以下、本発明の一実施形態を図面により説明する。
図1〜図4は、本発明に係る災害救助ロボットを示している。この災害救助ロボットは、筒状コンテナーBと、このコンテナーBにその左右両側から連結してなる左右両側のクローラユニットCL、CRとを備えている。
コンテナーBは、図2、図4或いは図5にて示すごとく、左右両側コンテナー部材10、20を備えており、左側コンテナー部材10は、上壁11、左壁12及び底壁13でもってコ字状となるように、剛性の高い金属板でもって形成されている。一方、右側コンテナー部材20は、上壁21、右壁22及び下壁23でもってコ字状となるように、剛性の高い金属板でもって形成されている。なお、左側コンテナー部材10の上壁11及び右側コンテナー部材20の上壁21は、図4から明らかなごとく、コンテナーBの上壁に相当する。
ここで、左側コンテナー部材10は、図5にて示すごとく、上壁11にて、右側コンテナー部材20の上壁21の前後両側縁部に形成した前後両側の断面U字状部21a内に左右方向に相対移動可能に嵌装されている。また、当該左側コンテナー部材10は、下壁13にて、右側コンテナー部材20の下壁23の前後両側縁部に形成した前後両側の断面U字状部23a(図5では、後側の断面U字状部23aのみを示す)内に左右方向に相対移動可能に嵌装されている。
また、当該左側コンテナー部材10は、上壁11の右側縁部に前後に間隔をおいて突設した両T字状突起11aの各頚部にて、右側コンテナー部材20の上壁21に左右方向に沿いかつ前後に間隔をおいて形成した両溝部21b内に係合して左右方向に相対移動可能かつ分離不能となっている。
本実施形態では、各突起11aがその頚部にて各溝部21bの内周面右端部と当接したとき、左側コンテナー部材10の左壁12と右側コンテナー20の右壁22との間の左右方向幅が最小となる。一方、各突起11aがその頚部にて各溝部21bの内周面左端部と当接したとき、左側コンテナー部材10の左壁12と右側コンテナー20の右壁22との間の左右方向幅が最大となる。
また、左壁12及び右壁22は、各前端部12a、22aにて、それぞれ、上壁11及び下壁13の各前縁部よりも前方へ延出されている。このことは、コンテナーBは、左右両側コンテナー部材10、20の各前端部12a、22a側の開口部(前側開口部)にて、当該災害救助ロボットの前方に臨むことを意味する。
また、左壁12は、4つの下側貫通穴部12b〜12e及び4つの上側貫通穴部12f〜12iを有しており、これら下側貫通穴部12b〜12e及び上側貫通穴部12f〜12iは、図5にて示すごとく、それぞれ、互いに上下に対応して、前後方向に間隔をおいて左壁12に形成されている。一方、右壁22には、4つの下側貫通穴部及び4つの上側貫通穴部(図示しない)が、上述した4つの下側貫通穴部12b〜12e及び4つの上側貫通穴部12f〜12iに対応するように形成されている。
左側クローラユニットCLは、図1〜図4のいずれかにて示すごとく、走行面に沿い移動する下側クローラCL1と、この下側クローラCL1上に積層した上側クローラCL2とでもって構成されている。両クローラCL1、CL2は同様の構成を有しており、これら両クローラCL1、CL2は、共に、無限軌道であるクローラベルト30、駆動輪40、前側転輪50、中側転輪60及び後側転輪70(図2では、上側クローラCL2の後側転輪70のみを示す)を備えている。なお、本実施形態において、下側クローラCL1のクローラベルト30、駆動輪40、前側転輪50、中側転輪60及び後側転輪70は、以下、左下側クローラベルト30、左下側駆動輪40、左下前側転輪50、左下中側転輪60及び左下後側転輪70ともいう。また、上側クローラCL2のクローラベルト30、駆動輪40、前側転輪50、中側転輪60及び後側転輪70は、以下、左上側クローラベルト30、左上側駆動輪40、左上前側転輪50、左上中側転輪60及び左上後側転輪70ともいう。
下側クローラCL1において、左下側クローラベルト30の内周面及び外周面には、一連の幅方向内側歯部及び幅方向外側歯部が、それぞれ、当該クローラベルトの長手方向に沿い間隔をおいて突出形成されている。左下側駆動輪40は、その回転軸41の中間部位にて、左側コンテナー部材10の左壁12の貫通穴部12d(図4及び図5参照)に一対の左下側軸受け内蔵型ボス42を介し支持されている。また、この左下側駆動輪40は、左下側クローラベルト30の上側中間部位及び下側中間部位の間に挟持されており、当該左下側駆動輪40は、その外周面に沿い形成した一連の幅方向歯部により、左下側クローラベルト30の一連の幅方向内側歯部に噛合するようになっている。
左下前側転輪50は、左下側駆動輪40の前方にて、その回転軸51(図3参照)により、左側コンテナー部材10の左壁12の貫通穴部12b(図5及び図4参照)に一対の左下側軸受け内蔵型ボス52(図2参照)を介し支持されており、当該左下前側転輪50は、その外周面に形成した一連の幅方向歯部により、左下側クローラベルト30の一連の内側幅方向歯部に当該左下側クローラベルト30の前部において噛合するようになっている。
左下中側転輪60は、その回転軸61(図3参照)により、左下前側転輪50及び左下駆動輪40の間にて、左側コンテナー部材10の左壁12の貫通穴部12c(図5及び図4参照)に一対の左下側軸受け内蔵型ボス62(図2参照)を介し支持されている。当該左下中側転輪60は、左下側クローラベルト30の上側中間部位及び下側中間部位の間に挟持されており、当該左下側駆動輪60は、その外周面に形成した一連の幅方向歯部により、左下側クローラベルト30の一連の内側幅方向歯部に噛合するようになっている。
左下後側転輪70は、その回転軸(上側クローラCL2の左上後側転輪70の回転軸71の直下に位置する)により、左下側駆動輪40の後方にて、左側コンテナー部材10の左壁12の貫通穴部12e(図5及び図4参照)に一対の左下側軸受け内蔵型ボス(上側クローラCL2の一対の左上側軸受け内蔵型ボス72の直下に位置する)を介し支持されており、当該後側転輪70は、その外周面に形成した一連の幅方向歯部により、左下側クローラベルト30の一連の内側幅方向歯部に当該左下側クローラベルト30の後部において噛合するようになっている。
上側クローラCL2において、左上側クローラベルト30は、上述した左下側クローラベルト30と同様に構成されており、この左上側クローラベルト30は、その幅方向外側歯部にて、左下側クローラベルト30の上側においてその幅方向外側歯部に噛合するようになっている。
