JP5146127B2 - 車体側部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の側面衝突において、ドアに入力される荷重を、車体に対して効率的に伝達することができる車体側部構造に関する。
車体の側面に対して障害物が衝突する側面衝突においては、ドアに入力された荷重を、可及的に短時間で車体(ピラー等)に伝達することによって、時間に対する車体への荷重伝達の立ち上がり勾配が緩やかになる。このように、車体への荷重伝達の立ち上がり勾配を緩やかにした時には、ピラーの変形量が小さくなって、車室内の安全性が向上することは、従来より知られている知見である。そのため、側面衝突時には、ドアに入力される荷重を、極力短時間で、ピラーに伝達することが望まれる。
ところが、ドアは、その前端部がヒンジを介してピラーに取り付けられている。このため、ドアを開閉する時に、ヒンジの枢軸を中心として略円弧状に回動するドアの先端がピラーと干渉しないように、ピラーは、ドアよりも車幅方向内側に逃げて配置されている。このため、ドアを閉じた状態においては、ドアとピラーとの間には、比較的大きな空間が存在している。従って、側面衝突時には、ドアは、この大きな空間を車幅方向に空走した後にピラーと当たり、その時点で、ドアに入力された荷重が車体に伝達されるようになる。このように、側面衝突時には、ドアの空走に時間を要するため、前述の荷重伝達の立ち上がり勾配が比較的急峻になる場合がある。
そこで、特許文献1には、前述のドアとピラーとの空間に衝撃伝達材を配設した車体側部構造が開示されている。この車体側部構造では、側面衝突時に、ドアに入力された荷重は、衝撃伝達材を介してピラーに入力される。そのため、ドアとピラーとの空間が小さくなっていることと実質的に同じになり、これによって、ドアの空走に要する時間が短縮する。そうして、側面衝突によりドアに入力された荷重を、比較的短時間で車体に伝達することができるようにしている。
特開2007−55314号公報
しかしながら、ドアに衝撃伝達材が取り付けられている前記特許文献に開示された車体側部構造では、ドアを開閉する時に、その衝撃伝達材もヒンジの枢軸を中心として回動する。そのため、こうした車体側部構造では、ドアとピラーとの干渉を解消するだけでなく、衝撃伝達材とピラーとの干渉も避けなければならない。ところが、前記特許文献に開示されている衝撃伝達材は断面四角形状とされているため、その断面四角形状の衝撃伝達材の角部とヒンジの枢軸との距離は、ドアの前端とヒンジの枢軸との距離よりも長くなる。このため、ピラーは、車幅方向のさらに内方にまで逃げて配置しなければならない。そうすると、前記特許文献には明示されていないものの、実際には、ドアを閉じた状態においては、衝撃伝達材とピラーとの間に車幅方向に広がる隙間が形成されることになる。このように、特許文献に開示されている車体側部構造では、衝撃伝達材によって、ドアとピラーとの空間を小さくしようとしているものの、衝撃伝達材とピラーとの間には、隙間を設けざるを得ない。そのため、側面衝突時には、依然として、前述したドアの空走が生じることになり、荷重伝達の立ち上がり勾配が比較的急峻になってしまう。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、側面衝突時に、ドアの空走距離を短くすることによって、ドアに入力された荷重を、短時間で車体に伝達することができる車体側部構造を提供することである。
本発明の車体側部構造は、車体の側面に開口して車室の内外を連通させる開口部に、上下方向に延びて配設されることによって前記車体の一部を成すピラーと、前記ピラーに対してその前端部がヒンジを介して回動自在に取り付けられると共に、その回動に伴って前記開口部の少なくとも一部を開閉するドアとを備えた車体側部構造である。
そして、前記ピラーは、車幅方向外側を向いたピラー外側面を有しており、前記ドアは、前記車室側に配置されて車体前後方向に延びるインナパネルと、前記インナパネルよりも車幅方向の外側に配置されて車体前後方向に延びるアウタパネルとを含んで構成されると共に、当該ドアは、前記インナパネルと前記アウタパネルとが車幅方向に相対的に広い間隔を空けて配置されることにより形成され且つ、前記ピラーの後側に配設されるドア袋部と、前記インナパネルと前記アウタパネルとが車幅方向に相対的に狭い間隔を空けて配置されることにより形成され且つ、前記ドア袋部よりも前方位置において、前記ピラー外側面に対し車幅方向の外側に相対して配設されるドア前端部とを有しており、前記ドア前端部には、当該ドア前端部と前記ピラー外側面との間に位置することにより、側面衝突時に、前記ドアに入力される荷重を前記ピラーに伝達する衝撃伝達材が設けられており、前記ピラー外側面には、前記ドアの開閉に伴う前記衝撃伝達材の回動軌跡に沿うように、車幅方向内方に向かって凹陥するピラー凹部が形成されていて、前記ドアを閉じた状態においては、前記ピラー凹部と前記ドア前端部との間における少なくとも車幅方向に広がる空間が前記衝撃伝達材によって充填されている。
