JP5145018B2 - 形状記憶性樹脂製雌型締結体 - Google Patents

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Description

本発明は、ねじ穴内面に形成された雌ねじ部を有する形状記憶性樹脂製雌型締結体に関する。
多くの製品において、多くの締結体が利用されている。締結体としては、雌ねじ部を有する雌型締結体であるナットなどがある。部品などを本体に締結する場合には、ねじをナットに対して締め付ける方向に回すことにより固定される。また、修理、解体時には、ねじを弛める方向に回して部品などを本体より離脱させる。
近年では、資源および環境問題などより、製品のリサイクル化が促進されており、製品として、解体の容易さが求められるようになってきている。製品のリサイクルを容易なものとするためには、締結体の離脱の容易さが必要である。
そして、形状記憶素材によって製造されたねじが提案されている。形状記憶素材とは、熱を加えることによって形状回復温度に達すると、予め形状記憶された状態に戻る性質を有する素材であって、形状記憶性樹脂、形状記憶合金と呼ばれるものがある。
そして、本件出願人は、特開2003−145564(特許文献1)において、形状記憶性樹脂を用いた締結体を提案している。この締結体は、形状記憶ポリマーからなる締結体であり、ポリウレタン系形状記憶ポリマー部分に、締結機能を発揮する、凸部、凹部、凹凸部、ねじ部、および、傾斜部からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の形状を設けたものである。さらに、締結体として、ポリウレタン系形状記憶ポリマーからなる締結機能部を有し、該締結機能部における外径をd1、二次賦形前の外径をd0とし、嵌合相手となる雌型締結体の締結機能部、あるいは嵌合部の内径をD1としたときに、下式(1)及び(2)
d0 < D1 (1)、d1 > D1 (2) を同時に満たすように、該締結機能部を設けることも提案している。
また、特開2004−190837(特許文献2)には、形状回復温度と形状回復方向がほぼ同一である形状記憶素材から雄ねじおよび雌ねじ部が形成され、雄ねじと雌ねじ部の螺合によって被締結部品A,Bの締結を行う。そして、雄ねじが形状回復した際の雄ねじ母材2Aのねじ形成部22Aは、ネジのない、雄ねじのネジの有効径と略同等の外径d2の筒状となり、雌ねじ部が形状回復した際の雌ねじ部母材3Aのねじ形成部32Aは、ネジのない、雌ねじ部のネジの有効径と略同等の穴径D2の穴状となるものが提案されている。
特開2003−145564 特開2004−190837
特許文献1および2のものも有効ではあるが、特許文献2のものでは、雄ねじを有する雌型締結部も形状記憶材料により形成し、かつ適宜の塑性変形処理をしなければならないという制約がある。
そして、特許文献1の段落番号0040には、形状記憶ポリマーからなる雌形部品(ナット)に関して、Tg以上に加熱することによって雌ねじ部が消滅するという状態変化を表している。ここでは、簡単のために、雌ねじ部が消滅する場合が図示されているが、実際には雌ねじ部内径が拡大してもよい旨の開示がある。特許文献1のものでは、雌ねじ部が消滅する場合と雌ねじ部内径が拡大する場合を選択するものとなっている。
形状記憶性樹脂により、雌型締結体を形成する場合、締結機能を持たない形態の締結体基材を成形した後、形状記憶性樹脂の形状回復温度もしくはガラス転移温度以下の温度条件下において、締結機能(例えば、雌ねじ部)を付与する塑性変形工程を行うことが必要である。この塑性変形工程における塑性変形度が高いほど、塑性変形前の形状への復元率が低下する。しかし、塑性変形度が小さすぎると、形状復元した状態において、締結対象である雄形締結体より離脱しない状態が発生する。
そこで、本発明は、形状記憶性樹脂を用いた雌型締結体において、その形態を改良することにより、十分な締結力を保持し、かつ、形状回復温度以上への加温により、締結機能が確実に消失し、締結対象の雄形締結体より容易かつ確実に離脱することができる形状記憶性樹脂製雌型締結体を提供するものである。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) ねじ穴の内面に形成された雌ねじ部を有する形状記憶性樹脂製雌型締結体であって、
前記形状記憶性樹脂製雌型締結体は、前記ねじ穴に、向かい合うように2つもしくは該ねじ穴の中心軸に対してほぼ等角度となるよう設けられた複数の短径部と、前記短径部間に位置する複数の長径部と、少なくとも前記複数の短径部の内面に形成された前記雌ねじ部とを備える第1形態と、所定温度以上に加温されることにより発現する第2形態とを有するものであり、該第2形態では、前記ねじ穴は、前記短径部における半径より大きく、かつ、前記長径部における半径より小さい半径を有する円状となる形状記憶性樹脂製雌型締結体。
(2) 前記形状記憶性樹脂製雌型締結体は、前記第2形態では、前記雌ねじ部が実質的に消失するものである上記(1)に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
