JP5145956B2 - ルテニウムの分離回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ルテニウムの分離回収方法に関し、さらに詳しくは、厚膜抵抗体として広く使用されている酸化ルテニウム(IV)やルテニウム酸鉛(PbRu)等のルテニウム複合酸化物を含むルテニウム系抵抗ペースト、或いはこの抵抗ペーストが使用された電子部品からルテニウムを分離回収する際に、ガラス、ハンダ屑などにルテニウムが包含されている原料であっても、設備投資が大きい溶融炉を用いることなく、かつフッ化水素酸、溶融アルカリなどの危険な薬品を使用することなく、ルテニウムを可溶性化して高収率で分離回収する方法に関する。
ルテニウムは、チップ抵抗器、厚膜ハイブリッドIC及び抵抗ネットワーク等に広く使用されている厚膜抵抗体に用いられている。前記厚膜抵抗体の製造方法としては、通常、絶縁体基板の表面に形成された導電体回路パターン又は電極の上に、導電粉を均一に分散させたペーストを印刷し、これを焼成する工程が用いられる。
上記厚膜抵抗体の製造に用いるペーストは、導電粉とガラス結合剤とをビヒクルと呼ばれる有機媒体中に均一に分散させることにより製造されている。
このうち、導電粉は厚膜抵抗体の電気的特性を決定する最も重要な役割を担い、酸化ルテニウム(IV)(RuO)やルテニウム酸鉛(PbRu)等のルテニウム複合酸化物の微粉末が広く用いられている。すなわち、一般に酸化ルテニウムは、低抵抗値から高抵抗値まで広範囲の導電物として用いられる。また、高抵抗領域では、導電物濃度に対する抵抗値の変動がより小さいルテニウム酸鉛が用いられることが多い。また、近年、電子機器から毒性のあるPbの使用を排除するため、高抵抗領域の厚膜抵抗体用の導電物として、ルテニウム酸鉛に代わる鉛を含有しない導電物が望まれている。この解決策として、代替の導電物として、BiRu、CaRuO、SrRuO、BaRuO、LaRuO等のルテニウム複合酸化物粉が提案されている。
ところで、ルテニウムは、希少で高価な金属であり、上記ルテニウム系抵抗ペーストの製造工程及びこれを用いた厚膜抵抗体の製造工程から発生する中間物、或いはこの抵抗ペーストが使用された電子部品のリサイクルにおいて、ルテニウムを効率的に分離回収することが求められている。
ところが、ルテニウム金属、酸化ルテニウム(IV)、及びその複合酸化物は、一般に、酸化性の酸を含む事実上すべての酸、塩素、及びアルカリには溶解しないため、何らかの前処理により可溶性化する工程が、湿式法によるルテニウムを分離精製に先立ち不可欠であった。このため、この方法として、次に示す(イ)〜(ハ)に区分される処理方法が提案されている。しかしながら、これらの方法には、下記のようにそれぞれの問題点があった。
(イ)原料を還元しつつ、鉄、銅、鉛などのルテニウムと合金を形成する金属とともに溶融し、生成した合金を酸化性の酸により溶解する。ここで、ルテニウムは、合金にすることにより、合金中に原子レベルまで分散するため、微粒子となり、表面積が大きくなる結果、酸により溶解することが可能となる。(例えば、特許文献1、5参照。)
しかしながら、合金を形成する必要があるため、高温で合金を製造する還元溶融炉が必要であり、また、エネルギー消費量が高く、初期投資、ランニングコストのいずれもが高額であるという問題点があった。また、合金塊として反応物が得られるため、湿式法による浸出に先立ち、破砕及び粉砕が必要であった。また、フッ化水素酸によりガラスの除去を行う場合、毒物である弗酸の使用が必要であり、廃液として生成する種々のフッ化物の処分にも配慮が必要であった。また、しばしば共存する鉛、銀、スズなどからなるハンダ類が表面を被覆すると、フッ化水素酸では溶解できないため、浸出できないという問題点があった。
(ロ)還元後、又は還元雰囲気下に、塩化アルカリ共存下において、塩素気流中で焙焼する。ここで、ルテニウムは、塩素単独では反応速度が遅いが、塩化アルカリ存在下では、式1に示すような高温錯形成反応により、高速で反応が進行する。(例えば、特許文献2、3、4参照。)
式1:Ru+2MCl+2Cl→ M[RuCl
(式中、Mはアルカリ金属を表す。)
