JP5158922B2 - ビタミンb12類含有組成物 - Google Patents
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このうち、ビタミンB12類は、神経・筋肉の円滑な働きに必要であり、ビタミンB1主薬製剤、ビタミンB6主薬製剤またはビタミンB1・B6主薬製剤等に配合される重要なビタミンである。しかしながら、ビタミンB12類は、安定性が悪く、安定性を向上させるための様々な検討が行われている。例えば、ジスルフィド型ビタミンB1誘導体 1に対し、重量比で0.0001〜0.3のビタミンB12類を含み、ビタミンB12類 1に対し、重量比で0.5〜10000の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合することを特徴とする医薬組成物において、ビタミンB12類が安定化されていることが記載されている(特許文献1)。また、素錠剤重量の5〜60%の、糖質、賦形剤および結合剤を含む糖衣層を有する薄層糖衣錠でビタミンB12類が安定化されている(特許文献2)。さらに、α化デンプン類とビタミンB12類をセルロース系高分子化合物又はアクリル系高分子化合物でコーティングすれば、ビタミンB12類が安定化されることが記載されている(特許文献3)。
(1)ビタミンB12類および中性の賦形剤を含む被覆層を有することを特徴とする、素錠の表面に被覆層を形成した錠剤。
(2)ビタミンB12類がシアノコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミンおよびメコバラミンからなる群から選択される1または2以上である上記(1)記載の錠剤。
(3)ビタミンB12類がシアノコバラミンである上記(2)記載の錠剤。
(4)中性の賦形剤が軽質無水ケイ酸である上記(1)から(3)のいずれかに記載の錠剤。
(5)軽質無水ケイ酸のpHが5〜8である上記(4)記載の錠剤。
(6)軽質無水ケイ酸のpHが7〜8である上記(5)記載の錠剤。
(7)軽質無水ケイ酸の比表面積が100m2/g以上である上記(4)から(6)のいずれかに記載の錠剤。
(8)軽質無水ケイ酸の比表面積が300m2/g以上である上記(7)記載の錠剤。
(9)軽質無水ケイ酸の添加量が、ビタミンB12類に対し、重量比で30倍〜100倍である上記(4)から(8)のいずれかに記載の錠剤。
(10)被覆層中に水溶性セルロース誘導体を含む上記(1)から(9)のいずれかに記載の錠剤。
(11)水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択される1または2以上である上記(10)記載の錠剤。
(12)水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースである上記(11)記載の錠剤。
(13)水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースである上記(11)記載の錠剤。
(14)素錠にビタミンB6類を含み、かつ被覆層中にビタミンB6類を含まない上記(1)から(13)のいずれかに記載の錠剤。
(15)素錠にビタミンB1類、ビタミンB2類、ビタミンB6類およびビタミンE類の1または2以上を含み、かつ被覆層中にビタミンB12類、軽質無水ケイ酸およびヒドロキシプロピルセルロースを含む上記(1)から(13)のいずれかに記載の錠剤。
(16)錠剤中にα化デンプン類および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをいずれも含まず、かつビタミンB12類および軽質無水ケイ酸を含む錠剤。
(17)ビタミンB12類および中性の賦形剤を含む被覆層形成用組成物。
(18)ビタミンB12類、中性の賦形剤および水溶性セルロース誘導体を含む上記(17)記載の被覆層形成用組成物。
(19)中性の賦形剤が軽質無水ケイ酸である上記(17)または(18)記載の被覆層形成用組成物。
(20)ビタミンB12類を安定化させるための軽質無水ケイ酸の使用。
(素錠の製造法)
表1には、錠剤中の有効成分、隔離層であるヒドロキシプロピルセルロ−ス、ビタミンB12類であるシアノコバラミンを被覆している軽質無水ケイ酸およびヒドロキシプロピルセルロ−スの配合量を示している。