左上側駆動輪40は、その回転軸41の中間部位にて、左側コンテナー部材10の左壁12の上側貫通穴部12h(図4及び図5参照)に一対の左上側軸受け内蔵型ボス42を介し支持されている。また、この左上側駆動輪40は、左上側クローラベルト30の上側中間部位及び下側中間部位の間に挟持されており、当該左上側駆動輪40は、その外周面に形成した一連の幅方向歯部により、左上側クローラベルト30の一連の幅方向内側歯部に噛合するようになっている。
左上前側転輪50は、その回転軸51(図3参照)により、左上側駆動輪40の前方にて、左側コンテナー部材10の左壁12の貫通穴部12f(図5及び図4参照)に一対の左上側軸受け内蔵型ボス52(図2参照)を介し支持されており、当該左上前側転輪50は、その外周面に形成した一連の幅方向歯部により、左上側クローラベルト30の一連の幅方向内側歯部に当該左上側クローラベルト30の前部において噛合するようになっている。
左上中側転輪60は、その回転軸61(図3参照)により、左上前側転輪50及び左上側駆動輪40の間にて、左側コンテナー部材10の左壁12の貫通穴部12g(図5及び図4参照)に一対の左上側軸受け内蔵型ボス62(図2参照)を介し支持されている。当該中側転輪60は、左上側クローラベルト30の上側中間部位及び下側中間部位の間に挟持されており、当該左上中側転輪60は、その外周面に形成した一連の幅方向歯部により、左上側クローラベルト30の一連の幅方向内側歯部に噛合するようになっている。
左上後側転輪70は、その回転軸71により、左上側駆動輪40の後方にて、左側コンテナー部材10の左壁12の貫通穴部12i(図5及び図4参照)に一対の左上側軸受け内蔵型ボス72を介し支持されており、当該左上後側転輪70は、その外周面に形成した一連の幅方向歯部により、左上側クローラベルト30の一連の幅方向内側歯部に当該左上側クローラベルト30の後部において噛合するようになっている。
右側クローラユニットCRは、図1〜図4のいずれかにて示すごとく、下側クローラCR1と、この下側クローラCR1に積層した上側クローラCR2とでもって構成されている。下側クローラCR1は、コンテナーBの左右方向中心線を基準として、下側クローラユニットCL1とは対称的な構成を備えている。また、上側クローラCR2は、コンテナーBの左右方向中心線を基準として、上側クローラユニットCL2とは対称的な構成を備えている。従って、下側クローラCR1及び上側クローラユニットCR2の各構成素子には、下側クローラCL1及び上側クローラユニットCL2の各対応構成素子と同一の符号を付することで、その説明を省略する。
但し、右上側クローラ30の右中側転輪60の回転軸は、左上側クローラ30の左中側転輪60の回転軸61と共通であり、右下側クローラ30の右中側転輪60の回転軸は、左下側クローラ30の左中側転輪60の回転軸61と共通である。なお、下側クローラCL1及び上側クローラユニットCL2の各構成素子の名称における「左」という文字は、下側クローラCR1及び上側クローラユニットCR2の各構成素子の名称において「右」という文字に変更する。
当該災害救助ロボットは、図2及び図3にて示すごとく、左右両側駆動機構DL、DRを備えている。
左側駆動機構DLは、ハスバ歯車80(以下、左下側ハスバ歯車80ともいう)、ハスバ歯車90(以下、左上側ハスバ歯車90ともいう)、ウォーム歯車100(以下、左側ウォーム歯車100ともいう)及び駆動輪モータ110(以下、左側駆動輪モータ110ともいう)を備えている。
左下側ハスバ歯車80は、図4にて示すごとく、コンテナーB内にて左下側駆動輪40の回転軸41に同軸的に支持されている。左上側ハスバ歯車90は、図2及び図4にて示すごとく、コンテナーB内にて左上側駆動輪40の回転軸41に同軸的に支持されており、この左上側ハスバ歯車90は、左下側ハスバ歯車80の直上に位置している。
左側ウォーム歯車100は、左下側ハスバ歯車80と左上側ハスバ歯車90との間に位置して、これら両ハスバ歯車に噛合するように、後述のごとく、左側駆動輪モータ110の出力軸に支持されている。左側駆動輪モータ110は、左側ウォーム歯車100の後方にて、左側コンテナー部材10内にて左壁12の上下方向中央に支持されており、この左側駆動輪モータ110の出力軸は、左壁12に沿い前方に向けて延在している。これにより、左側ウォーム歯車100は、左側駆動輪モータ110の正転或いは逆転に伴い、図4にて図示時計方向或いは反時計方向に回転するように、左側駆動輪モータ110の出力軸に同軸的に支持されている。
本実施形態では、左下側ハスバ歯車80の各歯の傾斜方向及び左側ウォーム歯車100の各歯の傾斜方向は、左側駆動輪モータ110の正転(或いは逆転)に伴い、当該災害救助ロボットの前進方向(或いは後進方向)に左下側クローラベルト30を正転(或いは逆転)させるように形成されている。また、左上側ハスバ歯車90の各歯の傾斜方向は、左下側クローラベルト30の正転に伴い逆転し、或いは左下側クローラベルト30の逆転に伴い正転するように形成されている。
また、本実施形態では、左側駆動機構DLは、コンテナーB内にて、左側隔壁14により覆われている(図2参照)。なお、左側隔壁14は、左側駆動機構DLを包囲するように、左壁12に組み付けられている。また、左側駆動輪モータ110としては直流モータが採用されている。
右側駆動機構DRは、コンテナーBの幅方向中心線を基準に、左側駆動機構DLとは対称的な構成を備えている(図2参照)。従って、右側駆動機構DRの各構成素子には、左側駆動機構DLの各対応構成素子と同一の符号を付することで、その説明を省略する。なお、左側駆動機構DLの各構成素子の名称における「左」という文字は、右側駆動機構DRの各対応構成素子の名称において「右」という文字に変更する。
このような前提のもと、本実施形態では、右下側ハスバ歯車80の各歯の傾斜方向及び右側ウォーム歯車100の各歯の傾斜方向は、右側駆動輪モータ110の正転(或いは逆転)に伴い、当該災害救助ロボットの前進方向(或いは後進方向)に右下側クローラベルト30を正転(或いは逆転)させるように形成されている。また、右上側ハスバ歯車90の各歯の傾斜方向は、右下側クローラベルト30の正転に伴い逆転し、或いは右下側クローラベルト30の逆転に伴い正転するように形成されている。
