JP4351099B2 - ガスバリア性積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高湿度下においても優れたガスバリア性を有するガスバリア性積層体を形成し得るガスバリア性塗料に関するものである。
ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムは、強度、透明性、成形性に優れていることから、包装材料として幅広い用途に使用されている。しかし、これらの熱可塑性樹脂フィルムは酸素等のガス透過性が大きいので、一般食品、レトルト処理食品、化粧品、医療用品、農薬等の包装に使用した場合、長期間保存する内にフィルムを透過した酸素等のガスにより内容物の変質が生じることがある。
そこで、熱可塑性樹脂の表面にポリ塩化ビニリデン(以下PVDCと略記する)のエマルジョン等をコーティングし、ガスバリア性の高いPVDC層を形成せしめた積層フィルムが食品包装等に幅広く使用されてきた。しかし、PVDCは焼却時に酸性ガス等の有機物質を発生するため、近年環境への関心が高まるとともに他材料への移行が強く望まれている。
PVDCに代わる材料としてポリビニルアルコール(以下PVAと略記する)は有毒ガスの発生もなく、低湿度雰囲気下でのガスバリア性も高いが、湿度が高くなるにつれて急激にガスバリア性が低下するので、水分を含む食品等の包装には用いることが出来ない場合が多い。
PVAの高湿度下でのガスバリア性の低下を改善したポリマーとして、ビニルアルコールとエチレンの共重合体(EVOH)が知られている。しかし、高湿度でのガスバリア性を実用レベルに維持するためにはエチレンの共重合比をある程度高くする必要があり、このようなポリマーは水に難溶となる。
そこで、エチレンの共重合比の高いEVOHを用いてコーティング剤を得るには、有機溶媒または水と有機溶媒の混合溶媒を用いる必要があり、環境問題の観点からも望ましくなく、また有機溶媒の回収工程などを必要とするため、コスト高になるという問題がある。
水溶性のポリマーからなる液状組成物をフィルムにコートし、高湿度下でも高いガスバリア性を発現させる種々の発明が下記特許文献に記載されている。
特許文献1:特開平06−220221号公報には、PVAとポリアクリル酸もしくはポリメタクリル酸との混合物に200℃であれば15分以上の熱を加えて、両ポリマーをエステル結合により架橋し、ガスバリア性フィルムを形成することが記載されている。
特許文献2:特開平07−102083号公報、特許文献3:特開平07−205379号公報、特許文献4:特開平07−266441号公報には、PVAとポリアクリル酸もしくはポリメタクリル酸の部分中和物との混合物に熱を加えることによって、両ポリマーをエステル結合により架橋し、ガスバリア性フィルムを形成することが記載されている。
特許文献5:特開平08−041218号公報には、PVAとポリカルボン酸と一価金属塩もしくは次亜リン酸塩とを含有する混合物に熱を加えることによって、両ポリマーをエステル結合により架橋し、ガスバリア性フィルムを形成することが記載されている
特許文献6:特開2000−000931号公報には、PVAとポリアクリル酸もしくはポリメタクリル酸との混合物、あるいはPVAとポリアクリル酸もしくはポリメタクリル酸の部分中和物との混合物から形成された成型物の表面に、金属化合物を含有する層を塗工する発明が提案されている(請求項1等)。金属化合物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が開示されている(請求項4、[0019]参照)。
しかし、上記特許文献1〜6に提案される発明では、高度なガスバリア性を発現させるためには高温での加熱処理もしくは長時間の加熱処理が必要であり、製造時に多量のエネルギーを要するため環境への負荷が少なくない。
また、高温で熱処理すると、バリア層を構成するPVA等の変色や分解の恐れが生じる他、バリア層を積層しているプラスチックフィルム等の基材に皺が生じたり、カールや収縮などの変形が生じたり、包装用材料として使用できなくなる。プラスチック基材の劣化を防ぐためには、高温加熱に十分耐え得るような特殊な耐熱性フィルムを基材とする必要があり、汎用性、経済性の点で難がある。
一方、熱処理温度が低いと、非常に長時間処理する必要があり、生産性が低下するという問題点が生じる。
また、PVAに架橋構造を導入することで、上記PVAフィルムの問題点を解決するための検討がなされている。しかし、一般的に架橋密度の増加と共にPVAフィルムの酸素ガスバリア性の湿度依存性は小さくなるが、その反面PVAフィルムが本来有している乾燥条件下での酸素ガスバリア性が低下してしまい、結果として高湿度下での良好な酸素ガスバリア性を得ることは非常に困難である。
尚、一般にポリマー分子を架橋することにより耐水性は向上するが、ガスバリア性は酸素等の比較的小さな分子の侵入や拡散を防ぐ性質であり、単にポリマーを架橋してもガスバリア性が得られるとは限らず、たとえば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの三次元架橋性ポリマーはガスバリア性を有していない。
さらに、PVAのような水溶性のポリマーを用いながらも、高湿度下で従来よりも高いガスバリア性を有するガスバリア性積層体を、従来よりも低温もしくは短時間の加熱処理で製造する発明が提案されている(特許文献7:特開2001−323204号公報、特許文献8:同2002−020677号公報、特許文献9:同2002−241671号公報参照)。
例えば、特許文献7には、PVA、エチレン−マレイン酸共重合体、前記エチレン−マレイン酸共重合体中のカルボキシル基中和用のアルカリ化合物を含有するガスバリア性コート剤が記載されている。
特許文献7〜9に開示される発明は、特許文献1〜6に開示される発明よりも穏和な条件で高度なガスバリア性積層体を与えるものではある。
しかし、上記文献7〜9に提案されている発明により得られるガスバリア性積層体は、高温高湿度下に暴露するとガスバリア性が劣化する欠点を有している、例えば40℃、90%RH下や50℃、90%RH下で数日間暴露するとガスバリア性は大きく劣化する。
特許文献10:特開平10−237180号公報には、PVAとポリアクリル酸もしくはポリメタクリル酸との混合物に熱を加え、両ポリマーをエステル結合により架橋させた後、外部から金属又は金属イオンを作用させることによって、イオン架橋構造を形成させ、その後熱水処理を経てもガスバリア性がほとんど変わらないガスバリア性フィルムに関する発明が提案されている。例えば、エステル架橋構造を形成した後に、得られた生成物を金属又は金属イオンを含む水中に浸漬することによりイオン架橋構造を形成することが記載されている(請求項15、[0004]、[0037]〜[0039]参照)。
また、特願2003―289705、特願2003―334707には、PVAとエチレンーマレイン酸共重合体との混合物に熱を加え、両ポリマーをエステル結合により架橋させた後、2価以上の金属化合物を含有する水の存在下に加熱処理し、外部から金属又は金属イオンを作用させることによって、イオン架橋構造を形成させ、非常に良好なガスバリア性フィルムに関する発明が提案されている。例えば、エステル架橋構造を形成した後に、得られた生成物を金属又は金属イオンを含む水中に浸漬することによりイオン架橋構造を形成することが記載されている。