しかしながら、塩素気流中で反応させる必要があるため、耐熱、耐食の高額な特殊設備が必要であり、また、原料を塩素気流と良好に反応させるために、粒度や処理量(厚み)が制限される問題があった。また、操業に関しては、共存元素も塩化され、塩素の消費量が非常に大きく、また、有害な重金属塩化物が大量に発生し、これらの処理にもコストがかかる問題点があった。
(ハ)原料を還元雰囲気下で焙焼する。この原理は、(イ)の方法と類似しているが、還元条件下の拡散により、溶融せずに酸に可溶な合金を形成することが可能である。(例えば、特許文献6参照。)
しかしながら、(イ)の方法の問題点が概ね解決されているものの、ルテニウムがルテニウム系ペーストのようにガラスや鉛に包含されている場合には、浸出工程における浸出液と原料との接触が困難であり、高い浸出率での回収が困難であった。
(ニ)原料を酸化剤の共存下で水酸化アルカリと溶融し、水に可溶性のルテニウム酸(VI)ナトリウムを形成する。この方法は、分析方法では標準的な溶解方法であり、また、商業的にも一部応用されている。(例えば、非特許文献1参照。)
しかしながら、酸化剤とアルカリの混合溶融塩を使用するため、反応容器の腐食が激しく、アルカリのミストの発生、スクラップにしばしば存在している有機物の存在により爆発する問題点があった。また、融解物を水で浸出する際に、事前破砕が必要であり、激しく発熱して沸騰する、ミストが発生するなどの危険性があった。
以上の状況から、これらの方法では、上記のような問題点のため工業的に実施するには十分なものではなかった。したがって、ルテニウム系抵抗ペースト、或いはこの抵抗ペーストが使用された電子部品から、ルテニウムを分離回収する際に、ガラス、ハンダ屑などにルテニウムが包含されている原料であっても、設備投資が大きい溶融炉を用いることなく、かつフッ化水素酸、溶融アルカリなどの危険な薬品を使用することなく、ルテニウムを可溶性化して効率良く分離回収する方法が求められていた。
特開2007−092133号公報(第1頁、第2頁) 特開2004−099975号公報(第1頁、第2頁) 特開2002−212650号公報(第1頁、第2頁) 特開2002−194581号公報(第1頁、第2頁) 特開2002−206122号公報(第1頁、第2頁) 特開2002−088494号公報(第1頁、第2頁) 「新訂定性分析化学(中巻)」、南江堂、1976年、p.393
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、厚膜抵抗体として広く使用されている酸化ルテニウム(RuO)やルテニウム酸鉛(PbRu)等のルテニウム複合酸化物を含むルテニウム系抵抗ペースト、或いはこの抵抗ペーストが使用された電子部品から、ルテニウムを分離回収する際に、ガラス、ハンダ屑などにルテニウムが包含されている原料であっても、設備投資が大きい溶融炉を用いることなく、かつフッ化水素酸、溶融アルカリなどの危険な薬品を使用することなく、ルテニウムを可溶性化して高収率で分離回収する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、酸化ルテニウム(IV)又はその複合酸化物、ガラス及び金属材料を含む混合物、例えば、ルテニウム系抵抗ペースト又はルテニウム系抵抗ペーストを用いた抵抗体とハンダ、接点材料等の電子部品材料とを含有する混合物から、ルテニウムを分離回収する方法について、鋭意研究を重ねた結果、前記混合物を還元雰囲気下に焙焼に付し、得られた焙焼物を硝酸水溶液中で加熱処理に付し金属材料を溶出分離し、ここで得られた浸出残渣を特定の濃度の水酸化アルカリ水溶液中で加熱処理に付しケイ素を溶出分離し、最後にここで得られた浸出残渣を水酸化アルカリ水溶液中に懸濁し、酸化剤を添加して加熱処理に付したところ、ルテニウムを可溶性化して高収率で分離回収することができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、ガラス、ハンダ屑などにルテニウムが包含されている原料であっても、設備投資が大きい溶融炉を用いることなく、かつフッ化水素酸、溶融アルカリなどの危険な薬品を使用することなく、ルテニウムを可溶性化することができる。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、酸化ルテニウム(IV)又はその複合酸化物、ガラス及び金属材料を含む混合物から、ルテニウムを分離回収する方法であって、
