JP5151042B2 - 分散液、ペースト組成物、および樹脂組成物 - Google Patents

分散液、ペースト組成物、および樹脂組成物 Download PDF

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本発明は、有機溶剤中に無機粒子を分散させた分散液および、樹脂材料中に無機粒子を分散させた樹脂組成物に関する。
無機粒子を有機溶剤中へ分散させた分散液は、樹脂材料と混ぜ合わせることにより、印刷用ペースト、潤滑剤、化粧品、接着剤、離型材、または、ディスプレイや実装基板の構成材料など、幅広く活用されている。無機粒子を樹脂材料中に分散させる目的は、熱機械特性や電磁特性、光学特性など、樹脂材料のみでは得ることができない優れた特性を付与することや、一般に高価な樹脂材料の混合比を減らし生産コストを抑えることなどがある。近年、材料の表面平滑性や透明性を向上させるため、または、半導体用材料など微小材料に対応するため、分散させる無機粒子の粒子径をナノメートルサイズに微小化する試みが各技術分野で進められている。なかでも、光配線(光インターコネクション)技術では、光導波路材料の線膨張率や屈折率変動を抑えるために、無機粒子を樹脂材料中に分散させる技術が検討されている。
従来の樹脂材料のみによる光導波路材料は線膨張率が大きく、基板上に形成する場合に、基板との線膨張率差により基板が反る、変形するなどの問題があった。また、温度による屈折率変化が大きく、温度変化により光学距離が大きく変化し、受発光素子との光結合にずれを生じたり、波長多重伝送における合分波素子の誤動作が生じることがあった。このような問題を解決するため、無機粒子を樹脂材料中に分散させているが、分散した無機粒子の凝集体としての平均粒子径が50nmより大きいと、光散乱により材料の透明性が低下し、伝搬する光信号の減衰(光伝搬損失)が大きくなる。よって、光配線技術では光散乱を無視できるレベルに抑えるために、無機粒子の凝集体としての平均粒子径を50nm以下に微小化することが要求される。
無機粒子を樹脂材料中に分散させるには、まず、分散媒中へ無機粒子を良好に分散させた分散液を作製し、これと樹脂材料とを混ぜ合わせる。
無機粒子が強塩基性あるいは強酸性無機粒子の場合や、分散媒が水の場合は、分散液のpH調整などにより、比較的容易に無機粒子を分散できる。従来は以下の技術があり、エチレングリコール中でpHを9から11に制御することにより、強塩基性無機粒子である平均粒子径80nmのシリカ粒子(等電点が1.5)を分散させていたり(特許文献1参照)、γ−ブチロラクトン中、平均粒子径25nmのシリカ粒子を分散させている(特許文献2参照)。また、特許文献3では、水溶液中での窒化珪素の分散性を高めるためにpHを調整している。
しかしながら、上述したように、無機粒子の分散液は単独で用いられずに、樹脂材料と混合され、ペースト組成物または樹脂組成物として応用されることが多いため、分散液の分散媒はこれら樹脂を溶解する有機溶剤を用いる必要がある。
分散媒が有機溶剤の場合、極性が低く無機粒子に親和しにくいため、分散装置などを用いた分散処理中あるいは分散処理終了後に1次粒子の再凝集が生じる場合がある。そこで、1次粒子の再凝集を抑えるために、分散剤と呼ばれる末端に官能基を持った有機物を添加し、分散剤を無機粒子の表面に吸着または反応させ、無機粒子同士の接近を阻害し、分散性を向上させる方法がある。例えば、ニッケル粒子を平均粒子径30nmでトルエン中に分散させるために、分散剤をニッケル粒子の重量と同程度加えている(特許文献4参照)。
しかし、分散媒として有機溶剤を用いる際に分散剤を多量に用いると、樹脂組成物を作製した場合、選択した無機粒子と樹脂から期待される良好な熱機械特性や光学特性が得られないことがあった。一般に用いられる分散剤は分子量1000から10000の有機物であり、室温で液体状態であり、線膨張率が高い、弾性率が低い、屈折率の温度による変化が大きいなどの特徴を有する。したがって、樹脂の特性を改善するために混合した無機粒子の効果の発現を、分散剤が阻害することがあった。
無機粒子を良好に分散させるのに必要な分散剤の添加量は、無機粒子の比表面積が大きくなるほど、すなわち無機粒子の粒子径が小さくなるほど多くなる。例えば分散剤メーカーである日本ルーブリゾール株式会社が提供している分散剤“SOLSPERSE”のカタログによると、無機粒子に対する分散剤の添加量(重量%)は、無機粒子の比表面積(m/g)を5で除したものであるとされているが、これを粒子径50nmの硫酸バリウムに照らし合わせると、分子量が4.5であるので、粒子形状が表面積の最も小さい球形であると仮定すると、比表面積は26.7(m/g)となり、分散剤添加量は少なくとも5.3重量%は必要となる。
これに対し、分散媒として水を用いると使用する分散剤の量を少なくすることができるが(特許文献5参照)、水は一般に樹脂を溶解することが極めて困難であるため、水を分散媒とした分散液を用いて、これに樹脂を溶かし込み作製するペースト組成物や樹脂組成物を得ることは困難である。
