以下、本発明の一実施形態を、図1〜図7(C)に基づいて、説明する。
図1には、一実施形態の露光装置100の概略的な構成が示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))である。
露光装置100は、第1及び第2照明系IOP1,IOP2、レチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23をそれぞれ保持するレチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23(レチクルステージRST12,RST13,RST22,RST23は、図示省略)、レチクルステージRST11,RST12,RST13及びRST21,RST22,RST23をそれぞれ駆動する第1及び第2レチクルステージ駆動系221,222(図1では不図示、図2参照)、レチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23に形成されたパターンをウエハW上に投影する投影ユニットPU、ウエハWを保持するウエハステージWST、ウエハステージWSTを駆動するウエハステージ駆動系24(図1では不図示、図2参照)、及びこれらの制御系等を備えている。以下では、各レチクルとウエハWとが露光のため相対走査される方向をY軸方向とし、水平面内でこれに直交する方向をX軸方向、X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向として説明を行う。
第1及び第2照明系IOP1,IOP2は、X軸方向に離間して配置されている。第1及び第2照明系IOP1,IOP2は、例えば、ArFエキシマレーザ(波長193nm)(又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)など)から成る光源、及び光源に送光光学系を介して接続された照明光学系を含む。照明光学系は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を含み、それらを用いて光源から射出されたレーザビームを整形する。整形されたレーザビームを、照明光IL1,IL2として、レチクル上でX軸方向(図1における紙面左右方向)に細長く伸びるスリット状の照明領域IAR1,IAR2にほぼ均一な照度で照射する。なお、図1では、第1及び第2照明系IOP1,IOP2から射出された照明光IL1,IL2が、それぞれ、レチクルR11,R21上の照明領域IAR1,IAR2に照射されている。照明領域IAR1,IAR2(すなわち光軸AX1,AX2)は、例えば図4(A)及び図4(B)に示されるように、Y軸方向に関する位置が異なっており、投影光学系PLの中心軸AXに対して、照明領域IAR1(光軸AX1)は+Y側、照明領域IAR2(光軸AX2)は−Y側にそれぞれ配置される。
レチクルステージRST11,RST12,RST13及びRST21,RST22,RST23は、それぞれ、第1及び第2照明系IOP1,IOP2の下方に配置されている。ここで、レチクルステージRST11,RST12,RST13及びRST21,RST22,RST23は、それぞれ、第1及び第2ステージ組を構成する。各レチクルステージRSTijには、パターンが形成されたレチクルRijが載置されている。第1及び第2ステージ組に含まれるレチクルステージRST11,RST12,RST13及びRST21,RST22,RST23は、それぞれ、後述する第1及び第2レチクルステージ駆動系221,222により、駆動可能に構成されている。
図3(A)及び図3(B)には、第1レチクル駆動系221の構成が示されている。図3(A)には、第1レチクル駆動系221の平面図が示され、図3(B)には、図3(A)のB−B’線断面図が一部省略して示されている。なお、図3(A)では、図の煩雑を避けるため、レチクルステージRST11,RST12,RST13に載置されているレチクルR11,R12,R13(に形成されているパターンA,B,C)のみが図示されている。
レチクルステージRST11,RST12,RST13は、エアベアリング等を介して、XY平面に平行な上面を有するレチクルステージ定盤(以下、定盤と略述する)RB1上に支持されている。定盤RB1は、平面視で(Z軸方向から見て)、中央に位置する正三角形の第1領域と、該第1領域の3辺にそれぞれ隣接する3つの長方形の第2領域とを有する、板状部材から成る。定盤RB1は、第1領域の重心が、定盤RB1の回転中心O1と一致する状態で、不図示の回転駆動装置の回転軸に取り付けられている。なお、図1においては、定盤RBは、図示が省略されている。
ここで、レチクルステージRST11,RST12,RST13は、それぞれ、定盤RB1の上面の3つの第2領域それぞれの一部を成す領域AC1,AC2,AC3内に配置されている。領域AC1,AC2,AC3のそれぞれは、定盤RB1上で、中心O1から動径方向にほぼ等距離隔て、中心O1についての回転方向(θz方向)に互いにほぼ等距離隔てている。レチクルステージRST11,RST12,RST13には、それぞれ、レチクルR11,R12,R13が載置されている。
第1レチクル駆動系221は、回転駆動装置(不図示)を備えている。回転駆動装置(不図示)は、定盤RB1を回転中心O1を中心として、図3(A)における紙面内(XY平面内)で右回り(時計回り)又は左回り(反時計回り)に回転駆動する。
図3(A)に示される定盤RB1の領域AC1,AC2,AC3には、図3(B)に示されるように、固定子RCが埋め込まれている。固定子RCは、定盤RB1の内部にマトリクス状に配列された複数の電機子コイルから構成される。複数の電機子コイルは、非磁性材料から成る平板状部材によってカバーされている。平板状部材は定盤RB1の上面を構成し、この上面がレチクルステージRST11,RST12,RST13の移動面となっている。
