JP5155501B2 - リグニン系リサイクル材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリグニン系リサイクル材料に関する。より詳細には、本発明は、特定の位置に置換基を有するフェノール誘導体をスイッチング素子として利用するリグノフェノール誘導体を構成ユニットとする高分子材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
現代社会においては化石資源の利用は不可欠なものとなっているが、化石資源は再生産が不可能であり、近い将来枯渇が懸念されている。化石資源に替わる資源の一つとしては、バイオマス資源が着目されており、中でも木質系バイオマスは、地球上に膨大に存在し、短期間で生産可能であり、適切な維持管理により持続的な供給が可能な資源である点、さらに資源としての利用後は、自然界で分解し、新たなバイオマス資源として生まれ変わるという点で着目されている。
【0003】
現在の木質系バイオマスの利用法としては、一つは、リグノセルロース系資源、即ち、木材のまま切断、加工等して所定形状の建築用材または家具用材として加工して利用したり、リグノセルロース系資源をチップやファイバー等として成形体製造用材料等として利用したりする直接的な利用形態であり、もう一つはリグノセルロース系資源の構成成分であるセルロースのみを抽出してパルプ化する間接的な利用形態である。
【0004】
上記した直接的な利用形態のうち、建築用材等は既に所定の形状を有し、比較的大型であるため、再利用のためには、通常、破砕、粉砕などの処理を要する。また、木質チップやファイバー等は成形体に利用されている熱硬化性樹脂を分離することが困難である。このため、直接的利用形態においては、使用後には、リグノセルロース系資源は再利用されることなく廃棄処分されることが多かった。
また、間接的利用形態においては、ファイバー化とシート化を繰り返すことによりセルロースについてのみ再生利用が図られている。
このように、直接的利用形態においては、リグノセルロース系資源全体、即ち、セルロースもリグニンも再利用されることはなく、間接的利用形態においてもリグニンは利用あるいは再利用もされていない。
今後の化石資源の枯渇を考慮すると、これらリグノセルロース系資源の再利用を図ることが重要である。
【0005】
木質系(リグノセルロース系)バイオマスの利用においてリグニンの有効な利用を図るためには、先ず木材をその構成成分に分離することが必要である。本発明者らはこれまでの研究により、濃酸による炭水化物の膨潤による組織構造の破壊と、フェノール誘導体によるリグニンの溶媒和の組み合わせにより、リグニンの不活性化を抑制し、リグノセルロース系物質をその構成成分であるポリフェノール系物質(リグノフェノール誘導体)と炭水化物とに分離する方法を開発している(特開平2−233701号)。この方法で得られたリグノフェノール誘導体の活用法としては、例えば、セルロース系ファイバー等の成形材料に適用し成形体を作製することが報告されている(特開平9−278904号)。
【0006】
また、上記で得られたポリフェノール系物質(リグノフェノール誘導体)に対してさらに二次処理を施して得られる機能が向上した新規材料、それを利用したセルロース系成形体、並びにこのセルロース系成形体を再利用する方法も報告されている(国際公開WO99/14223号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする第1の課題は、リグノセルロース系物質の効率的な再利用を図る手段を提供することである。
本発明が解決しようとする第2の課題は、リグノセルロース系物質の特性を生かしつつカスケード的に活用することによって、できるだけ長期間使用し、最終的には回収及びリサイクルすることができる、機能可変型リグノフェノール誘導体を提供することである。
本発明が解決しようとする第3の課題は、リグノフェノール誘導体の分子内に特定のスイッチング素子を導入することによって、該リグノフェノール誘導体のフェノール活性や反応性を制御したり、多様な機能を発現させる方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、リグノセルロース系物質をフェノール誘導体の存在下で酸で処理することにより分離されるリグノフェノール誘導体又は該リグノフェノール誘導体を架橋して得られる高分子材料において、4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体及び/又は2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体が分子内スイッチング素子として有効に機能することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体の2位又は6位(オルト位)の炭素原子及び/又は2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体の6位(オルト位)の炭素原子がリグニンのフェニルプロパン単位のベンジル位の炭素原子に結合してなるリグノフェノール誘導体を、アルカリ条件下で架橋性官能基形成化合物と反応させて、フェノール性水酸基のオルト位に架橋性官能基を有する架橋性リグノフェノール誘導体を調製し、前記架橋性リグノフェノール誘導体を加熱して架橋体を調製することによって得られることを特徴とする、リグノフェノール誘導体から成る高分子材料。
【0010】
(2) フェノール誘導体として4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体を使用し、該フェノール誘導体を反応性スイッチング素子として使用する(1)に記載の高分子材料。
(3) フェノール誘導体として2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体を使用し、該フェノール誘導体をブロッキング性スイッチング素子として使用する(1)に記載の高分子材料。
(4) リグノフェノール誘導体が、リグノセルロース系物質をフェノール誘導体の存在下で酸で処理することにより分離されたリグノフェノール誘導体であることを特徴とする、(1)から(3)の何れかに記載の高分子材料。
【0011】
(5) 架橋性官能基形成化合物がホルムアルデヒドであることを特徴とする、(1)から(4)の何れかに記載の高分子材料。
(6) 4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体がp−クレゾールである、(1)に記載の高分子材料。
