作業模型は以下の行程で製作される。
(1)患者の口腔からとった印象に基づいて石膏で歯形模型を成形する。
(2)この歯形模型の下面を平坦に削って孔をあけ、孔に空気を噴射し、さらに加圧された水を噴射して清掃する。
(3)瞬間接着剤、速重レジンを使用して、ダウエルピンを孔に固着する。
(4)余分な石膏、接着剤、レジンを除去して成形する。
(5)歯形模型に回転防止溝を設ける。
(6)歯形模型の下面とダウエルピンの表面に離型剤を塗布し、予め石膏泥を充填した土台用シリコーンゴム型に押し込み、石膏ペーストが硬化した後、脱型して歯科技工用歯科技工用作業模型とする。
以上の方法で作業模型を製造するには、熟練と時間を要する手作業が多く、作業性が悪い欠点がある。この欠点を解消することを目的として、本発明者は、図1に示す歯科技工用作業模型を開発した。(特許文献1参照)
特開2000−245749号公報
この歯科技工用作業模型は、土台91の定位置に固定プレート92を連結している。固定プレート92の上には歯形模型94が固定される。固定プレート92を土台91の定位置に固定するために、固定プレート92の下面にダウエルピン93を固定している。土台91は、ダウエルピン93を脱着できるように挿入する連結穴95を設けている。
図1に示す歯科技工用作業模型は、石膏で制作される土台の製造に手間がかかってコストが高くなる欠点がある。それは、土台がシリコンゴムの成形型に石膏泥を充填して製作されるからである。また、石膏で全体を成形している土台は、全体の強度も充分でなく衝撃で割れたり破損しやすい欠点がある。本発明者は、このような欠点を解決することを目的に図2の歯科技工用作業模型を開発した。
図2の歯科技工用作業模型は、土台81をプラスチックで成形している。プラスチック製の土台81は均一に多量生産できる。この土台81は、図において上面である固定プレート82との対向面に連結凸部88を設けると共に、ダウエルピン83を抜き差しできる連結孔85を設けている。固定プレート82は、ダウエルピン83を土台81の連結穴85に挿入し、下面に設けている連結凹部89に連結凸部88を案内して、土台の定位置に連結される。
図2の歯科技工用作業模型は、土台を均一に多量生産できるが、固定プレートをスムーズに脱着しながら、高い精度で土台の定位置にしっかりと連結するのが難しい欠点がある。とくに、ダウエルピンをプラスチックピンとして、固定プレートをしっかりと土台の定位置に正確に連結するのが難しい。それは、石膏で成型される従来の土台のように、ダウエルピンを石膏泥に埋設して連結穴を成形できないからである。石膏の土台は、固定プレートをシリコンゴムの成形型の定位置に固定して、成形型に石膏泥を充填し、石膏を硬化させて製作されるので、連結穴はこれを挿入するダウエルピンで成形される。挿入するダウエルピンで成形された土台は、これを成形するのに使用されたダウエルピンと一対に使用される。
これに対して、プラスチック製の土台は、連結穴を、直接に挿入するダウエルピンではなく、金型に設けている成形ピンで成形されるので、挿入するダウエルピンに対して形状や位置に誤差ができる。このため、ダウエルピンを連結穴に挿入して固定プレートを土台に連結する状態で、固定プレートを土台の定位置にしっかりと連結するのが難しい。固定プレートの土台に対する位置ずれは、義歯の加工に著しく悪影響を与える。それは、固定プレートの位置がずれると、これに固定している歯形模型が位置ずれして、高い精度で歯形模型を加工できなくなるからである。
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、土台をプラスチックで均一に多量生産しながら、固定プレートを土台の定位置にしっかりと連結できる歯科技工用作業模型を提供することにある。
本発明の請求項1の歯科技工用作業模型は、歯形模型4が固定される固定プレート2と、この固定プレート2に一端を連結している複数本のダウエルピン3と、このダウエルピン3を介して脱着自在に連結されるプラスチック製の土台1とを備える。土台1は、固定プレート2を定位置に固定する複数の柱状凸部6を固定プレート2との対向面の側部に突出して、かつ、側縁から内側に離れて設けている。さらに、この土台1は、長手方向に沿って中央部に所定の間隔離してダウエルピン3を抜き差しできる連結穴5を設けている。固定プレート2は、土台1の柱状凸部6を嵌着する柱状凹部7を土台1との対向面の側部に、側縁から内側に離れて設けている。さらに、この固定プレート2は、長手方向に沿って中央部に所定の間隔離してダウエルピン3を固定している。土台1は、全体をプラスチックで成形して、固定プレート2を連結する平面プレート10の周囲に周壁11を連結する形状に成形されて、平面プレート10の表面である固定プレート2との対向面の側部に、固定プレート2を定位置に固定する複数の柱状凸部6を、対向面から突出して、かつ、側縁から内側に離して設けている。さらに、土台1は、平面プレート10の内面に突出するように筒体12を一体的に成形して設けて、この筒体12の内側に連結穴5を設け、連結穴5を設ける部分に筒体12を突出して設けている。歯科技工用作業模型は、ダウエルピン3を連結穴5に挿入すると共に、柱状凸部6を柱状凹部7に挿入して、中央部のダウエルピン3と側部の柱状凸部6の両方で固定プレート2を土台1の定位置に連結している。
本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、請求項1に記載される歯科技工用作業模型であって、土台1が、固定プレート2との対向面の両側部に複数の柱状凸部6を設けると共に、両側部の柱状凸部6の中間に連結穴5を設けており、さらに、固定プレート2が、土台1との対向面の両側部に柱状凹部7を設けると共に、両側部の柱状凹部7の中間にダウエルピン3を設けている。
