JP5159245B2 - パラジクロロベンゼンの製造方法 - Google Patents

パラジクロロベンゼンの製造方法 Download PDF

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本発明は、パラジクロロベンゼンの製造方法、特にベンゼン及びモノクロルベンゼンの少なくとも一方を原料として、ゼオライトを触媒として、塩素ガスにより塩素化してパラジクロロベンゼン(以下「p−DCB」又は「PDCB」とも表す)を製造する方法に関するものである。
p−DCBは、医薬、農薬の原料として、またそれ自体が殺虫剤、防虫剤として、さらにポリフェニレンサルファイド(PPS)の原料として工業的価値のきわめて高い化合物である。
従来、p−DCBは、塩化第二鉄、五塩化アンチモン等のルイス酸を触媒として、ベンゼン及び/又はモノクロロベンゼンを液相塩素化する製造法が知られている。塩化第二鉄は活性が高く、塩素転化率は99.99%以上に達し、副生する塩酸ガス中の未反応塩素は極微量残存する程度である。しかし、目的とするパラ置換体の選択率は触媒単独ではせいぜい60%程度で、助触媒を加えて75%程度まで引き上げている。
近年、p−DCBを選択率90%以上のものとして製造する方法として、特許文献1や特許文献2などに示されているように、触媒としてL型ゼオライトを用いる方法が開示されている。
しかし、触媒としてゼオライトを使用する方法は、いずれも実験室レベルのものであり、実装置としての稼働できる程度の具体的なものではないと思われる。ちなみに、本発明での塩素化反応は、激しい発熱反応であるために、実装置では、温度上昇を適確に抑制し、ある温度範囲に運転を維持することが非常に重要である。この点についての有効な解決手段について従来技術は教示していない。
特公昭63−12450号公報 特開2001−213815号公報
したがって、本発明が解決しようとする主たる課題は、塩素化反応が、激しい発熱反応であるにも拘わらず、温度上昇を適確に抑制し、ある温度範囲に運転を維持することができ、もって安定した運転が可能な方法を提供することにある。
他の課題は、以下の説明により明らかになるであろう。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
ベンゼン及びモノクロルベンゼンの少なくとも一方を原料として塩素ガスにより塩素化してパラジクロロベンゼンを製造する方法において、
前記原料、前記塩素ガス及びトリクロロメタンからなる冷却媒体を、ゼオライト触媒を固定床として内装した反応器にダウンフローで流通させ
前記反応器において前記冷却媒体を蒸発させて前記塩素化反応の温度上昇を抑制するとともに、
前記冷却媒体の蒸発ガス分は、反応器外で凝縮させその凝縮液を前記冷却媒体として再利用することを特徴とするパラジクロロベンゼンの製造方法。
〔請求項2記載の発明〕
ゼオライト触媒としてBEAゼオライト触媒を使用する請求項1記載のパラジクロロベンゼンの製造方法。
〔請求項3記載の発明〕
前記塩素化反応を温度40〜130℃、圧力10atm以下で行う請求項1又は2記載のパラジクロロベンゼンの製造方法。
〔請求項4記載の発明〕
前記反応器は複数段を有し、初段の反応器に前記原料、塩素ガス及び冷却媒体を供給し、前段の反応生成物を次段の反応器に供給し、次段以降に反応器には塩素ガス及び冷却媒体を並列に供給し、最終段の反応生成物からパラジクロロベンゼンを得る請求項1〜3のいずれか1項に記載のパラジクロロベンゼンの製造方法。
本発明によれば、塩素化反応が、激しい発熱反応であるにも拘わらず、温度上昇を適確に抑制し、ある温度範囲に運転を維持することができ、もって安定した運転が可能となる。
(発明の基本的な思想)
本発明では、前述のように、塩化第二鉄などの均一系触媒では、p−DCBの選択性が低いばかりでなく、触媒の分離回収の装置的な負担が大きくなる。そこで、ゼオライト触媒を使用することで、p−DCBの選択性を高め、また、固体触媒として使用することにより、再利用を可能とした。
また、前述のように、塩素化反応は、激しい発熱反応である。ちなみに、除熱しないと、400〜500℃に簡単に昇温してしまう。したがって、温度上昇を適確に抑制し、ある温度範囲に運転を維持することが必要である。温度が低すぎると粘性が高くなり、圧損が増加する。逆に高温の場合、塩素溶解律速となり反応は抑制される。また、ベンゼンの沸点は80.1℃であり、当然ベンゼンが蒸発する条件では反応は抑制される。適正な反応温度(反応速度)を維持できるように反応圧を決定する必要もある。
