JP5155535B2 - ガスバリア性コート剤およびフィルム - Google Patents

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Description

本発明は高湿度下においても優れたガスバリア性を有する被膜を形成しうるガスバリア性コート剤、および該コート剤を熱可塑性樹脂フィルムに用いてなるガスバリア性フィルムに関するものである。
ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムは強度、透明性、成形性に優れていることから、包装材料として幅広い用途に使用されている。しかしながらこれらの熱可塑性樹脂フィルムは酸素等のガス透過性が大きいので、一般食品、レトルト処理食品等の包装に使用した場合、長期間保存する内にフィルムを透過した酸素等のガスにより食品の変質が生じることがある。
そこで、熱可塑性樹脂フィルムの表面にポリ塩化ビニリデン(以下、PVDCと略記する。)のエマルジョン等をコーティングし、ガスバリア性の高いPVDC層を形成せしめた積層フィルムが食品包装等に幅広く使用されてきた。しかしながら、PVDCは焼却時に酸性ガス等の有機物質を発生するため、近年環境への関心が高まるとともに他材料への移行が強く望まれている。
PVDCに変わる材料としてポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する。)は有毒ガスの発生もなく、低湿度雰囲気下でのガスバリア性も高いが、湿度が高くなるにつれて急激にガスバリア性が低下し、水分を含む食品等の包装には用いることが出来ない場合が多い。
PVAの高湿度下でのガスバリア性の低下を改善したポリマーとして、ビニルアルコールとエチレンの共重合体(以下、EVOHと略記する。)が知られている。しかし、高湿度でのガスバリア性を実用レベルに維持するためにはエチレンの共重合比をある程度高くする必要があり、このようなポリマーは水に難溶となる。そこで、エチレンの共重合比の高いEVOHを用いてコーティング剤を得るには、有機溶媒または水と有機溶媒の混合溶媒を用いる必要があり、環境問題の観点からも望ましくなく、また有機溶媒の回収工程などを必要とするため、コスト高になるという問題がある。
水溶性のポリマーからなる液状組成物をフィルムにコートし、高湿度下でも高いガスバリア性を発現させる方法として、PVAとポリアクリル酸またはポリメタクリル酸の部分中和物とからなる水溶液をフィルムにコートし熱処理することにより、両ポリマーをエステル結合により架橋する方法が提案されているが(特許文献1)、この方法ではエステル化を十分に進行させて、フィルムのガスバリア性を高めるためには高温で長時間の加熱が必要であり生産性に問題があった。さらに高温で長時間反応させることによりフィルムが着色し、外観を損ねるため食品包装用には改善が必要である。
PVAを架橋剤を用いて架橋することにより耐水化する技術は従来から種々知られており、例えばマレイン酸単位を含有するポリマーがPVAや多糖類などの水酸基と反応して耐水化されることは広く知られている。例えば、特許文献2には、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の25〜50%部分中和物とPVAからなる層が優れた耐水性を有することが知られている。また、特許文献3にはPVAにアルキルビニルエーテル−マレイン酸共重合体を混合することによりPVAのフィルムを耐水化する方法が述べられている。
しかし、耐水化(すなわち非水溶化)とガスバリア性は異なる性質であり、一般的にポリマー分子を架橋することにより耐水化されるが、ガスバリア性は酸素等の比較的小さな分子の侵入や拡散を防ぐ性質であり、単にポリマーを架橋してもガスバリア性が得られるとは限らず、たとえば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの三次元架橋性ポリマーはガスバリア性を有していない。
特開平10−237180号公報 特開平8−66991号公報 特開昭49−1649号公報
本発明者らは、上記のような問題に対して、生産性を向上させた反応性の高いバリア性コート剤を提供し、このコート剤を塗布することにより高湿度下でも高いガスバリア性を有し、着色も少ないガスバリア性フィルムを提供しようとするものである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の樹脂組成物を含有するコート剤をフィルムの表面に塗布し、該樹脂組成物からなる層を形成させることにより、上記の課題が解決できることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)ポリビニルアルコール(A)と、エチレン−マレイン酸共重合体(B)と、低分子量多価カルボン酸化合物(C)としての1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸または1,2,3−ベンゼントリカルボン酸とからなり、(A)と(B)の質量比(A/B)が97/3〜10/90であり、(A)と(B)の合計100質量部に対して(C)が0.1〜70質量部であることを特徴とする水系ガスバリア性コート剤
(2)熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に、直接、または少なくとも一層のアンダーコート層を介して、(1)記載のコート剤からなるガスバリア性被膜を形成したガスバリア性フィルム。
