JP5158341B2 - ボイラ給水の調製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ボイラ給水の調製方法、特に、補給水を受入れ可能な貯水タンクに貯留したボイラ給水を蒸気ボイラへ供給して加熱し、それにより発生する蒸気を負荷装置において利用する蒸気ボイラ装置において、前記補給水から前記ボイラ給水を調製するための方法に関する。
蒸気ボイラは、供給されたボイラ給水をボイラ水として貯留し、このボイラ水を加熱して蒸気を生成するが、蒸気の生成に伴ってボイラ水が濃縮され、ボイラ水に含まれる塩化物イオンや硫酸イオン等の各種のイオン成分濃度が上昇する。ボイラ水は、イオン成分濃度の上昇により電気伝導度が高まるため、生成した蒸気に一部が混入するキャリーオーバーを発生し、蒸気の品質を低下させる。そこで、蒸気ボイラの運転では、キャリーオーバーの発生を抑制するために、ボイラ給水やボイラ水へキャリーオーバー防止剤を添加している(例えば、特許文献1)。
特開2001−47087号公報
しかし、キャリーオーバー防止剤が添加されたボイラ水は、濃縮の進行によりキャリーオーバー防止剤の濃度が上昇し、結果的にイオン成分濃度が上昇して電気伝導度が高まるため、キャリーオーバー防止剤の濃度上昇を抑制して電気伝導度を制御する必要性から一部を蒸気ボイラから排水(ブロー)し、新たなボイラ給水を補給して希釈する操作が頻繁に必要になる。ここで、ブローしたボイラ水は、キャリーオーバー防止剤による環境汚染を引き起こす可能性があるため、キャリーオーバー防止剤の分解や分離等の適切な排水処理を施す必要がある。また、ボイラ水のブローおよびボイラ給水による希釈を頻繁に実行すると、蒸気ボイラの運転において、ボイラ給水の消費量が増大し、また、ボイラ給水の補給により温度低下したボイラ水の頻繁な加熱が必要になることからエネルギー消費も増大する。
本発明の目的は、ボイラ水のブローを抑制しながら、蒸気ボイラでのキャリーオーバーを抑制することにある。
本発明に係るボイラ給水の調製方法は、補給水を受入れ可能な貯水タンクに貯留したボイラ給水を蒸気ボイラへ供給して加熱し、それにより発生する蒸気を負荷装置において利用する蒸気ボイラ装置において、補給水からボイラ給水を調製するための方法であって、ナノろ過膜および逆浸透膜のうちの一つを用いたクロスフロー型ろ過装置へ補給水を供給し、クロスフロー型ろ過装置からのブロー量を所定ブロー量に設定して補給水をろ過処理する工程Aと、工程Aにおいてろ過処理された補給水を貯水タンクへ供給する工程Bと、クロスフロー型ろ過装置へ供給する補給水の電気伝導度を測定する工程Cとを含んでいる。ここで、工程Cにおいて測定した電気伝導度が所定値を超えたときは、工程Aにおいてクロスフロー型ろ過装置からのブロー量を所定ブロー量よりも多く設定する。
このようなボイラ給水の調製方法において、補給水は、工程Aにおいてナノろ過膜および逆浸透膜のうちの一つによりイオン成分が除去された後、工程Bにおいて貯水タンクへ供給されて貯留される。この過程において、補給水は、工程Cにおいて電気伝導度が測定される。
ここで、工程Cで測定した電気伝導度が所定値を超えたとき、例えば、補給水として用いる原水の水質変動(イオン成分濃度の異常上昇)により、クロスフロー型ろ過装置においてろ過処理される補給水のイオン成分濃度が高まり、ナノろ過膜若しくは逆浸透膜により補給水からイオン成分が除去されにくくなるものと予測されるときは、クロスフロー型ろ過装置からのブロー量を所定ブロー量よりも多く設定して工程Aを実行する。これにより、クロスフロー型ろ過装置は、膜表面での濃縮度が低下してイオン成分の除去能が高まり、処理後の補給水におけるイオン成分濃度を効果的に低下させることができる。
したがって、この調製方法によると、蒸気ボイラにおいてボイラ水の電気伝導度を高める原因となるイオン成分が安定に除去されたボイラ給水を調製することができる。そして、このボイラ給水を供給して運転される蒸気ボイラは、蒸気の生成に伴うボイラ水の濃縮が進行してもボイラ水の電気伝導度の上昇が抑制されるので、ブローを抑制しながらキャリーオーバーを抑制することができる。
本発明に係るボイラ給水の調製方法は、負荷装置において利用された蒸気が凝縮して得られる復水を貯水タンクへ供給し、貯水タンクに貯留された補給水と混合する工程Dをさらに含む。工程Dでは、復水を復水タンクに貯留するとともに貯水タンクに貯留された補給水の電気伝導度を測定し、貯水タンクに貯留された補給水の電気伝導度が所定値を超えたときに復水タンクに貯留した復水を貯水タンクへ供給する。
このような工程Dを含む本発明の調製方法によると、貯水タンクに貯留された補給水は、安定に復水と混合されて希釈される。したがって、貯水タンクでは、イオン成分濃度のより低いボイラ給水が安定に調製されることになり、このボイラ給水が供給される蒸気ボイラは、ブローをより効果的に抑制しながらキャリーオーバーを抑制することができる。
