JP4844677B2 - 回路接続材料、回路部材の接続構造及び回路部材の接続方法。 - Google Patents

回路接続材料、回路部材の接続構造及び回路部材の接続方法。 Download PDF

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本発明は、回路電極を有する回路部材同士を接続するための回路接続材料、回路部材の接続構造及び回路部材の接続方法に関する。
近年、精密電子機器の分野では回路の高密度化が進んでおり、電極幅、電極間隔が極めて狭くなっているため、配線の脱落、剥離や位置ずれが生じ易くなっている。この問題を解決するため、低温速硬化性に優れ、且つ、十分に長い可使時間を有する電気・電子用の回路接続材料が開発されている(例えば、特許文献1、2。)。
国際公開98/44067号パンフレット 国際公開01/015505号パンフレット
しかしながら、上記従来の回路接続部材は、接続する回路部材を構成する材料の種類によっては、接着強度が必ずしも十分でないという問題があった。特に、回路電極を支持する基板がポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン、アクリル樹脂又はガラスで形成された基板である場合や、回路部材の表面にシリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等からなる層が形成されている場合に、著しく接着強度が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン、アクリル樹脂又はガラスで形成された基板を有する回路部材や、表面にシリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等からなる層が形成されている回路部材を接続したときに、十分な接着強度が得られる回路接続材料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の回路接続材料は、光又は熱によって硬化する接着剤組成物と、ウレタン基及びエステル基を有するエステルウレタン化合物と、導電性粒子と、を含有し、エステルウレタン化合物の重量平均分子量が5000〜60000であり、基板及びこれの主面上に形成された回路電極を有する回路部材同士を接続するためのフィルム状の回路接続材料である。
本発明の回路接続材料は、接着剤組成物と、ウレタン基及びエステル基を有するエステルウレタン化合物とを併用したことにより、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン、アクリル樹脂又はガラスで形成された基板を有する回路部材や、表面にシリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等からなる層が形成されている回路部材を接続したときに、十分な接着強度が得られるものとなった。
上記接着剤組成物は、ラジカル重合性化合物及び加熱又は光によってラジカルを発生するラジカル開始剤を含有するものであることが好ましい。この場合において、金属等の無機物表面との接着強度をより一層向上できる点から、ラジカル重合性化合物は、アクリレート基又はメタクリレート基を有するリン酸エステル化合物を含むことがより好ましい。
上記エステルウレタン化合物のガラス転移温度は、50℃以上であることが好ましい。エステルウレタン化合物が、ウレタン基及びエステル基を共に有し、且つ、ガラス転移温度が50℃以上であることにより、特に高温高湿試験後の接着強度が更に高められる。エステルウレタン化合物がウレタン基及びエステル基のうち一方しか有しないものである場合、ガラス転移温度が50℃以上であると、高温高湿環境における接着強度の低下は抑制され得るものの、初期の接着強度が十分でなくなる。
また、上記エステルウレタン化合物は、芳香族基及び/又は環状脂肪族基を有することが好ましい。上記エステルウレタン化合物の重量平均分子量は27000〜60000であることがより好ましい。
本発明の回路接続材料は、導電性粒子を含有する。これにより、同一基板上の回路電極同士の絶縁状態を維持しつつ、回路部材同士をより安定して電気的に接続できる。
本発明の回路部材の接続構造は、第一の基板及びこれの主面上に形成された第一の回路電極を有する第一の回路部材と、第二の基板及びこれの主面上に形成された第二の回路電極を有する第二の回路部材とが、上記本発明の回路接続材料の硬化物からなり第一及び第二の回路部材の間に設けられた回路接続部材によって、第一の回路電極と第二の回路電極とが対峙するとともに電気的に接続されるように接続されたものである。
また、本発明の回路部材の接続方法は、第一の基板及びこれの主面上に形成された第一の回路電極を有する第一の回路部材と、上記本発明の回路接続材料からなる層と、第二の基板及びこれの主面上に形成された第二の回路電極を有する第二の回路部材とを、第一の回路電極と第二の回路電極とが対峙するようにこの順に積層した積層体を加熱及び加圧することにより、第一の回路電極と第二の回路電極とが電気的に接続されるように第一の回路部材と第二の回路部材とを接続するものである。
本発明の回路部材の接続構造は、本発明の回路接続材料により回路部材同士が接続されていることにより、回路部材同士の接着強度が高く、高温高湿下での耐久性にも優れる。また、本発明の回路部材の接続方法によれば、本発明の回路接続材料により回路部材同士が接続することにより、回路部材同士の接着強度が高く、高温高湿下での耐久性にも優れた回路部材の接続構造が得られる。
上記の回路部材の接続構造及び回路部材の接続方法において、第一及び第二の回路電極のうち少なくとも一方は、その表面が金、銀、錫、白金族の金属及びインジウム−錫酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む材料からなることが好ましい。
