JP5150317B2 - 電動自転車 - Google Patents
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電動自転車には、一般に、補助駆動力を発生するためのモータと、そのモータに電力を供給するためのバッテリーとが搭載されている。バッテリーからモータに供給される電流値に応じてモータの発生する出力トルクが変化するから、適切な補助駆動力を発生させるためには、バッテリーからモータに与えられる電流値を制御する必要がある。
ところで、このような充電可能なバッテリーには、出力電流の制限値が決められている。制限値には、数秒程度の瞬間的なピーク値に対する制限(すなわち瞬時電流制限値)と、ある程度長い期間における平均値に対する制限(すなわち平均電流制限値)とがある。バッテリーを使用する場合は、両方の制限下において使用しなければならず、その制限下で最大出力を取り出すことが必要である。
従来の電動自転車は、バッテリーを出力電流値の制限下で適切に使用しながら、良好な補助駆動力を発生する構成は提案されていない。
そこでこの発明は、バッテリーの出力電流値の制限を守りながら使用し、しかも適切な補助駆動力をモータにより発生させることのできる電動自転車を提供することを主たる目的とする。
そして、Bn>Anのときは、次の1回の漕ぎ動作における瞬時電流制限値を一定値下げることにより、負荷が大きな状態(モータによる補助駆動力を多く必要とする状態)であっても、平均電流制限値に対する制限を守りながら、バッテリーから電流を出力させることができる。
なお、瞬時電流制限値を一定量増加させる場合は、最大値まで増加させたときの電流値が、瞬時電流制限値の標準値を超えないようにすれば、瞬時電流制限値の制限も守ることができる。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動自転車10の左側面図である。
図1を参照して、電動自転車10には、フレーム1、ハンドル2、前輪3、後輪4、サドル5、ペダル6、ブレーキレバー7といった自転車の基本構成要素が備えられている。さらに、電動自転車10には、サドル5を保持するフレーム1に取り付けられたバッテリー11と、このバッテリー11からの電力により駆動されるモータ18が備えられている。モータ18は、前輪3のハブ8に組み込まれている。よって、この電動自転車10は、モータ18による駆動補助力により前輪3が回転され、ペダル6を回転させる人力により後輪4が駆動される両輪駆動方式となっている。
電動自転車10には、バッテリー11により電力が供給される前照灯20および尾灯22が備えられている。
なお、後述するインバータ14、制御回路24(マイコン26)等の電気回路部品は、バッテリー11の下方に設けられたコントロールユニット41内に備えられている。
図2を参照して、電動自転車10には、バッテリー11として、たとえばリチウムイオン電池またはニッケル水素電池という充電可能な電池が用いられている。バッテリー11の正側端子には電気配線12、13によりインバータ14の一方接続端子が接続されている。また、インバータ14の他方接続端子は電気配線15、16によりバッテリー11の負側接続端子と接続されている。そしてインバータ14には電気配線17によってモータ18が接続されている。
バッテリー11の正側接続端子には電気配線12、19を介して前照灯20の一方接続端子が接続され、前照灯20の他方接続端子は電気配線21、15、16を介してバッテリー11の負側接続端子と接続されている。
さらに、バッテリー11の正側接続端子には、電気配線12を介して尾灯(テールランプ)22の一方接続端子が接続されている。尾灯22の他方接続端子は電気配線16を介してバッテリー11の負側接続端子と接続されている。
よって、尾灯22は、バッテリー11の電力により点灯され得る。
よって、マイクロコンピュータ(マイコン)26を含む制御回路24には、バッテリー11からの電力が供給され、制御回路24はこの電力により駆動される。
制御回路24は、信号配線33によって前照灯20と接続されているとともに、信号配線34によって尾灯22と接続されている。よって、制御回路24は、前照灯20および尾灯22の点灯、点滅等を制御する。
また、バッテリー11には、温度センサ37が備えられている。温度センサ37は、バッテリー11自体の温度、またはバッテリー11の周囲温度等を検出するセンサである。温度センサ37の検出温度は信号線38により制御回路24へ与えられる。
制御回路24は、所定の制御周期(割込ルーチン)で、点灯スイッチ29の状態をモニタし、点灯スイッチ29がオンされたか否かの判別をする(ステップS1)。
そして、点灯スイッチ29がオンされたときには、前照灯20を点灯させるとともに、尾灯22を相対的に遅い速度で点滅(遅点滅)させる(ステップS2)。尾灯22の遅点滅の速度は、たとえば0.2秒点灯、1秒消灯の繰り返しを例示できる。
図4は、制御回路24により行われるブレーキ状態検出制御動作を示すフローチャートである。
図4の流れに従って、図2を参照して説明すると、制御回路24は、所定の制御周期(割込ルーチン)でブレーキスイッチ31の状態をモニタしている。そして、運転者によりブレーキレバー7が操作されたブレーキ状態か否かが、ブレーキスイッチ31がオンしたか否かにより判別される(ステップS11)。
一方、制御回路24は、ブレーキスイッチ31がオンでないと判別したときには、インバータ14を駆動モードとする(ステップS14)。インバータ14が駆動モードでは、バッテリー11の電力はインバータ14からバッテリー18へと与えられ、モータ18を必要に応じて駆動させることができる。
