JP5148038B2 - 安定化モノマー接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モノマー接着剤組成物及びポリマー接着剤組成物並びに産業用及び医療用用途にこれら組成物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
モノマー接着剤組成物及びポリマー接着剤組成物は、産業用(家庭用用途も含む)及び医療用用途の両方に用いられている。これらの接着剤には、α−シアノアクリレート等の1,1−二置換エチレンモノマー及びポリマーが含まれる。このようなモノマー及びポリマーが有する接着性が発見されて以来、硬化速度、これらのモノマー及びポリマーは、結果として形成される結合強度及びそれらの比較的簡単に使用できることにより広い用途を見出してきた。これらの特徴によって、α−シアノアクリレート接着剤が接着プラスチック、ゴム、ガラス、金属、木材及びより最近では生物組織等の多大な用途にまず第1に選択されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
1,1−1−二置換エチレン接着剤組成物を工業的に製造することを最適化する工程を通じて速い硬化速度でかつ高い結合強度を有する接着剤が得られるようになった。しかしながら、速い硬化速度でかつ高い結合強度を有する接着剤を提供する要望は、貯蔵寿命について問題を呈するに到った。これらの接着剤の貯蔵寿命は主に安定性(即ち、組成物の性質の恒常性)、未硬化時の物理的性質、接着剤の硬化速度ならびに組成物の最終硬化時の物性に関するものである。例えば、α−シアノアクリレートモノマー組成物の貯蔵寿命は、許容できないレベルで重合が生ずる前に組成物を貯蔵することが可能な時間に関連している。組成物が製造された用途についてのその有用性を減少させるような重合生成物のレベルによってこの許容できないレベルが示される。
【0004】
α−シアノアクリレートのモノマー形態は、非常に反応性に富み、空気中或いは動物の細胞の湿った表面における湿気も含め、開始剤が微量でも存在すると急速に重合することが知られている。α−シアノアクリレートのモノマーは、アニオン重合可能、ラジカル重合可能あるいはzwitterions あるいはイオン対によって重合可能でそれによってポリマーを形成する。一旦重合が開始すると、硬化速度は非常に早くなる可能性がある。従って、長期間の貯蔵寿命を有するα−シアノアクリレートモノマー組成物を得るためには、しばしばアニオン系安定剤及びラジカル系安定化剤等の重合阻止剤を組成物に加えることが行われている。しかしながら、このような安定化剤を加えることは、組成物の硬化速度をかなり遅くすることになる可能性があるので、工業的にα−シアノアクリレート接着剤を製造する際には、添加する安定化剤の量を最小限として硬化速度に悪影響が出ないようにしている。
【0005】
これまで使用されてきたアニオン系安定化剤のひとつに二酸化硫黄がある。残念ながら、この安定化剤は安定化効果をもたらすが、組成物が加齢するにつれて硬化速度を減少させる。このことは、二酸化硫黄が継続して酸化され同じくアニオン系安定化剤である硫酸となることによる。組成物中の硫酸の濃度が増大するにつれて、組成物の硬化速度は減少する。この影響は、しばしば「速度低下」と言われるが、工業的にα−シアノアクリレート接着剤を製造し、貯蔵する際に生ずる重大な問題である。極端な場合には、硫酸のレベルが高くなってモノマー組成物が硬化できなくなるという場合もある。さらに、二酸化硫黄が硫酸に変化することによって気相の二酸化硫黄の量が減少し、これが最終的に容器のヘッド空間(気相)内でポリマーが形成されることにもなる。容器内でこのように重合すると、さらに組成物の貯蔵寿命が短縮することにもなる。
【0006】
これら接着剤を工業的に用いることに加え、1,1−二置換エチレン接着剤は医療用とでも用いられてきた。これらの用途としては、傷を閉止する場合の外科的縫合及びステープルの代替品あるいは補助品として用いられたり、また裂傷、擦過傷、やけど、口内炎、炎症及び他の開口性表面傷等の表面性傷を被覆保護するために用いられている。医療用途で用いるシアノアクリレート接着剤は、少なくとも2ヶ月の貯蔵寿命を有することが好ましい。有益な貯蔵寿命を得るため、アニオン系安定化剤やラジカル安定化剤がモノマー組成物に加えられている。
【0007】
例えば、Banitt et alの米国特許明細書No.3,559,652およびLeung et alの米国特許明細書No.5,582,834に開示されているように、医療用で用いられるアルファーシアノアクリレート組成物に適する安定化剤としては、二酸化硫黄、酸化窒素及び三弗化ホウ素等のルイス酸及びハイドロキノン、モノメチルエーテルハイドロキノン、ニトロハイドロキノン、カテコール及びモノエチルエーテルハイドロキノン等のラジカル安定化剤等がある。アニオン系安定化剤である二酸化硫黄及びスルホン酸とを組み合わせることも知られており、例えば英国特許出願GB2107328Aに開示されている。しかしながら、このような2つの安定化剤を組み合わせて使用することによってもたの1,1−二置換エチレン接着剤組成物に見られる「速度低下」の問題を解決することにはならない。
【0008】
貯蔵寿命を延ばすことに加えて,医療用途で用いるシアノアクリレート組成物は無菌状態である必要がある。これらの組成物を無菌性としその状態を保つことが重要であるので、アニオン系殺菌剤あるいはラジカル系殺菌剤等の添加剤をα−シアノアクリレート組成物に加える場合、殺菌をする前に加えるべきである。しかしながら、添加剤のタイプ及び数とに関わらず、α−シアノアクリレート接着剤組成物を殺菌することはしばしば困難なことがある。例えば、加熱殺菌やイオン放射等の広く行われている殺菌方法はシアノアクリレートモノマー組成物で使用するのに適していない場合がしばしばある。安定化剤が存在する場合でも、殺菌工程中にモノマーが重合するために問題が生ずる。多くの場合、殺菌によって引き起こされる重合が進みすぎ、結果として得られる生成物が使用できなくなることもある。さらに、殺菌した製品がなお使用可能であるとしても、室温での貯蔵寿命が製品が商業化には不適切な程度まで短くなってしまう場合もあり。
【0009】
現在α−シアノアクリレート接着剤組成物をパッキングして殺菌するために用いられている方法は効能及び生産性を上げるために、パッキング工程及び殺菌工程をすばやく連続的に行うべきであるとの認識の下に開発されてきたものである。しかしながら、これらの方法では、全てのパッキング材料において接着剤組成物の所望の貯蔵寿命を得ることはできなかった。
【0010】
さらに、殺菌工程中、多くのあるいは全ての殺菌剤は消費されあるいは他の化合物に変化する可能性がある。McDonnel等の米国特許明細書No.5,530,037には、低いレベルの二酸化硫黄を使用してシアノアクリレートを殺菌する場合には、殺菌工程中に全ての二酸化硫黄が硫酸に変わることが開示されている。低いレベルの二酸化硫黄を使用することによって殺菌工程中での重合化を最小限とすることが出来るとともに殺菌したα−シアノアクリレート接着剤組成物の貯蔵寿命を延ばすことができるが、最初の組成物中に二酸化硫黄を増量して存在させておくことによって貯蔵寿命を伸ばすことができるかもしれない。しかし残念ながら、当初安定化剤のレベルが高いと、接着剤の一般的特性が害される可能性があり、得られる貯蔵寿命は希望するものより短くなってしまう。
【0011】
McDonnell等の特許には、興味深いことに、100ppm(最終濃度)の二酸化硫黄と組み合わせてラジカル安定化剤ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)とを用いても、これらのものが実質的に1000ppm以上の濃度で存在しなければガンマ放射により殺菌する際にα−シアノアクリレート接着剤組成物を安定化するのに有効ではないことが開示されている(McDonnell等の特許の実施例4参照)。
従って、産業上の用途及び医療用途の両方において接着剤の性能を犠牲にすることなく貯蔵寿命がより長い改良されたα−シアノアクリレート接着剤モノマー組成物に対する需要が存在している。
【0012】
【課題を解決する手段】
本発明は、改良した接着剤組成物、該接着剤組成物を製造する方法並びに該接着剤組成物を殺菌する方法を提供することを目的とする。この改良した組成物は、安定化剤を新規に組み合わせることによって得られる。
【0013】
本発明は、重合性α−シアノアクリレートモノマーと、蒸気状態(本明細書では“気相アニオン系安定化剤”としても言及する)を安定化する少なくとも1つの安定化剤と、液状態(本明細書では“液相”としても言及する)を安定化する少なくとも1つの別の安定化剤とからなるモノマー含有接着剤組成物を提供する。本明細書で用いるように、安定化剤は、重合性1,1−二置換エチレンモノマーの重合が開始するのをブロックあるいは阻止しあるいは重合性1,1−二置換エチレンモノマーを含む組成物の全体の重合化率を低減する物質をいう。重合において、開始時あるいは鎖の延長が阻止される。実施態様としては、液相安定化剤は強酸であり、極めて強い酸が好ましい。
【0014】
本発明によって重合性モノマーと少なくとも1つのガス相安定化剤と少なくとも1つの液相安定化剤とを組み合わせることによって、これらのいずれかの安定化剤あるいは両方の安定化剤も欠く類似のα−シアノアクリレートモノマー組成物に比較して貯蔵寿命が改善・延長されたモノマー接着剤組成物が得られる。モノマー接着剤組成物に重合阻止剤(安定化剤)を加えることは知られているが、本発明のように単一のモノマー接着剤組成物と少なくとも1つの蒸気安定化剤と少なくとも1つの液相安定化剤とを組み合わせることは今までに認識されていなかった。α−シアノアクリレートモノマーは分子量が小さいので、モノマーの一部は蒸気相に存在する。このことは熱が加えられたりあるいは発生したりする殺菌工程では特に当てはまる。理由は、熱によって蒸気相中のモノマーの量が増加するからである。蒸気相中の不安定なモノマーは、例えば容器の壁で重合する。従って、モノマーが希望に反して重合する現象を最小限に抑えかつ貯蔵寿命を向上するために蒸気相及び液相を安定化することが必要である。