本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、請求項1に記載される歯科技工用作業模型であって、土台1が、固定プレート2との対向面に、柱状凸部6に加えて、先端に向かって窄み形状の先窄み凸部8を設けている。さらに、本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、土台1が、柱状凸部6の外側に先窄み凸部8を設けている。
さらに、本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、請求項に記載される歯科技工用作業模型であって、先窄み凸部8の上面を中央凸の湾曲面としている。
本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、請求項に記載される歯科技工用作業模型であって、柱状凸部6と柱状凹部7を円柱状としている。
本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、請求項に記載される歯科技工用作業模型であって、柱状凸部6を、ダウエルピン3の横断面積に対して50%〜200%の柱状としている。
本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、請求項に記載される歯科技工用作業模型であって、ダウエルピン3を、横断面形状を非円形とする先細りテーパー状のプラスチックピンとしている。
本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、請求項に記載される歯科技工用作業模型であって、柱状凸部6を各々のダウエルピン3の両側に配設して、柱状凸部6の数をダウエルピン3の数の1〜4倍としている。
さらに、本発明の請求項10の歯科技工用作業模型は、請求項に記載される歯科技工用作業模型であって、歯科技工用作業模型を、部分の歯科技工用作業模型としている。この歯科技工用作業模型は、両側部に柱状凸部6を設けて、両側部の柱状凸部6の中間にダウエルピン3を配置している。
さらに、本発明の請求項11の歯科技工用作業模型は、請求項に記載される歯科技工用作業模型であって、歯科技工用作業模型を全顎の歯科技工用作業模型としている。この歯科技工用作業模型は、片側部に沿って柱状凸部6を設けている。
本発明の請求項1の歯科技工用作業模型は、土台をプラスチックで均一に多量生産しながら、固定プレートを土台の定位置にしっかりと連結できる特徴がある。それは、本発明の歯科技工用作業模型が、土台と固定プレートとの対向面の側部に、互いに嵌着できる複数の柱状凸部と柱状凹部を側縁から離れて設けると共に、土台と固定プレートの長手方向に沿って中央部に所定の間隔離して、ダウエルピンと、このダウエルピンを挿入する連結穴を配設しており、ダウエルピンを連結穴に、柱状凸部を柱状凹部に挿入して、固定プレートをプラスチック製の土台の定位置に連結するからである。すなわち、本発明の歯科技工用作業模型は、複数のダウエルピンを連結穴に挿入することに加えて、対向面の側部に設けている複数の柱状凸部を柱状凹部に嵌着して固定プレートを土台の定位置に連結する。とくに、柱状凸部と柱状凹部を対向面の側縁から離して設ける構造は、柱状凸部の外周面を柱状凹部の内周面に密着させて、固定プレートと土台との位置ずれを防止して正確な位置に連結する。
とくに、図7と図8に示すように、ダウエルピン3の左右の両側で切断された分割模型20は、中央部のダウエルピン3と側部の柱状凸部6の両方で土台1に連結されることから、義歯を加工する切り離し状態において、定位置に正確に確実に土台1に連結される。歯科技工用作業模型は、支台歯模型22に装着される歯冠補綴物21をレジンや金属で作成するが、このときに支台歯模型22の左右にある歯牙模型4Aが邪魔になるので、左右の歯牙模型4Aが邪魔にならないようにするために左右の歯牙模型4Aとの境界部分である両側を切断して分割模型20を作る。分割模型20は、歯冠補綴物21を製作する部分を隣接部分から分離できるようにしたものである。分割模型20は、図3と図7に示すように、歯科技工用作業模型の歯形模型4と固定プレート2とを所定の位置で切断して製作される。歯形模型4と固定プレート2は、歯冠補綴物21を製作する部分の左右両側であって、互いに隣接するダウエルピン3の間で切断される。この分割模型20は、図8に示すように、中央部のダウエルピン3と側部の柱状凸部6を介して、土台1の定位置に脱着自在に装着される。ダウエルピン3とその側部の柱状凸部6の両方で土台1に連結される分割模型20は、位置ずれしないようにしっかりと定位置に土台1に連結される。
また、土台の側部に設けている複数の柱状凸部や柱状凹部は、土台を成形する金型で簡単かつ容易に設けることができる。このため、固定プレートを正確に土台の定位置にしっかりと連結しながら、製造コストが高くなることはない。
さらに、本発明の請求項2の歯科技工用作業模型は、土台と固定プレートの対向面の両側部に、互いに嵌着できる複数の柱状凸部と柱状凹部を設けると共に、柱状凸部と柱状凹部の中間部にダウエルピンを配設して、ダウエルピンを連結穴に、柱状凸部を柱状凹部に挿入して、固定プレートをプラスチック製の土台の定位置に連結する。このように、ダウエルピンの両側部において、複数の柱状凸部を柱状凹部に嵌着する連結構造は、固定プレートと土台との位置ずれを防止して正確な位置にしっかりと連結する。