下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とするルテニウムの分離回収方法が提供される。
(1)前記混合物を還元雰囲気下に焙焼に付し、焙焼物を得る。
(2)前記焙焼物を硝酸水溶液中で加熱処理に付し、金属材料を含む浸出液(A)と浸出残渣(a)を得る。
(3)前記浸出残渣(a)を濃度20〜48質量%の水酸化アルカリ水溶液中で加熱処理に付し、ケイ素を含む浸出液(B)と浸出残渣(b)を得る。
(4)前記浸出残渣(b)を水酸化アルカリ水溶液中に懸濁し、酸化剤を添加して加熱処理に付し、ルテニウムを含む浸出液(C)と浸出残渣(c)を得る。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記(1)の工程において、焙焼の温度は、700〜1000℃であることを特徴とするルテニウムの分離回収方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記(2)の工程において、加熱処理の温度は、40〜90℃であることを特徴とするルテニウムの分離回収方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記(3)の工程において、加熱処理の温度は、60〜90℃であることを特徴とするルテニウムの分離回収方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記(3)の工程において、水酸化アルカリは、水酸化ナトリウムであることを特徴とするルテニウムの分離回収方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5いずれかの発明において、前記混合物は、ルテニウム系抵抗ペースト又はルテニウム系抵抗ペーストを用いた抵抗体とその他の電子部品材料との混合物であることを特徴とするルテニウムの分離回収方法が提供される。
本発明のルテニウムの分離回収方法は、酸化ルテニウム(IV)又はその複合酸化物、ガラス及び金属材料を含む混合物、例えば、ルテニウム系抵抗ペースト又はルテニウム系抵抗ペーストを用いた抵抗体とその他の電子部品材料との混合物から、ガラス、ハンダ屑などにルテニウムが包含されている原料であっても、設備投資が大きい溶融炉を用いることなく、かつフッ化水素酸、溶融アルカリなどの危険な薬品を使用することなく、ルテニウムを可溶性化して分離回収することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明のルテニウムの分離回収方法を詳細に説明する。
本発明のルテニウムの分離回収方法は、酸化ルテニウム(IV)又はその複合酸化物、ガラス及び金属材料を含む混合物から、ルテニウムを分離回収する方法であって、下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする。
(1)前記混合物を還元雰囲気下に焙焼に付し、焙焼物を得る。
(2)前記焙焼物を硝酸水溶液中で加熱処理に付し、金属材料を含む浸出液(A)と浸出残渣(a)を得る。
(3)前記浸出残渣(a)を濃度20〜48質量%の水酸化アルカリ水溶液中で加熱処理に付し、ケイ素を含む浸出液(B)と浸出残渣(b)を得る。
(4)前記浸出残渣(b)を水酸化アルカリ水溶液中に懸濁し、酸化剤を添加して加熱処理に付し、ルテニウムを含む浸出液(C)と浸出残渣(c)を得る。
本発明において、上記(1)〜(4)の工程を順次行うことが重要である。なお、(2)の工程と(3)の工程は、原料の組成等により、必要に応じて、順序を変えて行うことができる。これによって、(1)の工程において、ルテニウムは、合金中に微細に分散されるので、酸に可溶な合金を形成することができ、さらに、特に、ガラス、ハンダ屑などにルテニウムが包含されている原料であっても、(2)の工程で、合金成分となっている複合酸化物を構成する鉛等の金属材料、及びハンダ成分又は接点材料成分である鉛、銀等の金属材料が溶解され、さらに(3)の工程で、ガラスを構成するケイ素が溶解されるので、(4)の工程において、効率良くルテニウム金属を溶出することができる。
上記方法に用いる酸化ルテニウム(IV)又はその複合酸化物、ガラス及び金属材料を含む混合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ルテニウム系抵抗ペースト又はルテニウム系抵抗ペーストを用いた抵抗体とその他の電子部品材料を含む混合物が用いられる。
