JP4996812B2 - 給水装置 - Google Patents

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Description

本発明は、原水を改質して生成された処理水を給水としてボイラへ供給する給水システムに関する。
ボイラには、原水から不純物等や溶存気体を除去し改質した処理水が使用されている。
従来、前記原水を改質して生成された処理水をボイラへ供給する給水システムとしては、一般に逆浸透膜を用いた逆浸透膜部により原水中に含まれている不純物等を濾過し、次に原水中の溶存気体を脱気処理部によって除去し、ボイラでの使用に適した水質に改質するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平5−220480号公報
しかし、上記給水システムによれば、前記逆浸透膜により、原水中に含まれているアルカリ成分も捕捉されてしまう。このようにアルカリ成分が除去された給水がボイラへ供給された場合、ボイラ内における給水のpHが上昇せず、これが原因でボイラの腐食が促進されることがある。このような場合、濾過処理部を通る前の給水にはアルカリ成分が含まれていることから、特に、逆浸透膜部によって濾過処理された後の処理水の水質に余裕がある場合などにあっては、かかる逆浸透膜部を通る前の給水を有効に利用することが考えられる。
本発明の目的は、ボイラへ供給された給水のpHの低下による腐食を抑制することができる給水システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ボイラへ給水を供給するための給水システムであって、前記給水を流す給水ラインと、該給水ラインに設けられた軟水化処理部と、該軟水化処理部の下流側の給水ラインに設けられた濾過処理部と、前記軟水化処理部と前記濾過処理部の間に入口が接続され前記濾過処理部をバイパスするバイパスラインと、該バイパスラインに設けられた開閉弁と、前記濾過処理部の下流側を流れる給水が所定のMアルカリ度となるよう前記開閉弁を開閉制御する制御部と、を備えて構成することを特徴とする。
このような請求項1に記載の発明に係る給水システムでは、給水ラインを流れる給水は、前記濾過処理部へ供給され、濾過処理部では、供給された給水中に含まれる不純物が除去される。
そして、不純物が除去された給水、すなわち濾過処理部の下流側を流れボイラへと供給される給水のMアルカリ度が低い場合には、前記制御部によって開閉弁を開き、濾過処理部へ流入する前の給水を前記バイパスラインから濾過処理部の下流側へと流入させる。そして、前記給水が所定のMアルカリ度になったときに、前記制御部は開閉弁を閉じる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記濾過処理部の下流側の前記給水ラインに、脱気処理部を備えたことを特徴とする。
このような請求項2に記載の発明に係る給水システムでは、濾過処理部を透過した透過水中に含まれる溶存気体が除去される。これにより、不純物と溶存気体とが除去された処理水が生成される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の前記バイパスラインは、前記濾過処理部の上流側の給水ラインと該濾過処理部と前記脱気処理部の間の給水ラインとを接続するよう構成したことを特徴とする。
このような請求項3に記載の発明に係る給水システムでは、濾過処理部の上流側から下流側へバイパスされた給水は、前記脱気処理部を通って機器へ供給される。
請求項1に記載の発明によれば、濾過処理部の下流側に流入される前記濾過処理部の上流側の給水に含まれる炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物などのアルカリ成分により、濾過処理部の下流側を流れボイラへと供給される給水のMアルカリ度を上昇させることができる。これにより、ボイラ内に供給された給水のpHの低下を防止することができ、ボイラの腐食を効果的に抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、ボイラへ供給される給水中の溶存気体が除去されていることから、ボイラの腐食抑制効果を向上させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、前記脱気処理部により、濾過処理部の上流側からバイパスされた給水中に含まれる溶存気体が除去されることから、ボイラの腐食抑制効果を向上させることができる。
