JP5152744B2 - 環境制御室の構成部材、環境制御室の構成部材の製造方法 - Google Patents

環境制御室の構成部材、環境制御室の構成部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、環境制御室の構成部材および環境制御室の構成部材の製造方法に関する。
近年、情報機器の発達により、これに用いられる半導体の需要が高まっている。
ここで、半導体の製造プロセスにおいては空気中の微量な不純物の存在が、その特性に大きな影響を与えるため、空気清浄度を制御した環境制御室の1種である、クリーンルーム内で製造されるのが一般的である。
クリーンルームの構造としては、特許文献1の図4に示すように、クリーンルーム内を空気清浄度を制御したプロセスエリアと、プロセスエリアの床下の床下エリア、天井に設けられた天井エリアの3つのエリアに分けた構造がある。
上記構造においては、プロセスエリア→床下エリア→天井エリア→プロセスエリアの順に空気を循環させ、天井エリアに設けられたフィルタによって空気を清浄化することにより、プロセスエリア内の空気の清浄度を一定に保っている。
一方、空気清浄度を一定に保つためには、クリーンルームの床や天井の構成部材の材料にも考慮する必要がある。
即ち、これらの材料がいわゆるアウトガスの発生源とならないことが求められ、また、クリーンルームは複数のエリアに分割された複雑な構造を有することから、軽量な材料であることも求められる。
このような要求を満たす材料としては、特許文献2の段落番号〔0011〕および〔0013〕に示すアルミニウム合金が挙げられ、これにニクロムめっきやエポキシ等の樹脂コーティングを設けたものが用いられることが多い。
特開2003−214672号公報 特開2003−214674号公報
上記のアルミニウム合金を用いた材料は、クリーンルームの清浄度を一定に保ち、かつ軽量化を実現するという観点からは有用な材料である。
しかしながら、近年、クリーンルームの大型化の要求が高まっており、構成部材のさらなる軽量化が求められている。
また、近年、情報機器の発する電磁波が他の機器に与える影響が指摘されており、クリーンルームを構成する天井や床の構成部材を構成する材料には、より高度の電磁波遮蔽特性も要求されるようになっている。
さらに、従来のコーティングではアウトガスを室温でも10ppb以下に抑えるのは困難である。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、軽量で電磁波遮蔽特性の高い環境制御室の構成部材を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決することを目的として鋭意検討した結果、構成部材を構成する材料としてマグネシウム合金を用いることにより、アルミニウムを用いた従来のものと比べて、軽量で電磁波遮蔽特性が良好な構成部材となることを見出した。
そして、以上の知見を元に以下の発明を完成するに至った。
即ち、第1の発明は、環境制御室の室内に少なくとも一部が露出する構成部材であって、マグネシウム合金を構成材料とすることを特徴とする環境制御室の構成部材である。
前記マグネシウム合金は、Mgを必須元素として含有し、Al、Mn、Znのうち、少なくとも1種の元素をさらに含有する。
この場合、前記マグネシウム合金は、5.7重量%以上、6.3重量%以下のAl元素、0.27重量%以上、0.5重量%以下のMn元素、0.2重量%以下(0は含まない)のZn元素を含有し、残部がMg元素であってもよい。
前記マグネシウム合金は、不純物としてのSi、Cu、Ni、Feの含有率が、それぞれ、Siが0.05重量%以下、Cuが0.008重量%以下、Niが0.001重量%以下、Feが0.004重量%以下であってもよい。
前記構成部材の表面には不動態皮膜が形成されていてもよい。
この場合、前記不動態皮膜は酸化マグネシウムを含んでいてもよく、実質的に酸化マグネシウムから成ってもよい。
あるいは、前記不動態皮膜は酸化マグネシウムと酸化アルミニウムとを含んでもよい。
前記不動態皮膜は非水溶液での陽極酸化によって形成されたボイドのない緻密な酸化マグネシウム被膜を含んでもよい。
また、前記不動態皮膜は酸化性雰囲気中の加熱によって形成された酸化マグネシウム被膜を含んでもよい。
前記不動態皮膜はプラズマ酸化によって形成された酸化マグネシウム被膜を含んでもよい。
前記構成部材は、環境制御室に用いられるフレーム部材であってもよく、この場合、格子天井に用いられるフレーム部材であってもよい。
あるいは、前記構成部材は、環境制御室に用いられるグレーチング床パネルであってもよい。
