JP5315623B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
このような問題に対し、特許文献1〜3には、ラジカル重合可能な樹脂を用いることにより、低温かつ短時間で接着し得る材料が記載されている。
また、特許文献4に記載の回路接続材料は、高温高湿下に放置された後に接着性が著しく低下する場合がある。また、特許文献4にはポリイミドに対する十分な接着強度が得られる旨記載されているが、更に接着性を向上する余地があった。
(1)カルボキシ基を酸価として5.0KOHmg/g以上含むポリエステルウレタン(A)と、ラジカル重合性化合物(B)と、ラジカル開始剤(C)とを含有する硬化性樹脂組成物。
(2)前記ポリエステルウレタン(A)の重量平均分子量が、100,000を超える上記(1)に記載の硬化性樹脂組成物。
(3)前記ポリエステルウレタン(A)が、芳香族ジカルボン酸残基を含む上記(1)または(2)に記載の硬化性樹脂組成物。
(4)前記芳香族ジカルボン酸残基が、テレフタル酸残基である上記(3)に記載の硬化性樹脂組成物。
(5)前記ポリエステルウレタン(A)が、ジメチロールブタン酸残基および/またはジメチロールプロピオン酸残基を含む上記(1)または(2)に記載の硬化性樹脂組成物。
(6)前記ポリエステルウレタン(A)のガラス転移温度が、0℃以上である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(7)前記ラジカル重合性化合物(B)の含有量が、前記ポリエステルウレタン(A)100質量部に対して2〜200質量部である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
本発明の硬化性樹脂組成物(以下「本発明の組成物」ともいう。)は、カルボキシ基を酸価として5.0KOHmg/g以上含むポリエステルウレタン(A)と、ラジカル重合性化合物(B)と、ラジカル開始剤(C)とを含有する硬化性樹脂組成物である。
本発明の組成物に用いられるポリエステルウレタン(A)は、カルボキシ基を有するポリエステル(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)とを反応させて得られる化合物である。
また、ポリエステルウレタン(A)としては、ジメチロールブタン酸残基および/またはジメチロールプロピオン酸残基を含むものがポリイミドに対する接着性に優れる点から好ましい。
なお、本明細書において、芳香族ジカルボン酸残基は、芳香族ジカルボン酸からカルボキシ基を除いた構造を意味する。ジメチロールブタン酸残基は、ジメチロールブタン酸からカルボキシ基とヒドロキシ基とを除いた構造を意味する。ジメチロールプロピオン酸残基は、ジメチロールプロピオン酸からカルボキシ基とヒドロキシ基とを除いた構造を意味する。
また、芳香族ジカルボン酸は、芳香環とこの芳香環に結合したカルボキシ基を2個有する化合物をいう。
上記ポリエステル(a1)の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
上記長鎖ジカルボン酸は、炭素数20以上のジカルボン酸であり、例えば、エイコサン二酸、ドコサン二酸、ダイマー酸等が挙げられる。
上記長鎖グリコールは、重量平均分子量400〜6000のグリコールであり、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,3−プロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
また、硬化後の収縮を抑えるという点から、50KOHmg/g以下が好ましい。
また、ポリエステルウレタン(A)の重量平均分子量は、他の成分との相溶性を損なわないという点から1,000,000以下が好ましい。
ポリエステルウレタン(A)としては、より高い接着性が得られる点からバイロンUR3500(酸価:35KOHmg/g)が好ましく、耐熱性に優れる点からバイロンUR2300が好ましく、耐熱性と接着性のバランスに優れる点からUR2300とUR1700とを併用するのが好ましい。
本発明の組成物に用いられるラジカル重合性化合物(B)は、ラジカルにより重合する官能基を有する化合物であれば特に限定されない。
ラジカル重合性化合物(B)としては、例えば、(メタ)アクリレート、マレイミド化合物等が挙げられる。ラジカル重合性化合物(B)は、モノマー、オリゴマーいずれの状態でも用いることができ、モノマーとオリゴマーとを併用することもできる。
また、必要に応じて、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類等の重合禁止剤を併用してもよい。
上記ラジカル重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(2)中、R2は水素原子またはアクリロイル基を表す。