さらに、本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、請求項1の構成に加えて、土台が、固定プレートとの対向面に、柱状凸部に加えて、先端に向かって窄み形状の先窄み凸部を設けており、請求項の歯科技工用作業模型は、柱状凸部の外側に先窄み凸部を設けている。これらの歯科技工用作業模型は、柱状凸部と先窄み凸部の両方で固定プレートを土台の正確な位置に連結できる。とくに、柱状凸部を柱状凹部に挿入して固定プレートを土台にしっかりと連結でき、先窄み凸部を先窄み凹部に案内して固定プレートを土台の定位置に案内しながらスムーズに連結できる。
さらに、本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、柱状凸部と柱状凹部を円柱状としている。この歯科技工用作業模型は、円柱状の柱状凸部を円柱状の柱状凹部にスムーズに挿入しながら、両側部の柱状凸部と柱状凹部でもって、固定プレートをしっかりと土台に連結できる。
さらに、本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、柱状凸部をダウエルピンの横断面積に対して50%〜200%の柱状としているので、ダウエルピンの側部に設けている柱状凸部でもって固定プレートをしっかりと土台に連結できる。とくに、ダウエルピンよりも太い柱状凸部は、固定プレートを土台の定位置に確実に位置ずれしないように連結できる。
さらに、本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、ダウエルピンの横断面形状を非円形として、先細りテーパー状のプラスチックピンとする。この歯科技工用作業模型は、ダウエルピンをプラスチックで多量生産しながら、ダウエルピンでもって固定プレートをしっかりと土台に連結できる。
さらにまた、本発明の請求項の歯科技工用作業模型は、各々のダウエルピンの側部に柱状凸部を配設して、柱状凸部の数をダウエルピンの数の1〜4倍としている。とくに、柱状凸部をダウエルピンの両側に設けている歯科技工用作業模型は、図8に示すように、分割模型20をしっかりと土台1の定位置に連結できる。それは、隣接するダウエルピンの間で切断して分割模型とすることから、各々のダウエルピンの両側に柱状凸部を設けている歯科技工用作業模型は、分割模型20がダウエルピン3とその両側の柱状凸部6で土台1に連結されるからである。すなわち、分割模型20は、ダウエルピン3とその両側にある2個の柱状凸部6で土台1にしっかりと連結される。
さらに、本発明の請求項10の歯科技工用作業模型は、部分の歯科技工用作業模型として、両側部に柱状凸部を設けて、両側部の柱状凸部の中間にダウエルピンを配置している。この歯科技工用作業模型は、部分の歯形模型が固定される固定プレートを、両側部にある柱状凸部と中間部にあるダウエルピンとで、土台の定位置にしっかりと連結できる。
さらにまた、本発明の請求項11の歯科技工用作業模型は、全顎の歯科技工用作業模型として、片側部に沿って柱状凸部を設けている。この歯科技工用作業模型は、全顎の歯形模型が固定される固定プレートを、片側部に沿って設けた柱状凸部と、中央部にあるダウエルピンとで、土台の定位置にしっかりと連結できる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための歯科技工用作業模型を例示するものであって、本発明は歯科技工用作業模型を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図3ないし図8に示す歯科技工用作業模型は、歯形模型4が固定される固定プレート2と、この固定プレート2に一端を連結している複数本のダウエルピン3と、このダウエルピン3を介して脱着自在に連結されるプラスチック製の土台1とを備える。
歯形模型4は、固定プレート2の表面に接着して固定される。図の歯科技工用作業模型は、細長い歯形模型4を固定できるように、固定プレート2と土台1の平面形状を細長い形状としている。複数の歯牙模型4Aを備える歯形模型4は、図3の鎖線で示すように、歯牙模型4Aの境界で切断されて分割模型20となる。切断された分割模型20を独立して土台1に連結できるように、歯形模型4を固定する固定プレート2は、複数のダウエルピン3を介して土台1に連結される。したがって、好ましくは、ダウエルピン3が各々の歯牙模型4Aの下方に配置されるように、歯形模型4を固定プレート2に接着して固定する。歯形模型4を固定する状態で、固定プレート2と歯形模型4とを切断して分割模型20とする。
土台1は、全体をプラスチックで成形している。プラスチック製の土台1は、図3と図4の断面図に示すように、固定プレート2を連結する平面プレート10の周囲に周壁11を連結する形状に成形される。この土台1は、図5に示すように、平面プレート10の表面、すなわち固定プレート2との対向面の側部に、固定プレート2を定位置に固定する複数の柱状凸部6を、対向面から突出して、かつ、側縁から内側に離して設けている。さらに、土台1は、長手方向に沿って中央部に所定の間隔離してダウエルピン3を抜き差しできる連結穴5を設けている。図の土台1は、細長い平面プレート10の両側部に一定の間隔で柱状凸部6を設けて、両側部の柱状凸部6の中間に、長手方向に沿ってダウエルピン3の連結穴5を設けている。ただ、土台は、対向面の片側部に沿って柱状凸部を設けることもできる。土台1は、所定の間隔で複数の柱状凸部6と連結穴5を設けている。この土台1は、ダウエルピン3が連結穴5に挿入され、また、各々の柱状凸部6を固定プレート2の柱状凹部7に挿入して、固定プレート2が脱着できるように連結される。したがって、柱状凸部6と連結穴5は、各々の歯牙模型4Aの下方に位置するように、土台1の対向面に設けられる。
