JP5156344B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、衝突事故などにより車両に衝撃が発生した時に膨張展開し、乗員を保護するインフレータブルエアバッグを備えたエアバッグ装置に関するものである。
車両の衝突事故時に乗員を保護するエアバッグは、運転席の場合は、ステアリングホイールの中央部に、助手席の場合は、インストルメントパネルの上方部などに取り付けられる。
車両のステアリングやインストルメントパネルに搭載されたエアバッグ装置が作動すると、エアバッグはインフレータから吹き込まれる高圧ガスにより、急激に膨張展開する。エアバッグの上部を覆っていたカバーは開裂し、エアバッグは車室内に膨張展開して、乗員がステアリングホイールやインストルメントパネル、さらには、フロントガラスに衝突するのを防止する。
その一方、とりわけ乗員の頭部や胸部がエアバッグ装置に近接している場合など、乗員が通常と異なる着座位置にある時にエアバッグ装置が作動すると、乗員がエアバッグに接触する際の衝撃が大きくなってしまうおそれがある。
小柄な乗員が運転席に着座した場合も、頭部がハンドル付近に近接する状態となる。この状態でインフレータが作動し、エアバッグが膨張展開すると、乗員への傷害値が大きくなる。近年のエアバッグには、このようなエアバッグ自体による乗員への加害性の低減が強く求められている。
従来、かかる加害性の軽減を図るため、乗員への接触を回避させるカバー形状や、インフレータ出力を低減する方法が採用されていた。エアバッグ装置の膨張展開ガスの排気特性を向上させて、傷害値を軽減する、例えば特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1では、エアバッグの、展開用ガス吹込み口の周辺にガス排出口を備え、初期状態において、膨張展開用ガスを排出している。これにより、乗員への加害性を低減している。
特開平11−334524号公報
特許文献1の方式では、ガス排出口が、切れ目と所定強さの縫いで構成され、エアバッグ内の内圧が所定の内圧より大になったときに、破裂して開孔する手段としている。しかし、切れ目と所定強さの縫いとでガス排出口を構成した場合、作業ばらつき、あるいは、基布や縫製する糸などの素材のばらつきを把握し、一定の範囲内で確実に破裂させることは困難なことが想定される。
また特許文献1の方式では、一旦ガス排出口が形成されると、それを封止する手段はない。したがって、乗員保護のために本来上昇させるべきエアバッグ内の内圧を、所定値以上に上昇させることができないおそれがある。
エアバッグ装置は、理想的には、膨張展開の初期に、急増しがちなエアバッグの内圧をガス排出により抑制して加害性の低減を図り、膨張展開が進行するとガス排出を停止して、車両衝突による衝撃から乗員を保護するのに十分な内圧を確保する必要がある。
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、膨張展開初期の加害性の低減と、その後の乗員拘束性能とを両立させ、確実に動作する構造を有するエアバッグ装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明によるエアバッグ装置の代表的な構成では、ガス吹込口を有するエアバッグと、エアバッグにガスを吹き込んで膨張展開させる、側面につば部を備えたディスク型インフレータと、ディスク型インフレータの径より大きな径を有する貫通孔を中央に備えた基板部材であって、基板部材の一方側では貫通孔にエアバッグのガス吹込口が接続され、他方側からは貫通孔にディスク型インフレータが進入している基板部材と、基板部材とディスク型インフレータのつば部との間に隙間を形成し、隙間を通じてエアバッグ内のガスを排出可能な状態に付勢する付勢部材と、エアバッグの膨張展開に連動して、付勢部材の付勢力に抗してインフレータを移動させ、インフレータのつば部を基板部材に密着させて隙間を封止する封止手段とを含むことを特徴とする。
膨張展開初期にガスが吹き込まれると、急激に内圧が増大する。内圧が急増中のエアバッグに乗員が接触すると、乗員が受ける荷重が大きく、乗員への加害性が高い。本発明では、エアバッグに、予め付勢部材によって、ガスを排出するための隙間を設けておくことで、膨張展開初期に急増しがちな内圧の増大の勾配を緩やかにする。したがって、本発明によるエアバッグは、エアバッグ自体による乗員への加害性が小さい。とりわけ乗員の頭部がステアリングの近傍に位置している場合など、通常と異なる着座位置にある乗員への加害性の低減が図られている。