この構成によると、ドア前端部には衝撃伝達材が設けられているため、側面衝突時においては、その荷重入力によってドアが車幅方向の内方に移動した時に、衝撃伝達材も車幅方向の内方に移動する。ここで、前記の衝撃伝達材は、ドアの閉時に、ドアの前端部とピラーの凹部との間の空間を、車幅方向に充填している。このため、ドアが車幅方向の内方にほとんど移動することなく、その衝撃伝達材がピラーに当たるようになる。そうして、ドアに入力された衝突荷重が、ピラーに、ひいては車体に伝達される。このように本構成では、側面衝突時に、ドアは、ほとんど空走しなくなる。その結果、この空走に要する時間が短縮できるため、ドアに入力された荷重を、短時間で車体に伝達することができる。
また、ドアとピラーとの間に、車幅方向に密に衝撃伝達材を配置していても、ピラーには、ドアの開閉に伴う衝撃伝達材の回動軌跡に沿うように、車幅方向内方に凹陥する凹部が形成されている。このため、衝撃伝達材とピラーとが干渉することなく、ドアをスムーズに開閉することができる。
ここで、前記インナパネルは、前記ドア前端部と前記ドア袋部との間で、当該ドア前端部から車幅方向内方に延びるドア立ち上がり部を有しており、前記ヒンジの一端は、前記ピラー外側面に固定されている一方、その他端は、前記ドア立ち上がり部に固定されており、前記衝撃伝達材は、前記ヒンジの枢軸を中心とする略円弧状の円弧面を有しており、
前記ピラー凹部は、前記ドアを閉じた状態において、前記衝撃伝達材の前記円弧面に沿うように形成されている、としてもよい。
こうすることで、衝撃伝達材の円弧面とピラー凹部とがほぼ連なった状態にすることができる。従って、ピラーと衝撃伝達材との干渉を回避しつつ、その衝撃伝達材を、ドア前端部とピラー凹部との間に、密に充填させることが実現する。
また、前記衝撃伝達材は、前記インナパネルにおける前記ドア前端部を構成する部分と、前記ドア立ち上がり部との両方に対して固定されている、としてもよい。
こうすることで、ドア立ち上がり部及びドア前端部のいずれか一方に衝撃伝達材を固定する場合に比べて、その衝撃伝達材をドアに対して強固に固定することができる。これによって、側面衝突時に、衝撃伝達材がドアから外れたり、また、その取り付け位置からずれたりすることが防止され、ドアに入力された荷重を、その衝撃伝達材を介して確実にピラーに伝達することができる。
また、前記ピラーは、前記ドア立ち上がり部に対して、車体前後方向に相対するピラー後側面をさらに有しており、前記ピラー凹部は、前記ピラー外側面から前記ピラー後側面に亘って形成されている、としてもよい。
前述したように、ドアとピラーとはヒンジを介して強固に結合されている。そのため、側面衝突時においても、ピラー後側面とドア立ち上がり部との間の間隔が広がったりすることはない。このため、ピラー凹部をピラー外側面からピラー後側面に亘って形成して、そこに衝撃伝達材を配設していても、側面衝突時に、衝撃伝達材がピラー後側面とドア立ち上がり面との間を通って、車幅方向の内方に移動することはない。その結果、その衝撃伝達材によって、ドアに入力された衝突荷重を、ピラーに対して確実に入力させることができる。
以上説明したように、本車体側部構造では、ピラー外側面に、ドアの開閉に伴う衝撃伝達材の回動軌跡に沿うように、車幅方向内方に凹陥するピラー凹部を形成すると共に、ドアの前端部とピラー凹部との間を、衝撃伝達材によって、車幅方向に充填しているため、ドアの空走を回避又は短くすることができる。その結果、ドアに入力された荷重を、従来よりも短時間で車体に伝達して、荷重伝達の立ち上がり勾配を緩やかにすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
図1は、本発明に係る車体側部構造1が適用された自動車2を示している。以下、図面において、車体前方を矢印FRで、車幅方向内側をINで、車幅方向外側をOUTで示す。
自動車2は、その内部に車室を備える車体21を備えており、該車体21の車幅方向の両側面には、車室の内外を連通させる開口部が形成されている。この開口部の車体前後方向の略中央位置には、上下方向に延びるBピラー22が配設されており、当該Bピラー22によって、前記開口部は、運転席又は助手席の乗降口となる前開口部23(図1において一点鎖線で囲まれた前側の領域)と後部座席の乗降口となる後開口部24(図1において一点鎖線で囲まれた後側の領域)とに分割されて、前開口部23と後開口部24とが、車体前後方向に並んで形成されている。
そうして、前開口部23には、フロントドア3が、後述するフロントドアヒンジ36を介して取り付けられている一方、後開口部24には、リヤドア4が後述するリヤドアヒンジ46を介して、取り付けられている。