本発明に係るボイラ給水の調製方法は、ナトリウム型イオン交換樹脂でのイオン交換によりクロスフロー型ろ過装置へ供給する補給水から硬度分を除去する工程Eと、工程Aと工程Bとの間においてクロスフロー型ろ過装置においてろ過処理された補給水を脱酸素装置に通過させ、補給水に含まれる溶存酸素を除去する工程Fとをさらに含むことができる。この場合、ナトリウム型陽イオン交換樹脂を有する少なくとも二つの樹脂ユニットを含む樹脂ユニット群から選択した一つの樹脂ユニットにより工程Eを実行し、かつ、脱気装置において補給水を所定流量で通過させて工程Fを実行し、工程Cにおいて補給水の硬度および水温を併せて測定するとともに、測定した硬度が所定値を超えたときは樹脂ユニット群において他の樹脂ユニットを選択して工程Eを実行し、測定した水温が所定温度未満のときは工程Fにおいて所定流量未満で補給水を脱酸素装置に通過させるのが好ましい。
これらの工程を含む本発明の調製方法では、蒸気ボイラ装置においてそれぞれスケール生成および腐食発生の原因となる硬度分および溶存酸素の除去された補給水がボイラ給水として貯水タンクに貯留されることになる。したがって、このボイラ給水を使用する蒸気ボイラ装置は、キャリーオーバーの抑制と同時に、スケールの生成および腐食の発生を抑制することができる。
本発明に係るボイラ給水の調製方法は、上述のような工程を含むものであるため、この調製方法により調製されたボイラ給水を使用する蒸気ボイラ装置は、ボイラ水のブローを抑制しながら、蒸気ボイラでのキャリーオーバーを抑制することができる。
図1を参照して、本発明の実施の一形態に係るボイラ給水の調製方法を実施可能な蒸気ボイラ装置を説明する。図1において、蒸気ボイラ装置1は、熱交換器、蒸気釜、リボイラ若しくはオートクレーブ等の蒸気使用設備である負荷装置2に対して蒸気を供給するためのものであり、給水装置10、蒸気ボイラ20および復水経路30を主に備えている。
給水装置10は、蒸気ボイラ20へボイラ給水を供給するためのものであり、ボイラ給水を貯留するための貯水タンク40、ボイラ給水として用いる補給水を貯水タンク40へ供給するための補給経路50および制御装置70を主に備えている。貯水タンク40は、その底部から蒸気ボイラ20へ延びる給水経路41を有している。給水経路41は、蒸気ボイラ20に連絡しており、貯水タンク40内に貯留されたボイラ給水を蒸気ボイラ20へ送り出すための給水ポンプ42を有している。
補給経路50は、注水路51を有している。この注水路51は、水道水、工業用水若しくは地下水等の水源から供給される原水、好ましくはシリカを含む原水が貯留されている原水タンク(図示せず)から貯水タンク40へ補給水を供給するためのものであり、貯水タンク40へ向けて前処理装置52、軟水化装置53、予備ろ過装置54、クロスフロー型ろ過装置55および脱酸素装置56をこの順に有している。また、注水路51において、予備ろ過装置54とクロスフロー型ろ過装置55との間には、硬度センサ57、第一電気伝導度センサ58および水温センサ59が配置されている。さらに、注水路51は、クロスフロー型ろ過装置55と脱酸素装置56との間において、流量調節弁60を有している。
前処理装置52は、原水タンクからの補給水中に溶存している可能性のある次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を吸着可能な活性炭が充填されたろ過装置であり、原水から次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を除去するためのものである。
軟水化装置53は、図2に示すように、第一樹脂ユニット61aおよび第二樹脂ユニット61bの二つの樹脂ユニットからなる樹脂ユニット群61を備えている。この軟水化装置53において、注水路51は、切替弁62により第一経路51aと第二経路51bとの二つの経路に分岐しており、第一経路51aが第一樹脂ユニット61aに連絡し、第二経路51bが第二樹脂ユニット61bに連絡している。そして、第一経路51aと第二経路51bとは、各樹脂ユニット61a,61bの下流側で合流して一体化しており、予備ろ過装置54へ延びている。
ここで、各樹脂ユニット61a,61bには、ナトリウム型陽イオン交換樹脂が充填されている。ナトリウム型陽イオン交換樹脂は、前処理装置52において処理された補給水に含まれる硬度分、すなわち、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンをナトリウムイオンに置換し、補給水を軟化水へ変換するためのものである。また、切替弁62は、電磁弁であり、注水路51を第一経路51a若しくは第二経路51bのいずれかに選択するためのものである。
この軟水化装置53において、第一樹脂ユニット61aおよび第二樹脂ユニット61bは着脱可能であり、ナトリウム型陽イオン交換樹脂を交換することができる。