図の土台1は、平面プレート10の表面である対向面の両側に各々5個の柱状凸部6を設けると共に、各々の柱状凸部6の間に5個の連結穴5を設けている。すなわち、各々の連結穴5の両側に一対の柱状凸部6を設けて、柱状凸部6の数を、ダウエルピン3の数の2倍としている。この構造は、固定プレート2と歯形模型4とを切断してなる分割模型20を、図8に示すように、ダウエルピン3とその両側の柱状凸部6で、土台1の定位置に確実に連結できる。ただ、本発明の歯科技工用作業模型は、ダウエルピンの側部に配設する柱状凸部の数を、ダウエルピンの数の1〜4倍とすることもできる。たとえば、歯科技工用作業模型は、土台と固定プレートの対向面の両側に各々ダウエルピンの数の2倍の柱状凸部を設けて、柱状凸部全体の数を、ダウエルピンの数の4倍とすることもできる。さらに、本発明の歯科技工用作業模型は、必ずしも対向面の両側部にのみ柱状凸部を設ける必要はなく、互いに隣接するダウエルピンの間に位置して柱状凸部を設けることもできる。図9に示す土台1は、対向面の両側部に加えて、長手方向の中央部に沿って、ダウエルピンを挿入する連結穴5の左右にも柱状凸部6を設けている。すなわち、この図の土台1は、ダウエルピン3を挿入する連結穴5の四方に柱状凸部6を設けている。この構造は、固定プレート2をよりしっかりと土台1の定位置に連結できる。とくに、分割模型をダウエルピン3とその四方の柱状凸部6で土台1にしっかりと連結できる。
柱状凸部6は、固定プレート2に設けた柱状凹部7にスムーズに挿入できる円柱状としている。さらに、柱状凸部6は、固定プレート2をしっかりと定位置に連結できるように、ダウエルピン3の横断面積に対して50%〜200%の柱状としている。柱状凸部6は、好ましくは外径を4mmφ、対向面から突出する高さ2mmとする円柱状とする。ただし、本発明の歯科技工用作業模型は、柱状凸部を円柱状に特定せず、たとえば多角柱状、楕円柱状などとすることもできる。また、柱状凸部の外径は、ダウエルピンの横断面積に対して50%〜200%とすることができ、また、高さも1mm〜5mmとすることができる。
さらに、図5の土台1は、連結穴5の両側に柱状凸部6を設けて、この柱状凸部6のさらに外側に、先端に向かって窄み形状の先窄み凸部8を設けている。先窄み凸部8は、上面を中央凸の湾曲面としている。とくに、図の先窄み凸部8は、柱状凸部6から外側に伸びる凸条としている。柱状凸部6に加えて先窄み凸部8を設ける土台1は、先窄み凸部8を柱状凸部6よりも低くして、柱状凸部6で固定プレート2を確実に連結できる構造とする。さらに、先窄み凸部8は、その幅を柱状凸部6の外径にほぼ等しくして、固定プレート2を確実に定位置に案内する。
連結穴5は、ダウエルピン3を隙間なく挿入できる形状であって、各々のダウエルピン3を挿入できる位置に設けている。ダウエルピン3は、固定プレート2に直交する姿勢で固定しているので、連結穴5は、平面プレート10に直交して土台1に設けている。土台1は、図6の底面からみた分解斜視図に示すように、平面プレート10の内面に突出するように筒体12を一体的に成形して設けて、この筒体12の内側に連結穴5を設けている。したがって、土台1は、連結穴5を設ける部分に筒体12を突出して設けている。筒体12は、土台1に一体的に成形される補強リブ13に連結されて、補強リブ13で補強される。図の土台1は、横補強リブ13Aで筒体12を周壁11の内面に連結して、縦補強リブ13Bで隣接する筒体12を連結している。この土台1は、筒体12を変形しないように平面プレート10に連結する。したがって、筒体12の連結穴5に挿入されるダウエルピン3をしっかりと定位置に連結する。
さらに、連結穴5は、図3と図4に示すように、筒体12を上下に貫通して両端を開口している。この連結穴5は、内部にゴミ等が侵入しても通過させて排出できるので、内部に侵入したゴミ等が除去できなくなるのを確実に防止できる。さらに、図の土台1は、ダウエルピン3の全長を連結穴5の全長よりも長くして、挿入されるダウエルピン3の先端を、下端の開口部から突出させる状態で連結している。連結穴5の下端から先端が突出するダウエルピン3は、突出部を下側から押し上げて、連結穴5から楽に取り外しできる特徴もある。
連結穴5は、横断面形状を非円形としている。図に示す連結穴5は、その内形をダウエルピンの外形に沿う形状としている。図のダウエルピン3は、先端に向かって次第に細くなる先細りテーパー状としているので、図の連結穴5は、先細りテーパー状に成形している。この形状の連結穴5は、ダウエルピン3を連結穴5の内面に密着する状態で、スムーズに抜き差しできる。
さらに、図の土台1は、上面の中央部に、固定プレート2と同じ外形の段差凸部14を設けて、この段差凸部14に柱状凸部6と先窄み凸部8を設けている。この構造の土台1は、固定プレート2を歯牙模型4Aの間でさらに簡単に切断できる。それは、土台1の上面から突出する段差凸部14を、固定プレート2の下部の一部と同じようにして切断できるからである。したがって、段差凸部14は、好ましくは固定プレート2の外形に等しい外形に成形される。ただ、段差凸部の外形は、固定プレートの外形よりも大きく、あるいは小さく、あるいはまた異なる形状とすることもできる。
さらに、図の土台1は、上面の外周縁部であって、段差凸部14の外側に、ダウエルピン3と柱状凸部6の位置を示すマーク15を設けている。図に示すマーク15は、上面の外周縁を切り欠いた凹部である。ただ、マークは、凸部や凸条、あるいは溝とすることもできる。このように、マーク15を設けた土台1は、分割模型20を作るときに、ダウエルピン3や柱状凸部6の位置を参考にしながら、最適な位置で歯形模型4と固定プレート2を切断できる。
固定プレート2は、全体を石膏で製作して、特定の決められた位置にダウエルピン3を固定している。ただ、固定プレートは、全体をプラスチックで製作することもできる。プラスチック製の固定プレートは、石膏粉などの無機粉末を充填することができる。無機粉末を充填してなるプラスチックで製作される固定プレートは、寸法精度と強度を高めながら、分割模型を製作するときに、切断を容易にできる。図の固定プレート2は、上面を平面状として、この面に歯形模型4を固定している。図の固定プレート2は、所定の厚さを有する板状で、土台1の段差凸部14とほぼ等しい外形としている。