)熱可塑性樹脂フィルムまたはアンダーコート層とは接していないガスバリア性被膜の他の面に、オーバーコート層が少なくとも1層積層されたことを特徴とする()記載のガスバリア性フィルム。
)アンダーコート層及び/またはオーバーコート層が、塩基性化合物または塩基性以外の金属化合物を含有することを特徴とする()または()に記載のガスバリア性フィルム。
本発明によれば、耐水性が良く、高湿度下でも高いガスバリア性を有し、しかも工業的に安価に製造することができるガスバリア性フィルムが提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において用いられるポリビニルアルコール(A)は、ビニルエステルの重合体を完全または部分ケン化するなどの公知の方法を用いて得ることができる。ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、中でも酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
本発明の効果を損ねない範囲で、ビニルエステルに対し他のビニル化合物を共重合することも可能である。他のビニル系モノマーとしては、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸およびそのエステル、塩、無水物、アミド、ニトリル類や、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩、炭素数2〜30のα−オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン類などが挙げられる。本発明において、熱可塑性樹脂フィルム表面にガスバリア性を付与するために積層されるポリマーは水溶性とすることが生産上好ましく、疎水性の共重合成分を多量に含有させると水溶性が損なわれるので好ましくない。
なお、ビニルエステル重合体のケン化方法としては公知のアルカリケン化法や酸ケン化法を用いることができ、中でもメタノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解する方法が好ましい。ケン化度は100%に近いほどガスバリア性の観点から好ましく、ケン化度が低すぎるとバリア性能が低下する。ケン化度は通常約90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上であり、数平均重合度は50〜2500、好ましくは200〜2500、より好ましくは200〜2000、さらに好ましくは200〜1500のものが良い。
本発明において用いられるエチレン−マレイン酸共重合体(B)は、無水マレイン酸とエチレンとを溶液ラジカル重合などの公知の方法で重合することにより得られるものである。また、本発明の目的を損なわない範囲で他のビニル化合物を少量共重合することも可能である。ビニル化合物としては例えば、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、ギ酸ビニル、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、p−スチレンスルホン酸、プロピレン、イソブチレンなどの炭素数3〜30のオレフィン類や、PVAの水酸基などと反応する反応性基を有する化合物を挙げることができる。
本発明におけるエチレン−マレイン酸共重合体(B)中のマレイン酸単位は、10モル%以上含有することが好ましく、15モル%以上がさらに好ましく、30モル%以上が最も好ましい。マレイン酸単位が10モル%より少ないと、ポリビニルアルコール(A)単位との反応による架橋構造の形成が不十分でありガスバリア性が低下する。また、本発明で用いられるエチレン−マレイン酸共重合体(B)は、重量平均分子量が3000〜100万であることが好ましく、5000〜90万であることがより好ましく、1万〜80万であることがさらに好ましい。
なお、本発明で用いられるエチレン−マレイン酸共重合体(B)中のマレイン酸単位は、乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した無水マレイン酸構造となりやすく、一方、湿潤時や水溶液中では開環してマレイン酸構造となる。
本発明におけるポリビニルアルコール(A)とエチレン−マレイン酸共重合体(B)の質量比(A/B)は、97/3〜10/90の範囲であることが必要であり、好ましくは、90/10〜40/60の範囲である。この範囲を外れる場合には、特に高湿度雰囲気下でのフィルムのガスバリア性を発現させるために必要な架橋密度を得ることができず、本発明の目的とするガスバリア性フィルムを得ることができない。
本発明において用いられる低分子量多価カルボン酸化合物(C)としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸または1,2,3−ベンゼントリカルボン酸とすることが必要であるが、特に1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸が反応性の点で好ましい。