特許文献10や特願2003―289705、特願2003―334707に提案されている発明により得られるガスバリア性積層体は、上記の様な高温高湿度下に暴露しても、ガスバリア性は劣化しにくい。但し、特許文献10や特願2003―289705、特願2003―334707に提案されている発明では、上記の様な高温高湿度下での十分な暴露耐性を得るためには、通常高温の熱水中において長時間の処理をする必要がある。例えば、2価金属を含有する熱水中で、130℃で20分間、120℃で30分間や90℃で1時間にも及ぶ処理を施す必要がある。このような高温長時間の熱水処理は、ガスバリア性積層体の生産性、生産効率が非常に悪く、経済性の点で非常に難がある。
特開平06−220221号公報 特開平07−102083号公報 特開平07−205379号公報 特開平07−266441号公報 特開平08−041218号公報 特開2000−000931号公報 特開2001−323204号公報 特開2002−020677号公報 特開2002−241671号公報 特開平10−237180号公報
本発明の課題は、水溶性のポリマーを用いながらも高温高湿度下に暴露後も、高湿度下で従来よりも高いガスバリア性を有するガスバリア性積層体を、従来よりも温和かつ効率的で経済性に優れる条件で得ることにある。
第1の発明は、ポリアルコール系ポリマー(A)とオレフィン−マレイン酸共重合体(F)とを、ポリアルコール系ポリマー(A)中の水酸基/オレフィン−マレイン酸共重合体(F)中の カルボキシル基=78/22〜56/44(モル比)の割合で含有するガスバリア層形成用塗料(C)を、プラスチック基材上に直に、又はアンダーコート層を介してプラスチック基材上に塗布し、熱処理し、前記プラスチック基材上又はアンダーコート層上にガスバリア層(D)を積層してなるガスバリア性積層体(1)を形成し、次いで該ガスバリア性積層体(1)のガスバリア層(D)を、2価以上の金属化合物(E)を含有する水に5分以内接触させることを特徴とするガスバリア性積層体(2)の製造方法に関する。
また、第2の発明は、2価以上の金属化合物(E)を含有する水の温度が、50℃〜100℃であることを特徴とする請第1の発明に記載のガスバリア性積層体(2)の製造方法に関し、
さらに、第3の発明は、ポリアルコール系ポリマー(A)が、ポリビニルアルコール、エチレン―ビニルアルコール共重合体、糖類のいずれか1種又はこれらの混合物であることを特徴とする第1の発明又は第2の発明に記載のガスバリア性積層体(2)の製造方法に関する。
また、第4の発明は、レフィン−マレイン酸共重合体(F)が、エチレン―マレイン酸共重合体であることを特徴とする第1〜第3の発明のいずれかに記載のガスバリア性積層体(2)の製造方法に関する。

本発明により、構造中に塩素を含有せず、高温高湿度下に暴露後も、高湿度下での酸素ガスバリア性の点で優れ、さらに従来よりも著しく高いガスバリア性を有するガスバリア性積層体を、従来よりも温和かつ効率的で経済性に大きな利点がある条件で得ることができる製造方法を提供することが出来た。
以下、本発明について詳細に説明する。
[ガスバリア層形成用塗料(C)]
ガスバリア層形成用塗料(C)は、後述するプラスチック基材等に塗布し、ガスバリア性を付与するためのものであり、ポリアルコール系ポリマー(A)とポリカルボン酸系ポリマー(B)とを含有するものである。
<ポリアルコール系ポリマー(A)>
本発明で使用するポリアルコール系ポリマー(A)は、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコール系重合体であり、PVA、エチレンービニルアルコール共重合体、糖類や、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリグリセリン(メタ)アクリレートといった水酸基を有するモノマーを重合して成るポリマー等が挙げられる。
<PVA>
本発明において用いられるPVAは、ビニルエステルの重合体を完全または部分ケン化するなどの公知の方法を用いて得ることができる。
ビニルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、中でも酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
本発明の効果を損ねない範囲で、ビニルエステルに対し他のビニル化合物を共重合することも可能である。他のビニル系モノマーとしては、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸およびそのエステル、塩、無水物、アミド、ニトリル類や、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩、炭素数2〜30のα−オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン類などが挙げられる。
本発明において、フィルム表面にガスバリア性を付与するために積層されるポリマーは水溶性とすることが生産上好ましく、疎水性の共重合成分を多量に含有させると水溶性が損なわれるので好ましくない。
なお、ケン化方法としては公知のアルカリケン化法や酸ケン化法を用いることができ、中でもメタノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解する方法が好ましい。ケン化度は100%に近いほどガスバリア性の観点から好ましく、ケン化度が低すぎるとガスバリア性能が低下する。ケン化度は通常約95%以上が好ましく、98%以上であることがより好ましい。平均重合度は50〜4000が好ましく、200〜3000のものがより好ましい。
<糖類>
上記糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類、糖アルコール、またはこれらの誘導体が挙げられる。単糖類は、二糖類、オリゴ糖、多糖類の構成成分であって、通常Cm(H2O)nで表される。単糖類としては、例えば、グルコース、ガラクトース、タロース、マンノース、ソルボース、タガトース、フルクトース、プシコース、エリトロース、トレオース、エリトルロース、アラビノース、キシロース、リボース、リキソース、リブロース等が挙げられる。
また、二糖類は、2個の単糖がグリコシル結合しているものであり、例えば、麦芽糖、乳糖、ショ糖、セロビオース、トレパース、ゲンチオビオース、イソマルトース等が挙げられる。
また、オリゴ糖とは、3個から6個の単糖がグリコシル結合しているものであり、例えば、ラフィノース、ゲンチアノース等が挙げられる。さらに、多糖類とは、7個以上の単糖がポリグリコシル化している高分子化合物であり、例えば、セルロース、でんぷん、プルラン、グリコーゲン、イヌリン、デキストラン、キチン等が挙げられ、プルランが好ましい。
さらに、糖アルコールとは、単糖類を還元して得られるポリヒドロキシアルカンであり、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、キシリトール、エリトリトール、グリセロールなどを挙げることができる。
さらにまた、糖類の誘導体とは、上記糖類に対して、エステル化、カルボキシメチル化、アセチル化、リン酸化、カルボキシル化、アミノ化、アリルエーテル化、メチルエーテル化、カルボキシメチルエーテル化、グラフト化等の置換や変性を施したものである。
上記糖類(A)に対してグラフト重合させる際のモノマーとしては、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸およびそのエステル、塩、無水物、アミド、ニトリル類や、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩、炭素数2〜30のα−オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン類などが挙げられる。