膨張展開がさらに進行すると、付勢部材の付勢力に抗して隙間が封止され、ガスの排出は不能になる。それ以後はガスの吹き込みによってエアバッグ内の内圧は上昇する。したがって、通常の着座位置にある乗員に接触するまでには、膨張展開が完了し、乗員保護のための十分な内圧を確保できる。
以上のように、本発明によれば、エアバッグ膨張展開初期の急激な内圧上昇を回避して、とりわけ通常と異なる着座位置の乗員に対し、エアバッグ自体による加害性が低減される。これに加え、通常の着座位置の乗員に対しては、車両衝突による衝撃から乗員を保護するのに十分な内圧を確保し、乗員の拘束性(最大バッグ反力特性)を保持している。本発明によるエアバッグ装置は、このような両立困難な特性を両立させていて、乗員の着座位置に関係なく、乗員にエアバッグ自体からの加害性を小さくして、エアバッグ本来の機能である乗員の安全確保も実現している。
本発明はディスク型インフレータを形作っている外観形状を生かして考案したものであるがシリンダ型インフレータにも応用することが可能である。特に、車両用に応用した場合、運転席用エアバッグ装置が、最も許容スペースの制限されたものであり、設計者に工夫を強いているが、本発明によれば、容易にスペース不足の問題も解消することができる。その他、本発明は助手席用エアバッグ装置にも容易に応用できる。
上述の封止手段は、基板部材の一方側に設置され、エアバッグの膨張展開に連動して回転し、回転によって基板部材から遠ざかる部位を有するカム部材と、遠ざかる部位に一端が固定され、基板部材をスライド自在に貫通し、基板部材の他方側にて他端がディスク型インフレータのつば部に固定されている引込シャフト部材とを備えるとよい。
カム部材の回転によってカム部材のある部位が基板部材から遠ざかる。すると、上記部位に固定されている引込シャフト部材は、基板部材の一方側に向かって引込まれる。シャフト部材の他端はインフレータのつば部に固定されているため、基板部材の他方側に位置するインフレータのつば部は基板部材に近付き、密着する。これによって隙間の封止が実行され、ガスの排出が防止される。
カム部材によって引込シャフトが引き込まれる距離は、封止される前の隙間の寸法と実質的に等しくするとよい。引き込まれる距離が不足すると隙間が完全に封止できないし、引き込まれる距離が大きすぎると、基板部材とインフレータのつば部とに過大な荷重をかけて密接させることになり、破損の原因となるからである。
上述の封止手段はさらに、エアバッグの内部に、展開時、エアバッグの乗員側となる部分に一端が接続され、他端がカム部材に接続されていて、エアバッグの膨張展開時にカム部材を引っ張ることによってカム部材を回転させる部材を備えるとよい。
上記部材は、エアバッグ形状制御部材またはガス流偏向部材とするとよい。本部材は、エアバッグの展開に連動してカム部材を回転させる。
上述の遠ざかる部位は、カム部材の回転中心を含むとよい。
上述の付勢部材は、基板部材とディスク型インフレータのつば部との間に設けられたバネとしてよい。
付勢部材は、インフレータのどの部分に設けてもよいが、つば部に設けるのが理想的である。つば部に付勢部材を設ければ、インフレータからエアバッグへのガス吹き込みを阻害しないからである。
付勢部材はバネとしてよい。バネはコイルバネ、板バネ等を用いてよい。ただしバネ以外の弾性を有するいかなる部材でもよい。
上述の基板部材は、インフレータのつば部が密着可能な領域に、つば部から離れる方向に凹んだ段差部を有し、バネは、段差部とディスク型インフレータのつば部との間に設けられていて、段差部は、収縮したバネを収容できる深さを有するとよい。
これにより、バネが収縮すればバネは段差部に収容され、隙間の封止を阻害せず、基板部材とつば部とを密着させることが可能だからである。
上述の隙間の寸法は4mm〜6mmとしてよい。4mm以上とした場合、胸部粘性傷害値(Viscous Criterion; VC)の理想的な低下が見られたためである。また、隙間の寸法は大きくなるほど、封止に時間がかかるものの、6mm程度であれば、十分な乗員の拘束性を実現する内圧がエアバッグに得られるからである。
本発明によれば、エアバッグ膨張展開初期には、ガス排出により、エアバッグ自体による加害性が低減され、膨張展開がさらに進行するとガス排出は停止して、乗員保護のための十分な内圧を確保できる。すなわち加害性の低減と乗員の拘束力という両立しがたい性能を両立できる。
本発明によれば、ディスク型インフレータを利用したエアバッグ装置の構造を利用した、簡素で確実に動作し、部品点数の増大も抑制した方式を達成可能である。
次に添付図面を参照して本発明によるエアバッグ装置の実施形態を詳細に説明する。図中、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。同様の要素は同一の参照符号によって表示する。なお、以下の実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