上記式(3)中、R3はメチル基またはヒドロキシ基を表し、メチル基であるのが好ましい。R4は炭素数2または3のアルキレン基を表し、具体的には、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。nは0〜2の整数を表す。
上記式(4)中、rは1〜5の整数を表す。
ラジカル重合性化合物(B)としては、下記式(1′)、(2′)、(3−1)、上記式(4)で表される化合物、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種が、ポリイミドに対する接着性により優れる組成物が得られる点から好適に挙げられる。
また、新中村化学工業社製のU−324A、UA−512、UA−340P等のウレタン(メタ)アクリレート;NKオリゴ EA−1020等のビスフェノールA型エポキシアクリレート;NKオリゴ EA−6320等のフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート;NKオリゴ EA−6340、NKオリゴ EA−7140、NKオリゴ EA−7440等のカルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート;NKエステル A−BPE−10、NKエステル A−BPE−20、NKエステル BPE−500等のエトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;NKエステル AMP−20GY、NKエステル AMP−60G等のフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等;共栄社化学社製のエポキシエステル3000A、エポキシエステル3002M、エポキシエステル80MFA等も好適に挙げられる。
本発明の組成物に用いられるラジカル開始剤(C)は、特に限定されず、公知のラジカル開始剤を用いることができる。
ラジカル開始剤(C)としては、例えば、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシケタール、シリルパーオキサイド等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも高反応性である点からパーオキシエステルが好ましい。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
したがって、本発明の組成物は、ポリイミド材料同士あるいはポリイミド材料と他の材料とを接合するための接着剤として好適に用いられる。
1.ポリエステルウレタン(A)の合成
(合成例1)
乾燥したポリエステルポリオール(GK680、東洋紡績社製、以下同じ)100gを脱水したトルエン100gに溶解させ、ジメチロールブタン酸(日本化成社製、以下同じ)1.4g、ヘキサメチレンジイソシアネート(デュラネート、旭化成ケミカルズ社製、以下同じ)3.17gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート(キシダ化学社製、以下同じ)0.05gを加え、80℃で5時間反応させた。反応終了後、脱水したメチルエチルケトン56.9gを加え、固形分40質量%のポリエステルウレタン(A−1)を得た。
得られたポリエステルウレタンの重量平均分子量は340,000、酸価は5.07KOHmg/gであった。
乾燥したポリエステルポリオール100gを脱水したトルエン100gに溶解させ、ジメチロールブタン酸1.4g、ヘキサメチレンジイソシアネート2.36gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート0.05gを加え、80℃で5時間反応させた。反応終了後、脱水したメチルエチルケトン55.6gを加え、固形分40質量%のポリエステルウレタン(A−2)を得た。
得られたポリエステルウレタンの重量平均分子量は80,000、酸価は5.11KOHmg/gであった。
乾燥したポリエステルポリオール100gを脱水したトルエン100gに溶解させ、ジメチロールブタン酸0.7g、ヘキサメチレンジイソシアネート2.64gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート0.05gを加え、80℃で5時間反応させた。反応終了後、脱水したメチルエチルケトン55.0gを加え、固形分40質量%のポリエステルウレタン(A−3)を得た。
得られたポリエステルウレタンの重量平均分子量は340,000、酸価は2.50KOHmg/gであった。
下記第1表に示す各成分を、第1表に示す割合(質量部)で、撹拌機を用いて混合し、第1表に示される各組成物を得た。
得られた各組成物について、下記に示す方法により、ポリイミドに対する接着性(初期)、耐湿熱性、耐屈曲性および顔料分散性を評価した。
結果を第1表に示す。
ポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)、東レ・デュポン社製、厚さ25μm)を2枚用意し、一方のポリイミドフィルムに得られた各組成物を塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥してトルエンを除去した。次に、このフィルムの組成物塗布面に、他方のポリイミドフィルムを貼り合わせ、3MPa、160℃の条件で10秒間熱プレスして接着させた後、1cm幅に切り出し、試験片を作製した。
得られた試験片にて、剥離試験機(イマダ社製)により180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。この値を剥離強度(初期)とした。
上記<ポリイミドに対する接着性(初期)>のように作製した試験片を85℃、85%RHの条件下で500時間放置した後、上記と同様に剥離強度を測定した。
得られた各組成物をPETフィルム(ルミラー、東レ社製、厚さ100μm)上に塗布し、150℃で20分間乾燥させて厚さ100μmの被膜を形成させて試験片を得た。
得られた試験片を1〜2秒で180度折り曲げを行い、折り曲げ部分の表裏両面共に異常のなかったものを「○」とし、少なくともどちらか一方の面に亀裂または剥離等の異常があったものを「×」とした。
得られた各組成物に酸化チタン(JR−310、テイカ社製)を各組成物中のポリエステルウレタン100質量部に対して50質量部加えて混合した後、ガラス板にバーコーター(マイクロメーター付きフィルムアプリケーター、Sheen社製)で塗布した。これを150℃で20分間乾燥して、厚さ40μmの着色塗膜を得た。
JIS K5400−1990に準じて、60度鏡面光度計(ハンディ型光沢計 PG−1、日本電色工業社製)を用いて60度鏡面反射率を測定した。
反射率が高いほど、塗膜の表面の光沢度合いが高く、顔料分散性に優れていると言える。
・ポリエステルウレタン(A−4):テレフタル酸に由来する構造を含むポリエステルウレタン、バイロンUR3500、東洋紡績社製、酸価35KOHmg/g、重量平均分子量110,000、ガラス転移温度10℃
・ポリエステルウレタン(A−5):テレフタル酸に由来する構造を含むポリエステルウレタン、バイロンUR1700、東洋紡績社製、酸価26KOHmg/g、重量平均分子量360,000、ガラス転移温度92℃
・ポリエステルウレタン(A−6):テレフタル酸に由来する構造を含むポリエステルウレタン、バイロンUR1400、東洋紡績社製、酸価1KOHmg/g未満、重量平均分子量110,000、ガラス転移温度83℃
・ラジカル重合性化合物(B−1):上記式(1′)で表される化合物、M−5400、東亞合成社製
・ラジカル重合性化合物(B−2):上記式(4)で表される化合物、M−5600、東亞合成社製
・ラジカル重合性化合物(B−3):上記式(2′)で表される化合物、M−215、東亞合成社製
・ラジカル重合性化合物(B−4):上記式(3−1)で表される化合物、M−309、東亞合成社製
・ラジカル重合性化合物(B−5):ビスフェノールA型エポキシアクリレート、NKオリゴ EA−1020、新中村化学工業社製
・ラジカル重合性化合物(B−6):ウレタン(メタ)アクリレート、U−324A、新中村化学工業社製
・ラジカル開始剤(C):2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、パーヘキシン25B、日本油脂社製
一方、実施例1、参考例1〜3は、ポリイミドに対する接着性および顔料分散性に優れ、驚くべきことに湿熱老化後も接着強度の低下がほとんど無く、耐湿熱性に極めて優れていた。
重量平均分子量が特定の範囲にあるポリエステルウレタンを用いた実施例1、参考例2および3は、更に、耐屈曲性にも優れていた。
Claims (6)
- カルボキシ基を酸価として5.0KOHmg/g以上含むポリエステルウレタン(A)と、ラジカル重合性化合物(B)と、ラジカル開始剤(C)とを含有し、
前記ポリエステルウレタン(A)の重量平均分子量が、100,000を超え、
前記ポリエステルウレタン(A)が、ジメチロールブタン酸残基および/またはジメチロールプロピオン酸残基を含む、硬化性樹脂組成物。 - 前記ポリエステルウレタン(A)が、芳香族ジカルボン酸残基を含む請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記芳香族ジカルボン酸残基が、テレフタル酸残基である請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ポリエステルウレタン(A)のガラス転移温度が、0℃以上である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ラジカル重合性化合物(B)の含有量が、前記ポリエステルウレタン(A)100質量部に対して2〜200質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に顔料を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
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