(7) 2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体が2,4−ジメチルフェノールである、(1)に記載の高分子材料。
(8) リグノフェノール誘導体が、4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体の2位又は6位(オルト位)の炭素原子及び/又は2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体の6位(オルト位)の炭素原子に加えて、2位(オルト位)及び6位(オルト位)に置換基を有するフェノール誘導体の4位(メタ位)の炭素原子がリグニンのフェニルプロパン単位のベンジル位の炭素原子に結合してなるリグノフェノール誘導体であることを特徴とする、(1)から(7)の何れかに記載の高分子材料。
(9) 2位(オルト位)及び6位(オルト位)に置換基を有するフェノール誘導体が2,6−ジメチルフェノールである、(8)に記載の高分子材料。
【0012】
(10) 4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体の2位又は6位(オルト位)の炭素原子、及び/又は2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体の6位(オルト位)の炭素原子がリグニンのフェニルプロパン単位のベンジル位の炭素原子に結合してなるリグノフェノール誘導体を、アルカリ条件下で架橋性官能基形成化合物と反応させて、上記リグノフェノール誘導体中のフェノール性水酸基のオルト位に架橋性官能基を有する架橋性リグノフェノール誘導体を調製する工程、及び前記架橋性リグノフェノール誘導体を加熱して架橋体を調製する工程を含む、(1)から(9)の何れかに記載の高分子材料の製造方法。
(11) 4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体を架橋反応性スイッチング素子として使用し、2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体を架橋ブロッキング性スイッチング素子として使用することを特徴とする、(8)に記載の製造方法。
(12) (1)から(9)の何れかに記載の高分子材料をアルカリ条件下で加熱することを含む、当該高分子材料を低分子化する方法。
(13) 4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体を架橋反応性スイッチング素子として使用することを特徴とする、リグノフェノール誘導体の機能又は構造の制御方法。
【0013】
(14) 2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体を架橋ブロッキング性スイッチング素子として使用することを特徴とする、リグノフェノール誘導体の機能又は構造の制御方法。
(15) 2位(オルト位)及び6位(オルト位)に置換基を有するフェノール誘導体をコントロール素子として使用することを特徴とする、リグノフェノール誘導体の機能又は構造の制御方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様および実施方法について詳細に説明する。
(1)リグノフェノール誘導体の調製
本発明の高分子材料は、リグノフェノール誘導体から成る。本明細書で言うリグノフェノール誘導体とは、4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体の2位又は6位(オルト位)の炭素原子、及び/又は2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体の6位(オルト位)の炭素原子がリグニンのフェニルプロパン単位のベンジル位の炭素原子に結合してなる高分子化合物である。このようなリグノフェノール誘導体自体は公知であり、その製造方法は、例えば、特開平2−233701号、特開平9−278904号、国際公開WO99/14223号公報、特願平11−243543号明細書、特願平11−311910号明細書などに記載されている(これらの特許文献に記載の内容は全て引用により本明細書中に取り込まれるものとする)。
なお、リグノフェノール誘導体における導入フェノール誘導体の量や、分子量は、原料となるリグノセルロース系材料および反応条件などにより変動する。
【0015】
リグノフェノール誘導体の調製は、通常、原料であるリグノセルロース系材料を、フェノール誘導体の存在下で酸で処理することにより行う。
「リグノセルロース系材料」とは、木質化した材料、主として木材である各種材料、例えば、木粉、チップ、廃材、端材などを挙げることができる。また用いる木材としては、針葉樹、広葉樹など任意の種類のものを使用することができる。さらに、各種草本植物、それに関連する試料、例えば、農産廃棄物なども使用できる。
【0016】
リグノフェノール誘導体の調製のために本発明で用いるフェノール誘導体は、4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体、及び/又は2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体である。
4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体とは、2つのオルト位に置換基を有していないフェノール誘導体である。また、2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体とは、6位(片方のオルト位)に置換基を有していないフェノール誘導体である。
【0017】
フェノール誘導体としては、1以上の置換基を有していてもよいフェノール、1以上の置換基を有していてもよいナフトール、1以上の置換基を有していてもよいアントロール、1以上の置換基を有していてもよいアントロキノンオールなどが挙げられる。好ましいフェノール誘導体は、4位に置換基を有するフェノール、及び2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノールである。
【0018】
フェノール誘導体の2位及び4位に存在する置換基の種類は特に限定されず、任意の置換基を有していてもよいが、好ましくは、電子吸引性の基(ハロゲン原子など)以外の基であり、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、アリール基(フェニル基)が挙げられ、好ましくはアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。フェノール誘導体の特に好ましい例は、p−クレゾールと、2,4−ジメチルフェノールである。