発熱反応を抑制する方法として、ジャケットやコイルなど反応器に冷却部を備える方法、多量の溶剤を用いることにより温度上昇を抑制する方法(溶剤の候補としては、1.2ジクロロエタンやMCBが考えられる。)、及び冷却部と溶剤の併用による方法などが考えられる。しかし、好適な反応条件(40〜130℃、10atm以下)では、気液混相状態となるが、反応部-金属部-冷却部の全体の伝熱速度は、気相容積が液相容積に圧倒的に勝るため反応部での伝熱速度が支配的となり、総括伝熱係数は10〜30kcal/m2hr℃程度しかにならず、この条件では巨大な伝熱面積が必要となり、反応器として具体化することが困難となる。
そこで、本発明では、冷却溶媒の蒸発潜熱を利用した直接冷却方式を提案するものである。これは反応条件と同じ程度の沸点をもつ化合物を反応系に存在させることにより、その化合物が蒸発することに伴う蒸発潜熱をその化合物に移行させ、発生する巨大な反応熱を吸収することが可能となる。
蒸発した化合物は凝縮して再利用すればよく、凝縮の際は、総括伝熱係数600〜1100kcal/m2hr℃を確保できるシェルアンドチューブなどの、汎用の外部熱交換器を用いることが可能である。
このような直接冷却媒体に利用できる化合物は反応しないことが条件となり、p−DCB合成の塩素化反応に適するのは、ジクロロメタン(Tb 40.2℃)、トリクロロメタン(Tb61.1℃)、テトラクロロメタン(Tb76.8℃)、1.1−ジクロロエタン(Tb57.℃),1.1.1−トリクロロエタン(Tb73.9℃)などのクロロメタン類、クロロエタン類である。望ましい反応温度と、ベンゼンと直接冷却媒体の沸点を考慮して適した圧力条件を選定することにより安定した温度管理が可能となる。
以下に説明するプロセスでは、常圧沸点61℃をもつトリクロロメタン(別名、クロロホルム)を採用した例をもって説明するが、前記の他のクロロメタン類やクロロエタン類の使用も可能であり、また、これらは複数使用できることも確認済みである。
ところで、本発明は、ベンゼン及び塩素ガスを使用するとともに、前記直接冷却媒体(以下の例ではクロロホルム)を使用する。これを整理すると次記のとおりである。
1)原料及び原料不純物:ベンゼン、塩素
2)溶剤・用役及びその不純物: クロロホルム、水
3)反応生成物:モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化水素
以上の成分を考慮して、適宜の分離手段を組み合わせて、目的にパラジクロロベンゼンを得る。
反応式の一例を示すと、次記のとおりである。
Bz(C66)→MCB(C65Cl)→PDCB、MDCB、ODCB(p−C64Cl2、o−C64Cl2、m−C64Cl2→ TCB(C63Cl3
PDCB合成反応システム:
66 +Cl2 → C65Cl+HCl (1)
65Cl +Cl2 → p−C64Cl2+HCl (2)
65Cl +Cl2 → o−C64Cl2+HCl (3)
65Cl +Cl2 → m−C64Cl2+HCl (4)
p−C64Cl2+Cl2 → C63Cl3+HCl (5)
o−C64Cl2+Cl2 → C63Cl3+HCl (6)
63Cl3 +Cl2 → C63Cl4+HCl (7)
本発明では、ゼオライト触媒を使用する。このゼオライトとしては、L型、Y型、ZSM−5、オフレタイト、エリオナイト、フェリエライト、X型、オメガ、モルデナイト等が挙げられ、いずれも使用できる。また、これらのゼオライトは公知の方法により、Li、K、Na等のアルカリ金属や、Mg、Ca等のアルカリ土類金属等などにイオン交換して用いてもよい。これらのゼオライトの内でも、p−DCB選択率を高いことからL型や、KL型ゼオライトを使用することもできる。
しかるに、本発明者は、効果があると予想した5種類のゼオライト(MFI、MWW、BEA、MOR、FAU:この順に細孔径が大きくなっている。)を選択し、その活性及びパラ体選択性を調べたところ、図2に示す結果を得た。BEAゼオライトが高活性、MWWゼオライトが高選択性を示している。この点でBEAゼオライトは最適であることが知見された。
