JP5148784B1 - シリコン精製装置 - Google Patents

シリコン精製装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5148784B1
JP5148784B1 JP2012530812A JP2012530812A JP5148784B1 JP 5148784 B1 JP5148784 B1 JP 5148784B1 JP 2012530812 A JP2012530812 A JP 2012530812A JP 2012530812 A JP2012530812 A JP 2012530812A JP 5148784 B1 JP5148784 B1 JP 5148784B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooling
cooling fluid
silicon
circulation path
compressor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012530812A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2013121504A1 (ja
Inventor
佳彦 永田
勇治 山崎
秀男 牧野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP5148784B1 publication Critical patent/JP5148784B1/ja
Publication of JPWO2013121504A1 publication Critical patent/JPWO2013121504A1/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B33/00Silicon; Compounds thereof
    • C01B33/02Silicon
    • C01B33/037Purification

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Silicon Compounds (AREA)

Abstract

溶融シリコン(10)を保持する坩堝(114)と、坩堝(114)に保持されたシリコンを加熱する加熱部(113)と、内部を冷却流体が通流した状態で溶融シリコン(10)中に浸漬可能に支持された冷却体と、冷却体を通流して吸熱した冷却流体を冷却することにより、冷却流体を冷却体に再度通流可能に再生する冷却部と、冷却流体を圧縮する圧縮機(270)とを備える。冷却体、冷却部および圧縮機(270)が互いに接続されて冷却流体の循環経路を構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリコン精製装置に関し、特に、凝固偏析現象を利用したシリコン精製装置に関する。
環境問題から、石油など化石燃料エネルギーの代替として自然エネルギーの利用が注目されている。自然エネルギーを利用して発電する太陽電池は、大きな設備を必要とせず、また、稼働時の騒音が発生しないことなどの理由により、日本および欧州などで積極的に導入されている。
太陽電池においては、カドミウムテルルなどの化合物半導体からなる新たな太陽電池の開発が進んでいる。しかし、物質自体の安全性、これまでの使用実績および価格の面から、結晶シリコンを基板として用いた太陽電池が現在大きなシェアを占めている。
太陽電池に用いるシリコン中の不純物が太陽電池の品質に影響を及ぼすことは、よく知られている。そのため、太陽電池の作製に高純度化されたシリコンを用いることが好ましい。
シリコンを高純度化させる方法として、珪石を還元して得られる純度98%以上の金属シリコンをシラン(SiH4)またはトリクロルシラン(SiHCl3)などのガスに変換し、そのガスをベルジャー炉内で水素還元するという方法がある。このようにして得られたポリシリコンを単結晶成長させることで、LSI(Large Scale Integration)などの電子デバイス用のシリコンウエハを製造できる。
電子デバイス用材料に用いられるシリコンには、純度11N(99.999999999%)という非常に高い純度が要求される。そのため、金属シリコンをシランなどのガスに変換する設備への投資およびベルジャー炉の設備投資が膨大となる問題、ならびに、気相反応を利用するために高純度シリコンの生産性がそれほど高くないという問題が存在するにもかかわらず、電子デバイス用シリコンの精製方法として、金属シリコンをシランなどのガスに変換してベルジャー炉内で水素還元するという方法を採用せざるを得ない。
しかし、太陽電池用材料としてのシリコンには、6N(99.9999%)程度の純度が要求される。よって、金属シリコンをシランなどのガスに変換してベルジャー炉内で水素還元するという方法により得られたシリコンは、太陽電池用材料として品質を十分に満たすものの、コストが非常に高くなり好ましくない。
以上のことから、太陽電池用材料としてのシリコンの安価な製造技術の確立が強く求められており、凝固偏析などを利用した冶金学的手法により上述した純度98%程度の金属シリコンを精製する手法が近年注目されている。
金属シリコン中に存在する金属不純物元素として比較的多く含まれるものには、鉄、アルミニウムおよびチタンなどがある。金属シリコン中の不純物含有量の代表的な値としては、鉄が100ppmw以上5000ppmw以下、アルミニウムが100ppmw以上2000ppmw、チタンが1ppmw以上10ppmwである。
鉄、アルミニウムまたはチタンなどの不純物は、シリコン中の偏析係数(平衡偏析係数)が小さいことで知られている。たとえば、シリコン中の鉄の平衡偏析係数値は6.4×10-6であり、シリコン中のアルミニウムの偏析係数値は2.8×10-3であり、シリコン中のチタンの偏析係数値は7.37×10-6であることが報告されている。そのため、凝固偏析を利用して、鉄、アルミニウムまたはチタンなどの不純物の除去が可能である。
つまり、シリコン融液が凝固する際、偏析係数の小さな不純物(鉄、アルミニウムまたはチタン)は、シリコン融液中に分配されて固体中にほとんど取り込まれない。そのため、析出したシリコン中の上記不純物の濃度が低下し、その不純物濃度の低下した固相領域を取り出すことにより高純度シリコンを得ることができる。
凝固部の不純物濃度CSは、凝固の進行度(固相率)に伴い変化し、次式で表わされる。
S=k×C0×(1−fS(k−1) ・・・(1)
ここで、kは偏析係数、C0は精製前の不純物濃度、fSは固相率である。
また、融液部の不純物濃度Clは、次式で表わされる。
l=C0×fl (k−1) ・・・(2)
ここで、flは液相率でありfS+fl=1である。
