以下、本発明の実施の形態における画像形成装置について説明する。
画像形成装置は、用紙などをローラにより搬送し、その用紙などに電子写真方式により印刷(プリント)を行うプリント機能を有している。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置1のハードウェア構成を示す側面図である。
図を参照して画像形成装置1は、給紙カセット3と、排紙トレイ5と、プリント部30とを備える。
給紙カセット3は、画像形成装置1の下部に、画像形成装置1の筐体に抜き差し可能に配置されている。各給紙カセット3に装てんされた用紙は、印字時に、1枚ずつ給紙カセット3から給紙され、プリント部30に送られる。なお、給紙カセット3の数は1つに限られず、それより多くてもよい。
排紙トレイ5は、画像形成装置1の筐体の上方に配置されている。排紙トレイ5には、プリント部30により画像が形成された用紙が筐体の内部から排紙される。
プリント部30は、画像形成装置1の筐体の内部に配置されている。プリント部30は、おおまかに、用紙搬送部200と、トナー像形成部300と、定着装置400と、駆動部(図3に図示)500とを有している。プリント部30は、いわゆるタンデム方式でCMYKの4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成可能に構成されている。
用紙搬送部200は、給紙ローラ210、搬送ローラ220、排紙ローラ230など(それぞれ、ローラの一例)で構成されている。給紙ローラ210、搬送ローラ220、及び排紙ローラ230は、それぞれ、例えば対向する2つのローラで用紙を挟みながらそのローラを回動させて用紙を搬送する。給紙ローラ210は、給紙カセット3から用紙を1枚ずつ給紙する。給紙ローラ210により、用紙が画像形成装置1の筐体の内部に給紙される。搬送ローラ220は、給紙ローラ210により給紙された用紙をトナー像形成部300に搬送する。また、搬送ローラ220は、定着装置400を経由した用紙を排紙ローラ230に搬送する。排紙ローラ230は、搬送ローラ220により搬送された用紙を画像形成装置1の筐体の外部に排出する。なお、用紙搬送部200は、これら以外にも用紙を搬送するためなどに用いられるローラを有していてもよい。
トナー像形成部300は、4色のトナーボトル301Y,301M,301C,301K(以下、これらをまとめてトナーボトル301と呼ぶことがある)と、中間転写ベルト305と、転写ローラ(ローラの一例)307と、4組の現像ユニット310Y,310M,310C,310K(以下、これらをまとめて現像ユニット310と呼ぶことがある)と、レーザスキャンユニット320などで構成されている。
イエロートナーボトル301Y、マゼンタトナーボトル301M、シアントナーボトル301C、ブラックトナーボトル301Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のCMYK各色のトナーを貯蔵する。
中間転写ベルト305は、環状であり、2つのローラ305a(図2に図示)間に架けわたされている。中間転写ベルト305は、用紙搬送部200と連動して回動する。転写ローラ307は、中間転写ベルト305のうち一方のローラ305aに接触している部分に対向するように配置されている。転写ローラ307と中間転写ベルト305との間隔は、後述するように、圧接離間機構(変更手段の一例)により調整される。用紙は、中間転写ベルト305と転写ローラ307との間で挟持されながら搬送される。
現像ユニット310は、感光体ドラム311(現像ユニット毎に感光体ドラム311Y,311M,311C,311Kが設けられる)、現像装置、クリーナ、及び帯電器などを含む。イエロー現像ユニット310Y,マゼンタ現像ユニット310M,シアン現像ユニット310C,ブラック現像ユニット310Kは、それぞれY、M、C、Kの画像を形成するために配置されている。現像ユニット310は、中間転写ベルト305の直下に並置されている。レーザスキャンユニット320は、各感光体ドラム311上にレーザ光を走査可能に配置されている。
トナー像形成部300において、レーザスキャンユニット320は、YMCKの各色別の画像データに基づいて、帯電器により一様に帯電した感光体ドラム311上に潜像を形成する。現像装置は、各感光体ドラム311に各色別のトナー像を形成する。各感光体ドラム311は、トナー像を中間転写ベルト305に転写し、その中間転写ベルト305上に、用紙に形成するトナー像の鏡像を形成する(1次転写)。その後、高電圧が印加された転写ローラ307により、中間転写ベルト305に形成されたトナー像が用紙に転写され、用紙上にトナー像が形成される(2次転写)。
画像形成により現像ユニット310内のトナーが少なくなると、各色のトナーボトル301内に保管されたトナーが現像ユニットに供給され、継続して画像形成可能になる。