なお、右側駆動輪モータ110は、コンテナーB内にてその右壁22に、左側駆動輪モータ110に対応する位置にて支持されている。また、右側駆動機構DRは、コンテナーB内にて、右側隔壁14により覆われている(図2参照)。なお、右側隔壁14は、右側駆動機構DRを包囲するように、右壁22に組み付けられている。
また、当該災害救助ロボットは、コンテナー幅調整機構200、バイタルセンサユニット300、呼びかけ用スピーカ400a、呼びかけ用マイクロフォン400b(図16参照)、音声反応確認用マイクロフォン500a、音声反応確認用スピーカ500b(図16参照)、状況確認用赤外線カメラ500c(図16参照)、空気供給機構800、LCD900(図16参照)を備えている。
コンテナー幅調整機構200は、図2或いは図4にて示すごとく、幅調整モータ210及び両切りボルト220を備えている。幅調整モータ210は、左右両側駆動輪モータ110の直上において、コンテナーB内にて右側コンテナー部材20の右壁22の上部に支持されており、この幅調整モータ210の出力軸は、右側コンテナー部材20の右壁22に直交するように、左側コンテナー部材10の左壁12に向けて延在している。
両切りボルト220は、その右端部にて、幅調整モータ210の出力軸に同軸的に支持されており、この両切りボルト220は、その軸方向中間部位にて、支持部材230を介し、左側コンテナー部材10の上壁11の適所に支持されている。支持部材230は、座部231及び雌ねじ穴部232を有しており、座部231は、上述した左側コンテナー部材10の上壁11の適所に装着されている。雌ねじ穴部232は、座部231から下方へ突設されており、この雌ねじ穴部232には、両切りボルト220が軸動可能に螺合している。なお、幅調整モータ210としては、直流モータが採用されている。
このように構成したコンテナー幅調整機構200においては、両切りボルト220が、幅調整モータ210の正転に伴い正転すると、支持部材230が、そのねじ穴部232の両切りボルト220との螺合のもとに、左方へ変位して、左側コンテナー部材10を左側クローラユニットCLと共に左方へ移動させる。このことは、コンテナーBの左右方向幅が拡張されることを意味する。
一方、両切りボルト220が、幅調整モータ210の逆転に伴い逆転すると、支持部材230が、そのねじ穴部232の両切りボルト220との螺合のもとに、右方へ変位して、左側コンテナー部材10を左側クローラユニットCLと共に右方へ移動させる。このことは、コンテナーBの左右方向幅が縮小されることを意味する。
バイタルセンサユニット300は、図2〜図4から分かるように、コンテナーBに設けられている。このバイタルセンサユニット300は、長手状変位部材310を有しており、この変位部材310は、ロッド311、蛇腹軸312及び筒体313でもって構成されている。
蛇腹軸312は、ロッド311の先端部に同軸的に連結されている。筒体313は、筒状収容部313aの底部からロッド部313bを延出させて構成されており、この筒体313は、ロッド部313bにて、蛇腹軸312の先端部に同軸的に連結されている。
ここで、ロッド311は、左側コンテナー部材10内にてその上壁11の幅方向中央に沿い前後方向に延在するように、複数の案内部材320を介し支持されている(図6参照)。
複数の案内部材320は、図6にて例示するごとく、左側コンテナー部材10の上壁11の幅方向中央に沿い前後方向に間隔をおいて設けられている。これら複数の案内部材320は、共に、同一の構成を有するので、当該複数の案内部材320のうち図6にて示す案内部材320の構成について説明する。
当該案内部材320は、図6或いは図9にて示すごとく、L字板状ブラケット321、案内モータ322及び案内ローラ323を有している。ブラケット321は、装着部321aから支持部321bをL字状に延出させて構成されており、このブラケット321は、支持部321bを垂下させるように、装着部321aにて、左側コンテナー部材10の上壁11の幅方向中央の前部に装着されている。
案内モータ322は、ブラケット321の支持部321bに設けられており、この案内モータ322の出力軸は、回転自在に支持部321bに貫通されている。案内ローラ323は、案内モータ322の出力軸に同軸的に支持されており、この案内ローラ323の凹状外周面には、ロッド311がその外周面にて案内ローラ323の上側から摩擦接触可能に受承されている。なお、案内ローラ323としては、ゴムローラが採用されている。
このように構成した複数の案内部材320によれば、案内ローラ323が案内モータ322の正転に伴い正転すると、ロッド311は、案内ローラ323の外周面との摩擦接触のもとに前方へ変位する。一方、案内ローラ323が案内モータ322の逆転に伴い逆転すると、ロッド311は、案内ローラ323の外周面との摩擦接触のもとに後方へ変位する。
また、バイタルセンサユニット300は、図6にて示すごとく、角度調整機構330を有しており、この角度調整機構330は、ブラケット331、角度調整モータ332、U字状挟持ピン333でもって構成されている。
ブラケット331は、折り曲げ部331aから支持板部331bを延出させるように構成されており、当該ブラケット331は、支持板部331bを垂下させるように、折り曲げ部331aにて、ロッド311の先端部にこれを巻くように取り付けられている。
角度調整モータ332は、パルスモータからなるもので、この角度調整モータ332は、その出力軸にて、支持板部331bに直角に右方向(図6にて紙面の手前方向)に延在するように、支持板部331bに支持されている。なお、角度調整モータ332は、パルスモータに限ることなく、例えば、直流モータであってもよい。
U字状挟持ピン333は、その基端部にて、角度調整モータ332の出力軸の先端部に固着されており、このU字状挟持ピン333は、そのU字状部333aにて、筒体313のロッド部313bに形成した環状溝部313c内に嵌装されて、当該筒体313のロッド部313bを挟持している。
このように構成した角度調整機構330においては、角度調整モータ332が正転すると、U字状挟持ピン333がその正転により蛇腹軸312を下方に向けて湾曲させる。このような状態にて、角度調整モータ332が逆転すると、U字状挟持ピン333がその逆転により蛇腹軸312を上方に向けて復帰させる。また、蛇腹軸312の湾曲度合いは、角度調整モータ332の回転角により決まる。