以上のように、これまでは、分散媒が水である場合や無機粒子が強塩基性あるいは強酸性無機粒子の場合は、pHにより無機粒子の分散性が顕著に変わるのでpHの調整についての検討が幾つかなされ、その多くは、特許文献1にあるように分散液のpH値を無機粒子の等電点から離れた値に調整することによって分散性を高めていた。
一方、無機粒子が弱塩基性あるいは弱酸性無機粒子であり、かつ分散媒が有機溶剤の場合は、上記のように分散液のpH値を無機粒子の等電点から離れた値に調整しても、分散性の改善効果は見られなかった。また、このような分散液組成では、pH値と無機粒子の等電点の調整による分散性の効果が少ないうえ、さらに分散剤をある程度添加しても、pHによる効果を向上させることはできなかった。このように、従来は、弱塩基性あるいは弱酸性無機粒子と有機溶剤の分散液組成では、無機粒子の分散性を高めるための分散剤の開発や最適な無機粒子と分散剤の選択に関する検討しかおこなわれず、添加する分散剤の量を減らすための検討はなされていなかった。
特開平5−170424号公報(特許請求の範囲) 特開2003−12320号公報(比較例2) 特開平7−267614号公報(特許請求の範囲) 特開2004−124237号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2005−48125号公報(特許請求の範囲、実施例)
従来の無機粒子の分散技術では、無機粒子として弱塩基性あるいは弱酸性無機粒子を用い、かつ分散媒として有機溶剤を用いた場合、分散剤を多量に用いる必要があり、そのため、選択した無機粒子と樹脂から得られる樹脂組成物の有効な特性が阻害されていた。また、分散液のpHを無機粒子の等電点から離れた値に調整すると分散性が良好となるが、無機粒子が弱塩基性あるいは弱酸性無機粒子であり、かつ分散媒が有機溶剤の場合は、このようなpH調整法では効果がなかった。本発明は、用いる分散剤をできるだけ少なくしながら、均一な分散が難しいとされる50nm以下の平均粒子径を有する無機粒子を均一に分散させた分散液を提供することを目的とする。
すなわち本発明は(1)弱塩基性無機粒子、酸性の分散剤、塩基性有機溶剤、および酸性化合物を含み、弱塩基性無機粒子に対する分散剤の含有量が0.1重量%以上5重量%以下であり、弱塩基性無機粒子の凝集体としての平均粒子径が1nm以上50nm以下であり、分散液のpHが4以上6以下である分散液である。
さらに別の態様として、上記(1)または(2)の分散液と樹脂を有するペースト組成物および、ペースト組成物を硬化して得られる樹脂組成物である。
本発明によると、無機粒子を分散させるために添加する分散剤の量を非常に少なくできるため、均一な分散性を確保しつつ、樹脂組成物に用いる際に選択した無機粒子と樹脂が有する熱機械特性や光学特性を低下させない優れた無機粒子分散液を提供することができる。また本発明の無機粒子分散液を用いた樹脂組成物は線膨張率が小さく、屈折率の温度変化が小さく、光伝搬損失が小さい。
本発明においては、分散液のpHを制御することが必要である。pHとは本来水溶液のプロトン濃度により定義されるものであるが、本発明においては、有機溶剤または分散液、ペースト組成物に対しても、pH計を用いて測定したときのpH値をその液体のpH値とする。pH計として、例えば、EUTECH INSTRUMENTS社製の“CyberScan”pH310(商品名)が挙げられる。pH計は、サンプル(水溶液)と内部液との間に生じる、サンプルのプロトン濃度に起因した起電力を測定し、pH値に換算している。すなわち、pH計は2つの水溶液間のプロトンの移動性について、方向と推進力を測定している。従って、サンプルが有機溶剤の場合であっても、pH計の内部液とサンプルの間でのプロトンの移動性が生じるので、pH計はサンプルを水溶液と仮定し、換算したpH値を示す。本発明では、このpH値を有機溶剤または分散液、ペースト組成物のpH値とする。また、有機溶剤には固有のプロトン授受性があり、プロトン受容性の有機溶剤では表示されるpH値は7より大きく、プロトン供与性の有機溶剤ではpH値は7より小さくなる。本発明では、pHが7より大きい有機溶剤を塩基性有機溶剤とし、pHが7より小さい有機溶剤を酸性有機溶剤とする。後述する塩基性有機溶剤や酸性有機溶剤の具体例においても、pH計によりそれぞれが塩基性あるいは酸性であることを確認できる。
本発明において、後述する大きさの無機粒子の分散性を向上させるために、弱塩基性無機粒子を用いる場合は、分散媒として塩基性有機溶剤を用い、酸性化合物を適量添加し分散液のpHを4以上6以下にし、弱酸性無機粒子を用いる場合は、分散媒として酸性有機溶剤を用い、塩基性化合物を適量添加し分散液のpHを8以上10以下にすることが必要である。pHが上記範囲を外れた場合、分散液の分散性が損なわれる。従来技術のpH調整は、分散剤を用いずに、分散液のpH値を後述する無機粒子が有する等電点の値から離れる数値とすることにより、無機粒子同士の電気的反発を大きくさせて、分散性を向上させていた。本発明では、pH値を、むしろ無機粒子の等電点に近い値とすることで、分散剤を無機粒子表面により多く配位させて、分散剤の立体障害によって無機粒子の均一な分散性を図るものであり、さらに弱塩基性無機粒子および弱酸性無機粒子のそれぞれに合わせた適切なpH値の範囲を選択するものである。よって、本発明は、分散性を高めるという目的に関して、技術形態もその原理も従来の技術とは異なる。