ここで、前記ルテニウム系抵抗ペーストとしては、酸化ルテニウム(IV)やルテニウム酸鉛(PbRu)等のルテニウム複合酸化物の微粉末と、PbO、SiO、B、Al、CaOなどの成分を含むガラス結合剤とを、例えばセルロース系樹脂などの有機バインダーをターピネオールなどの溶剤に溶解させたビヒクルと呼ばれる有機媒体中に均一に分散させたものである。また、前記抵抗体としては、ルテニウム系抵抗ペーストを焼成したものであり、酸化ルテニウム(IV)又はルテニウム複合酸化物とガラスを含むものである。また、ルテニウム系抵抗ペーストを用いた厚膜抵抗体を備えた、チップ抵抗器、厚膜ハイブリッドIC及び抵抗ネットワーク等の電子部品には、抵抗体の他に、ハンダ材料、接点材料等の金属材料を含有する電子部品材料が含まれる。
上記方法の(1)の工程は、上記混合物を、還元雰囲気下に焙焼に付し、焙焼物を得る工程である。これによって、ルテニウムを湿式処理に可溶性である金属単体形態にする。
すなわち、ルテニウム系抵抗ペースト又は抵抗体中のルテニウムの形態としては、酸化ルテニウム(IV)又はルテニウム複合酸化物であり、酸化ルテニウム(IV)は、湿式法では、非常に還元されにくい。このため、湿式処理に先立ち、ルテニウムを可溶性の金属単体形態にするため、還元雰囲気下に焙焼に付す。
上記焙焼方法としては、還元雰囲気下であれば、特に限定されるものではなく、例えば還元剤共存下で加熱する方法が用いられる。
ここで、還元剤としては、特に限定されるものではなく、コークス、木炭などの炭素質還元剤、一酸化炭素、水素などのガス状還元剤を使用することができるが、特別なガス還元炉が不要であるという点では、炭素質還元が好ましい。しかしながら、上記混合物として、溶剤を含んだままのペースト、ペースト付着物、プラスチック容器、電子回路基板、電子機器部品など有機化合物を含む材料を用いて、焙焼する場合には、これら有機化合物も還元剤として有効に働くため、特別な還元剤を不要にすることができる。
上記焙焼温度としては、特に限定されるものではないが、700〜1000℃が好ましい。すなわち、還元反応は高温ほど効率が良いが、焙焼温度が1000℃超えると、還元された金属が溶融し、合金化法と同様に破砕及び粉砕の必要性が生じる。一方、焙焼温度が700℃未満では、還元反応が不完全になりやすい。また、焙焼時間は、長いほど還元が促進されるが、通常は、1時間でほぼ完結する。
上記方法の(2)の工程は、上記(1)の工程で得られた焙焼物を、硝酸水溶液中で加熱処理に付し、金属材料を含む浸出液(A)と浸出残渣(a)を得る工程である。これによって、浸出液(A)中に、合金成分となっている複合酸化物を構成する鉛等の金属材料、及びハンダ成分又は接点材料成分に由来する鉛、銀等の金属材料が溶解される。
すなわち、上記混合物が電子部品材料からのリサイクルの場合には、ハンダに由来する鉛、スズ、導電ペースト材料や接点材料に由来する銀などが大量に共存し、しばしば、これらの共存元素がルテニウムを包含することにより物理的に溶解が阻害される。ここでは、鉛及び銀は硝酸に溶解し、またスズは硝酸に溶解しないが、メタスズ酸を形成するので、後続のルテニウムを浸出する工程でルテニウムから分離されるようになる。
なお、このような金属材料が上記混合物に含有されないときは、この工程を省くことができる。また、上記混合物中に、酸化鉄(III)、金など硝酸のみでは溶解しにくい金属を含有する場合には、硝酸を用いた浸出に続いて、さらに塩酸、又は塩酸と硝酸の混合物により浸出することにより、ルテニウムの品位をより一層上昇させることが可能である。しかしながら、塩酸と硝酸の混合物により浸出した場合、ルテニウムの一部が溶出するので、酸化鉄(III)、金などの含有量が少ない場合には行わない方がよい。
上記方法の(2)の工程において、加熱処理の温度としては、特に限定されるものではないが、40〜90℃であることが好ましい。すなわち、加熱処理の温度が40℃未満では、前記金属材料の溶解速度が遅くなる。一方、加熱処理の温度が90℃を超えると、硝酸の自己分解および揮発による損失が増加するため好ましくない。
上記方法の(3)の工程は、上記(2)の工程から得られた浸出残渣(a)を濃度20〜48質量%の水酸化アルカリ水溶液中で加熱処理に付し、ケイ素を含む浸出液(B)と浸出残渣(b)を得る工程である。これによって、浸出液(B)中に、ガラスを構成するケイ素が溶解される。