フロントドア3は、図1に示すように、ウエストラインよりも上側でドアウインドウガラスを備えたフロントドアサッシュ部3aと、ウエストラインよりも下側のフロントドア本体部3bとを備えており、該フロントドア本体部3bは、図2,3,4に示すように、車外側に配置されて、自動車2の外側面を構成すると共に、車体前後方向に延びるフロントドアアウタパネル31と、該フロントドアアウタパネル31よりも車幅方向の内側に配置されると共に、車体前後方向に延びるフロントドアインナパネル32とを備えている。
フロントドアアウタパネル31とフロントドアインナパネル32とは、その中央部は、車幅方向に所定の間隔を空けて配置される一方、その外周縁部は、ヘミング加工によって互いに接合されている。これによって、フロントドア3は、中空状のフロントドア袋部33を有していると共に、該フロントドア袋部33の後側に、フロントドア袋部33から後方に拡がって、Bピラー22に対し、車幅方向の外方位置に位置するフロントドア後端部34を有している。
フロントドア後端部34は、図8に示す従来のフロントドア後端部34とは異なり、フロントドアアウタパネル31とフロントドアインナパネル32との間隔が狭くされており、これに伴い、Bピラー22とフロントドア後端部34との間には、車幅方向に所定の空間が設けられている。
フロントドア袋部33には、図1,2,3,4に示すように、その内部に、車体前後方向に延びる2本のフロントドアインパクトバー35(図1,2,3においては、一点鎖線で示し、図2,3においては、1本のみ示す)が車体上下方向に離れて設けられている。
各フロントドアインパクトバー35の車体前後方向の両端部は、図1に示すように、フロントドア3の車体前後方向の両端部にそれぞれ固定されており、それによって、各フロントドアインパクトバー35の両端部は、自動車2を側面視で見た時に、フロントヒンジピラー25及びBピラー22とそれぞれ重なるように位置している。より詳細には、フロントドアインパクトバー35の後端部は、フロントドア後端部34に固定されており、それによって、フロントドアインパクトバー35の後端部は、自動車2を側面視で見た時に、Bピラー22に対して重なるように位置している。
フロントドアアウタパネル31は、前述したように、自動車2の外側面を構成するパネルであって、側面視で、略矩形状を有していると共に、図5に示すように、上下方向の中央部が車幅方向の外側に凸となるように湾曲して形成されている。
一方、フロントドアインナパネル32は、図2,3,4に示すように、車内側に位置するパネルであって、フロントドアアウタパネル31に対して車幅方向の内方に位置するフロントドアインナパネル本体部321と、該フロントドアインナパネル本体部321の前端、後端、上端、及び下端の端縁それぞれからフロントドアアウタパネル31に向かって車幅方向に延びるフロントドア立ち上がり部322と、後側のフロントドア立ち上がり部322に連続し且つ、フロントドアアウタパネル31と共に、フロントドア3の後端部を構成するフロントドアインナパネル後端構成部323とを備えている。
前側のフロントドア立ち上がり部322は、図4に示すように、上下方向に略まっすぐに延びており、その前側には、上下方向に離して配置された2つのフロントドアヒンジ36が取り付けられている。該フロントドアヒンジ36は、フロントドア3の前端部を車体21における前開口部23の前縁部に対して固定する。これによって、フロントドア3は、略上下方向に延びるフロントドアヒンジ36の枢軸を中心として回動可能とされ、フロントドア3を回動させることによって、前開口部23を開閉することができる。
一方、後側のフロントドア立ち上がり部322では、図4に示すように、その上側の部分は、上下方向に略まっすぐに延びる一方、上下方向の略中央部から下端にかけては、車体前方に向かって傾斜している。これによって、フロントドア後端部34は、その上端から上下方向の略中央位置までは、車体前後方向に略一定の幅にされている一方、その略中央位置から下端までは、下方に向かうに従って、その幅が次第に広がるようになっている。また、後側のフロントドア立ち上がり部322には、上下方向の略中央位置にラッチ37が取り付けられている。該ラッチ37は、Bピラー22に取り付けられた図示省略のストライカと係合することによって、フロントドア3を閉じた状態でロックできるようになっている。
尚、符号38は、フロントドア3の周りに取り付けられたフロントドアウェザーストリップであり、該フロントドアウェザーストリップ38は、フロントドア3を閉じた時に、Bピラー22等の車体側部備品と密着することによって、防音・防水効果を発揮する。
フロントドア本体部321には、図4に示すように、2つのフロントドア作業孔39が開口しており、該フロントドア作業孔39を通じてフロントドア袋部33内に図示省略の各種の電子部品等が取り付けられる。
このように構成されたフロントドア3は、図示省略のドアトリムをフロントドアインナパネル32を覆うように取り付けることによって、美装されている。