本発明において、分散剤の存在下で、弱塩基性無機粒子と塩基性有機溶剤を用いた分散液のpHを4以上6以下にし、弱酸性無機粒子と酸性有機溶剤を用いた分散液のpHを8以上10以下にすると、分散性が向上する理由は以下のように考えられる。
後述するように、弱塩基性無機粒子の表面電位は正である。また、塩基性有機溶剤は、pHが7より大きいことからプロトン受容性がある。よって、水素結合ほど大きくはないものの、弱塩基性無機粒子と塩基性有機溶剤との間に電気的な引力が働いていると考えられる。従って、弱塩基性無機粒子と塩基性有機溶剤との間に分散剤が入り込みにくい。ここで、酸性化合物を添加して分散液のpHを小さくすると、塩基性有機溶剤中のプロトン濃度が高まり、塩基性有機溶剤がプロトン供与性となり、弱塩基性無機粒子から脱離するので、分散剤が弱塩基性無機粒子に吸着しやすくなると考えられる。しかし、この状態から、さらに酸性化合物を加え酸性度を高くすると、分散剤の官能基の活性が失われ、分散剤が弱塩基性無機粒子から脱離するため、弱塩基性無機粒子の再凝集が生じると考えられる。つまり、分散剤の官能基の活性を保った状態で、塩基性有機溶剤のみをプロトン供与性にした場合、弱塩基性無機粒子と分散剤との吸着力が強められ、良好な分散性が発現すると考えられる。
塩基性有機溶剤としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられ、酸性有機溶剤としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
本発明の酸性化合物として、塩酸、シュウ酸、蟻酸、リン酸、酢酸やこれらの水溶液などが挙げられる。また、塩基性化合物として、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、トリエタノールアミンやこれらの水溶液やアンモニア水などが挙げられる。用いる酸性化合物および塩基性化合物について特に限定はされないが、制御するpHが4以上6以下の弱酸性領域、あるいはpHが8以上10以下の弱塩基性領域であるので、リン酸や酢酸などの弱酸や、アンモニア水、トリエタノールアミンなどの弱塩基を用いることが、制御の容易さ、また、作業の安全性から好ましい。また、酸性化合物や塩基性化合物自体が分散剤同様に材料の特性を低下させることがあるので、これらは低分子量の有機化合物、あるいは無機化合物であることが好ましい。
次に、本発明の弱塩基性無機粒子および弱酸性無機粒子について説明する。無機粒子は表面に正または負の表面電位を有するが、水や有機溶剤などの液体中の無機粒子は、表面に無機粒子の表面電位とは正負符号が反対のイオンが親和し、ゼータ電位と呼ばれる無機粒子の表面電位とは正負符号が反対の表面電位を持っている。液体中の無機粒子のゼータ電位は、液体のpHにより変化し、ゼータ電位がゼロとなるpHをその無機粒子の等電点と呼ぶ。液体のpHを小さくすると無機粒子表面に配位するプロトンが多くなるので、ゼータ電位は大きくなり、pHを大きくすると無機粒子表面に配位するプロトンが少なくなるので、ゼータ電位は小さくなる。
本発明における弱塩基性無機粒子は、等電点が3以上7未満である無機粒子をいう。また、本発明における弱酸性無機粒子は、等電点が7より大きく11以下である無機粒子をいう。
弱塩基性無機粒子の等電点は酸性領域にあるので、中性の液体中での弱塩基性無機粒子のゼータ電位は負である。したがって弱塩基性無機粒子の表面電位は正である。また、弱酸性無機粒子の等電点は塩基性領域にあるので、弱酸性無機粒子の中性の液体中でのゼータ電位は正であり、弱酸性無機粒子の表面電位は負である。なお、粒子そのものの表面電位は直接測定できないので、間接的にゼータ電位や等電点から定義した。
無機粒子の等電点を測定するには、まず、無機粒子の2次粒子を水に混ぜ、ホモジナイザーなどで分散させてスラリーを作製する。次いで、作製したスラリーを用いて、ゼータ電位測定装置にて無機粒子のゼータ電位を測定し、酸や塩基を添加し、ゼータ電位がゼロになるpHを測定すればよい。ゼータ電位を測定する装置は数社から市販されており、例えば、シスメックス(株)製の“ゼータサイザーナノ”(商品名)が挙げられる。
本発明で用いる弱塩基性無機粒子および弱酸性無機粒子は特に限定されないが、Si、Al、Mg、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Ag、In、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、Hf、Ta、W、Re、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luなどの酸化物、硫酸塩、炭酸塩、フッ化物などの単独塩もしくは、複塩のMgAlなどが挙げられる。これらの無機粒子が有する等電点に基づき、弱塩基性無機粒子および弱酸性無機粒子として適宜選択する。また具体的には弱塩基性無機粒子として等電点が4.0の硫酸バリウム、4.5のチタン酸バリウム、弱酸性無機粒子として等電点が9.1のアルミナがある。