【0019】
リグノフェノール誘導体を調製する際に用いる酸は、セルロースに対する膨潤性を有する酸が好ましい。酸の具体例としては、例えば濃度65重量%以上の硫酸(例えば、72重量%の硫酸)、85重量%以上のリン酸、38重量%以上の塩酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ギ酸などを挙げることができる。
【0020】
リグノフェノール誘導体の具体的調製方法の幾つかを以下に説明するが、これらの方法に限定されるものではない。現在、リグノセルロース系材料中のリグニンを、リグノフェノール誘導体として抽出する方法としては大きく分けて3種類の方法がある。
【0021】
第1の方法は、特開平2−233701号公報に記載されている方法である。この方法は、木粉等のリグノセルロース系材料に液体状のフェノール誘導体(上記で説明したもの、例えば、p−クレゾール又は2,4−ジメチルフェノール)を浸透させ、リグニンをフェノール誘導体により溶媒和させ、次に、リグノセルロース系材料に濃酸(上記で説明したもの、例えば、72%硫酸)を添加し混合して、セルロース成分を溶解する。この方法によると、リグニンを溶媒和したフェノール誘導体と、セルロース成分を溶解した濃酸とが2相分離系を形成する。フェノール誘導体により溶媒和されたリグニンは、フェノール誘導体相が濃酸相と接触する界面においてのみ、酸と接触され、酸との接触により生じたリグニン基本構成単位の高反応サイトである側鎖α位(ベンジル位)のカチオンが、フェノール誘導体により攻撃される。その結果、前記α位にフェノール誘導体がC−C結合で導入され、またベンジルアリールエーテル結合が解裂することにより低分子化される。これによりリグニンが低分子化され、同時にその基本構成単位のベンジル位にフェノール誘導体が導入されたリグノフェノール誘導体がフェノール誘導体相に生成される。このフェノール誘導体相から、リグノフェノール誘導体が抽出される。リグノフェノール誘導体は、リグニン中のベンジルアリールエーテル結合が解裂して低分子化されたリグニンの低分子化体の集合体の一部として得られる。なお、ベンジル位へのフェノール誘導体の導入形態は、そのフェノール性水酸基を介して導入されているものもあることが知られている。
【0022】
フェノール誘導体相からのリグノフェノール誘導体の抽出は、例えば、次の方法で行うことができる。すなわち、フェノール誘導体相を、大過剰のエチルエーテルに加えて得た沈殿物を集めて、アセトンに溶解する。アセトン不溶部を遠心分離により除去し、アセトン可溶部を濃縮する。このアセトン可溶部を、大過剰のエチルエーテルに滴下し、沈殿区分を集める。この沈殿区分から溶媒留去し、リグノフェノール誘導体を得る。なお、粗リグノフェノール誘導体は、フェノール誘導体相を単に減圧蒸留により除去することによって得られる。
【0023】
第2および第3の方法は、リグノセルロース系材料に、固体状あるいは液体状のフェノール誘導体(例えば、p−クレゾール又は2,4−ジメチルフェノールなど)を溶解した溶媒(例えば、エタノールあるいはアセトン)を浸透させた後、溶媒を留去する(フェノール誘導体の収着工程)。次に、このリグノセルロース系材料に濃酸を添加してセルロース成分を溶解する。この結果、第1の方法と同様、フェノール誘導体により溶媒和されたリグニンは、濃酸と接触して生じたリグニンの高反応サイト(側鎖α位)のカチオンがフェノール誘導体により攻撃されて、フェノール誘導体が導入される。また、ベンジルアリールエーテル結合が解裂してリグニンが低分子化される。得られるリグノフェノール誘導体の特性は、第1の方法で得られるものと同様である。そして、第1の方法と同様にして、フェノール誘導体化されたリグノフェノール誘導体を液体フェノール誘導体にて抽出する。液体フェノール誘導体相からのリグノフェノール誘導体の抽出も、第1の方法と同様にして行うことができる(これを第2の方法と称する)。
あるいは、濃酸処理後の全反応液を過剰の水中に投入し、不溶区分を遠心分離にて集め、脱酸後、乾燥する。この乾燥物にアセトンあるいはアルコールを加えてリグノフェノール誘導体を抽出する。さらに、この可溶区分を第1の方法と同様に、過剰のエチルエーテル等に滴下して、リグノフェノール誘導体を不溶区分として得る(これを第3の方法と称する)。
以上、リグノフェノール誘導体の調製方法の具体例を説明したが、これらに限定されるわけではなく、これらに適宜改良を加えた方法で調製することもできる。
【0024】
(2)架橋性リグノフェノール誘導体の調製
本発明では、上記方法により調製されたリグノフェノール誘導体を、アルカリ条件下で架橋性官能基形成化合物と反応させて、上記リグノフェノール誘導体中のフェノール性水酸基のオルト位に架橋性官能基を有する架橋性リグノフェノール誘導体を調製する。このような架橋性リグニン誘導体の重量平均分子量は特に限定されないが、通常は2000〜20000、好ましくは2000〜10000程度である。また、架橋性官能基の導入量は通常、0.01〜1.5モル/C9単位程度であるが、原料となるリグノセルロース系材料の種類や、以下で説明するように導入リグノフェノール誘導体の種類によって架橋性官能基の導入量は大きく変化する。架橋性官能基としては、ヒドロキシメチル基が好ましい。
【0025】
架橋性リグノフェノール誘導体は、使用するリグノフェノール誘導体のフェノール性水酸基を解離しうる状態下において、リグノフェノール誘導体に架橋性官能基形成化合物を混合して反応させることによって得られる。
リグノフェノール誘導体のフェノール性水酸基が解離しうる状態は、通常、適当なアルカリ溶液中において形成される。使用するアルカリの種類、濃度及び溶媒はリグノフェノール誘導体のフェノール性水酸基が解離するものであれば、特に限定されない。例えば、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を使用できる。
【0026】
このような条件下において、架橋性官能基はフェノール性水酸基のオルト位又はパラ位に導入されるので、リグノフェノール誘導体において、導入フェノールのフェノール性水酸基のオルト位及びパラ位の少なくとも1つの部位がフリーであれば、導入フェノール誘導体側にも架橋性官能基が導入される。