凝固が十分に低速で進行して、固相から排出された不純物が液相中に均一に拡散する条件で凝固した場合、偏析係数として平衡偏析係数k0を適用すればよい。ただし、工業的に偏析による精製を行なう場合、凝固速度が速い方が生産性の観点から好ましい。凝固速度を速くする場合、偏析係数として平衡偏析係数k0に替えて実効偏析係数keを用いれば、上式(1),(2)が同様に成り立つ。
実効偏析係数keは、次式で表わされる。
e=k0/{k0+(1−k0)exp−[Vδ/D]} ・・・(3)
ここで、Vは凝固界面の移動速度、δは不純物濃縮層の厚さ、Dは不純物の拡散係数である。
上式(3)から、凝固速度Vを速めつつ実効偏析係数keを小さくするためには、不純物濃縮層の厚さδを薄くすることが有効であることが分かる。そのため,固液界面における融液を攪拌して、不純物濃縮層の厚さδが薄くなるようにする。
珪素の精製方法を開示した先行文献として、特開昭63−45112号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された珪素の精製方法においては、溶融珪素を不活性ガス雰囲気中において凝固温度を超えた状態で保持しつつ、溶融珪素中で冷却体を回転させて、この冷却体の外周面に高純度の珪素を晶出させている。
このような冷却体を用いる高純度シリコンの精製装置においては、冷却体の材質として、溶融珪素と反応せずかつ熱伝導性の良いものが用いられ、窒化珪素などのセラミックまたは黒鉛が挙げられている。
多結晶シリコン塊の製造装置の構成を開示した先行文献として、特開2000−53411号公報(特許文献2)がある。特許文献2に記載された多結晶シリコン塊の製造装置においては、冷却流体として窒素を使用し、使用後の窒素を冷却流体排出口から装置外に排出している。
特開昭63−45112号公報 特開2000−53411号公報
冷却体は、内部を冷却流体が通流することにより、溶融シリコンと接する周面において溶融シリコンから熱を奪って高純度のシリコンを晶出させるものである。すなわち、冷却体は、冷却流体と溶融シリコンとの間に介在して熱交換させる部材となる。
したがって、冷却体の周面に析出するシリコンの凝固速度は、冷却体を構成する部材の熱伝導率の影響を受け、熱伝導率が大きいほどシリコンの凝固速度が速くなる。シリコンの凝固速度は精製シリコンの生産性に直結するため、生産性向上のためには熱伝導率の大きい材質により冷却体を構成することが望ましい。
また、冷却体に用いる部材には、高温のシリコンと反応せず、かつ、シリコンを汚染しないことも求められる。その他にも、強度およびコストを勘案すると、冷却体に用いる材質として黒鉛が最も好適である。
一方、冷却体の内部に通流させる冷却流体としては、気体および液体のいずれを用いてもよい。冷却流体として液体を用いる場合、下記の問題に対応することが必要である。
まず、冷却流体が冷却体から炉内へ漏出した場合、高温の溶融シリコンと接した冷却流体は、気化することにより急激な体積膨張を起こす。密封された炉内において冷却流体が気化すると、炉内の圧力が急激に上昇し、炉体の損傷、および、噴出した高圧ガスによる周囲への被害が発生する可能性がある。そのため、冷却流体がいかなる場合にも漏れないように、安全率を考慮した冷却体の設計が必要である。
また、冷却体から冷却流体が漏出しないまでも、冷却体内の流路内で冷却流体が気化する場合も同様の現象が起こりうる。冷却体内の流路内で冷却流体が気化しないようにするためには、冷却流体が沸点以下の温度に維持されるように、冷却流体の流量および受熱量を適正に保つことが必要であり、これらについても安全率を考慮した流動管理が必要である。
このように、冷却流体に液体を用いる場合、装置設計および流動管理に注意を要するが、冷却流体に気体を用いれば比較的簡便な装置および管理にすることができる。
冷却流体の気体としては様々なものが利用可能であるが、冷却能に関わる性質として比熱および熱伝導率を考慮して選定する。ただし、熱伝導率に優れるHeは非常に高価であるため、コストも考慮して冷却流体を選定する。
また、冷却体に黒鉛を用いる場合、以下の理由により高温環境下での黒鉛との反応性を考慮する必要がある。冷却体を溶融シリコンに浸漬すると、冷却体は溶融シリコンからの伝熱により高温となって、冷却流体と接触する部分においても1000℃を超す温度となる。
このような高温の黒鉛が酸素などの活性ガスと接触すると、酸化反応が進行して黒鉛自体が減耗し、最終的に冷却体の強度を維持できなくなる。たとえば、空気は酸素を2割程度含むため、空気中で冷却体を使用した場合、数時間の使用によって必要な強度を保てなくなる程に冷却体が酸化消耗する。
黒鉛との反応性の乏しい不活性ガスを冷却流体に使用すれば、このような問題を回避することが可能である。不活性ガスのうち最も安価なものとして、窒素ガスが挙げられる。
ただし、不純物として含む酸素の濃度が高い場合には、上記と同様の問題が生じるため、冷却体の酸化消耗による不具合が生じない程度に酸素濃度の低い窒素ガスを使用することが必要である。
黒鉛の酸化消耗により冷却体を交換するコストを考慮すると、窒素ガスの酸素濃度は略100ppm以下であることが望ましい。この条件を満たす窒素ガスの製造方法としては、空気の深冷分離法が一般的である。窒素ガスを製造する場合、空気を材料とするため材料費は安価であるが、窒素の分離精製コストが必要となる。
従来、冷却体に通流された多量の窒素ガスは、冷却流体として一度使用された後、大気中に排気されていた。そのため、シリコンの精製コストの低減を図るうえで、窒素ガスのコストが障害となっていた。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、冷却流体として用いる不活性ガス、特に窒素ガスの循環利用を可能にして精製コストの低減を図れるシリコン精製装置を提供することを目的とする。
本発明に基づくシリコン精製装置は、溶融シリコンを保持する坩堝と、坩堝に保持されたシリコンを加熱する加熱部と、内部を冷却流体が通流した状態で溶融シリコン中に浸漬可能に支持された冷却体と、冷却体を通流して吸熱した冷却流体を冷却することにより、冷却流体を冷却体に再度通流可能に再生する冷却部と、冷却流体を圧縮する圧縮機とを備える。冷却体、冷却部および圧縮機が互いに接続されて冷却流体の循環経路を構成する。
本発明の一形態においては、冷却部は、冷却体を通流して吸熱した冷却流体の吸熱量の一部を冷却流体から奪う第1冷却器と、第1冷却器により冷却されて圧縮機に流入する前の冷却流体を冷却する第冷却器と、圧縮機から吐出された冷却流体を冷却する第冷却器とを含む。循環経路において、冷却体、第1冷却器、第冷却器、圧縮機および第冷却器が順に接続されている。
本発明の一形態においては、シリコン精製装置は、圧縮機の吸込部における圧力を計測する圧力測定器をさらに備える。圧力測定器の計測結果に基づいて、圧縮機の吸込部における圧力が循環経路外の外気圧より高くなるように圧縮機の動作が制御される。
本発明の一形態においては、圧縮機の吸込部におけるゲージ圧が(0.005±0.005)MPaの範囲となるように圧縮機の動作が制御される。