予備ろ過装置54は、軟水化装置53で軟水化された補給水中に混入している可能性のある懸濁物質やゴミ等の固形物を除去するためのものであり、固形物をろ過して分離するためのワインドフイルタ、プリーツフイルタ若しくはメッシュフイルタ等のろ過材(図示せず)を備えている。
クロスフロー型ろ過装置55は、予備ろ過装置54において処理された補給水に含まれる各種の溶解成分、すなわち、塩化物イオンや硫酸イオン等の各種のイオン成分や低分子量物質をろ過して分離するためのものであり、図3に示すように、加圧ポンプ80と、当該加圧ポンプ80の下流側に配置されたろ過膜モジュール81とを主に備えており、ろ過膜モジュール81には、処理液路82、入水路83および濃縮液路84が接続されている。
ろ過膜モジュール81では、予備ろ過装置54からの補給水が入水路83を通じて導入されると、処理液路82からろ過処理された補給水が流出するとともに、濃縮液路84から濃縮された補給水が流出するように構成されている。さらに、濃縮液路84は、排水路85と還流路86とに分岐しており、当該還流路86は、加圧ポンプ80の上流側の入水路83と接続されている。排水路85は、補給水の排水量、すなわちブロー量を制御するためのブロー制御弁87を有している。
ろ過膜モジュール81は、補給水に含まれる溶解成分をろ過するためのろ過膜エレメント(図示せず)を備えている。このろ過膜エレメントで用いられるろ過膜は、ナノろ過膜である。ナノろ過膜は、一般にNF(Nanofiltration)膜と呼称されている、ポリアミド系やポリエーテル系等の合成高分子を用いて形成されたものであり、AMST(Association of Membrance Separation Technology)規格のAMST−002において、「操作圧力1.5MPaで使用され、除去率90%以上を示す分離対象物質の分子量範囲が200〜1,000を示し、試験液の塩化ナトリウム濃度が500〜2,000mg/リットルで、操作圧力が0.3〜1.5MPaの評価条件の下で塩化ナトリウム除去率が5%以上、93%未満の膜」と定義されているものである。因みに、ナノろ過膜は、各社から市販されており、容易に入手することができる。
ろ過膜エレメントにおいて、ナノろ過膜は、各種の形状で用いられる。すなわち、ナノろ過膜は、平膜型、中空糸膜型、管状型およびノモリス型などの各種の形状で用いられる。
処理液路82は、ろ過膜モジュール81から延びており、ろ過膜モジュール81においてろ過された補給水を脱酸素装置56へ供給するためのものである。
脱酸素装置56は、クロスフロー型ろ過装置55においてろ過処理された補給水中の溶存酸素を除去するためのものであり、通過する補給水の滞留時間が長いほど脱酸素能力が高まる形式のもの、例えば、補給水を気体分離膜に通過させて溶存酸素を除去する形式のもの(例えば、中空糸状の気体分離膜の外部を減圧しながら内部に補給水を通過させて溶存酸素を除去する形式のもの)、補給水を減圧環境下で通過させて溶存酸素を除去する形式のもの、若しくは、補給水を加熱しながら通過させて溶存酸素を除去する形式のものなどの公知の各種の形式のものが用いられる。
硬度センサ57は、予備ろ過装置54からの補給水の硬度を測定するためのものであり、例えば、比色式、電極式若しくは滴定式などのセンサである。第一電気伝導度センサ58は、予備ろ過装置54からの補給水の電気伝導度を測定するためのものであり、例えば、電極式などのセンサである。水温センサ59は、予備ろ過装置54からの補給水の水温を測定するためのものであり、例えば、サーミスタ、熱電対若しくは測温抵抗体などのセンサである。
流量調節弁60は、電磁弁であり、クロスフロー型ろ過装置55から脱酸素装置56へ流れる補給水の流量を任意に調節可能なものである。
制御装置70は、硬度センサ57、第一電気伝導度センサ58および水温センサ59によりそれぞれ測定された硬度情報、電気伝導度情報および水温情報に基づき、切替弁62、ブロー制御弁87および流量調節弁60を制御するためのものである。
蒸気ボイラ20は、貫流ボイラであり、図4に示すように、給水経路41から供給されるボイラ給水を貯留可能な環状の貯留部21、貯留部21から起立する多数の伝熱管22(図4では二本のみ示している)、伝熱管22の上端部に設けられた環状のヘッダ23、ヘッダ23から負荷装置2へ延びる蒸気供給路24およびバーナーなどの燃焼装置25を主に備えている。燃焼装置25は、ヘッダ23側から貯留部21方向へ燃焼ガスを放射し、伝熱管22を加熱可能である。