(3) 前記形状記憶性樹脂は、動的粘弾性測定における損失正接値のピークとなる第1の損失正接ピーク温度を有する第1の形状記憶性ポリマーと、前記第1の形状記憶性ポリマーと相溶性を有し、かつ動的粘弾性測定における損失正接値のピークが前記第1の損失正接ピーク温度よりも高い第2の損失正接ピーク温度を有する第2の形状記憶性ポリマーとの混合物からなるものである上記(1)または(2)に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
(4) 前記形状記憶性樹脂は、非晶性ポリエチレンテレフタレートと、非晶性ポリエチレンナフタレート、低結晶性形状記憶ポリエチレンナフタレートもしくは半結晶性ポリエチレンナフタレートとの混合物である上記(3)に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
(5) 前記形状記憶性樹脂は、非晶性形状記憶性ポリマーである上記(1)または(2)に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
(6) 前記非晶性形状記憶性ポリマーは、非晶性ポリエステル、非晶性スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリチオエーテル、非晶性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、非晶性オレフィン系樹脂、ポリフェニレンサルファイドからなる群より選択された少なくとも1種のものである上記(5)に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
(7) 前記形状記憶性樹脂は、非晶性ポリエチレンテレフタレート、非晶性ポリエチレンナフタレート、低結晶性形状記憶ポリエチレンナフタレートもしくは半結晶性ポリエチレンナフタレートのいずれかである上記(1)または(2)に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
(8) 前記雌型締結体は、ナットまたは袋ナットである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
(9) 前記第2形態となる前記所定温度は、50℃〜160℃である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
(10) 前記形状記憶性樹脂は、ガラス繊維もしくは炭素繊維を含有している上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体は、ねじ穴の内面に形成された雌ねじ部を有し、前記ねじ穴は、向かい合うように2つもしくは該ねじ穴の中心軸に対してほぼ等角度となるよう設けられた複数の短径部と、該短径部間に位置する複数の長径部と、前記複数の短径部の内面に形成された前記雌ねじ部とを備える第1形態と、所定温度以上に加温されることにより発現する第2形態とを有するものであり、該第2形態では、前記ねじ穴は、前記短径部の半径より大きく、かつ、前記長径部の半径より小さい半径を有するほぼ円柱状となるものであるので、所定温度以上に加温することにより、確実に締結機能消失形態に変態することが可能であり、締結対象の雄形締結体より容易かつ確実に離脱させることができる。
この発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体をナットに応用した実施例を用いて説明する。
本発明の実施例の雌型締結体40について説明する。
は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の正面図である。図は、図に示した形状記憶性樹脂製雌型締結体の平面図である。図は、図のE−E線断面図である。図は、図のF−F線断面図である。図は、図に示した形状記憶性樹脂製雌型締結体の第2形態発現時の正面図である。図は、図のG−G線断面図である。図は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の第2形態発現時の断面図である。図は、図のH−H線断面図である。
この実施例の形状記憶性樹脂製雌型締結体40は、ねじ穴42の内面に形成された雌ねじ部43を有する。形状記憶性樹脂製雌型締結体40は、ねじ穴42に向かい合うように2つもしくはねじ穴の中心軸に対してほぼ等角度となるよう設けられた複数の短径部44,45と、短径部44,45間に位置する複数の長径部46,47と、少なくとも複数の短径部44,45の内面に形成された雌ねじ部43とを備える第1形態を有する。そして、形状記憶性樹脂製雌型締結体40は、所定温度以上に加温されることにより発現する第2形態40aを有する。第2形態40aでは、ねじ穴42aは、第1形態の短径部44,45における半径r1より大きく、かつ、長径部46,47における半径r2より小さい半径r1aを有する円状となる。
