JP4375104B2 - ボイラ給水システム - Google Patents

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Description

本発明は、原水を改質して生成された処理水を給水としてボイラへ供給するボイラ給水システムに関する。
気ボイラ、温水ボイラ等ボイラには、原水から不純物等や溶存気体を除去し改質した処理水が使用されている。
従来、前記原水を改質して生成された処理水をボイラへ供給するボイラ給水システムとしては、一般に逆浸透膜を用いた逆浸透膜部により原水中に含まれている不純物等を濾過し、次に原水中の溶存気体を脱気処理部によって除去するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平5−220480号公報
しかし、上記ボイラ給水システムによれば、前記逆浸透膜により、原水中に含まれているアルカリ成分も捕捉されてしまう。このようにアルカリ成分が除去された給水がボイラへ供給された場合、ボイラ内における給水のpHが上昇せず、これが原因でボイラの腐食が促進されることがある。
本発明の目的は、ボイラ内の給水のpHの低下による腐食を抑制することができる給水システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ボイラへ給水を供給する給水ラインと、該給水ラインの上流側から順に設けられた軟水化処理部および濾過処理部と、前記軟水化処理部および前記濾過処理部の間の前記給水ラインから分岐する供給路と、該供給路に接続された電解水生成装置と、該電解水生成装置で生成されたアルカリ水を前記濾過処理部の下流側の前記給水ラインに注入するアルカリ水供給路とを備え、前記濾過処理部は、前記ボイラの伝熱管を形成する非不動態化金属の腐食を促進する硫酸イオンおよび塩化物イオンを捕捉可能で、かつ非不動態化金属の腐食を抑制するシリカを透過可能なナノろ過膜を用いて構成されていることを特徴とする。
このような請求項1に記載の発明に係るボイラ給水システムでは、濾過処理部の下流側に備えられている前記給水タンクには、軟水化処理部で軟水化され、濾過処理部において腐食促進成分とアルカリ成分が捕捉され腐食抑制成分が透過して生成された処理水が給水ラインから流れ込むようになっている。そして、給水タンクに貯留された処理水は、給水ラインからボイラへ給水として供給され、各伝熱管の下端部分である下部ヘッダに缶水として貯留されるようになっている。このようにして、各伝熱管に対し、腐食抑制成分を含む軟水が缶水として供給されることになるので、缶水に含まれる腐食抑制成分が各伝熱管の下端部分に作用し、当該部分の腐食を抑制するようになる。より具体的には、腐食抑制成分は、各伝熱管の缶水との接触部分における減肉的な腐食を抑制するとともに、食孔の発生および成長も抑制し、腐食(特に食孔)による伝熱管の破損を抑制する。この際、缶水は、濾過処理部により腐食促進成分が除去されるため、腐食抑制成分による上記のような腐食抑制作用は、腐食促進成分により阻害され難く、効果的に発揮されるようになる。
また、濾過処理部の上流側を流れる給水が供給路から電解水生成装置へ供給され、該電解水生成装置で電気分解によって生成されたアルカリ水が給水タンク内の処理水に注入される。これにより、給水タンク内の処理水のpHを上昇させ、給水タンクからボイラへ給水として供給された缶水のpHの低下を防止することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の前記電解水生成装置で生成された酸性水を、前記ボイラから濃縮水として排出される排水に注水する酸性水供給路を備えたことを特徴とする。
このような請求項に記載の発明に係るボイラ給水システムでは、ボイラ内から排出される高アルカリ性を示す排水に、前記電解水生成装置で生成された酸性水を注入することにより、排水の中和処理を行うことができる。
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の前記濾過処理部の下流側の前記給水ラインに、脱気処理部を備えたことを特徴とする。