伝熱管22は、ボイラ給水から蒸気を生成するためのものであり、非不動態化金属を用いて形成されている。非不動態化金属は、中性水溶液中において自然には不動態化しない金属をいい、通常はステンレス鋼、チタン、アルミニウム、クロム、ニッケルおよびジルコニウム等を除く金属である。具体的には、炭素鋼、鋳鉄、銅および銅合金等である。なお、炭素鋼は、中性水溶液中においても、高濃度のクロム酸イオンの存在下では不動態化する場合があるが、この不動態化はクロム酸イオンの影響によるものであって中性水溶液中での自然な不動態化とは言い難い。したがって、炭素鋼は、ここでの非不動態化金属の範疇に属する。また、銅および銅合金は、電気化学列(emf series)が貴な位置にあるため、通常は水分の影響による腐食が生じ難い金属と考えられているが、中性水溶液中において自然に不動態化するものではないので、非不動態化金属の範疇に属する。
復水経路30は、貯水タンク40へ復水を送るためのものであり、第一管路31、復水を貯留するための復水タンク32および第二管路33を有している。第一管路31は、負荷装置2から復水タンク32へ延びており、スチームトラップ34を有している。スチームトラップ34は、蒸気と水とを分離するためのものである。第一管路31の先端部は、通常、復水タンク32内に貯留された復水へ空気を巻き込まないようにするため、復水タンク32の底部近傍に配置されている。第二管路33は、復水タンク32から貯水タンク40へ延びており、復水タンク32に貯留された復水を貯水タンク40へ供給するためのものである。第二管路33は、復水タンク32から貯水タンク40への復水の供給量を制御するための制御バルブ35を有しており、また、貯水タンク40内に貯留されたボイラ給水へ空気を巻き込まないようにするため、通常、先端部が貯水タンク40の底部近傍に配置されている。第一管路31および第二管路33は、伝熱管22と同じく非不動態化金属を用いて形成されている。
次に、ボイラ給水の調製方法に触れながら、上述の蒸気ボイラ装置1の運転方法を説明する。ここで、制御装置70は、初期状態において、切替弁62を第一経路51a側に切替えており、また、クロスフロー型ろ過装置55からのブロー量が所定ブロー量Pになるようブロー制御弁87を設定しており、さらに、クロスフロー型ろ過装置55から脱酸素装置56へ流れる補給水の流量が所定流量Qになるよう流量調節弁60を設定しているものとする。また、制御バルブ35は、復水タンク32に貯留された復水を定率で、すなわち、単位時間当りに一定量で、貯水タンク40へ徐々に供給可能なように設定されているものとする。
蒸気ボイラ装置1の運転時には、原水タンクから注水路51を通じて貯水タンク40へ補給水を供給し、この補給水をボイラ給水として貯水タンク40に貯留する。
この際、原水タンクからの補給水は、先ず、注水路51を通じて前処理装置52へ供給され、そこで上述の酸化剤が活性炭により吸着除去される。続いて、前処理装置52からの補給水は、軟水化装置53へ流れる。軟水化装置53へ流れた補給水は、切替弁62を経由して第一経路51aへ流れ、第一樹脂ユニット61aを通過する。これにより、補給水に含まれる硬度分は、ナトリウム型陽イオン交換樹脂によりナトリウムイオンとイオン交換され、硬度分が除去された軟化水になる。
因みに、軟水化装置53において用いられるナトリウム型陽イオン交換樹脂は、酸化剤の影響により劣化してイオン交換能が低下しやすいが、この実施の形態において軟水化装置53へ供給される補給水は、前処理装置52において酸化剤が除去されているため、ナトリウム型陽イオン交換樹脂を劣化させにくい。したがって、軟水化装置53は、長期間に渡って安定的に補給水を軟水化することができる。
軟水化装置53において軟化水となった補給水は、次に、予備ろ過装置54でのろ過処理により懸濁物質やゴミ等の固形物が除去された後、クロスフロー型ろ過装置55においてさらにろ過処理される。クロスフロー型ろ過装置55において、予備ろ過装置54からの補給水は、加圧ポンプ80によって入水路83を通じてろ過膜モジュール81へ連続的に供給される。供給された補給水は、一部がろ過膜を透過して処理液路82へ流出し、残余がろ過膜を透過せずに濃縮液路84へ流出する。さらに、濃縮液路84へ流出した補給水は、一部が排水路85を通じて系外へブローされ、残余が還流路86を通じて入水路83へ還流される。このため、ろ過膜モジュール81へ供給された補給水は、一部が濃縮されながら装置内で循環することになる。
ろ過膜を透過する補給水は、ろ過膜によりろ過される。これにより、補給水は、電気伝導度を高める原因となる各種のイオン成分が除去される。一方、補給水に含まれる、原水に由来のシリカは、大半(通常は40%以上)がろ過膜を通過する。
因みに、予備ろ過装置54からの補給水は前処理装置52において酸化剤が除去されており、しかも、予備ろ過装置54において固形物が除去されているため、クロスフロー型ろ過装置55のろ過膜は、酸化による劣化が生じにくく、目詰まりを起こしにくい。したがって、クロスフロー型ろ過装置55は、長期間に渡って安定的に補給水から上述のようなイオン成分を除去することができる。