図4に示すブレーキ状態の検出制御によれば、ブレーキスイッチ31がオンされると、尾灯22を速点滅して、尾灯22によりブレーキ状態であることをわかり易く報知できる。また、尾灯22の速点滅に必要な電力をモータ18からの回生電力により供給することができるので、バッテリー11の電力消費を抑制することができる。
通常、バッテリー11には出力電流の制限値が決められている。制限値には、数秒程度の瞬間的なピーク値に対する制限(すなわち瞬間電流制限値)と、ある程度長い期間における平均値に対する制限(すなわち平均電流制限値)があり、電動自転車10では、両方の制限下で、バッテリー11から最大電力を取り出すことが必要である。
図5において、縦軸は瞬間電流制御値および平均電流制御値を示しており、瞬間電流制御値>平均電流制御値である。横軸は、複数回数分の漕ぎ動作を示している。1回の漕ぎ動作は、漕ぎ出しから漕ぎ終わりまでである。この1回の漕ぎ動作は、片方のペダル6(たとえば右ペダル)が半回転することにより行われ、次の1回の漕ぎ動作は、他方のペダル6(たとえば左ペダル)が半回転することにより行われる。
制御回路24では、ペダルセンサ39で検出される踏み力に応じ、モータ18の生じる補助駆動力(出力トルク)を増減する。大まかに言えば、ペダルセンサ39で検出される踏み力が大きければ、モータ18の生じる補助駆動力を大きくし、踏み力が小さければ、補助駆動力を小さくする。
瞬時電流制限値を平均電流制限値に至るまで下げれば、平均電流制限値は許容値内に収まるはずである。
このような制御を継続することにより、負荷が大きな状態が続いても、ピーク電流値に対する制限(瞬時電流制限値の制限)および平均電流値に対する制限(平均電流制限値の制限)が守られ、バッテリー11を安全にかつ効果的に使用することができる。
次に、図5を参照して説明した制御回路24において実行される制御動作を、図6および図7のフローチャートの流れに沿って説明をする。
比較の結果、Bn>Anの場合には、瞬時電流制限値の現在値を所定の値だけ低減させる(ステップS25)。
逆に、Bn≦Anであれば、瞬時電流制限値の現在値が瞬時電流制限値の標準値(最大値)になっていないことを確認し(ステップS26)、瞬時電流制限値の現在値を一定値増加させる(ステップS27)。
すなわち、図7の流れに従って、漕ぎ出しの検知を判別し(ステップS31)、ペダルセンサ39の出力に基づいて漕ぎ出しを検知した場合には、電流センサ35から入力される電流瞬時値と、瞬時電流制限値の大小を比較する(ステップS32)。そして電流瞬時値が瞬時電流制限値よりも大きい場合には、インバータ14を制御して、モータ18の駆動デューティを低減させる(ステップS33)。
逆に、モータトルク指示値がモータトルク出力値以下であれば、インバータ14を制御してモータ18の駆動デューティを低減させる(ステップS36)。
以上の動作が行われることにより、ペダルセンサ39により検出される踏み力が大きいほどモータ18のトルク出力値を大きくして大きな補助駆動力を発生させ、踏み力に応じた適切な補助駆動力が発生される。しかも、補助駆動力を発生させるためにモータ18に与える電流値が、瞬時電流制限値および平均電流制限値のいずれの制限をも満たすように制御することができる。
11 バッテリー
14 インバータ
18 モータ
20 前照灯
22 尾灯
24 制御回路
26 マイクロコンピュータ(マイコン)
29 点灯スイッチ
31 ブレーキスイッチ
35 電流センサ
37 温度センサ
39 ペダルセンサ
Claims (3)
- ペダルを人力回転することにより生じる駆動力に加えて、モータによる補助駆動力を発生することのできる電動自転車であって、
前記ペダルに与えられる踏み力を検出する踏み力検出手段と、
電力が蓄えられるバッテリーと、
前記バッテリーの電力により駆動されるモータと、
前記バッテリーとモータとの間に設けられ、前記バッテリーと前記モータとの間の電力の授受を制御する電力制御手段と、
前記踏み力検出手段の検出値に基づいてペダルの漕ぎ出しおよび漕ぎ終わりを検出し、前記ペダルの漕ぎ出しから漕ぎ終わりまでの1回の漕ぎ動作の間に、前記モータに供給される電流量を積算する電流量積算手段と、
前記電流量積算手段の積算結果に基づいて、次のペダルの漕ぎ出しから漕ぎ終わりまでの1回の漕ぎ動作の間に前記モータに供給される電流量を制限する電流規制手段と、
を含み、
前記電流量積算手段は、前記バッテリーに対して予め定められている平均電流制限値をしきい値として有しており、
前記ペダルの漕ぎ出しから漕ぎ終わりまでの1回の漕ぎ動作の間に、前記モータに供給される平均電流制限値以下の電流の積算量をAnとし、平均電流制限値を超過した電流の積算量をBnとして積算し、
前記電流規制手段は、前記電流量積算手段の積算結果がBn>Anのときは、次のペダルの漕ぎ出しから漕ぎ終わりまでの1回の漕ぎ動作における瞬時電流制限値を一定値下げることを特徴とする電動自転車。 - 前記電流規制手段は、前記バッテリーに対して予め定められている瞬時電流制限値を比較値として有しており、
前記ペダルの漕ぎ出しから漕ぎ終わりまでの漕ぎ動作の間に、前記モータに供給される電流値が前記瞬時電流制限値を超えないように制限することを特徴とする、請求項1記載の電動自転車。 - 前記電流規制手段は、前記電流量積算手段の積算結果がBn≦Anのときは、次のペダルの漕ぎ出しから漕ぎ終わりまでの1回の漕ぎ動作における瞬時電流制限値を一定値増加させることを特徴とする、請求項1または2に記載の電動自転車。
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