【0015】
また、本発明はこのように安定化した組成物を製造する方法も包含する。該安定化組成物の製造方法は、モノマーと安定化剤とを組み合わせる工程を含み、またさらにモノマー含有接着剤組成物をパッキングして殺菌する工程も含むことができる。本発明によって製造されパッキングされた組成物は、先行技術のα―シアノアクリレートモノマー接着剤組成物に比較して、貯蔵寿命がより長く、従ってその有用性がより拡大されている。
【0016】
本発明は、さらに少なくとも1つの気相安定化剤及び少なくとも1つの液相安定化剤とを含むモノマー含有接着剤組成物の殺菌方法を含む。許容されないレベルの重合反応を生ずることなくモノマー性組成物を殺菌することができる。従って、本発明は従来の方法で製造された組成物よりも貯蔵寿命が長くかつポリマーに対するモノマーの比率の高い殺菌性モノマー含有接着剤組成物をも提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明では、少なくとも1つの気相安定化剤及び少なくとも1つの液相安定化剤とを両方をモノマー接着剤を含む組成物に加えることによって安定なモノマー性接着剤組成物を製造する。本発明に従って少なくとも1つの気相安定化剤及び少なくとも1つの液相安定化剤とを組み合わせることによって、従来技術の組成物で達成されたよりも高い程度に組成物のモノマーが重合するのを阻止する。
【0018】
アニオン系気相安定化剤は、限定されるものではないが、二酸化硫黄、三弗化ホウ素及び弗化水素を含む既知の安定化剤の中から選択することができる。モノマー組成物に添加されるアニオン系気相安定化剤の量は、それと組み合わせて選択する液相安定化剤、安定化すべきモノマー並びに組成粒に対して用いるパッキング材料による。殺菌工程を完了した後にも気相に存在するモノマーを安定化するために少なくとも若干のアニオン系気相安定化剤が気相に残存するに十分な量のアニオン系気相安定化剤を加える。好ましくは、200ppmの濃度となるように各アニオン系気相安定化剤を加えることが好ましい。好ましい実施例では、各アニオン系気相安定化剤は約1乃至200ppm、より好ましくは約10乃至75ppm、さらに好ましくは約10乃至50ppm、最も好ましくは約10乃至20ppmで存在させる。過大な実験をすることなく既知の技法を用いれば当業者は、使用量を決定できるであろう。
【0019】
実施例では、気相は、特に、二酸化硫黄のアニオン系安定化剤を含んでいる。別の実施例では、特に、サン弗化ホウ素あるいは弗化水素の安定化剤を含んでいる。二酸化硫黄及び三弗化ホウ素あるいは弗化水素を組み合わせることが好ましい実施例もある。
【0020】
実施例によっては、液相アニオン系安定化剤が極めて強い酸である。本明細書で用いるように、極めて強い酸とは水性pKaが1.0未満である酸をいう。適当な極めて強い酸性安定化剤には、限定することは意図しないが、極めて強い鉱酸及び/又は酸素化酸がある。このような極めて強い酸のれいとしては、限定することは意図しないが、硫酸(pKa−3.0)、過塩化酸(pKa−5.0)、塩酸(pKa−7.0)、臭酸(pKa−9.0)、弗化スルホン酸(pKa<―10.0)、塩化スルホン酸(pKa−10.0)がある。実施例としては、最終濃度が1−200ppmとなるように極めて強い酸性液相アニオン系安定化剤を添加する。好ましくは、極めて強い酸性液相アニオン系安定化剤を約5乃至80ppm、より好ましくは約10乃至40ppmの濃度で存在させる。当業者であれば、使用する極めて強い酸性液相アニオン系安定化剤の量は、過大な実験をすることなく既知の技法を用いれば決定できるであろう。
【0021】
好ましくは、極めて強い酸性液相アニオン系安定化剤は、硫酸、過塩素酸あるいは塩化スルホン酸である。さらに好ましくは、極めて強い酸性液相アニオン系安定化剤は硫酸である。
【0022】
実施例では、二酸化硫黄を気相アニオン系安定化剤として用い、硫酸を液相アニオン系安定化剤として用いている。
【0023】
好ましい実施形態としては、三弗化ホウ素及び/又は弗化水素と極めて強い酸性安定化剤とを組み合わせて用いることもできる。このような組み合わせは、プラスチック製容器に関してはでは特に有益であり、また、本発明の全てのモノマー接着剤組成物に対して適用可能ではあるが、産業上の用途に対するモノマー接着剤組成物に特に適合する。三弗化ホウ素及び弗化水素も酸化されて液相アニオン系安定化剤とはならないので、気相アニオン系安定化剤として三弗化ホウ素及び/又は弗化水素を用いることによって組成物の「速度ロス」を回避できる。従って、これらの気相アニオン系安定化剤を用いることによって特に貯蔵寿命が延びた組成物が得られる。
【0024】
好ましい実施例として、三弗化ホウ素及び/又は弗化水素と二酸化硫黄及び極めて強い酸のアニオン系安定化剤とを組み合わせて用いるものもある。例えば、酸弗化ホウ素、二酸化硫黄及び硫酸とを組み合わせて用いることもできる。この組み合わせでは、二酸化硫黄及び極めて強い酸のアニオン系安定化剤との関連では少量の三弗化ホウ素或いは弗化水素を含みます。また、この組み合わせは多くのモノマー接着組成物及びパッキング材料と一緒に用いることも出来ます。三弗化ホウ素及び/または弗化水素とはパッキング材料上の表面に存在する不安定化物質を除去する働きをする可能性があり、それによってパッキング組成物の貯蔵寿命を短くする可能性のある重合開始剤を除去することができる。使用する三弗化ホウ素及び/または弗化水素の量は容器に許容できない損傷を与えることなく貯蔵寿命を向上させるよう選択すべきである。このような量は、組成物及び容器をいかに選択するか及びそれらの体積に依存するが、当業者であれば過大な実験をすることなく決定することができるであろう。
【0025】
本実施例において、液相アニオン系安定化剤は強酸性である。ここで用いている強酸は、2以下の水溶性のpKaを有する酸である。したがって、強酸には、上述したような極めて強い酸が含まれる。
【0026】
強酸としては強無機酸及び強有機酸が好ましいが、これらに限られるものではない。このような酸としては、メタンスルホン酸などのスルホン酸を例示することができるが、これに限られるものではない。本実施例において、液相強酸安定化剤は、最終的な濃度が200ppm以下、好ましくは5〜80ppm、さらに好ましくは、10〜40ppmとなるように添加する。本実施例における強酸液相アニオン系安定化剤は有機スルホン酸である。
【0027】
また、組成物中には、重合を防止するために、適宜少なくとも1種の他のアニオン系安定化剤を含ませることもできる。ここで、これらの他の安定化剤は、前記の強酸又は極めて強い酸性の液相アニオン系安定化剤と対比させて、2次アニオン系安定化剤と呼ぶことにする。一方、前記の強酸又は極めて強い酸性の液相アニオン系安定化剤は、1次アニオン系安定化剤と呼ぶことにする。2次アニオン系安定化剤は、例えば、接着剤組成物の架橋速度を調節するために、前記組成物中に含ませることもできる。
【0028】
2次アニオン系安定化剤は、通常1次アニオン系安定化剤よりも高いpKaを有する。そして、架橋接着剤の分子量同様に、接着剤の架橋速度と安定性をより正確に調節するために用いることもできる。組成物の化学的特性が望ましい特性から外れず、組成物の望ましい重合を妨害しない限りにおいて、1次アニオン系安定化剤と2次アニオン系安定化剤のいかなる混合物をも使用することができる。さらに、医学的用途において、前記混合物は毒性の許容範囲を越えてはいけない。
【0029】
上記2次アニオン系安定化剤としては、2〜8の範囲のおける水溶性のpKaイオン定数を有しているものが好ましく、さらには2〜6の範囲にあるイオン定数を有しているものが好ましく、特には2〜5の範囲にあるイオン定数を有しているものが好ましい。2次アニオン系安定化剤としては、リン酸(pKa=2.2)、酢酸(pKa=4.8)、安息香酸(pKa=4.2)、クロロ酢酸(pKa=2.9)、シアノ酢酸及びこれらの混合物などの有機酸が好ましいが、これらに限定されるものはない。中でも、酢酸や安息香酸などの有機酸がこれらの2次アニオン系安定化剤として特に好ましい。本実施例における酢酸及び又は安息香酸の量は、25〜500ppmである。酢酸の代表的な濃度は50〜400ppmであり、好ましくは75〜300ppmであり、さらに好ましくは100〜200ppmである。リン酸などの比較的強い酸を用いる場合は、その酸の濃度は20〜100ppmであり、好ましくは30〜80ppmであり、さらに好ましくは40〜60ppmである。
【0030】
強酸液相アニオン系安定化剤としてアニオン系液相安定化剤のみを用いた本実施例においては、組成物が気相アニオン系安定化剤として三フッ化硼素又はフッ化水素のどちらか一方、若しくはこれら両方を含有していることが好ましい。これらの実施例において、前記の強酸液相アニオン系安定化剤に加え、三フッ化硼素及び/又はフッ化水素を使用することにより、「速度低下(speed loss)」を防止することができ、これによって組成物の貯蔵寿命(気相アニオン系安定化剤として二酸化硫黄を使用した場合に比べて)を向上させることができる。三フッ化硼素及びフッ化水素の両方とも、液相安定化剤に加える時間の全体にわたって酸化されることがないため、モノマー状態の接着剤組成物が重合に要する時間の増加は、組成物の生成過程において実質的に見られない。三フッ化硼素及び/又はフッ化水素が気相安定化剤としてのみ使用される実施例においては、コンテナはガラス製でないことが好ましい。しかしながら、ガラス製のコンテナの状態に、重大な影響を与えないような極めて少ない量の気相アニオン系安定化剤が用いられる実施例も存在する。
【0031】
少なくとも1種の気相安定化剤と少なくとも1種の液相アニオン系安定化剤との混合物を用いることもできる。例えば、二酸化硫黄と硫酸との混合物、二酸化硫黄と過塩素酸との混合物、二酸化硫黄とクロロスルホン酸との混合物、三フッ化硼素と硫酸との混合物、三フッ化硫黄と過塩素酸との混合物、三フッ化硼素とクロロスルホン酸との混合物、三フッ化硼素とメタンスルホン酸との混合物、フッ化水素と硫酸との混合物、フッ化水素と過塩素酸との混合物、フッ化水素と硫酸との混合物、又はフッ化水素とメタンスルホン酸との混合物を使用することができる。さらには、三フッ化硼素、二酸化硫黄、及び硫酸を混合したものを用いることもできる。パッキング材及び組成物を製造・パッキングするために使用した装置と適合することに加えて、選択された接着剤組成物及び互いがともに適合するようにして、2種類のアニオン系安定化剤が選択される。換言すれば、パッキング後において、安定かつ実質的に重合していない接着剤組成物が得られるように、気相安定化剤、液相安定化剤、及びモノマーを選択して混合物を形成すべきである。