有効成分として、塩酸ジセチアミン(ビタミンB1、辻本化学工業製)、リボフラビン(ビタミンB2、武田薬品工業製)、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6、アルプス薬品工業製)、コハク酸d−α−トコフェロール(ビタミンE、エーザイ株式会社製)、賦形剤として、乳糖DMV350(DMV社製)、結晶セルロースPH101(旭化成ケミカル社製)および崩壊剤として、カルボキシメチルセルロースカルシウム(ニチリン化学工業製)を所定量V型混合機(8LV型混合機、塩野義製薬株式会社製)にいれ、混合した。その後、上記混合した粉末を下記条件によって、流動層造粒機(WSG5型、大河原製作所製)中で流動させながら、ヒドロキシプロピルセルロース(HPCSL、日本曹達株式会社)、4.0w/v%)を溶解した水溶液を所定量噴霧し、顆粒剤を製造した。この顆粒剤、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムおよびステアリン酸マグネシウム(植物製、太平化学産業製)を所定量V型混合機(8LV型混合機、塩野義製薬製)にいれ、混合した。その後、上記混合物を下記条件によって、単発式錠剤機(ロータリー型S30K−T30、菊水製作所製)によって打錠し、錠剤(素錠)を得た。
上記製造した素錠に、所定量のヒドロキシプロピルセルロース(HPCSL、日本曹達株式会社製、8.0w/v%)を溶解した水溶液を通気式コーティング装置(HCT−48型ハイコーター、フロイント産業製)内で下記条件によって、上記錠剤に噴霧した。
さらに、所定量のヒドロキシプロピルセルロース(HPCSL、日本曹達株式会社製、8.0w/v%)を溶解した水溶液中に、シアノコバラミン(ビタミンB12類、アベンティスファーマ社製)を溶解し、カープレックス#67(デグサ社製、軽質無水ケイ酸)を均一に懸濁させる。この溶液を、上記ヒドロキシプロピルセルロースを被覆した錠剤に通気式コーティング装置(HCT−48型ハイコーター、フロイント産業製)内で下記条件によって、上記錠剤に噴霧し、フィルムコーティング基剤で被覆した錠剤を得た。なお、カープレックス#67のpHは、7.0〜8.0であり、比表面積は約380m2/gである。
上記、フィルムコーティング基剤で被覆した錠剤に、所定量のヒドロキシプロピルメチルセルロース2910R(信越化学株式会社)、白糖3G(三井製糖製)を溶解し、その溶液に三二酸化鉄(癸巳化成製)、黄色三二酸化鉄(癸巳化成製)および酸化チタン(フロイント産業製)を所定量懸濁した液を調製し、その液を通気式コーティング装置(HCT−48型ハイコーター、フロイント産業製)内で下記条件によって噴霧した。
さらに、所定量のタルク(富士化学製)およびポリッシングワックス103(フロイント産業製)を上記錠剤に混合し、糖衣基剤で被覆した錠剤を得た。
(比較例1)
実施例1のフィルムコーティング基剤で被覆した錠剤の製造において、カープレックス#67を添加しないこと以外は、実施例1と錠剤の製造方法は同一である。
送風温度 60℃
送風量 2m3/分
スプレー液速 50g/分
スプレー圧 0.15Mpa
ノズル径 φ1.8mm
回転数 33rpm
杵 φ9.0mm
打錠圧 5kN
給気速度 1.5m3/分
給気温度 55℃
パン回転数 25rpm
スプレー液速 7〜8g/分
スプレー圧 0.2MPa
ノズル径 φ0.8mm
給気風量 1.5m3/分
給気温度 55℃
パン回転数 25rpm
スプレー液速 7〜8g/分
スプレー圧 0.2MPa
ノズル径 φ0.8mm
実施例1および比較例1の錠剤を50℃±2℃、相対湿度75%±5%RHでガラス瓶密栓で保存し、保存1および2週後の錠剤中のシアノコバラミン含量を測定し、残存率を算出した。
ビタミンB12類の残存率測定の操作は、直射日光を避け、遮光した容器を用いて行う。また、以下の方法で複数回試験した結果の平均値を定量値とする。本品2個に、水50mLを正確に加えた後、20分間超音波照射し、さらに30分間激しく振り混ぜる。この液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、初めのろ液3mLを除き、次のろ液を試料溶液とする。別に定量用シアノコバラミン約24mgを精密に量り、水に溶かし、正確に200mLとする。この液5mLを正確に量り、水を加えて正確に100mLとする。この液5mLを正確に量り、水を加えて正確に50mLとし、標準溶液とする。試料溶液及び標準溶液100μLずつを正確にとり、次の条件で液体クロマトグラフ法により試験を行い、シアノコバラミンのピーク面積AT,ASを測定する。