(運転席用エアバッグ装置)
図1は、本発明の実施形態である運転席用エアバッグ装置を例示する図である。一般的に、車両用のエアバッグ装置のうち、運転席用エアバッグ装置が、最も許容スペースの制限されたものであり、設計者に工夫を強いていることから、運転席用エアバッグ装置を実施形態として説明する。
図1に例示するように、運転席用エアバッグ装置100は、ステアリングホイール110に組み込まれている。図1(a)は正面図であり、図1(b)はエアバッグが膨張展開した場合も示す右側面図である。ステアリングホイール110は、左右各2本で構成されたステアリングスポーク120と略円形のステアリングリム130とで構成され、中央部に、運転席用エアバッグ装置100が組み込まれている。実際には、左右2本ずつのステアリングスポーク120を取囲む化粧用カバーが存在するが、本実施形態では、説明の便宜上、図示を省略している。
ステアリングホイール110の中央部のカバー150は、後述するエアバッグ140が膨張展開する時に開裂して、エアバッグ140を車室内へ導く。カバー150の中央にはエンブレム設置部160があり、エンブレム設置部160に近接して、テアライン(開裂線とも称される)170が設けられている。テアライン170は、エアバッグ140の膨張展開初期にカバー150が開裂し易いように、断面が略三角形の連続した溝部を成形して、略三角形の一つの頂点の角部を表面側にして薄肉化したものである。
エアバッグ140内には、膨張展開形状を形成する形状制御部材であるテザー(吊り紐とも呼ばれる)172、または、吹き込まれるガスの方向を制御するガス流偏向部材であるディフューザ180が設置されている。テザー172またはディフューザ180は、エアバッグ140の底部近傍の基布や構成部材に、固定されている。
図2は、図1の運転席用エアバッグ装置を車両前方から見た斜視図である。エアバッグ装置100の最下部にはホーンブラケット190が設置されていて、ホーンブラケット190は、ホーンスイッチ用接点200b(図4)を介して、組付用ナット(3箇所)210により、基板部材であるハウジング220に固定されている。ハウジング220には、車内側にカバー150が、車外側にディスク型インフレータ230が、組付用ナット(4箇所)240により固定されている。
図3は、図1(a)のA−A断面図であり、図2の運転席用エアバッグ装置100が膨張展開する前の、通常状態を例示するものである。図4は、図3の運転席用エアバッグ装置の構成図である。エアバッグ140内に収容されたリテーナリング250は、組付用ボルト260の圧入・かしめまたはそれらの組み合わせによって、エアバッグ140のガス吹込口をハウジング220に固定している。
ハウジング220は、ディスク型インフレータ230の径より大きな径を有する貫通孔を中央に備えている。ハウジング220の一方側(車内側)では、上述のようにリテーナリング250を用いて、ハウジング220の貫通孔にエアバッグ140のガス吹込口が接続されている。他方側(車外側)からはハウジング220の貫通孔に、ディスク型インフレータ230が進入している。
ハウジング220とインフレータ230のつば部350との間には、隙間保持用コイルバネ290が設けられている。より詳細には、バネ290は、ハウジングに設けられた段差部222とつば部350との間に設けられている。隙間保持用コイルバネ290は、ハウジング220とディスク型インフレータ230の側面に備えられたつば部350との間に4mm〜6mm程度の隙間224を形成し、隙間224を通じてエアバッグ内のガスを排出可能な状態に付勢する付勢部材である。ただし付勢部材は、コイルバネのほか、板バネ等を用いてもよく、バネ以外の弾性を有するいかなる部材でもよい。
段差部222は、インフレータ230のつば部350がハウジング220に密着可能な領域に、つば部350から離れる方向に凹んだ形状として形成されている。段差部222は、収縮したバネ290を収容できる深さを有する。バネ290が収縮すればバネ290は段差部222に完全に収容され、隙間224の封止を阻害せず、ハウジング220とつば部350とを密着させることが可能だからである。
図4を参照して、エアバッグ装置100の構成について説明する。ハウジング220は、エアバッグ140を収納する一部の側壁部と、上部にエアバッグを収納する一部の側壁部を成形したカバー150とを構成し、さらに、一部にホーンスイッチ用接点200aと、その近傍にホーンブラケット190の取合部が設けられて、下部には、ディスク型インフレータ230の取付部が設けられている。