【0032】
本発明は、少なくとも1種の遊離基の安定化剤を含有した接着剤組成物(これはまた、遊離基の停止剤又は酸化防止剤として知れらている)に添加された少なくとも1種の気相アニオン系安定化剤と少なくとも1種のアニオン系安定化剤を具えた接着剤組成物を提供することである。α−シアノアクリレート組成物に遊離基の安定化剤を添加することはよく知られているが、少なくとも1種の気相アニオン系安定化剤と、少なくとも1種の液相アニオン系安定化剤と、遊離基の安定化剤との混合物を添加することによって得られる利点については、過去において認識されていなかった。本発明の組成物は、上述のような態様を有するため、貯蔵寿命が向上する。加えて、少なくとも1種の気相アニオン系安定化剤及び少なくとも1種の液相アニオン系安定化剤を安定化剤を具えた組成物に添加することによって、貯蔵寿命が改善された安定かつ無菌の組成物が得られるように無菌化される。
【0033】
本発明の組成物はまた、薬剤を具えている。薬剤を有している組成物は、医薬用途として好ましい場合が度々ある。薬剤は充填に先立ってモノマーを含有した接着剤組成物に添加するか、若しくはモノマーを含有した接着剤組成物に適用する以前に、組織に適用する。薬剤は、その薬剤としての機能の他に、モノマー組成物の重合を開始及び/又は加速する作用を有する。
【0034】
薬剤としては、抗生物質、抗菌物質、防腐剤、バクテリオシン、精菌、抗感染薬、ステロイド、麻酔剤、殺菌剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、成長促進剤、及びこれらの化合物などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
代表的な薬剤としては、塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウムクロライドなどの第4級アンモニウムハライドと、クロロヘキサンサルフェート(chlorhexidine sulfate)と,ゲンタマイシンサルフェートと、過酸化水素と、キノロンと、チオ尿素と、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、塩化銀、クエン酸銀、ヨウ化銀、及び硫酸銀(これらに限定されない)を含んだ銀塩と、次亜塩素酸ナトリウムと、銀、ナトリウム、及び亜鉛の塩(これらに限定されない)を含んだサルファサラジンの塩と、これらの混合物とを例示することができるが、これらに限定されるものではない。好ましい薬剤は、アニオン系、又はラジカルの発生を助長するもの、さらには、イオン対、ラジカルなどである。
【0035】
実施例においては、6〜18個の炭素原子を含んだアルキルを有するアルカリベンジルジメチルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム:BAC)、その純粋な化合物、又はこれらの混合物などの第4級アンモニウムハライド、あるいは銀、ナトリウム、亜鉛の塩などのサルファラジンの塩などが薬剤として好ましい。
【0036】
薬剤は、これが適用された箇所において(すなわち、薬剤が適用された組織において)、薬学的な効果を発揮することができる。あるいは、体系的な効果(体系的とは、患者の身体全体のみではなく、薬剤が適用された箇所以外の部分をも意味する)を発揮することができる。薬剤が薬学的効果を発揮するに十分な量が用いられた実施例においては、薬剤は吸収、輸送され、若しくは薬学的活性が望まれている患者の箇所、例えば、心臓やリンパ系に分配される。薬剤は、粉末又は固形フィルムなどの固体の状態、あるいは水状、粘性状、ペースト状といった液体の状態で存在する。また、薬剤には、界面活性剤、乳化剤、ビヒクルなどの添加剤を加えることもできる。
【0037】
他の実施例において、本発明は、表面的な裂傷、やけど、又は擦り傷などの皮膚の怪我、あるいは粘膜の傷を含んだ(これらに限定されるものではないが)表面的又は局所的な病理学を取り扱う方法をも含んでいる。この方法は、薬剤を含んだ接着剤組成物の製造、及びこの組成物を処置されるべき箇所に適用することを含んだものである。あるいは、(a)薬剤(重合開始剤又は重合促進剤)を組織部分に適用すること、(b)重合可能なモノマー含有接着剤組成物を前記薬剤に適用すること、(c)前記組成物を重合すること、(d)適宜前記組成物を少なくとも1回同じ箇所に適用すること、を含んでいる。
【0038】
局所的な適用に対して適切なフィルムの膜厚は、好ましくは1〜10,000μmであり、例えば、1〜1000μmである。実施例においては、少なくとも5mmHg、好ましくは5〜400mmHg、さらに好ましくは50〜400mmHgのフィルム強度を持つように前記フィルムを形成する。
【0039】
実施例において、本発明は、薬剤を組織に輸送する方法を提供する。この方法は、薬剤を含有した組成物を製造すること、組成物をある箇所に適用すること、前記組成物を重合すること、及び前記薬剤が目的とする箇所に輸送するに十分な時間、前記箇所に接触した状態で前記重合した組成物を保持すること、を含んでいる。または、(a)薬剤(重合開始剤及び/又は重合促進剤)をある箇所(例えば、組織に直接)に適用すること、(b)重合されるモノマー含有組成物を前記薬剤に適用すること、(c)適宜、前記組成物を少なくとも1回は前記箇所に適用すること、を含んでいる。フィルムの厚さ及び強度としては、上述したようなものが好ましい。
【0040】
実施例において、前記薬剤は前記犯された組織と接触している時間の全体を通じて、一定の割合、又は一定に近い割合で組織に投与される。
また、本発明は、本発明の組成物をユーザに提供するためのキットを提供する。本実施例において、本発明は、薬剤を患者に届けるためのキットを提供する。この実施例において、前記キットは、シアノアクリレート接着剤などの重合可能なモノマー組成物を有するコンテナを具えている。また、前記キットは、薬剤を有する他のコンテナを具えている。あるいは、前記キットは、接着剤と薬剤との双方を有する組成物を保持する1つのコンテナを具えることもできる。実施例において、前記キットは多数のコンテナを具えている。各々のコンテナは、1以上の重合可能なモノマー、及び1以上の薬剤を保持している。コンテナのいくつかは、接着剤と薬剤との混合物を保持することもできる。
【0041】
共通に包装された重合可能なモノマー組成物が結合した状態において、前記モノマーの重合を開始させる、又は高分子接着剤を形成するためのモノマーの重合速度を改良(すなわち、加速する)機能を有するように、前記薬剤を選択する。薬剤と、これに適合した重合可能なモノマーとは、当業者から容易に決定される。前記薬剤は、局所的(すなわち、組織に直接)に適用した場合に、薬学的な効果を発揮するような量だけ前記キットに供給する。
【0042】
本発明の組成物は、極めて少ない量だけ製造し、殺菌することができる。代表的には、無菌化α−シアノアクリレート組成物は、大容量(すなわち、1.5mL)の状態において殺菌されなければならない。医学的な用途に適用する場合、最初の使用において、前記組成物に不純物が混入する恐れがあるため、前記組成物の多くを廃棄されることから、前記のような大容量は好ましくない。したがって、少ない容量において、無菌化されたα−シアノアクリレートを提供することが好ましい。本発明にしたがい、遊離基安定化剤と結合させて、少なくとも1種の気相アニオン系安定化剤、及び少なくとも1種の液相アニオン系安定化剤を用いることにより、1mL以下の接着剤合成剤の殺菌が可能になる。したがって、本発明における上記のような態様の無菌化された組成物は、現在使用されている無菌組成物を改善するものである。
【0043】
好ましくは、パッキング(すなわち、コンテナ)毎の接着剤組成物の容量が1mL以下となるように、本発明の組成物を包装する。より好ましくは、接着剤組成物の容量が0.6mL以下となるように包装する。本発明の組成物は、特に限定されるものではないが、乾燥加熱殺菌、ガンマ線照射、マイクロ波照射、及び電子線照射などの適切な手段によって殺菌される。
【0044】
実施例において、本発明の接着剤組成物は殺菌される。組成物が医学的用途に使用される実施例において、無菌化された組成物は、その有効寿命の間を通じて、活動している組織に与える毒性が低いレベル似あることが必要である。本発明によれば、少なくとも1種の気相及び少なくとも1種の液相アニオン系安定化剤は、モノマーの重合(すなわち、組成物の重合)を十分に禁止することができる。また、無菌化は、重合のレベルが好ましくない段階に達することなく、または、従来の技術で開示したような方法から生じる過渡の安定化による架橋速度を増加させることなく達成することができる。例えば、本発明の実施例にしたがった無菌化された組成物は、殺菌の結果として粘度が300%以下の範囲で増加した。粘度レベルは公知の方法によって決定される。例えば、スピンドルサイズCP−40を具えたブルックフィールド・コーン・プレート粘度計(Brookfield Cone−Plate Viscometer)を用いて、室温(約21〜25℃)において測定される。この装置は、粘度参照基準(Viscosity Reference Standard)を用いて、テストサンプルと同じ範囲内において標準化される。各試料は3回測定され、その平均値が記録される。
【0045】