クロスフロー型ろ過装置55においてろ過処理された補給水は、処理液路82を通じてクロスフロー型ろ過装置55外へ流れ、続いて脱酸素装置56において脱酸素処理される。これにより、補給水は、蒸気ボイラ20の伝熱管22等の腐食(特に孔食)および復水経路30の腐食を促進する溶存酸素が除去される。
以上の結果、補給経路50において、脱酸素処理されかつイオン成分が除去された軟化水からなる補給水が調製され、この補給水がボイラ給水として貯水タンク40に貯留されることになる。このボイラ給水は、クロスフロー型ろ過装置55のろ過膜を透過したシリカを含む。
貯水タンク40に補給水が貯留された状態で給水ポンプ42を作動させると、貯水タンク40に貯留された補給水、すなわちボイラ給水は、給水経路41を通じて蒸気ボイラ20へ供給される。蒸気ボイラ20へ供給されたボイラ給水は、貯留部21においてボイラ水として貯留される。このボイラ水は、各伝熱管22を通じて燃焼装置25により加熱されながら各伝熱管22内を上昇し、徐々に蒸気になる。そして、各伝熱管22内において生成した蒸気は、ヘッダ23において集められ、蒸気供給路24を通じて負荷装置2へ供給される。
ここで、ボイラ水は、電気伝導度を高める原因となる各種のイオン成分が除去されており、しかも薬剤の添加されたものではないため、濃縮が進行しても電気伝導度が高まりにくい。このため、蒸気ボイラ20は、キャリーオーバーが抑制され、高品質の蒸気を安定に負荷装置2へ供給することができ、また、ボイラ水を希釈するためのブロー量を抑制することができる。したがって、蒸気ボイラ装置1は、ボイラ給水の補給量およびボイラ水のブローによる熱損失の削減を図ることができ、それによってボイラ給水の消費量およびボイラ水の加熱のためのエネルギー消費量を削減することができる。
負荷装置2へ供給された蒸気は、負荷装置2を通過して第一管路31へ流れ、そこで潜熱を失って一部が凝縮水に変わり、スチームトラップ34において蒸気と水とが分離されて高温の復水になる。このようにして生成した復水は、第一管路31から復水タンク32へ供給され、復水タンク32において貯留される。そして、復水タンク32に貯留された復水は、制御バルブ35により流量が調節されて第二管路33を徐々に流れ、貯水タンク40へ供給されて補給水と混合される。
ここで、貯水タンク40に貯留された補給水は、高温の復水が混合されることで加熱される。したがって、貯水タンク40において調製されるボイラ給水は、補給水に比べて高温になるため蒸気ボイラ20での加熱負担が軽減され、蒸気ボイラ装置1は、蒸気ボイラ20を稼動するためのエネルギー消費量を抑制することができ、経済的に運転することができる。また、貯水タンク40において、補給水に復水が混合されることで調製されるボイラ給水は、補給水を復水で希釈したものであるため、イオン成分濃度がさらに低下する。このため、このボイラ給水が供給される蒸気ボイラ20は、ボイラ水の濃縮が進行しても電気伝導度がより高まりにくくなるため、キャリーオーバーがさらに効果的に抑制され、また、ボイラ水を希釈するためのブロー量をさらに抑制することができる。
蒸気ボイラ装置1は、負荷装置2での蒸気使用量が少ないとき(「低負荷運転」という)に復水の回収量が少なく、負荷装置2での蒸気使用量が多いとき(「高負荷運転」という)に復水の回収量が多い。このため、復水を復水タンク32で貯留せずに貯水タンク40へ直接に供給すると、低負荷運転時は貯水タンク40に貯留された補給水が復水により希釈されにくく、高負荷運転時は同補給水が復水により希釈されやすくなるため、復水による補給水の希釈が不安定になる。そこで、蒸気ボイラ20でのキャリーオーバーを効果的に抑制するために、蒸気ボイラ20でのブロー量は、通常、低負荷運転時に回収される量の復水による補給水の希釈率を基準として高めに設定する必要がある。しかし、ブロー量をこのような基準で設定すると、補給水の希釈率が低負荷運転時よりも高くなる高負荷運転時においても、低負荷運転時の基準でボイラ水を過剰にブローすることになるので、ボイラ給水の消費量が増え、熱損失が発生する。
そこで、この実施の形態においては、制御バルブ35の調節により、復水タンク32に回収した復水を定率で、すなわち、単位時間毎に一定量で貯水タンク40へ供給する。これにより、低負荷運転時および高負荷運転時にかかわらず、貯水タンク40において復水による補給水の希釈率を安定させることができるため、蒸気ボイラ20は低負荷運転時でのブロー量よりも少ないブロー量で運転することができる。すなわち、蒸気ボイラ20では、キャリーオーバーを抑制しながらより効果的にブロー量を抑えることができ、ボイラ給水の消費量および熱損失によるエネルギー消費量をより効果的に削減することができる。
