JP5163056B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
このような問題に対し、特許文献1〜5には、ラジカル重合可能な樹脂を用いることにより、低温かつ短時間で接着し得る材料が記載されている。
また、特許文献4〜6に記載の回路接続材料は、高温高湿下に放置された後に接着性が著しく低下する場合があり、また、ポリイミドに対する接着性を更に向上させる余地があった。また、特許文献4〜6に記載の材料は、熱圧着する際の材料の流動性については十分考慮されていなかった。
本発明の第1態様の硬化性樹脂組成物(以下「第1態様の組成物」ともいう。)は、ガラス転移温度が50℃以下のポリエステルウレタン(A)に由来する構造およびガラス転移温度が50℃を超えるポリエステルウレタン(B)に由来する構造を有する重合体(C)と、ラジカル重合性化合物(D)と、ラジカル開始剤(E)とを含有する硬化性樹脂組成物である。
また、本発明の第2態様の硬化性樹脂組成物(以下「第2態様の組成物」ともいう。)は、ガラス転移温度が50℃以下のポリエステルウレタン(A)と、ガラス転移温度が50℃を超えるポリエステルウレタン(B)と、ラジカル重合性化合物(D)と、ラジカル開始剤(E)とを含有する硬化性樹脂組成物である。
第1態様および第2態様の組成物に用いられるポリエステルウレタン(A)は、ガラス転移温度が50℃以下のポリエステルウレタンである。
第2態様の組成物は、このガラス転移温度が50℃以下のポリエステルウレタン(A)と、後述するガラス転移温度が50℃を超えるポリエステルウレタン(B)とを併用することにより、熱圧着時に適度な流動性を有する。
ポリエステルウレタン(A)のガラス転移温度は、粘接着性を有する点から50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。また、フィルム形成性を保つ点から−30℃以上が好ましく、−10℃以上がより好ましい。
また、ポリエステルウレタン(A)としては、ジメチロールブタン酸残基および/またはジメチロールプロピオン酸残基を含むものがポリイミドに対する接着性に優れる点から好ましい。
なお、本明細書において、芳香族ジカルボン酸残基は、芳香族ジカルボン酸からカルボキシ基を除いた構造を意味する。ジメチロールブタン酸残基は、ジメチロールブタン酸からカルボキシ基とヒドロキシ基とを除いた構造を意味する。ジメチロールプロピオン酸残基は、ジメチロールプロピオン酸からカルボキシ基とヒドロキシ基とを除いた構造を意味する。
また、芳香族ジカルボン酸は、芳香環とこの芳香環に結合したカルボキシ基を2個有する化合物をいう。
上記ポリエステル(a1)の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
上記長鎖ジカルボン酸は、炭素数20以上のジカルボン酸であり、例えば、エイコサン二酸、ドコサン二酸、ダイマー酸等が挙げられる。
上記長鎖グリコールは、重量平均分子量400〜6000のグリコールであり、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,3−プロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
また、硬化後の収縮を抑えるという点から、50KOHmg/g以下が好ましい。
また、ポリエステルウレタン(A)の重量平均分子量は、他の成分との相溶性を損なわないという点から1,000,000以下が好ましい。
第1態様および第2態様の組成物に用いられるポリエステルウレタン(B)は、ガラス転移温度が50℃を超えるポリエステルウレタンである。
ポリエステルウレタン(B)のガラス転移温度は、耐熱性に優れる点から50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。また、柔軟性に優れる点から120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。
また、ポリエステルウレタン(B)としては、ジメチロールブタン酸残基および/またはジメチロールプロピオン酸残基を含むものがポリイミドに対する接着性に優れる点から好ましい。
また、硬化後の収縮を抑えるという点から、50KOHmg/g以下が好ましい。
また、ポリエステルウレタン(B)の重量平均分子量は、他の成分との相溶性を損なわないという点から1,000,000以下が好ましい。
第1態様の組成物に用いられる重合体(C)は、ガラス転移温度が50℃以下のポリエステルウレタン(A)に由来する構造およびガラス転移温度が50℃を超えるポリエステルウレタン(B)に由来する構造を有する重合体である。
第1態様の組成物は、重合体(C)を含有することにより、熱圧着時に適度な流動性を有する。
これらのポリイソシアネート化合物の中でも、柔軟な骨格を形成できるという点から、HDIが好ましい。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、硬化後の収縮を抑えるという点から、50KOHmg/g以下が好ましい。
第1態様および第2態様の組成物に用いられるラジカル重合性化合物(D)は、ラジカルにより重合する官能基を有する化合物であれば特に限定されない。