モノマー含有組成物は、特に限定されるものではないが、ガラス、プラスチック、金属パッケージ、及びフィルム状のパッケージを含んだ材料から形成された、適切なコンテナ中に包装される。前記組成物が分別され、コンテナ又はモノマー組成物の成分に好ましくないダメージや劣化を生じないようなコンテナを用いることが適切である。プラスチックは、乾燥加熱殺菌温度(代表的なものとしては、少なくとも、160℃)で使用した場合、その安定性を欠落してしまうので、このような乾燥加熱殺菌を使用する場合は、ガラスを用いることが好ましい。例えば、アンプル、水薬ビン、注射器、ピペットなど(これらに限定されるものではない)のコンテナを例示することができる。好ましい実施例においては、密封性のコンテナを具えている。コンテナは、いかなるサイズであってもよいが、実施例においては全容積が1mL以下のものを使用している。例えば、全容積が1mLのコンテナには、0.6mLのモノマー組成物が含まれている。
【0046】
殺菌を考慮した場合、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト(SoybeanCasein Digest)媒体上において播種させ、32〜35℃で14日温置させた後、バクテリアの成長がないことが必要である。USPXXIII <1211>の「Sterization and Sterility Assurance of Compendial Artiicles」にしたがって標準的な手順及び物質が選択する必要がある。
【0047】
好ましい実施例においては、安定、無菌、そして実質的に重合していないα−シアノアクリレート組成物をガラスアンプル中に設ける。ガラスアンプル中のα−シアノアクリレート接着剤組成物を包装し殺菌するために、気相アニオン系安定化剤として二酸化硫黄を用い、液相アニオン系安定化剤として硫酸を用い、前記組成物を前記アンプル中に入れ、前記アンプルを密封した後、殺菌する以前に、予め決められた時間、例えば、1日以上放置することが特に好ましい。この方法は、殺菌工程中及び/又は直後において、組成物の好ましくない重合を減少させる結果をもたらす。このようにして得られた安定かつ無菌の接着剤組成物は、現在使用されている包装及び殺菌方法によって得られたものに比較して、多分散性が低く、好ましくない重合生成物に対するモノマーの割合が高い。このように処理された組成物は、殺菌中にモノマーが高分子に変換する割合が実質的に存在しない。モノマーを含有したガラスアンプルの殺菌は、乾燥加熱殺菌を含んだ種々の殺菌方法を用いて行うことができる。
【0048】
本発明の実施例によれば、接着剤組成物の安定性、したがって貯蔵寿命をさらに向上させることができる。さらに、注意深いパッキング(すなわち、コンテナに分配し)、及び殺菌手順を踏むことによって、前記貯蔵寿命をさらに延ばすことができる。組成物の準備と殺菌のために要求される時間を最小にするための、上述したような好ましい態様とは反対に、組成物を包装する、特にガラス中に包装する時間と殺菌中及び殺菌直後の好ましくない高分子生成物の減少を生じさせる殺菌の時間との間隔を所定の時間空ける。この工程は、重合されるモノマーを含んだ液状の接着剤組成物をガラス製のコンテナに設置する時間と、それを殺菌する時間との間隔を最適な状態にする。ここで開示した新規な組成物と相俟って、この方法は、モノマーの好ましくない重合レベルを最小、あるいは除去する。
したがって、安定かつ無菌の接着剤組成物が提供される。
【0049】
したがって、本発明は工業的または医学的用途において、包装方法とモノマー含有組成物の殺菌方法とを含むものである。実施例において、その方法は、
A)モノマー含有接着剤組成物を適切なコンテナに分別すること、
B)前記モノマー含有接着剤組成物、及び前記コンテナを製造するために用いている材料に依存するとともに、殺菌中の前記組成物の安定性を向上させるように選択した所定の時間放置すること、
C)前記組成物を殺菌すること、
を具えている。
【0050】
本発明の分別工程(工程A)は、真空または空気中などの酸素含有雰囲気下において分別する(これらに限定されない)ことを含んだ当業者にとって公知の技術を用いて行うことができる。
【0051】
さらに本発明は、コンテナを密封することを含んでいる。好ましくは、コンテナの密封は工程Aと工程Bとの間(分別の後であって放置の前)、あるいは工程Cの後(殺菌後)に行う。しかしながら、工程Bの後(所定の時間の放置の後)のコンテナの密封も、本発明においては可能である。コンテナの密封を工程Cの後に行う場合は、組成物の無菌性が損なわれないように注意する必要がある。最も好ましくは、工程Aと工程Bとの間にコンテナの密封を行うことが好ましい。
【0052】
モノマー組成物を分別する時間と組成物殺菌する時間との間隔は、殺菌直後に、殺菌前の粘度に対して、15〜20%以下の範囲で粘度が上昇した組成物が得られるように調節することが好ましい。しかしながら、殺菌前の粘度に対して200%までの粘度上昇が許容範囲である。さらには、無菌化された組成物は、殺菌以前の組成物に対して50%以下の範囲の粘度上昇であることが好ましい。最も好ましくは、組成物の粘度が殺菌処理前後において変化しない(すなわち、20%未満)ことである。モノマー接着剤組成物が適用される用途において高い実用性を有するためには、この組成物の殺菌後の粘度上昇が殺菌前の粘度に対して200%以下であることが必要である。一般に、殺菌中の粘度増加はモノマー含有組成物の早期エージングと判断することができる。これは、その有用な貯蔵寿命を、特に温度が低い状態で保存されていない場合において、劣化させてしまう。加えて、粘度の変化は、一般的には好ましくない、モノマー含有組成物の反応性の変化の指標でもある。
【0053】
前記所定の時間間隔は、モノマー、パッキング材料、及び使用する安定化剤の相性に依存する。ガラス製のコンテナを使用する場合、前記所定の時間間隔は、好ましくは少なくとも1日(24時間)であり、代表的なものとしては約2日である。前記所定時間の上限は、ユーザの実用の観点及び利便性の観点からのみ決定される。
【0054】
いかなる説明に対しても限定されないが、前記組成物を分別する時間と前記組成物を殺菌する時間との所定の時間間隔は、安定化剤、特に液相アニオン系安定化剤が、包装材料の表面中に存在している非安定材料と反応し除去するに十分な時間を提供する。例えば、ガラス製のコンテナを密封すると、清浄されたガラスが作製される。密封後に放置することによって、アニオン系安定化剤が新しいガラスと反応し、組成物に対して新たに晒されたアルカリ物質を除去するに十分な時間が提供される。
【0055】
本発明の殺菌化工程(工程C)は当業者に公知の方法によって行われる。特に限定されるものではないが、物理的及び照射手段を用いた方法を含む方法によって行うことが好ましい。どのような方法を用いても構わないが、殺菌化されるべき組成物に適合したものであることが必要である。特に限定されるものではないが、物理的な方法として熱殺菌を例示することができる。照射手段を用いた方法としては、特に限定はされないが、ガンマ線照射、電子線照射、及びマイクロ波照射を例示することができる。熱殺菌を用いた方法が好ましい。最も好ましいのは、乾燥加熱殺菌である。
【0056】
実施例において、本発明は、モノマー含有組成物を包装し殺菌する方法を提供する。ここにおいて、組成物は医学的用途としての接着剤をも含んでいる。好ましい実施例においては、モノマー液相接着剤組成物の重合は実質的に開始されない。このような重合は、殺菌工程によって引き起こされるモノマーの実用性に影響を及ぼす。無菌化された液相接着剤組成物は、良好な貯蔵寿命と優れた安定性とを示す。
【0057】
実施例におけるモノマー組成物は、好ましくはモノマー接着剤組成物(プレポリマーを含む)である。実施例においては、前記モノマーは、1,1−二置換エチレンモノマー、例えば、α−シアノアクリレートである。本発明の好ましいモノマー組成物、及びそれから得られる重合体は、出血を止める、あるいは開いた傷口を覆うための組織接着剤、貼付剤として有効に用いることができる。さらには、他の吸収及び非吸収の生化学的な用途にも用いることができる。例えば、外科的な切開または外的に切り裂かれた組織に対して使用することができる。さらには、傷から流出する血液を遅延させたり、薬物輸送、やけどの手当、皮膚、または他の表層部分あるいは他の表面部分の傷(すり傷や生傷、及び/又は口内炎)の手当、ヘルニア治療、メニスカス治療、生きた組織の修正(aiding repair)と再成長などに使用することができる。本発明の他の好ましいモノマー、及びそれから得られる重合体は、結合ゴム、プラスチック、木材、複合物、織物、他の天然及び合成材料などに使用することができる。
【0058】
本発明で使用するモノマーは、直ちに重合される。例えば、アニオン重合、遊離基重合、または両性イオン、あるいはイオン対用いて重合することにより、重合体を形成する。このようなモノマーには、重合体を形成するものが含まれるが、これらが生分解性を有することは要求されない。このようなモノマーとしては、例えば、ルング(Leung)らによるUSP5,328,687に開示されているものを使用することができる。そこに記載されているモノマーは、総て本発明において使用することができる。本発明において有用な1,1−二置換エチレンモノマーは、特に限定されるものではないが、下式(I)で表されるモノマーを用いることが好ましい。
(I) HRC=CXY
ここで、X及びYは、各々強い電子吸引性基であり、RはHまたは−CH=CH2であり、X及びYの双方がシアノ基である場合は、C1−C4アルキル基である。
【0059】
式(I)に含まれるモノマーの例として、α−シアノアクリラート、ビニリデンシアニド、ビニリデンシアニドのC1〜C4のアルキル同族体、ジアルキルメチレンマロナート、アシルアクリロニトリル、ビニルスルフィナート、およびCH2=CX’Y’のスルホン酸ビニル(ここで、X’は−SO2R’、または−SO3 R’であり、Y’は−CN、−COOR’、−COCH3、−SO2R’、または−SO3R’であり、R’はH、またはヒドロカルビル(hydrocarbyl)である。)を包含して列挙できる。
【0060】