本発明の一形態においては、循環経路中において圧縮機に隣接して、冷却流体の圧力変動を抑制するバッファタンクをさらに備える。
本発明の一形態においては、シリコン精製装置は、循環経路中において圧縮機に隣接して、冷却流体の圧力変動を抑制するバッファタンクをさらに備える。
本発明の一形態においては、シリコン精製装置は、循環経路中において冷却体を間に挟むように2つの仕切弁をさらに備える。循環経路において上記2つの仕切弁に挟まれた冷却体を含む区間のみ大気雰囲気に開放可能である。
本発明の一形態においては、循環経路の上記区間内において、冷却体より上流側に供給経路が接続され、かつ、冷却体より下流側に放出経路が接続されることにより、大気雰囲気に開放された上記区間内を冷却流体で置換可能に構成されている。
本発明の一形態においては、供給経路と循環経路との接続部に、上記2つの仕切弁のうちの一方の仕切弁が位置し、かつ、放出経路と循環経路との接続部に、上記2つの仕切弁のうちの他方の仕切弁が位置し、両方の仕切弁が三方弁である。
本発明によれば、窒素ガスの循環利用を可能にして精製コストの低減を図れる。
本実施形態に係るシリコン精製機構の構成を示す断面図である。 同実施形態に係る冷却流体循環機構の構成を示す断面図である。 実施例における冷却流体循環機構の各点における冷却流体の温度、流量および圧力の推移を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係るシリコン精製装置について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
本実施形態に係るシリコン精製装置は、大きく分けて、シリコンを精製するシリコン精製機構と、冷却流体を循環させる冷却流体循環機構とから構成されている。以下、各機構の構成および動作について説明する。
<シリコン精製機構>
図1は、本実施形態に係るシリコン精製機構の構成を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るシリコン精製機構100は、シリコンの酸化およびカーボン部材の酸化消耗を防止するため、アルゴンまたは窒素などの不活性ガスで内部を置換可能な密閉容器110を備えている。密閉容器110の内面は、断熱材111で覆われている。
また、シリコン精製機構100は、溶融シリコン10を保持する坩堝114と、坩堝114に保持されたシリコンを加熱する加熱部113と、内部を冷却流体が通流した状態で溶融シリコン10中に浸漬可能に支持された冷却体とを備えている。冷却体は、溶融シリコン10中に浸漬される浸漬部120と、内部が冷却流体の流路となる配管部130とを有している。
シリコン精製機構100は、冷却体の浸漬部120を溶融シリコン10中に浸漬させ、また、浸漬部120の周面にシリコンが析出した冷却体を引き上げるために、冷却体を昇降させる図示しない昇降機構を備えている。さらに、シリコン精製機構100は、溶融シリコン10中において冷却体の浸漬部120を回転させる図示しない回転駆動機構を備えている。昇降機構および回転駆動機構は、冷却体の配管部130に取り付けられている。
坩堝114は、シリコンの融点である1412℃以上において耐熱性および耐久性を有し、かつ、原料シリコンに対する汚染が許容範囲に収まる材料から構成される。たとえば、黒鉛、酸化珪素、窒化珪素および炭化珪素などの中から1種または複数種を主成分とするものを坩堝114の材料として使用できる。特に、耐久性の観点から坩堝114の材料として黒鉛が好適であり、冷間等圧成型法(CIP(Cold Isostatic Pressing))で製造された黒鉛がより好ましい。
加熱部113としては、シリコンの融点である1412℃以上に加熱可能なものであれば特に限定されない。たとえば、黒鉛製ヒータなどを使用した抵抗加熱装置または誘導加熱装置などを加熱部113として用いることができる。
冷却体の内部構造は、2重管構造を有している。具体的には、浸漬部120の周面は、下端が閉じた円筒形状をなすが、面取りが行なわれていてもよい。また、浸漬部120の周面に、下端から上方に向かって徐々に大径となったテーパ状部位が設けられていてもよい。
配管部130は、低温の冷却流体を浸漬部120に導入する導入管131と、導入管131の外側を囲み、高温となった冷却流体を送出させる送出管132とから構成されている。
導入管131の内部は、冷却流体が流入する流入管140の内部と連通している。導入管131の先端部131aは、浸漬部120の内部に位置している。導入管131の先端部131aには、複数の開口が形成されている。この複数の開口は、浸漬部120の内壁と対向している。複数の開口を介して、導入管131の内部と浸漬部120の内部とが連通している。
送出管132の内部は、浸漬部120の内部と連通している。送出管132の内部は、冷却流体が流出する流出管150の内部と連通している。
上述のとおり、配管部130には回転駆動機構が取り付けられており、配管部130は軸中心に回転可能に保持されている。具体的には、導入管131と流入管140との接続部、および、送出管132と流出管150との接続部が、ロータリージョイントで構成されている。
冷却体の浸漬部120を構成する材料は、坩堝114と同様の観点から選定すればよい。ただし、浸漬部120は熱交換を担う部分であるため、精製シリコンの生産性向上の観点から熱伝導率の高い材料が浸漬部120を構成する材料として好ましく、特に黒鉛が好ましい。
冷却体の配管部130を構成する材料は、浸漬部120と同一の材料でもよい。または、密閉容器110内の高温雰囲気に曝されない部分においては強度を優先して、浸漬部120の材料とは異なる材料、たとえば、ステンレスを用いて浸漬部120を構成する黒鉛部材と接続するようにしてもよい。
冷却体の浸漬部120は、回転しつつ溶融シリコン10中に浸漬される。浸漬部120は、上記複数の開口から吹き出された冷却流体が内壁に吹き付けられることにより冷却される。
その結果、浸漬部120の周面に接触している溶融シリコン10が冷却されて凝固して析出する。このとき、凝固偏析現象が生じて、浸漬部120の周面に析出した凝固シリコン11の不純物濃度は溶融シリコン10より低くなっている。その後、昇降機構により浸漬部120を溶融シリコン10から引き上げて、凝固シリコン11を浸漬部120から剥離させることにより高純度に精製された精製シリコンを得ることができる。
<冷却流体循環機構>
図2は、本実施形態に係る冷却流体循環機構の構成を示す断面図である。本実施形態に係る冷却流体循環機構200は、冷却体を通流して吸熱した冷却流体を冷却することにより、冷却流体を冷却体に再度通流可能に再生する冷却部と、冷却流体を圧縮する圧縮機と
を備えている。冷却体、冷却部および圧縮機が互いに接続されて冷却流体の循環経路を構成している。