ラジカル重合性化合物(D)としては、例えば、(メタ)アクリレート、マレイミド化合物等が挙げられる。ラジカル重合性化合物(D)は、モノマー、オリゴマーいずれの状態でも用いることができ、モノマーとオリゴマーとを併用することもできる。
また、必要に応じて、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類等の重合禁止剤を併用してもよい。
上記ラジカル重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(2)中、R2は水素原子またはアクリロイル基を表す。
上記式(3)中、R3はメチル基またはヒドロキシ基を表し、メチル基であるのが好ましい。R4は炭素数2または3のアルキレン基を表し、具体的には、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。nは0〜2の整数を表す。
上記式(4)中、rは1〜5の整数を表す。
ラジカル重合性化合物(B)としては、下記式(1′)、(2′)、(3−1)、上記式(4)で表される化合物、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種が、ポリイミドに対する接着性により優れる組成物が得られる点から好適に挙げられる。
また、新中村化学工業社製のU−324A、UA−512、UA−340P等のウレタン(メタ)アクリレート;NKオリゴ EA−1020等のビスフェノールA型エポキシアクリレート;NKオリゴ EA−6320等のフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート;NKオリゴ EA−6340、NKオリゴ EA−7140、NKオリゴ EA−7440等のカルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート;NKエステル A−BPE−10、NKエステル A−BPE−20、NKエステル BPE−500等のエトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;NKエステル AMP−20GY、NKエステル AMP−60G等のフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等;共栄社化学社製のエポキシエステル3000A、エポキシエステル3002M、エポキシエステル80MFA、DCP−A等も好適に挙げられる。
第1態様および第2態様の組成物に用いられるラジカル開始剤(E)は、特に限定されず、公知のラジカル開始剤を用いることができる。
ラジカル開始剤(E)としては、例えば、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシケタール、シリルパーオキサイド等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも高反応性である点からパーオキシエステルが好ましい。
第1態様および第2態様の組成物は、ポリイミドに対する接着性、耐湿熱性、耐屈曲性および顔料分散性に優れる点から、更に、ポリアミドを含有するのが好ましい態様の1つである。
上記ポリアミドは、主鎖中にアミド結合を有する重合体であれば特に限定されない。
ポリアミドとしては、具体的には、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン類等の脂肪族、脂環族または芳香族の炭素数が4以上のジアミンと、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、重合脂肪酸等の脂肪族、脂環族または芳香族の炭素数が6以上のジカルボン酸とから製造されるポリアミド;ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナン酸、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等の炭素数が6以上のアミノカルボン酸から製造されるポリアミド;カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウロラクタム等の炭素数が6以上のラクタムから製造されるポリアミド;これらの共重合ポリアミド、またはこれらの混合ポリアミド等が挙げられる。
これらの中でも、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とから製造されるポリアミド、ヘキサメチレンジアミンと重合脂肪酸とアゼライン酸またはセバシン酸とから製造されるポリアミド、12−アミノドデカン酸から製造されるポリアミド、カプロラクタムから製造されるポリアミドが好ましい。
具体的には、例えば、プリポール1009、プリポール1004、プリポール1010(以上ユニケマ社製)やエンポール1010(ヘンケル社製)等が好適に挙げられる。
これらポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量は200〜3000であることが好ましい。
R6は、炭素数6〜22の脂肪族または芳香族ジカルボン酸からカルボキシ基を除いた残基を表す。