本発明において使用される式(I)の好ましいモノマーはα−シアノアクリラートである。これらのモノマーは当業者には知られており、[化1]の式(II)(ここで、R2 は水素であり、R3はヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビル基である。)、式−R4−O−R5−O−R6を有する基(ここで、R4 は2〜4の炭素原子を有する1,2−アルキレン基であり、R5は2〜4の炭素原子を有するアルキレン基であり、R6は1〜6の炭素原子を有するアルキル基である。)、または[化2]の式を有する基(ここで、R7は[化3]の式(ここで、nは1〜10、好ましくは1〜5の炭素原子、R8は有機成分である。)を有している。
【0061】
【化1】
【化2】
【化3】
【0062】
好適なヒドロカルビル基および置換ヒドロカルビル基の例としては、直鎖または分岐鎖の1〜16の炭素原子を有するアルキル基;アシロキシ基置換直鎖または分岐鎖の1〜16の炭素原子のアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、またはハロアルキル基;2〜16の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルケニル基;2〜12の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキニル基;シクロアルキル基;アラルキル基;アルキルアリール基;およびアリール基を包含して列挙できる。
【0063】
有機成分R8は置換されてもまたは被置換でもよく、直鎖、分岐鎖、または環式、飽和、不飽和、または芳香族でもよい。このような有機成分の例としては、1〜8の炭素原子のアルキル成分、2〜8の炭素原子のアルケニル成分、2〜8の炭素原子のアルキニル成分、3〜12の炭素原子の環式脂肪族成分、フェニルおよび置換フェニルのようなアリール成分、ベンジル、メチルベンジルおよびフェニルエチルのようなアラルキル成分を包含して列挙できる。他の有機成分としてはハロゲン成分(例えば、クロロ−、フルオロ−、およびブロモ−置換炭化水素)、およびオキシ−置換炭化水素成分(例えば、アルコキシ置換炭化水素)のような置換炭化水素成分を含む。好ましい有機基は1〜約8の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、およびアニキニル成分、およびハロゲン−置換のこれらの誘導体である。特に好ましくは4〜6の炭素原子のアルキル成分である。
【0064】
式(II)のシアノアクリラートモノマーでは、R3は好ましくは1〜10の炭素原子を有するアルキル基、または式−AOR9(ここで、Aは2〜8の炭素原子を有する2価の直鎖または分岐鎖のアルキレンまたはオキシアルキレン成分であり、R9は1〜8の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル成分である。)を有する基である。
【0065】
式−AOR9で表される基の例としては、1−メトキシ−2−プロピル、2−ブトキシエチル、イソプロポキシエチル、2−メトキシエチル、および2−エトキシエチルを包含して列挙できる。
【0066】
式(II)のα−シアノアクリラートはこの技術分野で知られた方法により調製できる。U.S.特許第2721858号および第3254111号はα−シアノアクリラートの調製法を開示しており、この参照により全体を取り込む。例えば、α−シアノアクリラートはシアノ酢酸アルキルをホルムアルデヒドと非水有機溶媒中で塩基性触媒の存在下で反応させ、続いて、重合阻害剤の存在下で無水中間体ポリマーの熱分解により調製できる。低水分量で調製され、本質的に不純物のないα−シアノアクリラートモノマーは生物医学的な用途に適する。
【0067】
式(II)(R3は式R4−O−R5−O−R6を有する基である。)のα−シアノアクリラートはU.S.特許第4364876号、キムラ他において開示された方法に従い調製できる。この参照により全体を取り込む。このキムラ他の方法では、α−シアノアクリラートはシアノ酢酸をアルコールでエステル化することによりシアノ酢酸エステルをつくり、またはシアノ酢酸アルキルとアルコールをエステル交換し;シアノ酢酸エステルとホルムアルデヒドまたはパラ−ホルムアルデヒドとを触媒の存在下で0.5〜1.5:1、好ましくは0.8〜1.2:1のモル比で縮合して縮合物を得;縮合反応混合物を直ちにまたは縮合触媒を除去した後解重合して粗シアノアクリラートを得;そして粗シアノアクリラートを蒸留して、高純度のシアノアクリチートを得ることにより調製される。
【0068】
式(II)(ここで、R3は[化4]の式を基を有する基である。)のα−シアノアクリラートはU.S.特許第3995641号、Kronenthal他に記載された手順に従って調製でき、この参照により全体を取り込む。Kronenthal他の方法では、このようなα−シアノアクリラートモノマーはα−シアノアクリル酸のアルキルエステルを環式1,3−ジエンと反応させてディールス・アルダー付加物を形成し、その後、これをアルカリ加水分解し、酸性化して相当するα−シアノアクリル酸付加物を形成することにより調製される。α−シアノアクリル酸付加物は好ましくはブロモ酢酸アルキルによりエステル化されて、相当するカルバルクオキシメチルα−シアノアクリラート付加物を形成する。あるいは、α−シアノアクリル酸付加物を塩化チオニルと反応させてα−シアノアクリルハロゲン化物付加物に転化してもよい。その後、α−シアノアクリルハロゲン化物付加物をヒドロキシ酢酸アルキルまたはメチル置換ヒドロキシ酢酸アルキルと反応させて相当するカルバルクオキシメチルα−シアノアクリラート付加物またはカルバルクオキシアルキルα−シアノアクリラート付加物をそれぞれ得る。環式1,3−ジエンブロッキング基は最終的に除去され、カルバルクオキシメチルα−シアノアクリラート付加物またはカルバルクオキシアルキルα−シアノアクリラート付加物はわずかに不足する無水マレイン酸の存在下でその付加物を加熱することにより相当するα−シアノアクリル酸カルバルクオキシアルキルに転化される。
【化4】
【0069】
式(II)のモノマーの例として、シアノペンタジエン酸エステルおよび[化5]の式(III)(ここで、Zは−CH=CH2であり、R3 は上記のとおりである。)のα−シアノアクリラートを包含して列挙できる。式(III)のモノマー(ここで、R3 は1〜10の炭素原子のアルキル基である。すなわち、2−シアノペンタ−2,4−ジエン酸エステル)は適切な2−シアノ酢酸エステルをアクロレインと塩化亜鉛のような触媒の存在下で反応させることにより調製できる。2−シアノペンタ−2,4−ジエン酸エステルのこの調製法は、例えば、U.S.特許第3554990号に記載されており、この参照により全体を取り込む。
【化5】
【0070】
本発明で使用される好ましいα−シアノアクリラートは2−オクチルシアノアクリラートのようなシアノアクリル酸オクチルを含むα−シアノアクリル酸アルキル;シアノアクリル酸ドデシル;シアノアクリル酸エチルヘキシル;シアノアクリル酸メトキシエチル;シアノアクリル酸2−エトキシエチル;シアノアクリル酸n−ブチルのようなシアノアクリル酸ブチル;シアノアクリル酸エチル;シアノアクリル酸メチル;シアノアクリル酸3−メトキシブチル;シアノアクリル酸2−ブトキシエチル;シアノアクリル酸2−シソプロポキシエチル;およびシアノアクリル酸1−メトキシ−2−プロピルである。より好ましいモノマーはα−シアノアクリル酸エチル、α−シアノアクリル酸n−ブチルおよびα−シアノアクリル酸2−オクチルである。本発明の医学的目的に使用されるモノマーは非常に純粋であり、不純物をほとんど含まないことが求められる(例えば、外科的用途の程度に)。産業的目的で使用されるモノマーはそのように純粋である必要はない。
【0071】
この組成物は、可塑化剤、チキソトロープ剤、天然ゴムまたは合成ゴム等の添加剤を任意に含むことができる。このような添加剤は当業者には周知である。一般に、このような添加剤が接着剤組成物中に含まれる場合には、この組成物は不安定になり、例えば、貯蔵寿命が短くなったりまたは硬化速度に逆効果であったりする。しかし、本発明の組成物は、これらの既知の添加剤を含む場合に、先行技術にみられるようなレベルの逆効果を示さない。こうして、本発明は現在出回っている組成物を超えて改良するものである。
【0072】
本組成物はモノマーから形成されたポリマーに可撓性を与える少なくとも1つの可塑化剤を任意に含むことかできる。可塑化剤は好ましくはほとんどまたは全く水分を含まず、モノマーの安定性や重合にあまり影響を与えないことが必要である。このような可塑剤は重合された組成物において、創傷、切り口、擦傷、ただれを閉じたり覆ったりするのに、あるいは接着剤の可撓性が望まれるその他の用途に使用するのに役立つ。
【0073】
好適な可塑剤の例としては、クエン酸アセチルトリブチル、セバシン酸ジメチル、りん酸トリエチル、りん酸トリ(2−エチルヘキシル)、りん酸トリ(p−クレシル)、三酢酸グリセリル、三酪酸グリセリル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸、トリオクチルトリメリタート(trimellitate)、グルタル酸ジオクチル、およびこれらの混合物を包含して列挙できる。好ましい可塑剤は、クエン酸トリブチルおよびクエン酸アセチルトリブチルである。具体的には、好適な可塑化剤は、ポリエチレングリコール(PEG)エステルおよびキャップされた(capped)PEGエステルまたはエーテル、グルタル酸ポリエステルおよびアジピン酸ポリエステルのような重合性可塑剤である。
【0074】
60重量%まで、好ましくは50重量%まで、より好ましくは30重量%まで、もっとも好ましくは10重量%までの量で可塑化剤を添加することにより、可塑化剤を添加していない重合されたモノマーを超えて重合されたモノマーのフィルム強度(例えば、粘り強さ)が増す。
【0075】
また、本組成物は少なくとも1つのチキソトロープ剤を任意に含むことができる。好適なチキソトロープ剤は当業者に知られており、シリルイソシアナートで処理されたようなシリカゲル等を包含して列挙できるが、これに限定されるものではない。好適なチキソトロープ剤の例としては、例えばU.S.特許第4720513号に開示されており、この参照により、全体を取り込む。
【0076】