図2に示すように、本実施形態においては、冷却体、第1冷却器である冷却器250、仕切弁233、第冷却器である冷却器251、第1バッファタンク260、圧縮機270、第2バッファタンク261、第冷却器である冷却器252、減圧弁221、仕切弁234、仕切弁231とが順に配管で接続されて循環経路を構成している。冷却流体は、循環経路中を矢印1で示す方向に循環する。
以下、冷却流体循環機構の各構成について説明する。
第1冷却器である冷却器250は、冷却体を通流して吸熱した冷却流体の吸熱量の一部を冷却流体から奪って冷却流体を冷却する。
冷却体で吸熱して高温になった冷却流体が冷却されずに配管内を通流して配管が高温になると、たとえば、作業者が不用意に配管に触れた場合に危険である。また、配管に高い耐熱性が求められるため、高価な材料で形成された配管を使用しなければならなくなる。
冷却器250により冷却流体を冷却することにより、上記の危険性を低減しつつ、配管に求められる耐熱性を低減して、可動性を有する安価な樹脂配管を使用することが可能となる。このように、冷却器250を設けることにより、冷却流体循環機構200の設計の自由度が高まるとともに、配管コストを低減することができる。上記の効果を得るためには、冷却器250によって略60℃程度まで冷却流体を冷却することが望ましい。
冷却器250により冷却流体を60℃程度まで冷却する場合、冷却器250として外気との温度差による大気放熱を利用した冷却器を用いることができるため、冷却器250のコストを比較的低くすることができる。
また、本実施形態においては、冷却器250により冷却されて圧縮機270に流入する前の冷却流体を冷却する第冷却器である冷却器251が設けられている。後述するように、冷却流体を循環利用するために圧縮機270により冷却流体を加圧するが、冷却流体は加圧されると温度が上昇するため、冷却器251により圧縮機270に流入する前の冷却流体を予め常温程度まで冷却する。
圧縮機270の中には、オイルの消耗を抑制するために、圧縮対象ガスの温度が常温程度まで低下している必要があるものがある。60℃程度の冷却流体を常温まで効率良く冷却するためには、常温以下まで冷却した冷熱源が必要となり、冷却器のコストが比較的高くなる。また、常温以下まで冷却可能な冷却器を1段で用いて冷却流体を冷却すると、冷却効率が良くない。そのため、冷却器250と冷却器251とを用いて2段階で冷却流体を常温以下まで冷却することが好ましい。
さらに、本実施形態においては、圧縮機270から吐出された冷却流体を冷却する第冷却器である冷却器252が設けられている。上述のとおり、圧縮機270により加圧された冷却流体は断熱圧縮されて温度上昇するため、冷却器252により冷却流体を再度冷却する。
このように、冷却器252により圧縮後の冷却流体を冷却することにより、冷却体に常温まで冷却された冷却能の高い冷却流体を流入させることができる。その結果、精製シリコンの生産性を向上することができる。ただし、冷却器252は必ずしも設ける必要はなく、冷却器252の設置コストと精製シリコンの生産増加量とを勘案して、冷却器252を設置するか否かを決定してもよい。
冷却器250、冷却器251および冷却器252から冷却部が構成されている。ただし、冷却部の構成は上記に限られず、冷却体を通流して吸熱した冷却流体を冷却することにより、冷却流体を冷却体に再度通流可能に再生できるものであればよい。ここで、冷却流体を再度通流可能に再生とは、冷却体の浸漬部120において精製シリコンを析出させられるように浸漬部120を冷却できる温度まで冷却流体を冷却することをいう。
圧縮機270としては、特に圧縮方式は限定されないが、コンパクトな装置で数m3/分程度の吐出流量を得られるスクリュー式の圧縮機が好適である。
本実施形態においては、循環経路中において圧縮機270に隣接して、冷却流体の圧力変動を抑制するバッファタンクが設けられている。具体的には、圧縮機270の吸気側にバッファタンク260、吐出側にバッファタンク261が配置されている。
バッファタンク260,261の内部においては、冷却流体の流路が配管より大きくなっているため、冷却流体の圧力を低下させつつ安定化させることができる。
循環経路内において配管内の圧力が変動することがある。その場合、圧縮機270の運転を制御することにより、ある程度の圧力変動は抑制することができる。しかし、急激な圧力変動が生じた場合には、圧縮機270の運転がその変動に追従できず、循環経路内の圧力が制御目標値から逸脱する可能性が高くなる。
圧縮機に隣接してバッファタンク260,261を設けることにより、配管内の急激な圧力変動を緩和して循環経路内の圧力を目標範囲内に抑えることが可能となる。なお、バッファタンク260,261は必ずしも設ける必要はなく、圧縮機270の吸気側に配置されるバッファタンク260および排気側に配置されるバッファタンク261の一方のみを設けてもよい。
また、循環経路は、循環経路外から冷却流体を供給する供給経路と接続されている。循環経路内に最初に冷却流体を充填する際、および、循環経路内から漏れて減少する冷却流体を補うために、供給経路から冷却流体が供給される。
供給経路は、冷却流体の供給源210と、供給源210と循環経路とを接続する配管系とから構成されている。配管系には仕切弁が設けられ、冷却流体の供給量を調節可能に構成されている。
本実施形態においては、冷却流体として窒素ガスを用いる。窒素ガスが含有する酸素の濃度は100ppm以下であることが好ましい。このようの高純度の窒素ガスは、深冷空気分離法または圧力スイング吸着法(PSA(Prescure Swing Adsorption))などにより製造することができる。なお、冷却流体は、窒素ガスに限られず、他の不活性ガスでもよい。
供給源210として、上記の方法により窒素ガスを製造する製造装置を配置してもよいし、その製造装置により製造した窒素ガスを貯留する貯留装置を配置してもよい。
本実施形態においては、3本の供給経路が設けられている。第1の供給経路は、減圧弁220と仕切弁230とを有し、循環経路内の仕切弁231と仕切弁234との間の分岐点281に接続されている。第2の供給経路は、仕切弁235と逆止弁243とを有し、循環経路内の冷却器252と減圧弁221との間に接続されている。第3の供給経路は、仕切弁236と逆止弁244とを有し、循環経路内のバッファタンク261に接続されている。
供給経路を循環経路内における冷却体の上流側に接続することにより、高純度の窒素ガスが汚染される前に冷却体に導入することができる。ただし、供給経路の接続位置および本数は上記の限られず、循環経路内に冷却流体を供給可能な供給経路であればよい。
さらに、循環経路には、圧縮機270の吸込部における圧力を計測する圧力測定器271が設けられている。後述するように、圧力測定器271の計測結果に基づいて、圧縮機270の吸込部における圧力が循環経路外の外気圧より高くなるように圧縮機270の動作が制御される。