さらに、均一系触媒の場合、反応が逐次及び併発的にも進行しているのに対し、ゼオライト触媒は、図3に示すように、ほぼ100%、反応が逐次に進行していることが判った。これは不均一系触媒とは逆に、ゼオライト触媒は拡散の抵抗があるため、ベンゼン、Mono体、Di体、Tetra体と拡散しやすい順に反応が逐次的進行するためだと考えられる。
本発明において、ゼオライト触媒は、反応器内に内装される。反応器は、ゼオライト触媒の劣化があるために、多段(最低2段)にし、交換的に使用するのが望ましい。
ゼオライト触媒は、固定床として使用し、原料、塩素ガス及び冷却媒体をダウンフローで流通させるのが望ましい。
この場合、塩素ガス中心とするガス相の分散と液相均一流れを確保し、逆混合を排除するようにするのが望ましい。採用する反応器径によりガス液混相流のフローパターンが変化する。採用すべきフローパターンは、脈動流(Pulsing and Foaming Flow)か潅液流(Gas-continuous or Trickling Flow)であるが、望ましくは潅液流である。脈動流とは液ホールドアップの大きい個所と小さな個所が交互にながれる状態であり、潅液流は液体が触媒粒子上を重力によって膜状に流下し、その空間をガスが連続相となって流れる状態である。ガス液混相流の流速が大きくなるにしたがって、フローパターンは脈動流から潅液流に変化する。
また、反応器固定床の段数は1段でもよいが3段が好ましい。固体触媒の劣化は多くの場合、劣化原因物質の入口部からの流入による活性点の消失がある。これに対する対策としては、各固定床を独立槽3基をシリーズで接続し、劣化したら接続を入れ替えてサイクリックに運用する方式とできる。クロロホルムの添加量も多段にすることにより使いまわしが可能となり、系内循環のクロロホルム量を抑制できる。
反応温度としては、温度が低すぎると粘性が高くなり、圧損が増加する。逆に高温の場合、塩素溶解律速となり反応は抑制される。したがって、反応温度としては、40〜130℃、より好ましくは、55〜90℃である。
反応圧としては、反応温度例として80℃とした図4に示すように、クロロホルムの添加量やPDCB液相回収率の相関からして、950〜1450Torrが望ましい(55〜90℃の範囲内であれば同様。)。
図4から次のことが判る。すなわち、(1)運転圧が高くなると、クロロホルム/ベンゼン比を高めないと、反応温度を維持できない、(2)ある操作温度である圧力以上では、クロロホルムが蒸発しなくなり、その温度を維持するために、膨大なクロロホルムが必要となる、(3)逆に、ある操作温度である圧力以下では、クロロホルムが全蒸発する。その際にPDCBを同様に蒸発する、(4)したがって、クロロホルムやPDCBが反応器の塔底に残る条件が適当であり、クロロホルム/ベンゼン比に対して、クロロホルムやPDCBの回収が大きく影響されない領域で操作するのが好ましく、クロロホルム/ベンゼン比が16〜20、PDCB回収率が90〜95%の領域が望ましい。
反応後、断熱蒸発したクロロホルム及び反応生成物を回収して次段で再利用するために冷却することとなる。クロロホルムの凝縮冷却のためには、シェルアンドチューブなどの、汎用の外部熱交換器を用いることができる。
PDCBも気化するがPDCBの融点は53℃であるため、PDCBが単独で凝縮するような環境では53℃以下にできない。しかし、クロロホルムはPDCBに対して溶剤として働くのでクロロホルムが存在すれば、常温近辺でもPDCBの析出は起きないことを実験的に確認している。40℃以下まで下げることは不可能ではない。
直接冷却媒体のトリクロロメタン(クロロホルム)は塩素と反応しテトラクロロメタンに転化する。その結果、テトラクロロメタンがトリクロロメタン循環系に蓄積することがないように、テトラクロロメタンをトリクロロメタンより分離して系外に除去するのが望ましい。
次に、プロセス構築に望ましい操作について補足的に説明する。
反応器での反応生成物中には、副生物(炭化水素化合物)及び塩化水素が含まれている。塩化水素の沸点は−85℃であり、極めて液体回収が難しいので、水溶液として回収する。回収する塩化水素濃度はできるだけ高い方が望ましいが、35%HCl程度ならば容易に回収できる。