また、バイタルセンサユニット300は、図7にて示すごとく、血流測定用カメラ340、心音測定用マイクロフォン350及びランプとして機能する赤外発光ダイオード360(以下、LED360ともいう)を備えており、これら血流測定用カメラ340、心音測定用マイクロフォン350及びLED360は、長手状変位部材310の筒体313の収容部313a内に図8にて示すごとく収容されている。
ここで、血流測定用カメラ340は、被災者の血流を測定して血流画像データを形成する。心音測定用マイクロフォン350は、上記被災者の心音を測定して心音データを形成する。LED360は、上記被災者の要所を赤外光でもって照明する。
また、バイタルセンサユニット300は、心音確認用スピーカ370(図16参照)を備えており、この心音確認用スピーカ370は、コンテナーBの後部に支持されて、後述のように心音測定用マイクロフォン350からの心音データに基づき心音を発する。
呼びかけ用スピーカ400aは、図2にて示すごとく、左側隔壁14の前端部に取り付けられており、この呼びかけ用スピーカ400aは、後述のように呼びかけ用マイクロフォン400b(図16参照)から呼びかけ音声データに基づき前方に向けて呼びかけ音声を発する。呼びかけ用マイクロフォン400bは、コンテナーBの後部に支持されており、この呼びかけ用マイクロフォン400bは、レスキュー隊員等の救助者の呼びかけに基づき呼びかけ音声データを形成する。
音声反応確認用マイクロフォン500aは、図2にて示すごとく、右側隔壁14の前端部に取り付けられており、この音声反応確認用マイクロフォン500aは、上記被災者からの音声を音声データとして形成する。音声反応確認用スピーカ500bは、コンテナーBの後部に支持されており、この音声反応確認用スピーカ500bは、後述のごとく、音声反応確認用マイクロフォン500aからの音声データに基づき、上記被災者の音声を発する。
状況確認用赤外線カメラ500cは、音声反応確認用マイクロフォン500aの直下にて、右側隔壁14の前端部に取り付けられており、この状況確認用赤外線カメラ500cは、当該災害救助ロボットの前方の状況を撮影して状況確認画像データを形成する。
液晶表示装置900(以下、LCD900ともいう)は、コンテナーBの後部に支持されており、このLCD900は、表示データをモニターデータとして表示する。
また、当該災害救助ロボットは、図11にて示すごとく、板状収容台600a、板状スライダー600b、カフ700及び空気供給機構800を備えている。
板状収容台600aは、コンテナーB内にてその底壁(左側コンテナー部材10の下壁13及び右側コンテナー部材20の下壁23)に沿って位置するように支持されている。
板状スライダー600bは、板状収容台600aの下面前部に沿い前後方向に変位可能に支持されている。
具体的には、収容台600aは、図11にて示すごとく、左右両側U字状壁部601(図11では、右側壁部601のみを示す)を有しており、これら左右両側コ字状壁部601は、収容台600aの前側左右両縁部の下面側にて、互いに対向するようにU字状に形成されている。しかして、スライダー600bは、その左右両縁部にて、収容台600aの左右両側コ字状壁部601内に嵌装されて、スライダー機構600cを介し、収容台600aの下面に沿い前後方向に変位可能に支持されている。
スライダー機構600cは、図12或いは図13にて示すように、支持壁610を有しており、この支持壁610は、右側コ字状壁部601の後方において、収容台600aの右前側縁部から垂下するように設けられている。
また、当該スライダー機構600cは、スライダーモータ620を有しており、このスライダーモータ620は、その出力軸にて、支持壁610の左面に沿い前方へ延出するように、支持壁610に取り付けられている。
ウォーム歯車630は、スライダーモータ620の出力軸に同軸的に支持されて、スライダーモータ620の正転(或いは逆転)に伴い正転(或いは逆転)する。ハスバ歯車640は、支持壁610を通りその右側から回転可能に挿通される巻き取りローラ650の回転軸の先端部に同軸的に支持されており、このハスバ歯車640は、ウォーム歯車630と噛合する。しかして、このハスバ歯車640は、ウォーム歯車630の正転(或いは逆転)に伴い正転(或いは逆転)する。
巻き取りローラ650は、上述のごとく、その回転軸にて、支持壁610にその右側から挿通支持されており、この巻き取りローラ650は、ハスバ歯車640の正転(或いは逆転)に伴い正転(或いは逆転)する。これにより、巻き取りローラ650は、その正転により、ロープ660を巻き取り、また、その逆転により、巻き取ったロープ660の巻き出しを許容する。
ロープ660は、巻き取りローラ650から延出し、スライダー600bの右縁前端部に支持したローラ670を介して後方へ延在し、その先端部にてスライダー600bの右縁後端部に固着されている。これにより、ロープ660が、巻き取りローラ650によりその正転に伴い巻き取られて、スライダー600bを、収容台600aの下面に沿い前方へ変位させる。また、ロープ660が、巻き取りローラ650によりその逆転に伴い巻きだされる状態にあるとき、スライダー600bを、収容台600aの下面に沿い後方へ押し込むことが可能となる。
カフ700は、通常、折りたたんだ状態で、コンテナーB内に収容されているもので、このカフ700は、その前端開口部710を前方に向け開口させるように、後端部720にて、コンテナーBの後部に固定されている(図19参照)。なお、当該カフ700は、その外壁及び内壁でもって2重壁状に形成されており、このカフ700は、その外壁及び内壁の間に圧縮空気を供給されて膨張し、内側へ膨張する内壁でもって、その内側に収容した人を圧迫固定するようになっている。
また、カフ700は、右側上下一対の巻き取り機構A(図18及び図19参照)により、前後方向に伸縮されるようになっている。これら右側上下一対の巻き取り機構Aは、それぞれ、上述したスライダー機構600c(ローラ670を除く)と同様の構成を有している。