定着装置400は、加熱ローラ(ローラの一例)401及び加圧ローラ(ローラの一例)403を有している。定着装置400は、加熱ローラ401と加圧ローラ403とでトナー像が形成された用紙を挟持しながら搬送し、その用紙に加熱及び加圧を行う。これにより、定着装置400は、用紙に付着したトナーを溶融させて用紙に定着させ、用紙に画像を形成する。定着装置400を経由した用紙は、排紙ローラ230により、画像形成装置1の筐体から排紙トレイ5に排出される。
駆動部500は、例えば、メインモータ(モータの一例)501、定着モータ(モータの一例)502、黒現像モータ(モータの一例)503、カラー現像モータ(モータの一例)504、カラー感光体モータ(モータの一例)505、及び圧接離間モータ(モータの一例、変更手段の一例)506を有している(以下、これらのモータについて単にモータ501〜506などと称することがある)。駆動部500は、後述するCPU21の制御の下駆動される。メインモータ501は、給紙工程から転写工程までの用紙搬送と、中間転写ベルト305及び黒感光体ドラム311Kの駆動とを行う。定着モータ502は、定着装置400の駆動を行う。黒現像モータ503は、黒現像ユニット310Kの駆動を行う。カラー現像モータ504は、イエロー・マゼンタ・シアンの現像ユニット310Y,310M,310Cの駆動を行う。カラー感光体モータ505は、イエロー・マゼンタ・シアンの感光体ドラム311Y,311M,311Cの駆動を行う。圧接離間モータ506は、後述するように、転写ローラ307や定着装置400における用紙の挟持圧の変更を行う。
画像形成装置1に印字が指示されると、給紙カセット3に格納された紙などの記録媒体は、1枚ずつ給紙ローラ210により取り出される。記録媒体は、給紙ローラ210、搬送ローラ220により搬送される。給紙と並行して、レーザユニット320は帯電された各色の感光体311Y、311M、311C、311Kを画像データに基づき露光し、各色の現像ユニット310Y、310M、310C、310Kが各感光体311Y、311M、311C、311K内のトナーで現像して感光体上にトナー画像を形成し、転写電圧により中間転写ベルト305上に各色の感光体上に形成されたトナーを転写し4色分のトナー画像を形成する。次に転写ローラ307に電圧を印加することで、中間転写ベルト307上に形成されたトナー画像を搬送された記録媒体に転写する。記録媒体上に形成されたトナー画像は定着器400を通過することで熱と圧力が加わり記録媒体に定着される。トナー画像が定着された記録媒体は、排紙ローラ230により排紙トレイに排出される。
画像形成により現像ユニット310Y、310M、310C、310K内のトナーが少なくなると、各色のトナーボトル301Y、301M、301C、301K内に保管されたトナーを現像ユニットに供給する。
ここで、感光体等の駆動モータは高精度で駆動しないと画像むらが生じる。このため、モータ駆動のための電源電圧を安定させる必要がある。図1の構成において各々のモータはDCブラシレスモータで構成されている。各々のモータを後述する回路で駆動することで、高精度の駆動と回生エネルギーの有効利用とを両立させることができる。
また、モータの回転安定化のために、感光体等にイナーシャの大きなフライホイールをつけることがある。その場合、回生エネルギーも大きくなり省エネ効果も大きくなる。
図2は、転写ローラ307の圧接離間機構の構成を示す図である。
転写ローラ307には、ばねにより図面右に向かう張力が付与されている。圧接離間カム331は、圧接離間モータ506に接続されており、転写ローラ307を支持する部材に当接している。圧接離間カム331は、回転することで転写ローラ307を中間転写ベルト305に当接させたり離間させたりする。圧接・離間の状態は、圧接離間位置センサ333により検出される。
転写ローラ307は、高圧電源650に接続されている。転写ローラ307は、電圧が印加されて帯電した状態で用いられる。
図3は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
図を参照して、画像形成装置1は、さらに、操作部11と、制御部(CPU部)20と、不揮発性メモリ27と、インターフェイス部29と、電源部600とを備えている。
操作部11は、画像形成装置1の筐体に、ユーザにより操作可能に配置されている。操作部11には、表示パネル13が配置されている。表示パネル13は、例えば、タッチパネルを備えたLCD(Liquid Crystal Display)である。表示パネル13は、ユーザに案内画面を表示したり、操作ボタンを表示してユーザからのタッチ操作を受け付けたりする。表示パネル13は、制御部20のCPU21により制御されて表示を行う。操作部11は、表示パネル13や操作ボタン(図示せず)などがユーザにより操作されると、その操作に応じた操作信号又は所定のコマンドをCPU21に送信する。すなわち、ユーザは、操作部11に操作を行うことにより、画像形成装置1に種々の動作を実行させることができる。