なお、図3(B)に示されるように、レチクルステージRST11(RST12,RST13)及び定盤RB1の領域AC1(AC2,AC3)内には、照明光IL1が通過する開口が設けられている。レチクルステージRST11,RST12,RST13の開口の大きさは、各ステージが支持するレチクルのパターン面に形成される照明領域IAR1の大きさにほぼ等しく、定盤RB1の領域AC1,AC2,AC3内のそれぞれに設けられている開口の大きさは、定盤RB1上でのレチクルステージの開口の移動範囲を含む程度である。
一方、レチクルステージRST11(及びRST12,RST13)の底部には、複数の永久磁石を含む磁石ユニットから成る可動子RMが定盤RB1に対向して設けられている。
定盤RB1に設けられた固定子RCとレチクルステージRST11,RST12,RST13のそれぞれに設けられた可動子RMとにより、ムービングマグネット型の平面モータが構成される。この平面モータにより駆動されることで、レチクルステージRST11,RST12,RST13は対応する定盤RB1上の領域AC1,AC2,AC3内で移動することができる。
第1レチクル駆動系221は、回転駆動装置(不図示)を用いて定盤RB1を回転させ、且つ平面モータを用いてレチクルステージRST11,RST12,RST13を定盤RB1上で駆動する。これにより、レチクルステージRST11,RST12,RST13は、図3(A)に示される閉じた経路L1に沿って周回移動する。
なお、レチクルステージRST21,RST22,RST23を駆動する第2レチクル駆動系222も、第1レチクル駆動系221と同様に構成される。レチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23の駆動の詳細は、後述する。
図1に戻って、レチクルステージRST11,RST12,RST13及びRST21,RST22,RST23のXY平面内での位置は、それぞれ、第1及び第2レチクル干渉計141,142を用いて計測される。ここで、各レチクルステージRSTijの端部には、移動鏡12(実際にはY軸に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいはレトロリフレクタ)、及びX軸に直交する反射面を有するX移動鏡)が設けられている。第1及び第2レチクル干渉計141,142は、移動鏡12にレーザビーム(測長ビーム)を照射し、移動鏡12からの反射光を受光することにより、それぞれ、レチクルステージレチクルステージRST11,RST12,RST13及びRST21,RST22,RST23の位置を計測する。第1及び第2レチクル干渉計141,142の計測結果は、主制御装置20に供給される(図2参照)。主制御装置20は、供給された計測結果に従って、第1及び第2レチクルステージ駆動系221,222を介してそれぞれレチクルステージRST11,RST12,RST13及びRST21,RST22,RST23を駆動制御する。
レチクルステージRST11,RST21のそれぞれの上方には、例えば米国特許第5,646,413号明細書等に開示されるような第1及び第2レチクルアライメント検出系131,132(図2参照)が設けられている。第1及び第2レチクルアライメント検出系131,132は、それぞれ、照明光IL1,IL2と同じ波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から構成されている。第1及び第2レチクルアライメント検出系131,132の検出信号は、主制御装置20に供給される(図2参照)。
図1に示されるように、投影ユニットPUは、レチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23の下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、その中に配置された第1部分光学系PL0と第2部分光学系PLとを含む。ここで、第1部分光学系PL0は、照明光IL1,IL2のそれぞれを光軸AX1,AX2に沿って第2部分光学系PLに送光する光学素子から構成される。第2部分光学系PLは、ミラー、及びレンズ等を含む複数の光学素子から構成される。第1部分光学系PL0と第2部分光学系PLとによって、照明光IL1,IL2でそれぞれ照明される照明領域IAR1、IAR2内のパターンの正立像を第2部分光学系PLの像面上に形成する反射屈折系かつ縮小系からなる投影光学系が構成されている。以下では、この投影光学系を、便宜上投影光学系PLと記述するものとし、その中心軸を中心軸AXと記述する。前述したように、照明領域IAR1は、投影光学系PLの中心軸AXに対して+Y側、照明領域IAR2は、投影光学系PLの中心軸AXに対して−Y側に配置されるので、投影光学系PL内において、光軸AX1は、投影光学系PLの中心軸AXに対して+Y側に配置され、光軸AX2は、投影光学系PLの中心軸AXに対して−Y側に配置される(図1では、中心軸AX、光軸AX1、及びAX2は、紙面奥行方向(Y軸方向)に重なって配置されている)。
投影光学系PLの投影倍率は、例えば、1/5(あるいは1/4)である。そのため、前述の如く照明光IL1又はIL2によりレチクルが均一な照度で照明されると、その照明領域IAR1,IAR2内のレチクルのパターンが、投影光学系PLにより縮小されてレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上に投影される。そして、ウエハW上の露光領域IA1,IA2(ショット領域の一部)に、パターンが転写される(レジストにパターンの潜像が形成される)。なお、前述の通り光軸AX1,AX2が、それぞれ中心軸AXに対して+Y側、−Y側に配置されているため、ウエハW上の露光領域IA1,IA2は、例えば図4(A)及び図4(B)に示されるように、Y軸方向に関して離間している。なお、露光領域IA1は+Y側、露光領域IA2は−Y側に位置する。