以下、本発明に係る給水システムを実施するための最良の形態を説明する。
(実施の形態1)
本例の給水システムは、ボイラへ給水を供給するための給水システムであって、前記給水を流す給水ラインと、該給水ラインに設けられた濾過処理部と、該濾過処理部をバイパスするバイパスラインと、該バイパスラインに設けられた開閉弁と、前記濾過処理部の下流側を流れる給水が所定のMアルカリ度となるよう前記開閉弁を開閉制御する制御部と、を備えて構成することを特徴としている。
前記濾過処理部は、濾過膜により、前記給水ラインを流れる給水中に含まれる不純物の除去を行う。濾過膜としては、ナノ濾過膜やRO膜などを挙げることができる。かかる濾過膜によって除去される不純物には、炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物などのアルカリ成分も含まれる。
そして、このようなアルカリ成分を始めとする不純物が除去された透過水、すなわち濾過処理部の下流側を流れボイラへと供給される給水のMアルカリ度が低い場合には、前記制御部によって開閉弁を開き、濾過処理部へ流入する前の給水を前記バイパスラインから濾過処理部の下流側へと流入させる。このバイパスラインから流入された給水中に含まれるアルカリ成分により、濾過処理部の下流側を流れボイラへと供給される給水のMアルカリ度を上昇させることができる。これにより、ボイラ内に供給された給水のpHの低下を防止することができ、ボイラの腐食を効果的に抑制することができる。
(実施の形態2)
本例の給水システムは、ボイラへ給水を供給するための給水システムであって、前記給水を流す給水ラインと、該給水ラインに設けられた濾過処理部と、該濾過処理部の下流側の前記給水ラインに設けられた脱気処理部と、前記濾過処理部をバイパスし、濾過処理部の上流側の給水ラインと濾過処理部と脱気処理部の間の給水ラインとを接続するバイパスラインと、該バイパスラインに設けられた開閉弁と、前記濾過処理部の下流側を流れる給水が所定のMアルカリ度となるよう前記開閉弁を開閉制御する制御部と、を備えて構成することを特徴としている。
このような本例の給水システムでは、前記濾過処理部において、濾過膜により、前記給水ラインを流れる給水中に含まれる不純物の除去を行い、前記脱気処理部において給水中の溶存気体の除去を行う。前記濾過膜としては、実施の形態1と同様、ナノ濾過膜やRO膜などを挙げることができる。
そして、アルカリ成分を始めとする不純物が除去された透過水、すなわち濾過処理部の下流側を流れボイラへと供給される給水のMアルカリ度が低い場合には、前記制御部によって開閉弁を開き、濾過処理部へ流入する前の給水を前記バイパスラインから濾過処理部と脱気処理部の間の給水ラインへと流入させる。このバイパスラインから流入された給水中に含まれるアルカリ成分により、濾過処理部の下流側を流れボイラへと供給される給水のMアルカリ度を上昇させることができる。また、バイパスラインから流入する給水及び濾過処理部を透過した透過水は脱気処理部によって脱気処理され、溶存気体が除去される。これにより、ボイラ内に供給された給水のpHの低下を防止することができ、さらに溶存気体も除去することができるので、ボイラの腐食を効果的に抑制することができる。
次に、本発明の具体的な実施例を図面により詳細に説明する。以下に説明する実施例では、濾過処理部を、ナノろ過膜を用いた濾過処理部とした。
先ず、本発明の第1実施例について説明する。図1は本発明の給水システムを含むボイラシステムの第1実施例を示す構成図である。
図において、符号1で示されるボイラシステムは、給水を加熱して蒸気を生成するボイラ2と、ボイラ2へ給水を供給する給水システム3とを備えている。給水システム3は、給水ライン4を備え、この給水ライン4上において給水の水質を改質して生成された処理水を前記給水として前記ボイラ2へ供給するようになっている。
前記ボイラ2は、水管ボイラと称される多管式の貫流ボイラであって、このボイラ2は、特に図示しないが、所定の間隔で上下に配置される環状の下部ヘッダ及び環状の上部ヘッダと、これらの間に配置される複数の伝熱管と、複数の伝熱管により区画形成される燃焼室と、燃焼室の上方に配置され、各伝熱管内の給水を加熱して蒸気を発生させるバーナ等の加熱装置とを備えて構成されている周知構造のボイラである。前記給水ライン4は、ボイラ2の前記下部ヘッダに接続されている。