第2の発明は、第1の発明に記載の構成部材が用いられていることを特徴とするクリーンルームである。
第3の発明は、第1の発明に記載の構成部材が用いられていることを特徴とする電磁波シールドルームである。
第4の発明は、環境制御室の構成部材の製造方法であって、マグネシウム合金をダイカスト成形により所定の形状に成形する工程(a)と、成形した前記マグネシウム合金の表面に不動態皮膜を形成する工程(b)と、を有することを特徴とする環境制御室の構成部材の製造方法である。
前記工程(b)は、マグネシウム合金を酸化性雰囲気中で熱処理することにより前記不動態皮膜を形成する工程を有してもよい。
また、前記工程(b)は、マグネシウム合金を陽極酸化処理することにより前記不動態皮膜を形成する工程を有してもよい。
あるいは、前記工程(b)は、マグネシウム合金をプラズマ酸化することにより前記不動態皮膜を形成する工程を有してもよい。
本発明によれば、軽量で(Mgは密度がAlの約2/3である)、電磁波遮蔽特性の高い(MgはAlよりも電磁波吸収力が大きい)、環境制御室の構成部材を提供することができる。また本発明によれば、不動態被膜からのアウトガスを10ppb以下にすることができる。
以下、本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る構成部材が用いられるクリーンルーム1の構造について、図1〜図4を参照して説明する。
図1に示すように、環境制御室としてのクリーンルーム1は、プロセスエリア10と、床下エリア20と、天井エリア30、空気循環エリア10aを有する。
クリーンルーム1は、地盤3上に形成され、クリーンルーム1全体を支持するための複数の支柱5を有し、支柱5上には梁7が設けられている。
図2(b)に示すように、梁7の上面には円盤状の台駒29が設けられており、台駒29の表面にはネジ31がねじ込まれている。
梁7上には複数のグレーチング床パネル9が床面として設けられている。
図2(a)に示すように、グレーチング床パネル9は矩形の板状の形状を有しており、表面には複数の孔部23が設けられている。
また、角部22a、22b、22c、22dは円弧状の切り欠き形状を有している。
そして、図2(b)に示すように、角部22a、22bを台駒29と組み合わせ、ネジ31と接触させることにより、グレーチング床パネル9と梁7が接続される。角部22c、22dも同様である。
一方、図1に示すように、グレーチング床パネル9には壁面としての複数の側壁パネル11が建て込まれている。
また、グレーチング床パネル9には隣接する部屋との連絡用のドア11aが設けられている。
側壁パネル11の周囲にはクリーンルーム1の外壁としての建築壁12が設けられ、建築壁12の上面には、天井15が設けられている。
さらに、側壁パネル11の上面には格子天井13が設けられている。
図3(a)に示すように、格子天井13は格子フレーム33を格子状に組み合わせた構造を有しており、交差部分35には天井15から吊り下げられた図示しない吊り棒が設けられている。
そして、格子天井13は吊り棒によって支持されている。
図3(b)に示すように、格子フレーム33は軸断面形状が逆T字形を有する部材であり、直交する格子フレーム33同士は、ジョイントフレーム33aによって連結される。
図3(a)に示すように、格子天井13の格子フレーム33で囲まれた面は格子窓37を形成しており、格子窓37には空気を浄化するためのフィルタ16、もしくは格子窓37を塞ぐための閉止パネル39が設けられている。
一方、図1に示すように、グレーチング床パネル9には他の階との連絡用の階段18がさらに設けられている。
図4に示すように階段18は、複数の踏み板43を有し、複数の踏み板43を挟み込むようにして、踏み板43を支持する桁41a、41bが設けられている。
桁41a、41bの側面には、手すり49a、49bが設けられている。
さらに、桁41aと踏み板43を連結するようにして固定板47aが設けられ、桁41bと踏み板43を連結するようにして固定板47b(図示せず)が設けられている。
なお、踏み板43は複数の孔部45を有している。
そして、図1に示すように、グレーチング床パネル9、側壁パネル11および格子天井13で囲まれた領域がプロセスエリア10を形成している。
また、建築壁12とグレーチング床パネル9で囲まれた床下の領域が床下エリア20を形成している。
さらに、格子天井13、建築壁12および天井15で囲まれた領域が天井エリア30を形成している。
なお、天井エリア30内には空気循環装置21が設けられている。
一方、建築壁12、グレーチング床パネル9および格子天井13で囲まれた領域が空気循環エリア10aを形成している。