本発明では、分散液に含まれる無機粒子は1次粒子あるいは凝集体として存在するものであり、その存在する大きさを示す平均粒子径は、分散液中で幾つかの1次粒子が凝集した状態での無機粒子の、体積換算での分布におけるメジアン径(50%粒子径)である。無機粒子の平均粒子径を測定する方法としては、レーザーによる静的光散乱方式や動的光散乱方式が挙げられるが、50nm以下の粒子径を高精度で評価する場合は、動的光散乱方式を用いる方が好ましい。この方式による粒子径測定装置として、例えば、日機装(株)製の“ナノトラック”UPA−EX150(商品名)が挙げられる。
本発明の無機粒子の凝集体としての平均粒子径は、50nm以下が好ましい。この大きさであると無機粒子によるレイリー散乱による光透過性の低下への影響が大きくならないからである。また無機粒子の凝集体としての平均粒子径は1nm以上が好ましい。この大きさであると無機粒子の体積に対する表面積の割合が大きくないため、無機粒子の良好な分散状態を得ることができる。なお、粒子径が小さい無機粒子は比表面積が大きく表面エネルギーが大きいために、粉体状で粒子径の小さい1次粒子の状態では存在しにくく、1次粒子が凝集した2次粒子や、2次粒子がさらに凝集した3次粒子の状態である場合が多い。このような場合は、ビーズミルなどの分散機で1次粒子近くまでに分散して用いてもよい。
分散剤としては、無機粒子との吸着基が酸性である硫酸エステル系、スルホン酸エステル系、リン酸エステル系、カルボン酸系などの分散剤や、無機粒子との吸着基が塩基性であるアミン系などの分散剤が挙げられる。無機粒子との良好な分散性を発現させるためには、通常は、弱塩基性無機粒子を扱う場合は酸性の分散剤を用い、弱酸性無機粒子を扱う場合は塩基性の分散剤を用いるのが好ましい。弱塩基性無機粒子は、上述したように、表面電位は正である。一方、酸性の分散剤は官能基からプロトンが解離して負の電位を持つ。よって、弱塩基性無機粒子と酸性の分散剤との組み合わせは、両者が電気的に引き合い、分散剤が無機粒子表面に吸着するので、無機粒子同士の接近が阻害され、良好な分散性が得られると考えられる。同様に、弱酸性無機粒子と塩基性の分散剤の組み合わせに関しても分散性が良好であると考えられる。
一般に、無機粒子を分散させた分散液やペースト組成物において、これまでは平均粒子径50nm以下で無機粒子を良好に分散するために、分散剤を多量に添加していた。しかしながら、本発明では、分散液中の無機粒子および有機溶剤の酸塩基性の組み合わせ、及び分散液のpHを無機粒子の酸塩基性(等電点)に合わせた適切な範囲に調整することによって、分散剤の量を無機粒子に対し0.1重量%以上5重量%以下にすることができ、少量の分散剤で良好な分散状態を実現できる。分散剤の量が5重量%以下であると、本発明の分散液やペースト組成物から得られる樹脂組成物の熱機械特性や光学特性が極めて良好となる。また、分散剤の量が0.1重量%以上であると、本発明で用いる粒子径の無機粒子を良好に分散させることができる。この範囲の含有量にすることによって、分散剤が材料に与える好ましくない影響を大きく低減できる。好ましくない影響とは分散剤が有する官能基と樹脂の官能基が相互作用し、樹脂の硬化反応時に硬化を阻害したり、分散剤が基板との接着性低下を引き起こしたりすることなどがある。
分散処理中の分散液の粘度は低い方が好ましい。分散処理中の粘度は直接測定するのは難しいので、分散処理中の分散液のサンプルを抜き取り、5分後に測定した粘度を、分散液の分散処理中の粘度とする。この場合、分散処理中の粘度が20mPa・s以下であることが好ましい。無機粒子の粒子径が目標に達すれば、分散液の粘度が高い方が粒子の再凝集が遅くなるので好ましい場合もあるが、分散処理中に粘度が上昇すると、ボールやビーズなどの分散メディアが無機粒子に与える衝撃力が弱まるので、分散に多くのエネルギーや時間を費やすことになり分散効率が悪くなる。分散処理中の分散液の粘度が20mPa・sより大きくなると、平均粒子径を50nm以下に分散させるのは非常に困難となる。
本発明の分散液の製造方法について説明する。
粉体状態の無機粒子、分散剤、有機溶剤を所定の分量で混合し、攪拌する。無機粒子の混合量は、全体の量に対し5重量%以上であることが好ましい。この混合量であると、作製した分散液と樹脂材料を混合する場合に、有機溶剤過多による粘度低下を避けることができ、厚膜形成が容易となる。また、無機粒子の混合量が全体の量に対し70重量%以下であることが好ましい。この混合量であると、分散処理中の分散液の粘度が高くなりすぎず、効率よく、良好な分散状態を実現できる。
混合直後は、無機粒子の表面を空気の層が覆っているため、無機粒子と有機溶剤との濡れが十分でなく、粘度が上昇する場合がある。この場合は、無機粒子と有機溶剤が完全に濡れるまで、回転羽根や攪拌棒で時間をかけて攪拌するのが好ましい。