上記二糖類、オリゴ糖、多糖類、またはこれらの誘導体は、一種類の単糖類で構成されていても、二種類以上の単糖類から構成されていてもよい。上記の糖類は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
<水酸基を有するモノマーを重合して成るポリマー>
水酸基を有するモノマーを重合して成るポリマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(CH2CH2Oユニットの繰り返しが1〜6のものが好ましい)、水酸基末端ウレタン(メタ)アクリレート等を、それぞれ単独で重合して成るホモポリマー、複数共重合して成るコポリマー、他のモノマーと共重合して成るコポリマーを挙げることができる。前2者、即ちホモポリマー、水酸基及びエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー同士のコポリマーが好ましく、本発明のガスバリア形成用塗料は、ホモポリマーを2種以上、又は水酸基及びエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー同士のコポリマーを2種以上含有することもできる。さらにホモポリマーとコポリマーとを含有することもできる。
水酸基を有するモノマーと共重合し得る他のモノマーとしては、水酸基、カルボキシル基を有しないモノマーであって、水酸基を有するモノマーと共重合し得るモノマーを適宜用いることができる。
例えば、クロトン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルニトリル、スチレン、スチレンスルホン酸、ビニルトルエン、エチレンなどの炭素数2〜30のα−オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン等が挙げられる。
上記のポリアルコール系ポリマー(A)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
<ポリカルボン酸系ポリマー(B)>
本発明で使用するポリカルボン酸系ポリマー(B)は、分子内に2個以上のカルボキシル基もしくは酸無水物基を有するポリマーであり、カルボキシル基もしくは酸無水物基を有するモノマーを重合して成るポリマー、等が挙げられる。
カルボキシル基もしくは酸無水物基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が挙げられ、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましい。
ポリカルボン酸系ポリマー(B)としては、これらモノマーをそれぞれ単独で重合して成るホモポリマーや複数共重合してなるコポリマー、他のモノマーと共重合して成るコポリマーを挙げることができる。
カルボキシル基もしくは酸無水物基を有するモノマーと共重合し得る他のモノマーとしては、水酸基、カルボキシル基を有しないモノマーであって、カルボキシル基もしくは酸無水物基を有するモノマーと共重合し得るモノマーを適宜用いることができる。
例えば、クロトン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルニトリル、スチレン、スチレンスルホン酸、ビニルトルエン、エチレンなどの炭素数2〜30のα−オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン等が挙げられる。
具体的なポリカルボン酸系ポリマー(B)としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸や、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸に代表されるオレフィン−マレイン酸共重合体等が挙げられ、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸、オレフィン−マレイン酸共重合体が好ましく、ポリアクリル酸、エチレン−無水マレイン酸共重合体がより好ましい。
上記のポリカルボン酸系ポリマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
<オレフィン−マレイン酸共重合体(F)>
本発明における、オレフィン−マレイン酸共重合体(F)は、無水マレイン酸またはマレイン酸とオレフィンモノマーを溶液中などにおけるラジカル重合などの公知の方法で共重合することにより得られる。
上記無水マレイン酸と共重合可能なオレフィンモノマーとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの炭素数3〜30のアルキルビニルエーテル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、ギ酸ビニル、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、p−スチレンスルホン酸、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの炭素数2〜30のオレフィン、PVAの水酸基などと反応する反応性基を有する化合物などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
このうち、アルキルビニルエーテル類、低級オレフィン類がガスバリア性を向上させることができる点で好ましく、特にメチルビニルエーテル、イソブチレン、エチレンが好ましい。
上記オレフィン−マレイン酸共重合体中のマレイン酸単位は、乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した無水マレイン酸構造となりやすく、湿潤時や水溶液中では開環してマレイン酸構造となる。
したがって、本発明においては、特記しない限り、マレイン酸単位と無水マレイン単位とを総称してマレイン酸単位という。本発明においては、ガスバリア層形成用塗料(C)は水溶性であることが好ましいので、これらに疎水性の共重合成分を多量に含有させると水溶性が損なわれるため好ましくない。
本発明におけるオレフィン−マレイン酸共重合体中のマレイン酸単位は、10モル%以上含有することが好ましく、35モル%以上含有することがより好ましく、マレイン酸単位がほぼ等モルのオレフィンと無水マレイン酸との共重合体がより好ましい。マレイン酸単位が10モル%より少ないと、ポリアルコール系ポリマーとの反応による架橋構造の形成が不十分となり易く、ガスバリア性が低下する傾向にある。尚、このマレイン酸単位は部分的にエステル化もしくはアミド化されていてもよい。
また、本発明で用いられるオレフィン−マレイン酸共重合体は、重量平均分子量が3000〜1000000であることが好ましく、5000〜900000であることがより好ましく、10000〜800000であることが更に好ましい。
<エチレン−マレイン酸共重合体>
本発明において用いられるエチレン−マレイン酸共重合体(以下、EMAという)は、無水マレイン酸とエチレンとを溶液ラジカル重合などの公知の方法で重合することにより得られるものである。また、本発明の目的を損なわない範囲で他のビニル化合物を少量共重合することも可能である。ビニル化合物としては例えば、アルキルビニルエーテル類、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、ギ酸ビニル、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、p−スチレンスルホン酸、プロピレン、イソブチレンなどの炭素数3〜30のオレフィン類や、PVAの水酸基などと反応する反応性基を有する化合物を挙げることができる。