プロセスエリア10は空気の清浄度や電磁波等の環境が制御されたエリアであり、半導体製造装置やコンピュータ等の環境制御下で用いられる装置が設けられている。
床下エリア20は、プロセスエリア10の空気が流れ込むエリアである。
空気循環エリア10aは、床下エリア20の空気が流れ込むエリアである。
天井エリア30は、空気循環エリア10aの空気が流れ込むエリアであり、また、空気を清浄化してプロセスエリア10に流すエリアである。
即ち、プロセスエリア10内の空気は空気循環装置21により、グレーチング床パネル9から、床下エリア20、空気循環エリア10aを介して天井エリア30に流れ込む。
そして、流れ込んだ空気はフィルタ16によって清浄化され、再びプロセスエリア10に流れ込む。
このようにして、プロセスエリア10内の空気は常に、一定の清浄度に保たれる。
ここで、構成部材であるグレーチング床パネル9および格子天井13(格子フレーム33)は、プロセスエリア10と接するため、それ自体がガスの発散元にならないような材料で形成される必要がある。
特に、表面に防食用の皮膜を形成する場合は、ガスの発散元にならないような皮膜を形成する必要がある。
また、軽量な材料であることも求められ、さらには電磁波を遮蔽することも要求される。
本発明者は、これらの問題について種々検討の結果、グレーチング床パネル9、および格子天井13(格子フレーム33、ジョイントフレーム33a)を構成する材料として、マグネシウム合金を用い、これをダイカスト成形により形成することにより、アルミニウムを用いた従来のものと比べて、軽量で電磁波遮蔽特性が良好なグレーチング床パネル9、および格子天井13となることを見出した。
また、グレーチング床パネル9や格子天井13に限らず、その他のクリーンルーム構成部材、例えば、天井以外の部分に用いられるフレーム部材、階段18を構成する桁41a、41b、手すり49a、49b、踏み板43、固定板47a、47bあるいはドア11aの部材にも本発明を適用することができることを見出した。
なお、上記マグネシウム合金の構成部材は、特にクリーンルームに露出する部分については、不動態化処理により、表面に不動態皮膜が形成されていることが望ましい。
表面に不動態皮膜が形成されていることにより、フレームの耐食性が向上する。
また、塗装により耐食性を有する皮膜を形成した場合と比べて、皮膜から放出されるアウトガス量を抑えることができ、クリーンルーム1の清浄性を向上させることができる。
以下、構成部材の組成および製造方法について説明する。
まず、構成部材を構成するマグネシウム合金の組成について説明する。
上記マグネシウム合金は、マグネシウムを主成分とする合金であり、また、Al、Mn、Znのうち、少なくとも1種を含有するのが望ましい。
以下、各成分について説明する。
主成分であるMgは軽量化および電磁波遮蔽特性を担う元素であり、必須である。
Alは合金の強度を高め、ダイカスト成形の際の成形性を高める役割を担う元素であり、添加するのが望ましい。
ただし、Alの割合が、5.7重量%より少ないと十分な上記特性が得られない。
また、Alの割合が6.3重量%を超えると、Mg含有量が相対的に減少し、合金の重量が増すとともに、電磁波遮蔽特性が低下する。
従って、Alの割合は5.7〜6.3重量%の範囲とするのが望ましい。
Mnは、合金溶湯中でFeやAlと結びついて、溶湯よりも比重の大きい化合物を形成し、沈殿することにより不純物であるFeを除去する役割を担う。
またMnは、ダイカスト成形の際の成形性を高める役割を担うため、添加するのが望ましい。
ただし、Mnの割合が、0.27重量%より少ないと十分な上記特性が得られない。
また、Mnの割合が0.5重量%を超えると、Mg含有量が相対的に減少し、合金の重量が増すとともに、電磁波遮蔽特性が低下する。さらに、合金の結晶粒が粗大化して強度が低下する原因ともなる。
従って、Mnの割合は0.27〜0.5重量%の範囲とするのが望ましい。
ZnはMnと同様にダイカスト成形の際の成形性を高める役割を担うため、添加するのが望ましい。
ただし、Znの割合が0.2重量%を超えると、Mg含有量が相対的に減少し、電磁波遮蔽特性が低下する。さらに、合金の結晶粒が粗大化して強度が低下する原因ともなる。
従って、Znの割合は0.2重量%以下とすることが望ましい。
なお、上記マグネシウム合金において、不純物としてSi、Cu、Ni、Feが含まれる場合があるが、これらを多量に含むと、Mg含有量が相対的に減少し、合金の重量が増すとともに、電磁波遮蔽特性が低下する。
従って上記不純物は、Siは0.05重量%以下、Cuは0.008重量%以下、Niは0.001重量%以下、Feは0.004重量%以下であるのが望ましい。
次に、不動態皮膜の組成について説明する。