さらに、固定プレート2は、図6に示すように、その下面であって、土台1との対向面の側部に、土台1の柱状凸部6を嵌着する柱状凹部7を、側縁から内側に離して設けている。さらに、固定プレート2は、長手方向に沿って中央部に所定の間隔離してダウエルピン3を固定している。図の固定プレート2は、土台1との対向面の両側部に一定の間隔で柱状凹部7を設けて、両側部の柱状凹部7の中間に、長手方向に沿ってダウエルピン3を固定している。ただ、対向面の片側部に沿って柱状凸部を設けた土台に連結される固定プレートは、土台の柱状凸部と対向する片側部に沿って柱状凹部を設けることもできる。
固定プレート2は、所定の間隔で複数の柱状凹部7を設けると共に、所定の間隔で複数のダウエルピン3を固定している。固定プレート2の柱状凹部7は、土台1に設けた柱状凸部6を挿入できるように、柱状凸部6と対向する位置に設けている。この固定プレート2は、各々のダウエルピン3を連結穴5に挿入する状態で、各々の柱状凹部7に土台1の柱状凸部6が嵌入されて、土台1に脱着できるように連結される。とくに、柱状凸部6と柱状凹部7を対向面の側縁から離して設ける構造は、柱状凸部6の外周面を柱状凹部7の内周面に密着させてしっかりと連結できる。図の土台1は、固定プレート2との対向面の両側に各々5個の柱状凸部6を設けて、各々の柱状凸部6の間に5個の連結穴5を設けている。したがって、固定プレート2は、土台1との対向面の両側に各々5個の柱状凹部7を設けて、各々の柱状凹部7の間に5本のダウエルピン3を固定している。すなわち、固定プレート2は、各々のダウエルピン3の両側に一対の柱状凹部7を設けている。ただ、固定プレートに設ける柱状凹部の位置及び個数は、これを連結する土台の対向面に設けた柱状凸部に対向する位置及び個数とすることができる。したがって、固定プレートに設ける柱状凹部の位置と個数は、土台に設ける柱状凸部に応じて種々に変更できる。
柱状凹部7は、柱状凸部6をスムーズに挿入できるように、柱状凸部6の外形に沿う柱状としている。図の土台1は、柱状凸部6を円柱状としているので、固定プレート2に設ける柱状凹部7も円柱状としている。この形状の柱状凹部7は、柱状凸部6を挿入する状態で、固定プレート2をしっかりと定位置に連結できる。ただし、本発明の歯科技工用作業模型は、柱状凸部を円柱状に特定しないので、柱状凹部の形状も円柱状に特定しない。柱状凹部の形状は、柱状凸部の形状に応じて種々に変更することができる。
さらに、固定プレート2は、柱状凹部7の外側に先窄み凹部9を設けている。固定プレート2は、先窄み凸部8を案内する位置に先窄み凹部9を設けている。この先窄み凹部9は、土台1に設けた中央凸の先窄み凸部8に沿う形状としている。図の先窄み凹部9は、底面を中央凹の湾曲面として、柱状凹部7から外側に伸びる溝状としている。固定プレート2は、先窄み凹部9を柱状凹部7よりも浅くして、柱状凸部6を柱状凹部7に挿入して、土台1に確実に連結できる構造としている。さらに、先窄み凹部9は、その幅を柱状凹部7の外径にほぼ等しくして、固定プレート2を確実に土台1の定位置に案内できるようにしている。
ダウエルピン3は、固定プレート2に直交する姿勢であって、上端を固定プレート2に固定している。各々のダウエルピン3は、所定の間隔で、互いに平行な姿勢で固定プレート2に固定されている。ダウエルピン3は、図3のと図4に示すように、上端部を固定プレート2に埋設して、ピン本体を固定プレート2の下面から突出する状態で固定している。固定プレート2に埋設されるダウエルピン3は、図3と図4に示すように、上端部に鍔16を設けている。このダウエルピン3は、鍔16を固定プレート2に埋設して、抜けない構造で固定プレート2に固定される。
ダウエルピン3は、プラスチックを所定の形状に成形してなるプラスチックピンである。ただ、ダウエルピンは、金属ピンとすることもできる。さらに、ダウエルピン3は、連結穴5にスムーズに挿入できるように、先端を細くする先細りテーパー状としている。また、ダウエルピン3は、連結穴5に入れて回転しないように、断面図形状を非円形としている。図に示すダウエルピンは、2本の円柱を谷間17ができるように平行に連結して、その外形を非円形としている。この形状のダウエルピン3は、連結穴5の対向面に形成される山形凸条18を2本の円柱を谷間17に案内して、位置ずれしないように確実に連結穴5に連結できる。
ダウエルピン3を所定の位置に固定する固定プレート2は、図示しないが、ダウエルピンを所定の位置に固定してなる金型に石膏またはプラスチックを充填して、ダウエルピンの鍔を石膏またはプラスチックに埋設して製作される。ただ、固定プレートは、土台を成形金型に併用して製作することもできる。この方法は、例えば、図10に示すように、連結穴5にダウエルピン3を挿入した土台1の段差凸部14の外周縁に沿って、固定プレート2を成形する石膏またはプラスチックを充填して成形するための成形周壁19を設けることで実現できる。この成形周壁19は、土台1の段差凸部14の外周面に沿って、筒状のシート材を被着して設けることができ、あるいは、土台を成形するプラスチックで、一体成形して設けることもできる。土台の段差凸部に連結される成形周壁は、段差凸部との境界に切り離し部を設けて、固定プレートを成形後に除去することもできる。