ウエハステージWSTは、投影ユニットPUの下方に配置されている。ウエハステージWSTに設置されたウエハホルダ(不図示)上に、ウエハWが、真空吸着等により保持されている。
ウエハステージWSTは、リニアモータ等を含むウエハステージ駆動系24により、X軸方向、Y軸方向に所定ストロークで駆動されるとともに、Z軸方向、X軸回りの回転方向(θx方向)、Y軸回りの回転方向(θy方向)、及びZ軸回りの回転方向(θz方向)に微小駆動される。なお、ウエハステージWSTに代えて、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に移動する第1ステージと、第1ステージ上でZ軸方向、θx方向及びθy方向に微動する第2ステージと、を備えるステージを用いても良い。
ウエハステージWSTのXY平面内での位置(ヨーイング(θz方向の回転θz)を含む)及びZ軸に対する傾斜(ピッチング(θx方向の回転θx)及びローリング(θy方向の回転θy))は、ウエハ干渉計18により計測される。ここで、ウエハステージWSTの上面には、移動鏡16(実際にはY軸に直交する反射面を有するY移動鏡、及びX軸に直交する反射面を有するX移動鏡)が設けられている。ウエハ干渉計18は、移動鏡16にレーザビーム(測長ビーム)を照射し、移動鏡16からの反射光を受光することにより、ウエハステージWSTの位置を計測する。その計測結果は、主制御装置20に供給される(図2参照)。主制御装置20は、供給された計測結果に従って、ウエハステージ駆動系24を介してウエハステージWSTを駆動制御する。
また、投影光学系PLの下端部の近傍には、ウエハWの表面のZ軸方向の位置及びXY平面に対する傾斜を計測するフォーカスセンサAFS(図2参照)が配置されている。フォーカスセンサAFSとして、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示される斜入射方式の多点焦点位置検出系が採用されている。多点焦点位置検出系は、投影光学系PLの最良結像面に向けて結像光束をZ軸(中心軸AX)に対して斜めに射出する照射光学系と、ウエハWの表面からの反射光束をスリットを介して受光する受光光学系と、から構成される。フォーカスセンサAFSの計測結果は、主制御装置20に供給される(図2参照)。主制御装置20は、その計測結果に従って、ウエハステージ駆動系24を介してウエハステージWSTをZ軸方向及び傾斜方向に駆動して、ウエハWのフォーカス・レベリング制御を行う。
また、ウエハステージWST上には、基準板FPが固定されている。ここで、基準板FPの表面の高さは、ウエハホルダ(不図示)上に載置されるウエハWのそれとほぼ等しい。基準板FPの表面には、ベースライン計測用の基準マーク及びレチクルアライメント用の基準マーク等が形成されている。
投影ユニットPUの鏡筒40の−Y側側面には、ウエハW上の各ショット領域に付設されたアライメントマーク(ウエハマーク)及び基準板FPに設けられた基準マークを検出するためのアライメント検出系AS(図2参照)が設けられている。アライメント検出系ASとして、例えば、画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。ここで、FIA系は、例えばハロゲンランプ等のブロードバンド(広帯域)光をマークに照射し、マークからの反射光を受光して、マークを撮像する。そして、撮像結果を画像処理することによって、マークの位置を計測する。アライメント検出系ASの検出結果は、アライメント信号処理系(不図示)を介して主制御装置20に供給される。
図2には、露光装置100の制御系の主要な構成が示されている。制御系は、装置全体を統括制御するマイクロコンピュータ(あるいはワークステーション)などを含む主制御装置20を中心として構成されている。
次に、本実施形態の露光装置100におけるレチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23とウエハステージWSTの同期駆動によるウエハの連続露光について説明する。なお、レチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23に保持されるレチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23には、それぞれ、パターンA,B,C,D,E,Fが形成されている。パターンA,B,C,D,E,Fは、同じでも、異なっていても良い。
図4(A)及び図4(B)には、6つのレチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23(6つのレチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23)とウエハステージWSTの移動経路が模式的に示されている。なお、図の煩雑を避けるため、図4(A)及び図4(B)には、レチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23に載置されているレチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23(に形成されているパターンA,B,C,D,E,F)と、ウエハステージWSTに載置されているウエハW(上に配列された複数の区画領域のうち、露光対象の区画領域)のみが図示されている。また、説明の便宜のため、ウエハW上に形成された区画領域の大きさが、実際よりも大きく表示されている。
前述の通り、投影光学系PL内において、照明光IL1,IL2の光軸AX1,AX2がY軸方向に離間しているため、照明光IL1,IL2がそれぞれ照射されるウエハW上の露光領域IA1,IA2も、Y軸方向に離間している。