このような請求項に記載の発明に係るボイラ給水システムでは、濾過処理部を透過した透過水中に含まれる溶存気体が除去される。これにより、不純物等が除去され、かつ脱気された処理水が生成される。
請求項1に記載された発明によれば、ボイラへ給水を供給する給水ラインに、ボイラの非不動態化金属の腐食を引き起こす腐食促進成分およびアルカリ成分を捕捉するともに、腐食の抑制に寄与する腐食抑制成分を透過するナノろ過膜を用いて濾過処理を行う濾過処理部を備えることによって、ボイラの伝熱管等に生じる腐食を薬剤を用いずに抑制することができる。
また、給水タンク内へのアルカリ水の注入により、ボイラへ供給された給水のpH低下を防止できるので、pHの低下によるボイラの伝熱管の腐食を抑制することができる。
請求項に記載の発明によれば、ボイラ内の給水のpH低下防止を目的として該給水中に注入するためのアルカリ水を前記電解水生成装置によって生成する際に生成される酸性水を、有効に利用することができる。
請求項に記載の発明によれば、ボイラへ供給される給水中の溶存気体が除去されていることから、ボイラの腐食抑制効果を向上させることができる。
以下、本発明に係るボイラ給水システムを実施するための最良の形態を説明する。
(実施の形態1)
本例のボイラ給水システムは、ボイラへ給水を供給する給水ラインと、該給水ラインの上流側から順に設けられた軟水化処理部および濾過処理部と、前記軟水化処理部および前記濾過処理部の間の前記給水ラインから分岐する供給路と、該供給路に接続された電解水生成装置と、該電解水生成装置で生成されたアルカリ水を前記濾過処理部の下流側の前記給水ラインに注入するアルカリ水供給路とを備えたことを特徴としている。
前記ボイラとしては、蒸気ボイラ、温水ボイラが挙げられる。
前記濾過処理部は、濾過膜により、前記給水ラインを流れる給水中に含まれる不純物の除去を行う。濾過膜としては、前記ボイラの伝熱管を形成する非不動態化金属の腐食を促進する硫酸イオンおよび塩化物イオンを捕捉可能で、かつ非不動態化金属の腐食を抑制するシリカを透過可能なナノ膜を挙げることができる。かかる濾過膜によって除去される不純物には、炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物などのアルカリ成分も含まれる。
そして、ボイラへ供給される給水に、前記電解水生成装置によって生成されたアルカリ水を注入する。これにより、ボイラへ供給される給水のpHを上昇させることができ、pHの低下によるボイラの腐食を抑制することができるものとなる。
(実施の形態2)
本例のボイラ給水システムは、ボイラへ給水を供給する給水ラインと、該給水ラインの上流側から順に設けられた軟水化処理部および濾過処理部と、該濾過処理部の下流側の前記給水ラインに設けられた脱気処理部と、前記軟水化処理部および前記濾過処理部の間の前記給水ラインから分岐する供給路と、該供給路に接続された電解水生成装置と、該電解水生成装置で生成されたアルカリ水を前記濾過処理部の下流側の前記給水ラインに注入するアルカリ水供給路とを備えたことを特徴としている。
前記ボイラとしては、実施の形態1と同様、蒸気ボイラ、温水ボイラが挙げられる。
本例のボイラ給水システムでは、前記濾過処理部の濾過膜により、前記給水ラインを流れる給水中に含まれる不純物の除去を行い、該不純物を除去した給水中の溶存気体を、前記脱気処理部において除去する。前記濾過膜としては、実施の形態1と同様、前記ボイラの伝熱管を形成する非不動態化金属の腐食を促進する硫酸イオンおよび塩化物イオンを捕捉可能で、かつ非不動態化金属の腐食を抑制するシリカを透過可能なナノ膜を挙げることができる。
そして、ボイラへ供給される給水に、電解水生成装置によって生成されたアルカリ水を注入する。これにより、ボイラへ供給される給水のpHを上昇させることができ、pHの低下によるボイラの腐食を抑制することができるものとなる。また、濾過処理部を透過した透過水は脱気処理部によって脱気処理され、溶存気体が除去されるので、ボイラの腐食を効果的に抑制することができるものとなる。
次に、本発明の具体的な実施例を図面により詳細に説明する