本発明におけるEMA中のマレイン酸単位は、10モル%以上含有することが好ましく、マレイン酸単位がほぼ等モルのエチレンと無水マレイン酸との交互共重合体が好ましい。マレイン酸単位が10モル%より少ないと、PVA単位との反応による架橋構造の形成が不十分でありガスバリア性が低下する。
また、本発明で用いられるEMAは重量平均分子量が3000〜1000000であることが好ましく、5000〜900000であることがより好ましく、10000〜800000であることが更に好ましい。
なお、本発明で用いられるEMA中のマレイン酸単位は、乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した無水マレイン酸構造となりやすく、一方、湿潤時や水溶液中では開環してマレイン酸構造となる。
本発明において用いられるガスバリア層形成用塗料(C)は、ポリアルコール系ポリマー(A)中の水酸基/ポリカルボン酸系ポリマー(B)中のカルボキシル基=78/22〜56/44(モル比)あることが重要であり、74/26〜63/37(モル比)あることが好ましく、70/30〜65/35であることがさらに好ましく、71/29〜67/33であることが非常に好ましい。
水酸基の割合が多すぎると、2価以上の金属化合物を含有する水に接触させることによる、ガスバリア性向上の効果が少なかったり、高温高湿度下に暴露するとガスバリア性が劣化しやすい。カルボキシル基の割合が多いと、ガスバリア性を十分向上させたり、高温高湿度下での暴露耐性を得るために、2価以上の金属化合物を含有する水による高温長時間の処理を必要とする。
本発明において用いられるポリカルボン酸系ポリマー(B)は、塩基性化合物により部分的に中和することが好ましい。塩基性化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化コバルト、水酸化すず、水酸化鉄、水酸化チタン、水酸化銅、水酸化ニッケル、水酸化マンガン等の2価以上の水酸化金属化合物、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアルキルアミン類、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、エタノールアミン、アミノメチルプロパノール等のアルコールアミン類、モルホリン等の環状アミン類、エチレンジアミン等の多価アミン類があるが、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムが好ましい。塩基性化合物は1種類、あるいは複数を併用して使用してもよい。
塩基性化合物の量はカルボン酸に対して0.1〜50mol%中和が好ましく、0.5〜40mol%中和がより好ましい。中和率が低すぎても高すぎても良好なバリア性が得られない。
本発明において用いられるガスバリア層形成用塗料(C)は、さらに無機層状化合物を含有することもできる。無機層状化合物を含有することにより、バリア層やガスバリア性積層体のガスバリア性をさらに向上させることができる。
ガスバリア性という観点からは、無機層状化合物の含有量は多い方が好ましい。しかし、無機層状化合物は、水親和性が強く吸湿しやすい。また無機層状化合物を含有する塗料は、高粘度化しやすいので塗装性を損ないやすい。さらに無機層状化合物の含有量が多いと、形成されるガスバリア層やガスバリア性積層体の透明性が低下する。
そこで、これらの観点から無機層状化合物は、ポリアルコール系ポリマー(A)とポリマーカルボン酸系ポリマー(B)との合計100重量部に対して、1〜300重量部であることが好ましく、2〜200重量部であることがより好ましく、多くとも100重量部であることがさらに好ましい。
ここでいう無機層状化合物とは、単位結晶層が重なって層状構造を形成する無機化合物であり、特に溶媒中で膨潤、劈開するものが好ましい。
無機層状化合物の好ましい例としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライト、フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライト、マーガライト、クリントナイト、アナンダイト、緑泥石、ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、テトラシリリックマイカ、タルク、パイロフィライト、ナクライト、カオリナイト、ハロイサイト、クリソタイル、ナトリウムテニオライト、ザンソフィライト、アンチゴライト、ディッカイト、ハイドロタルサイトなどがあり、膨潤性フッ素雲母又はモンモリロナイトが特に好ましい。
これらの無機層状化合物は、天然に産するものであっても、人工的に合成あるいは変性されたものであってもよく、またそれらをオニウム塩などの有機物で処理したものであってもよい。
膨潤性フッ素雲母系鉱物は白色度の点で最も好ましく、次式で示されるものである。
α(MF)・β(aMgF2・bMgO)・γSiO2(式中、Mはナトリウム又はリチウムを表し、α、β、γ、a及びbは各々係数を表し、0.1 ≦α≦2、2≦β≦3.5 、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b=1である。)
このような膨潤性フッ素雲母系鉱物の製造法としては、例えば、酸化珪素と酸化マグネシウムと各種フッ化物とを混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内にフッ素雲母系鉱物を結晶成長させる、いわゆる溶融法がある。
また、タルクを出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤性フッ素雲母系鉱物を得る方法がある(特開平2―149415号公報)。この方法では、タルクに珪フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリを混合し、磁性ルツボ内で約 700〜1200℃で短時間加熱処理することによって膨潤性フッ素雲母系鉱物を
得ることができる。
この際、タルクと混合する珪フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35重量%の範囲とすることが好ましく、この範囲を外れる場合には膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成収率が低下するので好ましくない。
珪フッ化アルカリ又はフッ化アルカリのアルカリ金属は、ナトリウムあるいはリチウムとすることが好ましい。これらのアルカリ金属は単独で用いてもよいし併用してもよい。また、アルカリ金属のうち、カリウムの場合には膨潤性フッ素雲母系鉱物が得られないが、ナトリウムあるいはリチウムと併用し、かつ限定された量であれば膨潤性を調節する目的で用いることも可能である。
さらに、膨潤性フッ素雲母系鉱物を製造する工程において、アルミナを少量配合し、生成する膨潤性フッ素雲母系鉱物の膨潤性を調整することも可能である。
モンモリロナイトは、次式で示されるもので、天然に産出するものを精製することにより得ることができる。
aSi4(Al2-aMga)O10(OH)2・nH2O(式中、Mはナトリウムのカチオンを表し、aは0.25〜0.60である。また、層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数は、カチオン種や湿度等の条件に応じて変わりうるので、式中ではnH2Oで表す。)