不動態皮膜は上記マグネシウム合金の表面を酸化することにより形成されるため、上記元素の酸化物を含有し得る。
具体的には、マグネシウムの酸化物である酸化マグネシウムを含んでおり、実質的に酸化マグネシウムからなる組成であってもよい。
また、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムを含んでいてもよい。
次に構成部材の製造方法について説明する。
まず、上記組成のマグネシウム合金を、ダイカスト成形により所定の形状、即ちフレーム形状に形成する。
次に、形成されたフレームに不動態皮膜を形成する。
不動態皮膜の形成方法としては、熱酸化による方法、陽極酸化処理による方法、プラズマ酸化による方法がある。
以下、これらの方法について簡単に説明する。
最初に熱酸化による不動態皮膜の形成方法について説明する。
熱酸化による不動態皮膜の形成方法とは、マグネシウム合金のフレームを酸化性雰囲気中で加熱することにより表面を酸化し、酸化皮膜による不動態皮膜を形成する方法である。
加熱温度は例えば50〜450℃程度である。
また、加熱の際は、水蒸気の加湿雰囲気中で加熱してもよい。加湿雰囲気中で加熱することにより、より短時間で皮膜を形成させることができる。
なお、この際の相対湿度は例えば50%RH〜100%RHである。
さらに、加熱の際は、加圧雰囲気中で加熱してもよい。加圧雰囲気中で加熱することにより、より短時間で皮膜を形成させることができる。
この場合、圧力は例えば1〜10×10Pa程度である。
このようにして、酸化マグネシウムを含む不動態皮膜が形成される。
次に、陽極酸化処理による不動態皮膜の形成方法について説明する。
陽極酸化処理による不動態皮膜の形成方法とは、マグネシウム合金のフレームを陽極とし、白金等を陰極として電解液中で陽極表面を酸化することにより、酸化皮膜による不動態皮膜を形成する方法である。
以下に、電解液の種類および陽極酸化の手順について簡単に説明する。
まず、電解液の種類について説明する。
電解液としては酸性電解液が用いられるが、生成した不動態皮膜が電解液中に溶解するのを防ぐため、pHは中性に近いのが望ましい。
電解液は、硼酸、燐酸及び有機カルボン酸並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
このような材料を含有することにより、各種物質の濃度変動を緩衝してpHを所定範囲に保つことができる。
また、このような材料を含有することにより、生成される金属酸化物膜に取り込まれた溶質成分が、溶出するのを防止できる。
また電解液が非水溶媒を含有することが好ましい。
非水溶媒を含有することにより、水溶液系の電解液のみを用いた場合に比べて、定電流化成に要する時間が短くて済むため、高いスループットで処理できる。
非水溶媒の種類は、良好に陽極酸化ができ、溶質に対する十分な溶解度を持つものであれば特に制限はないが、1以上のアルコール性水酸基及び/又は1以上のフェノール性水酸基を有する溶媒、若しくは非プロトン性有機溶媒が好ましい。なかでも、保存安定性の点でアルコール性水酸基を有する溶媒が好ましい。
さらに電解液が、誘電率が水よりも小さくかつ水を溶解する有機溶媒を含有するのが望ましい。
このような材料を含有することにより、水の電気分解(即ち、OHイオンの生成)を防ぐことができる。
OHイオンの生成を防ぐことができると、OHイオンによる不動態皮膜のエッチングを防ぐことができるため、不動態皮膜がボイドのない緻密なかつ平滑な膜となり、細孔に収蔵された水分等がアウトガスとなって放出されることがなくなり、アウトガスの放出量を極度に低減できる。
誘電率が水よりも小さくかつ水を溶解する有機溶媒としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールが挙げられる。
次に、陽極酸化の手順について説明する。
まず、陽極酸化の電流及び電圧の制御方法は特に制限はなく、マグネシウム合金の表面に酸化皮膜が形成される条件を適宜組み合わせることができる。
通常は定電流及び定電圧にて陽極酸化処理することが好ましい。
即ち、あらかじめ定められた化成電圧Vfまで定電流にて化成し、化成電圧に達した後にその電圧に一定時間保持して陽極酸化を行うことが好ましい。
なお、化成電圧に至るまで直流電源の代わりにピーク電流値が一定の交流を使用し、化成電圧に達したところで直流電圧に切り替えて一定時間保持する方法を用いてもよい。
また、陽極酸化処理後に熱処理を施してもよい。熱処理を施すことにより、不動態皮膜中に残留した水分を除去することができ、アウトガスの放出量を低減できる。
このようにして、酸化マグネシウムを含む不動態皮膜が形成される。