前記複数の伝熱管等は、非不動態化金属を用いて形成されている。ここで、非不動態化金属について説明すると、この非不動態化金属は、中性水溶液中において自然には不動態化しない金属をいい、通常は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、クロム、ニッケル、及びジルコニウム等を除く金属である。具体的には、炭素鋼、鋳鉄、銅、及び銅合金等である。前記炭素鋼は、中性水溶液中においても、高濃度のクロム酸イオンの存在下では不動態化する場合があるが、この不動態化はクロム酸イオンの影響によるものであって中性水溶液中での自然な不動態化とは言い難い。従って、炭素鋼は、ここでの非不動態化金属の範疇に属する。また、銅及び銅合金は、電気化学列(emf series)が貴な位置にあるため、通常は水分の影響による腐食が生じ難い金属と考えられているが、中性水溶液中において自然に不動態化するものではないので、ここでの非不動態化金属の範疇に属する。
前記給水システム3には、水道水、工業用水、地下水等の水源から供給される原水が貯留されている図示しない原水タンクから、給水が供給されるようになっている。そして、給水システム3は、給水ライン4に活性炭濾過処理部5と、軟水化処理部6と、プレフィルタ7と、濾過処理部8と、給水タンク9とを上流側から下流側に向かってこの順に備えている。また、かかる給水システム3には、軟水化処理部6とプレフィルタ7の間の給水ライン4と、給水タンク9とを繋ぐバイパスライン10が設けられ、このバイパスライン10には、開閉弁11が設けられている。
前記活性炭濾過処理部5は、給水中に溶存する次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を吸着除去するための装置として構成されている。上記酸化剤、すなわち残留塩素は、活性炭濾過処理部5の下流側に配置される軟水化処理部6のイオン交換樹脂(図示省略)を酸化させてイオン交換能力を早期に劣化させるおそれがあり、また、さらに下流に配置された濾過処理部8の後述するナノ濾過膜(図示省略)を酸化させて濾過能力を早期に劣化させるおそれがある。そこで、このような酸化による早期の能力劣化を防止するために、上記残留塩素を活性炭で吸着して除去することにより、上記イオン交換能力の早期劣化を防止するとともに上記濾過能力の早期劣化を防止し、給水の処理効率の向上、安定化等を図るようにしている。
活性炭濾過処理部5のような給水中の残留塩素を除去する他の装置としては、特に図示しないが、重亜硫酸ナトリウム(SBS)を添加する薬注装置等もあり、これを活性炭濾過処理部5の替わりに適用してもよいものとする。
前記軟水化処理部6は、上記残留塩素が除去された給水中に含まれるカルシウム、マグネシウム等の硬度成分をイオン交換樹脂(図示省略)により除去する装置として構成されている。すなわち、軟水化処理部6は、給水中に含まれる各種の硬度成分をナトリウムイオンに置換して、給水を軟水に変換するための装置として構成されている。
前記プレフィルタ7は、給水中のゴミ等により、濾過処理部の濾過部材(図示省略)が目詰まり等を起こさないようにするために、軟水化処理部6で軟水化された給水中のゴミ等を濾過処理部8の前で除去するためのものである。
前記濾過処理部8は、前記ボイラの非不動態化金属の腐食を引き起こす腐食促進成分を捕捉し、前記腐食の抑制に寄与する腐食抑制成分を透過する濾過部材(図示省略)を備え、かかる濾過部材により給水を濾過処理するものとして構成されている。
前記濾過部材は、具体的には、本例では、ナノ濾過膜(NF膜、NF:Nanofiltration)である。このナノ濾過膜は、ポリアミド系、ポリエーテル系等の合成高分子膜であり、2nm程度より小さい粒子や高分子(分子量が最大数百程度のもの)の透過を阻止できる液体分離膜である。また、ナノ濾過膜は、その濾過機能の点において、分子量が1,000〜300,000程度のものをろ別可能な膜(UF膜)と、分子量が数十程度のものをろ別可能な膜(RO膜)との中間に位置する機能を有する液体分離膜である。ちなみに、ナノ濾過膜は、各社から市販されており、容易に入手することができる。