上述のような蒸気ボイラ装置1の運転中において、蒸気ボイラ20内で貯留されるボイラ給水によるボイラ水は、伝熱管22の内面等に接触する。一般に、非不動態化金属からなる伝熱管22等は、ボイラ水の影響を受けて腐食が進行しやすいが、この実施の形態では、ボイラ給水において溶存酸素が除去されているため、蒸気ボイラ20は、伝熱管22等の腐食、特に、局部的な腐食である孔食が発生しにくい。また、ボイラ給水に含まれるシリカは、蒸気ボイラ20の貯留部21や伝熱管22の内部表面に皮膜を形成するため、蒸気ボイラ20に対する腐食抑制作用を高めることができる。さらに、ボイラ水は、溶存酸素が除去されているため、その加熱により発生する蒸気は、復水経路30を腐食させにくい。
また、この蒸気ボイラ装置1において、蒸気ボイラ20へ供給されるボイラ給水は、硬度分が除去された軟化水であるため、伝熱管22は、スケールの付着も併せて抑制される。
蒸気ボイラ装置1の運転中において、硬度センサ57、第一電気伝導度センサ58および水温センサ59は、常時、予備ろ過装置54からクロスフロー型ろ過装置55へ流れる補給水の硬度、電気伝導度および水温をそれぞれ計測する。補給水の硬度を硬度センサ57で計測するのは、軟水化装置53での補給水の処理状況、すなわち軟水化状況を確認することを目的としている。また、補給水の電気伝導度を第一電気伝導度センサ58で計測するのは、補給水に含まれるイオン成分量の大小を判定することを目的としている。さらに、補給水の水温を水温センサ59で計測するのは、補給水に含まれる溶存酸素量の大小を予測することを目的としている。補給水は、水温が低いほど溶存酸素の溶解度が高く、溶存酸素量が多くなるため、水温によって溶存酸素量の大小傾向を予測することができる。
硬度センサ57により計測された補給水の硬度が予め設定した所定値Xを超えたとき、軟水化装置53の第一樹脂ユニット61aにおいてナトリウム型陽イオン交換樹脂の破過(イオン交換能の低下)などの異常が発生しているものと判断することができるため、制御装置70は、切替弁62を作動させ、注水路51を第一経路51aから第二経路51bへ切替える。これにより、前処理装置52からの補給水は、第二経路51bへ流れて第二樹脂ユニット61bへ供給され、そのナトリウム型陽イオン交換樹脂によりイオン交換処理される。これにより、貯水タンク40には硬度分の少ない補給水が供給され続けることになるので、蒸気ボイラ20は、ボイラ給水に対して薬剤を添加しなくても、スケールの生成が効果的に抑制される。
ここで、所定値Xは、通常、蒸気ボイラ20において濃縮されるボイラ水において許容される硬度の上限値未満に当該ボイラ水の硬度を設定可能なボイラ給水の硬度未満の範囲で任意に設定される値である。例えば、ボイラ水において許容される硬度の上限値が10ミリグラム/リットル(CaCO換算)であり、蒸気ボイラ20でのボイラ水の濃縮倍率が10倍の場合、所定値Xは1ミリグラム/リットル(CaCO換算)未満の任意の値に設定する。
注水路51が第二経路51bへ切替えられている間、軟水化装置53から第一樹脂ユニット61aを取り外し、ナトリウム型陽イオン交換樹脂を新たなものに交換する。このようにしておくと、第二樹脂ユニット61bの使用時において硬度センサ57により測定される補給水の硬度が予め設定した所定値Xを超えたとき、制御装置70により注水路51を第二経路51bから第一経路51aへ切替えることで、ナトリウム型イオン交換樹脂が交換された第一樹脂ユニット61aにより補給水をイオン交換処理することができる。このように、樹脂ユニット群61において選択された樹脂ユニット(すなわち、使用中の樹脂ユニット)以外の樹脂ユニットに充填されたナトリウム型陽イオン交換樹脂を不使用中に交換しておくと、補給水の硬度が予め設定した所定値Xを超えたときに、切替弁62の切替えにより樹脂ユニットを他方のものに速やかに変更することができる。したがって、補給水は、軟水化装置53において、より確実に硬度分が除去される。
また、第一電気伝導度センサ58により測定された補給水の電気伝導度が所定値Yを超えるとき、補給水は、原水の水質変動(イオン成分濃度の異常上昇)等によりイオン成分量が増加したものと判定することができる。そこで、制御装置70は、ブロー制御弁87を制御し、クロスフロー型ろ過装置55内で循環中の補給水のブロー量を所定ブロー量Pよりも大きく設定する。これにより、ろ過膜モジュール81では、循環によって濃縮された補給水が新たに供給される補給水により希釈されるため、膜表面での濃縮度が低下し、ろ過膜を透過する補給水におけるイオン成分量の増加が抑制される。したがって、ろ過膜は、イオン成分を除去するための負荷が軽減され、イオン成分の除去能力を維持することができるので、クロスフロー型ろ過装置55からは、電気伝導度の小さな補給水が処理液路82を通じて安定的に脱酸素装置56へ供給され続けることになる。この結果、蒸気ボイラ20は、ボイラ水のブロー量を増やさなくてもキャリーオーバーが安定的に抑制される。
ここで、所定値Yは、通常、年間を通じての原水の電気伝導度の平均値と最小値との間において任意に設定される。また、所定ブロー量Pは、通常、クロスフロー型ろ過装置55において、水回収率(クロスフロー型ろ過装置55の透過水量/クロスフロー型ろ過装置55へ供給する補給水量×100)が50〜90%の範囲になるよう任意に設定される。