レチクルR11,R12,R13(レチクルステージRST11,RST12,RST13)は、円形状の経路L1上を、右回り又は左回りに周回移動する。レチクルR21,R22,R23(レチクルステージRST21,RST22,RST23)は、円形状の経路L2上を、右回り又は左回りに周回移動する。ただし、レチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23は、そのパターン領域が照明領域IAR1,IAR2と重複する際には(すなわちスキャン時には)、所定の直線経路上をY軸方向(+Y方向又は−Y方向)に直進駆動される。各レチクルを直進駆動する際の制御については、後述する。ここで、レチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23の+Y方向スキャン(プラススキャン)時と、−Y方向スキャン(マイナススキャン)時とで、共通の点を端点として、以下の説明を行うため、図4(A)及び図4(B)では、直線経路上のレチクルR11,R12,R21,R22の等速区間における、パターン領域の中心点(レチクルセンタ)の移動軌跡の両端の点が、点P11,P12,P21,P22を用いて示されている。従って、以下の説明中のレチクルの位置は、特に明示していない場合には、レチクルのパターン領域の中心点の位置を意味する。
レチクルR11,R12,R13は、プラススキャン時には、図4(A)中に黒塗り矢印を用いて表されるように、点P11から点P12まで+Y方向に等速度で移動し、マイナススキャン時には、図4(B)中に黒塗り矢印を用いて表されるように、点P12から点P11まで、−Y方向に等速度で移動する。すなわち、レチクルR11,R12,R13は、直線経路上の点P11、P12間(第1等速区間又は単に等速区間と呼ぶ)を、+Y方向又は−Y方向に等速度で移動する。
同様にレチクルR21,R22,R23は、プラススキャン時には、図4(A)中に黒塗り矢印を用いて表されるように、点P21から点P22まで+Y方向に等速度で移動し、マイナススキャン時には、図5(B)中に黒塗り矢印を用いて表されるように、点P22から点P21まで、−Y方向に等速度で移動する。すなわち、レチクルR21,R22,R23は、直線経路上の点P21、P22間(第2等速区間又は単に等速区間と呼ぶ)を、+Y方向又は−Y方向に等速度で移動する。
レチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23は、上述の等速区間を通過すると、経路L1,L2に沿って周回し、再度、上と同様に等速区間を等速度で移動する。さらに、同様の周回移動を任意の回数繰り返した後、周回方向を反転し、同様の周回移動を任意の回数繰り返す。
一方、ウエハステージWSTは、Y軸に平行な直線経路LW上の点P1,P2間(等速区間)を、等速度で移動する。なお、図4(A)及び図4(B)では、等速区間を、露光対象であるウエハW上の区画領域の移動経路として表わしている。ウエハステージWSTの等速区間の距離は、使用するレチクルステージ(レチクル)の数N及び周回数Mに応じて、例えば区画領域のY軸方向の長さのN×M倍(さらに区画領域間の離間距離のN×M−1倍を加算)と、定められる。
図5(A)〜図5(C)には、連続露光におけるレチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23(レチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23)とウエハステージWST(ウエハW)の同期駆動の詳細、すなわち連続露光中のそれらの位置関係の時間変化が模式的に示されている。図の表記は、図4の表記と同じである。以下では、図5(A)〜図5(C)に示される状態を、それぞれ、状態A〜状態Cとも呼ぶ。
図5(A)には、連続露光の開始直後の状態(状態A)が示されている。状態Aでは、レチクル駆動系221の定盤RB1が、回転駆動装置(不図示)により、白抜き矢印方向に回転される。これにより、レチクルステージRST11(レチクルR11)が、経路L1に沿って紙面左回り(−θz方向)に周回移動し、第1等速区間の一端点P11に−Y側から到達する。この時、レチクルステージRST12,RST13(レチクルR12,R13)は、経路L1上の等速区間外に退避している。
ここで、スキャン動作時においてレチクルを等速でY軸方向に直進移動させる際のレチクルステージの駆動制御について説明する。なお、ここでは、6つのレチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23を代表して、レチクルR11を保持するレチクルステージRST11の駆動制御について説明する。
図6(A)〜図6(C)には、直進移動中における、定盤RB1上でのレチクルステージRST11(レチクルR11)の動きが示されている。なお、基準線L10は、領域AC1の中心を表している。レチクルR11は、パターン領域の中心が点P11に到達する直前(等速移動を開始する直前)では、その長手方向が基準線L10と平行(経路L1の接線方向と平行)に配置されるため(図6(A)のレチクルR12、R13参照)、長手方向がY軸に対して幾分紙面右回り方向(+θz方向)に傾いている。そこで、主制御装置20は、平面モータを制御して、レチクルステージRST11(レチクルR11)を−θz方向に回転させて(図6(A)のハッチング付き矢印参照)、その長手方向を図6(A)に示されるようにY軸と平行にする。