また、上記の回路部材の接続構造及び回路部材の接続方法において、第一及び第二の基板のうち少なくとも一方が、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む材料からなる基板であることが好ましい。あるいは、第一及び第二の回路部材のうち少なくとも一方と回路接続部材との間に、シリコーン樹脂、アクリル樹脂及びポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む層が形成されていることが好ましい。上記本発明の回路接続材料は、硬化して回路接続部材を形成したときに、これら特定の材料で構成された層との間で高い接着強度を発現する。
本発明によれば、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン、アクリル樹脂又はガラスで形成された基板を有する回路部材や、表面にシリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等からなる層が形成されている回路部材を接続したときに、十分な接着強度が得られる回路接続材料が提供される。また、本発明によれば、接着強度と、これ以外の要求特性(接続抵抗、絶縁性等)を両立することが容易である。また、本発明によれば、上記のような効果を得るための材料組成選択の幅も比較的広い。
本発明によるフィルム状の回路接続材料の一実施形態を示す断面図である。 本発明による回路部材の接続構造の一実施形態を示す断面図である。 本発明による回路部材の接続構造の他の実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、場合により図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の回路接続材料は、光又は熱によって硬化する接着剤組成物を含有する。この接着剤組成物は、ラジカル重合性化合物及び加熱又は光によってラジカルを発生するラジカル開始剤を含有するものであることが好ましい。
ラジカル重合性化合物は、活性ラジカルによって重合する官能基を有するものであり、例えば、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物が好適に用いられる。光ラジカル重合性化合物は重合性モノマー及び重合性オリゴマーのいずれであってもよい。重合性オリゴマーは一般に高粘度であるため、重合性オリゴマーを用いる場合、低粘度の重合性多官能アクリレートモノマー等の重合性モノマーを併用して粘度調整することが好ましい。
アクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物としては、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー等の重合性オリゴマーや、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の重合性モノマーが用いられる。
アクリル酸エステルとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アリルアクリレート等の、単官能若しくは多官能のアクリレートモノマーが挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、上記アクリル酸エステルと類似した化合物である、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n−ラウリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルメタクリレート等の、単官能若しくは多官能のメタクリレートモノマーが挙げられる。
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとしては、上記の他、アクリレート基又はメタクリレート基を有するリン酸エステル化合物が好適に用いられる。このリン酸エステル化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。式(1)中、nは1〜3の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。式(1)で表される化合物の具体例としては、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェートが挙げられる。このリン酸エステル化合物は、例えば、無水リン酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートの反応により、合成される。
Figure 0004844677
マレイミド化合物としては、マレイミド基を少なくとも2個以上有するものが好ましい。マレイミド基を2個以上有するマレイミド化合物としては、例えば、1−メチル−2、4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチル−ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3’−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−4−8(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4ーマレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらは単独で又は複数種組み合わせて用いられる。
ラジカル重合性化合物としては、上記の化合物を必要に応じて単独又は複数種混合して用いられる。特に、回路接続材料の硬化収縮を抑制できることや、硬化物に柔軟性を付与できることから、ウレタンアクリレートオリゴマーが好ましく、このウレタンアクリレートと重合性モノマーの1種以上を併用することがより好ましい。