制御部20は、CPU21と、ROM(Read Only Memory)23と、RAM(Random Access Memory)25などを有している。制御部20は、操作部11、不揮発性メモリ27、インターフェイス部29、及び電源部600などと共にシステムバスに接続されている。これにより、制御部20と画像形成装置1の各部とが、信号を送受可能に接続されている。
CPU21は、ROM23、RAM25、又は不揮発性メモリ27などに記憶された制御プログラム23aなどを実行することにより、画像形成装置1の種々の動作を制御する。CPU21は、操作部11から操作信号が送られたり、クライアントPCなどから操作コマンドが送信されたりすると、それらに応じて所定の制御プログラム23aを実行する。これにより、ユーザによる操作部11の操作などに応じて、画像形成装置1の所定の動作が行われる。
ROM23は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM23には、画像形成装置1の動作を行うために用いられるデータが記憶されている。また、ROM23には、画像形成装置1の種々の動作を行うための制御プログラム(プログラム)23aが記憶されている。そのほか、ROM23には、画像形成装置1の機能設定データなどが記憶されていてもよい。CPU21は、所定の処理を行うことにより、ROM23からのデータの読み込みや、ROM23へのデータの書き込みを行う。なお、ROM23は、書換え不可能なものであってもよい。
RAM25は、CPU21のメインメモリである。RAM25は、後述のようにCPU21が制御プログラム23aを実行するときに必要なデータを記憶するのに用いられる。
不揮発性メモリ27は、例えばプリント枚数などの寿命状態に関する情報など、画像形成装置1の電源オフ後も維持が必要な情報を記憶する。また、不揮発性メモリ27は、例えば、インターフェイス部29を介して外部から送られたジョブ(JOB)のデータなどを記憶する。不揮発性メモリ27は、画像形成装置1の設定情報や、画像形成装置1の種々の動作を行うための制御プログラムなどを記憶するように構成されていてもよい。不揮発性メモリ27は、1つのクライアントPC又は複数のクライアントPCなどから送信された複数のジョブを記憶可能である。不揮発性メモリ27は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュROMなどで構成される。
インターフェイス部29は、例えば、NIC(Network Interface Card)などのハードウェア部と、所定の通信プロトコルで通信を行うソフトウェア部とが組み合わされて構成されている。インターフェイス部29は、画像形成装置1をLANなどの外部ネットワークに接続する。これにより、画像形成装置1は、外部ネットワークに接続されているクライアントPCなどの外部装置と通信可能になる。画像形成装置1は、クライアントPCからジョブを受信可能である。また、画像形成装置1は、画像データを、クライアントPCに送信したり、メールサーバなどを介してE−mailにより送信したりすることができる。なお、インターフェイス部29は、無線通信により外部ネットワークに接続可能に構成されていてもよい。また、インターフェイス部29は、例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェイスであってもよい。この場合、インターフェイス部29は、通信ケーブルを介して接続された外部装置と画像形成装置1とを通信可能にする。
電源部600は、画像形成装置1の筐体の内部に設けられている。電源部600は、商用電源に接続され、商用電源を基に装置各部に電力を供給する。
ここで、本実施の形態において、現像ユニット310Y,310M,310C,310Kには、それぞれ、不揮発性メモリ319Y,319M,319C,319Kが設けられている。また、トナーボトル301Y,301M,301C,301Kには、それぞれ、不揮発性メモリ309Y,309M,309C,309Kが設けられている。
現像ユニット310に含まれる感光体ドラム311などは、プリントを繰り返すにつれて劣化するため、現像ユニット310には寿命がある。また、トナーボトル301には、プリントを行うにつれ貯蔵するトナーが少なくなるため、寿命がある。すなわち、現像ユニット310やトナーボトル301は、消耗品(以下、これらをまとめて消耗品710と呼ぶことがある)である。CPU21は、それぞれの消耗品に関する寿命状態などの情報を、これらの不揮発性メモリ319Y〜319K,309Y〜309K(以下、これらをまとめて不揮発性メモリ719と呼ぶことがある)に格納する。これにより、各消耗品を取り外して、別の画像形成装置に装着した場合であっても、その消耗品の寿命状態を、その移行先の画像形成装置に反映させることができる。したがって、各消耗品の寿命管理を確実に行い、適正に画像をプリント可能にすることができる。