先ず、本発明の第一実施例について説明する。図1は本発明のボイラ給水システムの第一実施例を示す構成図である。
図において、符号1で示されるボイラシステムは、給水を加熱して蒸気を生成するボイラ2と、ボイラ2へ給水を供給する給水システム3とを備えている。給水システム3は、給水ライン4を備え、この給水ライン4上において給水の水質を改質して生成された処理水を前記給水として前記ボイラ2へ供給するようになっている。
前記ボイラ2は、水管ボイラと称される多管式の貫流ボイラであって、このボイラ2は、特に図示しないが、所定の間隔で上下に配置される環状の下部ヘッダおよび環状の上部ヘッダと、これらの間に配置される複数の伝熱管と、複数の伝熱管により区画形成される燃焼室と、燃焼室の上方に配置され、各伝熱管内の給水を加熱して蒸気を発生させるバーナ等の加熱装置とを備えて構成されている周知構造のボイラである。
前記下部ヘッダには前記給水ライン4が接続されているとともに、缶水の濃縮水を排出する(ブローする)ための排出管5が設けられている。
前記複数の伝熱管等は、非不動態化金属を用いて形成されている。ここで、非不動態化金属について説明すると、この非不動態化金属は、中性水溶液中において自然には不動態化しない金属をいい、通常は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、クロム、ニッケル、およびジルコニウム等を除く金属である。具体的には、炭素鋼、鋳鉄、銅、および銅合金等である。ところで、炭素鋼は、中性水溶液中においても、高濃度のクロム酸イオンの存在下では不動態化する場合があるが、この不動態化はクロム酸イオンの影響によるものであって中性水溶液中での自然な不動態化とは言い難い。従って、炭素鋼は、ここでの非不動態化金属の範疇に属する。また、銅および銅合金は、電気化学列(emf series)が貴な位置にあるため、通常は水分の影響による腐食が生じ難い金属と考えられているが、中性水溶液中において自然に不動態化するものではないので、ここでの非不動態化金属の範疇に属する。
前記給水システム3には、水道水、工業用水、地下水等の水源から供給される原水が貯留されている原水側の被処理水タンク(図示省略)から、給水が供給されるようになっている。そして、給水システム3は、給水ライン4に活性炭濾過処理部6と、軟水化処理部7と、プレフィルタ8と、濾過処理部9と、給水タンク10とを上流側から下流側へ向かってこの順に備えている。
また、給水システム3は、電解水生成装置11を備えている。この電解水生成装置11には、軟水化処理部7とプレフィルタ8の間の給水ライン4に接続されている供給路12が接続されている。電解水生成装置11は、供給路12から軟水化処理部7で軟水化処理された給水が原料水として供給され、これを電気分解してアルカリ水と酸性水とを生成するようになっている。
電解水生成装置11には、給水タンク10に接続されているアルカリ水供給路13が接続されている。これにより、電解水生成装置11で生成されたアルカリ水は、アルカリ水供給路13から給水タンク10へ注入されるようになっている
また、電解水生成装置11には、排出管5に接続されている酸性水供給路14が接続されている。これにより、電解水生成装置11で生成された酸性水は、酸性水供給路14から排出管5へ注入されるようになっている。
前記活性炭濾過処理部6は、給水に溶存する次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を吸着除去するための装置として構成されている。上記酸化剤、すなわち残留塩素は、活性炭濾過処理部6の下流側に配置される軟水化処理部7のイオン交換樹脂(図示省略)を酸化させてイオン交換能力を早期に劣化させるおそれがあり、また、さらに下流に配置された濾過処理部9の後述する濾過部材(図示省略)を酸化させて濾過能力を早期に劣化させるおそれがある。そこで、このような酸化による早期の能力劣化を防止するために、上記残留塩素を活性炭で吸着して除去することにより、上記イオン交換能力の早期劣化を防止するとともに上記濾過能力の早期劣化を防止し、給水の処理効率の向上、安定化等を図るようにしている。