第一電気伝導度センサ58により測定された補給水の電気伝導度が所定値Y以下に復帰したとき、制御装置70は、ブロー制御弁87を制御し、クロスフロー型ろ過装置55からのブロー量を所定ブロー量Pに復帰させる。このため、蒸気ボイラ装置1は、補給水の無駄を最小限に抑制することができ、経済的な運転が可能になる。
さらに、水温センサ59により測定された補給水の水温が所定水温T未満になったとき、補給水は溶存酸素量が高まり脱酸素装置56での脱酸素処理不足が予想されることになる。そこで、制御装置70は、流量調節弁60を制御し、クロスフロー型ろ過装置55から脱酸素装置56へ流れる補給水の流量を所定流量Q未満に低下させる。この結果、脱酸素装置56は、補給水の流通速度が低下し、補給水の滞留時間が長くなるため、補給水中の溶存酸素の除去能力が高まる。したがって、貯水タンク40は、補給水の水温が低下しても、溶存酸素量の少ない補給水が供給され続けることになる。
ここで、所定水温Tは、通常、溶存酸素濃度が0.5ミリグラム/リットル以下の補給水を安定に得ることができる水温の最小値以上の温度範囲において任意に設定される。また、所定流量Qは、通常、蒸気ボイラ20の時間当りの最大蒸気発生量を達成できるボイラ給水の流量以上の流量範囲において任意に設定される。
水温センサ59により測定された補給水の水温が所定水温T以上に復帰したとき、制御装置70は、流量調節弁60を制御し、クロスフロー型ろ過装置55から脱酸素装置56へ流れる補給水の流量を所定流量Qに復帰させる。
以上の結果、貯水タンク40は、溶存酸素がより確実に除去された補給水がボイラ給水として貯留されることになり、蒸気ボイラ装置1は、ボイラ給水に対して薬剤を添加しなくても、蒸気ボイラ20の腐食(特に孔食)の進行が効果的に抑制され、また、復水経路30の腐食も併せて効果的に抑制される。
変形例
(1)上述の実施の形態では、クロスフロー型ろ過装置55のろ過膜としてナノろ過膜を用いたが、このナノろ過は逆浸透膜に変更することもできる。逆浸透膜は、一般にRO(Reverse Osmosis)膜と呼称されている、ポリアミド等の合成高分子を用いて形成されたものであり、AMST(Association of Membrance Separation Technology)規格のAMST−002において、「塩化ナトリウム濃度が500〜2,000mg/リットルで操作圧力が0.5〜3.0MPaの評価条件の下での塩化ナトリウムの除去率が93%以上の膜」と定義されている。したがって、逆浸透膜は、AMST規格においてナノろ過膜と区別されている。因みに、逆浸透膜は、各社から市販されており、容易に入手することができる。
逆浸透膜は、ナノろ過膜と同様に各種の形状で用いられる。すなわち、逆浸透膜は、平膜型、中空糸膜型、管状型およびノモリス型などの各種の形状で用いられる。
補給水に含まれるイオン成分の除去能の点で、逆浸透膜とナノろ過膜とを比べたとき、前者が後者よりも優れているため、逆浸透膜を用いると、補給水の電気伝導度をより小さく設定することができ、それによって蒸気ボイラ20でのボイラ水のブローおよびキャリーオーバーをより効果的に抑制することができる。但し、逆浸透膜を用いる場合は、ナノろ過膜を用いる場合に比べ、クロスフロー型ろ過装置55においてろ過膜の負担を軽減してイオン成分の除去能を高めるために所定ブロー量を多めに設定する必要があるので、補給水の無駄が生じやすい。したがって、蒸気ボイラ装置1に対して補給水として供給可能な原水の一般的な水質、すなわち、イオン成分濃度の大小に基づいて、逆浸透膜とナノろ過膜とを選択するのが好ましい。具体的には、イオン成分濃度が一般的に高めの原水(北米や中国ではこの傾向が強い)の場合は逆浸透膜を選択し、イオン成分濃度が一般的に低めの原水の場合はナノろ過膜を選択するのが好ましい。
(2)上述の実施の形態では、制御バルブ35による流量制御により復水タンク32に貯留した復水を定率で貯水タンク40へ供給しているが、復水タンク32から貯水タンク40へ復水を供給する方法は変更することができる。例えば、図1に点線で示すように、貯水タンク40に貯留された補給水の電気伝導度を測定するための第二電気伝導度センサ43を配置し、この第二電気伝導度センサ43での測定値に従って制御バルブ35が連動して作動するように設定する。具体的には、第二電気伝導度センサ43により測定される貯水タンク40中の補給水の電気伝導度が所定値を超えた場合に制御バルブ35が開放し、同電気伝導度が所定値まで回復したときに制御バルブ35が閉鎖するように設定する。これによると、貯水タンク40に貯留された補給水は、電気伝導度が一定になるよう復水タンク32からの復水により希釈され、希釈率がさらに安定するため、蒸気ボイラ20は、ボイラ水のブロー量をさらに抑えながらキャリーオーバーを抑制することができる。
