以下、本発明の実施の形態に係る情報提供システム、情報送受信用の端末および情報提供方法について図面に基づいて説明する。以下の説明では、情報送受信用の端末および情報提供方法は、情報提供システム10の説明の中で併せて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る情報提供システム10全体の構成を示す図である。この図1に示すように、情報提供システム10は、車両100に搭載される端末としてのDSRC車載器20と、道路沿いや駐車場やその近傍に配置される基地局としての路側無線装置40と、インターネット等の無線または有線による通信網110によって路側無線装置40に接続され、路側無線装置40に複数のコンテンツを提供するセンター装置となる情報提供サーバ60を主要な構成要素としている。
図1に示すように、情報提供サーバ60は、DSRC専用のネットワークであるITS通信網110aを介して路上や駐車場、道の駅等に複数設置された路側無線装置40A、40Bと接続されている。各路側無線装置40A、40Bは、DSRC通信機能を備えたDSRC車載器20と無線通信可能に構成され、DSRC車載器20と通信が確立すると、その旨を情報提供サーバ60に通知し、情報提供サーバ60からコンテンツ情報を受信してDSRC車載器20に送信する。路側無線装置40Aは、DSRC専用の独自プロトコルによりDSRC車載器20および情報提供サーバ60と通信(DSRC非IP通信という)を行う。路側無線装置40Bは、インターネットプロトコル(IP)によりDSRC車載器20および情報提供サーバ60と通信(DSRCIP通信という)を行う。
また、情報提供サーバ60は、外部ネットワークである一般通信網110bにも接続されている。一般通信網110bは、インターネット、およびこれに接続された移動体通信網、無線LAN(Local Area Network)、Wimax(Worldwide Interoperability for Microwave
Access)等の無線通信網を含んでおり、情報提供サーバ60は、一般通信網110bを介してDSRC車載器20からのコンテンツ情報の取得要求を受信すると、要求されたコンテンツ情報をDSRC車載器20に送信する。
ここで、情報提供サーバ60が路側無線装置40Aを介してDSRC車載器20に提供するコンテンツ情報は、たとえば、車両100の周辺の店舗、駐車場、医療施設等の各種施設のサービス案内であり、以下これらのコンテンツ情報を第1のコンテンツ情報と呼ぶ。また、情報提供サーバ60が一般通信網110bを介して、もしくは路側無線装置40Bを介してDSRC車載器20に提供するコンテンツ情報は、DSRC車載器20でWebページを表示するためのHTMLファイルや、Webページを介して提供される画像情報、音楽情報等のマルチメディアコンテンツ等であり、以下これらのコンテンツ情報を第2のコンテンツ情報と呼ぶ。
図2は、DSRC車載器20と路側無線装置40との通信状態を示す図である。路側無線装置40(40A、40B)は、図2に示すように、本体装置40aとアンテナ40bとを有する構成とされている。路側無線装置40A、40Bは、道路脇や道路上方、駐車場、道の駅等に設置されたアンテナ40bから、到達距離が限定されたDSRCの電波を放射して近傍に通信エリアとなる路側エリアZを形成する。この路側エリアZ内にある車両100のDSRC車載器20とだけ双方向狭域無線通信が可能となる。
DSRCは、5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲はたとえば数メートルから数十メートルである。路側無線装置40A、40BからのDSRCの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置40A、40Bがそれぞれ形成する路側エリアZは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
本体装置40aは、DSRC車載器20と情報提供サーバ60間の情報のやりとりを仲介するための処理を行う。すなわち、アンテナ40bを介してDSRC車載器20から受信された情報を、ITS通信網110aを介して情報提供サーバ60に転送し、情報提供サーバ60から送信された第1または第2のコンテンツ情報をDSRC車載器20へ転送する。本体装置40aは、情報処理や通信制御を行う制御部、記憶部等を備えたコンピュータ端末を適用することができる。
路側無線装置40Aの本体装置40aの制御部は、DSRC専用のプロトコルによりDSRC車載器20との通信制御を行う。路側無線装置40Bの本体装置40aの制御部は、DSRC車載器20の通信環境に合わせ、インターネットプロトコルまたはDSRC専用のプロトコルによりDSRC車載器20との通信制御を行う。
図3は、図1に示すDSRC車載器20の構成を示すブロック図である。この図3に示すようにDSRC車載器20は、DSRC部21と、ナビ部27と、それらを制御部34とを主要な構成要素としている。以下、具体的に説明する。
DSRC部21は、図3に示すように、更に送受信部/変復調部22と、DSRC制御部23と、DSRC−ASL処理部24と、メモリ部25と、ヒューマンマシンインタフェース部26と、を主要な構成要素としている。
送受信部/変復調部22は、「ARIB STD−T75」に準拠したインタフェース(DSRCプロトコルの物理層に相当するインタフェース)を実装している。また、送受信部/変復調部22は、受信した電波をデジタル変調/復調する機能(ASK/QSPK)を有する。DSRC制御部23は、路側無線装置40とのDSRC通信を行なう。具体的には、「ARIB STD−T75」に準拠したインタフェース(DSRCプロトコルのデータリンク層およびアプリケーション層に相当するインタフェース)を実装し、路側無線装置40と5.8GHz帯の無線通信を行なうことができる。また、DSRC制御部23は、送信されてきたデータのフレーム内に含まれる識別子(EID)により路側無線装置40の通信相手であるDSRC車載器20内の対応するアプリケーションを特定することができる。
DSRC−ASL処理部24は、基本アプリケーション処理およびセキュリティプラットフォームを提供する。具体的には、「ARIB STD−T88」に準拠した通信インタフェースを実装し、DSRC車載器20にインストールされている各アプリケーションと路側無線装置40との間でDSRC−ASLによる通信制御を行なう。
上述した送受信部/変復調部22、DSRC制御部23およびDSRC−ASL処理部24は、IP(Internet Protocol)を用いた、いわゆるIP系通信と、IPを用いずその他の通信プロトコルで通信制御を行なう、いわゆる非IP系通信のそれぞれに対して通信インタフェースを提供する。
DSRC−ASL処理部24は、IP系通信を用いるアプリケーションに対しては、PPP制御プロトコル(PPPCP)、LAN制御プロトコル(LANCP)およびTCP/IPにより通信制御を行なう。一方、DSRC−ASL処理部24は、非IP系通信を用いるアプリケーションに対しては、拡張通信制御プロトコル(ASL−ELCP)、ローカルポート制御プロトコル(LPCP)、ローカルポートプロトコル(LPP)により通信制御を行なう。具体的には、DSRC−ASL処理部24は、各プロトコルによりアプリケーションデータに付加されるそれぞれの識別子により通信制御を行なう。
たとえば、IP系通信を用いるアプリケーションから路側無線装置40の後述する無線通信部41(図4参照)へデータを送信する場合には、各プロトコルによりポート番号,IPアドレス,MACアドレス,アクセス点識別子,EID,LIDを識別子として、アプリケーションが生成したアプリケーションデータへ順番に追加してパケットフレームが生成される。一方、路側無線装置40の無線通信部41からアプリケーションへデータが送信されてきた場合には、DSRC−ASL処理部24は、パケットフレーム内に含まれるLID,EID,アクセス点識別子,MACアドレス,IPアドレス,ポート番号を各プロトコルにより順番に識別して、そのデータの送信先であるアプリケーションを特定することができる。
また、非IP系通信を用いるアプリケーションから路側無線装置40の無線通信部41へデータを送信する場合には、ローカルポート番号,アクセス点識別子,EID,LIDを識別子として、アプリケーション3が生成したアプリケーションデータに順番に追加してパケットフレームが生成される。一方、路側無線装置40の無線通信部41から非IP系通信を用いるアプリケーションへデータが送信されてきた場合には、DSRC−ASL処理部24は、パケットフレーム内に含まれるLID,EID,アクセス点識別子,ローカルポート番号を各プロトコルにより順番に識別して、そのデータの送信先であるアプリケーション3を特定することができる。なお、従来のETCは、他のアプリケーションによってEIDにより識別することができる。
このように、DSRC部21が構成されていることによって、DSRC車載器20は、従来のETCやEMVクレジットなどの非IP系通信を用いるアプリケーションのみならず、インターネット上で使用されるIP系通信を用いるアプリケーションとの通信が可能となることによって、より多様なサービスをDSRC車載器20において利用することができる。
メモリ部25は、たとえば、フラッシュメモリ等によって構成されており、制御部34が実行する基本的なプログラムを格納している。また、メモリ部25は、CPU(図示外)が演算処理を実行する際に、演算途中のプログラムまたはデータを一時的に記憶する。
ヒューマンマシンインタフェース部26は、非IP系通信およびIP系通信に対応したインタフェースを提供する機能を有する。具体的には、IP系通信に用いるDSRC応用サービスに対応するためのHTTP(Hyper Text Transfer Protcol)ブラウザ(たとえばHTML4.01,CSS1およびCSS2など)、IP系/非IP系通信に用いるDSRC応用サービスに対応するための文字コーデック(たとえばJIS、UNICODEなど),音声コーデック(たとえばTTS,MP3など),画像コーデック(たとえばJPEG、GIFなど),動画コーデック(たとえばMPEG4)などを搭載している。
ナビ部27は、図3に示すように、更にナビデータ処理部28と、ヒューマンマシンインタフェース部29と、高精度測位計測部30と、地図データ部31と、操作部32と、表示部33と、を主要な構成要素とする。ナビ部27は、主にカーナビゲーションシステムとしての機能を有する。
ナビデータ処理部28は、情報提供制御機能および情報収集機能を有する。情報提供制御機能は、非IP系通信への対応として,優先表示,情報提供判断および情報蓄積等の情報提供を制御する機能である。情報収集機能は、ナビ部27が保持又は蓄積している車両内情報を,DSRC部21を通してアップリンクする機能、すなわち、路側無線装置40へ送信する機能、である。なお、ヒューマンマシンインタフェース部29は、上述したヒューマンマシンインタフェース部26と同様の機能であるため、説明を省略する。
高精度測位計測部30は、GPS(Global Positioning System)受信機やジャイロセンサを有し、それらにより測位計測を行ない,車両100の位置を常に把握する機能を有する。地図データ部31は、高精度測位計測部30による車両100の位置にマッチングした現在地の地図データを提供する機能を有する。また、地図データ部31は、目的地まで誘導できる地図データを提供することができる。なお、地図データ部30の有する地図データは、メモリ部25に記憶されている。操作部32は、釦やリモコンによる操作や、表示部33の表示画面へのタッチパネル操作、音声指示による操作ができる機能を有する。表示部33は、DSRC応用サービスに対応した画面表示案内やスピーカを使用した音声案内を行なうことができる機能を有する。制御部34は、上述したDSRC部21と、ナビ部27に含まれるすべての処理に関してCPU(図示外)等により演算/制御する機能を有する。
続いて、基地局としての路側無線装置40と、情報提供サーバ60について図4を用いて説明する。図4は、図1に示す路側無線装置40および情報提供サーバ60の構成を示すブロック図である。
基地局としての路側無線装置40は、DSRC車載器20に順次コンテンツ情報を同報通信するための機能を担う部分である。路側無線装置40は、無線通信部41、通信制御部42、記憶装置43、制御部44、ROM45、RAM46、システムバス47を備える。