本発明で好ましく用いられる1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸は部分的にエステル化もしくはアミド化されていてもよい。なお、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸中のカルボキシル基は、乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造となりやすく、湿潤時や水溶液中では開環してカルボン酸構造となるが、本発明ではこれら閉環、開環を区別せず1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸として記述する。
本発明のコート剤において、ポリビニルアルコール(A)とエチレン−マレイン酸共重合体(B)の合計100質量部に対して、低分子量多価カルボン酸化合物(C)は0.1〜70質量部配合されることが必要であり、1〜60質量部配合されることが好ましい。化合物(C)を配合することにより、200℃で15秒程度の短時間の熱処理によって優れたガスバリア性を発現させることができる。化合物(C)の添加量が0.1質量部未満の場合は充分な効果を得ることができず、また、70質量部より多い場合は逆に化合物(C)がガスバリア性の発現を阻害するため好ましくない。
本発明のコート剤に無機層状化合物を混合することにより、フィルムのガスバリア性をさらに向上させることができる。無機層状化合物とは、単位結晶層が重なって層状構造を形成する無機化合物であり、特に溶媒中で膨潤、劈開するものが好ましい。
無機層状化合物の好ましい例としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライト、フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライト、マーガライト、クリントナイト、アナンダイト、緑泥石、ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、テトラシリリックマイカ、タルク、パイロフィライト、ナクライト、カオリナイト、ハロイサイト、クリソタイル、ナトリウムテニオライト、ザンソフィライト、アンチゴライト、ディッカイト、ハイドロタルサイトなどがあり、膨潤性フッ素雲母又はモンモリロナイトが特に好ましい。
これらの無機層状化合物は、天然に産するものであっても、人工的に合成あるいは変性されたものであってもよく、またそれらをオニウム塩などの有機物で処理したものであってもよい。
膨潤性フッ素雲母系鉱物は白色度の点で最も好ましく、次式で示されるものである。
α(MF)・β(aMgF・bMgO)・γSiO
(式中、Mはナトリウム又はリチウムを表し、α、β、γ、a及びbは各々係数を表し、0.1≦α≦2、2≦β≦3.5、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b=1である。)
このような膨潤性フッ素雲母系鉱物の製造法としては、例えば、酸化珪素と酸化マグネシウムと各種フッ化物とを混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内にフッ素雲母系鉱物を結晶成長させる、いわゆる溶融法がある。
また、タルクを出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤性フッ素雲母系鉱物を得る方法がある(特開平2−149415号公報)。この方法では、タルクに珪フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリを混合し、磁性ルツボ内で約700〜1200℃で短時間加熱処理することによって膨潤性フッ素雲母系鉱物を得ることができる。
この際、タルクと混合する珪フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35重量%の範囲とすることが好ましく、この範囲を外れる場合には膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成収率が低下するので好ましくない。
珪フッ化アルカリ又はフッ化アルカリのアルカリ金属は、ナトリウムあるいはリチウムとすることが好ましい。これらのアルカリ金属は単独で用いてもよいし併用してもよい。また、アルカリ金属のうち、カリウムの場合には膨潤性フッ素雲母系鉱物が得られないが、ナトリウムあるいはリチウムと併用し、かつ限定された量であれば膨潤性を調節する目的で用いることも可能である。
さらに、膨潤性フッ素雲母系鉱物を製造する工程において、アルミナを少量配合し、生成する膨潤性フッ素雲母系鉱物の膨潤性を調整することも可能である。
モンモリロナイトは、次式で示されるもので、天然に産出するものを精製することにより得ることができる。
MaSi4(Al2-aMga)O10(OH)2・nH2
(式中、Mはナトリウムのカチオンを表し、aは0.25〜0.60である。また、層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数は、カチオン種や湿度等の条件に応じて変わりうるので、式中ではnH2Oで表す。)またモンモリロナイトには次式群で表される、マグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイトの同型イオン置換体も存在し、これらを用いてもよい。
MaSi4(Al1.67-aMg0.5+a)O10(OH)2・nH2