加熱又は光によってラジカルを発生するラジカル開始剤としては、有機過酸化物、アゾ系化合物、光開始剤のような、加熱及び光照射のうち少なくとも何れか一方の処理により活性ラジカルを発生する化合物が用いられる。
有機過酸化物及びアゾ系化合物は、主として加熱により活性ラジカルを発生する。これらの化合物をラジカル開始剤として用いる場合、有機化酸化物及び/又はアゾ系化合物から1種または2種以上を、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選択する。
有機過酸化物は、高い反応性と十分なポットライフの両立の点から、半減期10時間の温度が40℃以上、且つ、半減期1分の温度が180℃以下であることが好ましく、半減期10時間の温度が60度以上、且つ、半減期1分の温度が170以下であることがより好ましい。また、有機化酸化物は、回路部材の回路電極(接続端子)の腐食を防止するために、塩素イオンや有機酸の含有量が5000ppm以下であることが好ましく、さらに、加熱分解後に発生する有機酸が少ないものがより好ましい。
有機化酸化物としては、具体的には、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイド等が好適に用いられる。
ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α’ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネートとしては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネト、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステルとしては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサヒドロテレフタレート等が挙げられる。
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイドとしては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
シリルパーオキサイドとしては、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が挙げられる。
これら有機化酸化物及びアゾ系化合物は、単独でまたは複数種を混合して使用することができる。また、分解促進剤、抑制剤等を併用してもよい。更に、これらの化合物をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子化合物等で被覆してマイクロカプセル化したものが、長い可使時間が得られるため、好ましい。
光開始剤としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル等のベンゾインエーテル、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン類およびその誘導体、チオキサントン類、ビスイミダゾール類等が好適に用いられる。
光開始剤を用いる場合、用いる光源の波長や所望の硬化特性等に応じて、最適な光開始剤が選択される。また、光開始剤は、必要に応じて、アミン類、イオウ化合物、リン化合物等の増感剤を任意の比率で併用してもよい。
増感剤としては、脂肪族アミン、芳香族アミン、含窒素環状構造を有するピペリジン等の環状アミン、o−トリルチオ尿素、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩、N,N’−ジメチル−p−アミノベンゾニトリル、N,N’−ジエチル−p−アミノベンゾニトリル、N,N’−ジ(β−シアノエチル)−p−アミノベンゾニトリル、N,N’−ジ(β−クロロエチル)−p−アミノベンゾニトリル、トリ−n−ブチルホスフィン等が好ましい。
あるいは、プロピオフェノン、アセトフェノン、キサントン、4−メチルアセトフェノン、ベンゾフェノン、フルオレン、トリフェニレン、ビフェニル、チオキサントン、アントラキノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、フェナントレン、ナフタレン、4−フェニルアセトフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、1−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、アセナフテン、2−ナフトニトリル、1−ナフトニトリル、クリセン、ベンジル、フルオランテン、ピレン、1,2−ベンゾアントラセン、アクリジン、アントラセン、ペリレン、テトラセン、2−メトキシナフタレン等の非色素系増感剤、チオニン、メチレンブルー、ルミフラビン、リボフラビン、ルミクロム、クマリン、ソラレン、8−メトキシソラレン、6−メチルクマリン、5−メトキシソラレン、5−ヒドロキシソラレン、クマリルピロン、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、プロフラビン、フルオレセイン、エオシンY、エオシンB、エリトロシン、ローズベンガル等の色素系増感剤を用いることができる。
ラジカル開始剤としては、以上のような光開始剤と、有機化酸化物、アゾ系化合物等の熱によりラジカルを発生する化合物とを併用してもよい。