無線通信部41は、アンテナ40aを含む部分で、電波信号、光信号等の無線信号により路側無線装置40の近傍を通過する車両100に設置されたDSRC車載器20との間で情報を交信する。たとえば、無線通信部41は、情報提供サーバ60から提供された交通情報や広告などのディジタルデータ150(図6参照、詳細は後述)をDSRC車載器20に送信する。また、無線通信部41は、DSRC車載器20から送信されてくる車両ID等の情報を受信する。
通信制御部42は、ITS通信網110aを介して情報提供サーバ60に接続され、情報提供サーバ60から送信される交通情報や広告などのディジタルデータ150を受信して記憶装置43に格納する。また、DSRC車載器20から取得した情報を情報提供サーバ60に送信する。
記憶装置43は、情報提供サーバ60から受信した交通情報や広告などのディジタルデータ150を格納する。制御部44は、CPU等から構成され、路側無線装置40全体の動作を制御する。たとえば、制御部44は、記憶装置43に格納されているディジタルデータ150を、無線通信部41を制御してDSRC車載器20にプッシュ配信する。制御部44は、無線通信部41によりDSRC車載器20から取得した情報を記憶装置43に格納する。また、制御部44は、トラフィックカウンター(図示せず)などを用いて路側無線装置40の周辺の交通情報を生成して記憶装置43に格納し、ITS通信網110aを介して情報提供サーバ60に送信することもできる。
ROM45は、路側無線装置40全体の動作制御に必要なオペレーティングシステム(OS)、プログラム、各種のデータを記憶する。RAM46は、制御部44のワークエリアとして機能する。システムバス47は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
続いて、情報提供サーバ60のハードウェア構成と各部の動作について説明する。情報提供サーバ60は、路側無線装置40にサービス事業者から提供される地域情報や広告情報などを配信するサーバであり、図4に示すように、入力部61と、出力部62と、第1と第2の通信制御部63,64と、記憶装置65と、制御部66と、ROM67と、RAM68と、システムバス69とを主要な構成要素とする。なお、図1における情報提供サーバ60は、便宜上1つのサーバとして図示しているが、必ずしも一つである必要はなく、複数の情報提供サーバ60としてもよい。
入力部61は、キーボード、マウス、入力インタフェース等を備え、種々のデータや指示を入力する機能を有する。出力部62は、表示装置などから構成され、データ、メッセージなどを表示する機能を有する。
第1の通信制御部63は、電話回線、インターネット等の一般通信網100bを介して外部装置と交信し、種々の情報を取得する機能を有する。第2の通信制御部64は、ITS通信網100aを介して1つまたは複数の路側無線装置40に接続され、路側無線装置40に交通情報を送信する機能を有する。また、第2の通信制御部64は、DSRC専用のネットワークであるITS通信網100aを介して、路側無線装置40がDSRC車載器20との交信などにより得た情報を収集する機能を有する。
記憶装置65は、ハードディスク装置等を備え、種々の交通情報を格納する機能を有する。また、記憶装置65は、各路側無線装置40の位置、アドレス等と共にその近傍の地理情報を記憶する機能を有する。
制御部66は、プロセッサ等から構成され、情報提供サーバ60全体の動作を制御する機能を有する。また、制御部66は、記憶装置65に格納されている各種情報に基づいて、各路側無線装置40に、その路側無線装置40近傍から配信する情報を作成し、第2の通信制御部64およびITS通信網100aを介して路側無線装置40に供給する機能を有する。この制御部66は、DSRC車載器20が備える通信環境や路側無線装置40が備える通信環境を判断し、入会や退会のためのツール(コンテンツ)を選択し、その通信環境に合ったツール(コンテンツ)をDSRC車載器20に送信する。
ROM67は、この情報提供サーバ60全体の動作制御に必要なOS(Operating System)や各種のデータを記憶する機能を有する。RAM68は、制御部66のワークエリアとしての機能を有する。システムバス69は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路としての機能を有する。
続いて、DSRC車載器20と路側無線装置40の間で行なわれるトランザクションについて図5を用いて説明する。図5は、図1に示すDSRC車載器20と路側無線装置40の間で行なわれるトランザクションを示す図である。
この図5に示すトランザクションは、DSRC車載器20に電源が投入された時から、路側無線装置40の通信エリア内にDSRC車載器20が進入し(以下、この進入時点を「エリアイン」という)、DSRC車載器20が通信エリア外に移動する時(以下、この時点を「エリアアウト」という)までの各部の通信処理を示すものである。以下、各ステップについて説明する。
ステップS100:DSRC車載器20の一部であるナビ部27およびDSRC部21は、DSRC車載器20の電源が投入されると、ナビ部27からDSRC部21にクライアントインフォメーションデータが書き込まれる。ここで、クライアントインフォメーションデータには、DSRC車載器20が他の通信網となるインターネットに接続できるか否かの情報、通信エリア内にいるDSRC車載器20が再生可能なコンテンツの種類、DSRC車載器20が搭載するコンテンツ再生アプリケーション等の情報が含まれる。また、DSRC車載器20が対応可能な言語情報、ナビ部21の有する測地系情報(日本または世界の測地系情報)、対応可能なDRM(Digital Rights Managemaent)、搭載している表示部(ディスプレイ)の解像度、蓄積可能なデータ量等も含まれている。
ステップS101:DSRC車載器20を搭載した車両がエリアインすると、路側無線装置40とDSRC車載器20の間で個別PUSH型配信の通信を確立すべく、DSRC接続処理(たとえばDSRC−SPFにおける認証処理)が行なわれる。なお、DSRC接続処理の詳細については、省略する。
ステップS102:路側無線装置40とDSRC部21は、DSRC接続処理が完了すると、情報提供サーバ60およびナビ部27に対してそれぞれDSRC接続通知を行なう。
ステップS103:DSRC部21は、路側無線装置40に対してナビ部27により書き込まれたクライアントインフォメーションデータを送信(アップリンク)する。また、路側無線装置40は、上述したクライアントインフォメーションデータを情報提供サーバ60に通知することができる。なお、このステップS103は、「JEITA TT−6002」および「JEITA TT−6003」に規定されたクライアント情報通知コマンドに相当する。
ステップS104:情報提供サーバ60は、ステップS103で通知されたクライアントインフォメーションデータに基づき、複数のアプリケーションを効果的に処理するための共通化領域用のIDであるASL−ID等による会員判別や、そのDSRC車載器20が有する機能情報を解析して、DSRC車載器20に適したコンテンツをマルチコンテンツフォーマットで編成して、路側無線装置40に受け渡す。情報提供サーバ60は、これらのクライアントインフォメーションデータからDSRC車載器20で再生可能なコンテンツやDSRC車載器20が保有する機能が分かるため、最適なコンテンツを編成して配信することが可能となる。また、情報提供サーバ60は、車載器ID通知コマンド等を用いることにより、DSRC車載器20固有のIDを取得することも可能であるため、DSRC車載器20を特定することが可能となる。会員判別は、この固有のIDを利用して行ってもよい。会員判別の結果に基づく入会勧誘、入会確認および退会確認の処理については後述する。なお、ASL−IDがDSRC車載器20固有のIDを兼ねるようにしてもよい。
また、たとえば、情報提供サーバ60および/または路側無線装置40において、保有する顧客DB等とDSRC車載器20の固有IDを照合するにより、DSRC車載器20の搭載された車両100を特定することも可能となる。路側無線装置40は受け取ったコンテンツをDSRC車載器20のDSRC部21へ配信する。DSRC部21は、ナビ部27にそのコンテンツを配信する。ナビ部27は、マルチコンテンツフォーマットのデータからコンテンツを配信したサービス事業者を判断する。
マルチコンテンツフォーマットの詳細については後述するが、このマルチコンテンツフォーマットを利用することで、PUSH型配信であるDSRC通信においても、個人の趣味・嗜好等に即した個別のPUSH型配信を可能にしている。また、このマルチコンテンツフォーマットで提供されるコンテンツは、DSRC車載器20に一度、蓄積されて、特定の条件を満たした場合に、再生される仕組みとなっている。したがって、DSRC通信により情報を送受信するためには、その特定の通信エリア内に留まっていないと行なうことができないが、受信した情報を蓄積して記憶させておくことで、エリア外でも情報を再生することが可能となる。更に、地域情報や広告情報などのコンテンツの再生タイミングを設定しておくことで、ユーザのニーズに合わせて情報を配信することを可能にしている。
ステップS105:情報提供サーバ60は、ステップS104の処理以降、路側無線装置40を介して、後述するアップリンクタグエリアに情報が書き込まれていないかを確認するため、DSRC車載器20に対して定期的にポーリングを行なう。このポーリングによりアップリンクタグエリアに情報が書き込まれている場合には、その情報を取得し、書き込まれていない場合には、更にポーリングを続ける。
ステップS106:ナビ部27は、ステップS104で受け取ったコンテンツからサービス事業者を判別して、そのサービス事業者用のアップリンク用のデータをDSRC部21の特定の領域(以下、「アップリンクタグエリア」という)に書き込む。ただし、ナビ部27は、そのサービス事業者用のアップリンク用のデータが存在しない場合や、そのサービス事業者の非会員である場合にはアップリンクタグエリアには書き込まない。なお、アップリンクタグエリアおよびアップリンクタグのフレーム構成については、後述する。ステップS106の後、公共の情報が情報提供サーバ60からDSRC車載器20に配信される。
ステップS107:DSRC部21は、ステップS106においてアップリンクタグエリアに情報が書き込まれた場合には、その情報を路側無線装置40に通知する(アップリンクする)。なお、以下、この処理で送られる情報を「アップリンク情報」という。路側無線装置40は、そのアップリンク情報を情報提供サーバ60へ受け渡す。
ステップS108:情報提供サーバ60は、ステップS107の処理以降、路側無線装置40を介して、アップリンクタグエリアに情報が更新されていないか、定期的にポーリングを行なう。このポーリングによりアップリンクタグエリアの情報が更新されている場合には、その情報を取得し、更新されていない場合には、更にポーリングを続ける。
ステップS109:情報提供サーバ60は、ステップS107によって、アップリンク情報を取得したときは、その情報に基づき、会員嗜好に適したコンテンツをマルチコンテンツフォーマットで編成して、路側無線装置40に配信する(以下、このステップの処理を「ダウンリンク」という)。路側無線装置40は、配信されたコンテンツをDSRC部21に送信する。DSRC部21は、配信されたコンテンツを解析してナビ部27に配信したり、メモリ部25に蓄積したりする。
ステップS110:情報提供サーバ60は、嗜好データに適したコンテンツの配信が終了したときは、その旨をDSRC部21に対して通知してエリアアウトを促す。これは、1台の車両が長時間に渡って通信エリアを占領すると、他の会員へのサービスができなくなるためである。なお、このエリアアウトを促す通知を行わないようにしてもよい。
続いて、上述したトランザクション上でやり取りされるマルチコンテンツフォーマットについて説明する。マルチコンテンツフォーマットは、ひとつのデータ形式で様々なDSRC応用サービスに対応できるようにID別に構成された複合フォーマットを構成している。また、目的に応じて必要な項目(ID)のみで配信コンテンツを構成可能なデータフォーマットでもある。したがって、マルチコンテンツフォーマットは、配信データ量を抑えて、ネットワークトラフィックを低減することが可能となっている。マルチコンテンツフォーマットのデータは、ディジタルデータで構成されている。