具体的には、この実施例の締結体40は、図ないし図に示すように、ねじ穴42に向かい合うように2つ設けられた短径部44,45と、短径部44,45間に位置する複数の長径部46,47と、短径部44,45の内面に形成された雌ねじ部43とを備える第1形態を有する。そして、形状記憶性樹脂製雌型締結体40は、所定温度以上に加温されることにより発現する第2形態40aを有する。第2形態40aでは、図および図に示すように、ねじ穴42aの内面43aから、雌ねじ部43が消失するとともに、ねじ穴42aは、第1形態における短径部44,45における半径r1より大きく、かつ、長径部46,47における半径r2より小さい半径r1aを有する円状となる。具体的には、第2形態40aでは、雌ねじ部43が消失するとともに、ねじ穴42aは、第1形態における短径部44,45のねじ溝間距離D4より大きく、かつ、長径部のねじ溝間距離D5より小さい直径D4aを有するほぼ真円状となる。
また、締結体40としては、図および図に示すような第2形態40bに変形するものであってもよい。
上述した実施例の締結体の第2形態40aと異なり、この締結体の第2形態40bでは、雌ねじ部43は消失しないものの、第2形態40bでは、ねじ穴42bは、第1形態の短径部44,45におけるねじ溝の有効半径r1より大きく、かつ、長径部46,47におけるねじ溝の有効半径r2より小さい、雌ねじ部(ねじ山)43bの有効半径r1bを有する円状となる。具体的には、第2形態40bでのねじ穴42bの雌ねじ部43bは、もっとも近接する部分におけるねじ山間距離D4bが、第1形態における短径部44,45のねじ溝間距離D4より大きく、かつ、長径部のねじ溝間距離D5より小さいほぼ真円状のものとなる。これにより、螺合していた雄型締結体の雄ねじのねじ山との螺合が不能となるため、両者の螺合状態(締結状態)が解除される。
そして、上述の実施例の締結体40は、第1形態では、外形が楕円状となっており、第2形態に変形することにより、外形がほぼ真円状のものとなる。なお、このタイプの締結体40としては、上記のようなものに限定されるものではなく、第1形態では、外形が細長い多角形状となっており、第2形態に変形することにより、外形がほぼ正多角形状のものとなるものであってもよい。
次に、本発明の他の実施例の雌型締結体50について説明する。
は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の正面図である。
10は、図のI−I線断面図である。図11は、図のJ−J線断面図である。図12は、図に示した形状記憶性樹脂製雌型締結体の第2形態発現時の正面図である。図13は、図12のK−K線断面図である。図14は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の第2形態発現時の正面図である。図15は、図14のL−L線断面図である。
この実施例の締結体50は、ねじ穴52の長径部付近にねじ溝を備えない以外は、上述した締結体40と実質的に同じである。
この締結体50は、ねじ穴52に向かい合うように2つ設けられた短径部55,56と、短径部55,56間に位置する2つの長径部57,58と、短径部55,56部分の内面より長径部57,58方向に延びる向かい合う2つの雌ねじ部53,54とを備える第1形態を有する。
この実施例の締結体50では、2つの雌ねじ部53,54は、短径部55,56部分におけるねじ溝がもっとも深く、長径部に向かうに従って、その溝深さが徐々に浅くなるものとなっている。そして、長径部57,58には、実質的にねじ溝が存在しない状態となっている。
そして、締結体50は、図12および図13に示すように、所定温度以上に加温されることにより発現する第2形態50aを有する。第2形態50aでは、2つの雌ねじ部53,54が消失するとともに、ねじ穴52aは、第1形態の短径部55,56における半径r3より大きく、かつ、長径部57,58における半径r4より小さい半径r3aを有する円状となる。これにより、締結体50は、締結機能を喪失する。具体的には、第2形態50aでは、雌ねじ部53,54が消失するとともに、ねじ穴52aは、第1形態における短径部55,56のねじ溝間距離D6より大きく、かつ、長径部57,58のねじ溝間距離D7より小さい直径D6aを有するほぼ真円状となる。
また、締結体50としては、図14および図15に示すような第2形態50bに変形するものであってもよい。
上述した実施例の締結体の第2形態50aと異なり、この締結体の第2形態50bでは、雌ねじ部53a,54aは消失しないものの、ねじ穴52bは、第1形態の短径部55,56におけるねじ溝の有効半径r3より大きく、かつ、長径部57,58におけるねじ溝の有効半径r4より小さい、ねじ山の有効半径r3bを有する円状となる。具体的には、第2形態50bでのねじ穴52bは、もっとも近接する部分におけるねじ山間距離D6bは、第1形態における短径部55,56のねじ溝間距離D6より大きく、かつ、長径部のねじ溝間距離D7より小さいほぼ真円状のものとなる。これにより、螺合していた雄型締結体の雄ねじのねじ山との螺合が不能となるため、両者の螺合状態(締結状態)が解除される。