R8は、炭素数20〜48のダイマー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とする重合脂肪酸からカルボキシ基を除いた残基を表す。
R10は、炭素数6〜22の脂肪族もしくは芳香族ジカルボン酸からカルボキシ基を除いた残基、または、炭素数20〜48のダイマー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とする重合脂肪酸からカルボキシ基を除いた残基を表す。
特に、ポリエステルアミドの溶剤への溶解性および力学的性質に優れる点から、脂環族ジアミン類が好ましい。
特に、ポリエステルアミドの溶剤への溶解性および力学的性質に優れる点から、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ二酸が好ましい。
特に、プリポール1004,1009,プリポール1010(以上ユニケマ社製)やエンポール1008(コグニス社製)等の市販品が好ましい。これらの混合物およびエステル誘導体も好ましい。
この範囲であると、コポリアミド成分(a)とポリエステル成分(b)との相溶性、コポリアミド成分(a)の凝集性(結晶性)、得られる組成物のポリイミドに対する接着性に優れる。
特に、ポリエステルアミドの溶剤への溶解性、力学的性質に優れる点から、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ダイマージオールが好ましい。好ましく用いられる重合脂肪酸の誘導体であるダイマージオールとしては、ベスポールHP−1000(東亞合成社製),Pripol2033(ユニケマ社製),SpeziolC36/2(コグニス社製)等の市販品が挙げられる。
本明細書で、「重合脂肪酸の誘導体」と記載する場合には、上記のようなダイマージオールを含む場合がある。
ポリエステル成分(b)としては、炭素数2〜6の置換または非置換の脂肪族ジオールおよび/または脂環式ジオールと、炭素数20〜48のダイマー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とする重合脂肪酸およびそのエステル誘導体より得られるポリエステル成分、ならびに、炭素数6〜22の脂肪族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸およびそのエステル誘導体と、炭素数20〜48のダイマー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とする重合脂肪酸から誘導されるダイマージオールより構成されるポリエステル成分が好適に挙げられる。
この範囲であると、ポリエステルアミドの溶剤に対する溶解性、耐水性、柔軟性、ポリイミドに対する接着性等に優れる。
ポリエステルアミドの末端カルボキシ基濃度は、0.1〜30mgKOH/gであるのが好ましく、0.5〜15mgKOH/gであるのがより好ましい。この範囲であると、ポリイミドに対する接着性、耐湿熱性、耐屈曲性および顔料分散性により優れる。
例えば、上記コポリアミド構成成分を重縮合反応により進行させ、末端に官能基を有したコポリアミドを合成した後、コポリアミドの存在下、上記ポリエステル構成成分を重合させる方法等によって行う事ができる。この重縮合反応は、通常、第一段階としてアミド化反応を進行させ、第二段階にエステル化反応を進行させる事により実施される。
コポリアミド成分とポリエステル成分との反応は、透明で均質な溶液状態で進行させるのが好ましく、不均一で濁った状態では、反応が効率よく進行しない。
このように、コポリアミド成分とポリエステル成分とを効率よく反応させるためには、減圧下、好ましくは、10mmHg以下で反応を進行させるのが好ましい。反応温度が180℃未満であると、反応速度が小さく、また、系の重合粘度が高くなるので、効率的な重縮合反応が困難となる。一方、反応温度が270℃を超えると、分解、着色反応が起こりやすくなり、好ましくない。
触媒については、特に限定されるものではなく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグルシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、タングステン、スズ、アンチモン、セリウム、ホウ素、マンガン、ジルコニウム等の金属;有機金属化合物;有機酸塩;金属アルコキシド;金属酸化物;等が挙げられる。より好ましいものとしては、テトラブトキシチタン、酢酸カルシウム、炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニル、ジアシル第一スズ、テトラアシル第二スズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、スズジオクタノエート、スズテトラアセテート、トリイソブチルアルミニウム、テトラブチルチタネート、テトラプロポキシチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、二酸化ゲルマニウム、タングステン酸、酸化アンチモン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような安定剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,3−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネート等の熱安定剤;が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶剤は、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