従来のITS車載器は、通信エリア内での路側無線装置40からの配信に対して、配信された順番通りにデータを再生するが、このマルチコンテンツフォーマットは、受信後に配信された順番通りにデータを再生する以外に、カーナビゲーションの機能と連動して特定の場所でコンテンツを再生することや、特定の場所への誘導も可能である。更に、このマルチコンテンツフォーマットは、配信を受けたDSRC車載器20内にデータを蓄積することを前提としているため、路側無線装置40の通信エリア外でも配信データを活用することが可能となっている。
また、DSRC車載機20が、データの配信元を考慮した動作をすることが可能なため、スパム防止にも役立つ。マルチコンテンツフォーマットは、DSRC車載器20から情報提供サーバ60へのアップリンク機能も有する。DSRC車載器20に設定されている目的地や立ち寄り地の情報を始め、行動履歴や配信されたコンテンツの視聴履歴を採ることも可能である。
図6は、図5で示すトランザクションにおいて送受信されるマルチコンテンツフォーマットの一部のデータであるディジタルデータ150の構成例を示す図である。このマルチコンテンツフォーマットのデータ構成を利用することで、配信したコンテンツの様々な動作を規定することができる。また、配信されるコンテンツは、複数のIDが付与されたコンテンツから構成されているため、コンテンツの動作ごとに構成を変えることが可能となっている。図6に示すその代表的なIDについて各々説明する。
ディジタルデータ150は、図6に示すように、構成ID情報500、事業者情報501(詳細は図7参照)、コンテンツ情報502(詳細は図8参照)、再生条件情報503(詳細は図9参照)、有効期限情報504(詳細は図10参照)、提供時間情報505(詳細は図11参照)、対象地点情報506(詳細は図12参照)、情報提供地点情報507(詳細は図13参照)、遷移情報508(詳細は図14参照)、詳細情報509(詳細は図15参照)、駐車場情報510(詳細は図16参照)、運転支援情報511(詳細は図17参照)、嗜好情報512(詳細は図18参照)、構成ID情報500(詳細は図19参照)、および拡張用予備領域513、の各項目を含む。各項目には固有のIDが予め割り当てられている。1つのディジタルデータ150は、これらの情報の一部または全部を格納する1つの“情報グループ”とも言える。
1つのディジタルデータ150には、上述した各項目の全部または一部が含まれる。つまり、配信されるディジタルデータ150は必ずしも上述した各項目のすべてを含まなくてもよく、ディジタルデータ150の使用目的に応じて上述した各項目のうちいずれかを含むように構成すればよい。たとえば、ディジタルデータ150の内容が店舗の広告であって、その店舗が駐車場を有しているかあるいは付近に利用可能な駐車場があるのであれば、駐車場情報510を含んでいることが望ましい。しかし、店舗とは無関係の駐車場内速度案内などであれば、駐車場情報510を含む必要はない。ディジタルデータ150の提供側(作成者側)は、ディジタルデータ150の使用目的に応じて、どの項目にどのような情報を格納すべきかを考慮してディジタルデータ150を作成すればよい。
次に、各項目のそれぞれに格納される情報内容について詳しく説明する。
最初に、構成ID情報500の詳細について説明する。構成ID情報500は、ディジタルデータ150に、後述する、事業者情報501、コンテンツ情報502、再生条件情報503、有効期限情報504、提供時間情報505、対象地点情報506、情報提供地点情報507、遷移情報508、詳細情報509、駐車場情報510、運転支援情報511、および嗜好情報512の各項目が、それぞれ格納されているか否かを示す情報である。
本実施形態では、各項目に予め割り当てられているIDは2バイトの数値で表現される。構成ID情報500には、ディジタルデータ150に含まれている項目に対応するIDを、数値の小さい順に羅列して格納されている。
たとえば、構成ID情報500に、“010203040510”が格納されている場合、このディジタルデータ150には、事業者情報501(ID=01)、コンテンツ情報502(ID=02)、再生条件情報503(ID=03)、有効期限情報504(ID=04)、提供時間情報505(ID=05)、及び、対象地点情報506(ID=10)が格納されていることを意味する。
なお、構成ID情報500に格納するデータの形式は、この手法に限定されない。たとえば、後述する12項目または拡張用予備領域513を加えた13項目のそれぞれに1ビットずつ割り当て、格納されているのであれば対応するビットを“1”に、格納されていないのであれば対応するビットを“0”にする、といった形式でもよい。
次に、事業者情報501について説明する。図7は、事業者情報501に格納される情報の詳細を示す図である。事業者情報501は、サービス事業者コード601と、サービス事業者表示用文字列602と、サービス事業者発話用表音文字列603とを有する。
サービス事業者コード601は、当該ディジタルデータに係るサービス事業者を特定するための情報であり、必ず格納しなければならない情報である。典型的には、DSRCの運用を管理する機関が、サービス事業者毎にユニークに割り当てている。ここで言うサービス事業者とは、広告主等から受託し制作したディジタルコンテンツを、契約したユーザにDSRCにより配信する一連のサービスを行う業者のことである。このサービス事業者コード601は、すべてのディジタルデータ150に格納される。
DSRC車載器20側は、サービス事業者コード601を、いわゆるスパム対策のために用いることもできる。具体的には、不正なサービス事業者コード601が付与されたディジタルデータ150や、サービス事業者コード601が付与されていないディジタルデータ150、あるいは、ユーザが契約していないサービス事業者に対応するサービス事業者コード601が付与されているディジタルデータ150などを送受信部/変復調部22が受信した場合、DSRC制御部23は、受信したディジタルデータ150を破棄したり、メモリ部25内の所定の迷惑データ保存領域(図示せず)に保存したりしてもよい。
また、DSRC車載器20側は、受信したディジタルデータ150に所定のサービス事業者コード601が付与されているか否かによって、受信したディジタルデータ150に対する応答を送信する(あるいは送信しない)ようにしてもよい。具体的には、DSRC車載器20のメモリ部25には、ユーザが予め契約を交わしたサービス事業者に割り当てられたサービス事業者コード601を示す情報が格納され、この格納された情報が示すサービス事業者コード601と同じサービス事業者コード601が付与されたディジタルデータ150を送受信部/変復調部22が受信すると、DSRC制御部23は、正常に受信したことを示す応答として、送受信部/変復調部22に所定のアップリンク情報を路側無線装置40へ送信させてもよい。
サービス事業者表示用文字列602は、サービス事業者名をモニターに表示してユーザに通知するために用いられるテキストデータである。文字数は、モニターに表示する際、改行せず1行で表示できる程度(例えば全角20文字程度)であることが望ましい。
サービス事業者発話用表音文字列603は、サービス事業者名を音声でスピーカに出力してユーザに通知するために用いられる音声データである。サービス事業者発話用表音文字列603は、公知のTTS(Text-to-Speech)システムを用いて音声合成するための所定のフォーマットで作成され、例えば母音、子音、発音記号、イントネーション、抑揚などを指定する情報を含む。
次に、コンテンツ情報502の詳細について、図8を用いて説明する。
情報提供企業コード701は、1つ以上のディジタルデータ150から構成されるディジタルコンテンツの提供元(スポンサー)を示すコードである。典型的には、情報提供企業コード701は、サービス事業者によって情報提供企業ごとに予め割り当てられる。たとえば、DSRC車載器20の制御部34は、受信したディジタルデータ150に含まれる情報提供企業コード701を用いて、ユーザの所望のデータの検索、並び替え、削除等を行うことができる。情報提供企業コード701を割り当てる単位は「企業」に限られず、ディジタルコンテンツを提供する任意の団体、法人、個人を単位にしてもよい。
情報提供企業表示用文字列702は、ディジタルコンテンツの提供元をモニターに表示してユーザに通知するために用いられるテキストデータである。文字数は、モニターに表示する際、改行せず1行で表示できる程度であることが望ましい。
情報提供企業発話用表音文字列703は、ディジタルコンテンツの提供元を音声でスピーカに出力してユーザに通知するために用いられる音声データである。情報提供企業表音文字列703は、サービス事業者発話用表音文字列603と同様に、TTSシステムを用いて音声合成するための所定のフォーマットで作成される。
情報コード704は、サービス事業者によって、配信するディジタルデータ150毎にユニークに割り当てられる識別符号である。識別符号は、例えば数字、文字、記号などを用いて表される。情報内容について、同一視できる範囲で更新した場合には、更新前と更新後のディジタルデータ150には、同じ識別符号が割り当てられることが望ましい。この場合、たとえば、拡張用予備領域513あるいは詳細情報509にディジタルデータ150のバージョン情報を格納することとし、更新前後で同じ情報コード704を付与し、更新前後で異なるバージョン番号を付与するようにしてもよい。
制御部34は、受信したディジタルデータ150の情報コード704(識別符号)に基づいて、当該ディジタルデータ150を保存するメモリ領域を決定する。具体的には、制御部34は、受信したディジタルデータ150からサービス事業者コード601と、情報コード704(識別符号)とを読み出し、これらと一致するディジタルデータ150がメモリ部25に保存されている否かをチェックする。その結果、該当するディジタルデータ150が保存されている場合(即ち、同じサービス事業者によって同じ識別符号が割り当てられたディジタルデータ150が存在する場合)、制御部34は、同じメモリ領域に新たに受信したディジタルデータ150を格納する(つまり、データを上書きする)。一方、該当するディジタルデータ150が保存されていない場合、制御部34は、メモリ部25の別のメモリ領域に新たに受信したディジタルデータ150を格納する。
情報表示テキスト705は、ディジタルコンテンツ名をモニターに表示してユーザに通知するために用いられるテキストデータである。テキストの文字数は、モニターに表示する際、改行せず1行で表示できる程度であることが望ましい。典型的には、情報表示テキスト705はディジタルデータ150の表題(タイトル)である。ユーザは、モニターに表示される情報表示テキスト705を見て、所望のディジタルデータ150をDSRC車載器20に検索、並び替え、保存、削除等を指示することができる。
情報表音文字列706は、ディジタルコンテンツ名を音声でスピーカに出力してユーザに通知するために用いられる音声データである。情報表音文字列706は、情報提供企業表音文字列703と同様に、TTSシステムを用いて音声合成するための所定のフォーマットで作成される。
嗜好データカテゴリ707は、ディジタルデータ150を所定の分類方法でカテゴリ分けするために用いられる情報である。本実施形態では、1つのディジタルデータ150を複数のカテゴリに分類することができる。例えば、ディジタルコンテンツが“持ち帰り可能な和食レストラン”の広告である場合、そのディジタルコンテンツを構成するディジタルデータ150を、第1のカテゴリ“レストラン”、および第2のカテゴリ“テイクアウト”、といったように複数のカテゴリに分類してもよい。また、上位の主カテゴリ“レストラン”、および下位の副カテゴリ“和食”、といったようにツリー構造をもつ分類の仕方でもよい。本実施形態では、嗜好データカテゴリ707は96ビットのデータ領域から構成され、1つのカテゴリにつき1ビットが対応し、各ビットのON/OFFを設定することにより96種類のカテゴリ分けを行うことができる。ただし、このカテゴリ数は例示に過ぎず、任意の種類に分けてもよいことは言うまでもない。
たとえば、制御部34は、受信したディジタルデータ150に含まれる嗜好データカテゴリ707を用いて、ユーザの所望のデータの検索、並び替え、削除等を行うことができる。たとえば、制御部34は、メモリ部25に記憶されたディジタルデータ150の嗜好データカテゴリ707と、ユーザが予め設定した嗜好データ(ユーザの嗜好を示すデータ)とを比較して、ユーザの嗜好に適合しないカテゴリに分類されるディジタルデータ150をメモリ部25から削除することができる。