以上の構造の歯科技工用作業模型は、固定プレート2のダウエルピン3を土台1の連結穴5に挿入し、さらに、土台1の柱状凸部6を固定プレート2の柱状凹部7に挿入し、さらに、土台1の先窄み凸部8を固定プレート2の先窄み凹部9に案内して、固定プレート2を土台1の定位置に連結する。すなわち、図の歯科技工用作業模型は、断面形状と非円形状とするダウエルピン3と連結穴5の連結構造と、ダウエルピン3の両側に設けた柱状凸部6と柱状凹部7の嵌着構造と、さらに、柱状凸部6と柱状凹部7の外側に設けた先窄み凸部8と先窄み凹部9の連結構造の相乗効果で、固定プレート2を土台1の定位置にスムーズに案内しながら、固定プレート2と土台1との位置ずれを防止して正確な位置にしっかりと連結できる。ただ、本発明の歯科技工用作業模型は、必ずしも土台と固定プレートの対向面に先窄み凸部と先窄み凹部を設ける必要はない。図9に示す歯科技工用作業模型は、土台の両側部に柱状凸部を設けて、固定プレートの両端部に柱状凹部(図示せず)を設けている。この歯科技工用作業模型は、固定プレート2のダウエルピン3を土台1の連結穴5に挿入し、さらに、土台1の柱状凸部6を固定プレート2の柱状凹部7に挿入して固定プレート2を土台1の定位置に連結する。
さらに、歯科技工用作業模型は、図11ないし図13に示す構造とすることもできる。ただし、これ等の歯科技工用作業模型は本発明の実施例にかかるものではない。これらの図に示す歯科技工用作業模型は、土台1が、固定プレート2との対向面の側部に、固定プレート2を定位置に固定する複数の柱状凹部7を側縁から内側に離れて設けており、固定プレート2が、土台1との対向面の側部に、土台1の柱状凹部7に挿入される柱状凸部を、対向面から突出して、かつ、側縁から内側に離れて設けている。とくに、図に示す歯科技工用作業模型は、土台1の上面の両側部に中央凹部7を設けて、この柱状凹部7に挿入される柱状凸部6を、固定プレート2の下面の両側部に設けている。なお、これらの図において、前述の実施例と同じ構成要素については、同符号を付してその詳細な説明を省略している。
図11ないし図13に示す土台1は、固定プレート2を定位置に固定する複数の柱状凹部7を固定プレート2との対向面の両側部に設けており、両側部の柱状凹部7の中間にダウエルピン3を抜き差しする連結穴5を設けている。すなわち、連結穴5の両側に、一対の柱状凹部7を設けている。土台1の柱状凹部7は、固定プレート2に設けた柱状凸部6を挿入できるように、柱状凸部6と対向する位置に設けている。この土台1は、各々のダウエルピン3を連結穴5に挿入する状態で、各々の柱状凹部7に固定プレート2の柱状凸部6が嵌入されて、固定プレート2が脱着できるように連結される。さらに、図の土台1は、柱状凹部7の外側に、先窄み凹部9を設けている。土台1は、固定プレート2に設けた先窄み凸部8を案内する位置に先窄み凹部9を設けている。この先窄み凹部9は、固定プレート2に設けた中央凸の先窄み凸部8に沿う形状としている。図の先窄み凹部9は、底面を中央凹の湾曲面として、柱状凹部7から外側に伸びる溝状としている。
さらに、図11ないし図13に示す固定プレート2は、その下面であって、土台1との対向面の両側部に、複数の柱状凸部6を突出して設けて、両側部の柱状凸部6の中間にダウエルピン3を固定している。すなわち、ダウエルピン3の両側に、一対の柱状凸部6を設けている。固定プレート2の柱状凸部6は、土台1に設けた柱状凹部7に挿入できるように、柱状凹部7と対向する位置に設けている。この固定プレート2は、各々のダウエルピン3を連結穴5に挿入する状態で、各々の柱状凸部6を土台1の柱状凹部7に嵌入して、土台1に脱着できるように連結される。さらに、図の固定プレート2は、柱状凸部6の外側に、先窄み凸部8を設けている。固定プレート2は、土台1に設けた先窄み凹部9と対向する位置に先窄み凸部8を設けている。この先窄み凸部8は、上面を中央凸の湾曲面として、柱状凸部6から外側に伸びる凸条としている。
以上の構造の歯科技工用作業模型は、図11に示すように、固定プレート2のダウエルピン3を土台1の連結穴5に挿入し、さらに、固定プレート2の柱状凸部6を土台1の柱状凹部7に挿入し、さらに、固定プレート2の先窄み凸部8を土台1の先窄み凹部9に案内して、固定プレート2を土台1の定位置に連結する。この歯科技工用作業模型も、各々のダウエルピンの両側に柱状凸部6を設けているので、分割模型20を、ダウエルピン3とその両側にある2個の柱状凸部6で土台1にしっかりと連結できる。
以上の実施例の歯科技工用作業模型は、部分の歯科技工用作業模型を示している。とくに、図に示す部分の歯科技工用作業模型は、臼歯部の歯科技工用作業模型を示している。したがって、これらの臼歯部の歯科技工用作業模型は、土台、固定プレート及び歯形模型を、臼歯部に沿う形状としている。ただ、部分の歯科技工用作業模型は、前歯部の歯科技工用作業模型とすることもできる。前歯部の歯科技工用作業模型は、図示しないが、土台、固定プレート及び歯形模型を前歯部に沿う形状として製作される。部分の歯科技工用作業模型は、以上の実施例に示すように、両側部に柱状凸部6を設けて、両側部の柱状凸部6の中間にダウエルピン3を配置して、固定プレート2を土台1の定位置にしっかりと連結できる。
さらに、本発明の歯科技工用作業模型は、全顎の歯科技工用作業模型とすることもできる。全顎の歯科技工用作業模型は、土台、固定プレート及び歯形模型を全顎に沿う形状として製作される。全顎の歯科技工用作業模型の一例を図14に示し、この歯科技工用作業模型の土台の平面図と斜視図を図15と図16に示す。これらの図に示す土台1は、全体の形状を半楕円形状としており、その上面に半楕円形状の湾曲部に沿う馬蹄形の固定プレート2を脱着自在に連結している。固定プレート2には全顎の歯形模型4を固定している。なお、これらの図において、前述の実施例と同じ構成要素については、同符号を付してその詳細な説明を省略している。