また、第1態様の組成物においては重合体(C)が(第2態様の組成物においてはポリエステルウレタン(A)および/またはポリエステルウレタン(B)が)、カルボキシ基を酸価として5.0KOHmg/g以上含む場合、ポリイミドに対する接着性、耐湿熱性および顔料分散性により優れる。
また、第1態様の組成物においては重合体(C)の重量平均分子量(第2態様の組成物においてはポリエステルウレタン(A)および/またはポリエステルウレタン(B)の重量平均分子量)が、100,000を超えると、耐屈曲性により優れる。
また、第1態様および第2態様の組成物は、ポリアミドとしてポリエーテルエステルアミドおよび/またはポリエステルアミドを含有する場合、ポリイミドに対する接着性、耐湿熱性、耐屈曲性および顔料分散性に特に優れる。
したがって、第1態様および第2態様の組成物は、ポリイミド材料同士あるいはポリイミド材料と他の材料とを接合するための接着剤として好適に用いられる。
(合成例1)
ポリエステルウレタン(A)(テレフタル酸に由来する構造を含むポリエステルウレタン、バイロンUR3500、東洋紡績社製、酸価35KOHmg/g、重量平均分子量110,000、ガラス転移温度10℃、樹脂固形分濃度40質量%(溶剤 トルエン)以下同じ)75g、ポリエステルウレタン(B)(テレフタル酸に由来する構造を含むポリエステルウレタン、バイロンUR1700、東洋紡績社製、酸価26KOHmg/g、重量平均分子量360,000、ガラス転移温度92℃、樹脂固形分濃度30質量%(溶剤 メチルエチルケトン)、以下同じ)75g、ヘキサメチレンジイソシアネート(デュラネート、旭化成ケミカルズ社製)2.2g、ジブチルスズジラウレート(キシダ化学社製)0.05gを混合し、80℃で12時間反応させて、重合体(C)を得た。
下記第1表に示す各成分を、第1表に示す割合(質量部)で、撹拌機を用いて混合し、第1表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、下記に示す方法により、ポリイミドに対する接着性(初期)、耐湿熱性、熱圧着時の流動性、耐屈曲性および顔料分散性を評価した。
結果を第1表に示す。
ポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)、東レ・デュポン社製、厚さ25μm)を2枚用意し、一方のポリイミドフィルムに得られた各組成物を塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥してトルエンを除去した。次に、このフィルムの組成物塗布面に、他方のポリイミドフィルムを貼り合わせ、3MPa、160℃の条件で10秒間熱プレスして接着させた後、1cm幅に切り出し、試験片を作製した。
得られた試験片にて、剥離試験機(イマダ社製)により、試験温度23℃、引張速度50mm/minで180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。この値を剥離強度(初期)とした。
上記<ポリイミドに対する接着性(初期)>のように作製した試験片を85℃、85%RHの条件下で500時間放置した後、上記と同様に剥離強度を測定した。
ポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)、東レ・デュポン社製、厚さ25μm)を2枚用意し、一方のポリイミドフィルムに得られた各組成物を縦500mm、横500mmになるように塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥して溶剤を除去して、厚み25mmのフィルム状組成物を得た。次に、このフィルムの組成物塗布面に、他方のポリイミドフィルムを貼り合わせ、3MPa、160℃の条件で10秒間熱プレスして接着させた。熱圧着後の組成物を目視にて観察し、下記式により熱圧着による組成物の広がり(%)を求めた。
得られた各組成物をPETフィルム(ルミラー、東レ社製、厚さ100μm)上に塗布し、150℃で20分間乾燥させて厚さ100μmの被膜を形成させて試験片を得た。
得られた試験片を1〜2秒で180度折り曲げを行い、折り曲げ部分の表裏両面共に異常のなかったものを「○」とし、少なくともどちらか一方の面に亀裂または剥離等の異常があったものを「×」とした。
得られた各組成物に酸化チタン(JR−310、テイカ社製)を各組成物中のポリエステルウレタン100質量部に対して50質量部加えて混合した後、ガラス板にバーコーター(マイクロメーター付きフィルムアプリケーター、Sheen社製)で塗布した。これを150℃で20分間乾燥して、厚さ40μmの着色塗膜を得た。
JIS K5400−1990に準じて、60度鏡面光度計(ハンディ型光沢計 PG−1、日本電色工業社製)を用いて60度鏡面反射率を測定した。