次に、再生条件情報503の詳細について、図9を用いて説明する。再生条件情報503は、表示/保存コード801と、再生条件コード802とを有する。
表示/保存コード801は、受信したディジタルデータ150を、DSRC車載器20が下記のパターンA又はパターンBのどちらの手法で扱うべきかを示す情報である。
「パターンA」は、ディジタルデータ150を、DSRC通信エリア外でもユーザが利用可能なディジタルコンテンツとして、メモリ部25に記憶する(蓄積型)。「パターンB」は、ディジタルデータ150を、受信後、直ちに再生する(即時表示型)。
制御部34は、パターンAを採用する場合、受信したディジタルデータ150を再生しないでメモリ部25に保存しておき、ユーザから再生を開始する指示があると再生する。ただし、パターンBを採用する場合にも、再生後、ディジタルデータ150をメモリ部25に記憶するようにしてもよい。
再生条件コード802は、受信したディジタルデータ150の情報提供地点情報507で指定される情報提供エリア内において、DSRC車載器20がカーナビゲーションシステムによる道案内等を行っている最中であるためディジタルデータ150を再生できない(あるいは再生するに相応しくない)場合の挙動を規定する情報である。たとえば、ディジタルデータ150を受信したとき、カーナビゲーションシステムによる道案内画面と音声の再生中であったり、交差点のすぐ近くを走行中であるためディジタルデータ150を再生するに相応しくないタイミングであると推定されたりした場合の挙動を示すフラグが格納される。再生条件コード802は、情報提供地点情報507で中心と半径が指定される情報提供エリア内でカーナビゲーションシステムによる道案内等を行っている等の理由でディジタルデータ150を再生できなかったとき、すなわち、その道案内が終了した時点ではすでに情報提供エリア(通信エリア)から出てしまっていたときに、そのディジタルデータ150の再生を行うか否かを指定する。
次に、有効期限情報504の詳細について、図10を用いて説明する。有効期限情報504は、開始日時901と、終了日時902とを有する。
なお、ここで言う「有効期限」とは、DSRC車載器20がディジタルデータ150を再生することが許可される期間を指す。たとえば、制御部34は、有効期限の切れたディジタルデータ150がメモリ部25に格納されていても、再生しないようにすることができる。ただし、制御部34は、設定された有効期限に関わらず、ディジタルデータ150を再生してもよい。
開始日時901は、ディジタルデータ150の有効期限の開始日時である。終了日時902は、ディジタルデータ150の有効期限の終了日時である。たとえば、開始日時901と終了日時902は、年、月、日、時、分、秒、を単位として設定される。 開始日時901で指定される日時から終了日時902で指定される日時までが、ディジタルデータ150の有効期間である。つまり、ユーザは、ディジタルコンテンツを、この有効期間内においてのみ、閲覧可能である。制御部34は、現在日時が有効期間内であればディジタルデータ150を再生してもよいが、有効期間外であれば再生しない。なお、後述するように、制御部34は、現在ディジタルデータ150の有効期間内であって、かつ、予め決められた再生開始条件を満たす場合に、ディジタルデータ150を再生する。
ただし、ディジタルコンテンツの中には、一旦、DSRC車載器20が受信すると特に有効期限を定めずにユーザによる閲覧を可能とするものがあってもよい。この場合には、開始日時901と終了日時902のデータ領域にNULL値を予め設定したり、有効期限が定められていないことを示す所定値を予め設定したりすればよい。
制御部34は、メモリ部25に記憶されたディジタルデータ150の有効期限情報504をチェックする。そして、制御部34は、現在日時が有効期間を過ぎている場合、言い換えれば、現在日時が有効期間外であって終了日時より後である場合には、このディジタルデータ150を削除することが望ましい。ただし、制御部34は、現在日時が有効期間外であって開始日時より前である場合には、このディジタルデータ150を削除しないことが望ましい。
次に、提供時間情報505の詳細について、図10を用いて説明する。
営業時間1001は、情報提供企業コード701で示される提供元が、予め営業時間を定めている店舗等である場合、その店舗等が営業しておりユーザにサービスを提供可能な時間帯を示す情報である。
本実施形態では、営業時間1001は、各曜日について、1時間単位で管理される。例えば、曜日毎に、0:00〜0:59、1:00〜1:59、…等の時間帯にそれぞれ1ビットを割り当て、ビットのON/OFFで営業時間内か営業時間外かを表現する。各時間帯の決め方は任意であり、15分毎、30分毎などに時間帯を区切ってそれぞれビットを割り当てるようにしてもよい。なお、営業時間1001は、上述の有効期限情報504における開始日時901と終了日時902と同様に、営業開始時間と営業終了時間を、例えば時、分、秒を単位として記述する形式であってもよい。
制御部34は、ディジタルデータ150ごとに予め定義される再生開始条件を満たすと判別した場合であって、現在日時が営業時間1001で指定される日時に含まれる場合に、例えば後述する情報提供地点情報507に格納されるポップアップ用画像データ1205を再生してポップアップ表示させ、そうでない場合に再生しない(ポップアップ表示しない)。なお、ユーザから再生する旨の指示が合った場合であって、現在日時が営業時間1001で指定される日時に含まれる場合に、たとえば、後述する対象地点情報506に格納されるメイン画像データ1104を再生して表示させ、そうでない場合に再生しない(表示しない)ようにすることもできる。なお、メイン画像データ1104については、現在日時が営業時間1001で指定される日時に含まれない場合でも再生してもよい。
情報提供時間1002は、ディジタルデータ150を再生してもよい時間帯を示す情報である。情報提供時間1002は、ディジタルコンテンツが、たとえば提供元が午前中にのみ提供したいと希望する情報や、ランチタイムにのみ提供したいと希望する情報を含む場合などに設定される。本実施形態では、情報提供時間1002は、営業時間1001と同様に、各曜日について、1時間単位で管理され、各時間帯にそれぞれ1ビットを割り当ててビットのON/OFFで提供時間内か提供時間外かを表現する。
たとえば、広告主は、第1の時間帯(ランチタイムなど)を情報提供時間1002に設定した第1のディジタルデータと、第2の時間帯(ディナータイムなど)を情報提供時間1002に設定した第2のディジタルデータと、から構成されるディジタルコンテンツをサービス事業者に配信してもらう。このディジタルコンテンツを受信したDSRC車載器20の制御部34は、現在時刻が第1の時間帯に含まれれば第1のディジタルデータの情報提供地点情報507に含まれるデータを再生し、現在時刻が第2の時間帯に含まれれば第2のディジタルデータの情報提供地点情報507に含まれるデータを再生する。このようにすれば、DSRC車載器20は、現在時刻に相応しい情報がどれかを逐次推測してユーザに提供することができる。
次に、対象地点情報506の詳細について、図12を用いて説明する。
「対象地点」とは、典型的には、ユーザに商品・役務を提供する者であって事業者情報501に規定されるサービス事業者以外の者(以下「ショップ」と呼ぶ)が、ユーザに商品・役務を提供する所定の場所のことである。ショップが店舗を構えている場合、店舗の場所を指す。ただし、対象地点として任意の地点を設定することができる。
対象地点座標1101は、ショップの場所を緯度・経度で表した情報である。対象地点座標1101には、緯度・経度を日本測地系と世界測地系のどちらで表現するかを指定する測地系識別フラグも含まれる。制御部34は、対象地点座標1101に緯度・経度が設定されたディジタルデータ150を再生するとき、対象地点座標1101が示す位置をカーナビゲーションによる目的地や経由地に設定するためのボタン等を表示部33にモニターへ表示させ、この位置をユーザからの指示入力に応じて目的地や経由地に設定することができる。たとえば、対象地点座標1101で指定される地図上の位置には、上述のアイコン画像が表示される。
対象地点情報506には、文字データ、画像データ、音声データが含まれる。文字データには、対象地点表示テキスト1102と表示用文字データ1103がある。画像データには、静止画像データとしてメイン画像データ1104とアイコン画像データ1111が、動画像としてビデオデータ1108がある。音声データには、TTS言語データ1105と圧縮音声データ1106がある。対象地点情報506に含めることができる静止画像には、ユーザによる再生開始の指示があった場合に再生されるメイン画像と、ユーザによる再生開始の指示に関わらず地図などと共にナビゲーション画面に簡易表示されるアイコン画像とがある。
対象地点表示テキスト1102は、ショップ名をモニターに表示してユーザに通知するために用いられるテキストデータである。テキストの文字数は、モニターに表示する際、改行せず1行で表示できる程度であることが望ましい。
表示用文字データ1103は、ショップについての補足説明等をモニターに表示してユーザに通知するために用いられるテキストデータである。テキストの文字数は、最大でも全角1000文字程度とする。制御部34は、ディジタルデータ150の一覧をモニターに表示させる際、先頭から120文字程度を1ページ目として表示させ、順次2ページ目、3ページ目、…というようにページ送りしたりスクロールしたりして表示させる。
メイン画像データ1104は、所定の画像形式、所定の画像サイズ、所定の色数で作成されたメイン画像のデータ本体である。画像形式には、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、GIF(Graphics Interchange Format)、PNG(Portable
Network Graphics)、ビットマップ、などがある。操作部204がユーザから再生開始の指示を受け付けると、制御部34は、メイン画像データ1104を読み出して表示部33にモニターへ表示させる。メイン画像の表示位置は任意である。このメイン画像データ1104には、メイン画像のフォーマットを指定する情報である画像形式識別フラグが含まれる。
TTS言語データ1105は、TTS形式で作成される発話用の音声のデータ本体である。このTTS言語データ1105には、言語識別フラグと音声形式識別フラグが含まれる。言語識別フラグは、日本語、英語などを区別するためのフラグである。音声形式識別フラグは、日本語表音文字列、外国語表音文字列などを区別するためのフラグである。
圧縮音声データ1106は、所定の圧縮形式で作成された音声のデータ本体である。圧縮形式には、IMA−ADPCM(Interactive Multimedia Association - Adaptive Differential Pulse
Code Modulation)、MP3(Moving Picture Experts Group
Audio Layer-3)、AAC(Advanced Audio Coding)、CELP(Code Excited Linear Prediction)、PCM(Pulse
Code Modulation)などがある。この圧縮音声データ1106には、圧縮音声データ1106のフォーマットを指定する情報である圧縮音声形式識別フラグが含まれる。
音声再生順1107は、対象地点情報506に音声データとしてTTS言語データ1105と圧縮音声データ1106の両方が含まれている場合、どの順番で再生するかを指定する情報である。たとえば、音声再生順1107には、先に圧縮音声データ1106を再生してその後、TTS言語データ1105を再生することを示すフラグ値「0」、または先にTTS言語データ1105を再生してその後に圧縮音声データ1106を再生することを示すフラグ値「1」が設定される。たとえば、TTS言語データ1105にセリフの音声を、圧縮音声データ1106にいわゆるサウンドロゴの音声を、それぞれ格納しておき、音声再生順1107にフラグ値「0」をセットしておくと、まずサウンドロゴが再生され、その後セリフが流れる。
ビデオデータ1108は、所定の圧縮形式で作成された動画像のデータ本体である。圧縮形式には、MPEG4(Moving Picture Experts Group Layer-4)などがある。 このビデオデータ1108には、ビデオデータ1108のフォーマットを指定する情報であるビデオ形式識別フラグが含まれる。