図15と図16に示す土台1は、半楕円形状の湾曲部に沿って、固定プレート2と同じ外形の段差凸部14を上面から突出して設けている。この土台1は、段差凸部14の上面を固定プレート2との対向面として固定プレート2を連結している。土台1は、湾曲する段差凸部14の長手方向に沿って中央部に所定の間隔離して、ダウエルピン3を抜き差しできる連結穴5を設けている。図に示す土台1は、複数の連結穴5の間隔を、前歯部から臼歯部に向かって次第に大きくすると共に、複数の連結穴5の開口面積を、前歯部から臼歯部に向かって次第に大きくしている。この土台1は、図示しないが、固定プレート2に固定される複数のダウエルピン3の間隔と断面積を、前歯部から臼歯部に向かって次第に大きくして、固定プレート2を土台1にしっかりと連結できる。ただ、複数のダウエルピンは、全てを同じ太さとして、土台に設ける連結穴を全て同じ開口面積とすることもできる。
さらに、図に示す土台1は、対向面の片側部に沿って柱状凸部6を設けている。図の土台1は、湾曲する対向面の外側の側部に、複数の柱状凸部6を対向面から突出して、かつ、側縁から内側に離して設けている。図の土台1は、連結穴5と同数の柱状凸部6を、所定の間隔で設けている。図の土台1は、前歯部から臼歯部に向かって連結穴5の間隔を大きくしているので、隣接する柱状凸部6の間隔も、前歯部から臼歯部に向かって次第に大きくしている。このように、連結穴5と柱状凸部6の間隔を、前歯部から臼歯部に向かって次第に大きくする土台1は、連結穴5と柱状凸部6を、全顎の歯形模型4の各々の歯牙模型4Aの下方に位置するように配置できる。ただ、柱状凸部の間隔と個数は、必ずしも連結穴に対応させる必要はなく、種々に変更することもできる。さらに、図の土台1は、柱状凸部6の外側に、柱状凸部6よりも低い先窄み凸部8を設けている。先窄み凸部8は、上面を中央凸の湾曲面として、柱状凸部6から外側に伸びる凸条としている。図の土台1は、先窄み凸部8の幅を柱状凸部6の外径よりも大きくして、固定プレート2を土台の定位置に案内している。
以上の土台1に連結される固定プレート2は、土台1との対向面の側部に、土台1の柱状凸部6が挿入される柱状凹部7を、側縁から内側に離れて設けている。図の土台1は、対向面の片側部に沿って柱状凸部6を設けているので、固定プレート2も、対向面の片側部に沿って、すなわち、柱状凸部6と対向する側部に柱状凹部7を設けている。さらに、固定プレート2は、土台1に設けた先窄み凸部8を案内する位置に、先窄み凹部9を設けている。この先窄み凹部9は、土台1に設けた中央凸の先窄み凸部8に沿う形状としている。
以上の構造の全顎の歯科技工用作業模型は、図14に示すように、固定プレート2のダウエルピン3を土台1の連結穴5に挿入し、さらに、土台1の片側部に設けた柱状凸部6を固定プレート2の柱状凹部7に挿入し、さらに、土台1の先窄み凸部8を固定プレートの先窄み凹部9に案内して、固定プレート2を土台1の定位置に連結する。この歯科技工用作業模型は、全顎の歯形模型に沿う形状の固定プレートを、複数のダウエルピンと片側部に設けた柱状凸部6とで、土台1の定位置にしっかりと連結できる。
以上の歯科技工用作業模型は、以下のようにして製造される。
(1)土台1をプラスチックで成形する。土台1は、金型に溶融プラスチックを充填して、所定の形状に成形される。土台1を成形するプラスチックは、たとえば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ウレタン樹脂等である。
(2)固定プレート2を成形する。固定プレート2は、石膏またはプラスチックで製作する。固定プレートは、図示しないが、ダウエルピンを所定の位置に配置した金型に、固定プレートを成形する石膏泥または溶融プラスチックを注入して製作し、あるいは、図10に示すように、連結穴5にダウエルピン3を挿入した土台1の段差凸部14の外周に沿って設けた成形周壁19の内側に、固定プレートを成形する石膏泥または溶融プラスチックを充填して製作する。
石膏泥またはプラスチックを硬化させた後、ダウエルピンが埋設された固定プレートを金型あるいは土台から脱型する。
(3)固定プレート2の上面に歯形模型4を接着して固定する。ただ、図10に示すように、成形周壁19の内側に石膏泥または溶融プラスチックを注入して固定プレートを製作する方法は、固定プレートを成形する工程で、石膏泥または溶融プラスチックの上に歯形模型を配置して、固定プレートに歯形模型を固定することもできる。
以上のようにして製造される歯科技工用作業模型は、以下のようにして種々の歯冠補綴物の製作に使用される。
(1)歯科医は、患者から印象を取る前に、歯冠補綴物を設ける部分の歯を、予め削って支台歯としている。したがって、歯科技工用作業模型の歯形模型4は、歯冠補綴物21を製作する部分に、支台歯模型22が形成されている。
(2)技工士は、歯科技工用作業模型の支台歯模型22に装着される歯冠補綴物21をレジンや金属で作成するが、このときに支台歯模型22の両側にある歯牙模型4Aが邪魔になる。両側の歯牙模型4Aが邪魔にならないようにするために分割模型20を作る。分割模型4は、歯冠補綴物21を製作する部分を隣接部分から分離できるようにしたものである。
(3)分割模型20は、図3と図7に示すように、歯科技工用作業模型の歯形模型4と固定プレート2とを所定の位置で切断して製作される。歯形模型4と固定プレート2は、歯冠補綴物21を製作する部分の両側であって、ダウエルピン3の左右両側で切断される。この分割模型4は、図8に示すように、ダウエルピン3と柱状凸部6を介して、土台1の定位置に脱着自在に装着される。
(4)この状態で製作された分割模型20を使用して、支台歯模型22に装着される歯冠補綴物21をレジンや金属で作成する。支台歯模型22を土台1から分割できる分割模型20は、隣接する歯牙模型4Aとの境界であっても能率よく正確に加工できるので、能率よく歯冠補綴物21が製作できる。