MaSi4(Fe2-a 3+Mga)O10(OH)2・nH2
MaSi4(Fe1.67-a 3+Mg0.5+a)O10(OH)2・nH2
(式中、Mはナトリウムのカチオンを表し、aは0.25〜0.60である。)
通常、モンモリロナイトはその層間にナトリウムやカルシウム等のイオン交換性カチオンを有するが、その含有比率は産地によって異なる。本発明においては、イオン交換処理等によって層間のイオン交換性カチオンがナトリウムに置換されていることが好ましい。また、水処理により精製したモンモリロナイトを用いることが好ましい。
本発明のガスバリア性コート剤は、ポリビニルアルコール(A)、エチレン−マレイン酸共重合体(B)、低分子量多価カルボン酸化合物(C)の他に、塩基性化合物や塩基性以外の金属化合物を含有することが好ましい。これらがどのような作用機構を担うのか、その詳細はまだ不明ではあるが、これらを含有することによって、ガスバリア性が向上する。それぞれ単独で含有することもできるし、両者を併用することもできる。
塩基性化合物としては、塩基性の金属化合物、アミン化合物、アンモニア等が挙げられ、塩基性の金属化合物とアミン化合物、塩基性の金属化合物とアンモニア、アミン化合物とアンモニアを併用することもできるし、あるいは2種類以上の塩基性の金属化合物あるいは2種類以上のアミン化合物を併用することもできる。
塩基性の金属化合物としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、ジルコニウム等の金属の水酸化物や酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、燐酸塩、ポリ燐酸塩、ピロ燐酸塩、亜燐酸塩、次亜燐酸塩、有機酸塩等が挙げられる。有機酸塩としては、アスコルビン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、ステアリン酸塩、カプリル酸塩、クエン酸塩、プロピレン酸塩等を挙げることが出来る。塩基性の金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、次亜燐酸ナトリウム、次亜燐酸カルシウム、燐酸二水素ナトリウム、次燐酸二水素ナトリウム、ポリ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
アミン化合物としては、モノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等が挙げられる。
また、本発明のガスバリア性コート剤に含有し得る塩基性以外の金属化合物としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、ジルコニウムなどの金属の塩化物、硫酸塩、次硫酸塩、次亜硫酸塩等が挙げられる。塩基性以外の金属化合物の具体例としては、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、次亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明のコート剤に、無機層状化合物、塩基性化合物や塩基性以外の金属化合物を添加することによりガスバリア性を格段に向上させることができる。
さらに、本発明のコート剤には、その特性を大きく損わない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤などを添加してもよい。
熱安定剤、酸化防止剤及び劣化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
強化材としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
本発明のコート剤の調製方法としては、撹拌機を備えた溶解釜等を用いて公知の方法で行えばよい。たとえば、ポリビニルアルコール(A)とエチレン−マレイン酸共重合体(B)を別々に水溶液とし、使用前に混合して用いる方法が好ましい。この時、アルカリ化合物をエチレン−マレイン酸共重合体(B)の水溶液に加えておくことにより水溶液の安定性が向上する。また、ポリビニルアルコール(A)とエチレン−マレイン酸共重合体(B)を溶解釜中の水に加えてもよいが、アルカリは最初に添加しておく方が溶解性がよい。また溶解性を高める目的や乾燥工程の短縮、溶液の安定性の改善などの目的により、水にアルコールや有機溶媒を少量添加することもできる。このようにして得られた水溶液に、低分子量多価カルボン酸化合物(C)を添加することによって、コート剤を調製することができる。
本発明のガスバリア性フィルムのガスバリア性を高めるためには、ポリビニルアルコール(A)とエチレン−マレイン酸共重合体(B)、低分子量多価カルボン酸化合物(C)との間にエステル結合による架橋反応が起こることが必要であるが、架橋反応を促進させるために、酸などの触媒を添加することもできる。
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、ガスバリア性被膜の厚みは、フィルムのガスバリア性を十分高めるためには少なくとも0.1μmより厚くすることが望ましい。また、ガスバリア性コート剤をフィルムにコートする際のポリマー濃度は、液の粘度や反応性、用いる装置の仕様によって適宜変更されるものであるが、あまりに希薄な溶液ではガスバリア性を発現するのに充分な厚みの層をコートすることが困難となり、また、その後の乾燥工程において長時間を要するという問題を生じやすい。一方、溶液の濃度が高すぎると、混合操作や保存性などに問題を生じることがある。この様な観点から、ポリマー濃度は溶液全体の5〜50質量%の範囲にすることが好ましい。