表示用文字データ1103、メイン画像データ1104、TTS言語データ1105、圧縮音声データ1106、ビデオデータ1108を総称して「メインコンテンツデータ」と呼ぶことがある。
URL(Uniform
Resource Locator)1109は、インターネット上のウェブページを指定する記述子を格納する。典型的には、ショップが開設しているウェブページを指定する記述子であるが、記述子による指定先(リンク先)は限定されない。URL1109が設定されているディジタルデータ150を再生する場合、制御部34は、URL1109に設定されたリンク先にページをジャンプするためのボタンを表示させ、ユーザの要求に応じてページをジャンプさせることができる。
提携駐車場情報1110は、ショップが提携している駐車場に関する情報であり、後述する駐車場情報510の駐車場ID1501を用いて表される。例えば、ショップが提携している駐車場がある場合、その駐車場の固有の駐車場ID1501を提携駐車場情報1110に格納する。
アイコン画像データ1111は、所定の画像形式、所定の画像サイズ、所定の色数で作成されたアイコン画像のデータ本体である。DSRC車載器20のメモリ部25には、地図記号、道路標識などを表す画像を予め記憶しているが、ショップが独自のアイコン画像をナビゲーション画面等に表示させたい場合には、アイコン画像データ1111をディジタルデータ150に格納して配信することもできる。
なお、対象地点情報506に、対象地点表示テキスト1102、メイン画像データ1104、TTS言語データ1105(又は圧縮音声データ1106)、ビデオデータ1108のうち2つ以上が含まれている場合、制御部34は、それらのデータの再生を同じタイミングで開始することが望ましい。
次に、情報提供地点情報507の詳細について、図13を用いて説明する。
情報提供地点情報507には、対象地点情報506と同様に、再生用の画像データと音声データが含まれる。対象地点情報506に格納される画像データと音声データは、主にユーザによる再生開始の指示があったときに再生される。これに対し、情報提供地点情報507に格納される画像データと音声データは、主にDSRC車載器20が再生地点に到達したときに再生される。
再生地点は、情報提供地点情報507に格納された音声データ、画像データの再生を開始する場所のことである。たとえば、DSRC車載器20が静止画像データを格納したディジタルデータ150を受信し、このDSRC車載器20を搭載した車両100が再生地点に到達すると、DSRC車載器20の表示部33には静止画像データがポップアップ表示される。言い換えれば、車両100が再生地点に到達しないと静止画像データはポップアップ表示されない。ただし、後述するように、車両100が再生地点に到達したにも関わらず、何らかの理由により再生できなかった場合には、ユーザから再生する指示があったときに再生することができる。
本実施形態では、再生地点として最大5箇所の場所を指定することができる。ただし、4箇所以下、あるいは、6箇所以上の場所を指定できる実施形態を採用することもできることは言うまでもない。
再生地点は、緯度・経度で表される。再生地点は、1つの緯度・経度に対応する点を、いわばピンポイントで指定することができるだけでなく、ある程度の広さをもつ領域(以下「情報提供エリア」または「通信エリア」と呼ぶ)として指定することもできる。本実施形態では、緯度・経度で指定される地点を中心とし、所定距離を半径とする円で含まれる情報提供エリア内を、再生地点とすることができる。つまり、DSRC車載器20を搭載した車両100がこの情報提供エリア内のどこかに入れば、ディジタルデータ150が再生される。なお、情報提供エリアの形状は円に限られず、楕円、四角形など、任意の図形で囲まれる領域であってもよい。
情報提供中心座標1201は、情報提供エリアの中心座標であり、緯度・経度を用いて表される。情報提供中心座標1201には、対象地点座標1101と同様に、緯度・経度を日本測地系と世界測地系のどちらで表現するかを指定する測地系識別フラグも含まれる。情報提供半径1202は、情報提供エリアを定める円の半径であり、メートルを単位として表される。1組の情報提供中心座標1201と情報提供半径1202によって、1つの情報提供エリアが定まる。
ディジタルデータ150に情報提供中心座標1201が含まれ且つ情報提供半径1202が含まれない場合、再生地点は、情報提供中心座標1201で指定される地点である。DSRC車載器20を搭載した車両100がこの地点を通過すれば、ディジタルデータ150が再生される。
情報提供方向1203は、緯度や経度などを用いて、あるいは、たとえば東西南北や16方位程度のおおまかな方向を用いて表される。情報提供方向1203が設定されているディジタルデータ150は、DSRC車載器20が再生地点を情報提供方向1203が示す方向に移動している場合に再生される。つまり、DSRC車載器20が再生地点を情報提供方向1203が示す方向ではない方向に移動している場合には再生されない。ただし、左右22.5度程度の反応角度を設定し、自車の進行方向と情報提供方向1203が示す方向との差が反応角度以内であれば、両者は一致するとみなして、ディジタルデータ150を再生することが望ましい。
なお、制御部34は、センサ群(図示省略)が備える方向センサを用いて自車の進行方向を判別することができる。また、方向センサを備えなくても、制御部34は、ある時刻T1における自車の位置と、別の時刻T2における自車の位置とを結ぶ方向ベクトルから自車の進行方向を判別することもできる。
情報提供道路種別1204は、一般道路、高速道路、一方通行など、道路の種別を表す情報である。情報提供道路種別1204が設定されているディジタルデータ150は、DSRC車載器20が情報提供道路種別1204の示す道路を通過する場合に再生される。つまり、DSRC車載器20が再生地点に到達しても、情報提供道路種別1204の示す道路ではない道路を通過する場合には再生されない。
情報提供中心座標1201、情報提供半径1202、情報提供方向1203、情報提供道路種別1204のうちいずれか1つ、もしくは、これらのうち2つ以上の組み合わせによって、ディジタルデータ150の再生開始条件が設定される。ショップ(またはサービス事業者)は、自由に再生開始条件を設定することができる。たとえば、情報提供中心座標1201と情報提供半径1202と情報提供方向1203が設定されている場合、これら3つの条件をすべて満たすこと(論理積;AND)が再生開始条件となる。たとえば、情報提供中心座標1201と情報提供半径1202が設定され情報提供方向1203が設定されていない場合、情報提供中心座標1201と情報提供半径1202の2つの条件を満たすこと(AND)が再生開始条件となる。すなわち、制御部207は、情報提供中心座標1201、情報提供半径1202、情報提供方向1203、情報提供道路種別1204のうち設定されているもの同士の論理積をとって、再生開始条件とする。
ポップアップ用画像データ1205は、所定の画像形式、所定の画像サイズ、所定の色数で作成された画像データ本体である。画像形式には、JPEG、GIF、PNG、ビットマップ、などがある。画像サイズは、典型的にはメイン画像データ1104よりも小さいサイズである。制御部34は、所定の再生開始条件が満たされたと判別すると、ポップアップ用画像データ1205を読み出して表示部33に表示させる。画像の表示位置は任意であるが、典型的には画面の中央付近である。ポップアップ用画像データ1205には、メイン画像データ1104と同様に、画像のフォーマットを指定する情報である画像形式識別フラグが含まれる。
ポップアップ用TTS言語データ1206は、TTS形式で作成される発話用の音声のデータ本体である。ポップアップ用TTS言語データ1206には、TTS言語データ1105と同様に、言語識別フラグと音声形式識別フラグが含まれる。
ポップアップ用圧縮音声データ1207は、所定の圧縮形式で作成された音声のデータ本体である。圧縮形式には、IMA−ADPCM、MP3、AAC、CELP、PCMなどがある。ポップアップ用圧縮音声データ1206には、圧縮音声データ1106と同様に、ポップアップ用圧縮音声データ1206のフォーマットを指定する情報である圧縮音声形式識別フラグが含まれる。ポップアップ用画像データ1205、ポップアップ用TTS言語データ1206、ポップアップ用圧縮音声データ1207を総称して「ポップアップ用コンテンツデータ」と呼ぶことがある。
音声再生順1208は、音声再生順1107と同様に、情報提供地点情報507に音声データとしてポップアップ用TTS言語データ1206とポップアップ用圧縮音声データ1207の両方が含まれている場合、どの順番で再生するかを指定する情報である。
1つの再生地点には、1組の情報提供中心座標1201と情報提供半径1202と情報提供方向1203と情報提供道路種別1204とポップアップ用画像データ1205とポップアップ用TTS言語データ1206とポップアップ用圧縮音声データ1207と音声再生順1208の組み合わせ(再生地点データ)が対応付けられる。上述のように、本実施形態では、1つのディジタルデータ150につき、最大で5つの再生地点を設定することができ、それぞれの再生地点ごとに再生地点データを格納できる。
たとえば、ショップのある場所に上り車線を通って接近する場合と下り車線を通って接近する場合とで、上り車線用の駐車場案内と下り車線用の駐車場案内といったように異なるディジタルコンテンツをユーザの手を煩わすことなく視聴してもらうことが可能である。
情報提供地点情報507に、ポップアップ用画像データ1205とポップアップ用TTS言語データ1206(又はポップアップ用圧縮音声データ1207)の両方が含まれている場合、制御部34は、これらのデータの再生を同じタイミングで開始することが望ましい。
次に、遷移情報508の詳細について、図14を用いて説明する。
次再生情報コード1301は、DSRC車載器20が対象地点情報506に格納される画像データ等を再生しているとき、ユーザが次に再生を指示することができるディジタルデータ150を指定する情報であり、コンテンツ情報502の情報コード704に用いられる識別符号で表現される。本実施形態では、1つのディジタルデータ150は、最大で8個の次再生情報コード1301を格納することができる。ただし、7個以下、あるいは、9個以上の次再生コード1301を指定できる実施形態を採用することもできることは言うまでもない。
次に、詳細情報509の詳細について、図15を用いて説明する。
詳細情報509は、ディジタルコンテンツが複数のディジタルデータ150から構成される場合、もしくは、メモリ部25に複数のディジタルデータ150が記憶されている場合、ユーザがいち早く所望のページを探し出せるように、検索を容易にするための情報である。本実施形態では、最大で8個の詳細情報509を設定することができる。ただし、7箇所以下、あるいは、9箇所以上の詳細情報509を指定できる実施形態を採用することもできることは言うまでもない。
詳細情報データ1401は、ディジタルデータ150の内容を端的に表現するキーワードを格納する。キーワードは、任意の文字、数字、記号等を用いて設定される。1つのキーワードは、長くても全角20文字程度に収めることが望ましい。詳細情報表示用文字列1402は、上記キーワードをモニターに表示するときに用いる文字列データである。詳細情報発話用表音文字列1403は、上記キーワードを音声で出力するときに用いる発話用TTSデータである。
詳細情報509を設定することによって、ユーザは自分の見たいページを簡単に探し出せるようになり好都合である。詳細情報509は、串刺し型の画面遷移を実現するために好適である。たとえば、DSRC車載器20の電源を投入したときのトップページ等に検索ボタンを設け、ユーザから任意の文字列等の入力を受け付ける。DSRC車載器20は、受け付けた文字列等と一致するキーワードが詳細情報509に格納されているディジタルデータ150を検索してリスト表示する。リスト表示されたページの中からいずれかがユーザにより選択されると、DSRC車載器20は、選択されたページにジャンプする。
本実施形態では1つのディジタルデータ150につき8個の詳細情報509を格納できるので、8個のキーワードを設定することが可能である。しかし、詳細情報データ1401の記載形式を工夫することで、更に多くのキーワードを設定することもできる。