また、循環経路は、循環経路内から冷却流体を放出する放出経路と接続されている。循環経路内の配管内圧力が所定の圧力以上となった場合、および、メンテナンスなどにより循環経路内を大気雰囲気に開放する場合などに、放出経路から冷却流体を放出させる。
放出経路は、放出口290と、放出口290と循環経路とを接続する配管系とから構成されている。配管系には逆止機能を有する圧力開放弁が設けられ、冷却流体の圧力が所定の値を超えると冷却流体を放出可能に構成されている。
本実施形態においては、3本の放出経路が設けられている。第1の放出経路は、仕切弁232を有し、循環経路内の冷却器250と仕切弁233との間の分岐点282に接続されている。第2の放出経路は、圧力開放弁240を有し、循環経路内のバッファタンク260に接続されている。第3の供給経路は、圧力開放弁241を有し、循環経路内のバッファタンク261に接続されている。
以下、冷却流体循環機構の動作および制御について説明する。
循環経路中の各点において、冷却流体の圧力、流量(質量)、および温度は変化している。流量については、循環経路内に封入された冷却流体が経路中で増減することなく循環しつづけることが、窒素ガスの使用量低減の観点から理想的である。しかし、循環経路内からの冷却流体の漏れを完全に抑えることは、現実には困難である。
配管の接続部などからの少量の漏れが想定され、特に冷却体に黒鉛を用いた場合は、黒鉛そのものが多孔体であるために漏れが生じ、また、黒鉛からなる部材同士の接続部においても漏れが生じやすい。
このような漏洩箇所において、循環経路内の圧力が外部より高い場合であれば冷却流体が循環経路の外へ流出することとなり、循環経路内の圧力が外部より低い場合であれば、外気が循環経路内に流入することとなる。
外気が循環経路内に流入した場合、大気中の酸素が循環経路内に混入するため、循環経路内の窒素ガス中の酸素濃度が上昇して冷却体の消耗につながり望ましくない。そのため、循環経路内の圧力は、最も圧力が低い箇所においても外気圧より高いことが好ましい。ただし、循環経路内の圧力が高すぎると、漏洩箇所から漏れる冷却流体の量が増えるため、窒素ガスの利用効率が低下して好ましくない。
そのため、圧力の変動があった場合においても、最低圧力箇所が外気圧を下回らない程度に循環経路内の圧力目標値を設定することが好ましい。よって、圧縮機270の制御追従性、外乱、および、循環経路内の冷却流体の容量などにより決定される圧力制御のバラツキを考慮した設計が必要である。
一般的に、圧力制御のバラツキは±0.005MPa程度であるため、最低圧力箇所における圧力目標値としてゲージ圧で0.005MPaに設定することが好ましい。図2に示す循環経路においては、圧縮機270の吸込部が最低圧力箇所になる。そのため、圧縮機270の吸込部におけるゲージ圧が(0.005±0.005)MPaの範囲となるように圧縮機270の動作を制御することが好ましい。
上述のとおり、圧縮機270の吸込部に圧力測定器271を設けている。圧力測定器271の測定結果は、図示しない制御部に送られる。制御部は、圧力測定器271の測定結果に基づいて圧縮機270の運転を制御する。
たとえば、圧縮機270の駆動モータの運転制御を制御部からの信号に基づいてインバータ制御することにより、きめ細かな運転制御を行なって、かつ圧縮機270におけるエネルギーロスを抑制することができる。
なお、圧縮機270の吐出側の圧力は、冷却体への冷却流体の供給圧力によって決まる。冷却体への冷却流体の供給圧力は、下記の事情を考慮して決定される。
冷却体でのシリコン凝固量を決定する冷却体の冷却能力は、冷却流体の単位時間当たりの流量(質量)、および、冷却体の浸漬部120における熱交換率に比例する。精製シリコンの生産量向上の観点からは、上記流量および熱交換率ともに増大させることが好ましいが、冷却流体の流量を大幅に増大させると、供給源210および配管などが大型化して設備コストが増加するため精製シリコンの製造コストが高くなる。
一方、浸漬部120における熱交換率を高めるために、浸漬部120の内壁の表面積を増やして冷却流体との接触面積を増加させる、または、冷却流体を浸漬部120の内壁に吹き付ける複数の開口を小径にして冷却流体の吹き付け速度を増加させるなどの方法を採ることができる。
上記のいずれの方法においても、冷却体内を通流する冷却流体の流動抵抗(配管抵抗)が増加するため、冷却流体の圧損が生じる。この冷却流体の圧損と冷却流体の最適流量とを考慮することにより、冷却体への冷却流体の供給圧力が決定される。
圧縮機270としては、上記により決定した供給圧力まで加圧できる能力を有しているものを選定すればよいが、安定した運転を行なうためには、供給圧力より高い圧力まで加圧できる能力を有しているものが好ましい。
上述のように、圧縮機270の吸込部に設けた圧力測定器271の測定結果に基づいて圧縮機270の運転制御を行なう場合、圧縮機270の吐出側すなわち冷却体への冷却流体の供給側の圧力が変動することがある。
冷却体への冷却流体の供給圧力が変動すると、冷却体への冷却流体の流入量が変動し、それに伴って冷却体の冷却能力が変化する。冷却体の冷却能力が変化すると、精製シリコンの析出条件が安定しないため好ましくない。
本実施形態においては、圧縮機270の吐出側にバッファタンク261を設けているため、圧縮機270の加圧圧力を冷却体への冷却流体の供給圧力より高めに設定し、圧縮機270から吐出された冷却流体をバッファタンク261に蓄えることにより、上記供給圧力まで減圧した冷却流体を冷却体に供給することができる。
上述した冷却流体の漏れによる減少を補填するために、循環経路内に追加の窒素ガスを注入する必要がある。追加の窒素ガスを注入する際には、実際に漏れた量より多い量の窒素ガスを注入してもよい。
循環経路内に多めに注入された窒素ガスは、循環経路内のいずれかの場所において圧力上昇として顕在化する。本実施形態においては、バッファタンク260に接続された圧力開放弁240、および、バッファタンク261に接続された圧力開放弁241は、所定の圧力で開放するように設定されている。
そのため、循環経路内の配管内の圧力が上昇してバッファタンク260またはバッファタンク261内の圧力が所定の圧力より高くなった場合は、圧力開放弁240または圧力開放弁241が開放して循環経路内の冷却流体を放出することにより、循環経路内の配管内圧力を所定の圧力に維持することができる。
実際に漏れた量より多い量の窒素ガスを注入することにより、以下のような効果を得られる。
上記のように循環経路内における最低圧力箇所を陽圧に維持した場合においても、配管内の圧力が急激に変動して、循環経路内に外気が混入する可能性がある。外気が混入した場合、注入する窒素ガスの量を増やすほど循環経路内の外気を希釈することができる。
循環経路内において冷却流体を循環させつつ、追加の冷却流体を注入することにより、循環経路内の冷却流体の純度を高く維持することができる。その結果、冷却体が酸素に曝されて消耗することを抑制することができる。