また、本組成物は、耐衝撃性を与えるために少なくとも1つの天然ゴムまたは合成ゴムを含むことができる。これは、本発明の組成物を特に産業的に使用する場合に好ましい。好適なゴムは当業者に知られている。このようなゴムはジエン、スチレン、アクリロニトリル、およびこれらの混合物を包含して列挙できるが、これに限定されない。好適なゴムの例は、例えば、U.S.特許第4313865号および第4560723号に開示されており、この参照により、全体を取り込む。
【0077】
本発明の組成物は少なくとも1つのラジカル安定剤を含んで構成される。好適なラジカル安定剤の例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール、ベンゾキノン、2−ヒドロキシベンゾキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、t−ブチルヒドロキノン、およびこれらの混合物を包含して列挙できる。具体的には、BHAのような安定化剤の量は約1000〜5000ppmである。
【0078】
また、本発明の医学的な用途に使用される組成物は、ポリマーをインビボで生物分解する間に生成される活性なホルムアルデヒドの濃度を下げるのに有効な生物学的適合性のある薬剤(「ホルムアルデヒド濃度低下剤」とする。)を少なくとも1つ含むことができる。好ましくは、この成分はホルムアルデヒド捕捉剤化合物である。本発明で役立つホルムアルデヒド捕捉剤化合物の例としては、亜硫酸塩;重亜硫酸塩(bisulfite);亜硫酸塩と重亜硫酸塩の混合物;亜硫酸アモニウム塩;アミン;アミド;イミド;ニトリル;カルバメート;アルコール;メルカプタン;たんぱく質;アミン、アミドおよびたんぱく質の混合物;環式ケトンおよびb−ジカルボニル基を有する化合物のような活性メチレン化合物;およびカルボニル基を含まずNH基を含み、窒素原子または炭素原子から形成されたヘテロ環式化合物(この環は不飽和であり、またはフェニル基に結合する場合は不飽和あるいは飽和であり、NH基は炭素原子または窒素原子に結合し、この原子は二重結合で別の炭素原子または窒素原子に直接結合する。)を包含して列挙できる。
【0079】
本発明でホルムアルデヒド捕捉剤化合物として役立つ重亜硫酸塩および亜硫酸塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモニウム塩、例えば、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸リチウム、重亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム等である。
【0080】
本発明で役立つアミンの例としては、例えば、アニリン、ベンジジン、アミノピリミジン、トルエン−ジアミン、トリエチレンジアミン、ジフェニルアミン、ジアミノジフェニルアミン、ヒドラジン、およびヒドラジドのような脂肪族および芳香族アミンを包含して列挙できる。
【0081】
好適なたんぱく質はコラーゲン、ゼラチン、カゼイン、大豆たんぱく質、野菜たんぱく質、およびケラチンを含む。本発明の使用において好ましいたんぱく質はカゼインである。
【0082】
本発明の使用において好ましいアミドは尿素、シアナミド、アクリルアミド、ベンズアミド、およびアセトアミドを含む。好ましいアミドは尿素である。
【0083】
好適なアルコールはフェノール、1,4−ブタンジオール、d−ソルビトール、およびポリビニルアルコールを含む。
【0084】
b−ジカルボニル基を有する好適な化合物の例としては、マロン酸、アセチルアセトン、エチルアセトン、酢酸エステル、マロンアミド、マロン酸ジエチル、または別のマロン酸エステルを包含して列挙できる。
【0085】
本発明の使用において好適な環式ケトンはシクロヘキサノンまたはシクロペンタノンを含む。
【0086】
本発明のホルムアルデヒド捕捉剤として使用するのに好適なヘテロ環式化合物の例は、例えば、U.S.特許第4127382号、Perryに開示され、この参照により、全体を取り込む。このようなヘテロ環式化合物は、例えば、ベンジミダゾール、5−メチルベンジミダゾール、2−メチルベンジミダゾール、インドール、ピロール、1,2,4−トリアゾール、インドリン、ベンゾトリアゾール、インドリン等を含む。
【0087】
本発明の使用において好ましいホルムアルデヒド捕捉剤は、重亜硫酸ナトリウムである。
【0088】
本発明の実施においては、ホルムアルデヒド濃度低下剤は、シアノアクリラートに効果的な量で添加される。「効果的な量」とは、続くインビボの重合性シアノアクリラートの生物分解の間に生成されるホルムアルデヒドの量を減少するのに十分な量をいう。この量は活性なホルムアルデヒド濃度低下剤の型に応じて決まり、当業者には難なく容易に決定できる。
【0089】
ホルムアルデヒド濃度低下剤は本発明において使用できるが、その形態は自由な形態でもよく、マイクロカプセルに包まれた型でも使用される。マイクロカプセルに包まれた型の場合、ホルムアルデヒド濃度低下剤は、シアノアクリラートポリマーのインビボの生物分解の間中連続してマイクロカプセルから放出される。
【0090】
本発明の目的のためには、ホルムアルデヒド濃度低下剤はマイクロカプセル化した型が好ましい。理由は、この例によるとホルムアルデヒド濃度低下剤によってシアノアクレラートモノマーの重合を阻害あるいは実質的に減少し、これより貯蔵寿命、使用中のモノマー組成物の取り扱いが容易になるからである。
【0091】
ホルムアルデヒド捕捉剤のマイクロカプセル化は、知られた多くのマイクロカプセル化技術により達成できる。例えば、マイクロカプセル化は揮発溶剤(例えば、塩化メチレン)中にコーティングポリマーをポリマー濃度の約6重量%で溶解し;粒子状のホルムアルデヒド捕捉剤化合物を攪拌下にコーティングポリマー/溶剤溶液中に添加し、捕捉剤濃度を18重量%にし;界面活性剤含有鉱油溶液を急速な攪拌下にポリマー溶液中にゆっくり添加し、揮発溶剤を攪拌下に蒸発させ;攪拌機を除去し;鉱油から固形物を分離し;マイクロ粒子を洗浄、乾燥することにより行われる。マイクロ粒子の大きさは、約0.001〜約1000ミクロンである。
【0092】
ホルムアルデヒド濃度低下剤をマイクロカプセル化するためのコーティングポリマーは好ましくはモノマーにより形成されるシアノアクリラートポリマーと同じがそれより早い速度でインビボでバイオエロージョンされるポリマーである必要があり、低固有水分量である必要がある。このようなバイオエロージョンは、例えば、体液の存在下でカプセル材料が固体から溶質に通過することにより、または、体にある薬剤によりカプセル材料が生物分解されることにより、カプセル材料が物理的にあるいは化学的に破壊した結果として生じ得る。
【0093】
ホルムアルデヒド濃度低下剤をマイクロカプセル化するのに使用できるコーティング材料の例としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ1,4−ジオキサ−2−オン、ポリオキサラート、ポリカルボナート、ポリグリコール酸とポリ乳酸のコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ−b−ヒドロキシブチラート、エプシロン−カプロラクトンとデルタ−バレロラクトンのコポリマー、エプシロン−カプロラクトンとDL−ジラクチドのコポリマー、およびポリエステルヒドロゲルのようなポリエステル;ポリビニルピロリドン;ポリアミド;ゼラチン;アルブミン;たんぱく質;コラーゲン;ポリ(オルトエステル);ポリ(無水物);ポリ(アルキル−2−シアノアクリラート);ポリ(ジヒドロピラン);ポリ(アセタール);ポリ(ホスファゼン);ポリ(ウレタン);ポリ(ジオキシノン);セルロース;およびスターチを包含して列挙できる。
【0094】
鉱油に添加できる界面活性剤の例としては、TritonX−100TM(RohmとHaas)、Tween20TM(ICIアメリカ)およびTween80TM(ICIアメリカ)として表示されて市販されているものを包含して列挙できる。
【0095】
また、本発明の組成物は任意に少なくとも1つの増粘化剤を含むことができる。好適な増粘化剤は、例えば、ポリシアノアクリラート、ポリ乳酸、ポリ−1,4−ジオキサ−2−オン、ポリオキサラート、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ポリカプロラクトン、乳酸とカプロラクトンのコポリマー、ポリ−3−ヒドロキシブチル酸、ポリオルトエステル、ポリアルキルアクリラート、アルキルアクリラートと酢酸ビニルのコポリマー、ポリアルキルメタクリラート、およびメタクリル酸アルキルとブタジエンのコポリマーを包含して列挙できる。アルキルメタクリラートとアルキルアクリラートの例としては、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリラート)およびポリ(2−エチルヘキシルアクリラート)、また、ポリ(ブチルメタクリラート)とポリ(ブチルアクリラート)、また、ポリ(ブチルメタクリラート−コ−メチルアクリラート)のような種々のアクリラートモノマーとメタクリラートモノマーのコポリマーを包含して列挙できる。
【0096】
本発明の組成物から形成される接着剤の凝集強度を改良するために、ニ官能性モノマー架橋剤を本発明のモノマー組成物に添加できる。このような架橋剤は知られいてる。U.S.特許第3940362号、Overhultsは、このような架橋剤を開示しており、この参照により、全体を取り込む。好適な架橋剤の例としては、アルキルビス(2−シアノアクリラート)、トリアリルイソシアヌラート、アルキレンジアクリラート、アルキレンジメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、およびアルキルビス(2−シアノアクリラート)を包含して列挙できる。アミン活性化フリーラジカル開始剤または速度調節剤の触媒量は重合を開始するためにあるいはシアノアクリラートモノマー/架橋剤ブレンドの重合速度を調節するために添加される。
【0097】