ハウジング220を経由した組付用ボルト260に、組付用ナット280を締込むことにより、エアバッグ140をハウジング220に固定する。その後、隙間保持用コイルバネ290・ディスク型インフレータ230の順に、組付用ボルト260に挿入して、止まりネジとなっている組付用ナット240により固定する。ホーンブラケット190に、絶縁用ピース330を図示する位置の方向より挿入し、ホーンスイッチ用コイルバネ340を挿入して、ハウジング220のホーンスイッチ用接点200aに、ホーンブラケット190のホーンスイッチ用接点200bが合致するように、組付用ナット210により、ハウジング220に固定する。この組立手順によれば、図3で説明した構造に組み立てることができる。
組付用ボルト260の中央には引込シャフト270がスライド自在な貫通孔が設けられている。組付用ボルト260はハウジング220も通過し、段差部222内で組付用ナット(4箇所)280によりエアバッグ140をハウジング220に、膨張ガスが漏れないように固定する。
引込シャフト270は、組付用ボルト260の貫通孔を通過した後、衝撃発生時に膨張ガスをエアバッグ140に供給するディスク型インフレータ230のつば部350をも通過し、組付用ナット240によって、つば部350に先端が固定されている。
引込シャフト270は、このように、先端がつば部350すなわちインフレータ230に固定されている一方、組付用ボルト260の貫通孔をスライド自在である。したがって、引込シャフト270がスライドして車内側に引き込まれると、隙間保持用コイルバネ290の付勢力に抗して、つば部350ごとインフレータ230を移動させ、インフレータ230のつば部を基板部材に密着させて隙間224を封止することが可能である。この動作は後述するように、エアバッグ140の膨張展開に連動して行われる。
引込シャフト270の上端部は、組付用ボルト260の貫通孔より大きく、隙間保持用コイルバネ290がそれ以上伸びないよう、ブロックしている。それとともに、引込シャフト270の上端部は、カム部材として、カム形状の引込ブラケット(4箇所)300の回転中心に、組付用スクリュ(4箇所)310により、固定されている。
図5は、図3の運転席用エアバッグ装置100が膨張展開した状態を例示する、図3に対応する断面図である。衝突を検知することにより、ディスク型インフレータ230は、エアバッグ140にガスを吹き込んで膨張展開させる。図示していないが、膨張展開時には、エアバッグ140内に折畳まれ、エアバッグ140が展開した際にエアバッグ基布の乗員正面側の一部分にエアバッグの内側で一端が接続されたテザー172が、伸展してエアバッグ展開方向に引き出される。テザー172の他端は、引込ブラケット300の長孔320に接続されている。したがって、エアバッグ140が膨張展開すると、それに連動してテザー172は展開し、引込ブラケット300を引っ張って回転させる。
図6は、図3または図4に例示する、カム形状の引込ブラケット300の回転動作を説明する動作図である。図6(a)は回転前のセット状態を示し、隙間保持用コイルバネ290の車外方向への付勢力により、エアバッグ140の膨張展開前は、この状態が維持される。図6(b)は動作開始状態を例示する。引込ブラケット300のカム形状により、ブラケット300の回転中心(組付スクリュ310の位置)は、ハウジング220から徐々に遠ざかる。このようにハウジング220から遠ざかる部位は、引込ブラケット300の少なくとも長孔320と、組付スクリュ310とを含んで構成される部分を示す。これによって、上記回転中心に組付スクリュ310で固定されている引込シャフト270は、車内方向へ引き込まれる。シャフト270の他端はインフレータ230のつば部350に固定されているため、つば部350が固定されているディスク型インフレータ230も、移動開始する。
図6(c)は、ブラケット300の動作の中間時点を示し、シャフト270のフルストロークの1/2の寸法状態である。図6(d)は動作完了状態を示し、シャフト270がフルストロークの寸法にわたってスライドした状態である。図6(e)は、動作終了状態を示す。このとき、インフレータ230のつば部350はハウジング220に密着する。これによって隙間224の封止が実行され、ガスの排出が防止される。
図6(a)〜(b)および(d)〜(e)は、各部品のばらつきを吸収するための、いわゆる「遊び」を説明するである。引込ブラケット300によって引込シャフト270が引き込まれる距離、すなわち上述のフルストロークは、封止される前の隙間224の寸法と実質的に等しい。引き込まれる距離が不足すると隙間224が完全に封止できないし、引き込まれる距離が大きすぎると、ハウジング220とインフレータ230のつば部350とに過大な荷重をかけて密接させることになり、破損の原因となるからである。