またモンモリロナイトには次式群で表される、マグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイトの同型イオン置換体も存在し、これらを用いてもよい。
aSi4(Al1.67-aMg0.5+a)O10(OH)2・nH2
aSi4(Fe(III)2-aMga)O10(OH)2・nH2
aSi4(Fe(III)1.67-aMg0.5+a)O10(OH)2・nH2
(式中、Mはナトリウムのカチオンを表し、aは0.25〜0.60である。)
通常、モンモリロナイトはその層間にナトリウムやカルシウム等のイオン交換性カチオンを有するが、その含有比率は産地によって異なる。本発明においては、イオン交換処理等によって層間のイオン交換性カチオンがナトリウムに置換されていることが好ましい。また、水処理により精製したモンモリロナイトを用いることが好ましい。
無機層状化合物は、ポリアルコール系ポリマー(A)及びポリカルボン酸系ポリマー(B)に直接混合することもできるが、混合する前に予め液状媒体に膨潤、分散しておくことが好ましい。膨潤、分散用の液状媒体としては、特に限定されないが、例えば天然の膨潤性粘土鉱物の場合、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられ、水やメタノール等のアルコール類がより好ましい。
本発明において用いられる塗料(C)には、その特性を大きく損わない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤などを添加してもよい。
熱安定剤、酸化防止剤及び劣化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
塗料(C)の濃度(=固形分)は、塗装装置や乾燥・加熱装置の仕様によって適宜変更され得るものであるが、あまりに希薄な溶液ではガスバリア性を発現するのに充分な厚みの層をコートすることが困難となり、また、その後の乾燥工程において長時間を要するという問題を生じやすい。他方、塗料(C)の濃度が高すぎると、均一な塗料を得にくく、塗装性に問題を生じ易い。この様な観点から、塗料(C)の濃度(=固形分)は、1〜50重量%の範囲にすることが好ましく、5〜50重量%の範囲にすることがさらに好ましい。
プラスチック基材 ]
本発明で用いられるプラスチック基材は、熱成形可能な熱可塑性樹脂から押出成形、射出成形、ブロー成形、延伸ブロー成形或いは絞り成形等の手段で製造された、フィルム状基材の他、ボトル、カップ、トレイ等の各種容器形状を呈する基材であってもよく、フィルム状であることが好ましい。
また、プラスチック基材は、単一の層から構成されるものであってもよいし、あるいは例えば同時溶融押出しや、その他のラミネーションによって複数の層から構成されるものであってもよい。
プラスチック基材を構成する熱可塑性樹脂としては、オレフィン系共重合体、ポリエステル、ポリアミド、スチレン系共重合体、塩化ビニル系共重合体、アクリル系共重合体、ポリカーボネート等が挙げられ、オレフィン系共重合体、ポリエステル、ポリアミドが好ましい。
オレフィン系共重合体としては、低−、中−或いは高−密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−共重合体、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が、
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレンナフタレート等が、
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、メタキシリレンアジパミド等のポリアミド;
スチレン系共重合体としては、ポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)等が、
塩化ビニル系共重合体としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が、
アクリル系共重合体としては、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート・エチルアクリレート共重合体等がそれぞれ挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合し使用しても良い。
前記の溶融成形可能な熱可塑性樹脂には、所望に応じて顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤などの添加剤の1種或いは2種類以上を樹脂100重量部当りに合計量として0.001部乃至5.0部の範囲内で添加することもできる。
また、本発明のガスバリア性積層体を用いて後述するように包装材を形成する場合、包装材としての強度を確保するために、ガスバリア性積層体を構成するプラスチック基材として、各種補強材入りのものを使用することができる。即ち、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維、カーボン繊維、パルプ、コットン・リンター等の繊維補強材、或いはカーボンブラック、ホワイトカーボン等の粉末補強材、或いはガラスフレーク、アルミフレーク等のフレーク状補強材の1種類或いは2種類以上を、前記熱可塑性樹脂100重量部当り合計量として2乃至150重量部の量で配合でき、更に増量の目的で、重質乃至軟質の炭酸カルシウム、雲母、滑石、カオリン、石膏、クレイ、硫酸バリウム、アルミナ粉、シリカ粉、炭酸マグネシウム等の1種類或いは2種類以上を前記熱可塑性樹脂100重量部当り合計量として5乃至100重量部の量でそれ自体公知の処方に従って配合しても何ら差支えない。
さらに、ガスバリア性の向上を目指して、鱗片状の無機微粉末、例えば水膨潤性雲母、クレイ等を前記熱可塑性樹脂100重量部当り合計量として5乃至100重量部の量でそれ自体公知の処方に従って配合しても何ら差支えない。
<ガスバリア層(D)>
ガスバリア性積層体(1)を構成するガスバリア層(D)は、ポリアルコール系ポリマー(A)とポリカルボン酸系ポリマー(B)とを含有するガスバリア層形成用塗料(C)をプラスチック基材や後述するUC層上に塗布し、加熱処理することによって主としてポリアルコール系ポリマー(A)とポリカルボン酸系ポリマー(B)とのエステル化反応、一部ポリアルコール系ポリマー(A)同士のエーテル化反応の結果形成されるものである。
ポリアルコール系ポリマー(A)とポリカルボン酸系ポリマー(B)との比等によっても影響を受け得るので、バリア層(D)を形成する際の塗料(C)の好ましい加熱処理条件は一概には言えないが、100℃以上300℃以下の温度で行うことが好ましく、120℃以上250℃以下がより好ましく、140℃以上240℃以下がさらに好ましく、160℃以上220℃以下が特に好ましい。
詳しくは、100℃以上140℃未満の温度範囲で90秒以上、または140℃以上180℃未満の温度範囲で1分以上、または180℃以上250℃未満の温度範囲で30秒以上の熱処理を行うことが好ましく、
100℃以上140℃未満の温度範囲で2分以上、または140℃以上180℃未満の温度範囲で90秒以上、または180℃以上240℃以上の温度範囲で1分以上の熱処理を行うことがより好ましく、
100℃以上140℃未満の温度範囲で4分以上、または140℃以上180℃未満の温度範囲で3分以上、または180℃以上220℃未満の温度範囲で2分程度の熱処理を行うことが特に好ましい。
加熱処理の温度が低すぎるあるいは時間が短すぎると、エステル化反応が不十分となり、ガスバリア性積層体(1)、(2)の耐水性が不十分となる。また、加熱処理を300℃を超える温度で行うと、形成されるバリア層及びプラスチック基材に変形、皺熱分解等が生じ、その結果ガスバリア性等の物性低下が引き起こされ易い。