本発明の組成物はさらに繊維補強材および染料、顔料、および顔料染料のような着色剤を含んでもよい。好適な繊維補強材の例としては、PGAマイクロフィブリル、コラーゲンマイクロフィブリル、セルロースマイクロフィブリル、およびオレフィンマイクロフィブリルを包含して列挙できる。好適な着色剤の例としては、1−ヒドロキシ−4−[4−メチルフェニルアミノ]−9,10アントラセンジオン(D+C紫No.2);6-ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)アキソ]−2−ナフタレン−スルホン酸のニナトリウム塩(FD+C黄No.6);9−(o−カルボキシフェニル)−6−ヒドロキシ−2,4,5,7−テトラヨード−3H−キサンテン−3−オン、ニナトリウム塩、モノハイドレート(FD+C赤No.3);2−(1,3−ジヒドロ−3−オキソ−5−スルホ−2H−インドール−2−イリジン)−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1H−インドール−5−スルホン酸ニナトリウム塩(FD+C青No.2);および[フタロシアニナート(2−)]銅を包含して列挙できる。
【0098】
本発明が意図するその他の組成物および添加剤はU.S.特許第5624669号、第5582834号、第5575997号、第5514371号、第5514372号および第5259835号に、またU.S.出願第08/714288に例示さており、この参照により、全体を取り込む。
【0099】
【実施例】
実施例1
先行技術の2−オクチルシアノアクリラート組成物のガラス容器中への包入および殺菌。唯一のアニオン系安定化剤として二酸化硫黄を含む2−オクチルシアノアクリラート接着剤組成物を殺菌する前に所定時間待機する効果を表1に示す。表1のデータは次のようにして得られた。2−オクチルシアノアクリラート、20〜40ppmの二酸化硫黄、1500ppmのヒドロキシキノリン、および145ppmのパラメトキシフェノール、および150ppmの酢酸を含む組成物を調製する。半ミリリットル(0.5ml)の組成物をガラスビン(アンプル)に分散する。ビンの開口端をガラスが溶けるまで加熱して、封止する。封止ビンは所定時間(例えば、2時間あるいは120時間)室温(21〜25℃)に置く。この温度は臨界的ではないが、この間は、ビンを余計に加熱してはいけない。その後、封止したビンを1時間160℃で乾燥加熱殺菌する。得られた殺菌組成物を室温まで冷却する。
【0100】
殺菌した2−オクチルシアノアクリラート組成物はビンから出され、前記の方法に従って粘度を試験する。
【0101】
同じ2−オクチルシアノアクリラート組成物の14の異なる調製物を調製してこの方法で試験した。各調製物の試料を分散と殺菌の間に2時間または120時間放置した。殺菌の前後の14の試料のセンチポイズの粘度を表1に示す。
【0102】
表1から、唯一のアニオン系安定化剤として二酸化硫黄で安定化された2−オクチルシアノアクリラート組成物が分散と殺菌の間に120時間置いた後でさえ、未殺菌組成物に対して少なくとも122%の粘度を示していることがわかる。平均は未殺菌組成物に対して約170%である。
【0103】
【表1】
【0104】
実施例2
本発明の組成物の所定時間待機することの粘度における効果。17.5ppmの硫酸(液相アニオン系安定化剤)、15ppm の二酸化硫黄( 気相アニオン系安定化剤)、1500ppmのヒドキシキノリン、および145ppmのパラメトキシフェノール(フリーラジカル安定化剤)および150ppmの酢酸を含む2−オクチルシアノアクリラート組成物をガラスアンプル中に分散し、アンプルを封止し、封止した接着剤組成物を表示した時間室温に放置した後、乾燥加熱により殺菌した。粘度を上記の方法に従って決定した。
【0105】
実験結果を表2に示す。所定時間待機してから本発明の組成物を殺菌すると、分散しガラスビンを封止した直後に組成物を殺菌するのに比べて、粘度が減少した。
【0106】
さらに、表1で得られた結果とくらべると、本発明の組成物は、ほんの46時間待ってから殺菌した後に、未殺菌組成物に対して多くてもほんの113 %の粘度を示す。平均して、これらの組成物は殺菌後に、殺菌前のほんの107 %の粘度を示した。したがって、本発明の組成物は、先行技術の組成物にくらべより安定していることを示す。
【0107】
【表2】
【0108】
実施例3
殺菌したシアノアクリラート組成物の安定化。表示した量の二酸化硫黄(気相アニオン系安定化剤) および硫酸(液相強酸アニオン系安定化剤)を含む2-オクチルシアノアクリラート組成物を調製した。これは、1500ppmのヒドキシキノリン、および145ppmのパラメトキシフェノール(フリーラジカル安定化剤として) および150ppmの酢酸(第2のアニオン系活性化剤として)を含む。これをガラスアンプルに分散し、その後、アンプルを封止し、室温で2日間放置した。その後パッケージした組成物を160℃で1時間乾燥加熱殺菌した。その後、試料を冷却して、各試料の1ビンからの組成物の粘度を実施例1および2と同様に測定した。
【0109】
各組成物の別のビンを12日80℃に加熱した。この処理により、周囲温度で2年間貯蔵した組成物における効果を容易にシュミレートできる。
【0110】
この結果を表3に示す。結果によると、少なくとも5ppmの硫酸と気相アニオン系安定化剤としての二酸化硫黄を含む2-シアノアクリラート組成物は、乾燥加熱殺菌の間またはその直後、粘度がほとんどあるいは全く増加していないことを示している。また、これらの組成物は長期の貯蔵期間にわたり、著しい安定性を示す。
【0111】
【表3】
【0112】
以上、本発明を好ましい態様を参照して説明した。本発明は記載した特別の例に限定されず、本発明内で当業者により容易に他の例に改変できる。
なお、本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
(1) 液相状態及び気相状態の重合性α−シアノアクリレートモノマーと、少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤と少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤とからなり、該少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤は水性pKaが1.0未満である酸であることを特徴とする未殺菌接着剤組成物。
(2) さらに少なくとも1つのラジカル安定剤を含む実施態様1に記載の接着剤組成物。
(3) 前記モノマーがn−ブチルシアノアクリレート、2−オクチルシアノアクリレート、エチルシアノアクリレート、メチルシアノアクリレート、エトキシメチルシアノアクリレートおよびメトキシエチルシアノアクリレートからなる群から選択された少なくとも1つの化合物であることを特徴とする実施態様1又は2に記載の接着剤組成物。
(4) 前記少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤は、二酸化硫黄、三弗化ホウ素及び弗化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物からなる実施態様1乃至3のいずれかに記載の接着剤組成物。
(5) 前記少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤は、二酸化硫黄からなる実施態様1乃至4のいずれかに記載の接着剤組成物。
(6) 前記少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤は、三弗化ホウ素からなる実施態様1乃至5のいずれかに記載の接着剤組成物。
(7) 前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤は、硫酸、過塩素酸、フルオロスルホン酸及びクロロスルホン酸からなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物からなる実施態様1乃至6のいずれかに記載の接着剤組成物。
(8) 前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤は、硫酸からなる実施態様1乃至7のいずれかに記載の接着剤組成物。
(9) さらに三弗化ホウ素及び弗化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物を含む実施態様5に記載の接着剤組成物。
(10) 前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤は、有機スルホン酸からなる実施態様1乃至8のいずれかに記載の接着剤組成物。
(11) 前記少なくとも1つのラジカル安定剤が、ブチル化ヒドロキシアニソール及びブチル化ヒドロキシトルエンからなる群から選択された化合物である実施態様4乃至10のいずれかに記載の接着剤組成物。
(12) 三弗化ホウ素を含む実施態様1乃至11のいずれかに記載の接着剤組成物。
(13) 液相状態及び気相状態の重合性α−シアノアクリレートモノマーと、少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤、及び少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤からなる接着剤組成物であって、
前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤が、1.0未満の水性pKaを有する酸であり、かつ、前記組成物が殺菌されていることを特徴とする接着剤組成物。
(14) 該組成物が、さらに2〜8の範囲における水溶性のpKaイオン定数を有する第二アニオン安定化剤を含むことを特徴とする実施態様1乃至13のいずれかに記載の接着剤組成物。
(15) 前記第二アニオン安定化剤が、燐酸、酢酸、安息香酸、クロロ酢酸及びシアノ酢酸からなる群から選択された少なくとも1つの化合物からなることを特徴とする実施態様14に記載の接着剤組成物。
(16) さらに、傷を治療する機能を有するか、又は薬学的な効果を有する、少なくとも1つの薬剤を含むことを特徴とする実施態様1乃至15のいずれかに記載の接着剤組成物。
(17) 実施態様1乃至16のいずれかに記載の接着剤組成物を重合して得られる重合化組成物。