活性炭濾過処理部6のような給水中の残留塩素を除去する他の装置としては、特に図示しないが、重亜硫酸ナトリウム(SBS)を添加する薬注装置等もあり、これを活性炭濾過処理部6の替わりに適用してもよいものとする。
前記軟水化処理部7は、上記残留塩素が除去された給水に含まれるカルシウム、マグネシウム等の硬度成分をイオン交換樹脂(図示省略)によりイオン交換する装置として構成されている。すなわち、軟水化処理部7は、給水中に含まれる各種の硬度成分をナトリウムイオンに置換して、給水を軟水に変換するための装置として構成されている。
前記プレフィルタ8は、給水中のゴミ等により、濾過処理部9の濾過部材(図示省略)が目詰まり等を起こさないようにするために、軟水化処理部7で軟水化された給水中のゴミ等を濾過処理部9の前で除去するためのものでありる。
前記濾過処理部9は、前記ボイラの非不動態化金属の腐食を引き起こす腐食促進成分を捕捉するとともにアルカリ成分を捕捉し、前記腐食の抑制に寄与する腐食抑制成分を透過する濾過部材(図示省略)を備え、かかる濾過部材により給水を濾過処理するものとして構成されている。
前記濾過部材は、本例においては、ナノろ過膜(NF膜、NF:Nanofiltration)である。このナノろ過膜は、ポリアミド系、ポリエーテル系等の合成高分子膜であり、2nm程度より小さい粒子や高分子(分子量が最大数百程度のもの)の透過を阻止できる液体分離膜である。また、ナノろ過膜は、その濾過機能の点において、分子量が1,000〜300,000程度のものをろ別可能な膜(UF膜)と、分子量が数十程度のものをろ別可能な膜(RO膜)との中間に位置する機能を有する液体分離膜である。ちなみに、ナノろ過膜は、各社から市販されており、容易に入手することができる。
このようなナノろ過膜は、腐食促進成分を捕捉する。ここで、腐食促進成分について説明すると、この腐食促進成分とは、ボイラ2の上記各伝熱管(図示省略)の腐食が発生し易い部位、特に、内側に水分(ここでは缶水)が付着し、かつ外側から加熱される各伝熱管(図示省略)の内面に作用してその腐食を促進するものを言い、通常、硫酸イオン(SO 2−)、塩化物イオン(Cl)、およびその他の成分を含んでいる。ちなみに、腐食促進成分として重要なものは、硫酸イオン、塩化物イオンの両者である。ところで、日本工業規格JIS B 8223:1999は、貫流ボイラを含む特殊循環ボイラの腐食を抑制する観点から、当該ボイラの缶水の水質に関する各種の管理項目および推奨基準を規定している。そして、その規定の中で、塩化物イオン濃度の規制値を設けているが、缶水の硫酸イオン濃度については言及していない(言い換えれば、硫酸イオンが腐食に関与するものとは認識していない)。しかしながら、本願出願人の会社の研究者等は、缶水の水質と腐食との関係を長年にわたって研究した成果として、缶水に含まれる硫酸イオンが腐食促進成分として上記各伝熱管(図示省略)等に作用していることを確認している。
前記ナノろ過膜は、前記腐食促進成分のほか、炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物などのアルカリ成分をも捕捉する。
そして、前記ナノろ過膜は、腐食を抑制する成分である腐食抑制成分を透過する。腐食抑制成分とは、ボイラ2の上記各伝熱管(図示省略)の腐食が発生し易い部位、特に、各伝熱管(図示省略)の内面に作用し、そこに生じる腐食を抑制可能なものを言い、通常、シリカ(すなわち、二酸化ケイ素(SiO))を含んでいる。ここで、シリカは、給水として用いる水道水、工業用水、地下水等において、通常含有されている成分であり、給水に含まれるシリカは、通常、各伝熱管(図示省略)におけるスケール発生成分と認識されており、通常は可能な限りその濃度を抑制することが好ましいと考えられている。しかし、本願出願人の会社の研究者等は、缶水の水質と腐食との関係を長年にわたって研究した成果として、缶水に含まれるシリカが腐食抑制成分として上記各伝熱管(図示省略)等に作用していることを確認している。