たとえば、詳細情報データ1401に、キーワードの区切りを表す所定の記号(例えば“_”)を挟んで、「和食_わしょく_わしよく」のような形式でキーワードを設定する。制御部34は、所定の記号が含まれる場合、その記号の位置がキーワードの切れ目であると判断し、複数のキーワードが設定されているものとみなす。この例では、制御部34は、“和食”と“わしょく”と“わしよく”のすべてがキーワードとなる。このように、いわゆるあいまい検索も可能である。
たとえば、詳細情報データ1401にキーワード“クーポン”を設定したディジタルデータ150と、設定していないディジタルデータ150とを配信する。DSRC車載器20の制御部34は、ユーザの指示により、キーワード“クーポン”が設定されているディジタルデータ150のみを抽出してモニターに表示させることができる。
なお、詳細情報データ1401のデータ領域として、所定のnビット(nは1以上の整数)を確保し、それぞれのビットに所定のキーワードを予め対応付けておき、それぞれのビットのON/OFFでキーワードを設定するようにしてもよい。例えば、「クーポン」と「新着」と「更新」の3つのキーワードに1ビットずつ割り当てておき、それぞれのビットを1又は0にセットする。ビットの値が“101”であれば、キーワード「クーポン」と「更新」が設定されていることと実質的に同じになる。
次に、駐車場情報510の詳細について、図16を用いて説明する。
駐車場情報510は、ショップの近くに存在する駐車場を案内するための駐車場データを格納する。本実施形態の情報受信装置(DSRC車載器20)は、自動車等の車両100に搭載されるため、ユーザがショップに立ち寄る(ユーザにショップへ立ち寄ってもらう)ためには駐車場に関する情報が重要である。
駐車場ID1501は、駐車場ごとにユニークに割り当てられた記号、番号である。 駐車場詳細情報1502は、駐車場ID1501が示す駐車場に関する詳しい情報を格納する。駐車場の名称や座標等の静的情報は、駐車場ID1501と共に、DSRC車載器20のメモリ部25に地図データベースとして保存されている。一方、満空情報や料金の割引情報、予約の可否、営業時間等の動的情報が、駐車場詳細情報1502として格納されている。
駐車場特記事項1503は、駐車場詳細情報1502のほかに追加すべき情報がある場合に設定される。駐車場特記事項1503には、「本日お祭り開催のため混雑が予想されます」などといったような駐車場詳細情報1501で表現できない内容を記載できる。駐車場情報発話用表音文字列1504は、駐車場詳細情報1502及び/又は駐車場特記事項1503を音声で出力するときに用いる発話用TTSデータである。
1組の駐車場ID1501、駐車場詳細情報1502、駐車場特記事項1503、駐車場情報発話用表音文字列1504が、1つの駐車場に割り当てられる。本実施形態では、最大で127箇所の駐車場情報を提供できる。ただし、126箇所以下、あるいは、128箇所以上の駐車場情報を指定できる実施形態を採用することもできることは言うまでもない。
メモリ部25は、駐車場IDと、駐車場の場所(緯度・経度)を示す情報とを対応付けて予め記憶する。制御部34は、このメモリ部25に記憶された情報から、駐車場ID1501が示す駐車場の位置を取得できる。制御部34は、取得した駐車場の位置を、ユーザの指示により、カーナビゲーションにおける目的地あるいは経由地に設定することができる。
次に、運転支援情報511の詳細について、図17を用いて説明する。
駐車場の位置は緯度・経度を用いて表現されるため、2次元マップを用いてナビゲーションを行うと、モニターには駐車場のある場所が平面的に表示される。しかし、地下駐車場や立体駐車場の場合には、緯度・経度だけでは充分に場所を案内できない可能性がある。運転支援情報511は、駐車場付近を運転する際の補助となる情報である。運転支援情報511が格納されるディジタルデータ150は、駐車場付近に設置された路側無線装置40から、表示/保存コード801で「表示する」と指定されたディジタルデータ150として送信され、制御部34は、このディジタルデータ150を受信すると、直ちに再生する。
たとえば、駐車場の近くに設置されている路側無線装置40は、当該駐車場内の道案内や、当該駐車場の周辺の交通案内(たとえば細い路地など視界が良くない場所等における「駐車場はこの先まっすぐ行ったところにあります」といった案内)を運転支援情報511に格納しているディジタルデータ150を配信する。このディジタルデータ150を受信したDSRC車載器20の制御部34は、運転支援情報511を用いて直ちに注意を促す画像や音声を出力させる。
運転支援画像データ1601は、所定の画像形式、所定の画像サイズ、所定の色数で作成された画像データ本体である。画像形式には、JPEG、GIF、PNG、ビットマップ、などがある。制御部34は、運転支援情報511を格納しているディジタルデータ150を受信すると、運転支援画像データ1601を読み出して表示部33へ表示させる。運転支援画像データ1601には、メイン画像データ1104と同様に、画像のフォーマットを指定する情報である画像形式識別フラグが含まれる。
運転支援発話用表音文字列1602は、TTS形式で作成される発話用の音声のデータ本体である。運転支援発話用表音文字列1602には、TTS言語データ1105と同様に、言語識別フラグと音声形式識別フラグが含まれる。
運転支援圧縮音声データ1603は、所定の圧縮形式で作成された音声のデータ本体である。圧縮形式には、IMA−ADPCM、MP3、AAC、CELP、PCMなどがある。運転支援圧縮音声データ1603には、圧縮音声データ1106と同様に、運転支援圧縮音声データ1603のフォーマットを指定する情報である圧縮音声形式識別フラグが含まれる。
音声再生順1604は、音声再生順1107と同様に、運転支援情報511に音声データとして運転支援発話用表音文字列1602と運転支援圧縮音声データ1603の両方が含まれている場合、どの順番で再生するかを指定する情報である。
1組の運転支援画像データ1601、運転支援発話用表音文字列1602、運転支援圧縮音声データ1603、音声再生順1604が、1つの運転支援情報となる。
次に、嗜好情報512の詳細について、図18を用いて説明する。
嗜好情報512は、サービス事業者(情報提供サーバ60)がユーザの嗜好する情報を選択して配信するために利用される。嗜好情報512は、サービス事業者が配信する情報(ディジタルデータ150)を複数項目(例えば、最大128項目)に分類して示すデータテーブル(嗜好データテーブル)であり、サービス事業者によって予め決められる。嗜好データテーブルは、サービス事業者によって随時更新可能である。
情報提供サーバ60は、たとえば、契約したユーザのDSRC車載器20から初めてアップリンク情報が送信された場合や、初回ではないもののDSRC車載器20からのアップリンク情報に含まれる嗜好情報512のバージョン(嗜好情報バージョン1701)が異なる(古い)場合等に、嗜好情報512を格納しているディジタルデータ150をDSRC車載器20に送信する。
嗜好情報バージョン1701は、嗜好情報512(即ち、嗜好データテーブル)のバージョンである。サービス事業者は、嗜好データテーブルを更新する際には、嗜好情報バージョン1701も更新する。嗜好情報表示用文字列1702は、分類項目に対応する所定の文字列をモニターに表示するときに用いる文字列データである。
嗜好情報発話用表音文字列1703は、分類項目に対応する所定の文字列を音声で出力するときに用いる発話用TTSデータである。嗜好情報表示用ネスト1704は、嗜好情報表示用文字列1702に格納される文字列を表示する際のネストの深さを示す数値である。
図19は、嗜好情報512の内容を表示部33に表示した際の画面の一例である。たとえば、分類項目「暮らし」は、更に「病院」と「ロードサービス」の2つの項目に分類される。この場合、分類項目「病院」のネストは、「暮らし」の2階層目である。仮に、分類項目「暮らし」の嗜好情報表示用ネスト1704が“0”であると、分類項目「病院」の嗜好情報表示用ネスト1704は“1”となる。
それぞれの分類項目には、所定の分類コードが予め割り当てられている。たとえば、「暮らし」に分類コード=1、「病院」に分類コード=2、「小児科」に分類コード=3、といった具合である。本実施形態では、ディジタルデータ150を最大で128種類に分類できる。ただし、127種類以下、あるいは、129種類以上に分類する実施形態を採用することもできることは言うまでもない。
たとえば、ユーザは、図19に示す画面において、所望の分類項目にチェックマークをつける等して、サービス事業者に配信して欲しい情報を選択することができる。制御部34は、その選択結果を嗜好データとして、メモリ部25に保存する。また、制御部34は、アップリンク情報に更新された嗜好データを格納して、情報提供サーバ60に送信する。情報提供サーバ60は、受信した嗜好データに基づいて、ディジタルデータ150を構築し、当該ユーザ(DSRC車載器20)に配信する。
また、路側無線装置40は、DSRC車載器20からアップリンクされた嗜好データを用いて、嗜好データに合致する内容のディジタルデータ150のみ抽出してDSRC車載器20に配信してもよい。なお、嗜好情報バージョン1701に指定されるバージョンが変わった場合、すなわち、嗜好データテーブルのバージョンが変わった場合、制御部34は、現在、メモリ部25に記憶している嗜好データを一時待避させ、新しい嗜好データテーブルを初期値でメモリ部25に記憶させた後、一時待避させた嗜好データを上書きして反映させることが望ましい。これにより、ユーザに再び嗜好データを設定し直させるような手間をかけずに済む。
なお、図20は、図6に示すID=10に含まれるコンテンツ情報をツリー構造で示した図である。図20に示すようにツリー構造で画面を遷移させ、利用者に目的とする情報を検索させる手法で、基本的には辿り着いた情報画面から、DSRC車載器20の目的地として設定したり、車両を対象地点や対象地点の提携駐車場迄誘導したりすることも可能である。また、IP接続により、特定のウェブサイトに誘導することも可能である。画面を構成する各々のコンテンツには、静止画の他、テキスト,音声合成による発話,圧縮音声,ビデオ等のマルチメディアコンテンツが設定可能のため、映像と音声による詳細説明も可能である。
マルチコンテンツフォーマットは、ダウンリンク用データとアップリンク用データそれぞれに対応して構成されている。ここで、ダウンリンク用データは、ステップS109において説明したように、主にコンテンツの配信に用いられるデータであり、アップリンク用データは、ステップS107において説明したように、ダウンリンク用データ構成の基となるデータである。
また、マルチコンテンツデータフォーマットは、図21に示すように、コンテンツの種別に応じて割り振られたIDと実データ部の情報量が記載されたヘッダ部(10バイト)と、コンテンツの実データが結合されたフレームから構成される。なお、この図21に示すフレームが複数集まって、先に説明した「アプリケーションデータ」が構成される。
続いて、DSRC車載器20から路側無線装置40に対して行なうアップリンクにおけるデータ形式について図22を用いて説明する。図22は、図1に示すDSRC車載器20から路側無線装置40に対して行なうアップリンクにおけるデータ構成例を示す図である。
アップリンク情報には、「基本情報」、「累計走行距離情報」、「嗜好データテーブルのバージョン情報」、「嗜好ジャンルデータ」、「会員情報」などが含まれる。なお、図22に示すアップリンク情報は、個人情報として扱われる可能性のある情報が含まれるため、利用者の設定によりサービス事業者が利用者と契約を交わしていることの確認が行われて、はじめてアップリンクを行なうことが望ましい。
図22に示すように、「基本情報」にはサービス事業者コードやDSRC車載器20に設定されている目的地と経由地の緯度/経度情報が含まれる。DSRC車載器20に設置されている目的地の緯度/経度情報を元に、目的地方面の情報提供を行ったり、目的地方面の情報提供地点(DSRC通信が可能な場所)等の情報を配信したりすることが可能である。なお、DSRC車載器20に設定されている経由地の緯度/経度は、最大5箇所まで登録可能であり、DSRC車載器20に設置されている経由地の緯度/経度情報を元に、経由地方面の情報提供を行ったり、経由地方面の情報提供地点(DSRC通信が可能な場所)等の情報を配信したりすることが可能である。