接着剤組成物は、エポキシ樹脂及びこれの硬化剤を含有するものであってもよい。エポキシ樹脂としては、1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等を単独にあるいは2種以上を混合して用いられる。具体的には、エピクロルヒドリンとビスフェノールAやF、AD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂やナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、不純物イオン(Na、Cl等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品であることが、エレクトロンマイグレーション防止のために好ましい。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、十分に長いポットライフを得るため、潜在性硬化剤が好ましい。イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミドや、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したもの挙げられる。これらは、単独または混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を併用してもよい。
本発明の回路接続材料は、以上のような接着剤組成物と、ウレタン基及びエステル基を有する有機化合物(以下「エステルウレタン化合物」という場合がある。)とを組み合わせたものである。エステルウレタン化合物は、ウレタン基及びエステル基をその主鎖中に有することが好ましい。
このエステルウレタン化合物は、例えば、ポリエステルポリオールと、ジイソシアネートとの反応により、得られる。この反応により得られるエステルウレタン化合物は、一般に、ポリエステルウレタン樹脂と称される場合がある。
ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの、芳香族、脂環族、または脂肪族のジイソシアネートが好適に用いられる。
ポリエステルポリオールは、例えば、ジカルボン酸とジオールとの反応により、得られる。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの芳香族や脂肪族ジカルボン酸が好ましい。ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールのようなグリコール類が好ましい。
エステルウレタン化合物のガラス転移温度は、50℃以上であることが好ましい。エステルウレタン化合物は、ポリエステルポリオールやジイソシアネートの種類や、分子量等を適宜調整することにより、そのガラス転移温度を50℃以上とすることができる。
エステルウレタン化合物は、アニオン性を有することが好ましい。これにより、接着強度が更に向上する。アニオン性を有するエステルウレタン化合物は、ポリエステルポリオールとジイソシアネートとの反応の際に、側鎖にスルホン酸基やカルボキシル基を有するジオールやジアミン類を共重合させることにより得られる。
エステルウレタン化合物は、ベンゼン環等を含む芳香族基や、シクロヘキサン環等を含む環状脂肪族基を有することが好ましい。
エステルウレタン化合物は、2種類以上混合して使用することができる。例えば、芳香族ポリエステルポリオールと脂肪族ジイソシアネートとの反応により得られるものと、脂肪族ポリエステルポリオールと芳香族ジイソシアネートとの反応により得られるものとを組み合わせることができる。
エステルウレタン化合物は、重量平均分子量が5000〜100000であることが好ましい。重量平均分子量が5000未満であると、フィルム状に成形する際のフィルム形成性が低下する傾向にあり、重量平均分子量が200000を超えると、溶剤への溶解性や相溶性が低下して、フィルム状に成形するための塗工液を調製することが困難となる傾向にある。
エステルウレタン化合物は、ラジカル重合性を有する不飽和二重結合及び/またはエポキシ基を有していることが好ましい。これにより、回路接続材料を硬化するときに、接着剤組成物中のエポキシ樹脂やラジカル重合性化合物と反応して、回路接続材料の硬化物の弾性率や耐熱性が向上する。
回路接続材料は、以上説明したような成分の他、水酸基含有樹脂を含有していてもよい。水酸基含有樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアミド、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン(上記エステルウレタン化合物を除く。)などの樹脂が用いられる。この中でも、フェノキシ樹脂が特に好ましい。これらの水酸基含有樹脂を用いることにより、硬化時の応力緩和性に優れ、水酸基によって接着性が更に向上する。
水酸基含有樹脂の重量平均分子量は10000以上であることが好ましく、10000〜1000000であることがより好ましい。水酸基含有樹脂の重量平均分子量が1000000を超えると、他の成分との混合性が低下する傾向にある。また、水酸基含有樹脂のガラス転移温度は、−50℃以上であることが好ましい。
耐熱性の更なる向上のため、水酸基含有樹脂は、ラジカル重合性の官能基を有していることが、好ましい。但し、この場合には、水酸基含有樹脂は、上述のラジカル重合性化合物として用いられる。また、水酸基含有樹脂は、カルボキシル基含有エラストマー、エポキシ基含有エラストマー等によって変性されていてもよい。
回路接続材料は、応力緩和に優れるものとするため、アクリルゴムを含有することが好ましい。アクリルゴムとしては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びアクリロニトリルのうち少なくとも一種のアクリル系モノマーを重合した重合体又は共重合体が用いられる。アクリルゴムは、上記モノマーを、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートと共重合体したものであってもよい。アクリルゴムの重量平均分子量(重量平均)は、回路接続材料の凝集力を高める点から、20万以上であることが好ましい。