本発明において用いられる熱可塑性樹脂フィルムとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンフィルム、またはそれらのフィルムの積層体が挙げられ、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよい。また、フィルムの表面をコロナ処理していてもよく、フィルムにアンダーコート(以下、UCと略記する。)していてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムを製造する方法としては、熱可塑性樹脂を押出機で加熱、溶融してTダイより押し出し、冷却ロールなどにより冷却固化させて、未延伸フィルムを得るか、もしくは円形ダイより押し出して水冷あるいは空冷により固化させて未延伸フィルムを得る。延伸フィルムを製造する場合は、未延伸フィルムを一旦巻き取った後または連続して同時2軸延伸法または逐次2軸延伸法により延伸する方法が好ましい。フィルムの機械的特性や厚み均一性などの性能面からはTダイによるフラット式製膜法とテンター延伸法を組み合わせる方法が好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムは、ガスバリア性コート剤から形成されるガスバリア性被膜を熱可塑性樹脂フィルムに直接積層した構成とすることができるほか、ガスバリア性被膜と熱可塑性樹脂フィルムとの間にUC層を少なくとも一層以上設けた構成とすることもでき、さらに、ガスバリア性被膜の上に更にオーバーコート層(以下、OC層と略記する。)を少なくとも1層以上設けた構成とすることもできる。密着性確保という観点からガスバリア性被膜と熱可塑性樹脂フィルムとの間にUC層を設けた構成とすることが好ましく、また、ガスバリア層を保護するという点でOC層を設けることが好ましい。
UC層、OC層は、それぞれウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、エポキシ系等種々のポリマーから形成され、ウレタン系が好ましい。
例えば、ウレタン系のUC層の場合、
(1)ポリオール成分とポリイソシアネート成分を含有するUC用組成物を熱可塑性樹脂フィルムに塗工、加熱し、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させ、ウレタン系のUC層を形成することができる。該UC層上に、前記ガスバリア性コート剤を塗工し、これを加熱すれば熱可塑性樹脂フィルム/UC層/ガスバリア性被膜からなるガスバリア性フィルムを得ることができる。
(2)UC用組成物を熱可塑性樹脂フィルムに塗工、乾燥し、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応が完了していない状態にあるUC層前駆体を得、該前駆体上に前記ガスバリア性コート剤を塗工、加熱することによってUC層の形成とガスバリア性被膜の形成とを一度に行って、熱可塑性樹脂フィルム/UC層/ガスバリア性被膜からなるガスバリア性フィルムを得ることもできる。
(3)あるいは、UC用組成物を熱可塑性樹脂フィルム上に塗工後、加熱せずに、前記ガスバリア性コート剤を塗工、加熱することによってUC層の形成とガスバリア性被膜の形成とを一度に行って、熱可塑性樹脂フィルム/UC層/ガスバリア性被膜からなるガスバリア性フィルムを得ることもできる。
UC用組成物に含まれるポリイソシアネートが、ガスバリア性被膜との界面領域において、ポリビニルアルコール(A)中の水酸基とも反応し、密着性向上に寄与するほか、ガスバリア性被膜の架橋を補助し、耐水性の向上に効果があると考えられるので、(2)、(3)の方法が好ましい。また、後述するようにUC層中の塩基性化合物や塩基性以外の金属化合物を含有する場合、ガスバリア被膜中にUC層中の前記化合物が移行しやすくなるという点で、(2)、(3)の方法が好ましい。
UC用組成物を構成するポリオール成分としては、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等が挙げられ、ポリエステルポリオールが好ましい。ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸もしくはそれらのジアルキルエステルまたはそれらの混合物と、グリコール類もしくはそれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。多価カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
これらのポリエステルポリオールは、ガラス転移温度(以下、Tgと略記する。)が−50〜120℃であることが好ましく、−20〜100℃であることがより好ましく、0〜90℃であることが更に好ましい。ポリエステルポリオールの好適なTgは、塗料を塗布後加熱硬化する際の加熱効果条件とも関係する。比較的低温で加熱硬化する場合には、比較的高Tgのポリエステルポリオールが好ましく、比較的高温で加熱硬化する場合には、低温から高温まで比較的幅広いTgのポリエステルポリオールが好適に使用できる。例えば、180℃で塗料を加熱硬化する場合には、70〜90℃程度のTgのポリエステルポリオールが好ましい。一方、200℃で塗料を加熱硬化する場合には、0〜90℃程度のTgのポリエステルポリオールを使用することができる。また、これらのポリエステルポリオールの数平均分子量は1000〜10万のものが好ましく、3000〜5万のものがより好ましく、1万〜4万のものが更に好ましい。