次に、プラズマ酸化による不動態皮膜の形成方法について説明する。
プラズマ酸化による不動態皮膜の形成方法方法とは、酸素を含む雰囲気中でプラズマにより酸素ラジカルを発生させ、酸素ラジカルによって酸化処理を行い、酸化皮膜による不動態皮膜を形成する方法である。
以下、図5を参照してプラズマ酸化に用いられるプラズマ処理装置101の一例および処理方法の概略について説明する。
まず、プラズマ酸化に用いられる装置の一例として、プラズマ処理装置101の構造について説明する。
図5に示すように、プラズマ処理装置101は上部が開口した有底円筒状の処理容器102を有している。処理容器102は接地されている。
処理容器102の底部には、プラズマ酸化される構成部材を載置するためのサセプタ103が設けられている。
サセプタ103は内部にヒータ105を有しており、ヒータ105は処理容器102の外部に設けられた交流電源104からの給電によって、サセプタ103上の構成部材を加熱する。
処理容器102の底部には、排気装置111によって処理容器102内の雰囲気を排気するための排気管112が設けられている。
また処理容器102の側壁には、処理ガス供給源113からの処理ガスを供給するための供給管114が設けられている。処理ガス供給源113には酸素ガスと不活性ガスの各供給源115、116が接続されている。
処理容器102の上部開口には、気密性を確保するためのシール材121を介して、誘電体窓122が設けられている。この誘電体窓122によって、処理容器102内に、処理空間Sが形成される。
誘電体窓122の上方には、アンテナ部材131が設けられている。アンテナ部材131は、最下面に位置するラジアルスロットアンテナ132、その上部に位置する遅波板133、遅波板133を覆って遅波板133を保護するとともにこれを冷却するアンテナカバー134によって構成されている。
遅波板133の中心には、導電性を有する材料によって構成されたバンプ135が配置されている。
バンプ135は、内側導体136aと外管136bとによって構成される同軸導波管136の当該内側導体136aと電気的に導通している。
同軸導波管136は、マイクロ波供給装置137で発生させたマイクロ波を、負荷整合器138を介して同軸導波管136を通じ、前記アンテナ部材131に伝搬させるように構成されている。
次に、プラズマ酸化方法について説明する。
まず、サセプタ103上のフレームを、ヒータ105を用いて室温〜300℃程度まで加熱する。
次に、供給管114から、所定の酸素と不活性ガスの混合ガスを処理容器102内に供給しつつ、排気管112から排気することで処理空間S内を所定の圧力にする。
次に、マイクロ波供給装置137によってマイクロ波を発生させて、これを同軸導波管136によってアンテナ部材131に伝搬させて処理空間Sにおいてプラズマを発生させ、それによって処理容器102内に発生した酸素ラジカルによって構成部材の表面を酸化処理する。
このようにして、酸化マグネシウムを含む不動態皮膜が形成される。
このように、本実施形態によれば、クリーンルーム1の構成部材である、グレーチング床パネル9、および格子天井13を構成する材料として、マグネシウム合金が用いられている。
従って、クリーンルーム1の構成部材は、アルミニウムを用いた従来のフレームと比べて、軽量で電磁波遮蔽特性が良好である。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
(実施例1〜18)
本発明材として図6の実施例1〜18に示す組成の試料を用意した。
なお、実施例1〜18の組成は、本実施形態の望ましい組成範囲内の組成のマグネシウム合金である。
次に、これらの試料を溶解し、ダイカスト成形によりクリーンルームの天井のフレーム形状に成形したのち、陽極酸化処理により、表面に不動態皮膜を形成した。
その結果、実施例1〜18の組成の試料を用いたフレームは、アルミニウム合金を用いた従来のフレームと比べ、同一寸法で30%程度の軽量化が達成できた。
上記した実施形態では、本発明をクリーンルーム用の床や天井の構成部材に適用した場合について説明したが、本発明は、何等、これに限定されることなく、例えば電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽ルームのような、環境を制御する必要のある全ての部屋に適用することができる。
クリーンルーム1を示す側面図である。 図2(a)は図1のA1方向矢視図であって、図2(b)はグレーチング床パネル9と梁7の接続を示す図である。 図3(a)は図1のA2方向矢視図であって、図3(b)は図3(a)の格子フレーム33およびジョイントフレーム33aを示す斜視図である。 図1の階段18の拡大斜視図である。 プラズマ処理装置101を示す断面図である。 実施例1〜18の試料の組成を示す図である。