回路接続材料は、スチレン樹脂を含有していてもよい。スチレン樹脂は、スチレン単体を重合したものであってもよいし、スチレンを無水マレイン酸化合物、マレイミド化合物うち少なくとも1つとスチレンを共重合した共重合体であってよい。スチレン樹脂の重量平均分子量(重量平均)は、回路接続材料の凝集力を高める点から、10万以上であることが好ましい。
回路接続材料は、さらに、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤及びフェノール樹脂やメラミン樹脂、イソシアネート類等を含有していてもよい。
充填剤を含有させた場合、接続信頼性等の向上が得られるので好ましい。充填剤の最大径が導電性粒子の粒径未満であることが好ましく、その量は5〜60体積部(接着剤組成物100体積部に対して)の範囲が好ましい。60体積部を越えると信頼性向上の効果が飽和することがあり、5体積部未満では添加の効果が少ない。カップリング剤としては、ビニル基、アクリル基、アミノ基、エポキシ基、及びイソシアネート基含有物が、接着性の向上の点から好ましい。
回路接続材料は、導電性粒子を含有していることが好ましい。導電性粒子が含有されていなくとも、回路電極同士の直接接触により回路部材を接続することが可能であるが、導電粒子を含有することにより、より安定して接続することが可能となる。
導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属の粒子やカーボン粒子等が挙げられる。ポットライフを十分に長くするため、導電性粒子は、Au、Ag、白金属の金属を含むことが好ましく、Auを含むことがより好ましい。
導電性粒子は、Ni等の遷移金属や、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等で形成された粒子を核として、その表面をAu等の貴金属からなる被覆層で被覆したものであることが好ましい。このような貴金属の被覆層を有する導電性粒子は、回路接続材料を加熱及び加圧したときに変形することにより回路電極との接触面積が増加して、信頼性がより向上する。貴金属の被覆層の厚みは、良好な接続抵抗を得るためには、100オングストローム以上であることが好ましい。更に、核がNi等の遷移金属の粒子である場合には、被覆層の厚みは300オングストローム以上であることがより好ましい。被覆層の厚みが300オングストローム未満である場合、導電性粒子を樹脂中に分散する際等に被覆層の一部が欠損したときに、酸化還元作用により遊離ラジカルが発生して、回路接続材料の保存安定性が低下する傾向にある。
導電性粒子の量は、接着剤組成物100体積部に対して、0.1〜30体積部であることが好ましい。過剰な導電性粒子による隣接回路の短絡等を防止するためには、0.1〜10体積部とするのがより好ましい。
図1は、本発明によるフィルム状の回路接続材料の一実施形態を示す断面図である。フィルム状の回路接続材料1は、複数の導電性粒子5が、接着剤組成物及びエステルウレタン化合物等を含有する樹脂組成物層3中に分散した回路接続材料がフィルム状に成形されたものである。フィルム状の回路接続材料1は、例えば、支持フィルム上に回路接続材料を所定の厚みで塗工することにより、作製することができる。支持フィルムとしては、離型性を有するように表面処理されたPETフィルム等が好適に用いられる。
フィルム状の回路接続材料1は、対向する1対の回路部材同士間に挟まれた状態で加熱及び加圧されたときに、溶融流動して対峙する回路電極同士を電気的に接続した後、硬化して接着強度を発現する。したがって、フィルム状の回路接続材料1の流動性は重要である。具体的には、フィルム状の回路接続材料1(厚み35μm、5mm×5mm)を、2枚のガラス板(厚み0.7mm、15mm×15mm)の間に挟んだ状態で、150℃、2MPa、10秒の加熱及び加圧を行ったときに、回路接続材料1の初期の面積(A)と加熱及び加圧後の面積(B)を用いて表される流動性の指標(B)/(A)の値が、1.3〜3.0であることが好ましく、1.5〜2.5であることがより好ましい。(B)/(A)の値が1.3未満では流動性が不足して良好な接続が得られなくなる傾向にあり、3.0を超えると、気泡が発生して信頼性が低下する傾向にある。
フィルム状の回路接続材料1は1層のみ有するが、本発明の回路接続材料は、これに代えて、組成の異なる複数の層を有するフィルムに成形された状態で用いてもよい。特に、回路接続材料が導電性粒子を含有し、回路接続材料中の接着剤組成物が加熱又は光によってラジカルを発生するラジカル開始剤を含有する場合には、回路接続材料を、加熱又は光によってラジカルを発生するラジカル開始剤を含有する層と、導電性粒子を含有する層とを別々に有する多層のフィルムとすることが好ましい。これにより、より長い可使時間が得られる。
フィルム状の回路接続材料1は、例えば、半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品や、プリント基板等のような回路部材同士を接続するために用いられる。
図2は、本発明による回路部材の接続構造の一実施形態を示す断面図である。図2に示す回路部材の接続構造101は、第一の基板11及びこれの主面上に接着剤層12を介して形成された第一の回路電極13を有する第一の回路部材10と、第二の基板21及びこれの主面上に形成された第二の回路電極23を有する第二の回路部材20とが、上述の回路接続材料が硬化した硬化物からなり第一及び第二の回路部材10,20の間に形成された回路接続部材1aによって接続されたものである。回路部材の接続構造101においては、第一の回路電極13と第二の回路電極23とが対峙するとともに電気的に接続されている。