UC用組成物を構成するポリイソシアネート成分としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロへキシレンジイソシアネート、1,4−シクロへキシレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、上記ポリイソシアネート単量体から誘導されたイソシアヌレート、ビューレット、アロファネート等の多官能ポリイソシアネート化合物、あるいはトリメチロールプロパン、グリセリン等の3官能以上のポリオール化合物との反応により得られる末端イソシアネート基含有の多官能ポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HMDIともいう)の三量体である3官能イソシアヌレート体が好ましい。
ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの質量比は10:90から99:1のものが好ましく、30:70から90:10のものがより好ましく、50:50から85:15のものが更に好ましい。
UC用組成物中のポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの濃度は適切な溶剤を用いて調節することが出来、その濃度は両者を足して0.5〜80質量%の範囲であることが好ましく、1〜70質量%の範囲であることがより好ましい。溶液の濃度が低すぎると、必要な膜厚の塗膜を形成することが困難となり、また、乾燥時に余分な熱量を必要としてしまうので好ましくない。溶液の濃度が高すぎると溶液粘度が高くなりすぎて、混合、塗工時などにおける操作性の悪化を招く問題が生じる。
UC用組成物に使用できる溶剤としては、例えば、トルエン、MEK、シクロヘキサノン、ソルベッソ、イソホロン、キシレン、MIBK、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。UC層には上記成分の他に、公知である硬化促進触媒、充填剤、軟化剤、老化防止剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、無機フィラー、粘着付与性樹脂、繊維類、顔料等の着色剤、可使用時間延長剤等を使用することもできる。
UC層の膜厚は使用する用途に応じて適宜決めることが出来るが、0.1〜10μmの厚みであることが好ましく、0.1〜5μmの厚みであるとより好ましく、0.1〜1μmの厚みであることが特に好ましい。0.1μm未満の厚みでは接着性を発現することが困難となり、一方10μmを超える厚みになると塗工等の生産工程において困難を生じやすくなる。
OC層も種々の方法で形成することができる。
(1)熱可塑性樹脂フィルムもしくはUC層上にガスバリア性コート剤を塗工、加熱し、ガスバリア性被膜を形成した後、該ガスバリア性被膜上にOC用組成物を塗工、加熱し、OC層を形成する。
(2)熱可塑性樹脂フィルムもしくはUC層上にガスバリア性コート剤を塗工、乾燥し、反応が未完了のガスバリア性被膜を得、次いで該反応が未完了のガスバリア性被膜上にOC用組成物を塗工、加熱し、ガスバリア性被膜の反応及びOC層の形成を同時に行う。
(3)熱可塑性樹脂フィルムもしくはUC層上にガスバリア性コート剤を塗工し、乾燥せずにOC用組成物を塗工、加熱し、ガスバリア性コート剤の反応及びOC層の形成を同時に行う。
また、後述するようにOC層中に塩基性化合物や塩基性以外の金属化合物を含有する場合、ガスバリア層中にOC層中の前記化合物が移行しやすくなるという点で、(2)、(3)の方法が好ましい。OC層を形成するための組成物としては、UC用組成物の場合に提示したものを同様に例示することができる。
ガスバリア性被膜のガスバリア性を好適に保持させる方法としては、
(1)塩基性化合物や塩基性以外の金属化合物を含有するガスバリア性コート剤を用いて、熱可塑性樹脂フィルム上にガスバリア性被膜を形成する方法、
(2)ガスバリア性フィルムがUC層またはOC層を有する場合には、UC層またはOC層の少なくともいずれか1層に塩基性化合物や塩基性以外の金属化合物を含有させ、この化合物をガスバリア性被膜に移行させる方法、
が挙げられる。上記(1)の方法では、コート剤が無機層状化合物を含有する場合にコート剤が高粘度化し、塗工性を損なう場合があるため、上記(2)の方法が好ましい。
UC層、OC層は、それ自体が高湿度下における酸素ガスバリア性を向上させる機能を担うものではないと考える。しかし、UC層またはOC層中の塩基性化合物や塩基性以外の金属化合物がガスバリア性被膜に移行し、該化合物がガスバリア性被膜中に拡散することによって、ガスバリア性被膜の高湿度下における酸素ガスバリア性を向上させうるものと考察される。なお、該化合物は、ガスバリア性被膜の厚さ方向に均一に移行しガスバリア性の向上に寄与することが好ましいが、濃度分布があっても構わない。