すなわち、反応器での反応生成物を塩化水素除去塔に送り、塩化水素除去塔の塔頂から塩化水素及びこれに同伴する炭化水素化合物を分離し、これを冷却塔に送り、この冷却塔内に、付属のコンデンサで冷却した水相分を塔内に散布して冷却することにより、冷却塔底で水相とクロロホルム相に分離するようにし、その分離した水相分として35%HCl水溶液を得る。なお、反応器最終段からの冷却媒体は、コンデンサにより冷却した後、混合器に導き、新クロロホルムの供給用に使用できる。前記混合器からのクロロホルムの一部は、冷却塔内に送り込み、前述のように冷却塔底で水相とクロロホルム相に分離する。クロロホルム相については、後段の分離塔により水とクロロホルムとに分離し、クロロホルムについては再利用する。
塩化水素除去塔の塔底に集まる反応生成物については、その後に、TCB、m-DCB、o-DCBを除去しながら、目的のp−DCBを晶析させて製品化することができる。
また、系内の液はプロセス内の適宜の位置に返送して再利用することができる。
(実施の形態)
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の好適な実施の形態を示す。
10は反応器であり、実施の形態では3段構成である。原料たるベンゼン1は、必要により図示しない水分除去手段により予め水分が除去された後に、第1段の反応器10の塔頂から供給される。
塩素ガス2は、各段の反応器10、10、10に並列にそれらの塔頂から供給される。各反応器10、10、10にはコンデンサ12、12、12が付設されている。クロロホルム(冷却媒体)3は、貯蔵タンクから、混合器14に送られ、ポンプ16により、第1段の反応器10にその塔頂から供給される。また、詳細は図示していない処理フローの後工程で回収された回収クロロホルム3Aがベンゼン1と共に、第1段の反応器10の塔頂から供給されるようになっている。また、前記混合器14には、同じく詳細は図示していない処理フローの後工程で回収された回収クロロホルム3Bが供給される。
各反応器10、10、10内にはゼオライト触媒18(成形体)が固定床として内装されており、原料(ベンゼン)、塩素ガス及び冷却媒体がダウンフローで流通するようになっている。反応器10周壁には冷却用ジャケット11が設けられ、水などの冷却媒体によって冷却されるようになっている。
反応生成物は、順次ポンプ20、20により次段の反応器10、10に導かれる。反応器10内で蒸発成分(主に冷却媒体)は、コンデンサ12、12、12により凝縮された後、次段の反応器10、10及び混合器14に送られる。凝縮しなかった少量の反応生成物の一部とクロロホルムは、冷却塔24に送られる。
最終段の反応器10の塔底成分は、塩化水素除去塔22に送られ、下部加熱により、塩化水素除去塔22の塔頂から塩化水素及びこれに同伴する炭化水素化合物を分離し、これを冷却塔24に送り、この冷却塔24内に、付属のコンデンサ26で冷却した水相分を、ポンプ28により塔内に散布して冷却することにより、冷却塔24において水相とクロロホルム相に分離するようにし、その分離した水相分として35%HCl水溶液を得る。冷却塔24の塔底の下部に設けた沈殿槽30に集めたクロロホルム相については、後段の分離塔(図示せず)により水とクロロホルムとに分離し、クロロホルムについては再利用する。
反応器10最終段からの冷却媒体は、コンデンサ12により冷却した後、混合器14に導き、新クロロホルムの供給用に使用できる。
塩化水素除去塔22の塔底に集まる反応生成物については、その後に、適宜の処理手段を使用して、TCB、m-DCB、o-DCBを除去しながら、目的のp−DCBを晶析させて製品化することができる。なお、符号32は減圧ポンプである。
(実施例)
図1にフローに従ってベンゼンを原料として塩素ガスにより塩素化してパラジクロロベンゼンを製造した。反応器内にBEAゼオライト触媒のシリカ成形体を固定床として内装した。
反応温度80℃、圧力1.8kg/cm2の条件で塩素化反応を行った。塩素化度としては約2.0とした。
得られたp−DCBの選択性は72.1%であり、高い選択性をもって、p−DCBを安定して製造できた。
(比較例)
従来法である均一系触媒塩化第二鉄FeCl3を用いた比較例を示す。反応装置としては、図5に示すように、ジャケット51及び攪拌機52付き完全混合型反応器50を使用し、これに塩素を供給ブロアから、ベンゼン及びFeCl3を供給し、冷却水ユニット53によりジャケット51を介して冷却しながら反応を行うものである。底部からの反応生成物は冷却後に液貯槽54に、頂部からのガス液成分は冷却後にガス液貯槽55に貯留した。