無機粒子、分散剤、有機溶剤を混合した後、分散装置にて無機粒子の分散処理を行う。本発明における無機粒子の分散には、ボールミル、ビーズミル、ホモジナイザー、超音波分散機など挙げられるが、平均粒子径が50nm以下の微小粒子径までの分散には、ボールミルやビーズミルが好ましい。特に、分散メディアの粒子径が小さい方が、より細かく分散でき、例えば、ビーズミルの分散メディアとしては、粒子径が0.05mm以下のジルコニアビーズを用いることが好ましい。ただし、粒子径が小さい分散メディアは、細かい粒子を分散するのには適しているが、大きな粒子を分散するには与える衝撃力が小さいので、初めに、例えば、粒子径が0.5mmのビーズで無機粒子の平均粒子径が100nm程度になるまで分散を行ってから、次に、微小ビーズでの分散を施した方が、分散処理の効率性から好ましい。ここで、平均粒子径が100nm程度になるまでの分散処理を粗分散とよび、その後の50nm以下の微小粒子径への分散処理を本分散とよぶ。粗分散をホモジナイザーで行い、本分散をビーズミルで行うなど、粗分散と本分散を異なる装置にて行うこともできる。ビーズミルにおいては、サンプルをミル本体へチューブを通して送液する方式のものが多く、粗分散をビーズミルで行うと、粒子径の大きな粒子が送液チューブ中で目詰まりする場合がある。粗分散をホモジナイザーなど別の装置で行うと、これを避けることができる。
酸性化合物または塩基性化合物を添加するタイミングは、分散機による分散処理前にあらかじめ添加してもよいし、分散処理中に加えてもよい。無機粒子が2次粒子から1次粒子へと分散される際に、新たな表面が生じるので、pHも変化する。よって、分散処理中にpHをモニターし、常にpHが所定の範囲内にあるように微調整することは、分散処理の効率性から好ましい。また、pHが所定の範囲から外れた状態で分散処理を施し、分散処理後にpHを調整しても分散性を改善することができる場合が多い。
以下のように、本発明の分散液と、樹脂材料とを混ぜ合わせ、ペースト組成物を作製することができる。
本発明で用いられる樹脂は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテルなどの熱可塑性樹脂や、ポリイミド、ポリノルボルネン、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、BT(ビスマレイミド・トリアジン)樹脂、ベンゾシクロブテン、ポリシロキサンなどの熱硬化型樹脂などが挙げられる。また、UV硬化型樹脂や、アラミド樹脂なども用いることができる。
分散液と樹脂材料を混合する場合は、樹脂材料中に分散液を所定量となるまで注入してもよいし、分散液中に樹脂材料を所定量となるまで注入してもよい。このとき、作製されるペースト組成物のpHが弱塩基性無機粒子および弱酸性無機粒子の各々に応じた上記の範囲であることが、無機粒子の良好な分散性を損なわないために好ましい。樹脂材料を混ぜ合わせることによりpHが変化する場合は、上述した酸性化合物あるいは塩基性化合物を適量添加し、pHを調整する。これら化合物を添加するタイミングは、混合処理前にあらかじめ、分散液または樹脂材料に添加してもよいし、混合処理中あるいは混合処理後に添加してもよい。また、分散液や樹脂材料の粘度が高い場合、混合する際に局所的にpHが不均一となり、無機粒子の分散性が低下することがあるので、分散液または樹脂材料の一方を攪拌しながら、もう一方を少量ずつ注入することが好ましい。
所定量の無機粒子と樹脂材料を混合して得られたペースト組成物を、さらに均質に混ぜ合わすために、上記と同様のボールミルやロールミルを用いることができる。また、混合処理によりペースト組成物中に気泡が混入した場合は、静置する、あるいは攪拌脱泡機を用いるなどして、気泡を除去すると、ペースト組成物を用いて作製する樹脂組成物中への気泡の混入を避けることができる。
ペースト組成物の粘度を調整するために、さらに有機溶剤を添加したり、加熱や減圧により有機溶剤を適量除去してもよい。また、加熱処理やUV光照射により樹脂の架橋反応を進行させてもよい。その他、目的に応じて、消泡剤、酸化防止剤、可塑剤、シラン系やチタン系のカップリング剤などをペースト組成物中に適宜添加してもよい。これら添加物を加える際も、上述したようにペースト組成物のpHに留意する必要がある。
本発明のペースト組成物は、光導波路材料以外にも、高誘電率層間絶縁材料などを製造するためにも用いることができる。
本発明のペースト組成物を用いて、樹脂材料中に無機粒子が分散した樹脂組成物を作製することができる。
樹脂組成物を作製する方法としては、ペースト組成物を基板上に塗布する、延伸してフィルム状または糸状にする、あるいは型に流し込む、などにより成型した後、加熱処理により有機溶剤を除去し、硬化させる方法がある。
有機溶剤を除去するには、オーブンやホットプレートによる加熱乾燥の他、真空乾燥、赤外線やマイクロ波などの電磁波による加熱などが挙げられる。無機粒子を含む樹脂組成物では、樹脂材料のみのときよりも、有機溶剤が除去されにくい場合があり、より大きな処理エネルギーまたは処理時間を要する場合がある。
また、必要であれば、有機溶剤を除去した後に、加熱処理またはUV光照射などにより、樹脂組成物の架橋反応などの硬化反応を進行させることもできる。
本発明の樹脂組成物を用いて以下のように光導波路を作製することができる。この場合、光透過性を上げるために、混ぜ合わす無機粒子と樹脂の屈折率が近い方が好ましい。
チャネル型と呼ばれる光導波路は、光の通り道である線状のコア層と、その周囲を覆うコア層よりも屈折率の低いクラッディング層を有しており、本発明の樹脂組成物をコア層とクラッディング層の両方に用いてもよいし、どちらか一方のみに用いてもよい。また、コア層とクラッディング層との屈折率差が大きい方が、伝搬光の閉じ込め効果が大きく好ましい。また、スラブ型と呼ばれる光導波路は、光の通り道である層状のコア層と、その上下を覆うコア層よりも屈折率の低いオーバークラッディング層とアンダークラッディング層の3層構造であり、チャネル型同様、本発明の樹脂組成物をそれぞれの層材料に適用できる。