このようなナノ濾過膜は、腐食促進成分を捕捉する。ここで、腐食促進成分について説明すると、この腐食促進成分とは、ボイラ2の上記各伝熱管(図示省略)の腐食が発生し易い部位、特に、内側に水分(ここでは缶水)が付着し、且つ外側から加熱される各伝熱管(図示省略)の内面に作用してその腐食を促進するものを言い、通常、硫酸イオン(SO 2−)、塩化物イオン(Cl)、及びその他の成分を含んでいる。ちなみに、腐食促進成分として重要なものは、硫酸イオン、塩化物イオンの両者である。ところで、日本工業規格JIS B 8223:1999は、貫流ボイラを含む特殊循環ボイラの腐食を抑制する観点から、当該ボイラの缶水の水質に関する各種の管理項目及び推奨基準を規定している。そして、その規定の中で、塩化物イオン濃度の規制値を設けているが、缶水の硫酸イオン濃度については言及していない(言い換えれば、硫酸イオンが腐食に関与するものとは認識していない)。しかしながら、本願出願人の会社の研究者等は、缶水の水質と腐食との関係を長年にわたって研究した成果として、缶水に含まれる硫酸イオンが腐食促進成分として上記各伝熱管(図示省略)等に作用していることを確認している。
また、前記ナノ濾過膜は、炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物などのアルカリ成分をも捕捉する。
そして、前記ナノ濾過膜は、腐食を抑制する成分である腐食抑制成分を透過する。腐食抑制成分とは、ボイラ2の上記各伝熱管(図示省略)の腐食が発生し易い部位、特に、各伝熱管(図示省略)の内面に作用し、そこに生じる腐食を抑制可能なものを言い、通常、シリカ(すなわち、二酸化ケイ素(SiO))を含んでいる。このシリカは、給水として用いる水道水、工業用水、地下水等において、通常含有されている成分であり、通常、各伝熱管(図示省略)におけるスケール発生成分と認識されていて、通常は可能な限りその濃度を抑制することが好ましいと考えられている。しかし、本願出願人の会社の研究者等は、缶水の水質と腐食との関係を長年にわたって研究した成果として、缶水に含まれるシリカが腐食抑制成分として上記各伝熱管(図示省略)等に作用していることを確認している。
濾過処理部8の下流側に備えられている前記給水タンク9には、軟水化処理部6で軟水化され、濾過処理部8において腐食促進成分とアルカリ成分が捕捉され腐食抑制成分が透過して生成された処理水が給水ライン4から流れ込むようになっている。
また、給水タンク9には、水質検知手段として電気伝導度計12が設けられている。この電気伝導度計12で計測された電気伝導度は、信号線13を介して、水質検知信号として制御部14に入力されるようになっている。制御部14は、電気伝導度計12で計測された電気伝導度に基づいて、信号線15を介して前記開閉弁11を開閉して給水タンク9内のMアルカリ度が最適となるようフィードバック制御を行うようになっている(後述のバイパス運転)。
続いて、上記構成に基づきながらボイラ2の運転時の流れについて説明する。ボイラ2を運転する場合には、図示しない原水タンクから供給される給水の水質を改質して処理水を生成し、その処理水をボイラ2用の給水として給水タンク9に貯留する必要がある。ここまでの過程について説明すると、給水ライン4を流れる給水は、図示しない原水タンクから所定の吐出圧を有する給水ポンプ(図示省略)により所定の圧力で流出する。その流出する給水の圧力は、下流側に配置された活性炭濾過処理部5、軟水化処理部6、プレフィルタ7、濾過処理部8の各部における圧損等を考慮して設定される。そして、図示しない原水タンクから流出した給水は、先ず、活性炭濾過処理部5を通過し、残留塩素が除去された状態となる。次に、その給水は、軟水化処理部6を通過して軟水となる。続いて、その軟水である給水は、濾過処理部8において、ナノ濾過膜を通過する際に、硫酸イオン、塩化物イオン等の腐食促進成分、及び、炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物などのアルカリ成分がナノ濾過膜により捕捉される。すなわち、腐食促進成分及びアルカリ成分が軟水から除去される。一方、軟水に含まれるシリカ、すなわち腐食抑制成分は、軟水と共にナノ濾過膜を透過する。このようにして濾過処理された濾過処理後の軟水は、ボイラ2へ供給される給水として給水タンク9に貯留される。
給水タンク9に貯留された処理水(給水)は、給水タンク9及びボイラ2の間に配置される給水ポンプ(図示省略)を介してボイラ2へ供給され、下部ヘッダ内において缶水として貯留される。貯留された缶水は、加熱装置により加熱されながら各伝熱管内を上昇し、徐々に蒸気になる。そして、各伝熱管内において生成された蒸気は、上部ヘッダにおいて集められ、負荷装置へと供給される。