この後、レチクルR11は、パターン領域の中心が点P11に到達し、主制御装置20は、レチクルR11がY軸方向に直進移動するように、不図示の回転駆動装置、及び平面モータを制御する。具体的には、回転駆動装置を制御して定盤RB1を中心O1を中心に回転させてレチクルをY軸方向に粗駆動するとともに、平面モータを制御してレチクルR11を定盤RB1上で微少駆動する。レチクルR11は、円軌道(経路L1)上を移動するため、主制御装置20は、定盤RB1の回転に起因するレチクルR11の中心O1に関する動径方向外側への位置変化(脹らみ)を打ち消すため、平面モータを制御してレチクルR11を動径方向内側に駆動する(図6(B)のハッチング付き矢印参照)。また、レチクルR11は、定盤RB1の回転角度に応じて、平面モータを介して−θz方向((図6(A)のハッチング付き矢印参照))又は+θz方向((図6(C)のハッチング付き矢印参照))に回転されることによって、その長手方向がY軸に平行とされた状態が維持される。従って、レチクルR11の定盤RB1上での回転中心は、常に直線経路(点P11と点P12とを結ぶ線)上となる。このように、レチクルR11は、定盤RB1の回転角度に応じて、定盤RB1上の位置が微調整されることによって、図6(A)〜図6(C)に示されるように、その長手方向をY軸に平行にした状態で、点P11と点P12との間をY軸方向に等速で直進駆動される。
レチクルステージRST11(レチクルR11)が等速移動を開始すると、図5(A)に示されように、レチクルR11が、照明領域IAR1を通過する。そのため、レチクルR11のパターン面が、照明光IL1により照明される。同時に、ウエハW上の第1区画領域S1が、露光領域IA1を通過する。そのため、照明光IL1により、レチクルR11のパターンAが第1区画領域S1に投影され、第1区画領域S1にパターンAが転写される。なお、図5(A)〜図5(C)において、黒塗りの照明領域IAR1,IAR2及び露光領域IA1,IA2は、照明光IL1,IL1が投射されていることを意味する。
一方、レチクルステージRST11(レチクルR11)の周回移動と並行して、レチクルステージRST21(レチクルR21)は、経路L2に沿って紙面右回りに周回移動する。図5(A)に示される状態Aでは、レチクルR21は、そのパターン領域の中心が第2等速区間の一端点P21に到達している。レチクルR21が、点P21に到達すると、主制御装置20は、先のレチクルステージRST11(レチクルR11)と同様に、不図示の回転駆動装置及び平面モータを制御して、レチクルR21を等速でY軸方向に直進駆動する。この時、レチクルステージRST21(レチクルR21)の速度は、レチクルステージRST11(レチクルR11)の速度と等しくなるように制御される。また、レチクルステージRST21(レチクルR21)は、レチクルステージRST11(レチクルR11)に、Y軸方向に一定の間隔を置いて追従する。なお、一定の間隔は、ウエハW上に配列されたY軸方向に隣接する区画領域の配列間隔に対応する。
なお、この時、レチクルステージRST22,RST23(レチクルR22,R23)は、経路L2上の等速区間外に退避している。ウエハステージWST(ウエハW)は、引き続き、等速区間内を等速移動している。
レチクルステージRST21(レチクルR21)のレチクルステージRST11(レチクルR11)への追従移動により、図5(B)に示されるように、レチクルR11が照明領域IAR1を通過し終える前に、レチクルR21が照明領域IAR2を通過し始める。そのため、照明光IL1によりレチクルR11のパターン面が照明されると同時に、照明光IL2によりレチクルR21のパターン面が照明される。さらに、ウエハW上の第1区画領域S1が露光領域IA1を通過し終える前に、第2区画領域S2が露光領域IA2を通過し始める。そのため、照明光IL1によりレチクルR11のパターンAが第1区画領域S1に投影されると同時に、照明光IL2によりレチクルR21のパターンBが第2区画領域S2に投影される。すなわち、レチクルR11のパターンAの第1区画領域S1への転写と並行して、レチクルR21のパターンBが第2区画領域S2へ転写される。
前述の通り、本実施形態の露光装置100では、光軸AX1,AX2がY軸方向に離間しているため、ウエハステージWSTがその移動経路上の一区間を通過する間、露光領域IA1,IA2がそれぞれウエハW上のY軸方向に隣接する2つの区画領域S1,S2に同時に重複する。そこで、レチクルステージRST11,RST21(レチクルR11,R21)を、上のように追従駆動することにより、レチクルR11,R21のパターンA,Bが、一定の時間にわたって、同時に、2つの区画領域S1,S2に転写される。なお、一定の時間は、光軸AX1,AX2のY軸方向についての離間距離/ウエハステージWSTの移動速度に等しい。
図5(B)に示されるように、レチクルステージRST11(レチクルR11)が第1等速区間の一端点P12に到達し、レチクルR11のパターン面が照明領域IAR1を通過し終える。同時に、ウエハWの第1区画領域S1が露光領域IA1を通過し終える。これにより、レチクルR11のパターンAの第1区画領域S1への転写が完了する。その後、レチクルステージRST11(レチクルR11)は、定盤RB1の回転により経路L1上を周回して、次の追従移動まで第1等速区間から退避する。
レチクルステージRST21(レチクルR21)も、図5(C)に示されるように、第2等速区間の一端点P22に到達し、レチクルR21のパターン面が照明領域IAR2を通過し終える。同時に、ウエハWの第2区画領域S2も露光領域IA2を通過し終える。これにより、レチクルR21のパターンBの第2区画領域S2への転写が完了する。その後、レチクルステージRST21(レチクルR21)は、定盤RB1の回転により経路L2上を周回して、次の追従移動まで第2等速区間から退避する。
上述のように、レチクルステージRST21(レチクルR21)がレチクルステージRST11(レチクルR11)に追従して等速駆動するのと同様に、レチクルステージRST12(レチクルR12)がレチクルステージRST21(レチクルR21)に追従して等速駆動する。
図5(C)に示されるように、レチクルステージRST11(レチクルR11)が第1等速区間から退避すると、レチクルステージRST12(レチクルR12)は第1等速区間の一端点P11に到達し、その速度を一定に保って等速移動を開始する。この時、レチクルステージRST12(レチクルR12)の速度は、レチクルステージRST21(レチクルR21)のそれに等しい。ここで、レチクルステージRST21(レチクルR21)が+Y方向に先行し、それにレチクルステージRST12(レチクルR12)が追従している。この時、ウエハステージWST(ウエハW)は、引き続き、等速区間内を等速移動している。