リヤドア4もまた、図1及び図7に示すように、ウエストラインよりも上側でドアウインドウガラスを備えたリヤドアサッシュ部4aと、ウエストラインよりも下側のリヤドア本体部4bとを備えており、リヤドア本体部4bは、車外側に配置されて自動車2の外側面を構成すると共に、車体前後方向に延びるリヤドアアウタパネル41と、該リヤドアアウタパネル41よりも車幅方向の内側に配置されると共に、車体前後方向に延びるリヤドアインナパネル42とを備えている。
リヤドアアウタパネル41とリヤドアインナパネル42とは、図2,3,7に示すように、その中央部は、車幅方向に所定の間隔を空けて配置される一方、その外周縁部は、ヘミング加工によって互いに接合されている。これによって、リヤドア4は、中空状のリヤドア袋部43を有していると共に、該リヤドア袋部43の前側に、リヤドア袋部43から前方に拡がって、Bピラー22に対し、車幅方向の外方位置に位置するリヤドア前端部44を有している。
そして、図2,3に示すように、リヤドア前端部44の前縁は、フロントドア後端部34の後縁に対して、車幅方向の内方に位置して、自動車2を側面視で見た時に、互いに重なるように配設されている。これによって、例えば、オフセット衝突等によって、フロントドア3とリヤドア4とが、車体前後方向に相対移動したとしても、リヤドア4の前縁部がフロントドア3よりも車幅方向の外方に位置してリヤドア4を開けることができなくなる事態を回避することができる。
リヤドア袋部43には、図1,2,7に示すように、車体前後方向に延びる2本のリヤドアインパクトバー45(図1,2においては、一点鎖線で示し、図2においては、1本のみ示す)が上下方向に離れて設けられている。
各リヤドアインパクトバー45の車体前後方向の両端部は、図1に示すように、リヤドア4の車体前後方向の両端部にそれぞれ固定されており、それによって、リヤドアインパクトバー45の両端部は、自動車2を側面視した時に、Bピラー22及びホイールハウス26と重なるように位置している。
リヤドアアウタパネル41は、前述したように、自動車2の外側面を構成するパネルであって、側面視で、上側から下側に向けて次第に車体前後方向に短くなる略逆直角台形状を有していると共に、図6に示すように、上下方向の中央部が車幅方向の外側に凸となるように湾曲して形成されている。
一方、リヤドアインナパネル42は、図2,3,7に示すように、車内側に位置するパネルであって、リヤドアアウタパネル41に対して車幅方向の内方に位置するリヤドアインナパネル本体部421と、該リヤドアインナパネル本体部421の前端、後端、上端、及び下端の端縁それぞれからリヤドアアウタパネル41に向かって車幅方向に延びるリヤドア立ち上がり部422と、後側のリヤドア立ち上がり部422に連続し且つ、リヤドアアウタパネル41と共に、リヤドア4の後端部を構成するリヤドアインナパネル後端構成部423とを備えている。
前側のリヤドア立ち上がり部422は、図7に示すように、車体上下方向に略まっすぐに延びており、その前側には、上下方向に離して2つのリヤドアヒンジ46が取り付けられている。該リヤドアヒンジ46は、リヤドア4の前端部をBピラー22に対して固定する。これによって、リヤドア4は、図2及び図3に示すように、略上下方向に延びるリヤドアヒンジ46のヒンジ軸47を中心として回動可能とされ、リヤドア4を回動させることによって、後開口部24を開閉することができる。
尚、図示は省略するが、後側のリヤドア立ち上がり部422には、ラッチが取り付けられており、該ラッチは、後開口部24の後縁部に取り付けられた図示省略のストライカと係合することによって、リヤドア4を閉じた状態でロックできるようになっている。
また、符号48は、リヤドア4の周りに取り付けられたリヤドアウェザーストリップで
ップであり、該リヤドアウェザーストリップ48は、リヤドア4を閉じた時に、Bピラー22等の車体側部備品と密着することによって、防音・防水効果を発揮する。
リヤドア本体部421には、2つのリヤドア作業孔49が開口しており、該リヤドア作業孔49を通じてリヤドア袋部43内に図示省略の各種の電子部品等が取り付けられる。
このように構成されたリヤドア4は、図示省略のドアトリムをリヤドアインナパネル42を覆うように取り付けることによって、美装されている。
Bピラー22は、図2及び図3に示すように、車幅方向外側のピラーアウタパネル221と、該ピラーアウタパネル221よりも車幅方向内側のピラーレインフォースメント222と、該ピラーレインフォースメント222よりも車幅方向内側のピラーインナパネル223とを備えている。
ピラーアウタパネル221とピラーレインフォースメント222とピラーインナパネル223とは、それぞれの両端部が溶接によって互いに結合されることによって、Bピラー22は閉断面構造を有している。そうして、その両端の結合部分それぞれに対して、ウェザーストリップを兼用するフランジモール224が取り付けられている。