すなわち、ルテニウム系抵抗ペーストには、ペースト形成のために必ずガラスが添加されており、これがルテニウムの浸出反応を妨げる。なお、ペースト中のガラスは、従来アルカリ溶融及びフッ化水素酸を使用しないと溶解できないとされてきたが、実際的には、比較的活性が高く、20〜48質量%の高濃度の水酸化アルカリ水溶液であれば溶解することができることが確認された。
すなわち、ガラスの溶解力は、水酸化アルカリの濃度に比例するものではなく、24〜48質量%までは溶解力は殆ど変わらないが、18質量%以下では僅かしか溶解することができず、実用的には20質量%以上の濃度が用いられる。
上記方法の(3)の工程において、加熱処理の温度としては、特に限定されるものではないが、60〜90℃であることが好ましい。すなわち、加熱処理の温度が60℃未満では、前記ガラスの溶解速度が遅くなる。一方、加熱処理の温度が90℃を超えると、液が濃縮され粘度が上昇やすく、突沸の危険性も増えるためである。
上記方法の(3)の工程に用いる水酸化アルカリとしては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられるが、価格、及び後工程における難溶性のルテニウム塩の生成防止を重視すると、水酸化ナトリウムが最も適している。
上記方法の(4)の工程は、上記(3)の工程で得られた浸出残渣(b)を水酸化アルカリ水溶液中に懸濁し、酸化剤を添加して加熱処理に付し、ルテニウムを含む浸出液(C)と浸出残渣(c)を得る工程である。ここでは、上記(2)及び(3)の工程により、ルテニウムの浸出を阻害する元素を全て分離することが達成されているので、浸出液(C)中に、ルテニウムを選択的に高収率で溶出することができる。
上記方法の(4)の工程において用いるルテニウムの浸出方法としては、特に限定されるものではなく、公知の条件が用いられるが、例えば、上記浸出残渣(b)を、濃度12質量%以上の水酸化ナトリウム水溶液中に懸濁し、60℃に加温後、亜塩素酸ナトリウム又はペルオキソ二硫酸ナトリウムを添加して、酸化還元電位(AgCl/Ag電極規準)を200mV以上に調整することにより行われる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析方法は、蛍光X線分析法を用いた。
(実施例1)
ルテニウム系ペーストを含む電子部品材料及び該ペーストの廃ペーストの混合物50kgを、電子回路基板と共に、空気が十分に供給されない状態で、大気中にて800℃で1時間焙焼した。なお、この間、ペースト及び電子回路基板中に含有される有機化合物によって、還元性雰囲気が保持された。その後、得られた焙焼物の組成を分析した。なお、エックス線解析の結果、焙焼物中のルテニウムは、全てルテニウムメタルに還元され、化合物として存在するルテニウムは検出されなかった。結果を表1に示す。
Figure 0005145956
次に、上記焙焼物20gを、濃度63質量%の硝酸100mlと水100mlに添加し撹拌しながら、80℃で1時間加熱した。その後、形成されたスラリーを放冷後、濾過して浸出残渣(a)と濾液に分離した。続いて、浸出残渣を水洗し、水洗液は前記濾液に混合し回収濾液を得た。その後、回収濾液を分析した結果、鉛と銀の浸出率は、いずれも98%であった。次いで、前記浸出残渣(a)5.6gを、濃度48質量%の水酸化ナトリウム水溶液100g中に懸濁し、90℃で3時間加熱した。その後、形成されたスラリーを放冷後、濾過して浸出残渣と濾液に分離した。続いて、浸出残渣を水洗し、水洗液は前記濾液に混合し回収濾液を得た。その後、回収濾液を分析した結果、ケイ素の浸出率は97%であった。
最後に、前記浸出残渣(b)を、濃度18質量%の水酸化ナトリウム水溶液200ml中に懸濁し、60℃に昇温後、過硫酸ナトリウムを添加して、酸化還元電位(AgCl/Ag電極規準)を200mV以上に調整しながら1時間維持して、ルテニウム浸出工程を行った。その後、得られた浸出液および残渣を分析した結果、ルテニウムの87%が浸出された。
(実施例2)