「累計走行距離情報」には、車両100にDSRC車載器20が搭載された時点からの走行距離が記憶される。なお、車両100の走行が開始時点からの走行距離としてもよい。「嗜好データテーブルのバージョン情報」は、DSRC車載器20が蓄積/アップリンクした嗜好データのバージョンが分かるので、アップリンクされた嗜好データ解析に利用できる。なお、嗜好データテーブルを更新する際は、利用者の煩わしさ低減のため、旧バージョンの嗜好データの設定値を新バージョンの嗜好データテーブルの設定値に反映することが好ましい。
「嗜好ジャンルデータ」には、上述した通り、最大96項目(内12項目は公共情報提供サービス用にリザーブ)の嗜好データテーブルを自由に設定することができる。サービス事業者の事業内容に応じて、利用者の嗜好に合わせて細分化した情報提供が可能となるため、配信した情報の再生率向上が見込まれる。
「会員情報」には、基本的にはダウンリンクのID=40で配信された詳細情報1〜8と同一内容を会員情報1〜8に記録することができる。本実施の形態では、この会員情報1〜8の記憶領域に情報提供サーバ60から配信されてきたコンテンツに含まれる会員特典を書き込んで、保存することで、会員特典の配布を実現している。
また、DSRC車載器20は、この会員情報1〜8の記憶領域に、DSRC接続した接続時刻や接続回数(接続情報)を書き込むようにし、その接続回数や接続時刻をアップリンク情報として路側無線装置40および情報提供サーバ60に送信するようにしてもよい。それらの情報を取得した情報提供サーバ60は、その情報に基づいて、配信するコンテンツのID=40に会員特典を付加して、路側無線装置40に送信する。路側無線装置40は、その情報をDSRC通信によりDSRC車載器20に配信する。
DSRC車載器20は、アップリンクのデータ形式中の会員情報8の欄に対し、保存できた最新の情報コードを記述するようにしてもよい。この場合、情報提供サーバ60は、通信が切断した際、会員情報8を読み取ることで、DSRC車載器20が保存できた情報が理解できるため、続きの情報から配信を行なうことが可能である。利用者は、情報配信を受ける際に通信が何らかの要因で切断しても、続きから情報配信を受けることが可能なため、通信遮断による時間的なロスを低減することが可能である。
また、アップリンク情報には、上述した項目以外にも図示外の「過去立寄地情報」や「広告視聴履歴情報」を有することとしてもよい。
続いて、上述した構成による情報提供システム10における入会処理の種類と主な流れを、図23などを参照しながら説明する。
入会処理の種類についてまず説明する。なお入会とは、路側無線装置40から配信されるコンテンツのうち、特定のコンテンツを受信しまたはDSRC車載器20に表示する権原を持つことができるようになることを指す。特定のコンテンツとは、クーポン、ポイント付与などの特典情報や他に優先して配信される最新の情報などをいう。1つの路側無線装置40からは1つのサービス事業者の情報(コンテンツ)が配信されることが多いが、複数のサービス事業者のコンテンツが配信されることもある。また、他の路側無線装置40からは、他のサービス事業者のコンテンツが配信されることがあったり、同じサービス事業者のコンテンツが配信されたりすることもある。このため、入会は、路側無線装置40毎に行うのではなく、サービス事業者毎に行う必要がある。
入会処理は、サービス事業者と契約する処理(申込処理であり事前処理)と、DSRC車載器20に対し契約したサービス事業者を登録する処理がある。サービス事業者と契約する処理は、後述するように、オフライン(紙を用いて入会)とオンライン(DSRC車載器20を使うもの、携帯電話やPCを使う等他の手段を使うもの)がある。オフラインで行う場合には、後述するようにユーザは契約したい事業者の窓口等で所定のシートにユーザが使用するDSRC車載器20のID(ASL−ID)とユーザの個人情報を事業者に通知することで契約を行う。入会処理には上述したように、オンラインによる方法A(以下「オンラインA」という)と、オフラインによる方法B(以下「オフラインB」という)が存在する。オンラインAは、DSRC車載器20を使用して行うものA1(以下「A1」という)と、入会案内などの表示はDSRC車載器20で行うものの、事前処理となる仮契約手続きは他の機器を利用して行うものA2(以下「A2」という)とが存在する。A1系は、DSRC車載器20と路側無線装置40とが共にインターネット接続可能なものである場合のシステムにおいて実行される。A2系は、DSRC車載器20と路側無線装置40のいずれ1つまたは両者がインターネット接続不能である場合のシステムにおいて実行される。
A1系は、次のステップを踏むものとなっている。
ステップS151:DSRC車載器20がエリアインすると、所定の処理がなされDSRC車載器20の表示部33にブラウザ画面が表示される。この所定の処理の中には、情報提供サーバ60の制御部66がDSRC車載器20と路側無線装置40の通信環境を判断する処理が含まれる。
ステップS152:ブラウザの画面は、入会勧誘画面となる。この画面例を図25(A)に示す。会員になることを承諾すると、仮の会員契約が成立する。この会員契約は事前処理の一部に相当する。
ステップS153:ステップ152が終了すると、その内容は情報提供サーバ60に保存される(保存処理)。
ステップS154:ステップS153の処理と共にDSRC車載器20の表示部33には本契約をするために必要となる所定番号が入った確認画面が表示される。この確認画面は、情報提供サーバ60の制御部66が送信処理をしたものである。この確認画面は、単に、会員になることを承諾する、しない、の選択画面としてもよい。この選択処理は、DSRC車載器20の制御部34が制御する。
ステップS155:ユーザは、確認画面中に記載されている所定番号をDSRC車載器20に入力する。これによって入会処理が完了する。なお、DSRC車載器20の制御部34が確認画面の中に「会員となる方は所定番号を入力して下さい」との表示や音声出力をするような制御を行うようにしてもよい。また、所定番号の入力後、表示部33に最終確認のための確認表示、たとえば「会員となる処理をしますか?」などの確認画面または音声のいずれか一方または両者を出力するようにしてもよい。
ステップS156:DSRC車載器20の制御部34は、契約したことをアップリンクタグエリアに記載する。具体的には、アップリンクタグエリアの基本情報の中に該当事業者のコードが記載される。その結果、アップリンク情報中のサービス事業者コードの欄に当該事業者のコードが記述されることとなる。
ステップS157:DSRC車載器20の制御部34は、次回のエリアインの際、または長時間のエリアインを行っているときは、ステップS156の処理の後のアップリンク時に、サービス事業者コードの欄に当該事業者のコードが記述されたアップリンク情報を路側無線装置40に送信する。送信された情報は、情報提供サーバ60に送られ、情報提供サーバ60の制御部66は、ステップS153にて保存された内容と受け取った内容とを照合し、一致すれば入会処理が完全に終了する。この時点が契約の完了となる。
A2系は、次のステップを踏むものとなっている。
ステップS161:DSRC車載器20がエリアインすると、ステップS151と同様な処理がなされ、DSRC車載器20の表示部33に会員勧誘画面が表示されるか、もしくは通知される。会員勧誘画面中には、他の通信網、たとえばインターネット網を通じての会員契約に必要な情報が表示されている。この画面例を図26に示す。この情報としては、携帯番号を通じてのホームページへのアクセスに必要なURLなどが二次元コード(たとえばQRコード(登録商標))や、会員契約が可能となるホームページのURL番号などが挙げられる。
ステップS162:ユーザは、携帯番号、パソコンなどの通信機器を利用して、かつ会員契約に必要な情報を基にして、事前処理となる会員契約が可能となるホームページへアクセスして申し込み処理をする。
ステップS163:その申し込みは、各種の手段を通じて情報提供サーバ60に保存される(保存処理)。
ステップS164:ユーザは、ステップS162によって申し込み処理をした際に、会員となるために必要な所定番号等を入手する。この入手は、申し込み処理の際に、ブラウザ上に表示されたり、その後の電子メールの受領によって行われたりする。その後は、先のステップS155,S156,S157の処理となる。
オフラインBは、他のシステムの会員契約と同種なものである。具体的には、電話による申し込み、FAXによる申し込み、申込書の郵送などによって事前処理(=契約申込)が行われる。オフラインBでは、その後、ステップS163とステップS164の処理と同様の処理が行われ、その後ステップS155,S156,S157の処理が行われる。
続いて、上述した構成による情報提供システム10において情報提供サーバ60の制御部66が行う入会と退会の一連の処理例について、図5および図24を用いて説明する。
図24は、図1に示す情報提供サーバ60の制御部66によって行われる入会と退会の一連の処理例を示すフローチャート図である。
ステップS201:まず図5に示すように、電源投入とステップS100の処理が行われる。その後、情報提供サーバ60は、DSRC車載器20がエリアインした後に、所定のDSRC通信接続処理を開始する。この処理はステップS101と同様である。
ステップS202:ステップS201の後、ステップS102と同様な処理をし、クライアントインフォメーションデータのアップリンクを行う。このアップリンクは、ステップS103の処理と同様である。
ステップS203:路側無線装置40は、特性情報中の車載機固有のID(ASL−IDなど)から該当ユーザが会員か非会員か否かを判断する。この判断は、対象となるASL−IDなどが情報提供サーバ60に保存されているので、送られてくるASL−IDなどが保存されているものと一致すれば会員と判断する。この判断は、情報提供サーバ60の制御部66で行うが、路側無線装置40で行うようにしてもよい。
ステップS204:非会員の場合には、情報提供サーバ60は、会員勧誘用のコンテンツを即時表示型でDSRC車載器20に送る。ステップS204で送られるコンテンツは、情報提供サーバ60の制御部66がDSRC車載器20の通信環境を判断して、その通信環境にとって適切なコンテンツとされる。たとえば、路側無線装置40がインターネット接続の環境を備えている場合、情報提供サーバ60は、DSRC車載器20もインターネット通信が可能であると判断したときは、DSRC車載器20に対してブラウザを起動させる指示信号を送信し、併せて契約申し込みが可能となるホームページに接続させる。
一方、路側無線装置40とDSRC車載器20のいずれか一方または両者がインターネット通信環境を備えていない場合は、情報提供サーバ60の制御部66は、図25(A)や図26に示すような入会を誘う画面を即時表示型でDSRC車載器20に送信する制御を行う。ここで即時表示型とは、DSRC車載器20の内部に蓄積されるタイプのものでなく、DSRC車載器20の表示部33にて即時に表示されるタイプのことをいう。
なお、会員勧誘用のコンテンツを配信する場合、情報提供サーバ60は次の事項(上述と重複する部分もあり)を判断基準として、どのコンテンツを配信するかを決める。(1)特性情報の内容としては、対応言語や測地系(世界測地系か日本測地系か)、対応DRM(どのようなDRMに対応しているか)、モニタ解像度(モニタあるなし、WQVGA、WVGA等)、SVG対応、ナビ部蓄積可能容量があり、それらを参考とする。(2)上述したように、ブラウザ対応に対応しているかを特性情報から判断し、DSRC車載器20によって、IP系でアクセスするためのURLを有したコンテンツを送付するか、携帯電話やPC用のURL情報(たとえばQRコード)を送るかどうかを決める。(3)他の判断としては、当該路側無線装置40がIP接続可能か否かにより、送信するデータを変更することがある。路側無線装置40がIP接続対応の場合は、上述したように、入会用の画面をIP系でPUSH配信することにより会員入会のための画面、たとえば図25(A)に示すような画面がDSRC車載器20の表示部33に直接、表示される。
配信されてきた情報をもとにユーザは、会員となるか否かを決める。会員となる希望がなければ、その旨を選択し処理を終了する。たとえば図25(A)の画面で、「しない」の欄71を選択した場合、図25(A)の入会勧誘画面は非表示となる。会員となる場合には、今すぐ会員となるか、後で会員となるかを選択する。たとえば図25(A)の画面で入会処理の欄72を選択すると、図25(B)に示す画面が現われ、その画面で「入会する」を選択すると図25(C)に示す画面が現われる。後で会員となる場合には、URL情報あるいは勧誘画面そのものを保存し、後で呼び出せるようにする。この保存の処理は、図25(A)の保存の欄73を選択することでなされる。