リグノフェノール誘導体に導入する架橋性官能基の種類は特に限定されない。リグニン母体側の芳香核、あるいは、導入フェノール誘導体の芳香核に導入可能なものであればよい。具体的には、ホルムアルデヒドやグルタルアルデヒドやジイソシアネート等の重合性化合物とリグノフェノール誘導体中のフェノール性水酸基が解離しうる状態でこれらの化合物とを混合することによって前記芳香核に架橋性反応基を導入することができる。
【0027】
リグノフェノール誘導体と架橋性官能基形成化合物とを混合するに際して、架橋性官能基を効率よく導入する観点からは、架橋性官能基形成化合物をリグノフェノール誘導体中のリグニンのフェニルプロパン単位の芳香核及び/又は導入フェノール核の1モル倍以上添加することが好ましい。より好ましくは、10モル倍以上であり、さらに好ましくは20モル倍以上である。
【0028】
次に、アルカリ液中にリグノフェノール誘導体と架橋性官能基形成化合物が存在する状態で、必要によりこの液を加熱することにより、架橋性官能基が導入フェノール核に導入される。加熱条件は、架橋性官能基が導入される限り、特に限定されないが、40〜100℃が好ましい。40℃未満では架橋性官能基形成化合物の反応率が非常に低く好ましくなく、100℃より高いと架橋性官能基形成化合物自身の反応などリグニンへの架橋性官能基導入以外の副反応が活発化するので好ましくない。より好ましくは、50〜80℃であり、例えば約60℃が特に好ましい。
反応は、反応液を冷却等することにより停止し、適当な濃度の塩酸等により酸性化(pH2程度)し、洗浄、透析などにより酸、未反応の架橋性官能基形成化合物を除去する。透析後凍結乾燥などにより試料を回収する。必要であれば、五酸化二リン上で減圧乾燥する。
【0029】
(3)架橋性リグノフェノール誘導体の架橋
本発明の高分子材料は、上記2で調製した架橋性リグノフェノール誘導体を加熱して架橋体を調製することによって得られる。熱架橋の条件は、架橋反応を進行できる限り、特に限定されない。例えば、2℃/分の昇温プログラム条件で150℃まで加熱し、150℃に達してから1時間保持した後、冷却する条件を挙げることができる。
架橋体の構造を図5に示す。
【0030】
図5の上段は、メチロール化したリグノ−p−クレゾールを熱架橋することにより、ネットワーク型の高分子材料ができることを示している。この例では、「反応性スイッチング素子」として、p−クレゾールを使用している(図5の上段の左の図)。導入フェノール誘導体としてp−クレゾールを使用した場合には、リグノフェノール誘導体の導入フェノール誘導体部分にフリーのオルト位が存在するため、該オルト位に架橋性官能基(図5では、一例としてメチロール基を示す)が導入される。その結果、リグノフェノール誘導体の鎖中全体に渡って架橋性官能基が導入される(図5の上段の真ん中の図)。このようなリグノフェノール誘導体を熱により架橋することにより、架橋性官能基が架橋して複雑なネットワーク型高分子材料が得られる(図5の上段の右の図)。
【0031】
図5の下段は、メチロール化したリグノ−2,4−ジメチルフェノールを熱架橋することにより、リニア型の高分子材料ができることを示している。この例では、「架橋ブロッキング性スイッチング素子」として、2,4−ジメチルフェノールを使用している(図5の下段の左の図)。導入フェノール誘導体として2,4−ジメチルフェノールを使用した場合には、リグノフェノール誘導体の鎖中の導入フェノール誘導体部分にはフリーのオルト位が存在せず、鎖の末端においてのみ架橋性官能基(図5では、一例としてメチロール基を示す)が導入される(図5の下段の真ん中の図)。このようなリグノフェノール誘導体を熱により架橋することにより、架橋性官能基は末端同士が架橋してリニア型高分子材料が得られる(図5の下段の右の図)。
【0032】
(4)リグノフェノール誘導体の機能制御方法
本発明において導入フェノール誘導体として4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体を使用した場合には、該フェノール誘導体は2位又は6位の炭素原子でリグニンのフェニルプロパン単位のベンジル位の炭素原子に結合することになる。この場合、残りの2位又は6位の炭素原子の片方はフリーのまま存在し、架橋性官能基の導入部位となる。
本発明において導入フェノール誘導体として2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体を使用した場合には、該フェノール誘導体は6位の炭素原子でリグニンのフェニルプロパン単位のベンジル位の炭素原子に結合することになる。この場合、フリーな状態のオルト位及びパラ位は存在しないため、導入フェノール誘導体には架橋性官能基導入部位は存在しない。従って、架橋性官能基は、リグニン母体側のみに導入されることになる。
このように、反応性の異なる架橋性官能基導入部位を有するフェノール誘導体や、導入部位数がないか、あるいは異なるフェノール誘導体を1種あるいは2種以上組み合わせてリグニンを導入することにより、リグノフェノール誘導体における架橋性官能基の導入部位数を制御することができ、結果として、架橋性リグニン誘導体の架橋密度を制御することができる。
【0033】
即ち、リグノセルロース系物質をフェノール誘導体の存在下で酸で処理することにより分離されるリグノフェノール誘導体又はそれを含む高分子材料において、4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体を反応性スイッチング素子として使用し、2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体をブロッキング性スイッチング素子として使用することを特徴とする、リグノフェノール誘導体の機能又は構造の制御方法も本発明の範囲内である。
ここで言う「リグノフェノール誘導体の機能又は構造の制御方法」とは、架橋性リグニン誘導体中における架橋性官能基の導入密度を制御したり、あるいは架橋性リグニン誘導体中における架橋性官能基の導入密度を制御することによって、該架橋性リグニン誘導体を架橋して得られる高分子材料の構造や機能を制御することなどを含む。
【0034】
さらにまた、2位(オルト位)及び6位(オルト位)に置換基を有するフェノール誘導体をコントロール素子として使用することを特徴とする、リグノフェノール誘導体の機能又は構造の制御方法も本発明の範囲内である。