前上側巻き取り機構Aは、スライダー機構600cのスライダーモータ620に相当するカフモータ700a(図16参照)の正転に伴い、ロープ701(スライダー機構600cのロープ660に相当)の巻き取りでもって、カフ700の開口部710の右端上部を前方へ引っ張り、また、カフモータ700aの逆転に伴い、ロープ701の巻き出しでもって、カフ700の開口部710の右端上部を前方への引っ張りから解除する。なお、ロープ701は、その先端部にて、カフ700の開口部710の右端上部に固着されている。
前下側巻き取り機構Aは、スライダー機構600cのスライダーモータ620に相当するカフモータ700b(図16参照)の正転に伴い、ロープ702(スライダー機構600cのロープ660に相当)の巻き取りでもって、カフ700の開口部710の右端下部を前方へ引っ張り、また、カフモータ700bの逆転に伴い、ロープ702の巻き出しでもって、カフ700の開口部710の右端下部を前方への引っ張りから解除する。なお、ロープ702は、その先端部にて、カフ700の開口部710の右端下部に固着されている。
後上側巻き取り機構Aは、スライダー機構600cのスライダーモータ620に相当するカフモータ700c(図16参照)の正転に伴い、ロープ703(スライダー機構600cのロープ660に相当)の巻き取りでもって、カフ700の開口部710の右端上部を後方へ引っ張り、また、カフモータ700cの逆転に伴い、ロープ703の巻き出しでもって、カフ700の開口部710の右端上部を後方への引っ張りから解除する。なお、ロープ703は、その先端部にて、カフ700の開口部710の右端上部に固着されている。
後下側巻き取り機構Aは、スライダー機構600cのスライダーモータ620に相当するカフモータ700d(図16参照)の正転に伴い、ロープ704(スライダー機構600cのロープ660に相当)の巻き取りでもって、カフ700の開口部710の右端下部を後方へ引っ張り、また、カフモータ700dの逆転に伴い、ロープ704の巻き出しでもって、カフ700の開口部710の右端下部を後方への引っ張りから解除する。なお、ロープ704は、その先端部にて、カフ700の開口部710の右端下部に固着されている。
以上のように構成した右側上下一対の巻き取り機構Aによれば、カフ700は、その開口部710にて、両カフモータ700c、700dの逆転のもと、両カフモータ700a、700bの正転に伴い、前方へ引っ張られて拡張される。一方、カフ700は、その開口部710にて、両カフモータ700a、700bの逆転のもと、両カフモータ700c、700dの正転に伴い、後方へ引っ張られて縮小される。
空気供給機構800は、コンプレッサモータ820(図16参照)を内蔵してなるコンプレッサ810を有しており、このコンプレッサ810は、コンプレッサモータ820の作動に伴い、圧縮空気をカフ700内にチューブ830を通して吐出する。
当該災害救助ロボットは、図15にて例示するごとく、油圧ジャッキユニットJを複数備えている。当該各油圧ジャッキユニットJは、油圧発生器J1からの油圧をジャッキ本体J2内に圧送することで、当該ジャッキ本体J2のロッドJ2aを上方に向け突出させる。
次に、当該災害救助ロボットの電気制御装置について、図16を参照して説明する。当該電気制御装置は、当該災害救助ロボットの前進用両切り換えスイッチ1000a、1000b及び当該災害救助ロボットの後進用両切り換えスイッチ1000c、1000dを備えている。
切り換えスイッチ1000a、1000bは、共に、切り換え接点mの固定接点f1への投入でもって左側駆動輪モータ110を正転可能にし、また、切り換え接点mの固定接点f2への投入でもって左側駆動輪モータ110を逆転可能にする。また、両切り換えスイッチ1000a、1000bは、切り換え接点mの両固定接点f1、f2からの解離により、左側駆動輪モータ110を停止状態におく。
但し、両スイッチ1000a、1000bの各切り換え接点mの切り換えは、互いに連動するようになっている。また、切り換えスイッチ1000aの切り換え接点mは、左折スイッチ機構2000aのリレーRYの常閉型リレースイッチS(後述する)を介し直流電源PSの正側端子に接続され、切り換えスイッチ1000bの切り換え接点mは、直接、直流電源PSの負側端子に接続されている。また、切り換えスイッチ1000aの固定接点f1及び切り換えスイッチ1000bの固定接点f2は、左側駆動輪モータ110の正側端子に接続され、切り換えスイッチ1000aの固定接点f2及び切り換えスイッチ1000bの固定接点f1は、左側駆動輪モータ110の負側端子に接続されている。
両切り換えスイッチ1000c、1000dは、共に、切り換え接点mの固定接点f1への投入でもって右側駆動輪モータ110を正転可能にし、また、切り換え接点mの固定接点f2への投入でもって右側駆動輪モータ110を逆転可能にする。また、両切り換えスイッチ1000c、1000dは、切り換え接点mの両固定接点f1、f2からの解離により、右側駆動輪モータ110を停止状態におく。
但し、両スイッチ1000c、1000dの切り換え接点mの切り換えは、両切り換えスイッチ1000a、1000bの切り換え接点mの切り換えと連動するようになっている。また、切り換えスイッチ1000cの切り換え接点mは、直接、直流電源PSの負側端子に接続され、切り換えスイッチ1000dの切り換え接点mは、右折スイッチ機構2000bのリレーRYの常閉型リレースイッチS(後述する)を介し直流電源PSの正側端子に接続されている。また、切り換えスイッチ1000cの固定接点f1及び切り換えスイッチ1000dの固定接点f2は、右側駆動輪モータ110の正側端子に接続され、切り換えスイッチ1000cの固定接点f2及び切り換えスイッチ1000dの固定接点f1は、右側駆動輪モータ110の負側端子に接続されている。
このように構成した各切り換えスイッチ1000a〜1000dによれば、これら各切り換えスイッチ1000a〜1000dの切り換え接点mの固定接点f1への投入により、左右両側駆動輪モータ110は、直流電源PSからの給電のもと、正転におかれる。このことは、当該災害救助ロボットが前進走行状態におかれることを意味する。
また、各切り換えスイッチ1000a〜1000dの切り換え接点mの固定接点f2への投入により、左右両側駆動輪モータ110は、直流電源PSからの給電のもと、逆転状態におかれる。このことは、当該災害救助ロボットが後進走行状態におかれることを意味する。