「今すぐ入会」を希望する場合には、現在の通信エリアを確認し、たとえばDSRC車載器20のIP接続ができるのか、WiMAXで通信できるのか、携帯電話の通信エリアなのか(地下駐車場に路側無線装置40がある場合には携帯電話でも通信できない可能性がある)を確認する。路側(情報提供サーバ60または路側無線装置40)が送ってきた情報は、DSRC車載器20の特性情報をもとにそれに相応しい情報であるが、その方式では通信できない場合には、他の代替手段(車載器にブラウザ機能があってもIP接続できない場合は、携帯電話で登録する等)で登録できるのか否かの判断を入れる。これにより、通信が可能であればユーザはオンラインで登録を行うこととなる。
ステップ205:ステップS203で会員と判断された場合、会員用のコンテンツがDSRC車載器20に配信される。なお、会員用と会員以外の両方のコンテンツを配信するようにしてもよい。
ステップS206,S207:情報提供サーバ60の制御部66は、DSRC車載器20から当該事業者コードを有するアップリンク情報があるか否かの監視を行っている(ステップS206)。当該サービス事業者に関するアップリンク情報が無い場合、制御部66は、所定時間経過したかを判定する(ステップS207)。所定時間を経過していない場合、ステップS206へ戻る。
ステップS208,S209:所定時間が経過していたら、制御部66は過去に当該事業者に関するアップリンク情報がアップリンクされた履歴があるか否かを判断する(ステップS208)。過去に履歴が無いときは、DSRC車載器20に事業者コードが登録されていないと判断され、その旨を通知する(ステップS209)。この通知も即時表示型のコンテンツとなっている。この通知画面の例を図27に示す。
報知されたユーザは、会員契約(事前処理)を済ませたが、DSRC車載器20に事業者コードを記憶させていない場合は、その場で記憶させる、または後で記憶させる、または身に覚えがないのでDSRC車載器20に登録しない、の3通りが考えられる。すぐ登録した場合は、路側がポーリングを行っているため、登録情報がアップリンクされ、通常の会員に対する制御と同じようになる。具体的には、アップリンク情報中の嗜好データにあったコンテンツを編成して、DSRC車載器20に送る(ステップS210)。また目的地情報や立ち寄り情報等を用いて、それにあったコンテンツを送信することもある。
一方、後で登録する場合や登録しないときは、路側(情報提供サーバ60,路側無線装置40)は会員情報をアップリンクしてこないと判断し、所定の即時表示型の画面(たとえば通信エリアから離れる旨の指示コンテンツ)を配信し、処理を終了する。ここで、会員ではあるがユーザがDSRC車載器20に対して登録していない場合の即時表示型のコンテンツについては、事業者コードが表示されているものが考えられる。
ステップS211以降の処理は、退会処理の一例を示すものである。この処理を説明する前に、退会処理一般について説明する。
退会処理は、入会処理と大きな違いはない。退会処理のためのコンテンツは会員となったユーザに対して、蓄積型で退会処理という嗜好データ(あるいは詳細情報にそのコンテンツが退会処理であることを示すデータを入れる)で、送信される。ユーザは、退会したい場合は、所定のボタンを押すことにより、DSRC車載器20は、退会用の画面を生成する。退会用の画面は、図25(A)と類似の画面(「入会」が「退会」に変わっている)であって、QRコード(登録商標)の表示、URLの表示、退会のための電話番号や連絡先が記載されているものが好ましいが、他のものとしてもよい。また対象地点情報としてURLも入れておき、これを利用してDSRC車載器20のブラウザを立ち上げ、退会画面へ移ることができるようにしてもよい。退会用の画面例を図28に示す。
ユーザがDSRC車載器20の事業者コードを削除することにより、DSRC車載器20はアップリンクを行わないようになる。サービス事業者は、事前処理としての契約として退会処理が行われているにもかかわらず、DSRC車載器20から当該事業者に関するアップリンク情報がアップリンクされている場合には、その旨を通知するようにしてもよい。この通知画面の例を図29に示す。この場合は契約を解除しても情報提供サーバ60がASL−IDなどを記憶していること条件となる。なお、知らないDSRC車載器20からデータがアップリンクされたことをもって退会者と判断すれば、情報提供サーバ60は、記憶しなくてもよい。
ユーザは、サービス事業者との契約の解除以外にも、その事業者に関するアップリンク情報をアップリンクしない(DSRC車載器20からサービス事業者のデータが削除された)ことにより退会の意思を表明することも可能である。この場合、路側無線装置40は、データをアップリンクするよう要求するが、所定回数あるいは所定期間経っても、ユーザからアップリンクされない場合、情報提供サーバ60の制御部66は契約を解除し、さらに会員として判断しないようにしてもよい。
このような退会処理、すなわちデータをアップリンクしないことによる退会処理を以下に説明する。
ステップS211〜S214:ステップS208において、過去にアップリンクされた履歴があると判定された場合、制御部66は、DSRC車載器20に、当該事業者のアップリンク情報がアップリンクされていないことを通知する(ステップS211)。そして、制御部66は、過去に同様の通知を行ったかを確認し(ステップS212)、行っていない場合、その対象となるDSRC車載器20のASL−IDなどを記載し、アップリンクしていない旨の通知を行っている場合は、該当するASL−IDに対応づけられた通知回数に「1」を加える処理をする(ステップS214)。
ステップS215〜S218:通知回数が所定回数を超えたか否かを制御部66は判定し(ステップS215)、所定回数を超えていない場合、一連の処理を終える(ステップS216)。一方、所定回数を超えている場合、事前処理となる契約申込はなされたが、正式な登録(本登録)は希望していないと制御部66は判断し、契約破棄を行う画面を生成し、DSRC車載器20に送信する(ステップS217)。この処理を終え、一連の処理が終わる(ステップS218)。
本発明の実施の形態では、ユーザが所定の事業者と会員契約を結ぶことによって、所定の事業者から有用な情報を入手することができるとともに、契約を結んでいない事業者からは多数の不要な情報が送信されないようにすることができる。また、契約の申し込みがなされた段階、すなわち事前処理の段階では、契約完了ではなく、ユーザが確実に事業者コード等をDSRC車載器20に登録(保存処理)し、アップリンクすることによって契約が完全に終了し、始めて正式な会員となることができる。そのため情報提供サーバ60や路側無線装置40の側から強制的にまたは半強制的に、ユーザを会員とさせることはなくなり、ユーザにとって真に会員となりたい事業者のみを対象として会員となることができる。
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。たとえば、情報提供サーバ60が、送信処理によって事前処理を受信したとき、情報提供サーバ60の制御部66は、その内容に合わせ入会処理または退会処理が完了したことを伝える情報(画面または通知)を、端末となるDSRC車載器20に送信するようにしてもよい。
また、入会勧誘画面としては、図30に示すように、二次元コードを有しない画面としてもよい。また、会員へのコンテンツ配信が終了した際には、情報提供サーバ60は、他の会員との通信が行えるように、コンテンツ配信が終了した会員(DSRC車載器20)に通信エリアから立ち退くことを促す画面(たとえば図31の画面)を即時表示型のデータで送信するようにしてもよい。なお、路側無線装置40は、駐車場の入り口または出口など、車両100が低速で走行すると共に、長時間停止することが無い場所に設置されれば、図31に示すような通知は必要なくなるので、そのような場所に路側無線装置40を設置するようにしてもよい。
また、退会処理の際に、事業者コードが削除されるが、事業者コードの削除に併せ、会員向けの特典、たとえばクーポンやポイントなどが削除されるようにするのが好ましい。また、事前処理の後に、事業者コードを削除するまでに長時間を要することも考えられ、会員向けの特典の有効期間は、短期間とするのが好ましい。たとえば、配信時から72時間としたり、配信日を含め、7日間としたりするのが好ましい。
また、基地局に情報提供サーバ60の機能を持たせるようにしてもよい。すなわち、路側無線装置40の制御部44が、情報提供サーバ60の制御部66と同様な機能を有し、情報提供サーバ60が行っている処理のすべてまたは一部を路側無線装置40が行う形態としてもよい。さらに、上記実施の形態では、DSRC端末としてのDSRC車載器20を用いている。この他にもたとえば、DSRC端末としてDSRC通信機能を備えた形態電話やPDAを用いてもよい。また通信方式としては、DSRC方式以外に、広域通信方式など他の通信方式を採用することができる。
また、上記実施の形態では、基地局としては、主に道路沿いに設置される路側無線装置40を用いている。この他にもたとえば、基地局として駐車場や該当などに設置される通信機能を備えた無線装置を用いてもよい。また基地局の管理者は、配信されるコンテンツに関係する業者ではなく、その業者と契約を結んで基地局を運営する者、すなわちサービス提供事業者以外の者が基地局を設置し、管理する形式としてもよい。
また、上記実施の形態に係るDSRC車載器20は、図3に示すようにDSRC部21と、ナビ部27と、制御部34とで構成している。この他にもたとえば、「JEITA TT−6003」で示されるITS車載器のように料金決済が可能なETC(Electronic Toll Collection system)処理部(不図示)、料金決済時に使用するICカードを挿入するICカードインタフェース部(不図示)などを備えていてもよい。また、端末としては、ナビゲーション機能を持たないものとしたり、車両100に常時設置されない携帯可能な装置としたりしてもよい。
また、上記実施の形態に係るDSRC車載器20のDSRC部21は、3.5GHz帯DSRC通信機能を有している。この他にもたとえば、「JEITA TT−6003」で示されるITS車載器のように、光VICSインタフェース,FMVICSインタフェース,2.5Ghz帯DSRC通信用インタフェース、その他のメディアとの通信インタフェースを備えていてもよい。
また、上記実施の形態に係る情報提供システム10におけるトランザクションでは、図5に示すように、ステップS107のアップリンク情報の通知後にステップS108によるアップリンク情報の更新有無を確認するポーリングを行なっている。この他にもたとえば、このステップS107の通知後にVICSフォーマットによる公共情報などのデフォルトコンテンツを情報提供サーバ60が配信してもよい。
また、上述の実施の形態の情報提供システム10が有する各構成ブロックの機能は、全てまたはその一部をソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。たとえば、制御部34,66における処理の全部またはその一部は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現しても良く、その少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。
また、たとえば、DSRC車載器20を装置の全部または一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリーカード、CD(compact disc)、DVD(digital versatile disk)、MO(magneto−optical)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータ、たとえば、携帯電話、オーディオ機器、電子時計等にインストールし、DSRC車載器20として動作させ、あるいは、DSRC車載器20が行う工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、たとえば、搬送波に重畳させて、DSRC車載器20となるコンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。