本発明者が先に開発した歯科技工用作業模型の正面図である。 本発明者が先に開発した他の歯科技工用作業模型の分解斜視図である。 本発明の一実施例にかかる歯科技工用作業模型の垂直縦断面図である。 図3に示す歯科技工用作業模型のA−A線断面図である。 図3に示す歯科技工用作業模型の分解斜視図である。 図5に示す歯科技工用作業模型を下側から見た分解斜視図である。 図3に示す歯科技工用作業模型から分割模型を取り外す状態を示す分解斜視図である。 図4に示す歯科技工用作業模型から分割模型を取り外す状態を示す分解断面図である。 本発明の他の実施例にかかる歯科技工用作業模型の分解斜視図である。 固定プレートを製作する一例を示す斜視図である。 科技工用作業模型の参考例を示す垂直横断面図である。 図11に示す歯科技工用作業模型の分解斜視図である。 図11に示す歯科技工用作業模型を下側から見た分解斜視図である。 本発明の他の実施例にかかる歯科技工用作業模型の垂直断面図であって、図15に示す図のA−A線断面に相当する図である。 図14に示す歯科技工用作業模型の土台の平面図である。 図14に示す土台の斜視図である。
1…土台
2…固定プレート
3…ダウエルピン
4…歯形模型 4A…歯牙模型
5…連結穴
6…柱状凸部
7…柱状凹部
8…先窄み凸部
9…先窄み凹部
10…平面プレート
11…周壁
12…筒体
13…補強リブ 13A…横補強リブ
13B…縦補強リブ
14…段差凸部
15…マーク
16…鍔
17…谷間
18…山形凸条
19…成形周壁
20…分割模型
21…歯冠補綴物
22…支台歯模型
81…土台
82…固定プレート
83…ダウエルピン
85…連結穴
88…連結凸部
89…連結凹部
91…土台
92…固定プレート
93…ダウエルピン
94…歯形模型
95…連結穴

Claims (11)

  1. 歯形模型(4)が固定される固定プレート(2)と、この固定プレート(2)に一端を連結している複数本のダウエルピン(3)と、このダウエルピン(3)を介して脱着自在に連結されるプラスチック製の土台(1)とを備える歯科技工用作業模型であって、
    土台(1)が、固定プレート(2)を定位置に固定する複数の柱状凸部(6)を固定プレート(2)との対向面の側部に突出して、かつ、側縁から内側に離れて設けており、
    さらに、この土台(1)は、長手方向に沿って中央部に所定の間隔離してダウエルピン(3)を抜き差しできる連結穴(5)を設けており、
    前記固定プレート(2)は、土台(1)の柱状凸部(6)を嵌着する柱状凹部(7)を土台(1)との対向面の側部に、側縁から内側に離れて設けており、
    さらに、この固定プレート(2)は、長手方向に沿って中央部に所定の間隔離してダウエルピン(3)を固定しており、
    前記土台(1)は、全体をプラスチックで成形して、前記固定プレート(2)を連結する平面プレート(10)の周囲に周壁(11)を連結する形状に成形されて、平面プレート(10)の表面である固定プレート(2)との対向面の側部に、固定プレート(2)を定位置に固定する複数の柱状凸部(6)を、対向面から突出して、かつ、側縁から内側に離して設けており、
    さらに、前記土台(1)は、前記平面プレート(10)の内面に突出するように筒体(12)を一体的に成形して設けて、この筒体(12)の内側に前記連結穴(5)を設けて、前記連結穴(5)を設ける部分に筒体(12)を突出して設けており、
    ダウエルピン(3)が連結穴(5)に挿入されると共に、柱状凸部(6)が柱状凹部(7)に挿入されて、中央部のダウエルピン(3)と側部の柱状凸部(6)の両方で固定プレート(2)が土台(1)の定位置に連結されるようにしてなる歯科技工用作業模型。
  2. 前記土台(1)が、固定プレート(2)との対向面の両側部に複数の柱状凸部(6)を設けると共に、両側部の柱状凸部(6)の中間に連結穴(5)を設けており、
    さらに、前記固定プレート(2)が、土台(1)との対向面の両側部に柱状凹部(7)を設けると共に、両側部の柱状凹部(7)の中間にダウエルピン(3)を設けている請求項1に記載される歯科技工用作業模型。
  3. 前記土台(1)が、固定プレート(2)との対向面に、柱状凸部(6)に加えて、先端に向かって窄み形状の先窄み凸部(8)を設けている請求項1に記載される歯科技工用作業模型。
  4. 前記土台(1)が、柱状凸部(6)の外側に先窄み凸部(8)を設けている請求項に記載される歯科技工用作業模型。
  5. 前記先窄み凸部(8)の上面が中央凸の湾曲面である請求項3に記載される歯科技工用作業模型。
  6. 前記柱状凸部(6)と前記柱状凹部(7)が円柱状である請求項1に記載される歯科技工用作業模型。
  7. 前記柱状凸部(6)がダウエルピン(3)の横断面積に対して50%〜200%の柱状としている請求項1に記載される歯科技工用作業模型。
  8. 前記ダウエルピン(3)が横断面形状を非円形とする先細りテーパー状のプラスチックピンである請求項1に記載される歯科技工用作業模型。
  9. 前記柱状凸部(6)が、各々のダウエルピン(3)の側部に配設されて、柱状凸部(6)の数が、ダウエルピン(3)の数の1〜4倍である請求項1に記載される歯科技工用作業模型。
  10. 前記歯科技工用作業模型が部分の歯科技工用作業模型で、両側部に柱状凸部(6)があって、両側部の柱状凸部(6)の中間にダウエルピン(3)を配置している請求項1に記載される歯科技工用作業模型。
  11. 前記歯科技工用作業模型が全顎の歯科技工用作業模型で、片側部に沿って柱状凸部(6)を設けている請求項1に記載される歯科技工用作業模型。
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