濾過処理部9の下流側に備えられている前記給水タンク10には、軟水化処理部7で軟水化され、濾過処理部9において腐食促進成分とアルカリ成分が捕捉され腐食抑制成分が透過して生成された処理水が給水ライン4から流れ込むようになっている。また、給水タンク10には、前記アルカリ水供給路13が接続され、電解水生成装置11によって生成されたアルカリ水が流入するようになっている。
給水タンク10に貯留された処理水は、給水ライン4からボイラ2へ給水として供給され、下部ヘッダ(図示省略)に缶水として貯留されるようになっている。
続いて、上記構成に基づきながらボイラ2の運転時の流れについて説明する。ボイラ2を運転する場合には、原水タンク(図示省略)から供給される給水の水質を改質して処理水を生成し、その処理水をボイラ2用の給水として給水タンク10に貯留する必要がある。ここまでの過程について説明すると、給水ライン4を流れる給水は、被処理水タンク(図示省略)から所定の吐出圧を有する給水ポンプ(図示省略)により所定の圧力で流出する。その流出する給水の圧力は、下流側に配置された活性炭濾過処理部6、軟水化処理部7、プレフィルタ8、濾過処理部9の各部における圧損等を考慮して設定される。そして、前記原水タンクから流出した給水は、先ず、活性炭濾過処理部6を通過し、残留塩素が除去された状態となる。次に、その被処理水は、軟水化処理部7を通過して軟水となる。続いて、その軟水である給水は、濾過処理部9において、ナノろ過膜を通過する際に、硫酸イオン、塩化物イオン等の腐食促進成分、および、炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物などのアルカリ成分がナノろ過膜により捕捉される。すなわち、腐食促進成分およびアルカリ成分が軟水から除去される。一方、軟水に含まれるシリカ、すなわち腐食抑制成分は、軟水と共にナノろ過膜を透過する。このようにして濾過処理された濾過処理後の軟水は、ボイラ2へ供給される給水として給水タンク10に貯留される。
給水タンク10に貯留された給水は、給水タンク10およびボイラ2の間に配置される給水ポンプ(図示省略)を介してボイラ2へ供給され、下部ヘッダ内において缶水として貯留される。貯留された缶水は、加熱装置により加熱されながら各伝熱管内を上昇し、徐々に蒸気になる。そして、各伝熱管内において生成された蒸気は、上部ヘッダにおいて集められ、負荷装置へと供給される。
ところで、ボイラ2の運転中において、各伝熱管は、その下端部分、すなわち下部ヘッダとの連結部分が缶水と継続的に接触することになる。そのため、各伝熱管は、上記下端部分において、通常、缶水の影響を受け腐食し易くなる。特に、各伝熱管は、下端部分において、内周面の減肉的な腐食に加えて局部的な腐食が生じ易く、それが原因で微少な穴開きを起こして破損する場合がある。
上記局部的な腐食とは、各伝熱管の缶水との接触面側から厚さ方向の反対側へ向かう孔状の腐食、すなわち各伝熱管の厚さ(肉厚)方向に発生する孔状の腐食を言う。以下、このような局部的腐食の発生現象を「孔食」と言い、この孔食により生じた孔状の腐食を「食孔」と言う。ちなみに、孔食は、通常、缶水中の溶存酸素の影響により発生するものと理解されている。
しかしながら、本例によれば、ボイラ2の運転中において、各伝熱管に対し、腐食抑制成分を含む軟水が缶水として供給されることになるので、缶水に含まれる腐食抑制成分が各伝熱管の下端部分に作用し、当該部分の腐食を抑制するようになる。より具体的には、腐食抑制成分は、各伝熱管の缶水との接触部分における減肉的な腐食を抑制するとともに、食孔の発生および成長も抑制し、腐食(特に食孔)による伝熱管の破損を抑制する。この際、缶水は、濾過処理部9により腐食促進成分が除去されるため、腐食抑制成分による上記のような腐食抑制作用は、腐食促進成分により阻害され難く、効果的に発揮されるようになる。
さて、缶水に含まれる腐食抑制成分により、各伝熱管の腐食が抑制されるのは、缶水に含まれる溶存酸素等(各伝熱管の腐食促進成分)の影響により、各伝熱管から溶出する成分に腐食抑制成分(特にシリカ)が作用し、各伝熱管の内面に耐食性の皮膜(防食皮膜)が形成されるためと考えられる。特に、溶存酸素は、各伝熱管に局部的なアノードを発現させ、これにより孔食を進行させる場合があるが、缶水に含まれる腐食抑制成分(シリカ)は、アニオンまたは負電荷のミセルとして存在するため、上記のようなアノードに吸着し易く、当該部分で選択的に防食皮膜を形成し易い。そのため、缶水に含まれる腐食抑制成分(シリカ)は、各伝熱管における孔食の進行を特に効果的に抑制することができるものと考えられる。