符号の説明
1 クリーンルーム
3 地盤
5 支柱
7 梁
9 グレーチング床パネル
10 プロセスエリア
10a 空気循環エリア
11 側壁パネル
12 建築壁
13 格子天井
15 天井
16 フィルタ
20 床下エリア
21 空気循環装置
30 天井エリア
101 プラズマ処理装置

Claims (18)

  1. 環境制御室の室内に少なくとも一部が露出する環境制御室の構成部材であって、
    マグネシウム合金を構成材料とし、
    前記マグネシウム合金は、
    5.7重量%以上、6.3重量%以下のAl元素、0.27重量%以上、0.5重量%以下のMn元素、0.2重量%以下(0は含まない)のZn元素を含有し、残部がMg元素であることを特徴とする環境制御室の構成部材。
  2. 前記マグネシウム合金は、不純物としてのSi、Cu、Ni、Feの含有率が、それぞれ、Siが0.05重量%以下、Cuが0.008重量%以下、Niが0.001重量%以下、Feが0.004重量%以下であることを特徴とする請求項記載の環境制御室の構成部材。
  3. 表面に不動態皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の環境制御室の構成部材。
  4. 前記不動態皮膜は酸化マグネシウムを含むことを特徴とする請求項記載の環境制御室の構成部材。
  5. 前記不動態皮膜は実質的に酸化マグネシウムから成ることを特徴とする請求項記載の環境制御室の構成部材。
  6. 前記不動態皮膜は酸化マグネシウムと酸化アルミニウムとを含むことを特徴とする請求項記載の環境制御室の構成部材。
  7. 前記不動態皮膜は非水溶液での陽極酸化によって形成されたボイドのない緻密な酸化マグネシウム被膜を含むことを特徴とする請求項記載の環境制御室の構成部材。
  8. 前記不動態皮膜は酸化性雰囲気中の加熱によって形成された酸化マグネシウム被膜を含むことを特徴とする請求項記載の環境制御室の構成部材。
  9. 前記不動態皮膜はプラズマ酸化によって形成された酸化マグネシウム被膜を含むことを特徴とする請求項記載の環境制御室の構成部材。
  10. 前記構成部材は、環境制御室に用いられるフレーム部材であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の環境制御室の構成部材。
  11. 前記構成部材は、環境制御室の格子天井に用いられるフレーム部材であることを特徴とする請求項10に記載の環境制御室の構成部材。
  12. 前記構成部材は、環境制御室に用いられるグレーチング床パネルであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の環境制御室の構成部材。
  13. 請求項1から請求項12のいずれかに記載の環境制御室の構成部材が用いられていることを特徴とするクリーンルーム。
  14. 請求項1から請求項12のいずれかに記載の環境制御室の構成部材が用いられていることを特徴とする電磁波シールドルーム。
  15. 環境制御室の構成部材の製造方法であって、
    5.7重量%以上、6.3重量%以下のAl元素、0.27重量%以上、0.5重量%以下のMn元素、0.2重量%以下(0は含まない)のZn元素を含有し、残部がMg元素であるマグネシウム合金をダイカスト成形により所定の形状に成形する工程(a)と、
    成形した前記マグネシウム合金の表面に不動態皮膜を形成する工程(b)と、
    を有することを特徴とする環境制御室の構成部材の製造方法。
  16. 前記工程(b)は、マグネシウム合金を酸化性雰囲気中で熱処理することにより前記不動態皮膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項15記載の環境制御室の構成部材の製造方法。
  17. 前記工程(b)は、マグネシウム合金を陽極酸化処理することにより前記不動態皮膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項15記載の環境制御室の構成部材の製造方法。
  18. 前記工程(b)は、マグネシウム合金をプラズマ酸化することにより前記不動態皮膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項15記載の環境制御室の構成部材の製造方法。
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