そして、上述の実施例の締結体50は、第1形態では、外形が楕円状となっており、第2形態に変形することにより、外形がほぼ真円状のものとなる。なお、このタイプの締結体50としては、上記のようなものに限定されるものではなく、第1形態では、外形が細長い多角形状となっており、第2形態に変形することにより、外形がほぼ正多角形状のものとなるものであってもよい。
次に、本発明の他の実施例の雌型締結体60について説明する。
16は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の正面図である。図17は、図16のM−M線断面図である。図18は、図16のN−N線断面図である。図19は、図16に示した形状記憶性樹脂製雌型締結体の第2形態発現時の正面図である。図20は、図19のO−O線断面図である。図21は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の正面図である。
この実施例の形状記憶性樹脂製雌型締結体60は、ねじ穴62の中心軸に対してほぼ等角度となるよう設けられた3つの短径部64,65,66と、短径部64,65,66間に位置する3つの長径部63と、少なくとも短径部64,65,66の内面に形成された雌ねじ部64a,65a,66aとを備える第1形態を有する。そして、形状記憶性樹脂製雌型締結体60は、所定温度以上に加温されることにより発現する第2形態60aを有する。第2形態60aでは、ねじ穴62aは、第1形態の短径部64,65,66における半径r5より大きく、かつ、長径部63における半径より小さい半径r6を有する円状となる。
具体的には、この実施例の締結体60は、図16ないし図18に示すように、略三角形状のねじ穴62を備えており、略三角形状のねじ穴62の直線部の中央に短径部64,65,66が位置する。そして、これら短径部64,65,66には、ねじ溝が形成されている。そして、この実施例の締結体60では、長径部、言い換えれば、略三角形のねじ穴62の3つの頂点部には、ねじ溝が形成されていないものとなっている。
そして、形状記憶性樹脂製雌型締結体60は、所定温度以上に加温されることにより発現する第2形態60aを有する。第2形態60aでは、図19および図20に示すように、3つの雌ねじ部が消失するとともに、ねじ穴62aは、第1形態における短径部における半径r5より大きく、かつ、長径部における半径より小さい半径r6を有する円状となる。これにより、締結体60は、締結機能を喪失する。また、締結体60は、第1形態から第2形態に変形することにより、その外形も略三角形から、ほぼ円形に変化する。
なお、上述の実施例ではねじ溝は、短径部にのみ設けられているが、このようなものに限定されるものではなく、図21に示す実施例の形状記憶性樹脂製雌型締結体70のように、略三角形のねじ穴72の内面全周にねじ溝を設けてもよい。
さらに、上述した多くの実施例と同様に、締結体60における第2形態は、雌ねじ部が消失しないものであってもよい。この場合には、第2形態では、ねじ穴は、第1形態の短径部におけるねじ溝の有効半径r5より大きく、かつ、長径部におけるねじ溝の有効半径より小さい、ねじ山の有効半径を有する円状に変化するものとなる。
また、このタイプの締結体60としては、上記のような略三角形状のものに限定されるものではなく、第1形態では、略四角形状などの多角形状であってもよい。
そして、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体は、形状記憶性樹脂により成形されている。そして、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体における締結機能消失形態となる温度は、50℃〜160℃であることが好ましい。
形状記憶性樹脂としては、公知のものを使用することができる。
なお、ここでいう形状記憶性樹脂(樹脂組成物)とは、直径5.3mm、高さ7.8mmの円柱状に射出成形により成形した後、樹脂(樹脂組成物)の損失正接ピーク温度より低い温度条件にて、高さが1/2になるように圧縮して所定時間放置した後、樹脂(樹脂組成物)の損失正接ピーク温度より高い温度に加温することにより、成形時の高さの90%以上の高さに復元するものを示すものである。
ポリマーのような粘弾性体は、理想弾性体と理想粘性体の中間の性質を示す。ポリマーに正弦波の形で応力を与えた場合、応力波形と歪波形の間には0°〜90°の範囲で位相差δが生じる。なお、理想弾性体では位相差が零であり、理想粘性体は応力に対して歪みは90°(π/2)遅れて検出される。
粘弾性の応力と歪みの関係は、図22に示す複素平面上のベクトルとして表すことが出来る。
E*は、複素弾性率と呼ばれ、応力と歪みの振幅比に相当する。δは位相差である。
E’は、貯蔵弾性率と呼ばれ、試料の弾性としての特性を反映し、1周期あたりに加えられた応力が貯蔵され完全に回復するエネルギーの尺度である。
E’’は、損失弾性率と呼ばれ、試料の粘性としての特性を反映し、1周期あたりに加えられた応力が熱として損失(消費)されるエネルギーの尺度である。
tanδは、損失正接と呼ばれ、貯蔵弾性率と損失弾性率の比で表す。つまり与えられた力学的なエネルギーに対する熱として損失されたエネルギーの割合を示すもので、粘弾性特性の一つとして振動吸収性を表している。
つまり、動的粘弾性測定において得られる損失正接値は、被検材料に正弦的に繰り返す引張方向の応力、及び歪みを与えた時に、その応答として得られる損失弾性率の貯蔵弾性率に対する比の値として表される。損失正接は、被検材料中の分子の束縛状態を示しており、損失正接値が大きくなるほど分子の束縛が緩くなることを示している。なお、この動的粘弾性により得られる値は、測定方法や条件により変化するが、本発明においては、10×50×2〜4mmの板状試験片を、測定温度範囲:室温〜200℃、設定昇温速度:2℃/分、測定周波数:1Hzの条件で固体粘弾性測定したものである。
そして、形状記憶性ポリマーとしては、非晶性形状記憶性ポリマー、低結晶性形状記憶性ポリマーもしくは半結晶性形状記憶性ポリマーを用いることが好ましい。このような結晶性の低い形状記憶性ポリマーを用いることにより、形状回復が良好なものとなる。また、非晶性形状記憶性ポリマー、低結晶性形状記憶性ポリマーおよび半結晶性形状記憶性ポリマーは、JISK7122による結晶融解に伴う潜熱が2.1J/g以下の樹脂であることが好ましい。
形状記憶性ポリマーとしては、ポリエステル、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリチオエーテル、ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、オレフィン系樹脂、ポリフェニレンサルファイドなどが使用される。
ポリエステルとしては、非晶性ポリエチレンテレフタレート、半結晶性ポリエチレンナフタレートもしくは低結晶性ポリエチレンナフタレートが好適である。非晶性ポリエチレンテレフタレートの損失正接ピーク温度は、約70℃である。半結晶性ポリエチレンナフタレートは、非晶性ポリエチレンテレフタレートより約40℃程度高い損失正接ピーク温度を有し、その損失正接ピーク温度は、約110℃である。そして、両者は、相溶性を有する。
また、形状記憶性樹脂は、動的粘弾性測定における損失正接値のピークとなる第1の損失正接ピーク温度を有する第1の形状記憶性ポリマーと、第1の形状記憶性ポリマーと相溶性を有し、かつ動的粘弾性測定における損失正接値のピークが第1の損失正接ピーク温度よりも高い第2の損失正接ピーク温度を有する第2の形状記憶性ポリマーとの混合物からなるものであることが好ましい。
そして、第1の形状記憶性ポリマーおよび第2の形状記憶性ポリマーは、両者が相溶性を有する熱可塑性樹脂が選択される。また、第2の形状記憶性ポリマーは、第1の損失正接ピーク温度よりも高い損失正接ピーク温度を有するものが選択される。第1の形状記憶性ポリマーの損失正接ピーク温度としては、50〜160℃程度のものが好ましく、第2の形状記憶性ポリマーの損失正接ピーク温度としては、90〜220℃程度のものが好ましい。そして、第1の形状記憶性ポリマーと第2の形状記憶性ポリマーの損失正接ピーク温度の差は、30〜100℃程度であることが好ましい。また、本発明の形状記憶性樹脂組成物の損失正接ピーク温度は、70〜200℃程度であることが好ましい。
形状記憶性樹脂組成物における第1の形状記憶性ポリマーおよび第2の形状記憶性ポリマーの配合量(配合比)は、形状記憶性樹脂組成物の目標損失正接ピーク温度、第1の形状記憶性ポリマーおよび第2の形状記憶性ポリマーの損失正接ピーク温度によって定まるものであり、一義的なものではないが、形状記憶性樹脂組成物における第1の形状記憶性ポリマーと第2の形状記憶性ポリマーの重量比は、10:2〜2:10程度が好ましく、より好ましくは、10:4〜4:10である。
そして、第1の形状記憶性ポリマーおよび第2の形状記憶性ポリマーは、相溶性を有する熱可塑性樹脂が選択される。このため、第1の形状記憶性ポリマーおよび第2の形状記憶性ポリマーは、上記の形状記憶性ポリマーより、同系統の2種のポリマーを選択することが好ましい。
本発明に用いられる形状記憶性樹脂組成物における第1の形状記憶性ポリマーと第2の形状記憶性ポリマーとの組合せは、第1のポリエステルと第1のポリエステルと異なる第2のポリエステルの組合せであることが好適である。特に、第1の形状記憶性ポリマーと第2の形状記憶性ポリマーとの組合せは、非晶性ポリエチレンテレフタレートと半結晶性ポリエチレンナフタレートであることが好適である。この組合せによる形状記憶性樹脂組成物は、高い形状復元性を有するとともに、狭いガラス遷移温度領域を有する。狭いガラス遷移温度領域を有するため、形状記憶性樹脂組成物の損失正接ピーク温度を若干超える程度に加熱することにより、記憶形状に復元するので、復元のための加熱効率が良好であるとともに、ガラス遷移温度領域未満における不測の形状復元を起こすことがなく、形状保持および形状復元のための温度管理が容易なものとなる。また、非晶性ポリエチレンテレフタレートを用いることにより、工業的にマテリアル・リサイクルが可能である。
非晶性ポリエチレンテレフタレートとしては、例えば、ジオール成分の50モル%以上がエチレングリコールであるジオールと、ジカルボン酸成分の50モル%以上がテレフタル酸またはそのアルキルエステルであるジカルボン酸類を重縮合して得られるホモポリマー、コポリマーまたはこれらの混合物であり、コポリマーとしては、例えば全カルボン酸類の50モル%以下の範囲で他のジカルボン酸、例えばイソフタル酸あるいはハロゲン化テレフタル酸を共重合したものや、全ジオールの50モル%以下の範囲でポリ(アルキレングリコール)具体的にはジエチレングリコールを共重合したものまたは、C3〜C12のアルキレングリコール、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したものが挙げられる。例えば、イーストマンケミカル社製の商品名「PETG6763」(テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールと70モル%のエチレングリコールからなるジオール成分とを共重合したコポリエステル)、および商品名「Provista」(テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、30モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールと70モル%のエチレングリコールからなるジオール成分と、極めて少量の第3成分を共重合した溶融粘度が高いコポリエステル)として市販されている。
ポリエチレンナフタレートとしては、エチレン−2,6−ナフタレート繰り返し単位から主としてなるが、それ以外にも以下に示すような成分を20モル%を超えない範囲で共重合成分として含んでいても良い。かかる共重合の酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸があげられる。また、該共重合のジオール成分としては、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族のジオールがあげられる。かかる共重合成分の共重合量は好ましくは10モル%以下である。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、アクリロニトリルとスチレンとの共重合体であるAS樹脂、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとの共重合体であるABS樹脂、アクリロニトリルとEPDMとスチレンとの共重合体であるAES樹脂などがある。
ポリカーボネートとしては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカーボネート等が挙げられる。
ポリイミドは、例えば、ピロメリット酸二無水物を1〜80モル%、及び、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を99〜20モル%含む芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンである4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルを重縮合し、得られたポリアミック酸を脱水することにより製造される。
ポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジニトリル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)などが挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、炭素数2〜14のα−オレフィンと少なくとも1種の環状オレフィンとの共重合体が好ましい。炭素数2〜14のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラドデセン等が挙げられる。環状オレフィンとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプトー2エン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−デセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン誘導体、オクタシクロ[8.8.0.112.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13.6.02.7.09.14]−4−ヘキサデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−イコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−イコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−ウンデセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.14]−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ[4.7.0.112.5.08.13.19.12]−3−ペンタデセン誘導体及びノナシクロ[9.10.1.14.7.113.20.115.18.02.10.012.21.014.19]−5−ペンタコセン誘導体等を挙げることができる。α−オレフィンと上記の少なくとも1種の環状オレフィンとの重合方法としては、炭化水素溶媒(例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等)中で、例えばバナジウム化合物、有機アルミニウム化合物等の触媒を用いて行う方法が好ましいものとして例示できるが、特に制限はない。
また、形状記憶性樹脂(または形状記憶性樹脂組成物)は、ガラス繊維または炭素繊維を含有していることが好ましい。ガラス繊維または炭素繊維を含有させることにより、記憶形状への形状復元率が良好となる。さらには、このような繊維を添加することにより、回復時における熱膨張に起因する変形の発生を抑えることができ、回復後の寸法安定性も良好となる。
また、本発明において使用される形状記憶性樹脂は、形状記憶特性およびガラス転移温度に顕著な影響を与えない範囲で、無機フィラー、有機フィラー、補強材、着色剤、安定剤(ラジカル捕捉剤、酸化防止剤など)、抗菌剤、防かび剤、難燃剤などを、必要に応じて添加してもよい。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、タルク、砂、粘土、鉱滓などを使用できる。有機フィラーとしては、ポリアミド繊維や植物繊維などの有機繊維を使用できる。補強材としては、炭素繊維、ポリアミド繊維、ポリアリレート繊維、針状無機物、繊維状フッ素樹脂などを使用でき、上述したガラス繊維も補強材として機能する。
そして、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体としては、上述したようなナットに限定されるものではなく、各種の雌型締結体であってもよい。雌型締結体としては、頭部を持たないスタッドナット、ねじであってもよい。
次に、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の製造方法について説明する。
本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の製造方法は、上述した形状記憶性樹脂製雌型締結体の製造方法である。
本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の製造方法は、形状記憶性樹脂を射出成形することにより、雌ねじ部を持たないねじ穴を有する締結機能消失形態時(第2形態時)の形状を備える締結体基材を成形する工程と、形状記憶性樹脂性雌型締結体の形状回復温度以下の温度条件にて、締結体基材を外方より圧縮してねじ穴内径の縮径化もしくは変形化ならびにねじ穴内面への雌ねじ部の形成を行う塑性変形工程とを行うものである。
製造される形状記憶性樹脂製雌型締結体(ナット)は、上述したとおりである。
最初に、形状記憶性樹脂を射出成形することにより、雌型締結体基材を成形する。成形される雌型締結体基材は、最終的に製造される形状記憶性樹脂製雌型締結体より、内径、外径がともに大きいリング状のものであり、かつねじ穴を備えるもののねじ穴の内面に雌ねじ部を持たないものである。
そして、雌型締結体基材を外方より圧縮してねじ穴内径の縮径化もしくは変形化ならびにねじ穴内面への雌ねじ部を形成する塑性変形工程を行う。この工程は、締結体基材を構成する形状記憶性樹脂の損失正接ピーク温度以下の条件下にて行われる。
具体的には、雌型締結体基材のねじ穴内に、外面にねじ溝形成用の複数のリブを有する転造タップを挿入し、転造タップを挿入した状態にて、雌型締結体基材を外方よりプレスもしくは転造プレスする。これにより、雌型締結体基材は、外径および内径ともに縮径し、かつ、伸張する。そして、ねじ穴内には、ねじ溝が形成される。
そして、塑性変形工程における雌ねじ部の形成は、上述のように転造タップを用いて行うことが好ましい。また、塑性変形工程における締結体基材を外方より圧縮してねじ穴内径の縮径化もしくは変形化と前記雌ねじ部の形成は、同時に行うことが作業効率上で好ましい。しかし、塑性変形工程は、締結体基材を外方より圧縮することにより行うねじ穴内径の縮径化もしくは変形化工程と、縮径化もしくは変形化工程の後に、雌ねじ部の形成工程を行うものであってもよい。
は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の正面図である。 は、図に示した形状記憶性樹脂製雌型締結体の平面図である。 は、図のE−E線断面図である。 は、図のF−F線断面図である。 は、図に示した形状記憶性樹脂製雌型締結体の第2形態発現時の正面図である。 は、図のG−G線断面図である。 は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の第2形態発現時の断面図である。 は、図のH−H線断面図である。 は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の正面図である。 10は、図のI−I線断面図である。 11は、図のJ−J線断面図である。 12は、図に示した形状記憶性樹脂製雌型締結体の第2形態発現時の正面図である。 13は、図12のK−K線断面図である。 14は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の第2形態発現時の正面図である。 15は、図14のL−L線断面図である。 16は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の正面図である。 17は、図16のM−M線断面図である。 18は、図16のN−N線断面図である。 19は、図16に示した形状記憶性樹脂製雌型締結体の第2形態発現時の正面図である。 20は、図19のO−O線断面図である。 21は、本発明の形状記憶性樹脂製雌型締結体の他の実施例の正面図である。 22は、粘弾性測定による損失正接の算出過程を説明するための説明図である。
40 形状記憶性樹脂製雌型締結体(第1形態)
42 ねじ穴
43 雌ねじ部

Claims (10)

  1. ねじ穴の内面に形成された雌ねじ部を有する形状記憶性樹脂製雌型締結体であって、
    前記形状記憶性樹脂製雌型締結体は、前記ねじ穴に、向かい合うように2つもしくは該ねじ穴の中心軸に対してほぼ等角度となるよう設けられた複数の短径部と、前記短径部間に位置する複数の長径部と、少なくとも前記複数の短径部の内面に形成された前記雌ねじ部とを備える第1形態と、所定温度以上に加温されることにより発現する第2形態とを有するものであり、該第2形態では、前記ねじ穴は、前記短径部における半径より大きく、かつ、前記長径部における半径より小さい半径を有する円状となることを特徴とする形状記憶性樹脂製雌型締結体。
  2. 前記形状記憶性樹脂製雌型締結体は、前記第2形態では、前記雌ねじ部が実質的に消失するものである請求項に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
  3. 前記形状記憶性樹脂は、動的粘弾性測定における損失正接値のピークとなる第1の損失正接ピーク温度を有する第1の形状記憶性ポリマーと、前記第1の形状記憶性ポリマーと相溶性を有し、かつ動的粘弾性測定における損失正接値のピークが前記第1の損失正接ピーク温度よりも高い第2の損失正接ピーク温度を有する第2の形状記憶性ポリマーとの混合物からなるものである請求項1または2に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
  4. 前記形状記憶性樹脂は、非晶性ポリエチレンテレフタレートと、非晶性ポリエチレンナフタレート、低結晶性形状記憶ポリエチレンナフタレートもしくは半結晶性ポリエチレンナフタレートとの混合物である請求項に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
  5. 前記形状記憶性樹脂は、非晶性形状記憶性ポリマーである請求項1または2に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
  6. 前記非晶性形状記憶性ポリマーは、非晶性ポリエステル、非晶性スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリチオエーテル、非晶性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、非晶性オレフィン系樹脂、ポリフェニレンサルファイドからなる群より選択された少なくとも1種のものである請求項に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
  7. 前記形状記憶性樹脂は、非晶性ポリエチレンテレフタレート、非晶性ポリエチレンナフタレート、低結晶性形状記憶ポリエチレンナフタレートもしくは半結晶性ポリエチレンナフタレートのいずれかである請求項1または2に記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
  8. 前記雌型締結体は、ナットまたは袋ナットである請求項1ないしのいずれかに記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
  9. 前記第2形態となる前記所定温度は、50℃〜160℃である請求項1ないしのいずれかに記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
  10. 前記形状記憶性樹脂は、ガラス繊維もしくは炭素繊維を含有している請求項1ないしのいずれかに記載の形状記憶性樹脂製雌型締結体。
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