左折スイッチ機構2000aは、リレーRY及び操作スイッチSWを有しており、リレーRYは、リレーコイルRと、このリレーコイルRの励磁により開成されるリレースイッチSとでもって、構成されている。操作スイッチSWは、その閉成により、直流電源PSからの給電に基づきリレーコイルRを励磁し、その開成により、直流電源PSからの給電を遮断して、リレーコイルRを消磁する。
右折スイッチ機構2000bは、リレーRY及び操作スイッチSWを有しており、リレーRYは、リレーコイルRと、このリレーコイルRの励磁により開成されるリレースイッチSとでもって、構成されている。操作スイッチSWは、その閉成により、直流電源PSからの給電に基づきリレーコイルRを励磁し、その開成により、直流電源PSからの給電を遮断して、リレーコイルRを消磁する。
このように構成した左折スイッチ機構2000a或いは右折スイッチ機構2000bによれば、当該災害救助ロボットは、その前進状態において、右折スイッチ機構2000bのリレースイッチSの閉成のもと、左折スイッチ機構2000aのリレースイッチSの開成により、右側駆動輪40の正転のもと、左側駆動輪40の正転停止により、左折状態におかれる。また、当該災害救助ロボットは、その前進状態において、左折スイッチ機構2000aのリレースイッチSの閉成のもと、右折スイッチ機構2000bのリレースイッチSの開成により、左側駆動輪40の正転のもと、右側駆動輪40の正転停止により、右折状態におかれる。
両切り換えスイッチ3000a、3000bは、スライダーモータ620を正逆転させるためのもので、両切り換えスイッチ3000a、3000bは、共に、切り換え接点nの固定接点g1への投入でもって、スライダーモータ620を正転可能にし、切り換え接点nの固定接点g2への投入でもって、スライダーモータ620を逆転可能にする。
但し、両切り換えスイッチ3000a、3000bの各切り換え接点nの切り換えは、互いに連動するようになっている。また、切り換えスイッチ3000aの切り換え接点nは、直流電源PSの正側端子に接続され、切り換えスイッチ3000bの切り換え接点nは、直流電源PSの負側端子に接続されている。また、切り換えスイッチ3000aの固定接点g1及び切り換えスイッチ3000bの固定接点g2は、スライダーモータ620の正側端子に接続され、切り換えスイッチ3000aの固定接点g2及び切り換えスイッチ3000bの固定接点g1は、スライダーモータ620の負側端子に接続されている。
両切り換えスイッチ4000a、4000bは、幅調整モータ210を正逆転させるためのもので、両切り換えスイッチ4000a、4000bは、共に、切り換え接点uの固定接点h1への投入でもって、幅調整モータ210を正転可能にし、切り換え接点uの固定接点h2への投入でもって、幅調整モータ210を逆転可能にする。
但し、両切り換えスイッチ4000a、4000bの各切り換え接点uの切り換えは、互いに連動するようになっている。また、切り換えスイッチ4000aの切り換え接点uは、直流電源PSの正側端子に接続され、切り換えスイッチ4000bの切り換え接点uは、直流電源PSの負側端子に接続されている。また、切り換えスイッチ4000aの固定接点h1及び切り換えスイッチ4000bの固定接点h2は、幅調整モータ210の正側端子に接続され、切り換えスイッチ4000aの固定接点h2及び切り換えスイッチ4000bの固定接点h1は、幅調整モータ210の負側端子に接続されている。
また、各操作スイッチSWa、SWb、SWc及びSWdは、それぞれ、前上側カフモータ700a、前下側カフモータ700b、後上側カフモータ700c及び後下側カフモータ700dを正転させるためのもので、操作スイッチSWaは、直流電源PSの正側端子と前上側カフモータ700aの正側端子との間に接続されている。また、操作スイッチSWbは、直流電源PSの正側端子と前下側カフモータ700bの正側端子との間に接続され、操作スイッチSWcは、直流電源PSの正側端子と後上側カフモータ700cの正側端子との間に接続され、操作スイッチSWdは、直流電源PSの正側端子と後下側カフモータ700dの正側端子との間に接続されている。しかして、これら各操作スイッチSWa、SWb、SWc及びSWdは、その閉成により、それぞれ、直流電源PSから前上側カフモータ700a、前下側カフモータ700b、後上側カフモータ700c及び後下側カフモータ700dへ給電させる。また、これら各操作スイッチSWa、SWb、SWc及びSWdは、その開成により、それぞれ、直流電源PSからの上記給電を遮断する。
また、両切り換えスイッチ5000a、5000bは、案内モータ322を正逆転させるためのもので、両切り換えスイッチ5000a、5000bは、共に、切り換え接点vの固定接点i1への投入でもって、案内モータ322を正転可能にし、切り換え接点vの固定接点i2への投入でもって、案内モータ322を逆転可能にする。また、両切り換えスイッチ5000a、5000bは、各切り換え接点vの固定接点i1、i2からの解離により、案内モータ322を停止状態におく。
但し、両切り換えスイッチ5000a、5000bの各切り換え接点vの切り換えは、互いに連動するようになっている。また、切り換えスイッチ5000aの切り換え接点vは、直流電源PSの正側端子に接続され、切り換えスイッチ5000bの切り換え接点vは、直流電源PSの負側端子に接続されている。また、切り換えスイッチ5000aの固定接点i1及び切り換えスイッチ5000bの固定接点i2は、案内モータ322の正側端子に接続され、切り換えスイッチ5000aの固定接点i2及び切り換えスイッチ5000bの固定接点i1は、案内モータ322の負側端子に接続されている。
また、両切り換えスイッチ5000c、5000dは、角度調整モータ332を正逆転させるためのもので、両切り換えスイッチ5000c、5000dは、共に、切り換え接点wの固定接点j1への投入でもって、角度調整モータ332を正転可能にし、切り換え接点wの固定接点j2への投入でもって、角度調整モータ332を逆転可能にする。また、両切り換えスイッチ5000c、5000dは、各切り換え接点wの両固定接点j1、j2からの解離により、角度調整モータ332を停止状態におく。
但し、両切り換えスイッチ5000c、5000dの各切り換え接点wの切り換えは、互いに連動するようになっている。また、切り換えスイッチ5000cの切り換え接点wは、直流電源PSの正側端子に接続され、切り換えスイッチ5000dの切り換え接点wは、直流電源PSの負側端子に接続されている。また、切り換えスイッチ5000cの固定接点j1及び切り換えスイッチ5000dの固定接点j2は、角度調整モータ332の正側端子に接続され、切り換えスイッチ5000cの固定接点j2及び切り換えスイッチ5000dの固定接点j1は、角度調整モータ332の負側端子に接続されている。