ピラーアウタパネル221は、横断面で見た時に、車幅方向外側に突出した形状を有しており、車体前方を向くと共に後側のフロントドア立ち上がり部322に対して、車体前後方向に相対するピラー前側面221aと、車体後方を向くと共に前側のリヤドア立ち上がり部422に対して、車体前後方向に相対するピラー後側面221cと、ピラー前側面221aとピラー後側面221cとの間で、車幅方向外側を向いたピラー外側面221bとを備えている。
ピラー外側面221bは、前記フロントドア後端部34及び前記リヤドア前端部44に対して車幅方向に相対している。また、ピラー外側面221bには、各リヤドアヒンジ46の一端が固定されている。尚、リヤドアヒンジ46の他端は、前述したように、リヤドア立ち上がり部422に固定されている。
また、ピラーアウタパネル221には、詳しくは後述するが、上下方向における所定の範囲において、外側面221bから後側面221cに亘って、リヤドア4の開閉に伴うリヤドア衝撃伝達材6の回動軌跡に沿うように、車幅方向内側に凹陥するピラー凹部221dが形成されている。それに伴い、ピラーレインフォースメント222にもまた、同様の凹部が形成されている。
このように、Bピラー22に対してピラー凹部221dを形成した場合には、その分だけBピラー22の断面積が減少することになる。そこで、本実施形態では、その減少分を補うように、当該ピラー凹部221dよりも前方側の部分、つまり、フロントドア後端部34に相対する部分を従来構造(図8参照)に比べて、車幅方向の外側に突出させ、それによって、車幅方向の外側に突出させたピラー突出部221eをBピラー22に形成している。
このように構成されたBピラー22は、ピラーインナパネル223を覆うようにピラートリム225が取り付けられることによって、美装されている。
そして、フロントドア後端部34には、フロントドア衝撃伝達材5が取り付けられている一方、リヤドア前端部44にはリヤドア衝撃伝達材6が取り付けられている。
フロントドア衝撃伝達材5は、樹脂又は軽金属からなり、詳細な図示は省略するが、多数のリブを備えた中空状に形成されている。
フロントドア衝撃伝達材5は、図4,5に示すように、その上端は、リヤドア4に取り付けられた上側のリヤドアヒンジ46に対応する位置(図4において、一点鎖線で示す)よりも下側に設定される一方、その下端部は、サイドシルの上面に対応する位置よりも上側に設定されており、これによってフロントドア衝撃伝達材51は、上下方向に延びて配設されている。また、フロントドア衝撃伝達材5は、フロントドア3の後端縁からフロントドア立ち上がり部322における後側までの間に拡がって配設されている。このため、フロントドア衝撃伝達材5は、その上側の部分は、車体前後方向に略一定幅とされる一方、その下側の部分は、下端に向かうに従って徐々に幅広となるようにされている。そうして、フロントドア衝撃伝達材5は、その後端下部に、車体前方に凹陥することによって下側のリヤドアヒンジ46を避けるように切り欠かれた切り欠き51を有している。このように、フロントドア衝撃伝達材5は、2つのリヤドアヒンジ46とは干渉しない形状となっている。また、フロントドア衝撃伝達材5は、図2に示すように、Bピラー22における車体上下方向の略中央位置では、その後方を向いた面がリヤドア4の開閉に伴うリヤドア前端部44及びリヤドア衝撃伝達材6の回動軌跡に沿うように車体前方に向かって凹陥した、フロントドア衝撃伝達材凹部54を備えている。
そして、フロントドア衝撃伝達材5は、フロントドア後端部34に面するフロントドア衝撃伝達材第1取り付け面52が、複数のファスナ7(図3,4に示す)によって、そのフロントドア後端部34に固定されると共に、フロントドア立ち上がり部322に面するフロントドア衝撃伝達材第2取り付け面53が、複数のファスナ7(図2おいて、1つのみ示す)によって、そのフロントドア立ち上がり部322に固定されることで、フロントドア3に対して取り付けられている。
この各ファスナ7は、例えば樹脂や金属製であって、フロントドア衝撃伝達材5の製造時に鋳込みによって、そのフロントドア衝撃伝達材5と一体に設けられている。従って、フロントドア衝撃伝達材5が樹脂製の場合は、ファスナ7は樹脂製とされ、フロントドア衝撃伝達材5が軽金属製の場合は、ファスナ7は金属製とされる。
リヤドア衝撃伝達材6もまた、樹脂または軽金属からなり、詳細な図示は省略するが、多数のリブを備えた中空状に形成されている。
リヤドア衝撃伝達材6は、図2,3,6,7に示すように、リヤドア前端部44において、2つのリヤドアヒンジ46の間と、下側のリヤドアヒンジ46よりも下側とのそれぞれに分かれて設けられている。
リヤドア衝撃伝達材6は、ヒンジ軸47を中心とする略円弧状の円弧面61と、リヤドア前端部44に面するリヤドア衝撃伝達材第1取り付け面62と、リヤドアインナパネル立ち上がり部422に面するリヤドア衝撃伝達材第2取り付け面63とを備えている。
リヤドア衝撃伝達材6は、リヤドア衝撃伝達材第1取り付け面62が、例えば、強力な両面テープによって、リヤドア前端部44に接着される一方、リヤドア衝撃伝達材第2取り付け面63が複数のファスナ7(図2,3,7に示し、図2,3においては1つのみ示す)によって、リヤドア立ち上がり部422に固定されることで、リヤドア4に対して固定されている。