(18) 少なくとも1つの重合性α−シアノアクリレートモノマー接着剤組成物を保持する容器と、傷を治療する機能を有するか又は薬学的な効果を有する、少なくとも1つの薬剤とを保持する容器とからなるキットであって、
前記接着剤組成物が実施態様1乃至16のいずれかに記載の接着剤組成物であるキット。
(19) 実施態様1乃至16のいずれかに記載の接着剤組成物を殺菌する方法であって、該組成物を容器に分散し、該容器を封止し、該接着剤組成物及び該容器を殺菌することを請求する殺菌方法。
(20) 乾燥加熱、ガンマ線放射、電子線放射あるいはマイクロウエーブ放射によって殺菌する実施態様19に記載した殺菌方法。
(21) 前記乾燥加熱によって殺菌する実施態様19または20に記載した殺菌方法。
(22) ガンマ線放射によって殺菌する実施態様19乃至21のいずれかに記載した殺菌方法。
(23) 前記容器に分散させた組成物の合計体積が1ミリリッター未満である実施態様19乃至22のいずれかに記載した殺菌方法。
(24) 分散した前記組成物を殺菌する前に殺菌する間あるいは殺菌した後に直ちに前記モノマーの重合するのを阻止或いは除去するのに十分な所定の時間待機することを特徴とする実施態様19乃至23のいずれかに記載した殺菌方法。
(25) 前記容器がガラス製であり、殺菌された組成物で前記少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤は二酸化硫黄であり、かつ前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤は硫酸からなることを特徴とする実施態様19乃至24のいずれかに記載した殺菌方法。
(26) 前記所定の時間は、少なくとも24時間であることを特徴とする実施態様25に記載した殺菌方法。
(27) 前記殺菌した組成物は、殺菌前のその粘度の300%未満の粘度を有することを特徴とする実施態様19乃至26のいずれかに記載した殺菌方法。
(28) 前記殺菌した組成物は、殺菌前のその粘度の150%未満の粘度を有することを特徴とする実施態様19乃至26のいずれかに記載した殺菌方法。
(29) 実施態様19乃至28のいずれかに記載した殺菌方法によって製造した殺菌接着剤組成物。
(30) 重合性αシアノアクリレートモノマーと、少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤と少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤と、少なくとも1つのラジカル安定化剤とを組み合わせて接着剤組成物を製造することからなる実施態様1乃至16に記載の接着剤組成物の製造方法。
(31) 前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤が、前記接着剤組成物に別々に加えられることを特徴とする実施態様1に記載の接着剤組成物。
(32) 前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤が、前記殺菌工程の前後において前記組成物中に存在する実施態様19に記載の方法。
Claims (23)
- 液相状態及び気相状態の重合性α−シアノアクリレートモノマーと、少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤、及び少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤を含む接着剤組成物において、
前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤が、ホウフッ化水素酸を除く、1.0未満の水性pKaを有し、その濃度が1〜200ppmである無機酸であり、前記少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤は、二酸化硫黄、三弗化ホウ素及び弗化水素からなる群から選ばれた、その濃度が1〜200ppmの少なくとも一つの剤であり、かつ、前記組成物が殺菌されていることを特徴とする接着剤組成物。 - 請求項1に記載の接着剤組成物において、該組成物が、さらに2〜8の範囲における水溶性のpKaイオン定数を有する第二アニオン安定化剤を含むことを特徴とする、接着剤組成物。
- 請求項2に記載の接着剤組成物において、前記第二アニオン安定化剤が、燐酸、酢酸、安息香酸、クロロ酢酸及びシアノ酢酸からなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする、接着剤組成物。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の接着剤組成物を重合して得られる重合化組成物。
- 液相状態及び気相状態の重合性α−シアノアクリレートモノマーと、少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤と少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤とを含む未殺菌接着剤組成物の重合によって作製された重合化組成物において、該少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤は、ホウフッ化水素酸を除く、水性pKaが1.0未満であり、その濃度が1〜200ppmである無機酸であり、前記少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤は、二酸化硫黄、三弗化ホウ素及び弗化水素からなる群から選ばれた、その濃度が1〜200ppmの少なくとも一つの剤である、重合化組成物。
- 請求項5に記載の重合化組成物において、前記接着剤組成物が、さらに少なくとも1つのラジカル安定剤を含む、重合化組成物。
- 請求項5または6に記載の重合化組成物において、前記モノマーがn−ブチルシアノアクリレート、2−オクチルシアノアクリレート、エチルシアノアクリレート、メチルシアノアクリレート、エトキシメチルシアノアクリレートおよびメトキシエチルシアノアクリレートからなる群から選択された少なくとも1つの化合物であることを特徴とする、重合化組成物。
- 請求項5乃至7のいずれかに記載の重合化組成物において、前記少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤は、二酸化硫黄を含む、重合化組成物。
- 請求項5乃至8のいずれかに記載の重合化組成物において、前記少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤は、三弗化ホウ素を含む、重合化組成物。
- 請求項5乃至9のいずれかに記載の重合化組成物において、前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤は、硫酸、過塩素酸、フルオロスルホン酸及びクロロスルホン酸からなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物を含む、重合化組成物。
- 請求項5乃至10のいずれかに記載の重合化組成物において、前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤は、硫酸を含む、重合化組成物。
- 請求項6乃至11のいずれかに記載の重合化組成物において、前記少なくとも1つのラジカル安定剤が、ブチル化ヒドロキシアニソール及びブチル化ヒドロキシトルエンからなる群から選択された化合物である、重合化組成物。
- 少なくとも1つの重合性α−シアノアクリレートモノマー接着剤組成物を保持する少なくとも一つの容器と、傷を治療する機能を有するか又は薬学的な効果を有する、少なくとも1つの薬剤を保持する少なくとも一つの容器とを含むキットにおいて、
前記接着剤組成物が請求項1乃至3のいずれかに記載の接着剤組成物であるキット。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の接着剤組成物を殺菌する方法において、該組成物を容器に投入し、該容器を封止し、該接着剤組成物及び該容器を殺菌することを含む、殺菌方法。
- 請求項14に記載した殺菌方法において、乾燥加熱、ガンマ線放射、電子線放射あるいはマイクロウエーブ放射によって殺菌する、殺菌方法。
- 請求項14または15に記載した殺菌方法において、前記乾燥加熱によって殺菌する、殺菌方法。
- 請求項14乃至16のいずれかに記載した殺菌方法において、ガンマ線放射によって殺菌する、殺菌方法。
- 請求項14乃至17のいずれかに記載した殺菌方法において、前記容器がガラス製であり、前記殺菌された組成物中、前記少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤は二酸化硫黄を含み、かつ前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤は硫酸を含むことを特徴とする、殺菌方法。
- 請求項14乃至18のいずれかに記載した殺菌方法において、前記殺菌した組成物は、殺菌前のその粘度の300%未満の粘度を有することを特徴とする、殺菌方法。
- 請求項14乃至18のいずれかに記載した殺菌方法おいて、前記殺菌した組成物は、殺菌前のその粘度の150%未満の粘度を有することを特徴とする、殺菌方法。
- 請求項14乃至20のいずれかに記載した殺菌方法によって製造した殺菌接着剤組成物。
- 請求項1乃至3に記載の接着剤組成物の製造方法において、重合性αシアノアクリレートモノマーと、少なくとも1つの気相アニオン系安定化剤と少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤と、少なくとも1つのラジカル安定化剤とを組み合わせて前記接着剤組成物を製造することを含む、接着剤組成物の製造方法。
- 請求項14乃至20のいずれかに記載の方法において、前記少なくとも1つの液相アニオン系安定化剤が、前記殺菌工程の前後において前記組成物中に存在する、方法。
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