本発明において、導入フェノール誘導体として2位(オルト位)及び6位(オルト位)に置換基を有するフェノール誘導体を使用した場合には、該フェノール誘導体は4位の炭素原子でリグニンのフェニルプロパン単位のベンジル位の炭素原子に結合することになる。この場合、フリーな状態のオルト位及びパラ位は存在しないため、導入フェノール誘導体には架橋性官能基導入部位は存在しない。また、2位(オルト位)及び6位(オルト位)に置換基を有するフェノール誘導体は以下に説明するようなスイッチング機能を発揮することもないため、安定なコントロール素子として機能するものである。
【0035】
本明細書において「反応性スイッチング素子」とは、リグノフェノール誘導体中に存在する、少なくとも一つ以上のフリーのオルト位を有するフェノール誘導体成分を意味する。このフェノール誘導体のフリーのオルト位に架橋性官能基が導入され、更なる架橋により高分子材料に変換することができる。
本明細書において「ブロッキング性スイッチング素子」とは、リグノフェノール誘導体中に存在するフリーのオルト位を有しないフェノール誘導体成分を意味する。このフェノール誘導体はリグニン鎖中に導入された場合、架橋性官能基を導入する部位は存在しないため、更なる架橋を施すことができなくなる。
【0036】
(5)リグノフェノール誘導体の架橋体から成る高分子材料の低分子化
本発明はまた、上記(3)で得たリグノフェノール誘導体の架橋体をアルカリ条件下で加熱することを含む、当該架橋体を低分子化する方法にも関する。
リグノフェノール誘導体の架橋体の低分子化は、該架橋体に対してアルカリ処理を施すことによって行う。このようなアルカリ処理により、側鎖α位に導入したフェノール誘導体のフェノール性水酸基が解離し、隣接基関与効果により、側鎖β位の炭素との結合が形成されると同時に、β−アリールエーテル結合が解裂する。この処理によってクマラン構造を側鎖α位に形成させることができる。この処理は、また導入フェノール誘導体のフェノール性水酸基とβ位の炭素との間での結合形成による、導入フェノールのフェノール性水酸基のエーテル化と、リグニン中の母体のベンゼン核における新たなフェノール性水酸基の発現につながる。このことから、本アルカリ処理は、フェノール性水酸基(フェノール活性)を、α位導入フェノール誘導体からリグニン母体側への変換を達成するものでもある。
【0037】
本アルカリ処理は、具体的には、リグノフェノール誘導体の架橋体をアルカリ溶液に溶解し、一定時間反応させ、必要あれば、加熱することにより行う。この処理に用いることのできるアルカリ溶液は、リグノフェノール誘導体中の導入フェノール誘導体のフェノール性水酸基を解離させることができるものであればよく、特に、アルカリの種類及び濃度、溶媒の種類等は限定されない。アルカリ下において前記フェノール性水酸基の解離が生じれば、隣接基関与効果により、クマラン構造が形成されるからである。例えば、p−クレゾールを導入したリグノフェノール誘導体では、水酸化ナトリウム溶液を用いることができる。例えば、アルカリ溶液のアルカリ濃度範囲は0.5〜2Nとし、処理時間は1〜5時間程度とすることができる。また、アルカリ溶液中のリグノフェノール誘導体は、加熱されることにより、容易にクマラン構造を発現する。
加熱に際しての、温度、圧力等の条件は、特に限定することなく設定することができる。例えば、アルカリ溶液を100℃以上に加熱することによりリグノフェノール誘導体の架橋体の低分子化を達成することができる。さらに、アルカリ溶液を加圧下においてその沸点以上に加熱してリグノフェノール誘導体の架橋体の低分子化を行ってもよい。
【0038】
Cαフェノール核の隣接基関与によるβ−アリールエーテルの解裂は、上述したようにアリール構造の形成を伴うが、リグノフェノール誘導体の架橋体の低分子化は、必ずしもアリールクラマンが効率よく生成する条件下(140℃付近)で行う必要はなく、材料によって、あるいは目的によってより高い温度(例えば170℃付近)で行うこともできる。この場合、一旦生成したクラマン環は解裂し、フェノール性水酸基が再生される結果、140℃処理物とは特性の異なるよりフェノール活性が高い素材を誘導することができる。
同じアルカリ溶液で同濃度においては、加熱温度が120℃から140℃の範囲では、加熱温度が高い程、β−アリールエーテル結合の解裂による低分子化が促進されることがわかっている。また、該温度範囲で、加熱温度が高い程、リグニン母体由来の芳香核由来のフェノール性水酸基が増加し、導入されたフェノール誘導体由来のフェノール性水酸基が減少することがわかっている。したがって、低分子化の程度及びフェノール性水酸基部位のα位導入フェノール誘導体側からリグニン母体のフェノール核への変換の程度を、反応温度により調整することができる。すなわち、低分子化が促進され、あるいは、より多くのフェノール性水酸基部位がα位導入フェノール誘導体側からリグニン母体へ変換されたアリールクマラン体を得るには80〜140℃程度の反応温度が好ましい。
アルカリ処理における加熱温度は、特に限定されないが好ましくは80℃以上200℃以下である。80℃を大きく下回ると、反応が十分に進行せず、200℃を大きく越えると好ましくない副反応が派生しやすくなるからである。
【0039】
クラマン構造の形成とそれに伴う低分子化のための処理の好ましい一例としては、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液をアルカリ溶液として用い、オートクレーブ内140℃で加熱時間60分という条件を挙げることができる。特に、この処理条件は、p−クレゾール又は2,4−ジメチルフェノールで誘導体化したリグノフェノール誘導体に好ましく用いられる。
【0040】
アルカリ溶液中におけるリグノフェノール誘導体の架橋体の低分子化処理は、例えば、冷却等により反応を停止し、1N塩酸等の適当な酸によりpHを2程度にまで下げてフェノール性水酸基をOH基として再生し、得られた沈殿物を遠沈して、中性となるまで洗浄し、凍結乾燥後に、さらに、五酸化リン上乾燥する。この結果、リグニン由来の誘導体を得ることができる。
【0041】
(6)本発明の高分子材料の用途
本発明のリグノフェノール誘導体から成る高分子材料の用途は特に限定されず、例えば、各種の成形体に加工して用いることができる。リグノフェノール誘導体を用いて各種成形体を作成する方法は、特開平9−278904号公報、国際公開WO99/14223号公報に記載されている。