光導波路のクラッディング層、コア層の屈折率や厚みは、設計する光導波路により任意に選択することができる。マルチモード導波路の場合は、コア層とクラッディング層の屈折率差が大きく、コア層を厚くするのが適している。シングルモードの場合は、コア層とクラッディング層の屈折率差が小さく、コア層を薄くし、シングルモード伝搬を実現する。
チャネル型光導波路を作製する方法は、例えば以下のようなものがある。ガラスやシリコンウエハー、ガラスエポキシ基板、プラスチックフィルムなどの基板上に、アンダークラッディング層用材料を塗布し、乾燥し、膜を形成する。さらに、コア層用材料を塗布し、乾燥し、膜を形成する。次いで、コア層にリアクティブイオンエッチングによりパターン形成を行う。コア層用材料に感光性樹脂を用いた場合は、露光・現像を行うフォトリソグラフィーによりパターン形成を行うことができる。次に、コア層の上にオーバークラッディング層用材料を塗布し、乾燥し、膜を形成する。
塗布膜を形成する方法としては特に限定されず、例えば、スピンナー、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーターなどが挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また実施例で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
γ−BL:γ−ブチロラクトン
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
TEA:トリエタノールアミン
また、用いた無機粒子の等電点を以下に示す。
硫酸バリウム:4.0
チタン酸バリウム:4.5
アルミナ:9.1 。
無機粒子の分散方法および各特性の測定方法は以下の通りである。
<無機粒子の等電点の測定方法>
まず、無機粒子の2次粒子を水に混ぜ、ホモジナイザーで分散させてスラリーを作製した。次いで、作製したスラリー中の無機粒子のゼータ電位を測定した。続いて、このスラリーに、ゼータ電位を測定しながら酸性水溶液もしくは塩基性水溶液を添加し、ゼータ電位がゼロとなるスラリーを作製した。さらに、ゼータ電位がゼロとなったスラリーのpHを測定し、等電点とした。ゼータ電位の測定は、スラリー温度25℃で、シスメックス(株)製の“ゼータサイザーナノ”(商品名)を用いて行った。酸性水溶液には濃度0.01mol/Lの塩酸水溶液を用いた。塩基性水溶液には濃度0.01mol/Lの水酸化カリウム水溶液を用いた。pHの測定は、EUTECH INSTRUMENTS社製のpH計pH310を用いて、スラリー温度25℃で行った。
<無機粒子の分散方法>
無機粒子の分散は寿工業(株)製のビーズミルUAM−015を用い、初めに0.5mm径のジルコニアビーズを用いて、周速8m/sにて、30分間粗分散を行い、次いで0.05mm径のジルコニアビーズを用いて、周速12m/sにて、90分間本分散を行った。
<分散液のpHの測定方法>
EUTECH INSTRUMENTS社製のpH計pH310を用いて、25℃で測定した。
<分散液に含まれる無機粒子の平均粒子径の測定方法>
日機装(株)製の粒度分布測定装置UPA−150を用いて25℃で測定した。分散処理を終了した時点から5分後に測定した。
<分散液の粘度の測定方法>
東機産業(株)製の粘度計RE−115Lを用いて25℃で測定した。分散処理を終了した時点から5分後に測定した。
<樹脂組成物の線膨張率の測定方法>
エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製のTMA測定装置TMA/SS6100を用いて、窒素雰囲気中、室温から120℃まで昇温し、再び室温まで降温したときのサンプルの変移を測定し、50℃から70℃における昇降温の平均の線膨張率を算出した。サンプルとして、樹脂組成物をガラス基板上に厚さ100μmの膜状に形成し、5mm×5mmにガラス基板ごと切断したものを用い、膜厚方向の変移を5gの押し込み荷重にて測定した。変移測定における昇降温は、サンプルの温度履歴を除去するために、連続して2度繰り返し、2度目の測定結果を用いた。また、ガラス基板の持つ温度変移を除去するため、ガラス基板のみの測定結果をサンプルの測定結果から差し引いた。
<樹脂組成物の屈折率の測定方法>
メトリコン社製のプリズムカップラー装置2010と専用のP−1プリズムを用いて25℃で測定した。また、同装置にて、40℃、60℃、80℃および100℃での屈折率を測定し、屈折率の温度に対する変化率を算出した。
<光導波路の光伝搬損失の測定方法>
JPCA規格(JPCA−PE02−05−01S−2004)に準じてカットバック法で測定した。入射側および出射側の光ファイバーは、コア径が50μmで開口数が0.28のマルチモードタイプを用いた。測定温度は23℃で、測定波長は850nmで行った。
実施例1〜5、比較例1〜4