反射率が高いほど、塗膜の表面の光沢度合いが高く、顔料分散性に優れていると言える。
第1表中の各成分は下記のとおりである。
・ラジカル重合性化合物(D−1):ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、DCP−A、共栄社化学社製
・ラジカル重合性化合物(D−2):イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、アロニックスM−315、東亞合成社製
・ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体:TPAE−32、富士化成工業社製
・ポリエステルアミドブロック共重合体:TPAE−617、富士化成工業社製
・ラジカル開始剤(E):2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、パーヘキシン25B、日本油脂社製
一方、実施例1〜8は、ポリイミドに対する接着性、耐湿熱性、耐屈曲性および顔料分散性に優れ、熱圧着時の流動性も良好だった。
Claims (16)
- ガラス転移温度が50℃以下のポリエステルウレタン(A)に由来する構造およびガラス転移温度が50℃を超えるポリエステルウレタン(B)に由来する構造を有する重合体(C)と、ラジカル重合性化合物(D)と、ラジカル開始剤(E)とを含有し、
前記重合体(C)が、前記ガラス転移温度が50℃以下のポリエステルウレタン(A)、前記ガラス転移温度が50℃を超えるポリエステルウレタン(B)およびポリイソシアネート化合物を反応させて得られ、
前記ポリエステルウレタン(A)と前記ポリエステルウレタン(B)との質量比が、1/9〜9/1である、硬化性樹脂組成物。 - 前記重合体(C)が、カルボキシ基を酸価として5.0KOHmg/g以上含む請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記重合体(C)の重量平均分子量が、200,000〜5,000,000である請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記重合体(C)のガラス転移温度が、−30〜100℃である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ラジカル重合性化合物(D)の含有量が、前記重合体(C)100質量部に対して2〜200質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に、ガラス転移温度が50℃以下のポリエステルウレタン(A)および/またはガラス転移温度が50℃を超えるポリエステルウレタン(B)を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリエステルウレタン(A)の含有量が、前記重合体(C)100質量部に対して5〜100質量部である請求項6に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリエステルウレタン(B)の含有量が、前記重合体(C)100質量部に対して5〜100質量部である請求項6または7に記載の硬化性樹脂組成物。
- ガラス転移温度が50℃以下のポリエステルウレタン(A)と、ガラス転移温度が50℃を超えるポリエステルウレタン(B)と、ラジカル重合性化合物(D)と、ラジカル開始剤(E)とを含有し、
前記ポリエステルウレタン(B)の含有量が、前記ポリエステルウレタン(A)100質量部に対して5〜100質量部である、硬化性樹脂組成物。 - 前記ポリエステルウレタン(A)が、カルボキシ基を酸価として5.0KOHmg/g以上含む請求項9に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリエステルウレタン(A)の重量平均分子量が、100,000を超える請求項9または10に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリエステルウレタン(B)が、カルボキシ基を酸価として5.0KOHmg/g以上含む請求項9〜11のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリエステルウレタン(B)の重量平均分子量が、100,000を超える請求項9〜12のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ラジカル重合性化合物(D)の含有量が、前記ポリエステルウレタン(A)100質量部に対して2〜200質量部である請求項9〜13のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に、ポリアミドを含有する請求項1〜14のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリアミドが、ポリエーテルエステルアミドおよび/またはポリエステルアミドである請求項15に記載の硬化性樹脂組成物。
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