リグノフェノール誘導体を含む成形体の製造に用いる成形材料としては、天然あるいは合成の、ファイバー状、チップ状、粉状等の材料を用いることができ、成形材料の形態は、これらの形態に限定するものではなく、広く公知の各種形態のものを用いることができる。セルロース系ファイバーの原料としては、針葉樹や広葉樹を原料とする木材繊維、コウゾ、ケナフ、マニラ麻、ワラ、バガスなどの非木材繊維のいずれをも利用可能であり、セルロース系ファイバーは、リグノセルロース系材料から製造されたパルプ加工品であるボール紙、新聞紙等の各種製品を解繊して得たものを用いることもできる。また、チップ状の成形材料としては、天然、合成の各種炭化水素系、金属系、ガラス系、セラミックス系等の各種材料のものを用いることができる。炭化水素系のチップとしては、木材あるいは木材以外を材料とする天然のセルロース系チップを挙げることができ、金属系のチップとしては、アルミチップを挙げることができ、セラミックス製チップとしては、Al23やSiO2 のチップを挙げることができる。また、粉状の成形材料としては、上記チップ状の材料と同様の材料を用いた、粉砕により、あるいは本来的に粉状の成形材料を用いることができる。
【0042】
リグノフェノール誘導体を用いて成形体を形成するには、成形材料にリグノフェノール誘導体を液化状態で添加されている状態とし、この液化状態にあるリグノフェノール誘導体を固体化する。リグノフェノール誘導体は、液化状態から固体へ変化する際に粘結性を発揮する。すなわち、溶媒に溶解した状態から溶媒が留去されて固体として析出された際、あるいは、それ自体が溶融している状態から冷却により固体化する際に、粘結性を発揮する。このような粘結性発揮プロセスを利用することにより、リグノフェノール誘導体を成形材料を接着するバインダーとして用いることができる。したがって、リグノフェノール誘導体は、成形体の製造に際しては、リグノフェノール誘導体溶液で成形材料に添加されて溶媒留去されるプロセス、あるいは、固体状態で添加されて、加熱溶融、冷却されるプロセスを経ることになる。ここに、リグノフェノール誘導体溶液とは、リグノフェノール誘導体を、アセトン、エタノール、メタノール、ジオキサン、及びこれらのそれぞれと水との混合液に溶解したものを用いることができる。また、リグノセルロース系材料からのリグノフェノール誘導体を合成分離する工程において、得られるリグノフェノール誘導体溶液も用いることができる。
【0043】
あるいはまた、本発明の調製方法で得られたリグノフェノール誘導体並びにそのさらなる誘導体を生分解性ポリエステルなどのポリエステルに可塑剤として配合することによって優れた性能を有するポリエステルを調製することもできる。そのようなポリエステル組成物については、特願平11−243543号明細書に記載されている。
以下の実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
【0044】
【実施例】
実施例1:リグノセルロース試料の調製
針葉樹としてスプルース(Picea jezoensis)、広葉樹としてメープル(Acer japonicum)チップをそれぞれウィレーミルにより粉砕後、20.40メッシュサイズ区分の木粉を分別した。木粉はエタノール:ベンゼン(1:2,v/v)で48時間抽出を行い、脱脂した後、溶媒を留去し、風乾した。試料中におけるリグニン含有量はTappi Standard(T222, UM250)により算出した。
【0045】
実施例2:リグノフェノール誘導体の調製
実施例1で得た脱脂木粉より、以下の方法によりリグノフェノール誘導体を調製した。
ステンレス製容器に絶乾重量で30gの脱脂木粉を入れた。リグニンC9単位当たり3モル倍量のフェノール誘導体を完全に木粉が浸漬するのに十分な量のアセトンに溶解させて木粉に加えた。完全に木粉に浸透するようにガラス棒でよく撹拌し、一晩静置した後、フェノール誘導体(p−クレゾール又は2,4−ジメチルフェノール)を木粉に均一収着するため、絶えず撹拌しながら完全にアセトンを留去し、フェノール収着木粉を調製した。収着木粉は500ml容ビーカーに移し、72%硫酸300mlを加え、60分間激しく撹拌し、相分離変換処理を行った。反応後、混合物を約3Lの脱イオン水に投入し、不溶解区分を遠心分離(3500rpm、10分、25℃)にて回収し、未反応フェノール誘導体および酸を洗浄により除去した。不溶区分を乾燥後、アセトンにてリグニン区分を抽出し、減圧濃縮後、撹拌冷却下、過剰のジエチルエーテルに滴下し、不溶区分を遠心分離(3500rpm、5分、5℃)にて回収し、溶媒留去後、五酸化二リン上にて減圧乾燥して、リグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールを調製した。リグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールの構成ユニットの構造を図1に示す。
【0046】
上記で得た針葉樹スプルース及び広葉樹メイプル由来のリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールの諸性質を図2に示す。
図2に示す通り、ポリマーへの各種フェノール誘導体のグラフティング(結合)率は、C9単位当たり針葉樹で約0.6モル(重量%では約26重量%)、広葉樹では約0.8モル(重量%では約30重量%)であった。
また、1H−NMR解析から得られたフェノール性、脂肪族性水酸基量は、C9単位当たりでそれぞれ約1.5〜1.8モル程度、約0.6〜0.9モル程度であった。
【0047】
さらに、針葉樹スプルース及び広葉樹メイプル由来のリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールについて、TMA熱機械分析を以下の通り行った。各試料5mgを直径5mmのアルミパンに入れ、その上に直径約3mmのアルミ板をのせた。これをRIGAKU Thermoplus TMA8310熱機械分析装置にて5g荷重下、25℃から250℃まで2℃/分の昇温プログラム条件を与えた。温度変化に伴う試料の変位量をRIGAKU TAS-200熱分析システムにて連続測定した。その結果を図3に示す。
図3に示す通り、各試料とも160℃付近に明確な相転移点を有することからリニア型のフェノール系ポリマーであることが確認された。
【0048】
また、針葉樹スプルース及び広葉樹メイプル由来のリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールについて、各種溶媒に対する溶解性を試験した結果、これらは何れもアセトン、メタノールなどの一般的溶媒に溶解した。
【0049】
実施例3:各種リグノフェノール誘導体の二次機能変換処理(脱重合化処理)
実施例2で調製したリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールを3ml容ステンレス製オートクレープにリグノフェノール及び0.5N水酸化ナトリウム水溶液を入れ、オイルバス中で加熱処理(140℃又は170℃)した。反応混合物は、冷却後、1N塩酸にてpH2まで酸性化した。生じた沈殿(リグノフェノール誘導体の脱重合化体)を遠心分離(3500rpm、10分、25℃)にて回収し、凍結乾燥後、五酸化二リン上にて減圧乾燥した。