浸出残渣(a)からケイ素を浸出する際に、濃度48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を水にて体積比で二倍に希釈した水溶液(濃度28質量%の水酸化ナトリウム水溶液に当たる。)を使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。その結果、浸出残渣(a)からのケイ素の浸出率は88%であり、また、ルテニウム浸出工程ではルテニウムの91%が浸出された。
(比較例1)
浸出残渣(a)からケイ素を浸出する際に、濃度18質量%の水酸化ナトリウム水溶液を使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。その結果、浸出残渣(a)からのケイ素の浸出率は68%であり、また、ルテニウム浸出工程ではルテニウムの4%が浸出されたのみであった。
以上より明らかなように、実施例1又は2では、ルテニウム系抵抗ペースト又はルテニウム系抵抗ペーストを用いた抵抗体とハンダ、接点材料等の電子部品材料とを含有する混合物を還元雰囲気下に焙焼に付し、得られた焙焼物を硝酸水溶液中で加熱処理に付し、金属材料を溶出分離し、ここで得られた浸出残渣を所定濃度の水酸化アルカリ水溶液中で加熱処理に付し、ケイ素を溶出分離し、最後にここで得られた浸出残渣を水酸化アルカリ水溶液中に懸濁し、酸化剤を添加して加熱処理に付す方法により、本発明の方法に従って行われたので、ルテニウムが高収率で分離回収することができることが分かる。
これに対して、比較例1では、ケイ素を溶出分離する際の水酸化アルカリの濃度がこれらの条件に合わないため、ルテニウムの収率において満足すべき結果が得られないことが分かる。
なお、ここでは、本発明の対象となる混合物として、比較的難易度が高い、複雑な電子部品材料の混合物を対象とした。したがって、本実施例より単純な組成であれば、より容易に、かつより高収率でルテニウムを回収することができる。
以上より明らかなように、本発明のルテニウムの分離回収方法は、酸化ルテニウム(IV)又はその複合酸化物、ガラス及び金属材料を含む混合物から、ガラス、ハンダ屑などにルテニウムが包含されている原料であっても、設備投資が大きい溶融炉を用いることなく、かつフッ化水素酸、溶融アルカリなどの危険な薬品を使用することなく、ルテニウムを可溶性化して分離回収することができるので、ルテニウム系抵抗ペースト又はルテニウム系抵抗ペーストを用いた抵抗体とその他の電子部品材料との混合物から、ルテニウムを分離回収する方法として好適である。

Claims (6)

  1. 酸化ルテニウム(IV)又はその複合酸化物、ガラス及び金属材料を含む混合物から、ルテニウムを分離回収する方法であって、
    下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とするルテニウムの分離回収方法。
    (1)前記混合物を還元雰囲気下に焙焼に付し、焙焼物を得る。
    (2)前記焙焼物を硝酸水溶液中で加熱処理に付し、金属材料を含む浸出液(A)と浸出残渣(a)を得る。
    (3)前記浸出残渣(a)を濃度20〜48質量%の水酸化アルカリ水溶液中で加熱処理に付し、ケイ素を含む浸出液(B)と浸出残渣(b)を得る。
    (4)前記浸出残渣(b)を水酸化アルカリ水溶液中に懸濁し、酸化剤を添加して加熱処理に付し、ルテニウムを含む浸出液(C)と浸出残渣(c)を得る。
  2. 前記(1)の工程において、焙焼の温度は、700〜1000℃であることを特徴とする請求項1に記載のルテニウムの分離回収方法。
  3. 前記(2)の工程において、加熱処理の温度は、40〜90℃であることを特徴とする請求項1に記載のルテニウムの分離回収方法。
  4. 前記(3)の工程において、加熱処理の温度は、60〜90℃であることを特徴とする請求項1に記載のルテニウムの分離回収方法。
  5. 前記(3)の工程において、水酸化アルカリは、水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載のルテニウムの分離回収方法。
  6. 前記混合物は、ルテニウム系抵抗ペースト又はルテニウム系抵抗ペーストを用いた抵抗体とその他の電子部品材料との混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のルテニウムの分離回収方法。
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