上述のように、隙間224の封止手段は、既に述べたテザー172と、引込ブラケット300と、引込シャフト270とで構成されている。引込ブラケット300は、ハウジング220の一方側(車内側)に設置され、エアバッグ140の膨張展開に連動して回転し、回転によってハウジング220から回転中心が遠ざかる。引込シャフト270は、ブラケット300の回転中心に組付スクリュ310によって一端が固定され、ハウジング220をスライド自在に貫通し、ハウジング220の他方側(車外側)にて他端がディスク型インフレータ230のつば部350に固定されている。
一般的に、エアバッグの膨張展開初期にガスがインフレータ230からエアバッグに吹き込まれると、急激に内圧が増大する。内圧が急増中のエアバッグに乗員が接触すると、乗員が受ける荷重が大きく、乗員への加害性が高い。しかし本実施形態では、エアバッグ140に、予め隙間保持用コイルバネ290によって、ガスを排出するための隙間224を設けておくことで、膨張展開初期に急増しがちな内圧を低下させる。あるいは、内圧増大の勾配を緩やかにする。したがって、エアバッグ140は、エアバッグ140自体による乗員への加害性を低減させることができる。とりわけ乗員の頭部がステアリングホイール110の近傍に位置している場合など、通常と異なる着座位置にある乗員への加害性の低減が図られている。
膨張展開がさらに進行すると、隙間保持用コイルバネ290の付勢力に抗して隙間224が封止され、ガスの排出は不能になる。それ以後はガスの吹き込みによってエアバッグ140内の内圧は上昇する。したがって、通常の着座位置にある乗員に接触するまでには、膨張展開が完了し、乗員保護のための十分な内圧を確保できる。
本実施形態では、カム形状の引き込みブラケット300を用いた封止手段を用いているが、つば部350を有するインフレータ230を移動させて、インフレータ230のつば部350をハウジング220に密着させられる機構であれば、いかなる機構を用いてもよい。
(実施結果)
胸部粘性傷害値は、通常、エアバッグの膨張展開当初に急激に上昇した後、急激に低下し、比較的緩やかに再び上昇する。本実施形態を用い、隙間224の寸法を4mmとして排気を行った場合、膨張展開当初の胸部粘性傷害値の上昇勾配は緩やかになる。エアバッグ内圧は低下し、荷重(=内圧×エアバッグ表面積)が低減されるため、乗員への胸部粘性傷害値が低下したことが確認された。
本実施形態では、隙間224が封止されると、再び緩やかに上昇して、本実施形態のようなガスの排出機能を備えていないエアバッグ装置と同様の時点で、同様の胸部粘性傷害値を得ることができる。すなわち、従来のエアバッグと同様の乗員拘束性が確保されている。
以上のように、本実施形態によれば、エアバッグ140膨張展開初期の急激な内圧上昇を回避して、とりわけ通常と異なる着座位置の乗員に対し、エアバッグ140自体による加害性が低減される。これに加え、通常の着座位置の乗員に対しては、車両衝突による衝撃から乗員を保護するのに十分な内圧を確保し、乗員の拘束性(最大バッグ反力特性)を保持している。エアバッグ装置100は、このような両立困難な特性を両立させていて、乗員の着座位置に関係なく、乗員にエアバッグ140自体からの加害性を小さくして、エアバッグ140本来の機能である乗員の安全確保も実現している。
(他の実施形態)
図7(a)(b)は本発明の他の実施形態の概略図である。参照符号については、既に説明した実施形態と同様の要素については、同一のものを用いる。図7(a)の実施形態では、インフレータ230と、ハウジング400と、エアバッグ140と、リテーナリング250と、弾性体410と、プレート420とで構成されている。例えばエアバッグ140の内圧が所定の閾値を超えた場合、弾性体410の圧縮によりプレート420を矢印430で示すように移動させることで、ハウジング400とつば部350との間に隙間を形成し、ガス排気440を行う。
図7(b)の実施形態では、例えばエアバッグ140の内圧が所定の閾値を超えた場合、インフレータ230自体を矢印450で示すように下方に移動させ、ハウジング400とつば部350との間に隙間を形成し、ガス排気460を行う。
図7に例示する実施形態以外にも、エアバッグの膨張展開に連動して、あるいは、エアバッグの内圧の値に応じて、ハウジングとインフレータのつば部との間に隙間を開閉し、ガス排出を調整するあらゆる構成を本発明は包含可能である。例えば図示しないものの、ハウジング400とつば部350との間の隙間にキャップを嵌めておき、エアバッグ140の内圧が所定の閾値を超えた場合、キャップが開裂することにより、膨張ガスが排出される構成としてもよい。
(シリンダ型インフレータへの応用)