円弧面61は、図2及び図3に示すように、リヤドア4を閉じた状態において、ピラー凹部221dに沿うように相対して位置している。これによって、リヤドア4を開閉するときには、リヤドア衝撃伝達材6の円弧面61がヒンジ軸47を中心とした円弧線上を移動するようになるため、Bピラー22と干渉することなく、リヤドア4が開閉可能となる。また、リヤドア4の閉時には、ピラー凹部221dとリヤドア前端部44との間に形成される空間が、リヤドア衝撃伝達材6によって密に充填される。
本車体側部構造は、以上のように構成されており、次に本車体側部構造の作用効果について、図8及び図9に示す従来構造と比較しながら説明する。尚、図8及び図9に示す従来の車体側部構造8において、本実施形態に係る車体側部構造1と同じ構成については、同じ符号を付す。
自動車の側面に対して障害物が衝突した側面衝突時には、まずフロントドア3及び/又はリヤドア4に対して、衝突による車幅方向内方への荷重が入力される。そして、その衝撃荷重は、衝撃伝達材を介してBピラー22に伝達される。
ここでは先ず、車体側部構造1における特にリヤドア4に関する作用効果について説明する。従来の車体側部構造8では、リヤドア4に取り付けられた衝撃伝達材9は、円弧面を有しておらず、横断面矩形状に形成されている。また、Bピラー22のピラー外側面221bにピラー凹部221dが形成されていない。さらに、ピラー外側面221bは、この車体側部構造8では、リヤドア4の開閉に伴うヒンジ軸47を中心とするリヤドア4に設けられた矩形状の衝撃伝達材9の回動軌跡(図7及び図8において一点鎖線で示す)が当たらない位置に設けられている。換言すれば、この衝撃伝達材9は、衝撃伝達材9とBピラー22との間に隙間D1が形成されるように、車幅方向の厚みを薄くしている。これによって、リヤドア4を開閉できるようにしている。しかしながら、側面衝突時には、リヤドア4に対して、車幅方向の外方から内方に向かう荷重が入力されることによって、そのリヤドア4は、隙間D1分を空走した後に、衝撃伝達材9がBピラー22と当たるようになる。そうして、その衝撃伝達材9を介して、リヤドア4に入力された荷重がBピラー22に伝達される。
一方、本車体側部構造1では、図2及び図3に示すように、ピラー24とリヤドア前端部44との間がリヤドア衝撃伝達材6によって充填されている。このため、リヤドア4に衝突荷重が入力された時には、リヤドア4が空走することはなく、リヤドア衝撃伝達材6がBピラー22に当たる。そのため、リヤドア4に入力された荷重は、そのリヤドア衝撃伝達材6を介して、Bピラー22に早期に伝達される。その結果、リヤドア4に関しては、時間に対する車体への荷重伝達の立ち上がり勾配が、従来構造に比べて大幅に緩やかとなる。
また、リヤドア衝撃伝達材6の円弧面61と、Bピラー22のピラー凹部221dとを、ヒンジ軸47を中心とした円弧によって設定していることで、リヤドア衝撃伝達材6とBピラー22との干渉を回避しつつ、Bピラー22とリヤドア前端部44と前側のリヤドア立ち上がり部422とで囲まれる空間内で、リヤドア衝撃伝達材6を、車幅方向だけでなく、車体前後方向にも十分に拡げることができる。
このことは換言すれば、リヤドア衝撃伝達材6が円弧面61を有していることによって、衝撃伝達材6とピラー凹部221dとをほぼ連なった状態にすることができることを意味する。これによって、Bピラー22とリヤドア衝撃伝達材6との干渉を回避しつつ、そのリヤドア衝撃伝達材6を、リヤドア前端部44とピラー凹部221dとの間に密に充填させることが実現できる。尚、リヤドア衝撃伝達材6は、リヤドア前端部44とピラー凹部221dとの間の空間を密に充填する形状を有する必要はなく、例えば、図2の一点鎖線で示すように、リヤドア前端部44とピラー凹部221dとの間を、車幅方向に密に充填する一方、車体前後方向に密に充填しない形状を有していてもよい。
さらに、リヤドア衝撃伝達材6は、リヤドア前端部44及びリヤドア立ち上がり部422の両方で固定されているので、リヤドア立ち上がり部422及びリヤドア前端部44のいずれか一方にリヤドア衝撃伝達材6を固定する場合に比べて、リヤドア4に強固に固定される。これによって、側面衝突時に、リヤドア衝撃伝達材6がリヤドア4から外れたり、また、その取り付け位置からずれたりすることが防止され、リヤドア4に入力された荷重をそのリヤドア衝撃伝達材6を介して、確実にBピラー22に伝達することができる
また、前述したように、リヤドア4とBピラー22とはリヤドアヒンジ46を介して強固に結合されている。そのため、側面衝突時においても、ピラー後側面221cとリヤドア立ち上がり部422との間の間隔が広がったりすることはない。このため、ピラー凹部221dを、ピラー外側面221bからピラー後側面221cに亘って形成して、そこにリヤドア衝撃伝達材6を配設していても、側面衝突時に、リヤドア衝撃伝達材6がピラー後側面221cとリヤドア立ち上がり部422との間を通って、車幅方向の内方に移動することはなく、そのリヤドア衝撃伝達材6によって、リヤドア4に入力された衝突荷重をBピラー22に対して確実に入力させることができる。