また、操作スイッチSWeは、コンプレッサモータ820を回転させるためのもので、当該操作スイッチSWeは、直流電源PSの正側端子とコンプレッサモータ820の正側端子との間に接続されている。なお、コンプレッサモータ820の負側端子は直流電源PSの負側端子に接続されている。
また、LED360は、操作スイッチSWfを介し直流電源PSの正側端子に接続されている。しかして、LED360は、操作スイッチSWfの閉成に伴い、直流電源PSから給電されて、照明用赤外光を発光する。
増幅回路6000は、心音確認用スピーカ370、呼びかけ用マイクロフォン400b及び音声反応確認用スピーカ500bと、心音測定用マイクロフォン350、呼びかけ用スピーカ400a及び音声反応確認用マイクロフォン500aとの間に接続されている。
しかして、当該増幅回路6000は、心音測定用マイクロフォン350からの心音データを増幅して心音確認用スピーカ370に出力し、呼びかけ用マイクロフォン400bからの呼びかけ音声データを増幅して呼びかけ用スピーカ400aに出力し、音声反応確認用マイクロフォン500aからの音声データを増幅して音声反応確認用スピーカ500bに出力する。
データ処理回路7000は、状況確認用赤外線カメラ500cからの状況確認画像データ及び血流測定用カメラ340からの血流画像データを各表示データに処理してLCD900に出力する。このことは、当該LCD900が、データ処理回路7000からの各表示データに基づき、当該災害救助ロボットの前方の状況及び被災者の血流の状態を表示することを意味する。本実施形態では、上述した電気制御装置は、当該災害救助ロボットのコンテナーBの後部の適所に配設されている。なお、本実施形態にいう災害救助ロボットは、小型かつ比較的軽量で、車両による運搬に適している。
以上のように構成した本実施形態において、例えば、大震災の発生により、建物その他多数の建造物が倒壊し、多数の被災者が発生したものとする。このような状況に対し、レスキュー隊員等の救助者が、被災者の救助にあたり、車両により当該災害救助ロボットを被災地へ搬送する。
このように搬送した後、当該災害救助ロボットは倒壊建物の近くで車両から降ろされる。このとき、当該災害救助ロボットは、コンテナーBの前側開口部を、倒壊建物に向けて降ろされる。このような段階では、バイタルセンサユニット300の長手状変位部材310は、筒体313にて前方を臨む状態にあるものとする。そして、操作スイッチSWfが閉成されると、LED360が照明用赤外光を発光する。
ついで、前進用両切り換えスイッチ1000a、1000bの各切り換え接点mを各固定接点f1に投入すると、左右両側駆動輪モータ110が正転状態におかれる。すると、左右両側駆動機構DL、DRが、左右両側駆動輪モータ110の正転に伴い、両駆動輪40を正転させる。このため、左右両側クローラユニットCL、CRにおいて、両下側クローラCL1、CR1が、左右両下側クローラベルト30を正転させるとともに、両上側クローラCL2、CR2が、左右両上側クローラベルト30を両下側クローラCL1、CR1との噛合のもとに逆転させる。
これにより、当該災害救助ロボットは、左側クローラユニットCLの上下両側クローラベルト30を互いに逆方向に回転させるとともに右側クローラユニットCRの上下両側クローラベルト30を互いに逆方向に回転させながら前進していく。
このような前進過程において、レスキュー隊員等の救助者は、状況確認用赤外線カメラ500cからの状況確認画像データに基づきLCD900に表示される当該災害救助ロボットの前方の状況を確認しながら、呼びかけ用マイクロフォン400bを通して呼びかけ用スピーカ400aにより被災者に呼びかけを行う。
このような状態において、被災者(以下、被災者Mという)からの音声が音声確認用マイクロフォン500aを通して音声反応確認用スピーカ500bから発せられると、当該災害救助ロボットを被災者Mの音声の方向に進行させる。
例えば、被災者Mの音声が当該災害救助ロボットの左側前方から聞こえると判断されれば、当該災害救助ロボットをその方向に左折させながら前進させる。具体的には、左折スイッチ機構2000aの操作スイッチSWを閉成する。これに伴い、左折スイッチ機構2000aのリレーRYがリレーコイルRの励磁によりリレースイッチSを開成する。このとき、右折スイッチ機構2000bのリレーRYのリレースイッチSは閉成のままである。
すると、左側駆動機構DLが、左折スイッチ機構2000aのリレースイッチSの開成により、左側駆動輪モータ110を停止させて、左側クローラユニットCLの両クローラベルト30の回転を停止させる。このため、当該災害救助ロボットは、右側クローラユニットCRの両クローラベルト30の回転のもとに、左折し始める。その後、当該災害救助ロボットが被災者Mの音声の方向に向いたとき、左折スイッチ機構2000aの操作スイッチSWを開成すると、左折スイッチ機構2000aのリレースイッチSが閉成し、左側クローラユニットCLの両クローラベルト30が再び回転し始める。これにより、当該災害救助ロボットは被災者Mの方向に前進する。
このような前進過程において、当該災害救助ロボットの前方に倒壊建物の上下の瓦礫(例えば、角材)が狭い空間を形成しその奥に被災者Mが居ることが、状況確認用赤外線カメラ500cからの状況確認画像データに基づきLCD900の表示内容でもって確認されれば、当該災害救助ロボットをさらに上下の瓦礫の間に前進させる。
このとき、左右両側クローラユニットCL、CRの各上側クローラベルト30は、各下側クローラベルト30とは逆方向に回転しているため、当該災害救助ロボットは上記上下の瓦礫の間を押し広げるようにして前進する。従って、上側の瓦礫(図17にて符号P参照)が各上側クローラベルト30の上側に乗り上げる。ここで、上側の瓦礫Pが落下しないように、両油圧ジャッキユニットJにより各ジャッキ本体J2でもって下側から上側の瓦礫Pを支える(図17参照)。