弱塩基性無機粒子として硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、BF−40:平均1次粒子径10nm)、分散剤としてリン酸エステル系分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、Disperbyk−111)、塩基性有機溶剤としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、および酸性化合物としてリン酸を、表1に示した量で混合したものを、上記の無機粒子の分散方法に従い分散し、分散液を得た。同表に、得られた分散液のpH、粘度、および無機粒子の平均粒子径の評価結果を示す。
実施例6、比較例5
弱塩基性無機粒子として硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、BF−40:平均1次粒子径10nm)、分散剤としてリン酸エステル系分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、Disperbyk−111)、塩基性有機溶剤としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、および酸性化合物として酢酸を、表1に示した量で混合したものを、ビーズミルを用いて分散し、分散液を得た。同表に、得られた分散液のpH、粘度、および無機粒子の平均粒子径の評価結果を示す。
実施例7、比較例6
弱塩基性無機粒子として硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、BF−40:平均1次粒子径10nm)、分散剤としてリン酸エステル系分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、Disperbyk−111)、塩基性有機溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、および酸性化合物としてリン酸を、表1に示した量で混合したものを、ビーズミルを用いて分散し、分散液を得た。同表に、得られた分散液のpH、粘度、および無機粒子の平均粒子径の評価結果を示す。
実施例8、比較例7〜9
弱塩基性無機粒子として硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、BF−40:平均1次粒子径10nm)、分散剤としてリン酸エステル系分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、Disperbyk−111)、塩基性有機溶剤としてγ−ブチロラクトン(γ−BL)、および酸性化合物としてリン酸を、表1に示した量で混合したものを、ビーズミルを用いて分散し、分散液を得た。同表に、得られた分散液のpH、粘度、および無機粒子の平均粒子径の評価結果を示す。
実施例9、比較例10
弱塩基性無機粒子としてチタン酸バリウム(戸田工業(株)製、T−BTO−010RF:平均1次粒子径10nm)、分散剤としてリン酸エステル系分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、Disperbyk−111)、塩基性有機溶剤としてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、および酸性化合物としてリン酸を、表1に示した量で混合したものを、ビーズミルを用いて分散し、分散液を得た。同表に、得られた分散液のpH、粘度、および無機粒子の平均粒子径の評価結果を示す。
比較例11〜12
弱塩基性無機粒子として硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、BF−40:平均1次粒子径10nm)、分散剤としてリン酸エステル系分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、Disperbyk−111)、有機溶剤として酸性有機溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、および酸性化合物としてリン酸を、表1に示した量で混合したものを、ビーズミルを用いて分散し、分散液を得た。同表に、得られた分散液のpH、粘度、および無機粒子の平均粒子径の評価結果を示す。
Figure 0005151042
実施例10〜13、比較例13〜15
弱酸性無機粒子としてアルミナ(戸田工業(株)製、TR−7809:平均1次粒子径20nm)、分散剤として分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、Disperbyk−106)、酸性有機溶剤としてPGMEA、および塩基性化合物としてトリエタノールアミン(TEA)を、表2に示した量で混合したものを、ビーズミルを用いて分散し、分散液を得た。同表に、得られた分散液のpH、粘度、および無機粒子の平均粒子径の評価結果を示す。
比較例16