次に、車体側部構造1における特にフロントドア3に関する作用効果について説明する。従来の車体側部構造8では、フロントドア3には、衝撃伝達材が取り付けられていない。このため、側面衝突時に、フロントドア3に対して車幅方向の外方から内方に向かう荷重が入力されたときには、フロントドア後端部34における、フロントドアアウタパネル31が空走した後にフロントドアインナパネル32に当たり、その後、フロントドアインナパネル32がBピラー22のピラー外側面221bに当たることによって、衝撃荷重がBピラー22に伝達されることになる。つまり、従来の車体側部構造8では、フロントドア3に入力された荷重が、ドアの実質的な空走を経た後に、Bピラー22に伝達される。
一方、本車体側部構造1では、図2及び図3に示すように、フロントドア後端部34におけるフロントドアアウタパネル31とフロントドアインナパネル32との間の空間を、従来の車体側部構造8に比べて狭くし、それによって、ピラー外側面221bとフロントドアインナパネル32との間に車幅方向に広がる空間を形成している。そうして、その空間内に、フロントドア衝撃伝達材5を、密に充填しているため、側面衝突時には、フロントドアアウタパネル31が空走することなく、しかも、フロントドア衝撃伝達材5も車幅方向にほとんど移動することなく、Bピラー22にすぐに当たるようになる。つまり、フロントドア3に入力された荷重は、フロントドア衝撃伝達材5を介して、Bピラー22に早期に伝達される。その結果、フロントドア3に関しても、時間に対する車体への荷重伝達の立ち上がり勾配が従来構造に比べて大幅に緩やかになる。
また、フロントドア衝撃伝達材5が、フロントドア衝撃伝達材凹部54を備えていることによって、リヤドア4及びリヤドア衝撃伝達材6とフロントドア3とが干渉することなく、リヤドア4をスムーズに開閉することができる。また、このフロントドア衝撃伝達材凹部54とピラー凹部221dと円弧面61とが、それぞれリヤドア前端部44の回動軌跡に沿うように形成されていることによって、ピラー外側面221bとフロントドア後端部34とリヤドア前端部44とによって囲まれた空間を、フロントドア衝撃伝達材5とリヤドア衝撃伝達材6とによって、密に充填することができる。これによって、ピラー外側面221b全体でフロントドア3及びリヤドア4に入力された衝撃荷重を受けることができる。
さらに、フロントドア衝撃伝達材5は、フロントドア後端部34及びフロントドア立ち上がり部322の両方で固定されているので、フロントドア後端部34及びフロントドア立ち上がり部322のいずれか一方に固定されている場合に比べて、フロントドア3に強固に固定することができる。これによって、側面衝突時には、フロントドア衝撃伝達材5がフロントドア3から外れたり、また、その取り付け位置からずれたりすることが防止され、フロントドア3に入力された荷重をフロントドア衝撃伝達材5を介して、確実にBピラー22に伝達することができる。
加えて、フロントドア衝撃伝達材5を、フロントドア後端部34とピラー外側面221bとの間に充填することによって、リヤドア4を開けた時に、ピラー外側面221bが外部に露出することが防止され、見栄えが向上する。このことは、例えば高級車において特に有効である。
また、フロントドア後端部34に対して車幅方向に相対するピラー突出部221eを、車幅方向外側に突出するように設けることによって、ピラー凹部221dを形成したことに伴うBピラー22の断面積の減少分を補うことができる。これによって、Bピラー22の強度を保つことができる。また、ピラー突出部221eによって、フロントドア後端部34とピラー外側面221bとの間の空間が狭くなることにより、フロントドア衝撃伝達材5を介した衝撃荷重の伝達を、より確実に行い得る。
以上のように、本実施形態によると、車体側部構造1は、リヤドア4の開閉に伴うリヤドア衝撃伝達材6の回動軌跡に沿うように、車幅方向内方に凹陥するピラー凹部221dをBピラー22のピラー外側面221bに形成すると共に、該ピラー凹部221dに沿うような円弧面61を有するリヤドア衝撃伝達材6によって、リヤドア4のリヤドア前端部44とBピラー22のピラー外側面221dとの間を充填する。これによって、側面衝突時に、リヤドア4がリヤドア前端部44とピラー外側面221bとの間を空走しないようにすることができる。その結果、リヤドア4に入力された荷重を、従来よりも短時間で車体21に伝達する車体側部構造を提供できる。
尚、本車体側部構造は、前記の構成に限定されるものではない。例えば、リヤドア衝撃伝達材6は、リヤドア前端部44及びリヤドア立ち上がり部422のいずれか一方のみに固定してもよい。