【0050】
上記した脱重合化処理(スイッチング機能の発現)による重量平均分子量の変動を図4に示す。重量平均分子量は、Shodex KF804、KF803、KF802、KF801を使用し、SHIMADZU CRASS LC-10システム、LC-10AD、SPD-10Aにて測定を行った。試料約1mgを溶離液であるTHFに完全に溶解した後、濾過し、流量1ml/分、圧力30kg/cm3条件下、UV280nmの吸収強度および溶出時間を検出した。基準物質にはポリスチレン(分子量400000、233000、100000、25000、9000、4000、2000、906)及びp−クレゾール、ビスフェノールAを使用した。
【0051】
図4から分かるように、実施例2で調製したリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールは、緩和な塩基性条件下で効率的に低分子化している。また低分子化のパターンは、リグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールでほぼ一致していたことから、p−クレゾールを導入したリグノフェノール誘導体と2,4−ジメチルフェノールを導入したリグノフェノール誘導体は同様の性質のスイッチング機能を有していることが示された。
また、低分子化した際に見られる36分付近のシャープなピークは、重量平均分子量約300であり、これはダイマー程度のフラグメントが形成されたことを示している。
【0052】
実施例4:各種リグノフェノール誘導体のメチロール化処理およびメチロール化誘導体の熱架橋
300ml容三口フラスコに実施例2で調製したリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールを各々1.5g秤り取り、0.1N水酸化ナトリウム150mlを加えてスターラーにて撹拌し、完全に溶解させた。三口フラスコに還流装置を取り付け、片方の口から窒素を吹き込み、フラスコ内の酸素を除去した後、リグノフェノールのフェノール性芳香核に対して20モル倍量の37%ホルムアルデヒド水溶液を加えた。フラスコを予め60℃に設定した湯浴に入れ、窒素雰囲気下、もう一方の口に設置した温度計で温度を測定しながらスターラーにて撹拌を続けた。系内温度が60℃に達してから3時間ホルムアルデヒドと反応させた。反応後、混合物を0.5N塩酸にてpH2に酸性化し、生じた沈殿を透析にて洗浄後、五酸化二リン上で減圧乾燥した。
【0053】
メチロール化したリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールを蓋付きアルミ容器に移し、2℃/分昇温プログラム条件で150℃まで加熱し、150℃に達してから1時間保持した後、冷却した。図5の上段には、メチロール化したリグノ−p−クレゾールを熱架橋することにより、ネットワーク型の高分子材料ができることを示し、図5の下段には、メチロール化したリグノ−2,4−ジメチルフェノールを熱架橋することによりリニア型の高分子材料ができることを示した。
【0054】
次に、スプルース及びメイプル由来のリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノール(実施例2で得たもの)及び、それぞれをメチロール化したもの(実施例4中の上記で得たもの)について、1H−NMRスペクトルを測定した。実施例2で得たオリジナル試料は重ピリジン−重クロロホルム(1:3,v/v)、メチロール化試料のアセチル化試料は重クロロホルムを溶媒として用い、HITACHI R-90Hフーリエ変換核磁気共鳴装置にて測定した。フェノール誘導体導入量は、相当するフェノール誘導体の側鎖アルキルプロトンシグナルをp−ニトロベンズアルデヒドを内部標準として定量、算出した。得られた結果を図6に示す。メチロール基導入に由来する5ppmメチレンプロトンシグナル及び1.8ppm脂肪族アセトキシルプロトンシグナルの強度増加を比較すると、リグノ−p−クレゾールの方が大きく、メチロール基が高頻度で導入されていることが分かる。
【0055】
図7には、上記1H−NMRスペクトルから算出したメチロール基導入頻度を示す。スプルース(針葉樹)由来のリグノ−p−クレゾールで0.78モル/C9、リグノ−2,4−ジメチルフェノールで0.15モル/C9、メープル(広葉樹)由来のリグノ−p−クレゾールで0.50モル/C9、リグノ−2,4−ジメチルフェノールで0.06モル/C9であった。
【0056】
図8には、メチロール化したリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールについて、TMA熱機械分析を行った結果を示す。各種試料5mgを直径5mmのアルミパンに入れ、その上に直径約3mmのアルミ板をのせた。これをRIGAKU Thermoplus TMA8310熱機械分析装置にて5g荷重下、25℃から250℃まで2℃/分の昇温プログラム条件を与えた。温度変化に伴う試料の変位量をRIGAKU TAS-200熱分析システムにて連続測定した。
メチロール化する前には同様の性質を有していた両方の素材は、メチロール化後に、熱架橋することによって全く異なる挙動を示すようになった。即ち、リグノ−p−クレゾールはネットワーク構造を形成し、明確な軟化が認められなくなる一方、リグノ−2,4−ジメチルフェノールは末端同士の架橋によりリニア型に生長した結果、架橋前に測定された相転移点より高温側で相転移することが認められた。
【0057】
実施例5:メチロール化リグノフェノール誘導体の架橋体の脱重合化処理
実施例4で得たメチロール化リグノフェノール誘導体の架橋体を140℃塩基性条件下で分子内スイッチング機能を発現させて、低分子化した。
実施例2から5の各段階の試料について、アセトン溶解性の変化を以下の通り調べた。各種リグノフェノール試料100mgを恒量測定済み試験管に取り、2mlのアセトンをホールピペットにて加え、それぞれ密封した。これを5分間激しく撹拌し、さらに超音波にて10分間分散させた後、随時撹拌し、3時間放置した。溶液は上澄みを濾過し、1mlの溶媒を使用して洗浄した後、恒量測定済みの濾紙と試験管とを105℃にて乾燥し、恒量を求めた。試料の不溶解区分は試験管および濾紙の重量増加を加算して求めた。