前記濾過処理部においては、ナノろ過膜により給水中のアルカリ成分が捕捉される。したがって、特に、給水中のアルカリ成分が少ない水質となっている地域では、伝熱管内の缶水のpHが上昇しないおそれもある。伝熱管内の缶水のpHが所定よりも小さい場合には伝熱管が腐食しやすい。したがって、このような事態を防止するため、本例の給水システム3においては、前記濾過処理部9の上流側を流れる給水が供給路12から電解水生成装置11へ供給され、該電解水生成装置11で電気分解によって生成されたアルカリ水が給水タンク10内の処理水に注入される。これにより、給水タンク10内の処理水のpHを上昇させ、給水タンク10からボイラ2へ給水として供給された缶水のpHの低下を防止することができる。
前記ボイラ2内の濃縮水(缶水)は、排出管5からボイラ外へ排水されるが、この濃縮水はアルカリ性を示す。したがって、電解水生成装置11によってアルカリ水を生成するときに同時に生成される酸性水を、酸性水供給路14から排出管5を流れる濃縮水に注入し、排水の中和処理を行うことができる。
以上説明してきたように、ボイラシステム1の給水ライン4に、ボイラ2の非不動態化金属の腐食を引き起こす腐食促進成分およびアルカリ成分を捕捉するともに、腐食の抑制に寄与する腐食抑制成分を透過するナノろ過膜を用いて濾過処理を行う濾過処理部9を備えることによって、ボイラ2の伝熱管等に生じる腐食を薬剤を用いずに抑制することができる。
また、給水タンク10内へのアルカリ水の注入により、ボイラ2へ供給された給水のpH低下を防止できるので、pHの低下によるボイラ2の伝熱管の腐食を抑制することができる。
さらに、電解水生成装置11によって電気分解するために用いる原料水を、給水システム3とは別の系統のものではなく、濾過処理部9の上流側を流れる給水とすることから、電解水生成装置11へ原料水を供給するための新たな供給ラインを設ける必要がない。
また、電解水生成装置11へ供給される原料水は、軟水化処理部7によって軟水化された給水であるので、電解水生成装置11におけるスケールの発生を防止することができる。
また、ボイラ2へ供給された給水のpH低下防止を目的として該給水中に注入するためのアルカリ水を前記電解水生成装置11によって生成する際に生成される酸性水を、排出管5の排水の中和処理に利用することにより、有効に利用することができる。
本実施例では、電解水生成装置11によって生成されたアルカリ水は、給水タンク10内に注入されるようになっているが、アルカリ水を注入する位置は、これに限られるものではなく、濾過処理部9の上流側、下流側を問わず、給水ライン4のどの位置であってもよい。アルカリ水を注入する位置が、濾過処理部9の上流側でもよいのは、アルカリ水中の水酸化物イオン(OH)は、濾過処理部9のナ膜を透過し、濾過処理部9の下流側の透過水(給水タンク10およびボイラ2へ供給される給水)中に含まれるからである。
また、本実施例では、電解水生成装置11へ給水ライン4を流れる給水を供給するための供給路12は、軟水化処理部7とプレフィルタ8の間の給水ライン4に接続されているが、このような位置に接続する場合には限られない。
また、ボイラ2へ供給された給水のpH低下防止を目的として給水中に注入するためのアルカリ水の生成は、前記電解水生成装置11によって行うものに限られるものではなく、例えば、OH型陰イオン交換樹脂によってアルカリ水を生成してもよい。
次に、図2に基づいて本発明の第二実施例について説明する。図2は本発明のボイラ給水システムの第二実施例を示す構成図である。以下の説明において、上記第一実施例と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本例の給水システム20は、濾過処理部9と給水タンク10との間に脱気処理部21を備えている。そして、本例の給水システム20において、アルカリ水供給路13は、濾過処理部9と脱気処理部21の間の給水ライン4に接続され、電解水生成装置11によって生成されたアルカリ水は、濾過処理部9の下流であって脱気処理部21の手前に注入されるようになっている。