また、リヤドア4を樹脂によって形成する場合には、リヤドア4とリヤドア衝撃伝達材6とを樹脂による一体成形としてもよい。この場合、リヤドア衝撃伝達材6は、例えば、図2,3,7におけるリヤドア衝撃伝達材6の横断面形状に対応するような、平面視で扇形を有するリブを車体上下方向に間隔を空けて多数配設することによって構成してもよい。
また、フロントドア衝撃伝達材5を、フロントドア後端部34及びフロントドア立ち上がり部322のいずれか一方のみに固定してもよい。
また、フロントドア衝撃伝達材5の形状も、フロントドア後端部34とピラー外側面221bとの間を車幅方向に充填する形状であれば適宜変更してもよい。
以上説明したように、本発明は、側面衝突時に、ドアに入力された荷重を、衝撃伝達材を介して従来よりも短時間で車体に伝達することができ、各種の車両における側部構造に適用し得る点で有用である。
本発明に係る車体側部構造を適用した自動車の側面図である。 図1のA−A線断面図である。 図1のB−B線断面図である。 フロントドアの斜視図である。 図1のC−C線断面図である。 図1のD−D線断面図である。 リヤドアの斜視図である。 従来の車体側部構造の図2に対応する図である。 従来の車体側部構造の図3に対応する図である。
符号の説明
1 車体側部構造
2 自動車
21 車体
22 ピラー
23 前開口部
24 後開口部
221 ピラーアウタパネル
221a ピラー前側面
221b ピラー外側面
221c ピラー後側面
221d ピラー凹部
3 フロントドア
31 フロントドアアウタパネル
32 フロントドアインナパネル
322 フロントドア立ち上がり部
33 フロントドア袋部
36 フロントドアヒンジ
4 リヤドア
41 リヤドアアウタパネル
42 リヤドアインナパネル
422 リヤドア立ち上がり部
43 リヤドア袋部
44 リヤドア前端部
46 リヤドアヒンジ
5 フロントドア衝撃伝達材
6 リヤドア衝撃伝達材
61 円弧面

Claims (4)

  1. 車体の側面に開口して車室の内外を連通させる開口部に、上下方向に延びて配設されることによって、前記車体の一部を成すピラーと、
    前記ピラーに対してその前端部がヒンジを介して回動自在に取り付けられると共に、その回動に伴って前記開口部の少なくとも一部を開閉するドアとを備えた車体側部構造であって、
    前記ピラーは、車幅方向外側を向いたピラー外側面を有しており、
    前記ドアは、前記車室側に配置されて車体前後方向に延びるインナパネルと、前記インナパネルよりも車幅方向の外側に配置されて車体前後方向に延びるアウタパネルとを含んで構成されると共に、当該ドアは、前記インナパネルと前記アウタパネルとが車幅方向に相対的に広い間隔を空けて配置されることにより形成され且つ、前記ピラーの後側に配設されるドア袋部と、前記インナパネルと前記アウタパネルとが車幅方向に相対的に狭い間隔を空けて配置されることにより形成され且つ、前記ドア袋部よりも前方位置において、前記ピラー外側面に対し車幅方向の外側に相対して配設されるドア前端部とを有しており、
    前記ドア前端部には、当該ドア前端部と前記ピラー外側面との間に位置することにより、側面衝突時に、前記ドアに入力される荷重を前記ピラーに伝達する衝撃伝達材が設けられており、
    前記ピラー外側面には、前記ドアの開閉に伴う前記衝撃伝達材の回動軌跡に沿うように、車幅方向内方に向かって凹陥するピラー凹部が形成されていて、前記ドアを閉じた状態においては、前記ピラー凹部と前記ドア前端部との間における少なくとも車幅方向に広がる空間が、前記衝撃伝達材によって充填されていることを特徴とする車体側部構造。
  2. 請求項1に記載の車体側部構造において、
    前記インナパネルは、前記ドア前端部と前記ドア袋部との間で、当該ドア前端部から車幅方向内方に延びるドア立ち上がり部を有しており、
    前記ヒンジの一端は、前記ピラー外側面に固定されている一方、その他端は、前記ドア立ち上がり部に固定されており、
    前記衝撃伝達材は、前記ヒンジの枢軸を中心とする略円弧状の円弧面を有しており、
    前記ピラー凹部は、前記ドアを閉じた状態において、前記衝撃伝達材の前記円弧面に沿うように形成されていることを特徴とする車体側部構造。
  3. 請求項2に記載の車体側部構造において、
    前記衝撃伝達材は、前記インナパネルにおける前記ドア前端部を構成する部分と、前記ドア立ち上がり部との両方に対して固定されていることを特徴とする車体側部構造。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の車体側部構造において、
    前記ピラーは、前記ドア立ち上がり部に対して、車体前後方向に相対するピラー後側面をさらに有しており、
    前記ピラー凹部は、前記ピラー外側面から前記ピラー後側面に亘って形成されていることを特徴とする車体側部構造。
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