なお、循環経路内に外気が混入する状況は、上記のような制御不調の場合以外にも起こりうる。たとえば、点検またはメンテナンスのために冷却体を密閉容器110外に取り出した場合、冷却体の内部が外気に開放される。
本実施形態においては、循環経路中において冷却体を間に挟むように2つの仕切弁233,234を設けており、循環経路において2つの仕切弁233,234に挟まれた冷却体を含む区間のみ大気雰囲気に開放可能とされている。
この構成により、点検またはメンテナンスの開始前に、2つの仕切弁233,234を閉鎖しておくことにより、圧縮機270側の区間に外気が混入することを防止することができる。
また、本実施形態においては、循環経路内の冷却体を含む上記区間内において、冷却体より上流側に第1の供給経路が接続され、かつ、冷却体より下流側に第1の放出経路が接続されることにより、大気雰囲気に開放された上記区間内を冷却流体で置換可能に構成されている。そのため、図2の点線矢印40で示すように、冷却体を含む区間内を窒素ガスでパージすることができる。
具体的には、点検またはメンテナンスが終了した後、冷却体を配管と再接続する。このとき、2つの仕切弁233,234は閉じたままである。その状態で、仕切弁230,232を開放することにより、冷却体内部を窒素ガスで置換することができる。
置換終了後に、仕切弁230,232を閉鎖し、仕切弁233,234を開放することにより、再び循環経路を構成することができる。
なお、この点検またはメンテナンス時に循環経路内に外気が混入しないようにするために、分岐点281と仕切弁234との間の距離、および、分岐点282と仕切弁233との間の距離は短いほうが好ましい。なぜなら、両区間は、窒素ガスでパージする際に、仕切弁234または仕切弁233で一方端が閉鎖されているため、窒素ガスで置換されにくいためである。
そのため、第1の供給経路と循環経路との接続部に、2つの仕切弁のうちの一方の仕切弁234が位置し、かつ、第1の放出経路と循環経路との接続部に、2つの仕切弁のうちの他方の仕切弁233が位置し、両方の仕切弁233,234が三方弁であることが好ましい。
また、窒素ガスでパージする時間は、パージする区間の体積および窒素ガスの流量により決定すればよいが、少なくともパージする区間の体積分以上の窒素ガスが流れるのに必要な時間以上とする。さらに、置換率を考慮して、パージする区間の体積の数倍程度の窒素ガスが流れる時間とすることが好ましい。
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
(実施例)
実施例においては、図1に記載のシリコン精製機構および図2に記載の冷却流体循環機構を備えたシリコン精製装置を用いてシリコンの精製を行なった。
シリコン精製機構においては、SUS製の密閉容器110の内周に、炭素繊維成形材からなる厚さ100mmの断熱材111を設けた。さらにその内側に、黒鉛のCIP材からなる抵抗加熱ヒータを配置した。密閉容器110の中心に、黒鉛のCIP材からなり外径630mmの円筒形状の坩堝114を設置した。坩堝114は、400kgの溶融シリコン10を保持できるものとした。
また、坩堝114の直上から黒鉛製の冷却体を回転させつつ溶融シリコン10に浸漬可能とした。冷却体の内部には、冷却媒体として窒素ガスを循環させている。密閉容器110内にArを導入し、密閉容器110内を常圧雰囲気とした。
上記のシリコン精製機構において、不純物としてFeを100ppmwの濃度で含むシリコンを原料として、坩堝114内で融解させて400kgの溶融シリコン10を形成した。
溶融シリコン10内に冷却体を浸漬させ、浸漬部120の周面に約15kg程度の精製シリコンを析出させた。その後、冷却体を溶融シリコン10内から引き上げ、精製シリコンを破砕して浸漬部120から剥離させることにより精製シリコンを回収した。
上記の冷却体の浸漬から精製シリコンの回収までの工程を浸漬回収工程と称する。その後、浸漬回収工程を12回繰り返した。
坩堝114内の溶融シリコンが約220kgまで減少した段階で、原料シリコンを約180kg坩堝114内に投入させて融解することにより、再び坩堝114内の溶融シリコン10を400kgとして、浸漬回収工程を繰り返した。
図3は、実施例における冷却流体循環機構の各点における冷却流体の温度、流量および圧力の推移を示すグラフである。図3においては、縦軸に、冷却流体の温度、流量および圧力を、横軸に、図2に示す系内の位置を示している。
図2,3に示すように、冷却流体循環機構においては、冷却体の送出管132から流出管150に流出した窒素ガスは、約400℃程度となっている。冷却器250にて粗熱が除去される。
冷却器250においては、銅配管内を窒素ガスが流れ、銅配管の外側を冷却水が通流する構造を有している。使用する冷却水として、シリコンの精製工程の全体で共用する水を使用することにより、新たに冷却水供給設備を付加するための設備投資を抑制することができる。冷却水は、水温が室温程度に管理されているものでよく、シリコン融解装置を稼働させる際に使用する水を使用した。
冷却器250を通過した窒素ガスは60℃程度にまで冷却され、次に、冷却器251によりさらに冷却される。冷却器251の構造は、冷却器250と同様の構造であるが、使用する冷却水を7℃程度に冷却する図示しないチリングユニットを有している。
冷却器251を通過して20℃程度まで冷却された窒素ガスは、次に、容量が0.5m3であるバッファタンク260を通過した後、圧縮機270により加圧される。
圧縮機270は、圧縮機270の吸込部における圧力を計測する圧力測定器271から制御部に送信された圧力信号に基づいて制御されている。具体的には、ゲージ圧で0.005MPaを目標値として、圧力信号がゲージ圧で0.005±0.005MPaの範囲となるように、圧縮機を駆動するインバータ制御モータの回転をPID制御した。
本実施例においては、圧縮機270の吸込部の圧力を制御対象としたが、圧縮機270の吸込部より上流側に位置するバッファタンク260、冷却器251,250、および、流出管150の間の配管コンダクタンスを十分に小さく設計している。その間の差圧は0.001MPa程度であった。最も冷却流体の漏れの可能性が高い送出管132と流出管150との接続部近傍における圧力は、ゲージ圧で+0.006MPa近傍で維持されていた。
バッファタンク260に接続された圧力開放弁240においては、バッファタンク260の内圧が0.01MPaを超えると開放するように設定した。
圧縮機270の能力を、吐出圧力が0.6MPa以上0.69MPa以下、最大吐出能力が7m3/分とした。
圧縮機270で圧縮された窒素ガスを容量0.5m3のバッファタンク261に蓄え、バッファタンク261の内圧が0.69MPa以上となると圧力開放弁241から窒素ガスが放出されるように設定した。また、バッファタンク261には、常時、0.6m3/分の流量で第3の供給経路から窒素ガスを供給し続けた。窒素ガスとしては、深冷式空気分離装置により製造した酸素濃度が1volppm以下の高純度窒素ガスを0.75MPaの圧力で供給した。