ここで、前述の通り、照明領域IAR1は+Y側に、照明領域IAR2は−Y側に、互いに離間している。そのため、図5(C)に示される状態Cでは、両レチクルR12,R21のパターン面が、照明光IL1,IL2により照明されず、パターンの転写が中断している。
レチクルステージRST12(レチクルR12)が等速移動を開始すると、レチクルR12が照明領域IAR1を通過する。これにより、レチクルR12のパターン面が照明光IL1により照明される。同時に、ウエハW上の第3区画領域S3が露光領域IA1を通過する。これにより、照明光IL1により、レチクルR12のパターンCが第3区画領域S3に投影され、第3区画領域S3にパターンCが転写される。
一方、レチクルステージRST21(レチクルR21)が第2等速区間から退避すると、レチクルステージRST22(レチクルR22)は第2等速区間の一端点P21に到達し、その速度を一定に保って等速移動を開始する。これにより、前述のレチクルステージRST21(レチクルR21)がレチクルステージRST11(レチクルR11)に追従して等速移動するのと同様に、レチクルステージRST22(レチクルR22)がレチクルステージRST12(レチクルR12)に追従して等速駆動する。そして、レチクルR12のパターンCの第3区画領域S3への転写と並行して、レチクルR22のパターンDが第4区画領域S4へ転写される。
レチクルステージRST12(レチクルR12)が第1等速区間の一端点P12に到達し、レチクルR12のパターン面が照明領域IAR1を通過し終える。同時に、ウエハWの第3区画領域S3が露光領域IA1を通過し終える。これにより、レチクルR12のパターンCの第3区画領域S3への転写が完了する。その後、レチクルステージRST12(レチクルR12)は、経路L1上を周回して、次の追従移動まで第1等速区間から退避する。
レチクルステージRST22(レチクルR22)も、第2等速区間の一端点P22に到達し、レチクルR22のパターン面が照明領域IAR2を通過し終える。同時に、ウエハWの第4区画領域S4も露光領域IA2を通過し終える。これにより、レチクルR22のパターンDの第4区画領域S4への転写が完了する。その後、レチクルステージRST22(レチクルR22)は、経路L2上を周回して、次の追従移動まで第2等速区間から退避する。
同様に、レチクルステージRST13(レチクルR13)がレチクルステージRST22(レチクルR22)に追従して等速駆動し、次いで、レチクルステージRST23(レチクルR23)がレチクルステージRST13(レチクルR13)に追従して等速駆動する。この時、ウエハステージWST(ウエハW)は、引き続き、等速区間内を等速移動する。それにより、レチクルR13,R23のパターンE,Fが第5及び第6区画領域に転写される。
上述のように、ウエハステージWSTの+Y方向への駆動と同期して、第1ステージ組を構成するレチクルステージRST11,RST12,RST13と第2ステージ組を構成するレチクルステージRST21,RST22,RST23とを交互に駆動する。そして、レチクルR11,R12,R13を介して照明光IL1を、レチクルR21,R22,R23を介して照明光IL2を、交互に且つ連続して、ウエハW上のY軸方向に配列された区画領域S1,S2,S3,S4,S5,S6に投射する。これにより、区画領域S1,S2,S3,S4,S5,S6のそれぞれに、レチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23のパターンA,B,C,D,E,Fが連続して転写される。
さらに、定盤RB1,RB2の回転方向と、定盤RB1,RB2上でのレチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23の駆動方向を反転させて、レチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23を先と逆方向に周回駆動する。それと同時に、ウエハステージWST(ウエハW)を、非走査方向(+X方向)にステップ移動させ、そして駆動方向を−Y方向に反転させて等速駆動する。ここで、ステップ移動の距離は、ウエハW上に配列された非走査方向(X軸方向)に隣接する区画領域の配列間隔に等しい。それにより、先の連続露光と同様に、ただし逆順に、ウエハW上の区画領域S1,S2,S3,S4,S5,S6のX軸方向に隣接する区画領域にレチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23のパターンA,B,C,D,E,Fが連続して転写される。
上述の連続露光を繰り返すことにより、図7(A)に示されるように、ウエハW上に配列された複数の区画領域に、パターンA,B,C,D,E,Fが転写される。すなわち、ウエハWがX軸方向にステップ移動することにより、白抜き矢印を用いて表す順に、ウエハW上のY軸方向に並ぶ6つの区画領域が露光対象となり、黒抜き矢印を用いて表す順に、6つの区画領域にパターンA,B,C,D,E,Fが転写される。
レチクルを1つのみ用いる従来の走査露光では、ステップ移動毎に1つの区画領域のみにパターンが転写される。また、1つの区画領域の転写毎にウエハステージの加減速が必要である。これに対し、本実施形態では、連続露光により、全ての区画領域にパターンを転写する上でのステップ移動の回数を減らすことができる。また、ウエハステージの加減速の回数を減らし、露光に寄与しない加減速時間を全体として短くすることができる。その結果、露光工程に要する時間の短縮、すなわちスループットの向上が可能となる。