また、加熱処理時間が長いほど、高湿度下でのガスバリア性は向上する傾向にあるが、生産性およびプラスチック基材の熱による変形、劣化等を考慮すると加熱処理時間は1時間以内であることが好ましく、30分以内であるとより好ましく、20分以内であることが特に好ましい。
[ ガスバリア性積層体 ]
本発明のガスバリア性積層体は、上述のガスバリア層形成用塗料(C)をプラスチック基材上に直に、又はUC層を介してプラスチック基材上に塗布し、加熱処理した後、さらに2価以上の金属化合物を含有する水に5分以内接触させることによって形成されるものである。
即ち、ガスバリア層形成用塗料(C)を塗布した後、一端加熱処理することによって、ポリアルコール系ポリマー(A)とポリカルボン酸系ポリマー(B)とのエステル化反応により、最終のガスバリア性積層体の前駆体ともいうべきガスバリア性積層体(以下、この前駆体を「ガスバリア性積層体(1)」ということもある)が生成される。該前駆体を2価以上の金属化合物を含有する水に5分以内接触させることによって、飛躍的にガスバリア性の向上したガスバリア性積層体を得ることができる(以下、2価以上の金属化合物を含有する水に5分以内接触させたガスバリア性積層体を「ガスバリア性積層体(2)」ということもある)。
特許文献7〜9に開示される発明は、特許文献1〜6に開示される発明よりも穏和な条件で高度なガスバリア性積層体を与えるものではある。
従来の技術の欄で述べたように、塗料を塗布した後、加熱することによって、ポリアルコール系ポリマー(A)中の水酸基とポリアクリル酸系ポリマー(B)中のCOOHとをエステル化反応で架橋させた場合、高温高湿度下に暴露するとガスバリア性が劣化する欠点を有している、例えば40℃、90%RH下や50℃、90%RH下で数日間暴露するとガスバリア性は大きく劣化する。
これに対し、上述したように、ガスバリア性積層体(1)を、2価以上の金属化合物を含有する水に5分以内接触させることによって、飛躍的にガスバリア性の向上したガスバリア性積層体(2)を得ることができ、従来よりもはるかにガスバリア性に優れ、高温高湿度下に暴露してもガスバリア性が劣化しない。
<2価以上の金属化合物(E)>
2価以上の金属化合物(E)は、水酸基もしくはカルボキシル基と反応し得るものであることが好ましい。後述するように形成されたガスバリア性積層体(1)、(2)に水が作用し、ガスバリア層(D)に移行した金属化合物(E)が、水酸基もしくはカルボキシル基と反応することによって、好適に架橋構造を形成するものと考えられる。ここで生じる架橋構造は、イオン結合、共有結合はもちろん配位的な結合であってもよい。
水酸基もしくはカルボキシル基と反応し得る金属化合物(E)としては、
2価以上の金属のハロゲン化物、水酸化物、酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硫酸塩もしくは亜硫酸塩(E1)、
ジルコニウム錯塩、ハロゲン化ジルコニウム、無機酸のジルコニウム塩もしくは有機酸のジルコニウム塩(E2)等が挙げられ、金属化合物(E1)が好ましい。2価以上の金属化合物(E)としては、各群から選ばれる1種を単独で使用することもできるし、各郡内の2種以上を併用することもできるし、各群から選ばれる1種以上を併用することもできる。
金属化合物(E1)としては、2価以上の金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩等が好ましく、水酸化物、酸化物、炭酸塩がより好ましく、水酸化物が最も好ましい。これらは1種類を使用することもできる、2種類以上を併用することもできる。
2価以上の金属としては、Mg、Ca、Zn、Cu、Co、Fe、Ni、AlもしくはZrが好ましく、Mg、Caがより好ましい。
Mg化合物としては、MgO、Mg(OH)2、MgSO4、MgCl2、MgCO2、Mg(CH3COOH) 2、Mg3(PO4) 2等が挙げられ、Ca化合物としては、CaO、Ca(OH)2、CaSO4、CaCl2、CaCO3、Ca(CH3COOH) 2、Ca3(PO4) 2等が挙げられる。
また、ガスバリア性積層体(2)を加熱処理する水に含有される金属化合物として、Mg(OH)2、MgCO2、Ca(OH)2、CaCO2、を用いる場合、これらの化合物のみを用いても良いが、これらの化合物は水に対する溶解度が低いため、他の金属化合物、例えば、Mg、Ca、Na等の硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩等と併用してもよい。
また、ガスバリア性積層体(1)を加熱処理する水が2価以上の金属化合物(E)を含有する場合には、上記金属化合物を金属イオンの濃度として3ppm〜3000ppm含有することが好ましく、10ppm〜2000ppm含有することがより好ましく、50ppm〜2000ppm含有することがさらに好ましく、より具体的には、ガスバリア性積層体1m2につき、水中にMgおよびCaが、0.008g以上含まれていることが好ましく、0.08g以上含まれていることがより好ましく、0.8g以上含まれていることがさらに好ましい。
<アンダーコート層><アンダーコート層形成用組成物>
本発明において用いられるUC層について説明する。UC層は、ガスバリア層(D)とプラスチック基材との間に位置し、ガスバリア層(D)の密着性向上の役割を主として担う。
UC層は、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、エポキシ系等種々のポリマーから形成され得、ウレタン系のUC層が好ましい。
例えば、ウレタン系のUC層の場合、
(1) ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等のポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含有するUC用組成物をプラスチック基材上に塗工、加熱し、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させ、ウレタン系のUC層を形成することができる。該UC層上に、前記塗料(C)の溶液を塗工し、これを加熱すれば基材/UC層/ガスバリア層からなる積層体を得ることができる。
(2) UC用組成物をプラスチック基材上に塗工、乾燥し、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応が完了していない、UC層の前駆体を得、該前駆体上に前記塗料(C)の溶液を塗工し、加熱することによってUC層の形成とガスバリア層の形成とを一度に行って、基材/UC層/ガスバリア層を得ることもできる。
(3) あるいは、UC用組成物をプラスチック基材上に塗工後、加熱せずに、前記ガスバリア層形成用塗料を塗工し、加熱することによってUC層の形成とガスバリア層の形成とを一度に行って、基材/UC層/バリア層からなる積層体を得ることもできる。
UC用組成物に含まれるポリイソシアネートが,ガスバリア層との界面領域において,ポリアルコール系ポリマー(A)中の水酸基とも反応し、密着性向上に寄与する他、ガスバリア層の架橋を補助し、耐水性の向上にも効果があると考えられるので、(2)、(3)の方法が好ましい。
UC層の形成に供されるポリオール成分としては、ポリエステルポリオールが好ましく、ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸もしくはそれらのジアルキルエステルまたはそれらの混合物と、グリコール類もしくはそれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