得られた結果を図9に示す。リグノ−p−クレゾール熱架橋体は、針葉樹及び広葉樹とも高分子化により溶解性が著しく低下したが、スイッチング機能発現により針葉樹の場合でほぼ30%まで回復し、広葉樹の場合にはほとんど溶解した。
一方、リグノ−2,4−ジメチルフェノールにおいては、針葉樹及び広葉樹の両方の場合で、同様の架橋条件でその溶解性が大きく低下したが、スイッチング機能の発現によりアセトンに完全に溶解するようになった。
【0058】
実施例2から5の各段階の試料についてのGPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)チャートを図10に示す。
実施例2のオリジナル試料とそのメチロール化試料については溶出ピークにほとんど変化はない。これを2℃/分で150℃まで昇温してそのまま一定時間加熱保持した熱架橋体は、いずれも溶離溶媒であるTHFに対して溶解性が大きく低下し、総体の分子量分布が測定不可能であった。
しかし、スイッチング機能を発現させた試料は針葉樹リグノ−p−クレゾール架橋体に若干の不溶解区分が認められた他は何れもTHFに完全に溶解し、総体の重量平均分子量が測定できた。
その結果、リグノ−p−クレゾール架橋体はスイッチング機能発現によって、多様な分子量分布を有するフラグメントへと低分子化した。一方、リグノ−2,4−ジメチルフェノール架橋体の低分子化パターンは針葉樹及び広葉樹ともオリジナルをスイッチング処理した場合とほぼ一致した。
【0059】
【発明の効果】
メチロール化されたリグノ−p−クレゾール及びリグノ−2,4−ジメチルフェノールの性状やスイッチング機能は同等である一方、メチロール基を導入して架橋処理することにより、リグノ−p−クレゾールは溶解性が著しく低下し、軟化点が消失したことから、クレゾール核間での架橋により自由度が大きく低下したことが示唆された。また、スイッチング機能発現により多様なフラグメントへと分解したことから、架橋体がネットワーク構造を形成していたことが裏付けられる。
【0060】
一方、リグノ−2,4−ジメチルフェノールの場合、メチロール基導入後、架橋処理による高分子化が認められたが、スイッチング機能により効果的に低分子化し、そのパターンがオリジナル試料とほとんど変らないことから、末端のみを介してリニア型高分子材料を形成していることが示された。
従って、材料設計の核となる相分離システムにおいて機能変換ユニット(フェノール誘導体)を目的に応じて選択し、また適当なフェノール誘導体を混合して使用することにより、リグニン素材の機能をコントロールすることが可能になり、効率的なリサイクル利用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、リグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールの構成ユニットの構造を示す。
【図2】図2は、針葉樹スプルース及び広葉樹メイプル由来のリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールの諸性質を示す。
【図3】図3は、針葉樹スプルース及び広葉樹メイプル由来のリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールについてのTMA熱機械分析の結果を示す。
【図4】図4は、各種リグノフェノール誘導体の脱重合化処理(スイッチング機能の発現)による重量平均分子量の変動を示す。
【図5】図5は、メチロール化したリグノ−p−クレゾールを熱架橋することによりネットワーク型の高分子材料ができ、メチロール化したリグノ−2,4−ジメチルフェノールを熱架橋することによりリニア型の高分子材料ができることを示す図である。
【図6】図6は、スプルース及びメイプル由来のリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノール(実施例2で得たもの)及び、それぞれをメチロール化したもの(実施例4で得たもの)についての1H−NMRスペクトルを示す。
【図7】図7は、図6の1H−NMRスペクトルから算出したメチロール基導入頻度を示す。
【図8】図8は、メチロール化したリグノ−p−クレゾールとリグノ−2,4−ジメチルフェノールについてTMA熱機械分析を行った結果を示す。
【図9】図9は、各段階のリグノフェノール誘導体試料についてのアセトン溶解性の変化を示す図である。
【図10】図10は、各段階のリグノフェノール誘導体試料についてのGPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)のチャートを示す。

Claims (4)

  1. 成形体のリサイクル方法であって、
    以下の工程(a)及び(b);
    (a) 4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体の2位又は6位(オルト位)の炭素原子がリグニンのフェニルプロパン単位のベンジル位の炭素原子に結合してなるジフェニルプロパン単位、及び
    2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体の6位(オルト位)の炭素原子がリグニンのフェニルプロパン単位のベンジル位の炭素原子に結合してなるジフェニルプロパン単位
    のいずれか又は双方を有するリグノフェノール誘導体を、アルカリ条件下で架橋性官能基形成化合物と反応させて、フェノール性水酸基のオルト位及び/又はパラ位に架橋性官能基を有する架橋性リグノフェノール誘導体を調製する工程と、
    (b) 前記架橋性リグノフェノール誘導体を加熱して架橋体を含む成形体を調製する工程と、
    によって得られる成形体を、
    アルカリ処理して前記ジフェニルプロパン単位において前記架橋体を低分子化する工程と、
    を備える、リサイクル方法。
  2. 4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体がp−クレゾールである、請求項1に記載のリサイクル方法。
  3. 2位(オルト位)及び4位(パラ位)に置換基を有するフェノール誘導体が2,4−ジメチルフェノールである、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
  4. 前記架橋性官能基形成化合物がホルムアルデヒドであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のリサイクル方法。
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