ところで、ボイラ2の運転中において、各伝熱管は、その下端部分、すなわち下部ヘッダとの連結部分が缶水と継続的に接触することになる。そのため、各伝熱管は、上記下端部分において、通常、缶水の影響を受け腐食し易くなる。特に、各伝熱管は、下端部分において、内周面の減肉的な腐食に加えて局部的な腐食が生じ易く、それが原因で微少な穴開きを起こして破損する場合がある。
上記局部的な腐食とは、各伝熱管の缶水との接触面側から厚さ方向の反対側へ向かう孔状の腐食、すなわち各伝熱管の厚さ(肉厚)方向に発生する孔状の腐食を言う。以下、このような局部的腐食の発生現象を「孔食」と言い、この孔食により生じた孔状の腐食を「食孔」と言う。ちなみに、孔食は、通常、缶水中の溶存酸素の影響により発生するものと理解されている。
しかしながら、本例によれば、ボイラ2の運転中において、各伝熱管に対し、腐食抑制成分を含む軟水が缶水として供給されることになるので、缶水に含まれる腐食抑制成分が各伝熱管の下端部分に作用し、当該部分の腐食を抑制するようになる。より具体的には、腐食抑制成分は、各伝熱管の缶水との接触部分における減肉的な腐食を抑制するとともに、食孔の発生及び成長も抑制し、腐食(特に食孔)による伝熱管の破損を抑制する。この際、缶水は、濾過処理部8により腐食促進成分が除去されるため、腐食抑制成分による上記のような腐食抑制作用は、腐食促進成分により阻害され難く、効果的に発揮されるようになる。
さて、缶水に含まれる腐食抑制成分により、各伝熱管の腐食が抑制されるのは、缶水に含まれる溶存酸素等(各伝熱管の腐食促進成分)の影響により、各伝熱管から溶出する成分に腐食抑制成分(特にシリカ)が作用し、各伝熱管の内面に耐食性の皮膜(防食皮膜)が形成されるためと考えられる。特に、溶存酸素は、各伝熱管に局部的なアノードを発現させ、これにより食孔を進行させる場合があるが、缶水に含まれる腐食抑制成分(シリカ)は、アニオン又は負電荷のミセルとして存在するため、上記のようなアノードに吸着し易く、当該部分で選択的に防食皮膜を形成し易い。そのため、缶水に含まれる腐食抑制成分(シリカ)は、各伝熱管における食孔の進行を特に効果的に抑制することができるものと考えられる。
前記濾過処理部8においては、ナノろ過膜により給水中のアルカリ成分が捕捉される。したがって、特に、給水中のアルカリ成分が少ない水質となっている地域では、伝熱管内の缶水のpHが上昇しないおそれもある。伝熱管内の缶水のpHが所定よりも低い場合には、伝熱管が腐食しやすい。そこで、給水タンク8内の処理水の電気伝導度に基づき、給水内のMアルカリ度が所定よりも低いと検出したときは、前記開閉弁11を開閉し、これによって濾過処理部8へ流入する前の給水をバイパスライン10からバイパスさせるバイパス運転を行う。
このバイパス運転について詳しく説明すると、電気伝導度計12で計測された給水タンク9内の電気伝導度は、信号線13を介して水質検知信号として制御部14に入力される。水質検知信号を受けた制御部14は、開閉弁11を開閉して給水タンク9内の処理水のMアルカリ度が最適となるようフィードバック制御を行う。すなわち、電気伝導度計12で検知された水質検知信号は、信号線13を介して制御部14に入力され、制御部14は、入力された電気伝導度が所定値よりも小さいと判断した場合には、開閉弁11を開く。これにより、バイパスライン10から給水タンク9内に、濾過処理部8で濾過処理される前の給水が流れ込む。この給水は、濾過処理部8によってアルカリ成分が捕捉されていないことから、かかる給水が流れ込んだ給水タンク9内のMアルカリ度は上昇する。そして、制御部14は、電気伝導度計12からの水質検知信号に基づき、所定の電気伝導度に達したと判断した場合に開閉弁11を閉じる。
以上説明してきたように、ボイラシステム1の給水ライン4に、ボイラ2の非不動態化金属体の腐食を引き起こす腐食促進成分を捕捉し、腐食の抑制に寄与する腐食抑制成分を透過するナノ濾過膜を用いて濾過処理を行う濾過処理部8を備えることよって、ボイラ2の伝熱管等に生じる腐食を薬剤を用いずに抑制することができる。
また、給水タンク9内の処理水の電気伝導度が所定値よりも小さくなった場合、前記開閉弁11を開いて、濾過処理部8を通る前のアルカリ成分が捕捉されていない状態の給水をバイパスライン10から給水タンク9内へ流入させることから、給水タンク9内の処理水のMアルカリ度を上昇させ、缶水のpHの低下を防止することができる。