多価カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸,シクロヘキサンジカルボン酸の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。
グリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオールなどが挙げられる。
これらのポリエステルポリオールは,ガラス転移温度(以下、Tgという)−50℃〜120℃のものが好ましく,−20℃〜100℃のものがより好ましく,0℃〜90℃のものがさらに好ましい。ポリエステルポリオールの好適なTgは、塗料(C)を塗布後加熱硬化する際の加熱硬化条件とも関係する。比較的低温で加熱硬化する場合には、比較的高Tgのポリエステルポリオールが好ましく、比較的高温で加熱硬化する場合には、低温から高温まで比較的幅広いTgのポリエステルポリオールが好適に使用できる。例えば、180℃で塗料(C)を加熱硬化する場合には、70〜90℃程度のTgのポリエステルポリオールが好ましい。一方、200℃で塗料(C)を加熱硬化する場合には、0〜90℃程度のTgのポリエステルポリオールを使用することができる。
また,これらのポリエステルポリオールの数平均分子量は1000〜10万のものが好ましく,3000〜5万のものがより好ましく,1万〜4万のものがさらに好ましい。
UC層の形成に供されるポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フエニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフエニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、
テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジ イソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シク
ロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、
上記ポリイソシアネート単量体から誘導されたイソシアヌレート、ビューレット、アロファネート等の多官能ポリイソシアネート化合物、あるいはトリメチロールプロパン、グリセリン等の3官能以上のポリオール化合物との反応により得られる末端イソシアネート基含有の多官能ポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HMDIともいう)の三量体である3官能イソシアヌレート体が好ましい。
ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの重量比は10:90〜99:1のものが好ましく,30:70〜90:10のものがより好ましく,50:50〜85:15のものがさらに好ましい。
UC層の膜厚は使用する用途に応じて適宜決めることが出来るが、0.1μm〜10μmの厚みであることが好ましく、0.1μm〜5μmの厚みであるとより好ましく、0.1μm〜1μmの厚みであることが特に好ましい。0.1μm未満の厚みでは接着性を発現する事が困難となり、一方10μmを越える厚みになると塗工等の生産工程において困難を生じやすくなる。
UC用組成物中のポリエステルオールとポリイソシアネートとの濃度は適切な溶剤を用いて調節することができ,その濃度は両者を足して0.5〜80重量%の範囲であることが好ましく、1〜70重量%の範囲であることがより好ましい。溶液の濃度が低すぎると,必要な膜厚の塗膜を形成することが困難となり,また,乾燥時に余分な熱量を必要としてしまうので好ましくない.溶液の濃度が高すぎると溶液粘度が高くなりすぎて,混合、塗工時などにおける操作性の悪化を招く問題が生じる。
UC用組成物に使用できる溶剤としては、例えば,トルエン,MEK,シクロヘキサノン,ソルベッソ,イソホロン,キシレン,MIBK,酢酸エチル,酢酸ブチルがあげられるが,これらに限定されるものではない.
UC層には上記成分の他に、公知である硬化促進触媒,充填剤、軟化剤、老化防止剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、無機フィラー、粘着付与性樹脂、繊維類、顔料等の着色剤、可使用時間延長剤等を使用することもできる。また、上記UC層を、該バリア層(D)上に塗工しても良い。
[ガスバリア性積層体(2)]
塗料(C)を塗布した後、一旦加熱処理することによって、ポリアルコール系ポリマー(A)とポリマー(B)とのエステル化反応が生起し、最終のガスバリア性積層体の前駆体ともいうべきガスバリア層(D)が形成され、ガスバリア性積層体(1)が生成される。次いで該ガスバリア性積層体(1)のガスバリア層(D)を、2価以上の金属化合物(E)を含有する水に5分以内接触させることによって、飛躍的にガスバリア性の向上したガスバリア性積層体(2)を得ることができる。
従来の技術の欄で述べたように、塗料を塗布した後、加熱することによって、PVA中の水酸基とポリアクリル酸中もしくはポリマー中のCOOHとを十分にエステル化反応させたり、上記官能基と金属とを架橋反応させたりするためには、これまではより高温もしくは長時間加熱する必要があると考えられていた。しかし、熱による各種架橋構造の導入で高湿度下におけるガスバリア性を向上させるには、プラスチック基材自体及び形成されつつあるバリア層の耐熱性等の観点からも現実的には限界があった。
これに対し、上述したように、塗料(C)を加熱処理してガスバリア層(D)が積層されてなるガスバリア性積層体(1)を形成し、次いで該ガスバリア層(D)を、2価以上の金属化合物(E)を含有する水に5分以内接触させつつ金属化合物(E)を導入することによって、飛躍的にガスバリア性の向上したガスバリア性積層体(2)を得ることができ、従来よりもはるかにガスバリア性に優れ、高温高湿度下に暴露してもガスバリア性が劣化しないガスバリア性積層体(2)を得ることができる。ガスバリア性積層体(1)を、2価以上の金属化合物(E)を含有する水に5分以内接触させることによって、2価以上の金属化合物(E)がバリア層(D)中に移行して、ポリアルコール系ポリマー(A)とポリアルコール系ポリマー(A)とを架橋させたり、ポリアルコール系ポリマー(A)とポリカルボン酸系ポリマー(B)とを架橋させたり、ポリカルボン酸系ポリマー(B)とポリカルボン酸系ポリマー(B)とを架橋させたりすることによって、密な構造を形成し、その結果高湿度下における酸素ガスバリア性を向上し得たものと考えられる。そこで、本発明では、2価以上の金属化合物(E)を金属架橋剤もしくは単に架橋剤ということもある。
ガスバリア層(D)を、2価以上の金属化合物(E)を含有する水に接触させる方法としては、下記に示すような方法が種々挙げられる。
(a) ガスバリア性積層体(1)を2価以上の金属化合物(E)を含有する水(湯)に浸漬する。
(b) ガスバリア性積層体(1)に2価以上の金属化合物(E)を含有する水(湯)を霧状、シャワー状にして吹き付ける。
(c) ガスバリア性積層体(1)を2価以上の金属化合物(E)を含有する水蒸気にさらす。
(d) ガスバリア層上に2価以上の金属化合物(E)を含有する水(湯)を塗工する。
(e) ガスバリア性積層体(1)に金属化合物(E)を含有する水蒸気を吹き付けつつ、熱ロールで加熱する。
(f) ガスバリア層上に2価以上の金属化合物(E)を含有するコート剤を塗工する。