ここで、本実施形態の連続露光では、レチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23を一方向に1回のみ周回駆動したが、さらに複数回周回駆動することにより、ウエハW上のY軸方向に隣接する複数の区画領域にパターンA,B,C,D,E,Fが転写される。例えば2回繰り返す場合、図7(B)に示されるように、ウエハWがX軸方向にステップ移動することにより、白抜き矢印を用いて表す順に、ウエハW上のY軸方向に並ぶ12つの区画領域が露光対象となり、黒抜き矢印を用いて表す順に、12つの区画領域にレチクルR11,R21,R12,R22,R13,R23のパターンA,B,C,D,E,Fが転写される。
また、レチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23の周回駆動は、整数回の周回駆動に限られない。すなわち、ウエハW上のY軸方向に並ぶ区画領域の数が列毎に異なっている場合、あるいはY軸方向に並ぶ区画領域の数がレチクルステージの数の整数倍でない場合でも本実施形態の露光装置100を用いた連続露光が可能である。この場合、ウエハW上のY軸方向に並ぶ所定数の区画領域の露光終了後、周回が途中であっても駆動方向を反転させて隣接する区画領域の露光処理を開始すれば良い。
また、複数のレチクルステージのうちの一部のみを用いて上述の連続露光を行うこともできる。例えば、レチクルステージRST11,RST12,RST21,RST22のみを用いる場合、図7(C)に示されるように、ウエハWがX軸方向にステップ移動することにより、白抜き矢印を用いて表す順に、ウエハW上のY軸方向に並ぶ4つの区画領域が露光対象となり、黒抜き矢印を用いて表す順に、4つの区画領域にレチクルR11,R21,R12,R22のパターンA,B,C,Dが転写される。
なお、本実施形態の露光装置100では、6つのレチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23を搭載し、それらを用いて連続露光を行う構成を採用した。ここで、搭載するレチクルステージの数は6つに限らず、その他の数(2以上)でも良い。また、偶数に限らず、奇数でも構わない。
本実施形態の露光装置100では、露光に先立って、露光装置100に併設されたコータ・デベロッパ(不図示)により感光層(レジスト)が設けられたウエハWが、ウエハステージWSTのウエハホルダ(不図示)上に載置される。主制御装置20は、アライメント検出系ASを用いて、ウエハWの表面に付与された(ウエハW上のサンプルショット領域に付設された)アライメントマークを検出し、アライメント計測(EGA)を実行する。それにより、XY平面内におけるウエハW上のショット領域の位置(さらに走査方向に関する倍率、θz回転、直交度)が定められる。なお、アライメント計測(EGA)の詳細は、例えば、米国特許第6,876,946号明細書等に開示されている。主制御装置20は、アライメント計測(EGA)の結果に従って、レチクルR11,R21,R12,R22,R13,R23のパターンの投影位置(投影光学系PLの投影中心)とウエハW上の各ショット領域の相対位置関係を算出する。その結果に従って、前述の連続露光により、ウエハW上の全ショット領域内に、順次、レチクルR11,R21,R12,R22,R13,R23のパターンを露光する。
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100に備えられたレチクルステージ駆動系221,222は、回転する定盤RB1,RB2を回転駆動しつつ、回転する定盤RB1,RB2上でそれぞれレチクルステージRST11,RST12,RST13及びRST21,RST22,RST23を駆動することにより、これらのレチクルステージを走査方向(Y軸方向)に延びる直線経路に沿って、交互に且つ繰り返し、等速度で駆動することができる。従って、本実施形態のように、複数のレチクルを用いる場合であっても、レチクルの交換を迅速かつ容易に行うことができ、これによりスループットの向上が図られる。また、レチクルステージ駆動系221,222を用いて、レチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23を走査方向(Y軸方向)に交互に駆動すると同時に、ウエハWを保持するウエハステージWSTを走査方向(Y軸方向)に駆動することにより、レチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23がそれぞれ保持するレチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23に形成されたパターンを、共通の投影光学系PLを介して、ウエハW上の走査方向に配列された複数の区画領域に連続して転写することができる。それにより、ウエハ上に配列された全ての区画領域にパターンを転写するにおいて、走査方向に並ぶ区画領域の数がいくつであっても、途中でウエハステージのステップ移動を行うことなく一列すべての区画領域にパターンを転写することができる。また、一つの区画領域へのパターン転写毎にウエハステージの加減速を行わずに各区画領域にパターンを転写することができる。すなわち、ステップ移動の回数を減らすことができるとともに、加減速回数を減らすことができるので、その結果、露光工程に要する時間の短縮、すなわちスループットの向上が可能となる。また、露光の際に定盤RB1、RB2の回転を停止させないので、次のレチクルを速やかに直線経路上に配置させることができる。従って、スループットの向上が可能となる。
なお、前述したように、本実施形態の露光装置100では、レチクルR1のパターンAの第1区画領域S1への転写と並行して、レチクルR2のパターンBの第2区画領域S2への転写が行われる。上述した実施形態では、図5(B)に示されるように、第1区画領域S1へのパターンAの転写が終了する直前に、第2区画領域S2へのパターンBの転写が開始される構成であったが、ウエハ上における露光領域IA1(光軸AX1)と露光領域IA2(光軸AX2)とのY軸方向に関する間隔を広げることによって、第2区画領域S2へのパターンBの転写を開始するタイミングを早めることができ(例えば、図5(A)の段階で、パターンBへの転写を開始でき)、スループットをさらに向上させることができる。ただし、露光領域IA1と露光領域IA2とのY軸方向に関する間隔を広げると、投影光学系PLが大型化するため、露光領域間の間隔は、スループットと装置の大きさとの兼ね合いを考慮して適宜設定すると良い。