上記実施例では、バイパスライン10によって濾過処理部8の上流側の給水をバイパスさせる位置は、給水タンク9となっているが、このような場合に限られるものではなく、例えば、濾過処理部8と給水タンク9の間の給水ライン4へバイパスさせてもよい。
次に、図2に基づいて本発明の第2実施例について説明する。図2は本発明の給水システムを含むボイラシステムの第2実施例を示す構成図である。以下の説明では、上記第1実施例と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本例の給水システム20は、濾過処理部8と給水タンク9との間に脱気処理部21を備えている。そして、バイパスライン10は、軟水化処理部6とプレフィルタ7の間の給水ライン4と、濾過処理部8と脱気処理部21の間の給水ライン4とを繋ぐように構成され、濾過処理部8で濾過処理される前の給水が、濾過処理部8の下流であって脱気処理部21の手前へバイパスされるようになっている。
前記脱気処理部21は、濾過処理部8で濾過処理された透過水及びバイパスライン10から流入する給水に含まれる溶存酸素を機械的に除去するものである。この脱気処理部9は、脱気膜(図示省略)を備え、かかる脱気膜の一方に透過水を流通させ、他方を真空ポンプなどの真空排気手段により真空吸引することで、透過水中の溶存酸素を脱気する周知構成のものである。
このような本例の給水システム20では、図示しない原水タンクから供給される給水は、活性炭濾過処理部5、軟水化処理部6、プレフィルタ7、濾過処理部8を通ることにより、上記第1実施例と同様、軟水となり腐食促進成分が捕捉され腐食抑制成分が透過し、さらにこの給水が脱気処理部21へ供給されて溶存酸素が脱気処理される。脱気処理後の腐食抑制成分を含む軟水となる処理水は、ボイラ2へ供給される給水として給水タンク9に貯留される。
本例では、電気伝導度計12で計測された給水タンク9内の電気伝導度に基づいて開閉弁11を開けることにより、軟水化処理部6とプレフィルタ7の間の給水ライン4を流れる給水が、バイパスライン10を通って濾過処理部8と脱気処理部21の間の給水ライン4へ流入する。これにより、上記第1実施例と同様、給水タンク9内のMアルカリ度を上昇させることができる。
以上説明した本例の給水システム20によれば、腐食促進成分が捕捉され、腐食抑制成分が透過した給水がボイラ2へ供給されるため、ボイラ2の伝熱管等に生じる腐食を薬剤を用いずに抑制することができ、また、缶水のpHの低下を防止することができる。また、濾過処理部8で濾過処理された透過水及びバイパスライン10からの給水に溶存する溶存酸素が、脱気処理部21において除去され、腐食抑制効果を向上させることができる。
本発明の給水システムを含むボイラシステムの第1実施例を示す構成図。 本発明の給水システムを含むボイラシステムの第2実施例を示す構成図。
符号の説明
1 ボイラシステム
2 ボイラ
3,20 給水システム
4 給水ライン
5 活性炭濾過処理部
6 軟水化処理部
7 プレフィルタ
8 濾過処理部
9 給水タンク
10 バイパスライン
11 開閉弁
12 電気伝導度計
13 信号線
14 制御部
15 信号線
21 脱気処理部

Claims (3)

  1. ボイラへ給水を供給するための給水システムであって、
    前記給水を流す給水ラインと、
    該給水ラインに設けられた軟水化処理部と、
    該軟水化処理部の下流側の給水ラインに設けられた濾過処理部と、
    前記軟水化処理部と前記濾過処理部の間に入口が接続され前記濾過処理部をバイパスするバイパスラインと、
    該バイパスラインに設けられた開閉弁と、
    前記濾過処理部の下流側を流れる給水が所定のMアルカリ度となるよう前記開閉弁を開閉制御する制御部と、
    を備えて構成する
    ことを特徴とする給水システム。
  2. 前記濾過処理部の下流側の前記給水ラインに、脱気処理部を備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載の給水システム。
  3. 前記バイパスラインは、前記濾過処理部の上流側の給水ラインと該濾過処理部と前記脱気処理部の間の給水ラインとを接続するよう構成した
    ことを特徴とする請求項2に記載の給水システム。
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