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:365nm)
・カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする(L−カラム ODS)。
・カラム温度:25℃付近の一定温度
・移動相A:リン酸二水素アンモニウム5.8gを水に溶かし、1000mLとする。この液にアンモニア試液を加えてpH7.0に調整し、pH7.0の0.05mol/Lリン酸二水素アンモニウム緩衝液とする。この液4容量に液体クロマトグラフ用メタノールを1容量加える。
・移動相B:リン酸二水素アンモニウム5.8gを水に溶かし、1000mLとする。この液にアンモニア試液を加えてpH7.0に調整し、pH7.0の0.05mol/Lリン酸二水素アンモニウム緩衝液とする。この液3容量に液体クロマトグラフ用メタノールを2容量加える。
移動相の送液:移動相A及びBの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する。
定量用シアノコバラミンは、日局「シアノコバラミン」に適合したものを使用した。ただし、定量時において、換算した乾燥物に対し、シアノコバラミン99.0%以上を含む。減圧・0.67kPa以下、酸化リン(V)、100℃、4時間乾燥したものをデシケーター(シリカゲル)で保存する。
シアノコバラミン[ビタミンB12類]を配合した上記錠剤を経時試験し、シアノコバラミンの残存率を測定した。表3に実施例1および比較例1の残存率を示す。
Claims (15)
- ビタミンB12類および軽質無水ケイ酸を含む被覆層を有することを特徴とする、素錠の表面に被覆層を形成した錠剤。
- ビタミンB12類がシアノコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミンおよびメコバラミンからなる群から選択される1または2以上である請求項1記載の錠剤。
- ビタミンB12類がシアノコバラミンである請求項2記載の錠剤。
- 軽質無水ケイ酸の比表面積が100m2/g以上である請求項1〜3のいずれかに記載の錠剤。
- 軽質無水ケイ酸の比表面積が300m2/g以上である請求項4記載の錠剤。
- 軽質無水ケイ酸の添加量が、ビタミンB12類に対し、重量比で30倍〜100倍である請求項1〜5のいずれかに記載の錠剤。
- 被覆層中に水溶性セルロース誘導体を含む請求項1〜6のいずれかに記載の錠剤。
- 水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群から選択される1または2以上である請求項7記載の錠剤。
- 水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項8記載の錠剤。
- 水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースである請求項9記載の錠剤。
- 素錠にビタミンB6類を含み、かつ被覆層中にビタミンB6類を含まない請求項1〜10のいずれかに記載の錠剤。
- 素錠にビタミンB1類、ビタミンB2類、ビタミンB6類およびビタミンE類の1または2以上を含み、かつ被覆層中にビタミンB12類、軽質無水ケイ酸およびヒドロキシプロピルセルロースを含む請求項1〜11のいずれかに記載の錠剤。
- 錠剤中にα化デンプン類および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをいずれも含まず、かつ被覆層中にビタミンB12類および軽質無水ケイ酸を含む錠剤。
- ビタミンB12類および軽質無水ケイ酸を含む被覆層形成用組成物。
- ビタミンB12類、軽質無水ケイ酸および水溶性セルロース誘導体を含む請求項14記載の被覆層形成用組成物。
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