(3)上述の実施の形態では、軟水化装置53において、不使用中の樹脂ユニットのナトリウム型陽イオン交換樹脂を交換するようにしているが、樹脂ユニットのナトリウム型陽イオン交換樹脂は、不使用中において、軟水化装置53に装着したままの状態で再生するようにすることもできる。
この場合は、軟水化装置53に塩化ナトリウム水溶液の調製装置を設け、この調製装置から不使用中の樹脂ユニット内へ塩化ナトリウム水溶液を供給する。これにより、ナトリウム型陽イオン交換樹脂に付着した硬度分がナトリウムイオンと再度交換され、ナトリウム型陽イオン交換樹脂は硬度分とのイオン交換能が高まる。
(4)上述の実施の形態では、軟水化装置53において二つの樹脂ユニット61a,61bを有する樹脂ユニット群61を用いているが、樹脂ユニット群61は、三つ以上の樹脂ユニットを有していてもよい。
(5)上述の実施の形態では、予備ろ過装置54とクロスフロー型ろ過装置55との間に硬度センサ57、第一電気伝導度センサ58および水温センサ59を配置し、補給水の硬度、電気伝導度および水温を測定しているが、補給水の硬度分、電気伝導度および水温は、軟水化装置53と予備ろ過装置54との間において測定することもできる。但し、脱酸素装置56での脱酸素能力をより高めるために、補給水の水温は、上述の実施の形態のように、クロスフロー型ろ過装置55の直前で測定するのが好ましい。
(6)上述の各実施の形態は、蒸気ボイラ20として貫流ボイラを用いた場合を例としているが、蒸気ボイラ20として他の形態のものを用いた場合も本発明を同様に実施することができる。
本発明の実施の一形態に係るボイラ給水の調製方法を実施可能な蒸気ボイラ装置の概略図。 前記蒸気ボイラ装置において用いられる軟水化装置の概略図。 前記蒸気ボイラ装置において用いられるクロスフロー型ろ過装置の概略図。 前記蒸気ボイラ装置において用いられる蒸気ボイラの一部断面概略図。
符号の説明
1 蒸気ボイラ装置
2 負荷装置
20 蒸気ボイラ
30 復水経路
32 復水タンク
40 貯水タンク
43 第二電気伝導度センサ
50 補給経路
53 軟水化装置
55 クロスフロー型ろ過装置
56 脱酸素装置
57 硬度センサ
58 第一電気伝導度センサ
59 水温センサ
60 流量調節弁
61 樹脂ユニット群
61a 第一樹脂ユニット
61b 第二樹脂ユニット
87 ブロー制御弁

Claims (3)

  1. 補給水を受入れ可能な貯水タンクに貯留したボイラ給水を蒸気ボイラへ供給して加熱し、それにより発生する蒸気を負荷装置において利用する蒸気ボイラ装置において、前記補給水から前記ボイラ給水を調製するための方法であって、
    ナノろ過膜および逆浸透膜のうちの一つを用いたクロスフロー型ろ過装置へ前記補給水を供給し、前記クロスフロー型ろ過装置からのブロー量を所定ブロー量に設定して前記補給水をろ過処理する工程Aと、
    工程Aにおいてろ過処理された前記補給水を前記貯水タンクへ供給する工程Bと、
    前記クロスフロー型ろ過装置へ供給する前記補給水の電気伝導度を測定する工程Cと
    前記負荷装置において利用された前記蒸気が凝縮して得られる復水を前記貯水タンクへ供給し、前記貯水タンクに貯留された前記補給水と混合する工程Dとを含み、
    工程Cにおいて測定した前記電気伝導度が所定値を超えたときは、工程Aにおいて前記クロスフロー型ろ過装置からのブロー量を前記所定ブロー量よりも多く設定し、
    工程Dは、前記復水を復水タンクに貯留するとともに前記貯水タンクに貯留された前記補給水の電気伝導度を測定し、前記貯水タンクに貯留された前記補給水の前記電気伝導度が所定値を超えたときに前記復水タンクに貯留した前記復水を前記貯水タンクへ供給する、
    ボイラ給水の調製方法。
  2. ナトリウム型イオン交換樹脂でのイオン交換により前記クロスフロー型ろ過装置へ供給する前記補給水から硬度分を除去する工程Eと、工程Aと工程Bとの間において前記クロスフロー型ろ過装置においてろ過処理された前記補給水を脱酸素装置に通過させ、前記補給水に含まれる溶存酸素を除去する工程Fとをさらに含む、請求項1に記載のボイラ給水の調製方法。
  3. 前記ナトリウム型陽イオン交換樹脂を有する少なくとも二つの樹脂ユニットを含む樹脂ユニット群から選択した一つの樹脂ユニットにより前記工程Eを実行し、かつ、前記脱気装置において前記補給水を所定流量で通過させて前記工程Fを実行し、
    工程Cにおいて前記補給水の硬度および水温を併せて測定するとともに、測定した前記硬度が所定値を超えたときは前記樹脂ユニット群において他の樹脂ユニットを選択して工程Eを実行し、測定した前記水温が所定温度未満のときは工程Fにおいて前記所定流量未満で前記補給水を前記脱酸素装置に通過させる、請求項2に記載のボイラ給水の調製方法。
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