本発明の各種実施形態は、ディスク型インフレータ230を形作っている外観形状を生かして考案したものであるがシリンダ型インフレータにも応用することが可能である。特に、車両用に応用した場合、運転席用エアバッグ装置が、最も許容スペースの制限されたものであり、設計者に工夫を強いているが、本実施形態によれば、容易にスペース不足の問題も解消することができる。その他、本実施形態は助手席用エアバッグ装置にも容易に応用できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
例えば本発明では、エアバッグ展開時に引込ブラケット300を引っ張るためにテザー172を用いているが、展開に連動して、かつ、乗員の非正規着座に関係して、進展具合が変化するような、ディフューザ180などのガス流偏向部材もカム部材を回転させる部材として使用可能である。
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、衝突事故などにより車両に衝撃が発生した時に膨張展開し、乗員を保護するインフレータブルエアバッグを備えたエアバッグ装置に適用可能である。
本発明の実施形態である運転席用エアバッグ装置を例示する図である。 図1の運転席用エアバッグ装置100を、車両前方から見た斜視図である。 図1(a)のA−A断面図である。 図3の運転席用エアバッグ装置の構成図である。 図3の運転席用エアバッグ装置が膨張展開した状態を例示する、図3に対応する断面図である。 図3または図4の、カム形状の引込ブラケットの回転動作を説明する動作図である。 本発明の他の実施形態の概略図である。
符号の説明
100 エアバッグ装置
172 テザー
180 ディフューザ
220 ハウジング
222 段差部
224 隙間
230 ディスク型インフレータ
270 引込シャフト
290 隙間保持用コイルバネ
300 引込ブラケット
350 つば部

Claims (7)

  1. ガス吹込口を有するエアバッグと、
    前記エアバッグにガスを吹き込んで膨張展開させる、側面につば部を備えたディスク型インフレータと、
    前記ディスク型インフレータの径より大きな径を有する貫通孔を中央に備えた基板部材であって、該基板部材の一方側では前記貫通孔に前記エアバッグのガス吹込口が接続され、他方側からは前記貫通孔に前記ディスク型インフレータが進入している基板部材と、
    前記基板部材と前記ディスク型インフレータのつば部との間に隙間を形成し、該隙間を通じて前記エアバッグ内のガスを排出可能な状態に付勢する付勢部材と、
    前記エアバッグの膨張展開に連動して、前記付勢部材の付勢力に抗して前記インフレータを移動させ、該インフレータのつば部を前記基板部材に密着させて前記隙間を封止する封止手段とを含むことを特徴とするエアバッグ装置。
  2. 前記封止手段は、
    前記基板部材の一方側に設置され、前記エアバッグの膨張展開に連動して回転し、該回転によって前記基板部材から遠ざかる部位を有するカム部材と、
    前記遠ざかる部位に一端が固定され、前記基板部材をスライド自在に貫通し、前記基板部材の他方側にて他端が前記ディスク型インフレータのつば部に固定されている引込シャフト部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
  3. 前記封止手段はさらに、
    前記エアバッグの内部に、展開時、前記エアバッグの乗員側となる部分に一端が接続され、他端が前記カム部材に接続されていて、前記エアバッグの膨張展開時に前記カム部材を引っ張ることによって該カム部材を回転させる部材を備えることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ装置。
  4. 前記遠ざかる部位は、前記カム部材の回転中心を含むことを特徴とする請求項2または3に記載のエアバッグ装置。
  5. 前記付勢部材は、前記基板部材と前記ディスク型インフレータのつば部との間に設けられたバネであることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載のエアバッグ装置。
  6. 前記基板部材は、前記インフレータのつば部が密着可能な領域に、該つば部から離れる方向に凹んだ段差部を有し、
    前記バネは、前記段差部と前記ディスク型インフレータのつば部との間に設けられていて、
    前記段差部は、収縮した前記バネを収容できる深さを有することを特徴とする請求項5に記載のエアバッグ装置。
  7. 前記隙間の寸法は4mm〜6mmであることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載のエアバッグ装置。
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