(g) 2価以上の金属化合物を含有する水(湯)に、ガスバリア層が接触するようにガスバリア性積層体を浮かべる。
いずれの方法も水がより作用し易いように、ガスバリア性積層体を加熱したり、環境温度を高くしたり、必要に応じて加圧したり、減圧したり、電界を作用させても良い。
上記(a)〜(e)、(g)の含有水(湯)にはさらにアルコールを含有することもできる。また、上記(f)のコート剤の液状媒体としては、水以外にもアルコール、その他有機溶剤などを併用することができる。さらに、溶媒の他に樹脂等を含んでいても良い。
2価以上の金属化合物(E)を含有する水に接触させる時間は、5分以内であることが好ましく、3分以内であることがより好ましく、1分以内であることさらに好ましく、30秒以内であることが最も好ましい。水に接触する時間が、5分を越えるとガスバリア性積層体の生産性、生産効率が非常に悪く、経済性の点で非常に難がある。
また、2価以上の金属化合物(E)を含有する水の温度は、10℃〜130℃であることが好ましく、30℃〜100℃であることがより好ましい。
より具体的にはガスバリア性積層体(1)のガスバリア層(D)を、2価以上の金属化合物(E)を含有する70〜100℃の温水に1秒以上5分以内接触させることが好ましく、80〜100℃の含有温水で5秒以上30秒以内接触させることがより好ましい。
このようにガスバリア性積層体(1)を2価以上の金属化合物(E)を含有する水に接触させることによって、金属化合物(E)に由来する架橋構造の形成以外にも、バリア層(D)自体に何らかの変化が生じている可能性も考えられ、ガスバリア性が飛躍的に向上する。
また、食品を収容する容器(包装材)のうち、食品を容器(=包装材)に収容した後、加圧下に水蒸気でレトルト処理(殺菌処理)する必要がある場合には、このレトルト処理を利用して包装材を構成するガスバリア層の性能を向上することもできる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
<酸素透過度>
Modern Control社製、酸素透過試験器OX−TRAN TWINを用い、25℃、80%RHにおける酸素透過度を求めた。具体的には、25℃、80%RHに加湿した酸素ガス及び窒素ガス(キャリアーガス)を用いた。
ポリアルコール系ポリマー(A)とポリカルボン酸系ポリマー(B)とを含有するガスバリア層形成用塗料(C)から形成されたガスバリア層の酸素透過度は以下の計算式により求めた。
1/Ptotal=1/Pfilm+1/PNy
但し、
total:ポリアルコール系ポリマー(A)とポリカルボン酸系ポリマー(B)とを含有するガスバリア層形成用塗料(C)から形成されたガスバリア層、及び基材フィルム(2軸延伸ナイロンフィルム)層とからなる積層フィルムの酸素透過度。UC層を有する場合には、ガスバリア層、UC層及び基材フィルムの酸素透過度。
film:ポリアルコール系ポリマー(A)とポリカルボン酸系ポリマー(B)とを含有するガスバリア層形成用塗料(C)から形成されたフィルム層の酸素透過度。
Ny:基材フィルム(2軸延伸ナイロンフィルム)層の酸素透過度。UC層を有する場合には、UC層及び基材フィルムの酸素透過度。
[実施例1、2]
[比較例1、2]
PVA(クラレ(株)製、ポバール105(ポリビニルケン化度98〜99%、平均重合度約500)を熱水に溶解後、室温に冷却することにより、PVA水溶液を得た。別途、EMA(重量平均分子量100000)を水に溶解し、カルボキシル基の10%(モル)が中和される量の水酸化ナトリウムを添加したEMA水溶液を調製した。
PVAとEMAの重量比が表1に示すようになるように、上記PVA水溶液と上記EMA水溶液とを混合し、固形分10重量%の混合液(=バリア層形成用塗料)を得た。
2軸延伸ナイロンフィルム(厚み15μm)上に、上記PVA、EMA混合液をバーコーターNo.12を用いて塗工し、電気オーブンで80℃2分乾燥した後、電気オーブンで180℃2分乾燥及び熱処理を行い、厚さ1.5μmの皮膜を形成し、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムを、95℃に加熱した水酸化カルシウムの2000ppm水溶液中に、30秒間浸漬し、その後水で洗浄した後風乾した。風乾後の積層フィルムを50℃、90%RHの環境に3日間放置した後に積層フィルムの酸素透過度を測定した。積層フィルム及びガスバリア層の酸素透過度を測定した結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1で用いたバリア層形成用塗料を、2軸延伸ナイロンフィルム(厚み15μm)上に、バーコーターNo.12を用いて塗工し、電気オーブンで80℃2分乾燥した後、電気オーブンで180℃2分乾燥及び熱処理を行い、厚さ1.5μmの皮膜を形成し、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムを50℃、90%RHの環境に3日間放置した後に積層フィルムの酸素透過度を測定した。積層フィルム及びガスバリア層の酸素透過度を測定した結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1で用いたバリア層形成用塗料を、2軸延伸ナイロンフィルム(厚み15μm)上に、バーコーターNo.12を用いて塗工し、電気オーブンで80℃2分乾燥した後、電気オーブンで180℃2分乾燥及び熱処理を行い、厚さ1.5μmの皮膜を形成し、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムを、95℃に加熱した蒸留水中に、30秒間浸漬し、その後水で洗浄した後風乾した。風乾後の積層フィルムを50℃、90%RHの環境に3日間放置した後に積層フィルムの酸素透過度を測定した。積層フィルム及びガスバリア層の酸素透過度を測定した結果を表1に示す。
50℃、90%RHの環境に3日間放置した後に積層フィルムの酸素透過度を測定した。積層フィルム及びガスバリア層の酸素透過度を測定した結果を表1に示す。

Claims (4)

  1. ポリアルコール系ポリマー(A)とオレフィン−マレイン酸共重合体(F)とを、ポリアルコール系ポリマー(A)中の水酸基/オレフィン−マレイン酸共重合体(F)中のカルボキシル基=78/22〜56/44(モル比)の割合で含有するガスバリア層形成用塗料(C)を、プラスチック基材上に直に、又はアンダーコート層を介してプラスチック基材上に塗布し、熱処理し、前記プラスチック基材上又はアンダーコート層上にガスバリア層(D)を積層してなるガスバリア性積層体(1)を形成し、次いで該ガスバリア性積層体(1)のガスバリア層(D)を、2価以上の金属化合物(E)を含有する水に5分以内接触させることを特徴とするガスバリア性積層体(2)の製造方法。
  2. 2価以上の金属化合物(E)を含有する水の温度が、30℃〜100℃であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層体(2)の製造方法。
  3. ポリアルコール系ポリマー(A)が、ポリビニルアルコール、エチレン―ビニルアルコール共重合体、糖類のいずれか1種又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1又は2記載のガスバリア性積層体(2)の製造方法。
  4. オレフィン−マレイン酸共重合体(F)が、エチレン―マレイン酸共重合体であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のガスバリア性積層体(2)の製造方法。
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