また、本実施形態の露光装置100は、照明光IL1,IL2をそれぞれ発生する独立の照明系IOP1,IOP2を備えている。それにより、レチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23のそれぞれに対し、異なる照明条件で、照明光IL1,IL2を投射することができる。これは、特に、レチクルR11,R12,R13,R21,R22,R23が互いに異なる場合に好適である。
また、本実施形態の露光装置100では、照明光IL1,IL2の光軸AX1,AX2を非走査方向(X軸方向)に離間する構成を採用した。そのため、第1及び第2レチクル駆動系221,222及びそれらに駆動されるレチクルステージの周回経路L1,L2も、非走査方向に離間して配置した。これに限らず、光軸AX1,AX2を走査方向(Y軸方向)あるいは任意の方向に離間して配置しても良い。例えば、光軸AX1,AX2を走査方向(Y軸方向)に離間した構成とし、レチクルステージRST11,RST12,RST13の走査方向(直線経路)と、レチクルステージRST21,RST22,RST23の走査方向とをY軸方向に平行な一直線上としても良い。
また、本実施形態の露光装置100では、レチクル干渉計141,142を用いてレチクルステージRST11,RST12,RST13,RST21,RST22,RST23の位置を、またウエハ干渉計18を用いてウエハステージWSTの位置を、計測することとした。ここで、レチクル干渉計141,142に替えて、エンコーダ(複数のエンコーダから構成されるエンコーダシステム)を用いても良い。あるいは、レチクル干渉計141,142とエンコーダを併用しても良い。同様に、ウエハ干渉計18に替えてエンコーダ(複数のエンコーダから構成されるエンコーダシステム)を用いても良い。あるいは、ウエハ干渉計18とエンコーダを併用しても良い。
エンコーダシステムを用いる場合、例えば国際公開第2007/097379号パンフレット(対応米国特許出願公開第2008/08843号明細書)などに開示されているように、ウエハテーブル(ウエハステージ)上に格子部(Yスケール、Xスケール)を設け、これに対向してXヘッド、Yヘッドをウエハステージの外部に配置する構成を採用しても良いし、例えば米国特許出願公開第2006/0227309号明細書などに開示されているように、ウエハステージにエンコーダヘッドを設け、これに対向してウエハステージの外部に格子部(例えば2次元格子又は2次元に配置された1次元の格子部)を配置する構成のエンコーダシステムを採用しても良い。さらに、Zヘッドもウエハステージに設け、その格子部の面を、面位置計測システムのZヘッドの計測ビームが照射される反射面としても良い。
また、上記実施形態では、本発明が、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、例えば国際公開第99/49504号パンフレット、欧州特許出願公開第1,420,298号明細書、国際公開第2004/055803号パンフレット、特開2004−289126号公報(対応米国特許第6,952,253号明細書)などに開示されているように、投影光学系とウエハとの間に照明光の光路を含む液浸空間を形成し、投影光学系及び液浸空間の液体を介して照明光でウエハを露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置又はミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明は適用することができる。さらに、例えば米国特許第6,590,634号明細書、米国特許第5,969,441号明細書、米国特許第6,208,407号明細書などに開示されているように、複数のウエハステージを備えたマルチステージ型の露光装置にも本発明を適用できる。また、例えば国際公開第2005/074014号パンフレットなどに開示されているように、ウエハステージとは別に、計測部材(例えば、基準マーク、及び/又はセンサなど)を含む計測ステージを備える露光装置にも本発明は適用が可能である。
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。また、前述の照明領域及び露光領域はその形状が矩形であるものとしたが、これに限らず、例えば円弧、台形、あるいは平行四辺形などでも良い。
なお、上記実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザに限らず、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)、F2レーザ(出力波長157nm)、Ar2レーザ(出力波長126nm)、Kr2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、例えば米国特許7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。この装置においては、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してスキャン露光する構成が考えられるので、かかる装置にも本発明を好適に適用することができる。
また、例えば干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものではなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。