バッファタンク261と冷却体との間に、冷却器251と同様の構造を有する冷却器252を設けた。また、冷却器252に導入する冷却水は冷却器251と共用するチリングユニットから供給した。
冷却器252を通過した窒素ガスは、温度が25℃程度となり、その後、減圧弁221により0.45MPaまで減圧されて冷却体に流入する。
冷却体の配管部130および浸漬部120の内部において、窒素ガスの供給圧力が0.45MPa、流量が約6m3/分(標準状態換算)であった。
冷却体を通過した窒素ガスは流出管150から流出し、再び冷却器250へと戻る。このように、循環経路が構成されている。
また、送出管132と流出管150との接続部近傍において窒素ガスの流量を計測したところ、5.8m3/分(標準状態換算)であり、冷却体から0.2m3/分(標準状態換算)程度の窒素ガスが循環経路外に漏出していた。
循環経路の全体における窒素ガスの流量調整は、バッファタンク261へ窒素ガスを常時0.5m3/分の流量で供給する一方、冷却体から0.2m3/分の流量で漏れるとともに、余剰分がバッファタンク260,261の圧力開放弁240,241から0.3m3/分の流量で放出されることにより行われる。
また、冷却体に導入される窒素は、総流量6m3/分のうち1割の0.6m3/分が追加で供給された窒素ガスであり、9割の5.2m3/分が循環利用された窒素ガスである。そのため、循環経路内のいずれかで窒素ガスが汚染されたとしても、追加される高純度の窒素ガスにより不純物を希釈することができる。
循環経路内の酸素ガス濃度をバッファタンク261から分岐した図示しないサンプリング経路においてモニタリングし続けたところ、数日に1回の割合で、外気が混入したとみられる酸素濃度の上昇が観察され、最高で500volppmの酸素濃度が確認された。しかし、いったん上昇した酸素濃度はすぐに低下し、黒鉛の酸化が問題とならないレベルである100volppmに20分程度で到達した。
上記の条件下において、1カ月間シリコン装置を稼働させた。また、冷却体の点検およびメンテナンスを1回/1日の頻度で行なった。メンテナンス終了後の、稼働再開時には窒素ガスによるパージを、2m3/分の流量で1分行なった。
1カ月間のシリコン精製装置の稼働において、窒素ガスの使用量は約35000m3であった。また、黒鉛の消耗量を計測したが、消耗量は1mm以下であり確認されなかった。
以下、比較例について説明する。
(比較例1)
比較例1においては、実施例と同じシリコン精製機構にてシリコンの精製を行ったが、本発明に係る冷却流体循環機構を用いず、図2に示す点線矢印40で示すように窒素ガスを通流させた。すなわち、冷却流体の循環を全く行わずに、窒素ガスを一度だけ冷却に使用するようにした。その結果、1カ月間のシリコン精製装置の稼働において、窒素ガスの使用量は約160000m3であった。
上記の実施例および比較例1から分かるように、本発明のシリコン精製装置のように冷却流体循環機構200を備えることにより、窒素ガスの循環利用を可能にして精製コストの低減を図れることが確認された。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 溶融シリコン、11 凝固シリコン、100 シリコン精製機構、110 密閉容器、111 断熱材、113 加熱部、114 坩堝、120 浸漬部、130 配管部、131 導入管、131a 先端部、132 送出管、140 流入管、150 流出管、200 冷却流体循環機構、210 供給源、220,221 減圧弁、230,231,232,233,234,235,236 仕切弁、240,241 圧力開放弁、243,244 逆止弁、250,251,252 冷却器、260 第1バッファタンク、261 第2バッファタンク、270 圧縮機、281,282 分岐点、290 放出口。

Claims (10)

  1. 溶融シリコンを保持する坩堝と
    前記坩堝に保持されたシリコンを加熱する加熱部と
    内部を冷却流体が通流した状態で前記溶融シリコン中に浸漬可能に支持された冷却体と、
    前記冷却体を通流して吸熱した前記冷却流体を冷却することにより、前記冷却流体を前記冷却体に再度通流可能に再生する冷却部と、
    前記冷却流体を圧縮する圧縮機と
    を備え、
    前記冷却体、前記冷却部および前記圧縮機が互いに接続されて前記冷却流体の循環経路を構成し、
    前記冷却部は、前記冷却体を通流して吸熱した前記冷却流体の吸熱量の一部を前記冷却流体から奪う第1冷却器と、前記圧縮機から吐出された前記冷却流体を冷却する第2冷却器とを含み、
    前記循環経路において、前記冷却体、前記第1冷却器、前記圧縮機および前記第2冷却器が順に接続されている、シリコン精製装置。
  2. 前記冷却部は、前記第1冷却器により冷却されて前記圧縮機に流入する前の前記冷却流体を冷却する第冷却器をさらに含み、
    前記循環経路において、前記冷却体、前記第1冷却器、前記第冷却器、前記圧縮機および前記第冷却器が順に接続されている、請求項1に記載のシリコン精製装置。
  3. 前記圧縮機の吸込部における圧力を計測する圧力測定器をさらに備え、
    前記圧力測定器の計測結果に基づいて、前記圧縮機の前記吸込部における圧力が前記循環経路外の外気圧より高くなるように前記圧縮機の動作が制御される、請求項1または2に記載のシリコン精製装置。
  4. 前記圧縮機の前記吸込部におけるゲージ圧が(0.005±0.005)MPaの範囲となるように前記圧縮機の動作が制御される、請求項3に記載のシリコン精製装置。
  5. 前記循環経路中において前記圧縮機に隣接して、前記冷却流体の圧力変動を抑制するバッファタンクをさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載のシリコン精製装置。
  6. 前記循環経路は、前記循環経路外から前記冷却流体を供給する供給経路、および、前記循環経路内から前記冷却流体を放出する放出経路と接続されている、請求項1から5のいずれかに記載のシリコン精製装置。
  7. 前記循環経路中において前記冷却体を間に挟むように2つの仕切弁をさらに備え、
    前記循環経路において前記2つの仕切弁に挟まれた前記冷却体を含む区間のみ大気雰囲気に開放可能である、請求項6に記載のシリコン精製装置。
  8. 溶融シリコンを保持する坩堝と、
    前記坩堝に保持されたシリコンを加熱する加熱部と、
    内部を冷却流体が通流した状態で前記溶融シリコン中に浸漬可能に支持された冷却体と、
    前記冷却体を通流して吸熱した前記冷却流体を冷却することにより、前記冷却流体を前記冷却体に再度通流可能に再生する冷却部と、
    前記冷却流体を圧縮する圧縮機と
    を備えるシリコン精製装置であって、
    前記冷却体、前記冷却部および前記圧縮機が互いに接続されて前記冷却流体の循環経路を構成し、