このような状態において、当該災害救助ロボットがさらに前進したとき、状況確認用赤外線カメラ500cからの状況確認画像データに基づきLCD900により表示される画像が、例えば、図17にて示すような画像であれば、瓦礫Qが被災者Mの両脚の上に乗っていることがレスキュー隊員等の救助者によって確認され得る。このとき、被災者Mの両脚は、当該災害救助ロボットのコンテナーBの前側開口部に対向しているものとする(図17参照)。
そこで、当該災害救助ロボットをさらに被災者Mの両脚に向けて前進させる。このとき、コンテナー幅調整機構200によりコンテナーBの左右方向幅を拡張させる。具体的には、両切り換えスイッチ4000a、4000bの各切り換え接点uを各固定接点h1に投入することで、幅調整モータ210を正転させる。これにより、コンテナーBの左右方向幅がコンテナー幅調整機構200によりその幅調整モータ210の正転でもって拡張される。
然る後、当該災害救助ロボットが、図18にて示すごとく、被災者Mの両脚の直前に達したとき、両切り換えスイッチ1000a、1000bにおいて、その各切り換え接点mを両固定接点f1、f2から解離させるとともに、両切り換えスイッチ1000c、1000dにおいて、その各切り換え接点mを両固定接点f1、f2から解離させる。これにより、当該災害救助ロボットは被災者Mの両脚の直前にて停止する。このとき、被災者Mの両脚は、当該災害救助ロボットのコンテナーBの前側開口部に対向しているものとする(図19参照)。なお、このような状況は、状況確認用赤外線カメラ500cからの状況確認画像データに基づきLCD900の表示内容でもって確認され得る。
このような状態において、被災者Mの状態がバイタルセンサユニット300でもって確認される。具体的には、両切り換えスイッチ5000a、5000bが、共に、その切り換え接点vにて各固定接点i1に投入される。これに伴い、バイタルセンサユニット300の長手状変位部材310が各案内部材320によりその案内モータ322の正転でもって、当該災害救助ロボットの前方へ変位する。そして、長手状変位部材310が、その筒体313にて、被災者Mの直上に位置させたとき、両切り換えスイッチ5000a、5000bが、各切り換え接点vにて、両固定接点i1、i2から解離されて、案内モータ322が停止される。
このような状態において、長手状変位部材310の筒体313の傾きが角度調整機構330により調整される。具体的には、切り換えスイッチ5000c、5000dが、共に、切り換え接点wにて、両固定接点j1に投入される。すると、角度調整機構330が角度調整モータ332の正転により、筒体313を下方に向け湾曲させる。そして、筒体313が被災者Mの適所に向いたとき、両切り換えスイッチ5000c、5000dが、各切り換え接点wにて、両固定接点j1、j2から解離されて、角度調整モータ332が停止される。
このような段階において、血流測定用カメラ340が被災者Mの適所の血流を測定して血流画像データとしてデータ処理回路7000に出力する。また、心音測定用マイクロフォン350が、被災者Mの適所の心音を測定して心音データとして増幅回路6000に出力する。すると、血流画像データがデータ処理回路7000によりデータ処理されてLCD900に出力される。このため、被災者Mの適所の血流状況がLCD900により表示される。また、心音データが増幅回路6000により増幅されて心音確認用スピーカ370に出力される。このため、被災者Mの適所の心音が心音確認用スピーカ370から発する心音でもって確認され得る。
ここで、被災者Mがその血流状況や心音から生存者であって至急の治療を必要とすると判断されれば、当該災害救助ロボットが上述と同様に前進状態におかれる。これに伴い、被災者Mの両脚上の瓦礫Qが、上述した瓦礫Pと同様に、両上側クローラベルト30の回転のもとに、その上側に乗り上げる(図19参照)。このとき、スライダー600bがスライドされる。具体的には、両切り換えスイッチ3000a、3000bが、共に、その各切り換え接点nにて各固定接点g1に投入される。これにより、スライダー機構600cが、そのスライダーモータ620の正転により、スライダー600bがコンテナーBの前方にスライドさせる。
これに伴い、スライダー600bがその上面に被災者Mの両脚をすくい上げながら当該両脚をコンテナーB内にその前側開口部から収容し始める。また、カフ700が前上側巻き取り機構A及び前下側巻き取り機構Aにより拡張される。具体的には、両操作スイッチSWa、SWbが閉成され、前上側カフモータ700a及び前下側カフモータ700bが正転される。すると、カフ700がその前端開口部の右縁部にて前方へ引っ張られる。ここで、前上側巻き取り機構A及び前下側巻き取り機構Aは、カフ700の前端開口部の右縁側にしか設けられていないが、カフ700は、その形成素材の剛性により、前端開口部の全体にて前方へ引き出されて、拡張される。そして、カフ700がその前方への拡張を終えたとき、両操作スイッチSWa、SWbの開成により、前上側カフモータ700a及び前下側カフモータ700bが停止される。
従って、被災者Mは、その両脚からスライダー600b上に乗り上げながらカフ700内にその前端開口部から収容される(図11参照)。これにより、被災者Mの収容が安全かつ円滑になされ得る。
ついで、カフ700が空気供給機構800により膨張される。具体的には、操作スイッチSWeが閉成されて、コンプレッサモータ820が回転される。すると、空気供給機構800が、コンプレッサ810からそのコンプレッサモータ820の回転に伴い圧縮空気をカフ700の内部に吐出する。これに伴い、カフ700が膨張して被災者Mをその外側から圧迫固定する(図11参照)。
ここで、被災者Mの両脚には、瓦礫Qによる圧迫でもってクラッシュシンドローム現象が発生している可能性が高いが、被災者Mの瓦礫Qからの急激な圧迫解放によって、被災者Mの身体にはカリウムが循環し当該被災者Mが心停止を起こす可能性が高い。この防止のため、被災者Mの両脚に対する一定の圧迫状態が空気供給機構800からの圧縮空気でもってカフ700により確保される。その結果、被災者Mの救出が安全に行われ得る。
なお、本発明の実施にあたり、上記電気制御装置は、操作パネルとしてのタッチパネルでもって構成するようにしてもよい。
また、本発明の実施にあたり、各上側クローラCL2、CR2の各クローラベルト30は、各下側クローラCL1、CR1の各クローラベルト30上にあればよく、各下側クローラCL1、CR1の各クローラベルト30と噛合してもしなくてもよい。