回路接続部材1aは、接着剤組成物及びエステルウレタン化合物等を含有する樹脂組成物の硬化物3a及びこれに分散している導電性粒子5から構成される。第一の回路電極13と第二の回路電極23とは、導電性粒子5を介して電気的に接続されている。回路接続部材1aの40℃での弾性率は100〜3000MPaであることが好ましく、500〜2000MPaであることがより好ましい。
第一の基板11は、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む樹脂フィルムである。
回路電極13は、電極として機能し得る程度の導電性を有する材料(好ましくは金、銀、錫、白金族の金属及びインジウム−錫酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種)で形成されている。複数の回路電極13が、接着剤層12を介して第一の基板11の主面上に接着されている。接着剤層12は、回路部材において通常用いられる接着剤等で形成される。
第二の基板21はガラス基板であり、第二の基板21の主面上には、複数の第二の回路電極23が形成されている。
回路部材の接続構造101は、例えば、第一の回路部材10と、上記のフィルム状の回路接続材料1と、第二の回路部材20とを、第一の回路電極13と第二の回路電極23とが対峙するようにこの順に積層した積層体を加熱及び加圧することにより、第一の回路電極13と第二の回路電極23とが電気的に接続されるように第一の回路部材10と第二の回路部材20とを接続する方法によって、得られる。
この方法においては、まず、支持フィルム上に形成されているフィルム状の回路接続材料1を第二の回路部材20上に貼り合わせた状態で加熱及び加圧して回路接続材料1を仮接着し、支持フィルムを剥離してから、第一の回路部材10を回路電極を位置合わせしながら載せて、積層体を準備することができる。
上記積層体を加熱及び加圧する条件は、回路接続材料中の接着剤組成物の硬化性等に応じて、回路接続材料が硬化して十分な接着強度が得られるように、適宜調整される。
図3は、本発明による回路部材の接続構造の他の実施形態を示す断面図である。図3に示す回路部材の接続構造102は、第一の回路部材10において、第一の基板11の主面上に第一の回路電極13が直接形成されている他は、回路部材の接続構造101と同様のものである。
回路部材の接続構造102のように、回路接続部材1aが、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂及びガラスといった材料で形成された基板と直接密着するような構成の場合、従来の回路接続材料では十分な接着強度を得ることが困難であった。これに対して、回路部材の接続構造102においては、回路接続部材1aが上記本発明の回路接続材料の硬化物であることにより、高温高湿環境下においても、十分な接着強度を維持できる。このような効果は、回路接続部材と回路部材との間に、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等を含有する層が形成されている場合にも、得られる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(ポリエステルウレタン樹脂の調製方法)
ジカルボン酸とジオールとの反応により得られたポリエステルポリオールをメチルエチルケトンに溶解した溶液を、撹拌機、温度計、コンデンサーおよび真空発生装置と窒素ガス導入管を具備したヒーター付きステンレススチール製オートクレーブに投入した。次いで、イソシアネートを所定量投入し、触媒としてジブチル錫ラウレートをポリエステルポリオール100重量部に対して0.02重量部となる量投入し、75℃で10時間反応させた後、40℃まで冷却した。さらに、ピペラジンを加えて30分反応させることにより鎖延長した後、トリエチルアミンで中和させた。
上記反応後の溶液を純水に滴下すると、溶剤及び触媒が水に溶解するとともに、エステルウレタン化合物としてのポリエステルウレタン樹脂が析出した。析出したポリエステルウレタン樹脂を真空乾燥機で乾燥し、ポリエステルウレタン樹脂を得た。
(実施例1)
(ポリエステルウレタン樹脂Aの合成)
ジガルボン酸としてのテレフタル酸、ジオールとしてのプロピレングリコール、イソシアネートにとしての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、テレフタル酸/プロピレングリコール/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのモル比が1.0/1.3/0.25となるような量で用い、上記手順に従ってポリエステルウレタン樹脂Aを得た。ポリエステルウレタン樹脂Aの重量分子量をゲル浸透クロマトグラフィーによって測定したところ、27000であった。
ポリエステルウレタン樹脂Aをメチルエチルケトンに20重量%となるように溶解したメチルエチルケトン溶液を、片面を表面処理したPETフィルム(厚み80μm)に塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥により、厚みが35μmのフィルムを形成させた。このフィルムについて、広域動的粘弾性測定装置を用い、引っ張り荷重5gf、周波数10Hzの条件で弾性率の温度依存性を測定した。得られた弾性率−温度曲線において、ガラス転移領域の前後それぞれにおけるベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移領域の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度(中間点ガラス転移温度)をポリエステルウレタン樹脂Aのガラス転移温度として求めたところ、105℃であった。
(回路接続材料)