UC層、OC層に含有されうる塩基性化合物や塩基性以外の金属化合物としては、前述したガスバリア性コート剤に含有させる塩基性化合物や塩基性以外の金属化合物を挙げることができる。具体例として、リチウム化合物としては、水酸化リチウム、酸化リチウム、炭酸リチウムが挙げられ、水溶性が低く、バインダー樹脂との反応性が低いことから炭酸リチウムが好ましい。マグネシウム化合物としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウムが挙げられ、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムが好ましい。また、ジルコニウム化合物としては、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム等のハロゲン化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱酸のジルコニウム塩、蟻酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム等の有機酸のジルコニウム塩、炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、蓚酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウムなどのジルコニウム錯塩等が挙げられ、炭酸ジルコニウムアンモニウムが好ましい。特に、炭酸リチウムなどの1価の金属塩は、2価の金属塩に比べて原子半径が小さく、移動度・反応度が高いために結果として効果的にガスバリア性を発現させることができるものと推察される。
UC層もしくはOC層のいずれか一方が、塩基性化合物や塩基性以外の金属化合物を含有する場合には、その含有量は、UC層もしくはOC層のポリマー成分100質量部に対して、0.2〜40質量部であることが好ましく、0.3〜20質量部であることがより好ましく、0.5〜10質量部であることがさらに好ましい。
ガスバリア性コート剤およびUC層、OC層を熱可塑性樹脂フィルムにコーティングする方法は特に限定されないが、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング等の通常の方法を用いることができる。延伸に先だってコーティングを行うには、まず未延伸フィルムにコーティングして乾燥した後、テンター式延伸機に供給してフィルムを走行方向と幅方向に同時に延伸(同時2軸延伸)、熱処理するか、あるいは、多段熱ロール等を用いてフィルムの走行方向に延伸を行った後にコーティングし、乾燥後、テンター式延伸機によって幅方向に延伸(逐次2軸延伸)してもよい。また、走行方向の延伸とテンターでの同時2軸延伸を組み合わせることも可能である。
本発明においては、ポリビニルアルコール(A)と、エチレン−マレイン酸共重合体(B)、低分子量多価カルボン酸化合物(C)とを架橋反応させるために、温度120℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上の雰囲気で熱処理することが好ましい。熱処理温度が低いと架橋反応を充分に進行させることができず、充分なガスバリア性を有するフィルムが得ることが困難になる。熱処理時間は、あまり短すぎると架橋反応を充分に進行させることができず、充分なガスバリア性を有するフィルムが得ることが困難になる。熱処理時間は通常1秒以上であり、3秒以上であることが好ましい。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
本発明においては、ガスバリア性フィルムのガスバリア性は熱可塑性樹脂フィルムの種類や厚み、およびコート層の厚みにより変化するため、コート層自体の酸素透過係数を評価した。酸素透過係数は、下記式より求めた。
1/QF=1/QB+L/PC
ただし、QF:ガスバリア性フィルムの酸素透過度(ml/m2・day・MPa)
QB:熱可塑性樹脂フィルムの酸素透過度(ml/m2・day・MPa)
PC:コート層の酸素透過係数(ml・μm/m2・day・MPa)
L:コート層厚み(μm)
酸素バリア性は、モコン社製酸素バリア測定器により20℃、相対湿度85%の雰囲気における酸素透過度を測定した。なお、厚み12μmのPETフィルムの酸素透過度は900ml/m2・day・MPa、また、厚み15μmのナイロン6フィルムの酸素透過度は400ml/m2・day・MPaとした。
実施例1
ポリビニルアルコール(A)(ユニチカケミカル社製、UF040G、ケン化度99%、平均重合度400)を純水に溶解し、10質量%の水溶液を得た。エチレン−マレイン酸共重合体(B)(ALDRICH社製、重量平均分子量100,000〜500,000)をマレイン酸のカルボキシル基に対して5モル%の水酸化ナトリウムを含む水に溶解し、10質量%の水溶液とした。ポリビニルアルコール(A)とエチレン−マレイン酸共重合体(B)との質量比が55/45となるようにこれらの水溶液を混合した。
続いて、ポリビニルアルコール(A)とエチレン−マレイン酸共重合体(B)の固形分100質量部に対して、低分子量多価カルボン酸化合物(C)として、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(和光純薬工業社製、試薬一級)(以下、C4と略記する。)60質量部を添加し、コート剤を得た。