反応条件は、次記のとおりである。
○ 触媒FeCl3濃度:0.0088触媒mol/ベンゼンmol
○ 原料塩素ガス供給速度:0.850.0088mol/ベンゼンmol
○ 反応温度:80℃
この反応過程におけるベンゼンの塩素化の生成物変化を反応進行度(塩素化度)であらわすと図6となる。
図6から均一系触媒は反応が逐次及び併発的にも進行していることがわかる。この理由として、均一系触媒は拡散の抵抗がないため、ベンゼンとMono体、あるいはMono体とDi体が同時に反応したためだと考えられる。それ故、反応におけるDi体選択性は最大80%に留まる。
DCB収率に伴うDCBの中でのPDCBの選択性の変化を図7、塩素化に伴うPDCB収率の推移を図8に示す。均一系触媒はOrtho−Para配向に立体障害がないため、Para体選択性は図7に示すように60%と低い値である。またDi体選択性は最大80%に留まるため反応におけるPara体最大収率は図8に示すように50%である。
標準条件の反応温度80℃から70℃に下げて実験を行った。結果を図9に示す。反応温度を下げても、Para体選択性は変わらないことがわかる。
次に、触媒量を0.0181 g−cat/g−Bz (0.0088触媒mol/ベンゼンmol)から約1/20の0.0010 g−cat/g−Bz (0.00049触媒mol/ベンゼンmol)にまで減らした結果、活性は変わらず、図10に示すように一本の曲線で整理され選択性も変わらないことが明らかとなった。
以上のように、均一系触媒を使用する限り、p−DCBを高い選択性をもって製造することはできないものであることが明らかとなった。
本発明によれば、PPSの原料として工業的価値のきわめて高い化合物を連続的に得ることができる。
本発明の実施の形態のフローシートである。 ゼオライト触媒種類によるパラ選択性のグラフである。 ゼオライト触媒を使用した場合における反応進行のグラフである。 反応温度80℃、液相冷却温度58℃の条件下での、圧力及びクロロホルム/ベンゼン比との関係で、回収率などを示す説明用グラフである。 従来例(比較例:均一系触媒使用)の反応装置の概要構成図である。 従来例(均一系触媒使用)での各物質の組成変化グラフである。 従来例(均一系触媒使用)でのp−DCBの選択性のグラフである。 従来例(均一系触媒使用)での塩素化に伴うp−DCB収率のグラフである。 従来例(均一系触媒使用)での選択性の反応温度の影響を示すグラフである。 従来例(均一系触媒使用)での選択性の触媒量の影響を示すグラフである。
1…ベンゼン、2…塩素ガス、3…クロロホルム(冷却媒体)、10…反応器、11…ジャケット、12…コンデンサ、14…混合器、18…ゼオライト触媒、22…塩化水素除去塔、30…沈殿槽、32…減圧ポンプ。

Claims (4)

  1. ベンゼン及びモノクロルベンゼンの少なくとも一方を原料として塩素ガスにより塩素化してパラジクロロベンゼンを製造する方法において、
    前記原料、前記塩素ガス及びトリクロロメタンからなる冷却媒体を、ゼオライト触媒を固定床として内装した反応器にダウンフローで流通させ
    前記反応器において前記冷却媒体を蒸発させて前記塩素化反応の温度上昇を抑制するとともに、
    前記冷却媒体の蒸発ガス分は、反応器外で凝縮させその凝縮液を前記冷却媒体として再利用することを特徴とするパラジクロロベンゼンの製造方法。
  2. ゼオライト触媒としてBEAゼオライト触媒を使用する請求項1記載のパラジクロロベンゼンの製造方法。
  3. 前記塩素化反応を温度40〜130℃、圧力10atm以下で行う請求項1又は2記載のパラジクロロベンゼンの製造方法。
  4. 前記反応器は複数段を有し、初段の反応器に前記原料、塩素ガス及び冷却媒体を供給し、前段の反応生成物を次段の反応器に供給し、次段以降に反応器には塩素ガス及び冷却媒体を並列に供給し、最終段の反応生成物からパラジクロロベンゼンを得る請求項1〜3のいずれか1項に記載のパラジクロロベンゼンの製造方法。
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