前記脱気処理部21は、濾過処理部9で濾過処理された透過水およびアルカリ水供給路13から流入するアルカリ水に含まれる溶存酸素を機械的に除去するものである。この脱気処理部21は、脱気膜(図示省略)を備え、かかる脱気膜の一方に透過水を流通させ、他方を真空ポンプなどの真空排気手段により真空吸引することで、透過水中の溶存酸素を脱気する周知構成のものである。
このような本例の給水システム20では、原水タンク(図示省略)から供給される給水は、活性炭濾過処理部6、軟水化処理部7、プレフィルタ8、濾過処理部9を通ることにより、上記第一実施例と同様、軟水となり腐食促進成分が捕捉され腐食抑制成分が透過し、さらにこの給水が脱気処理部21へ供給されて溶存酸素が脱気処理される。脱気処理後の腐食抑制成分を含む軟水となる処理水は、ボイラ2へ供給される給水として給水タンク10に貯留される。
本例では、電解水生成装置11によって生成されたアルカリ水が濾過処理部9と脱気処理部21の間の給水ライン4に流入する。これにより、第一実施例と同様、ボイラ2へ供給された給水のpH低下を防止でき、pHの低下によるボイラ2の伝熱管の腐食を抑制することができる。
また、腐食促進成分が捕捉され、腐食抑制成分が透過した給水がボイラ2へ供給されるため、ボイラ2の伝熱管等に生じる腐食を薬剤を用いずに抑制することができる。また、濾過処理部9で濾過処理された透過水およびアルカリ水供給路13からのアルカリ水に溶存する溶存酸素が、脱気処理部21において除去されるので、腐食抑制効果を向上させることができる。
本実施例では、電解水生成装置11によって生成されたアルカリ水は、濾過処理部9と脱気処理部21の間の給水ライン4に注入されるようになっているが、アルカリ水を注入する位置は、第一実施例と同様、これに限られるものではない。ただし、脱気処理部21の上流側に前記アルカリ水を注入すれば、ボイラ2へ供給される給水の脱気度を高めることができることから、脱気処理部21の上流側に前記アルカリ水を注入することがより好ましい。
本発明のボイラ給水システムの第一実施例を示す構成図。 本発明のボイラ給水システムの第二実施例を示す構成図。
1 ボイラシステム
2 ボイラ
3,20 給水システム
4 給水ライン
5 排出管
6 活性炭濾過処理部
7 軟水化処理部
8 プレフィルタ
9 濾過処理部
10 給水タンク
11 電解水生成装置
12 供給路
13 アルカリ水供給路
14 酸性水供給路
21 脱気処理部

Claims (3)

  1. ボイラへ給水を供給する給水ラインと、
    該給水ラインの上流側から順に設けられた軟水化処理部および濾過処理部と、
    前記軟水化処理部および前記濾過処理部の間の前記給水ラインから分岐する供給路と、
    該供給路に接続された電解水生成装置と、
    該電解水生成装置で生成されたアルカリ水を前記濾過処理部の下流側の前記給水ラインに注入するアルカリ水供給路とを備え、
    前記濾過処理部は、前記ボイラの伝熱管を形成する非不動態化金属の腐食を促進する硫酸イオンおよび塩化物イオンを捕捉可能で、かつ非不動態化金属の腐食を抑制するシリカを透過可能なナノろ過膜を用いて構成されている
    ことを特徴とするボイラ給水システム。
  2. 前記電解水生成装置で生成された酸性水を、前記ボイラから濃縮水として排出される排水に注水する酸性水供給路を備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ給水システム。
  3. 前記濾過処理部の下流側の前記給水ラインに、脱気処理部を備えた
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のボイラ給水システム。
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