このコート剤を2軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ社製エンブレム、厚み15μm)上に乾燥後の塗膜厚みが約2μmになるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、200℃で15秒間、熱処理した。得られたガスバリア性フィルムの外観は着色も無く良好であり、コート層は水に不溶であった。また、20℃、85%RHにおける酸素透過度は17ml/m2・day・MPaであり、コート層(ガスバリア性被膜)の酸素透過係数は36ml・μm/m2・day・MPaであった。
実施例2〜6、比較例1〜6
コート剤の組成を表1に記載したように変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたガスバリア性フィルムの外観は着色も無く良好であり、コート層は水に不溶であった。また、20℃、85%RHにおける酸素透過度およびコート層(ガスバリア性被膜)の酸素透過係数を表1に示した。ただし、実施例6においては、低分子量多価カルボン酸化合物(C)として、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸(和光純薬工業社製、試薬一級)(以下、C3と略記する。)を使用した。また、比較例4においては、熱可塑性樹脂フィルムとして、2軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製エンブレットPET12、厚み12μm)を使用した。
実施例7
ポリエステル(東洋紡社製、バイロン300)をトルエン/MEK混合溶媒に溶解した溶液と、ポリイソシアネート(住友化学社製、スミジュールN3300)とを、ポリエステルとポリイソシアネートの質量比が100/30になるように混合し、固形分約15%のUC用組成物を得た。この組成物を、2軸延伸ナイロンフィルム上に乾燥後の塗膜厚みが約1μmになるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、200℃で15秒間、熱処理して、2軸延伸ナイロンフィルム上にUC層を形成した。
このUC層上に、実施例1と同様の操作でガスバリア性コート剤を塗布し、乾燥、熱処理して、ガスバリア性被膜を形成した。得られたUC層を有するガスバリア性フィルムのコート層は水に不要であった。このフィルムの酸素透過度及びコート層(ガスバリア性被覆+UC層)の酸素透過係数を表1に示した。
実施例8
実施例7で調製したUC用組成物に炭酸リチウム粉末(和光純薬工業社製、試薬一級)を固形分質量比が10/1となるように添加した以外は実施例7と同様にして、UC層を有する2軸延伸ナイロンフィルムを作成し、次いで、UC層上にガスバリア性被膜を形成した。得られたUC層を有するガスバリア性フィルムのコート層は水に不要であった。このフィルムの酸素透過度及びコート層(ガスバリア性被覆+UC層)の酸素透過係数を表1に示した。
実施例9
実施例7で調製したUC用組成物をOC用組成物として用いて、実施例1で作成したガスバリア性フィルムのガスバリア性被膜上に、乾燥後の塗膜厚みが約1μmになるようにメイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、200℃で15秒間、熱処理して、ガスバリア性被膜上にOC層を形成した。得られたOC層を有するガスバリア性フィルムのコート層は水に不溶であった。このフィルムの酸素透過度及びコート層(ガスバリア性被膜+OC層)の酸素透過係数を表1に示した。
実施例10
実施例8で調製した炭酸リチウム粉末を添加したUC層組成物をOC用組成物として用いた以外は実施例9と同様の操作を行い、OC層を有するガスバリア性フィルムを得た。得られたOC層を有するガスバリア性フィルムのコート層は水に不溶であった。このフィルムの酸素透過度及びコート層(ガスバリア性被膜+OC層)の酸素透過係数を表1に示した。

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコール(A)と、エチレン−マレイン酸共重合体(B)と、低分子量多価カルボン酸化合物(C)としての1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸または1,2,3−ベンゼントリカルボン酸とからなり、(A)と(B)の質量比(A/B)が97/3〜10/90であり、(A)と(B)の合計100質量部に対して(C)が0.1〜70質量部であることを特徴とする水系ガスバリア性コート剤。
  2. 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に、直接、または少なくとも一層のアンダーコート層を介して、請求項1に記載のコート剤からなるガスバリア性被膜を形成したガスバリア性フィルム。
  3. 熱可塑性樹脂フィルムまたはアンダーコート層とは接していないガスバリア性被膜の他の面に、オーバーコート層が少なくとも1層積層されたことを特徴とする請求項記載のガスバリア性フィルム。
  4. アンダーコート層及び/またはオーバーコート層が、塩基性化合物または塩基性以外の金属化合物を含有することを特徴とする請求項またはに記載のガスバリア性フィルム。
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