    前記循環経路は、前記循環経路外から前記冷却流体を供給する供給経路、および、前記循環経路内から前記冷却流体を放出する放出経路と接続され、
    前記シリコン精製装置は、前記循環経路中において前記冷却体を間に挟むように2つの仕切弁をさらに備え、
    前記循環経路において前記2つの仕切弁に挟まれた前記冷却体を含む区間のみ大気雰囲気に開放可能である、シリコン精製装置。
  9. 前記循環経路の前記区間内において、前記冷却体より上流側に前記供給経路が接続され、かつ、前記冷却体より下流側に前記放出経路が接続されることにより、大気雰囲気に開放された前記区間内を前記冷却流体で置換可能に構成されている、請求項7または8に記載のシリコン精製装置。
  10. 前記供給経路と前記循環経路との接続部に、前記2つの仕切弁のうちの一方の仕切弁が位置し、かつ、前記放出経路と前記循環経路との接続部に、前記2つの仕切弁のうちの他方の仕切弁が位置し、両方の前記仕切弁が三方弁である、請求項に記載のシリコン精製装置。
JP2012530812A 2012-02-13 2012-02-13 シリコン精製装置 Expired - Fee Related JP5148784B1 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2012/053277 WO2013121504A1 (ja) 2012-02-13 2012-02-13 シリコン精製装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5148784B1 true JP5148784B1 (ja) 2013-02-20
JPWO2013121504A1 JPWO2013121504A1 (ja) 2015-05-11

Family

ID=47890569

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012530812A Expired - Fee Related JP5148784B1 (ja) 2012-02-13 2012-02-13 シリコン精製装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5148784B1 (ja)
WO (1) WO2013121504A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107445168A (zh) * 2017-06-16 2017-12-08 江苏大学 一种多晶硅铸锭后熔融石英坩埚回收再利用的方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02204320A (ja) * 1988-12-08 1990-08-14 Elkem As ケイ素粉末及びその連続製造法
JP2000351616A (ja) * 1999-06-07 2000-12-19 Showa Alum Corp 高純度シリコンの製造方法
JP2001223172A (ja) * 1999-11-30 2001-08-17 Sharp Corp シート製造方法、シート、シート製造装置および太陽電池

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02204320A (ja) * 1988-12-08 1990-08-14 Elkem As ケイ素粉末及びその連続製造法
JP2000351616A (ja) * 1999-06-07 2000-12-19 Showa Alum Corp 高純度シリコンの製造方法
JP2001223172A (ja) * 1999-11-30 2001-08-17 Sharp Corp シート製造方法、シート、シート製造装置および太陽電池

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107445168A (zh) * 2017-06-16 2017-12-08 江苏大学 一种多晶硅铸锭后熔融石英坩埚回收再利用的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2013121504A1 (ja) 2015-05-11
WO2013121504A1 (ja) 2013-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5186970B2 (ja) 単結晶製造装置及びその方法
CN102646617A (zh) 衬底处理装置和方法以及半导体器件制造方法
JP4815003B2 (ja) シリコン結晶成長用ルツボ、シリコン結晶成長用ルツボ製造方法、及びシリコン結晶成長方法
KR100947836B1 (ko) 실리콘 잉곳 제조장치
US11317501B2 (en) Method of purifying target material for an EUV light source
JP2007326749A (ja) シリコン精製装置およびシリコン精製方法
JP5148784B1 (ja) シリコン精製装置
KR101391021B1 (ko) 실리콘 또는 실리콘 합금 용해로
CA2689603A1 (en) Method of solidifying metallic silicon
CN103922344B (zh) 回收制备太阳能级硅材料的方法
CN103781950A (zh) 结晶材料的真空储存方法及装置
JP5593364B2 (ja) ソーラーグレードポリシリコンの真空循環精錬装置及びソーラーグレードポリシリコンの精製方法
JP2008100857A (ja) 金属の精製装置および金属の精製方法
JP2010254534A (ja) 坩堝、該坩堝を用いた精製装置および精製方法
JP2001107153A5 (ja)
JP5059665B2 (ja) シリコン製造装置
JP2005200279A (ja) シリコンインゴットの製造方法、太陽電池
JP2013144624A (ja) シリコン製造装置
WO2011043550A2 (ko) 실리콘 잉곳 제조장치에 사용되는 냉각 제어 시스템 및 수냉로드
JP2004352582A (ja) 液相成長方法および液相成長装置
KR101270793B1 (ko) 단결정 잉곳 성장장치
CN202527692U (zh) 纯钙棒铸造设备
JP2002201094A (ja) シリコン単結晶の製造方法
CN116479217A (zh) 一种金属加热装置及方法
CN117702242A (zh) 拉晶炉排气组件及其工作方法、拉晶炉

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151207

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees