JP5141783B2 - 運転支援装置、車両及び車両運転支援方法 - Google Patents

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本発明は、車両の運転支援に関し、特に交差点で安全に車両を停止させ又は通過させる運転支援装置、該運転支援装置を搭載した車両及び車両運転支援方法に関する。
車両の安全運転支援には、走行中の車両を減速させて停止させる停止制御に関する技術、信号の切り替え時間を考慮したジレンマ制御に関する技術、車両の位置を検出する技術など多くの技術が適用されている。
例えば、交差点の上流に設置した通信装置から、その交差点の信号の切り替えタイミング情報及び交差点の停止線までの距離(あるいは停止線の位置情報)を車載装置で取得し、車両がジレンマゾーンに入っている場合に、ジレンマゾーンから脱出させるための限界走行速度を提供する安全速度提供方法が開示されている(特許文献1参照)。
一方、ナビゲーションで広く利用されている車両の位置を検出する方法として、自立航法、衛星航法、地図マッチング法、ハイブリッド航法などがある。自立航法は、距離センサ、方位センサ又は角速度センサなど用い、例えば、経緯度座標系を基にした直交座標系に対する車両の走行の方位角と単位時間当たりの走行距離に基づいて、逐次車両位置を算出するものであるが、道路との整合性は考慮されておらず、走行距離の増加に応じて車両位置の誤差が累積するという問題がある。
また、衛星航法は、GPS(Global Positioning System)を用いるものであり、検出される位置には、10〜20m程度の誤差を含む。GPSを用いるため、距離センサ、方位センサ又は角速度センサ等の車載のセンサは不要である。しかし、高架下の道路、建物に挟まれた道路、山道、街路樹等で覆われた道路では、所定数のGPS衛星から電波を受信することができず、検出精度が大きく劣化するという問題がある。
また、地図マッチング法は、自立航法による走行軌跡と道路地図との整合性(マッチング)を考慮して車両の位置を検出するものである。すなわち、自立航法による軌跡と、道路地図データとを比較して相関をとりながら、走行していると考えられる複数の道路候補の中から、最も確からしい道路を選定してゆく。そして、候補となる道路が1本に限定された時点で、自立航法により得られた車両の走行軌跡を道路に合致させる。しかし、限定した道路が間違っている場合、それ以降の位置検出が不能になるという問題がある。
また、ハイブリッド航法は、衛星航法と地図マッチング法とを組み合わせたものであり、自立航法と衛星航法の誤差を勘案しながら、合理的に車両の位置を推定し、走行している道路を特定するものである。ハイブリッド航法では、例えば、通常時には、地図マッチング法を用いて車両の位置を検出する。地図マッチング法で車両の位置が検出不能に陥った場合、衛星航法により車両の位置、方位を検出して車両の位置を推定し、道路地図データとの整合性を考慮して車両の位置を検出するものである。ハイブリッド航法を用いれば、特殊な場合を除けば、車両が走行している道路を間違う可能性は殆どなく、道路方向の位置精度も、平均的には10m程度の誤差範囲内であり、道路案内目的のナビゲーションという目的であれば、実用上殆ど問題ない精度レベルである。
特開2006−139707号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、ジレンマ領域又はオプション領域と称される領域を危険走行領域として扱っており、それら以外の領域、例えば、車両が交差点を通過することができる交差点通過領域、あるいは、車両が交差点手前で停止することができる交差点停止領域は、安全な走行領域であるとしている。一方で、車両の運転者は、交差点通過領域及び交差点停止領域を認識することができず、また、危険走行領域を回避する際に、自車両の周辺状況又は運転者の運転特性などの複合的な要因が考慮されていないため、自車両が交差点通過領域又は交差点停止領域に存在する場合でも、危険な状況に陥る可能性がある。
例えば、自車両が停止線を通過した直後に赤信号に切り替わる場合があり、自車両の運転者は、交差点の直前又は交差点内で減速又は急停止し、後続車両に追突される場合がある。また、交差点に対向する右折車両(対向右折車両)が存在するとき、自車両が中途半端な減速をしたために、対向右折車両の運転者は、自車両が交差点手前で停止するものと思い込んで右折して、自車両と接触事故又は衝突事故を起こす場合がある。
また、交差点に向かって走行する自車両が交差点近くに到達するまでの間、従来であれば安全と考えられていた交差点停止領域に存在する場合でも、青信号の終わり頃、あるいは、黄信号の切り替わり直後に、交差点を通過しようと加速する運転者もいれば、交差点の手前で停止すべく減速する運転者もいる。このような運転特性の異なる運転者が運転する車両が交差点に向かって走行する場合には、後方車両が速度を上げ過ぎて前方車両に接近して追突する事故、赤信号で交差点を通過しようとして交差側の車両と接触する事故などが発生する可能性が高くなる。このため、さらに安全かつ確実に危険な走行領域を回避するように走行制御又は情報提供を行う方法が望まれていた。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、危険な走行領域を確実に回避して交差点で安全に車両を停止させ又は通過させる運転支援装置、該運転支援装置を搭載した車両及び車両運転支援方法を提供することを目的とする。
第1発明に係る運転支援装置は、交差点に設置された信号機の信号情報を受信して車両の安全運転を支援する運転支援装置において、自車両の速度を取得する速度取得手段と、自車両と交差点の停止線との距離に関する距離情報を取得する距離情報取得手段と、自車両の停止線までの距離、自車両の速度及び信号情報に基づいて、自車両が停止線通過に関して規定される特定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、該判定手段で自車両が前記特定の状態にあると判定した場合、自車両を加減速するための情報を出力する出力手段と、自車両前方の対向右折車両に関する所定位置から停止線までの間の交差点内の地点を決定する決定手段と、該決定手段で決定した地点と自車両との距離及び自車両の速度に基づいて、自車両が前記地点に到達するまでの到達時間を算出する到達時間算出手段とを備え、前記判定手段は、前記到達時間算出手段で算出した到達時間が所定の範囲内にある場合、自車両が前記特定の状態にあると判定するように構成してあることを特徴とする。
発明に係る運転支援装置は、第1発明において、前記出力手段で出力する情報に基づいて、自車両の加減速を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
発明に係る運転支援装置は、第1発明又は第2発明において、前記出力手段で出力する情報に基づいて、自車両の加減速を報知する報知手段を備えることを特徴とする。
発明に係る車両は、第1発明乃至第発明のいずれか1つに係る運転支援装置を搭載してあることを特徴とする。
発明に係る運転支援方法は、交差点に設置された信号機の信号情報を受信して車両の安全運転を支援する運転支援装置による運転支援方法において、自車両の速度を取得するステップと、自車両と交差点の停止線との距離に関する距離情報を取得するステップと、自車両の停止線までの距離、自車両の速度及び信号情報に基づいて、自車両が停止線通過に関して規定される特定の状態にあるか否かを判定するステップと、自車両が前記特定の状態にあると判定された場合、自車両を加減速するための情報を出力するステップと、自車両前方の対向右折車両に関する所定位置から停止線までの間の交差点内の地点を決定するステップと、決定された地点と自車両との距離及び自車両の速度に基づいて、自車両が前記地点に到達するまでの到達時間を算出するステップとを含み、前記判定するステップは、算出された到達時間が所定の範囲内にある場合、自車両が前記特定の状態にあると判定することを特徴とする。
第1発明及び第発明にあっては、運転支援装置は、自車両の速度情報(速度)及び自車両と交差点の停止線との距離に関する情報を取得し、例えば、停止線及び自車両の位置情報に基づいて、停止線までの距離を算出する。この場合、自車両と停止線との距離に関する情報は、自車両と停止線との距離でもよく、あるいは、自車両及び停止線の位置であってもよい。運転支援装置は、自車両の停止線までの距離、自車両の速度及び信号情報に基づいて、自車両が停止線通過に関して規定される特定の状態(以下、特定状態という。)にあるか否かを判定する。特定状態とは、自車両の停止線までの距離、自車両の速度及び信号情報に基づいて、自車両が停止線の手前に停止するための停止条件及び停止線に進入するための進入条件により画定される交差点通過領域又は交差点進入領域であって危険な走行状況となり得る領域にある状態である。なお、特定状態にあるか否かの判定タイミングは、適宜設定することができ、例えば、停止線から所定の距離(例えば、200m程度)になった地点、黄信号に切り替わるまでの時間が所定の時間(例えば、5〜10秒)になった時点などとすることができる。また、特定状態にあるか否かの判定は、例えば、自車両の速度及び黄信号開始時点での停止線までの距離で示される状態量により判定することができる。
例えば、自車両が交差点通過領域に存在する(赤信号に切り替わるまでに停止線を通過できる)場合であっても、交差点内に対向右折車両が存在するときに、自車両が対向右折車両の横を通過する時点で、すでに赤信号に切り替わった後となることがある。このような走行状況では、対向右折車両の運転者は、自車両(直進車両)が停止線の手前で停止するのではないか、あるいは、自車両が停止しようとしているのではないかと誤認し、同時に早く右折して交差点から抜け出したいという感情を有するため、右折して自車両と衝突又は接触する危険性がある。特に、自車両が停止線を通過した後に赤信号に切り替わるまでの時間が短いほど自車両が対向右折車両の横を通過する時点での赤信号経過時間が長くなり危険性が増大する。すなわち、赤信号に切り替わった時点で(赤信号時に)自車両が停止線から対向右折車両の停止位置(例えば、交差点中央付近)までの交差点内の地点を通過している場合には、危険な走行状態にあり、この走行状態(特定状態)を示す領域を対向危険走行領域と称する。
また、自車両が交差点停止領域に存在する(赤信号に切り替わるまでに停止線の手前で停止できる)場合であっても、停止線の手前で停止すべく減速する運転者だけではなく、停止線を通過しようと黄信号の切り替わり前後に加速し、速い速度で停止線付近を赤信号で通過する運転者もいれば、減速すれば安全に停止線の手前で停止することができるのに、減速せずに現状の速度のまま赤信号で停止線を通過してしまう運転者もいる。このような運転特性の異なる運転者が運転する車両が交差点に向かって走行する場合には、後方車両が速度を上げ過ぎて前方車両に接近して追突する事故、赤信号で交差点を通過しようとして交差側の車両と接触する事故などが発生する可能性が高くなる。すなわち、赤信号に切り替わった時点で(赤信号時に)自車両が停止線付近を通過している場合には、危険な走行状態にあり、この走行状態(特定状態)を示す領域を錯綜危険走行領域と称する。
運転支援装置は、特定状態にあると判定した場合、自車両を加減速するための情報を出力する。すなわち、運転支援装置は、ジレンマ領域及びオプション領域のみならず、対向危険走行領域又は錯綜危険走行領域を回避するために、例えば、車両を交差点に停止させる場合には、車両を緩やかな減速度で減速するための情報を提供(出力)し、あるいは、車両を交差点に進入させる場合(交差点を通過させる場合)には、車両を緩やかな加速度で加速するための情報を提供(出力)する。これにより、周辺車両の状況又は運転者の運転特性などの複合的な要因による危険な走行状態を確実に回避して交差点で安全に車両を停止させ又は通過させることができる。
そして、運転支援装置は、自車両前方の対向右折車両に関する所定位置(例えば、交差点中央付近の右折車両が停止する位置)から停止線までの間の交差点内の地点を決定する。運転支援装置は、自車両と決定した地点との距離及び自車両の速度に基づいて、自車両が交差点内の地点に到達するまでの到達時間(ギャップ時間)を算出し、算出した到達時間が所定の範囲内にある場合、自車両が特定状態にあると判定する。交差点内の地点を対向右折車両の停止位置とした場合、到達時間は、対向右折車両の運転者から見れば、自車両(直進車両)が到達するまでの時間である。対向右折車両の運転者は、到達時間が短い(例えば、3秒以下)場合には、自車両(直進車両)が通過するまで待機して右折を待ち、到達時間が長い(例えば、7.5秒以上)場合には、自車両が近づく前に右折することができる。すなわち、到達時間が所定の範囲内(例えば、3秒〜7.5秒)にある場合、危険な走行状態(対向危険走行領域にある状態)にあると判定することができ、自車両と対向右折車両との接触事故又は衝突事故を防止することができる。
発明にあっては、運転支援装置は、加減速するために出力する情報に基づいて、自車両の加減速を制御する。すなわち、運転支援装置は、上述の対向危険走行領域又は錯綜危険走行領域で示す走行状態にある場合、この走行状態を回避するために、例えば、自車両を交差点に停止させる場合には、自車両を緩やかな減速度で減速し、あるいは、自車両を交差点に進入させる場合(交差点を通過させる場合)には、自車両を緩やかな加速度で加速する。これにより、危険な走行状態を回避して交差点で安全に車両を停止させ又は通過させることができる。なお、自車両がジレンマ領域又はオプション領域で示される走行状態にある場合についても、同様に回避のための加減速制御を行うことができる。
発明にあっては、運転支援装置は、加減速するために出力する情報に基づいて、自車両の加減速を報知する。すなわち、運転支援装置は、上述の対向危険走行領域又は錯綜危険走行領域で示す走行状態にある場合、この走行状態を回避するために、例えば、自車両を交差点に停止させる場合には、自車両が緩やかな減速度で減速すること又は減速指示を運転者に報知し、あるいは、自車両を交差点に進入させる場合(交差点を通過させる場合)には、自車両が緩やかな加速度で加速すること又は加速指示を運転者に報知する。これにより、運転者に危険な走行状態を回避することを確実に伝えることができ、運転者が不意な操作を行うことを防止して確実に危険な走行状態を回避することができる。また、運転者が指示に基づいて運転操作することで、危険な走行状態を回避して交差点で安全に車両を停止させ又は通過させることができる。
発明にあっては、車両は前述の運転支援装置を備えるため、車両の運転支援を行うことができる。
本発明にあっては、危険な走行状態を確実に回避して交差点で安全に車両を停止させ又は通過させることができる。
本発明に係る車両運転支援システムの概要を示す模式図である。 車載装置の構成を示すブロック図である。 ジレンマ領域及びオプション領域の概念を示す説明図である。 交差点に対向右折車両が存在する場合の走行状況の一例を示す模式図である。 対向危険走行領域の一例を示す説明図である。 対向危険走行領域の他の例を示す説明図である。 対向危険走行領域の他の例を示す説明図である。 交差点に対向右折車両が存在しない場合の走行状況の一例を示す模式図である。 交差点に対向右折車両が存在しない場合の走行状況の他の例を示す模式図である。 錯綜危険走行領域の一例を示す説明図である。 錯綜危険走行領域の他の例を示す説明図である。 錯綜危険走行領域の他の例を示す説明図である。 危険走行領域回避の処理手順を示すフローチャートである。 危険走行領域回避の処理手順を示すフローチャートである。 危険走行領域回避の処理手順を示すフローチャートである。 危険走行領域回避の処理手順を示すフローチャートである。 危険走行領域を回避して減速制御する場合の走行軌跡の一例を示す説明図である。 停止条件Cで示す曲線上の目標速度の算出例を示す説明図である。 危険走行領域を回避して停止制御する場合の走行軌跡の他の例を示す説明図である。 危険走行領域を回避して停止制御する場合の走行軌跡の他の例を示す説明図である。 危険走行領域を回避して加速制御する場合の走行軌跡の一例を示す説明図である。 本発明に係る車両運転支援システムの概要の他の例を示す模式図である。 本発明に係る車両運転支援システムの概要の他の例を示す模式図である。
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る車両運転支援システムの概要を示す模式図である。本発明に係る車両運転支援システムでは、信号機が設置された交差点手前に停止線を設けてあり、停止線から道路に沿って適長の離隔距離(例えば、200m)を有して路上装置21、22を設置してある。また、路上装置21の上流側(例えば、路上装置21から上流300m程度)に、光ビーコン10を設置している。
路上装置21、22は、例えば、超音波感知器、ICタグ、磁気ネール、光センサ等であり、電波、音波、光、磁気などをセンシングすることにより交信地点を特定することができるものである。路上装置21、22は、道路上に車載装置(運転支援装置)との交信領域を有する。車両が交信領域を通過する際に、車載装置は、路上装置21、22から交信領域を通過することを示す信号を受信する。なお、路上装置21、22は、車載装置との間で一方向通信を行うものでも双方向通信を行うものでもよい。また、路上装置21、22は、通信を目的としたものでなく、単に計測のための信号を発するだけでもよい。
光ビーコン10は、道路上に車載装置との通信領域を有する。車両が通信領域を通過する際に、車載装置は、光ビーコン10から所定の情報を受信する。所定の情報は、例えば、通信地点の位置情報、停止線の位置情報(例えば、停止線までの距離、停止線の絶対位置など)、路上装置21、22の位置情報(例えば、停止線から交信領域までの距離、交信領域の絶対位置など)、交差点情報(例えば、交差点内の対向右折車両の停止位置、交差点の長さ又は交差側道路の道路幅、時間帯等による交差点の対向右折車両に関する情報、例えば、統計的に対向右折車両が多い交差点であるか否かの情報、対向右折車両の統計的な台数等、交差点に向かって走行した多数の車両に関して黄信号又は赤信号で停止線を通過したか又は停止線の手前で停止したかの別を車両の黄信号開始時点の速度に関連付けたデータなど)、信号機の信号情報(例えば、黄信号開始時点、黄信号時間、赤信号時間など)などである。なお、光ビーコン10に代えて、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)などを用いることもできる。
車両が交差点に向かって道路を走行する場合、車載装置は、光ビーコン10との通信により、所定の情報を取得する。例えば、車載装置は、この時点で停止線までの距離が、例えば、700mであることを確認することができる。また、車載装置は、車両が交差点に向かって道路をさらに走行し、車載装置が路上装置21と交信することにより、車載装置は、自車両の位置が停止線から400mの地点にあることを確認することができる。すなわち、車載装置は、停止線までの距離を補正することができる。また、車載装置が路上装置22と交信した場合も同様である。これにより、車載装置は、交差点の上流地点で、予め停止線までの距離を精度良く把握しておくことができる。
その後、車載装置は、停止線(交差点)までの距離、自車両の速度、交差点に設置された信号機の信号情報及び所定の標準減速度などに基づいて、自車両が黄信号開始時点で交差点の手前に停止する停止条件及び黄信号の終了時点で交差点に進入する進入条件を算出する。標準減速度は、あくまで車両の速度変化を示すものであり、制動操作の操作内容又は操作のタイミングとは無関係である。標準減速度は、例えば、黄信号に変わって車両の制動を開始する場合など、停止判断時点から反射反応(0.5秒)より十分長い時間(例えば、2秒以上)を経過してから減速操作を行うときにみられる減速度を意味している。つまり、急ブレーキをかけずに余裕のある停止を目的とするときにみられる減速度を意味している。一般的には、標準減速度は、平地乾燥路面で、およそ2〜3m/s2 である。
車載装置は、自車両の停止線までの距離、自車両の速度及び信号情報に基づいて、算出した停止条件及び進入条件で画定される交差点通過領域又は交差点進入領域であって、赤信号時に危険な走行状態となる所定の特定状態(後述の対向危険走行領域又は錯綜危険走行領域にある状態)にあるか否かを判定する。なお、特定状態にあるか否かの判定タイミングは、適宜設定することができ、例えば、停止線から所定の距離(例えば、200m程度)になった地点、黄信号に切り替わるまでの時間が所定の時間(例えば、5〜10秒)になった時点などとすることができる。また、特定状態にあるか否かの判定は、例えば、自車両の速度及び黄信号開始時点での停止線までの距離で示される状態量により判定することができる。なお、車載装置は、自車両がジレンマ領域又はオプション領域で示される走行状態にあるか否かの判定も併せて行うことができる。
車載装置は、危険な走行状態(特定状態)にあると判定した場合、危険な走行状態を回避するために、例えば、車両を停止線に停止させる場合には、車両を緩やかな減速度で減速するための処理を行い、あるいは、車両を交差点に進入させる場合(交差点を通過させる場合)には、車両を緩やかな加速度で加速するための処理を行う。
図2は車載装置30の構成を示すブロック図である。車載装置30には、車両に搭載されたビデオカメラ40を接続してある。ビデオカメラ40は、例えば、車両のフロントグリル、前部バンパなどに配置され、車両前方の道路を撮像できるようにしてある。また、車載装置30には、車両の走行状態を制御する車両制御部50を接続してある。車載装置30が出力する制御信号に応じて、車両制御部50は、所要の加減速度で車両を加減速させる。また、車載装置30には、自車両の前方、及び後方に他の車両が存在するか否かを検出するための超音波センサ60を接続してある。なお、超音波センサ60に代えて、ミリ波レーダ等他の車載センサを用いることもできる。
車載装置30は、各種の演算処理を行うCPUからなり、後述する制御周期を計時するための時計を内蔵する制御部31を備える。制御部31は、自車両が危険な走行状態にあるか否かの判定処理等を行う。なお、制御部31は、専用のハードウエア回路で構成してもよく、又は予め処理手順を定めたコンピュータプログラムを実行する構成であってもよい。制御部31には、内部バスを介して通信部32、測位部33、地図データベース34、表示部35、画像処理部36、操作部37、記憶部38、報知部39などが接続されている。測位部33は、GPS(Global Positioning System)331、車速センサ332、ジャイロセンサ333、走行距離を計測する距離計334などを備えている。また、車載装置30は、専用装置のみならず、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯電話など、取り外して地上でも別の目的などに利用でき、持ち運び可能な汎用性のある装置に上述の各部の機能を備えるようにして構成することもできる。
通信部32は、光ビーコン10との間で路車間通信を行う通信機能を有する。なお、通信部32は、光ビーコン、電波ビーコン、DSRCなどの狭域通信に限定されるものではなく、例えば、中域通信としてUHF帯又はVHF帯等の無線LAN機能を備えるものでもよく、あるいは、広域通信として携帯電話、PHS、多重FM放送、インターネット通信などの通信機能を備えるものでもよい。また、通信部32は、路上装置21、22が送信する信号を受信する受信機能を備えている。
測位部33は、複数のGPS衛星からの電波をGPS331で受け取り、自車の位置を時々刻々測位する。また、測位部33は、GPS衛星からの電波が届かない場所、あるいはGPS331により測位される位置の誤差を小さくするため、車速センサ332、ジャイロセンサ333から出力される信号に基づいて自車位置を推定し、地図データベース34の道路データと照合することにより自車の位置をさらに精度良く測位する。なお、GPS331に加えて、DGPS(ディファレンシャルGPS)を搭載することもできる。DGPSは、予め位置が分かっている基準局から発信されるFM放送又は中波を受信し、GPSで算出した位置のずれを補正することができ、自車の位置の精度を向上させることができる。
表示部35は、フロントガラスディスプレイ又はヘッドアップディスプレイ、あるいは、カーナビゲーションシステム又は後方監視モニタなどの液晶表示パネルであって、運転者に所要の情報を表示する。
画像処理部36は、制御部31から画像処理開始の信号を受け付けた場合、ビデオカメラ40で道路を撮像して得られた撮像画像に基づいて、停止線を検出するための処理を行う。以下、撮像画像に基づいて停止線の位置を検出する方法について説明する。
ビデオカメラ40のレンズ中心を原点として、道路座標系を(X、Y、Z)、カメラ座標系を(X’、Y’、Z’)とし、道路座標系は、道路の進行方向をY軸(前方向を正)、道路方向と垂直な道路面上の方向をX軸(前方に向かって右方向を正)、路面と垂直な方向をZ(上方を正)とする。また、カメラ座標系は、カメラレンズの光軸をY’軸、光軸に垂直であって水平方向の軸をX’軸、カメラの上方向をZ’軸とする。さらに、カメラ座標系の各軸の道路座標系の各軸に対する回転角を、それぞれθ(ピッチ角)、φ(ロール角)、ψ(ヨー角)とし、全て右ねじの進む方向を正(θ:水平面より上向きが正、φ:右回りが正、ψ:左回りが正)とする。この場合、道路座標系からカメラ座標系の変換式は、式(1)で表すことができる。
Figure 0005141783
変換行列の係数P11〜P33それぞれは、式(2)で表すことができる。また、撮像画像上の座標(x、y)は、レンズの焦点距離をFとすると、式(3)で表すことができる。
停止線の有無の判定は、撮像画像の各画素の画素値に基づいて、エッジ点を抽出し、抽出したエッジ点より得られるエッジ画像と停止線の形状とのパターンマッチングを行うことにより判定することができる。切り出された停止線が撮像画像のy軸と交わる点のy座標を求め(この場合x=0)、求めたy座標を式(3)に代入すれば、停止線までの距離を精度良く算出することができる。
操作部37は、各種操作パネルを備え、運転者と車載装置30とのユーザインタフェースとして機能する。例えば、操作部37は、運転者の操作により車載装置30の動作の開始又は停止の操作を受け付ける。
報知部39は、スピーカを備え、制御部31の制御のもと、運転者に警告する場合、警告の内容を音声で出力する。例えば、車両が後述する危険な走行領域にある場合、危険な走行領域を回避すべく自動速度制御を行う(自動速度制御モードに入る)旨を出力する。また、車両を交差点に停止させるために減速させる場合、あるいは交差点に進入(通過)させるため加速させる場合、その旨を出力する。
記憶部38は、通信部32を通じて受信された所定の情報を記憶する。
図3はジレンマ領域及びオプション領域の概念を示す説明図である。図中、横軸は位置(例えば、停止線からの距離)を示し、縦軸は車両の速度を示す。ジレンマ領域及びオプション領域は、車両が危険な走行状態であることを車両の速度と停止線までの距離とにより表すことができる領域である。ジレンマ領域は、車両が黄信号表示後に停止しようとしても停止線(交差点)の手前に停止できず、かつ黄信号の終了時点までに停止線に進入できない状態であり安全に停止又は進入できない状態である。また、オプション領域は、車両が黄信号表示後に停止しようとして停止線の手前に停止でき、かつ黄信号の終了時点までに停止線に進入できる状態であり、運転者の特性により車両が停止するのか又は進入するのかが異なる不安定な状態である。
図3において、停止線を基準とした車両の現在位置をX、現在速度をV、黄信号開始となるまでの時間をt(0<t<信号周期)とする。黄信号開始時刻での車両の位置Xyは、車両の速度が変化しないとすれば(Vy=V)、式(4)で求められる。式(4)は、現在の車両の走行状態に基づいた判定条件Eである。
Figure 0005141783
一方、車両が停止線の手前で安全に停止し、信号待ちになる停止条件Cは、式(5)で求められる。ここで、gは、車両の標準減速度であり、αは黄信号になってから運転者がブレーキを踏むまでの時間遅れである。すなわち、停止条件Cは、黄信号開始時に車両が標準減速度で減速したならば、車両が停止線で停止することができる車両の速度と停止線までの距離の限界を示す曲線である。
車両が黄信号の終了時点で停止線に進入し、信号待ちに会わない進入条件Lは、式(6)で求められる。ここで、Tyは黄信号時間である。すなわち、進入条件Lは、車両が走行中に黄信号になった場合、その黄信号時間内(赤信号になる前)に停止線まで到達することができる車両の速度と停止線までの距離の限界を示す直線である。
ジレンマ領域は、式(5)及び式(6)の両者とも満足しない領域であり、オプション領域は、式(5)及び式(6)の両者とも満足する領域である。車載装置30は、車両が黄信号開始時点で危険走行領域(ジレンマ領域及びオプション領域)に突入する可能性がある場合、危険走行領域に陥らないように回避すべく、車両を加速又は減速する制御を所定時間(制御周期)の経過の都度繰り返し行う。制御周期の計時は、例えば、制御部31で行うことができる。例えば、判定条件Eにより求められた黄信号開始時点の車両の状態(Xy、Vy)が停止条件Cに近い場合には、現時点の速度が点Pで特定される停止限界速度になるように緩やかな減速度による減速制御を行う。また、判定条件Eにより求められた黄信号開始時点の車両の状態(Xy、Vy)が進入条件Lに近い場合には、現時点の速度が点Qで特定される進入限界速度になるように緩やかな加速度による加速制御を行う。
図3において、ジレンマ領域及びオプション領域の下側の領域は交差点停止領域と称され、従来、停止線手前に安全に停止することができると考えられていた領域である。ジレンマ領域及びオプション領域の上側の領域は交差点通過領域と称され、従来、安全に停止線に進入(通過)することができると考えられていた領域である。しかしながら、車両の運転者は、自車両が交差点通過領域にあるのか、あるいは、交差点停止領域にあるのかを認識することができず、自車両の周辺状況又は運転者の運転特性などの複合的な要因によっては、自車両が交差点通過領域又は交差点停止領域に存在する場合でも、危険な走行状態に陥る可能性がある。以下、そのような危険な走行状態について説明する。
図4は交差点に対向右折車両が存在する場合の走行状況の一例を示す模式図である。図4に示すように、自車両が交差点に向かって走行しており、交差点の中央部には、先頭の対向右折車両が停止している。先頭の対向右折車両の停止位置から停止線までの距離をRとし、先頭の対向右折車両の停止位置から停止線までの間の任意の位置を交差点内の地点とする。図4の例では、交差点内の地点が先頭の対向右折車両の停止位置となっている。また、停止線と交差側道路の手前側の端との距離をR0とする。
図4に示す状況において、自車両が交差点通過領域に存在する(赤信号に切り替わるまでに停止線を通過できる)場合でも、自車両が先頭の対向右折車両の横を通過する時点では、すでに赤信号に切り替わった後である。このような走行状況では、対向右折車両の運転者は、自車両(直進車両)が停止線の手前で停止するのではないか、あるいは、自車両が停止しようとしているのではないかと誤認し、同時に早く右折して交差点から抜け出したいという感情を有するため、右折して自車両と衝突又は接触する危険性がある。特に、自車両が停止線を通過した後に赤信号に切り替わるまでの時間が短いほど自車両が対向右折車両の横を通過する時点での赤信号経過時間が長くなり危険性が増大する。例えば、自車両が距離R0で示す範囲内に存在する場合に、赤信号に切り替わったときが最も危険であるといえる。すなわち、赤信号に切り替わった時点で(赤信号時に)自車両が停止線から先頭の対向右折車両の停止位置までの交差点内の地点を通過している場合には、危険な走行状態にある。別言すれば、危険な走行状態とは車両が交差点通過領域にあって、かつ赤信号時の車両の位置により特定される走行状態であり、この走行状態(特定状態)を示す領域を対向危険走行領域と称する。以下、対向危険走行領域について説明する。
図5は対向危険走行領域の一例を示す説明図である。図中、横軸は位置(例えば、停止線位置を基準とした距離)を示し、縦軸は車両の速度を示す。図5に示すように、対向危険走行領域は、停止条件C及び進入条件Lにより画定される交差点通過領域内であり、かつ、地点進入条件L1を充足しない領域である。ここで、地点進入条件L1は、赤信号開始時点で自車両が先頭の対向右折車両の停止位置(交差点内の地点)を通過できるか否かを示す条件であり、赤信号開始時点で自車両が先頭の対向右折車両の停止位置(交差点内の地点)を通過できるとき、地点進入条件L1を充足し、赤信号開始時点で自車両が先頭の対向右折車両の停止位置(交差点内の地点)を通過できないとき、地点進入条件L1を充足しない。
すなわち、自車両が赤信号時に停止線から先頭の対向右折車両の停止位置までの間の位置にある場合、地点進入条件L1を充足しない。これにより、制御部31は、赤信号に切り替わった時点で自車両が停止線から対向右折車両の停止位置までの交差点内の地点にいる場合には、危険な走行状態(対向危険走行領域にある状態)にあると判定することができ、自車両と対向右折車両との接触事故又は衝突事故を防止することができる。
図6は対向危険走行領域の他の例を示す説明図である。図中、横軸は位置(例えば、停止線位置を基準とした距離)を示し、縦軸は車両の速度を示す。図6の例は、自車両の速度に応じて、交差点内の地点を変更する場合である。すなわち、制御部31は、自車両の速度に応じて、停止線から先頭の対向右折車両の停止位置までの間の交差点内の地点を決定する。例えば、自車両の速度が比較的速い(速度V1)場合、対向右折車両の運転者は、直進車両が通過するのを待って右折する傾向があるため、自車両と接触事故又は衝突事故を起こす可能性が低くなる。このため、交差点内の地点を停止線に近づけ、例えば、交差点内の地点と停止線との距離をR1とする。
一方、自車両の速度が比較的遅い(速度V3、V3<V1)場合には、対向右折車両の運転者は、自車両(直進車両)が停止線の手前で停止するのではないかと誤認し、無理に右折しようとして自車両と接触事故又は衝突事故を起こす可能性が高くなる。そこで、自車両の速度が遅いほど、赤信号開始時点で自車両が通過できる位置を先頭の対向右折車両の停止位置に近づけ、例えば、交差点内の地点と停止線との距離をR3(R3>R1)とする。
また、自車両の速度が中程度(速度V2、V3<V2<V1)である場合、交差点内の地点と停止線との距離をR2(R3>R2>R1)とする。地点進入条件L2は、速度V1に対応する点Q1の停止線からの距離がR1、速度V2に対応する点Q2の停止線からの距離がR2、速度V3に対応する点Q3の停止線からの距離がR3、となるような点Q1、Q2、Q3を結んだ直線で表わすことができる。なお、地点進入条件L2で示される直線の横軸との交点は、停止線からの距離がRの位置である。対向危険走行領域は、停止条件C及び進入条件Lにより画定される交差点通過領域内であり、かつ、地点進入条件L2を充足しない領域である。これにより、自車両の速度に関わらず、自車両と対向右折車両との接触事故又は衝突事故を防止することができる。なお、車両の速度の上限を予め定めておき、車両の速度が上限値において、停止線からの距離Rを0としてもよい。
なお、対向右折車両の位置情報に基づいて交差点内の地点を決定することもできる。対向右折車両の位置情報は、例えば、車車間通信により対向右折車両から直接取得してもよく、あるいは、対向右折車両を車両感知器等で感知し、感知して得られた位置情報を取得するようにしてもよい。これにより、実際の対向右折車両の状況に応じて交差点内の地点を精度よく決定することができる。この場合において、さらに自車両の速度を考慮して交差点内の地点を決定してもよい。
図7は対向危険走行領域の他の例を示す説明図である。図中、横軸は位置(例えば、交差点内の地点からの距離)を示し、縦軸は車両の速度を示す。図7の例は、ギャップ時間という考え方を用いたものである。制御部31は、停止線から先頭の対向右折車両の停止位置までの間の交差点内の地点を決定し、自車両と決定した地点との距離及び自車両の速度に基づいて、自車両が交差点内の地点に到達するまでのギャップ時間(到達時間)を算出する。制御部31は、算出したギャップ時間が所定の範囲内にある場合、自車両が対向危険走行領域にあると判定する。
交差点内の地点を先頭の対向右折車両の停止位置とした場合、ギャップ時間は、対向右折車両の運転者から見れば、自車両(直進車両)が到達するまでの時間である。対向右折車両の運転者は、到達時間が短い(例えば、3秒以下)場合には、自車両(直進車両)が通過するまで待機して右折を待ち、到達時間が長い(例えば、7.5秒以上)場合には、自車両が近づく前に右折することができる。
図7において、例えば、先頭の対向右折車両の停止位置と停止線との距離が8m、黄信号時間が4秒、平均減速度が0.2g(gは車両の標準減速度)、反応遅れ時間を0.5秒とした場合、右折車両進入ギャップ条件G1は、ギャップ時間が3秒のときを示し、右折車両進入ギャップ条件G2は、ギャップ時間が7.5秒のときを示す。対向危険走行領域は、右折車両進入ギャップ条件G1及び右折車両進入ギャップ条件G2で挟まれる領域である。すなわち、制御部31は、ギャップ時間が所定の範囲内(例えば、3秒〜7.5秒)にある場合、危険な走行状態(対向危険走行領域にある状態)にあると判定することができ、これにより、自車両と対向右折車両との接触事故又は衝突事故を防止することができる。なお、ギャップ時間は、自車両の位置を速度との関係において換算したものといえるので、この場合も、危険な走行状態は、赤信号時の車両の位置として特定することができる。
図8は交差点に対向右折車両が存在しない場合の走行状況の一例を示す模式図である。図8に示す状況において、自車両が交差点停止領域に存在する(赤信号に切り替わるまでに停止線の手前で停止できる)場合であっても、停止線の手前で停止すべく減速する運転者だけではなく、停止線を通過しようと黄信号の切り替わり前後に加速し、速い速度で停止線付近を赤信号で通過する運転者もいる。例えば、図8に示すように、加速前に速度V1で走行した自車両が、黄信号開始又は黄信号開始前後において加速を始め、黄信号中に加速し、赤信号時に停止線を速度V2(V2>V1)で通過する。このような運転特性の異なる運転者が運転する車両が交差点に向かって走行する場合には、後方車両が速度を上げ過ぎて前方車両に接近して追突する事故、赤信号で交差点を通過しようとして交差側の車両と接触する事故などが発生する可能性が高くなる。すなわち、赤信号に切り替わった時点で(赤信号時に)自車両が停止線付近を通過している場合には、危険な走行状態にある。別言すれば、危険な走行状態とは車両が交差点停止領域にあって、かつ赤信号時の車両の位置により特定される走行状態であり、この走行状態(特定状態)を示す領域を錯綜危険走行領域と称する。
図9は交差点に対向右折車両が存在しない場合の走行状況の他の例を示す模式図である。図9に示す状況において、自車両が交差点停止領域に存在する(赤信号に切り替わるまでに停止線の手前で停止できる)場合であっても、停止線の手前で停止すべく減速する運転者だけではなく、減速すれば安全に停止線の手前で停止することができるのに、減速せずに現状の速度のまま赤信号で停止線を通過してしまう運転者もいる。例えば、図9に示すように、赤信号開始時点で交差点の手前を走行している自車両が、速度を下げずにそのまま走行を続け、赤信号開始t秒後に停止線を通過する。このような運転特性の異なる運転者が運転する車両が交差点に向かって走行する場合には、赤信号で交差点を通過しようとして交差側の車両と接触する事故などが発生する可能性が高くなる。すなわち、赤信号に切り替わった時点で(赤信号時に)自車両が停止線付近を通過している場合には、危険な走行状態にあり、この走行状態(特定状態)を示す領域を錯綜危険走行領域と称する。以下、錯綜危険走行領域について説明する。
図10は錯綜危険走行領域の一例を示す説明図である。図中、横軸は位置(例えば、停止線からの距離)を示し、縦軸は車両の速度を示す。図10において、○は交差点停止領域にあって、黄信号又は赤信号で停止線の手前で停止した車両を示し、×は交差点停止領域にあって、黄信号又は赤信号で停止線を通過した車両を示す。また、図中での○及び×の位置は、黄信号開始時点の停止線からの距離及び速度で表わされる車両の状態量を示す。予め多数の車両のプローブデータ(例えば、少なくとも時刻毎の車両の位置と速度とを含む情報)などを収集することにより、図10で示すような車両の状態量の分布を得ることができる。
錯綜危険走行領域は、黄信号又は赤信号で停止線の手前で停止した車両と、黄信号又は赤信号で停止線を通過した車両とが混在する領域とすることができる。多数の車両のデータを用いることにより、運転者の運転特性を十分に反映した錯綜危険走行領域を特定することができる。なお、錯綜危険走行領域を車両の位置と速度とで示す場合に、図10の例では、錯綜危険走行領域を楕円形状に表示しているが、形状はこれに限定されるものではなく、円形、矩形状、多角形状でもよい。以下、図10の錯綜危険走行領域の求め方について説明する。
まず、方法1について説明する。図10において、横軸を固定して、X〜X+ΔXの範囲内(全てのV)の交差点停止領域のデータを調査する。ΔXは適宜設定すればよい。各データ数が閾値Tk1より多くない場合には、混在領域はないものとする。次に、上記範囲内の×の通過車両の速度Vの平均値m1、標準偏差σ1と、○の停止車両の速度Vの平均値m2、標準偏差σ2を算出する。仮に、m1−n・σ1>m2+n・σ2であれば混在しないとする。また、仮に、m1−n・σ1≦m2+n・σ2であれば混在するとして、上記範囲内の錯綜危険走行領域のVの範囲は、m1−n・σ1≦V≦m2+n・σ2とする。ここで、nは、例えば1又は2である。全てのXに対して上記処理を行い、それらを結合したものを錯綜危険走行領域とする。
次に方法2について説明する。図10において、X〜X+ΔXの範囲内で、交差点停止領域内の速度の微小範囲V〜V+ΔVに、×の通過車両の数、○の停止車両の数がいずれも所定の閾値Tk2より多いか否かを調査し、両者の車両の数がいずれも閾値Tk2より多い場合、混在する領域の候補であるとして危険走行領域候補とする。上述の処理を上記X〜X+ΔXの範囲内の交差点停止領域内の全ての速度Vに対して行う。危険走行領域候補の区画が閾値Tk3以上連続(隣接)する領域のうち、最も大きい領域を危険走行領域とする。次に、全てのXに対して上記処理を行い、それらを結合したものを錯綜危険走行領域とする。
次に方法3について説明する。図10において、横軸を固定して、X〜X+ΔXの範囲内(全てのV)の交差点停止領域のデータを調査する。各データ数が閾値Tk1より多くない場合には、混在領域はないものとする。次に、上記範囲内の×の通過車両の速度Vの平均値m1、標準偏差σ1と、○の停止車両の速度Vの平均値m2、標準偏差σ2を算出する。×の通過車両の速度V、○の停止車両の速度Vが、それぞれ正規分布N(m1、σ1)、N(m2、σ2)に従うものとして、V≦V0での通過車両の確率と、V≧V0での停止車両の確率が一致するV0を、正規分布表又は確率密度関数の積分等により算出する。仮に、一致するV0が存在し、かつ、上記確率が閾値Tpより大きい場合、V0−d≦V≦V0+dを混在する危険走行領域であるとする。ここでdは定数である。次に、すべてのXに対して上記処理を行い、それらを結合したものを錯綜危険走行領域とする。なお、上記方法1〜方法3で求めた錯綜危険走行領域をスプライン補間等により滑らかにしてから用いてもよい。
図11は錯綜危険走行領域の他の例を示す説明図である。横軸は位置(例えば、停止線からの距離)を示し、縦軸は車両の速度を示す。図11に示すように、錯綜危険走行領域は、停止条件C及び進入条件Lにより画定される交差点停止領域内であり、かつ、加速後進入条件L3を充足する領域である。ここで、加速後進入条件L3は、停止線を通過しようと黄信号の切り替わり前後に加速し、加速前よりも速い速度で赤信号開始時点に停止線を通過するか否かを示す条件であり、赤信号開始時点に停止線を通過することができたとき、加速後進入条件L3を充足する。
次に定式化して説明する。例えば、黄信号開始後に車両(停止線からの位置X、速度V)が停止線を通過するまで一様に加速するものとし(加速度限界値をaとする)、停止線を黄信号終了時に速度Vpで通過するものとすると、式(7)、式(8)が成立する。
Figure 0005141783
式(7)、式(8)から加速後進入条件L3として式(9)を得ることができる。式(9)から、加速後進入条件L3で表される直線は、図11の例において、横軸とa・Ty2 /2で交わり、縦軸と−a・Ty/2で交わる。
上述の例では、加速度aが速度Vに依存しない場合であるが、速度Vに応じて変化させることもできる。例えば、速度V=0のとき加速度をaとし、速度Vが上限値Vmaxのとき加速度a=0としてもよい。この場合には、式(9)に代えて、式(10)が得られる。
また、交差点停止領域にある車両は、ほとんどが加速度a1で加速し、加速する車両と加速しない車両が加速度a1〜a2で錯綜するものとして、この間の領域を錯綜危険走行領域としてもよい。ここで、a1、a2は、いずれも統計に基づく定数であり、a2=a1+k・ξで表すことができる。
加速後進入条件L3を用いることにより、停止線を通過しようと黄信号の切り替わり前後に加速し、速い速度で停止線付近を赤信号で通過する場合には、危険な走行状態(錯綜危険走行領域にある状態)にあると判定することができ、後方車両が速度を上げ過ぎて自車両に接近して追突する事故、赤信号で交差点を通過しようとして交差側の車両と接触する事故などを防止することができる。
図12は錯綜危険走行領域の他の例を示す説明図である。横軸は位置(例えば、停止線からの距離)を示し、縦軸は車両の速度を示す。図12に示すように、錯綜危険走行領域は、停止条件C及び進入条件Lにより画定される交差点停止領域内であり、かつ、赤信号進入条件L4を充足する領域である。ここで、赤信号進入条件L4は、減速すれば安全に停止線の手前で停止することができるのに、減速せずに現状の速度のまま赤信号で停止線を通過するか否かを示す条件であり、赤信号で停止線を通過した場合、赤信号進入条件L4を充足する。すなわち、停止線からの位置X、速度Vの車両が赤信号開始からt秒後に停止線を通過したとすると、赤信号進入条件L4は、V=X/(Ty+t)で表わすことができる。ここで、Tyは黄信号時間である。
また、交差点停止領域にある車両は、ほとんどが赤信号開始からt1秒で停止線を通過し、赤信号で停止線を通過する車両と通過しない車両がt1〜t2秒で錯綜するものとして、この間の領域を錯綜危険走行領域としてもよい。ここで、t1、t2は、いずれも統計に基づく定数であり、t2=t1+k・ξで表すことができる。
赤信号進入条件L4を用いることにより、減速すれば安全に停止線の手前で停止することができるのに、減速せずに現状の速度のまま赤信号で停止線を通過する場合には、危険な走行状態(錯綜危険走行領域にある状態)にあると判定することができ、後方車両が速度を上げ過ぎて自車両に接近して追突する事故、赤信号で交差点を通過しようとして交差側の車両と接触する事故などを防止することができる。
次に車載装置30による危険走行領域回避の自動速度制御について説明する。なお、危険走行領域は、上述の対向危険走行領域及び錯綜危険走行領域であり、ジレンマ領域又はオプション領域も含めることができる。以下では、ジレンマ領域及びオプション領域を含むものとして説明する。
図13乃至図16は危険走行領域回避の処理手順を示すフローチャートである。制御部31は、光ビーコン10との通信の有無を判定し(S11)、通信がない場合(S11でNO)、ステップS11の処理を続け、光ビーコン10との通信があるまで待機する。
光ビーコン10との通信があった場合(S11でYES)、制御部31は、光ビーコン10から通信地点、停止線及び路上装置の位置情報、交差点情報、信号機の信号情報を受信する(S12)。なお、停止線から通信地点までの距離、停止線から路上装置までの距離を取得することもできる。
制御部31は、停止線までの距離を算出し(S13)、路上装置21、22から信号を受信したか否かを判定し(S14)、信号を受信した場合(S14でYES)、停止線までの距離を修正する(S15)。例えば、停止線から路上装置21、22との交信地点までの距離をLとすると、車両の位置を、停止線から距離Lにあると修正する。これにより、自車両が停止線に向かって走行するにつれて累積する距離誤差をリセットし、停止線までの距離の精度を向上させることができる。信号を受信していない場合(S14でNO)、制御部31は、ステップS15の処理を行うことなく、後述のステップS16の処理を行う。
制御部31は、自動運転開始タイミングであるか否かを判定する(S16)。自動運転開始タイミングは、停止線から所定の距離(例えば、200m)になった地点、黄信号に切り替わるまでの時間が所定の時間(例えば、5〜10秒)になった時点、最後の路上装置22との交信時点、あるいは光ビーコン10との通信時点など適宜設定できる。自動運転開始タイミングは、自車両の速度に応じて変化させることもできる。
自動運転開始タイミングである場合(S16でYES)、制御部31は、危険走行領域を算出し(S17)、自車両が危険走行領域内に突入するか否かを判定する(S18)。ここで、危険走行領域は、ジレンマ領域、オプション領域、対向危険走行領域、錯綜危険走行領域である。
自車両が危険走行領域内に突入する場合(S18でYES)、制御部31は、加速制御の可否を判定する(S19)。加速制御の可否の判定は、自車両を加速しても安全であるか否かを確認するものである。例えば、自車両を加速した場合の速度が所定速度(例えば、制限速度、制限速度に若干の余裕を上乗せした速度など)以下であることを必須条件とし、自車両の前方に他の車両(前方車両)が存在しないこと、自車両の後方に後続車両が存在すること、及び交差点の交差道路の交通が閑散であることを選択条件とし、必須条件及び少なくとも1つの選択条件を満たす場合に加速可能と判定することができる。なお、前方車両とは、例えば、自車両の速度と超音波センサ60などから前方車両との相対速度を所定の周期で検出し、検出した相対速度に基づいて、所定の速度まで加速した場合に衝突する可能性があると判断できる範囲内に存在している車両を対象とする。交通が閑散であるか否かは、交通量が少ない場合であり、例えば、通常、青時間1分間あたりの交通量が20〜30台の地点の道路で、1分間あたりの交通量が15台より少ない場合など、地点毎の飽和流率も考慮して閑散であると判断する。規制速度は、地図データベース34から取得してもよく、光ビーコン10などの外部から取得してもよい。また、自車両周辺の他の車両の状況は、超音波センサ60から取得することができ、交差点の交通情報は、外部の光ビーコン10又は後述する他の通信装置80などから取得することができる。
加速制御できない場合(S19でNO)、制御部31は、自動速度制御モードに入る旨を報知する(S20)。なお、この場合、制御部31は、自車両が緩やかな減速度で減速することを運転者に報知する。制御部31は、減速制御のための目標速度、段階的目標速度を算出する(S21)。目標速度は、自車両を緩やかな減速度で減速させて危険走行領域から回避(脱出)させるために到達させる速度である。目標速度Vsは、以下のとおり算出することができる。まず、自車両がジレンマ領域に突入すると判定した場合には、式(4)及び式(5)において、XyとVを変数として解いて算出された速度Vsを目標速度とする。目標速度Vsは、図3の点Pにおける速度として求められ、式(11)で表される。
Figure 0005141783
また、自車両がオプション領域に突入すると判定した場合、上述の式(4)及び式(6)において、XyとVを変数として解いて算出された速度Vsの下限値を目標速度とする。目標速度Vsは、式(12)で表される。
段階的目標速度Vrは、自車両の現時点の速度と目標速度Vsとの差が大きい場合、速度変化が大きいため、緩やかな減速を行うことができなくなる事態を防ぐため、自車両の現時点の速度Vと目標速度Vsとの間の暫定目標値であり、所定時間(制御周期、例えば、0.05〜1秒)経過の都度又は所定距離の移動の都度、算出する。
段階的目標速度Vrの算出は、減速を行う場合に、制御周期の間における速度変化を小さくするように求めることができる。例えば、現時点の速度Vが、目標速度Vsに比べて大きい場合、その差分をn分割した値ΔV=(V−Vs)/nだけ減速させ、速度変化が微小になるように目標速度Vsに追従させることができる。この場合、段階的目標速度Vrは、Vr=V−Δv=V−(V−Vs)/nとなる。このようにして、Δvを調整することにより、自車両は、後続車両に対して減速を感じさせないように緩やかな減速度で減速することができるので、後続車両は、急ブレーキを踏み込むような事態を防止でき、安全性が向上する。
また、段階的目標速度Vrの算出方法として、所定の閾値b(例えば、b=1km/h)を用いて、V−Vs≧bの場合、Vr=V−bとし、V−Vs<bの場合、Vr=Vsのように求めることもできる。
自車両が対向危険走行領域に突入すると判定した場合には、自車両の速度が、図5又は図6における点Sに対応する速度より大きいときは、ジレンマ領域に突入する場合と同様の処理を行い、点Rに対応する速度より小さいときは、オプション領域に突入する場合と同様の処理を行う。ただし、対向危険走行領域では、自車両を停止させる場合には、自車両の速度をかなり低下させる必要があるため、運転者にとって違和感があり、また、後続車両が存在する場合には、却って後続車両との接触事故を起こす可能性もあるため、自車両を停止線の手前で停止させるのではなく停止線を通過させることのほうが望ましい。
自車両が錯綜危険走行領域に突入すると判定した場合には、錯綜危険走行領域から回避すべく、判定条件Eである式(4)で表わされる直線と錯綜危険走行領域の境界との交点に対応する速度を目標速度として、ジレンマ領域の場合又はオプション領域の場合と同様の方法で処理を行うことができる。なお、目標速度によっては、緩やかに加速又は減速する場合がある。
制御部31は、現時点の速度Vを、算出した目標速度Vs又は段階的目標速度Vrに近づけるべく緩やかな減速度で減速制御を行い(S22)、制御周期を経過したか否かを判定し(S23)、制御周期を経過していない場合(S23でNO)、ステップS23の処理を続け、制御周期が経過するまで減速制御を続ける。これにより、後続車両に対し、自車両の減速を感じさせないようにすることができる。
制御周期を経過した場合(S23でYES)、制御部31は、危険走行領域の境界に到達したか否かを判定する(S24)。危険走行領域の境界に到達したか否かは、自車両の速度が危険走行領域を画定する停止条件C、進入条件L、地点進入条件L1、L2、加速後進入条件L3、赤信号進入条件L4などで表される直線又は曲線上の点に対応する限界速度に到達したか否かにより判定することができる。危険走行領域の境界に到達していない場合(S24でNO)、制御部31は、ステップS21以降の処理を続ける。これにより、減速制御の処理は、制御周期の経過の都度行われるため、目標速度Vs、段階的目標速度Vrは徐々に変化し、滑らかな減速制御を実現することができる。なお、減速制御の処理は、所定距離の移動の都度繰り返し行うこともできる。
危険走行領域の境界に到達した場合(S24でYES)、制御部31は、危険走行領域の境界に到達した時点の速度、すなわち、限界速度で速度維持を行う(S25)。これにより、危険走行領域の境界に到達した後は速度を一定にすることにより、自車両の状態を危険走行領域の境界に維持させる走行が可能となる。これにより、後続車両が自車両に追突し、あるいは自車両を無理に追い越すという危険を防止することができる。
制御部31は、黄信号開始時点から所定時間経過したか否かを判定する(S26)。この場合、所定時間は、運転者が黄信号に切り替わったのを見てブレーキを踏むまでの時間遅れ(ブレーキの時間遅れ)であり、例えば、0.5秒程度の値である。所定時間経過していない場合(S26でNO)、制御部31は、ステップS25以降の処理を続け、所定時間経過まで一定の速度で走行を続ける。
所定時間経過した場合(S26でYES)、制御部31は、標準減速度で減速制御する(S27)。標準減速度gは、例えば、3m/s2 とすることができる。これにより、停止線で停止することができる車両の速度と停止線までの距離の限界を示す曲線上を推移して、自車両の速度を減速させることができる。
制御部31は、撮像画像に基づいて、停止線を検出したか否かを判定し(S28)、停止線を検出していない場合(S28でNO)、ステップS27以降の処理を続ける。停止線を検出した場合(S28でYES)、制御部31は、停止線までの距離を算出し、停止線までの距離を補正して微調整制御で速度を制御し(S29)、車両を停止させ(S30)、自動速度制御モードを解除し、その旨を報知し(S31)、処理を終了する。微調整制御は、時々刻々停止線の位置を検出して停止線までの距離を算出し、停止線までの距離に基づいて速度を徐々に変更するものである。これにより、車両の速度を微調整することができ、車両を停止線に確実に停止させることができる。
加速制御できる場合(S19でYES)、制御部31は、自動速度制御モードに入る旨を報知する(S32)。なお、この場合、制御部31は、自車両が緩やかな加速度で加速することを運転者に報知する。制御部31は、加速制御のための目標速度、段階的目標速度を算出する(S33)。目標速度は、自車両を緩やかな加速度で加速させて危険走行領域から回避(脱出)させるために到達させる速度である。目標速度の算出は次のように行うことができる。例えば、自車両がジレンマ領域に突入すると判定した場合、進入条件Lを満たす限界速度を目標速度とする。また、自車両がオプション領域に突入すると判定した場合、停止条件Cを満たす限界速度を目標速度とする。
自車両が対向危険走行領域に突入すると判定した場合、地点進入条件L1、L2を満たす限界速度を目標速度とする。例えば、図5において、地点進入条件L1は、式(13)で表わすことができ、目標速度Vsは式(14)で求めることができる。
Figure 0005141783
自車両が錯綜危険走行領域に突入すると判定した場合には、交差点付近での交通事故を未然に防止する観点から、自車両を停止線の手前で停止させる。すなわち、この場合には、加速制御を行わない。なお、図5又は図6において、停止条件Cと地点進入条件L1、L2とが交差するような場合にも、上述の例と同様に限界速度を目標速度として設定することができる。
段階的目標速度Vrは、自車両の現時点の速度と目標速度Vsとの差が大きい場合、速度変化が大きいため、緩やかな加速を行うことができなくなる事態を防ぐため、自車両の現時点の速度Vと目標速度Vsとの間の暫定目標値であり、所定時間(制御周期、例えば、0.05〜1秒)経過の都度、算出する。
段階的目標速度Vrの算出は、加速を行う場合に、制御周期の間における速度変化を小さくするように求めることができる。例えば、現時点の速度Vが、目標速度Vsに比べて小さい場合、その差分をn分割した値ΔV=(Vs−V)/nだけ加速させ、速度変化が微小になるように目標速度Vsに追従させることができる。この場合、段階的目標速度Vrは、Vr=V+Δv=V+(Vs−V)/nとなる。このようにして、Δvを調整することにより、自車両の加速を感じさせないように緩やかな加速度で自車両を加速することができる。
また、段階的目標速度Vrの算出方法として、所定の閾値b(例えば、b=1km/h)を用いて、Vs−V≧bの場合、Vr=V+bとし、Vs−V<bの場合、Vr=Vsのように求めることもできる。
制御部31は、現時点の速度Vを算出した目標速度Vs又は段階的目標速度Vrに近づけるべく緩やかな加速度で加速制御を行い(S34)、制御周期を経過したか否かを判定し(S35)、制御周期を経過していない場合(S35でNO)、ステップS35の処理を続け、制御周期が経過するまで加速制御を続ける。
制御周期を経過した場合(S35でYES)、制御部31は、危険走行領域の境界に到達したか否かを判定する(S36)。危険走行領域の境界に到達していない場合(S36でNO)、制御部31は、ステップS33以降の処理を続ける。これにより、加速制御の処理は、制御周期の経過の都度行われるため、目標速度Vs、段階的目標速度Vrは徐々に変化し、滑らかな加速制御を実現することができる。なお、加速制御の処理は、所定距離の移動の都度繰り返し行うこともできる。
危険走行領域の境界に到達した場合(S36でYES)、制御部31は、危険走行領域の境界に到達した時点の速度、すなわち、限界速度で速度維持を行う(S37)。これにより、危険走行領域の境界に到達した後は速度を一定にすることにより、自車両の状態を危険走行領域の境界に維持させる走行が可能となる。
制御部31は、撮像画像に基づいて、停止線を検出したか否かを判定し(S38)、停止線を検出していない場合(S38でNO)、ステップS37以降の処理を続ける。停止線を検出した場合(S38でYES)、制御部31は、停止線までの距離を補正し、黄信号の終了時点を考慮して速度を微調整し(S39)、停止線を通過したか否かを判定する(S40)。停止線を通過していない場合(S40でNO)、制御部31は、ステップS39以降の処理を続ける。停止線を通過した場合(S40でYES)、制御部31は、自動速度制御モードを解除し、その旨報知し(S41)、処理を終了する。
自車両が危険走行領域に突入しない場合(S18でNO)、制御部31は、自車両が交差点停止領域にいるか交差点通過領域にいるかを判定する(S42)。なお、ここで、交差点停止領域及び交差点通過領域は、対向危険走行領域又は錯綜危険走行領域を除いた領域である。
自車両が交差点停止領域にいる場合(S42で交差点停止領域)、制御部31は、停止線で停止すべき旨の情報提供を行い(S43)、処理を終了する。自車両が交差点通過領域にいる場合(S42で交差点通過領域)、制御部31は、停止線を通過すべき旨の情報提供を行い(S44)、処理を終了する。
自動運転開始タイミングでない場合(S16でNO)、制御部31は、停止線を通過したか否かを判定し(S45)、停止線を通過していない場合(S45でNO)、ステップS13以降の処理を続け、停止線を通過した場合(S45でYES)、ステップS11以降の処理を続ける。
図17は危険走行領域を回避して減速制御する場合の走行軌跡の一例を示す説明図である。図中、上段は自車両の停止線までの距離と速度との関係を示し、下段は停止線までの距離と信号変化との関係を示す。停止線から200mの位置までは、運転者による手動運転を行う手動運転領域である。停止線から200mの位置において、車載装置30は、自車両が危険走行領域に突入するか否かを判定して自動運転制御を行う。なお、自動運転開始タイミングは、これに限定されるものではない。
自車両が危険走行領域にあると判定した場合、この地点からは車載装置30による自動速度制御が行われ、まず危険走行領域を回避するための制御を行う回避制御領域となる。車載装置30は、自車両の速度が目標速度に到達するように緩やかな減速度で減速制御を行う。目標速度に到達した後は、その速度を維持し、黄信号開始時点まで一定の速度制御を行う。
自動速度制御のうち、黄信号開始時点以降は、自車両を標準減速度で減速制御する標準減速度制御領域である。すなわち、車載装置30は、黄信号開始時点(黄信号開始位置)から標準減速度で減速制御を行う。ビデオカメラ40により停止線を検出した場合、それ以降は、停止線までの距離を補正しつつ微調整制御で速度を制御する微調整領域となる。微調整制御は、時々刻々停止線の位置を検出して停止線までの距離を算出し、停止線までの距離に基づいて速度を徐々に変更するものである。これにより、図中曲線pで示すように、停止線で安全かつ確実に自車両を停止させることができる。なお、図中、破線で表示した直線m、曲線nは、回避制御を行わない場合の走行軌跡である。直線mは、交差点をそのまま走行した場合の走行軌跡であり、黄信号の終了時点で停止線に到達しておらず、赤信号で交差点を通過することになる。また、曲線nは、黄信号になってから標準減速度で停止を試みるが、停止線で停止することができない。
危険走行領域から脱出するための回避制御は、上述の例に限定されるものではなく、種々の方法を取り得る。例えば、回避制御領域において、現在速度から一定の減速度で減速し、黄信号開始時刻で危険走行領域の境界上の限界速度を満たすようにすることもできる。
すなわち、目標速度Vsとしては、進入条件L、地点進入条件L1、L2、加速後進入条件L3、赤信号進入条件L4などで表される直線又は停止条件Cで表される曲線上であればよく、例えば、進入条件Lで示す直線と停止条件Cで示す曲線との交点の速度、あるいは、以下のように目標速度Vsを求めることもできる。
図18は停止条件Cで示す曲線上の目標速度の算出例を示す説明図である。図18において、X1yは現在位置Xから速度Vで走行した場合の黄信号開始時点の位置であり、X2yは現在位置Xから速度Vsで走行した場合の黄信号開始時点の位置である。また、Xyは黄信号開始時点で停止条件C上の目標速度Vsに到達した場合の位置である(図中点P’)。ここで、Xy=(X1y+X2y)/2となるようにする。黄信号開始時点で目標速度Vsに到達するための方法について以下に説明する。例えば、現在の速度Vから、一定の減速度βで減速し、黄信号開始までの時間t後に停止条件C上の目標速度Vsに到達させるとすると、式(15)が成立する。
Figure 0005141783
また、この場合、黄信号開始位置Xyは、式(16)を満たす。また、黄信号開始時刻における自車両の状態(Xy、Vs)は、停止条件Cで表される曲線上にある必要があるため、式(17)が成立する。ここで、gは、車両の標準減速度であり、αは黄信号になってから運転者がブレーキを踏むまでの時間遅れである。
X、V、t、α、gが既知であるため、式(15)〜(17)より、βを変数として、式(18)を求め、式(19)によりβを算出することができる。これを式(15)に代入して目標速度Vsを算出し、さらに式(16)よりその時点の位置Xyを算出することができる。算出した目標速度Vs、位置Xyが図18における目標速度Vs、位置Xyである。なお、回避制御の開始タイミングは、減速度βが十分小さい値となるように設定することで、黄信号開始時刻まで緩やかに減速して目標速度Vsに到達するようにできる。
図19は危険走行領域を回避して停止制御する場合の走行軌跡の他の例を示す説明図である。図19に示すように、回避制御領域において、車載装置30は、停止線から200mの位置から黄信号開始位置(時刻)までの間、一定の減速度で減速制御を行う。例えば、現在の速度Vから、一定の減速度βで減速し、黄信号開始までの時間t後に停止条件C上の目標速度Vsに到達させることができる。
また、この場合、黄信号開始時刻までの時間tのうち、最初の時間t1だけ、所定の減速度βで減速し、残りの時間(t−t1)は、一定速度で制御し、黄信号開始時刻で停止条件Cを満たすようにすることもできる。
この場合、式(15)、式(16)に代えて、式(20)、式(21)を用い、これらと式(17)からt1、Xy、Vsを求めることができる。
図20は危険走行領域を回避して停止制御する場合の走行軌跡の他の例を示す説明図である。図20に示すように、回避制御領域において、車載装置30は、黄信号開始時刻までの時間tのうち、最初の時間t1だけ速度を変えず一定速度で走行させ、その後、所定の減速度βで減速し、黄信号開始時刻で停止条件Cを満たすようにする。この場合、式(15)、式(16)に代えて、式(22)、式(23)を用いる。
Figure 0005141783
図21は危険走行領域を回避して加速制御する場合の走行軌跡の一例を示す説明図である。図中、上段は自車両の停止線までの距離と速度との関係を示し、下段は停止線までの距離と信号変化との関係を示す。停止線から200mの位置までは、運転者による手動運転を行う手動運転領域である。停止線から200mの位置において、車載装置30は、自車両が危険走行領域に突入するか否かを判定して自動運転制御を行う。なお、自動運転開始タイミングは、これに限定されるものではない。
自車両が危険走行領域にあると判定した場合、この地点からは車載装置30は、自動速度制御を行い、危険走行領域を回避する制御を行う回避制御領域となる。車載装置30は、自車両の速度が目標速度に到達するように緩やかな加速度で加速制御を行う。目標速度に到達した後は、その速度を維持し、黄信号開始時点まで一定の速度制御を行う。
黄信号開始時点以降も、速度を維持し一定の速度で停止線を通過する。なお、車載装置30は、ビデオカメラ40により停止線を検出した時点以降は、停止線までの距離を補正しつつ速度を微調整し、自車両が黄信号の終了時点で停止線を進入(通過)するように制御する。これにより、図中曲線pで示すように、黄信号の終了時点で安全かつ確実に自車両を、停止線を通過させることができる。なお、破線で表示した直線m、曲線nは、回避制御を行わない場合の走行軌跡である。直線mは、交差点をそのまま走行した場合の走行軌跡であり、黄信号の終了時点で停止線に到達しておらず、赤信号で交差点を通過することになる。また、曲線nは、黄信号になってから標準減速度で停止を試みるが、停止線で停止することができない。
図22は本発明に係る車両運転支援システムの概要の他の例を示す模式図である。図22に示すように、路上装置21、22を設置せずに、光ビーコン10のみを設置することもできる。この場合には、光ビーコン10を、停止線の上流側200m〜1000m程度の位置に設けることができる。また、この場合も、光ビーコン10に代えて、電波ビーコン、DSRCなどを用いることもできる。
また、交差点付近には、対向右折車両を検出するための車両感知器70を設置してある。車両感知器70は、例えば、画像センサ、超音波感知器等であり、対向右折車両の有無、対向右折車両の長さ(台数)等の情報を取得し、光ビーコン10を介して車載装置30へ送信することができる。この場合、例えば、自車両の進行方向にある交差点が、対向右折車両が多い交差点であると統計的な数値で予め判明しているときに、リアルタイムで前方の交差点に対向右折車両が存在するか否かを把握することができるので、統計的な数値を裏付けることができ、より一層確実に対向危険走行領域を回避することができる。
図23は本発明に係る車両運転支援システムの概要の他の例を示す模式図である。車両位置検出システムの概要の他の例を示す模式図である。図23に示すように、光ビーコン10、路上装置21、22に加えて、通信装置80を設ける。通信装置80は、例えば、無線LANなどの中域通信機能を備え、信号情報を広い範囲に送信する。なお、通信装置70は、信号制御、交通情報収集、交通情報提供などの処理を行う装置などを利用することも可能である。また、通信装置80は、中域通信に限らず、FM放送、携帯電話、インターネット通信等の広域通信機能を備えた装置でもよい。なお、この場合においても、車両感知器70を備えることもできる。
なお、上述の例で、危険走行領域の回避制御で一旦目標速度に達して危険走行領域から外れた後、何らかの原因で再び、危険走行領域に入った場合には、再度目標速度を設定して回避制御を行えばよい。
以上説明したように、本発明にあっては、従来であれば安全であると考えられていた交差点停止領域又は交差点通過領域であっても、対向右折車両が存在する場合又は運転者の運転特性などの複合的な要因により危険な走行領域になり得る領域を対向危険走行領域及び錯綜危険走行領域として明確に特定することができるとともに、車両がこのような危険走行領域に突入した場合であっても、事前に十分な余裕をもって最適な加速制御又は減速制御を行うことができ、危険な走行状態を確実に回避して交差点で安全に車両を停止させ又は通過させることができる。
上述の実施の形態において、自車両が危険走行領域に突入するか否かの判定、回避制御等の処理は、交差点の十分手前(例えば、200m、300m手前)で行う。この時点では、自車両が交差点に進入した時に、実際に対向右折車両が右折待ちをしているか否かは判らない。そこで、予め交差点毎に時間帯(例えば、5分単位)を区分して、各交差点の各時間帯に対向右折車両が存在する確率、右折車両台数の期待値などのデータを取得しておき、これらのデータに基づいて、自車両が対向危険走行領域に突入するか否かの判定処理を行うかどうかを決定することもできる。
対向右折車両に関するデータを取得する方法としては、以下のような方法がある。例えば、路側に設置した画像センサ等により、交差点内の車両を撮像、認識することにより収集する。収集データは、路側装置で解析してもよく、センタ装置へ送信してセンタ装置で解析してもよい。解析を実時間で行い、解析結果を車載装置へ送信してもよく、統計処理を行った結果を車載装置へ送信してもよい。また、路側に設置した超音波感知器、画像センサ等の右折車両存在検知、右折待ち車両検知により、右折車両の量を計測して収集する。収集データは、路側装置で解析してもよく、センタ装置へ送信してセンタ装置で解析してもよい。解析を実時間で行い、解析結果を車載装置へ送信してもよく、統計処理による結果を車載装置へ送信してもよい。実時間で行う場合には、右折待ち車両の台数が閾値より多い場合には、自車両が交差点に到達したとき必ず右折車両があると考えてもよい。さらに、車両のプローブデータを路側装置又はセンタ装置で収集し、実時間処理又は統計処理による解析結果を車載装置へ送信する。予め、右折車両の多い交差点を車載データベースに登録しておくこともできる。なお、より安全性を高めるためには、常に対向右折車両が存在するものとして対向右折車両に突入しないように回避のための加減速制御、情報提供を行ってもよい。
上述の実施の形態において、危険走行領域を回避すべく自車両を停止線の手前で停止させるか、あるいは、停止線を通過させるかの決定(加減速の決定)は、現在の速度と目標速度との速度差が小さい方の目標速度になるように自車両の速度を制御するようにしてもよい。また、自車両が対向危険走行領域に突入する場合には、自車両の状態量などの条件に応じて、停止又は通過のどちらかを選択すればよく、あるいは、停止線を通過することを前提としてもよく、また、自車両が錯綜危険走行領域に突入する場合には、停止線の手前で停止させることを前提とすることもできる。
上述の実施の形態において、目標速度による情報提供又は車両制御は、自車両がジレンマ領域又はオプション領域に突入する可能性がある場合にのみに限定しておき、自車両が対向危険走行領域又は錯綜危険走行領域に突入する可能性がある場合には、「注意して走行する」旨の注意情報だけを提供するようにしてもよい。また、自車両が危険走行領域に突入する可能性がない場合でも、情報提供しなければ、運転者の通過又は停止の判断ミスにより、危険な走行をしてしまう可能性があるため、停止線の手前での停止又は停止線の通過のための情報提供を行ってもよい。
上述の実施の形態において、余裕をもって危険走行領域の回避を行えるように、危険走行領域を予め広めに設定しておくこともできる。例えば、黄信号時間Tyを意図的に小さくすることができる。また、黄信号開始時点又は黄信号の終了時点を見かけ上変更することで、危険走行領域を広く設定することもできる。また、目標速度として、危険走行領域の限界速度(境界線の速度)そのものを使用する代わりに、これらを基準として、例えば、限界速度に所定の定数を乗じる等して算出した数値を用いることもできる。さらに、上記の危険走行領域は、対象とする速度の範囲(例えば、30〜80km/h)を予め決めておいてもよく、対向危険走行領域、錯綜危険領域、ジレンマ領域、又はオプション領域のいずれか1つだけを対象としてもよく、これらの領域のうちのいくつかのみを対象とすることもできる。
上述の実施の形態では、自車両が危険走行領域に突入する可能性があると判断してからは、停止線に停止するまで、あるいは、停止線を通過するまで、自動速度制御モードとしているが、危険走行領域の境界線に到達した時点で自動速度制御モードを終了し、後は運転者による手動運転に切り替えることも可能である。
上述の実施の形態では、自車両を危険走行状態から回避させるために、自車両を交差点に停止させる場合には、自車両が緩やかな減速度で減速すること、あるいは、自車両を交差点に進入させる場合(交差点を通過させる場合)には、自車両が緩やかな加速度で加速することを運転者に報知するものであったが、これに限定されるものではなく、自車両を交差点に停止させる場合には減速指示を運転者に報知し、あるいは、自車両を交差点に進入させる場合(交差点を通過させる場合)には加速指示を運転者に報知してもよい。
なお、本発明は、速度超過などの交通規則の定める範囲に従って運転支援を行うものである。
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 光ビーコン
21、22 路上装置
30 車載装置
31 制御部
32 通信部
33 測位部
34 地図データベース
35 表示部
36 画像処理部
37 操作部
38 記憶部
39 報知部
40 ビデオカメラ
50 車両制御部
60 超音波センサ
70 車両感知器
80 通信装置

Claims (5)

  1. 交差点に設置された信号機の信号情報を受信して車両の安全運転を支援する運転支援装置において、
    自車両の速度を取得する速度取得手段と、
    自車両と交差点の停止線との距離に関する距離情報を取得する距離情報取得手段と、
    自車両の停止線までの距離、自車両の速度及び信号情報に基づいて、自車両が停止線通過に関して規定される特定の状態にあるか否かを判定する判定手段と、
    該判定手段で自車両が前記特定の状態にあると判定した場合、自車両を加減速するための情報を出力する出力手段と、
    自車両前方の対向右折車両に関する所定位置から停止線までの間の交差点内の地点を決定する決定手段と、
    該決定手段で決定した地点と自車両との距離及び自車両の速度に基づいて、自車両が前記地点に到達するまでの到達時間を算出する到達時間算出手段と
    を備え、
    前記判定手段は、
    前記到達時間算出手段で算出した到達時間が所定の範囲内にある場合、自車両が前記特定の状態にあると判定するように構成してあることを特徴とする運転支援装置。
  2. 前記出力手段で出力する情報に基づいて、自車両の加減速を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
  3. 前記出力手段で出力する情報に基づいて、自車両の加減速を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載の運転支援装置を搭載してあることを特徴とする車両。
  5. 交差点に設置された信号機の信号情報を受信して車両の安全運転を支援する運転支援装置による運転支援方法において、
    自車両の速度を取得するステップと、
    自車両と交差点の停止線との距離に関する距離情報を取得するステップと、
    自車両の停止線までの距離、自車両の速度及び信号情報に基づいて、自車両が停止線通過に関して規定される特定の状態にあるか否かを判定するステップと、
    自車両が前記特定の状態にあると判定された場合、自車両を加減速するための情報を出力するステップと、
    自車両前方の対向右折車両に関する所定位置から停止線までの間の交差点内の地点を決定するステップと、
    決定された地点と自車両との距離及び自車両の速度に基づいて、自車両が前記地点に到達するまでの到達時間を算出するステップと
    を含み、
    前記判定するステップは、
    算出された到達時間が所定の範囲内にある場合、自車両が前記特定の状態にあると判定することを特徴とする運転支援方法。
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