弱酸性無機粒子としてアルミナ(戸田工業(株)製、TR−7809:平均1次粒子径20nm)、分散剤として分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、Disperbyk−106)、有機溶剤として塩基性有機溶剤であるDMAc、および塩基性化合物としてTEAを、表2に示した量で混合したものを、ビーズミルを用いて分散し、分散液を得た。同表に、得られた分散液のpH、粘度、および無機粒子の平均粒子径の評価結果を示す。
Figure 0005151042
実施例14
重量比で、エポキシ樹脂:硫酸バリウム=40:60となるように、実施例1で得られた分散液と液状エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンHP4032D)と硬化促進剤(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)をボールミルを用いて混合し、ペースト組成物を作製した。液状エポキシ樹脂と硬化促進剤の混合比は、重量比で100:2となるようにした。得られたペースト組成物のpHは5.8であった。
上記ペースト組成物をバーコーターを用いて、石英基板上に塗布し、大気中でオーブンを用いて80℃で1時間乾燥したのち、硬化のために窒素中180℃で1時間加熱し、厚さ100μmの膜を形成した。測定波長850nmでの屈折率は1.607であり、屈折率の温度変化率は29ppm/℃と小さな値であった。また、膜厚方向の線膨張率は88ppm/℃であった。
100mm×100mmの石英基板上に、液状エポキシ樹脂(エポッテック社製#314)をスピンコーターを用いて塗布し、大気中でオーブンを用いて80℃で1時間乾燥した後、硬化のために窒素中150℃で1時間加熱し、厚さ10μmのアンダークラッディング層を形成した。屈折率を測定したところ1.505であった。次に、ペースト組成物をバーコーターを用いて、石英基板上に形成したアンダークラッディング層上に塗布し、大気中でオーブンを用いて80℃で1時間乾燥したのち、硬化のために窒素中180℃で1時間加熱し、厚さ50μmのコア層を形成した。次に、通常の、フォトレジストによるマスク形成とリアクティブイオンエッチングにより、コア層を幅50μmの形状に形成した。
さらにこの上にアンダークラッディング層と同じ材料をスピンコーターを用いて塗布し、80℃で1時間乾燥した後、硬化のために窒素中150℃で1時間加熱し、厚さ10μmのオーバークラッディング層を形成し、光導波路を得た。
この光導波路を、光導波路に垂直な端面を形成するように、ダイシング装置で丁寧にカットした。このようにして基板の両端に上記端面が形成され、光導波路の長さが7cmとなる基板を得た。一方の端面からのマルチモード光ファイバーによる波長850nm光の導入と、もう一方の端からのフォトディテクターによる受光を行い、カットバック法により、光伝搬損失を求めたところ、0.1dB/cmと小さな値であった。
比較例17
実施例1で得られた分散液を用いる代わりに、比較例1で得られた分散液を用いたこと以外は、実施例14と同様にしてペースト組成物を作製した。得られたペースト組成物のpHは11.0であった。ペースト組成物を用いて膜を形成したところ、色が白くなった。測定波長850nmでの屈折率は1.601であり、屈折率の温度変化率は32ppm/℃であった。また、膜厚方向の線膨張率は95ppm/℃であった。作製した光導波路について、カットバック法により、光伝搬損失を求めたところ、5dB/cmと大きな値であった。
比較例18
実施例1で得られた分散液を用いる代わりに、弱塩基性無機粒子として硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、BF−40:平均1次粒子径10nm)250g、分散剤としてリン酸エステル系分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、Disperbyk−111)25g、塩基性有機溶剤としてDMAc750gを混合しビーズミルを用いて分散することで、得られた分散液を用いたこと以外は、実施例14と同様にしてペースト組成物の作製を行った。この組成での無機粒子に対する分散剤量は10重量%である。分散液中の硫酸バリウムの平均粒子径は18nmであり良好に分散できた。また、ペースト組成物のpHは9.7であった。しかし、ペースト組成物を用いて膜を形成しようとしたところ、材料の流動性が高く、厚さ2μm以上の膜を形成できなかった。このため線膨張率の測定、および光導波路の形成はできなかった。厚さ1.5μmの膜は形成できたので、屈折率を測定したところ、測定波長850nmでの屈折率は1.588であり、屈折率の温度変化率は91ppm/℃であった。

Claims (3)

  1. 弱塩基性無機粒子、酸性の分散剤、塩基性有機溶剤、および酸性化合物を含み、弱塩基性無機粒子に対する分散剤の含有量が0.1重量%以上5重量%以下であり、弱塩基性無機粒子の平均粒子径が1nm以上50nm以下であり、分散液のpHが4以上6以下である分散液。
  2. 請求項1記載の分散液と樹脂を有し、ペースト組成物のpHが4以上6以下であるペースト組成物。
  3. 請求項2記載のペースト組成物を硬化させて得られる樹脂組成物。
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