重量平均分子量800のポリカプロラクトンジオール400重量部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート131重量部、触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.5重量部及び重合禁止剤としてのハイドロキノンモノメチルエーテル1.0重量部を、50℃に加熱しながら攪拌して混合した。次いで、イソホロンジイソシアネート222重量部を滴下し、更に攪拌しながら80℃に昇温してウレタン化反応を進行させた。イソシアネート基の反応率が99%以上になったことを確認後、温度を下げて、ラジカル重合性化合物としてのウレタンアクリレートを得た。
ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層及び厚み0.04μmの金層をこの順で形成させて、平均粒径10μmの導電性粒子を作製した。
固形分の重量で、ポリエステルウレタン樹脂A50g、ウレタンアクリレート樹脂49g、リン酸エステル型アクリレート1g、ラジカル開始剤であるt−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノネート5gとなるように各成分を混合し、更に、導電性粒子を全体の3体積%となるような量加えてこれを均一に分散させて、塗工用の分散液を得た。分散液の調製の際、ポリエステルウレタン樹脂Aはメチルエチルケトンに20質量%の濃度で溶解した溶液の状態で、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノネートは50重量%DOP溶液(日本油脂株式会社製、商品名「パーキュアHO」)の状態で、他の成分と混合した。得られた分散液を、片面を表面処理したPETフィルム(厚み80μm)に塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥して、厚み20μmのフィルム状の回路接続材料を得た。
(実施例2)
ジガルボン酸としてのイソフタル酸、テレフタル酸及びアジピン酸、ジオールとしてのエチレングリコール、ネオペンチルグリコール及び1、6−ヘキサンジオール、ジイソシアネートとしての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、イソフタル酸/テレフタル酸/アジピン酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール/1,6−ヘキサンジオール/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのモル比が0.21/0.21/0.58/0.19/0.55/0.46/0.3となるような量で用いて、上記手順に従ってポリエステルウレタン樹脂Bを合成した。ポリエステルウレタン樹脂Bの重量分子量をゲル浸透クロマトグラフィーによって測定したところ、60000であった。また、ポリエステルウレタン樹脂Bのガラス転移温度を実施例1と同様にして測定したところ、−3℃であった。
ポリエステルウレタン樹脂Aに代えて、ポリエステルウレタン樹脂Bを用いた他は実施例1と同様にして、フィルム状の回路接続材料を作製した。
(実施例3)
ポリエステルウレタン樹脂B50gのうち20gをフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名「PKHC」、重量平均分子量45000)に置き換えた以外は実施例2と同様にして、フィルム状の回路接続材料を作製した。
(比較例1)
ポリエステルウレタン樹脂Aに代えて、ポリエステルウレタン樹脂Aの合成の際に用いたポリエステルポリオール(ガラス転移温度:85℃)を用いた他は実施例1と同様にして、フィルム状の回路接続材料を作製した。
(比較例2)
ポリエステルウレタン樹脂Bに代えて、ポリエステルウレタン樹脂Bの合成の際に用いたポリエステルポリオール(ガラス転移温度:−5℃)を用いた他は実施例2と同様にして、フィルム状の回路接続材料を作製した。
(比較例3)
ポリエステルウレタン樹脂Bに代えて、ポリエステルウレタン樹脂Bの合成の際に用いたポリエステルポリオール(ガラス転移温度:−5℃)を用いた他は実施例3と同様にして、フィルム状の回路接続材料を作製した。
(比較例4)
ポリエステルウレタン樹脂Aに代えて、エステル基を有しないポリウレタン樹脂(DICバイエルポリマー株式会社製、商品名「パンデックスT−8175」)(ガラス転移温度:−30℃)を用いた他は実施例1と同様にして、フィルム状の回路接続材料を作製した。
(回路部材の接続構造の作製)
回路電極としてのクロム回路(ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み0.4μm)500本がガラス基板(コーニング社製、商品名「#1737」)上に形成された回路部材を準備した。この回路部材上に、実施例1で作製したフィルム状の回路接続材料を貼り付け、70℃、0.5MPaで5秒間加熱及び加圧してこれを仮接着した。
続いて、PETフィルムを剥離し、ポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、商品名「ユーピレックス」、厚み75μm)上に銅回路(ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μm)500本が接着剤層を介して接着された3層構造のフレキシブル回路部材(FPC1)を、フィルム状の回路接続材料上に載せ、160℃、3MPaで10秒間加熱及び加圧した。これにより、ガラス基板を有する回路部材とFPC1とを、幅2mmにわたって接続した。
また、FPC1に代えて、ポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、商品名「ユーピレックス 25S」、厚み25μm)上にライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み8μmの銅回路500本を直接形成した2層構造のフレキシブル回路板(FPC2)を用いて、上記と同様にして、ガラス基板を有する回路部材とFPC2とを、幅2mmにわたって接続した。
実施例2〜3、比較例1〜4で作製したフィルム状の回路接続材料を用い、上記と同様にして、FPC1及びFPC2を、それぞれ、ガラス基板を有する回路部材と接続した。
(接続抵抗)
作製した回路部材の接続構造について、対峙している回路電極間の抵抗値(接続抵抗)をマルチメータを用いて測定した。測定は、初期、及び85℃、85%RHの高温高湿槽中に500時間保持する高温高湿処理後について行った。表1に、抵抗値150点の平均値(x+3σ)を接続抵抗として示した。
(接着強度)
作製した回路部材の接続構造について、90°で剥離するときの接着強度を、剥離速度50mm/minで測定した。測定は、初期、及び上記と同様の高温高湿処理後について行った。
Figure 0004844677
実施例1〜3の回路接続材料を用いて接続した回路部材の接続構造は、初期における接続抵抗が十分に低く、また、高温高湿処理後の接続抵抗の上昇もほとんど認められず、高い耐久性を示した。中でも、ガラス転移温度が50℃以上のポリエステルウレタン樹脂を用いた実施例1の場合に、耐久性が特に優れていた。また、ガラス転移温度が50℃未満であるポリエステルウレタン樹脂を用いた実施例2の場合、高温高湿処理後において接続が多少緩くなって、接続抵抗の上昇が実施例1よりも相対的に大きくなったものの、実用的には許容範囲内であった。更に、ポリエステルウレタン樹脂と、ガラス転移温度が50℃以上フェノキシ樹脂とを併用した実施例3は、高温高湿処理による接続抵抗の上昇が実施例1とほぼ同等程度に抑えられた。
実施例1〜3は、FPC1及びFPC2の何れの場合においても、初期及び高温高湿処理後で6N/cm以上を維持した。この試験の場合、一般に、接着強度が6N/cm以上であれば、実用的に十分と考えられる。実施例2と実施例3との比較において、ポリエステルウレタン樹脂の含有量がより多い実施例2は、実施例3よりも高温高湿処理後の接着強度が優れていた。
これに対して、エステル結合を有しておらず、また、ガラス転移温度が−30℃と低いポリウレタン樹脂を用いた比較例4は、高温高湿処理後に接続抵抗が大きく上昇した。また、比較例4は、FPC1を用いた接続構造においては比較的良好な接着強度を示したものの、FPC2を用いた接続構造においては高温高湿処理後に接着強度が大きく低下した。比較例1〜3は、接着強度は何れも6N/cm以上であり、少なくとも接着強度の点で実用的に十分な特性を示さなかった。
1…フィルム状の回路接続材料、1a…回路接続部材、5…導電性粒子、10…第一の回路部材、11…第一の基板、12…接着剤層、13…第一の回路電極、20…第二の回路部材、21…第二の基板、23…第二の回路電極、101…回路部材の接続構造、102…回路部材の接続構造。

Claims (9)

  1. 光又は熱によって硬化する接着剤組成物と、
    ウレタン基及びエステル基を有するエステルウレタン化合物と、
    導電性粒子と、を含有し、
    前記エステルウレタン化合物の重量平均分子量が5000〜60000であり、
    基板及びこれの主面上に形成された回路電極を有する回路部材同士を接続するためのフィルム状の回路接続材料。
  2. 前記接着剤組成物が、ラジカル重合性化合物及び加熱又は光によってラジカルを発生するラジカル開始剤を含有する、請求項1記載の回路接続材料。
  3. 前記ラジカル重合性化合物が、アクリレート基又はメタクリレート基を有するリン酸エステル化合物を含む、請求項2記載の回路接続材料。
  4. 前記エステルウレタン化合物が芳香族基及び/又は環状脂肪族基を有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の回路接続材料。
  5. 前記エステルウレタン化合物の重量平均分子量が27000〜60000である、請求項1〜の何れか一項に記載の回路接続材料。
  6. 第一の基板及びこれの主面上に形成された第一の回路電極を有する第一の回路部材と、
    第二の基板及びこれの主面上に形成された第二の回路電極を有する第二の回路部材とが、
    請求項1〜の何れか一項に記載の回路接続材料の硬化物からなり前記第一及び第二の回路部材の間に設けられた回路接続部材によって、前記第一の回路電極と前記第二の回路電極とが対峙するとともに電気的に接続されるように接続された回路部材の接続構造。
  7. 前記第一及び第二の回路電極のうち少なくとも一方は、その表面が金、銀、錫、白金族の金属及びインジウム−錫酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む材料からなる、請求項記載の回路部材の接続構造。
  8. 第一の基板及びこれの主面上に形成された第一の回路電極を有する第一の回路部材と、
    請求項1〜の何れか一項に記載の回路接続材料からなる層と、
    第二の基板及びこれの主面上に形成された第二の回路電極を有する第二の回路部材とを、
    前記第一の回路電極と前記第二の回路電極とが対峙するようにこの順に積層した積層体を加熱及び加圧することにより、前記第一の回路電極と前記第二の回路電極とが電気的に接続されるように前記第一の回路部材と前記第二の回路部材とを接続する、回路部材の接続方法。
  9. 前記第一及び第二の回路電極のうち少なくとも一方は、その表面が金、銀、錫、白金族の金属及びインジウム−錫酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む材料からなる、請求項記載の回路部材の接続方法。
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