図4は、画像形成装置1の電源部600の構成を示すブロック図である。
図を参照して、商用電源101として日本国内ではAC100Vが電源部600に入力される。商用電源101の交流電力は、整流器を構成するダイオード102〜105によって全波整流される。これにより直流電力が得られる。ダイオード102〜105で得られた直流電力は、コンデンサ106で平滑され、一次直流電圧(一次直流電源)117となる。一次直流電圧117はDC/DCコンバータに入力される。
すなわちDC/DCコンバータの部分において、一次直流電圧117は、トランジスタ107にてON/OFFされる。一次直流電圧117は、二次電圧とするためにDC/DCコンバータ用トランス108に入力される。DC/DCコンバータ用トランス108において一次直流電圧117は、絶縁され降圧する。
DC/DCコンバータ用トランス108の出力は、ダイオード109にて整流され、コンデンサ110で平滑される。これがモータ駆動用電源118となる。モータ駆動用電源118を抵抗111,112で分圧することで、帰還電圧119が得られる。帰還電圧119は、PI(比例積分)アンプ129にて電圧指令120であるVref1の値の差と比例積分される。
PIアンプ129の出力121は、コンパレータ128に入力される。PIアンプ129の出力121は、コンパレータ128において、三角波発振器122の出力127と比較される。比較結果であるコンパレータ128の出力123は、トランジスタ107のゲート電極に入力される。これにより、モータ駆動用電源118の電圧が24Vで一定となるように、トランジスタ107のON/OFFが制御される。
モータ駆動用電源118には、双方向ドライバ113を介してDCブラシレスモータ114が接続されている。また、モータ駆動用電源118には、モータやソレノイド等の他の負荷115も接続されている。モータ114は、制御回路(CPU)116が双方向ドライバ113に信号を送ることによりその駆動が制御される。DCブラシレスモータ114は、モータ501〜506のいずれかである。
モータの起動時、回転速度を速めているとき、および一定の速度で回転を行っているときのいずれにおいても制御回路116から回生補正信号124は出力されていない。
モータ減速時には、双方向ドライバ113へのモータ114の回転数指令125を徐々に下げてやることにより、DCブラシレスモータ114は発電機として動作する。その回生電力は、モータ駆動用電源118に接続されたコンデンサ110を充電する。これにより、モータ駆動用電源118の電圧は上昇しようとする。
このとき、減速と同時に制御回路116は、回生補正信号124を出力する。回生補正信号124は、減算器151においてVref1の値から減算を行うための信号である。回生補正信号124を出力することにより、電源部600の出力電圧が低下する。すなわち、回生エネルギーにより足された電圧と電源部600の出力電圧の低下分とがほぼ等しくなるように、回生補正信号124は出力される。これにより、モータ114を駆動する駆動電源の電圧は一定に保たれる。
回生エネルギーは、モータ軸換算されたイナーシャとモータ回転数とにより決定される。このエネルギーから、モータ巻き線抵抗、及び負荷トルクによる損失を引けば、トータルの回生エネルギーを算出することができる。この回生エネルギーに双方向ドライバ113の効率を乗算したものが、有効に利用できる回生エネルギーである。
この有効に利用できる回生エネルギーを、AC/DCコンバータである電源部600の出力段のコンデンサ(電解コンデンサ)110に充電するとき、コンデンサ110の昇圧電圧は制御回路116のCPUにて予測できる。この予測した昇圧電圧分だけの電圧を低下させるための回生補正信号124を作成・出力すると、モータ駆動用電源118の電圧は上昇することなく一定に保たれることとなる。また、一次電源側にエネルギーが返される。
さらに、電源OFF時には、機内温度が上昇するので、この回生エネルギーを利用して、制御回路116から制御信号141を出力し、ファン140を回すこととしてもよい。これにより、機内温度上昇を抑制することが可能となる。
なお、制御回路116の駆動のために、モータ駆動用電源118の電圧をDC/DCコンバータ603で降下させた電圧が制御回路116に入力される。
図5は、モータ114の駆動回路を示すブロック図である。
以下、モータ114の駆動回路について、図を参照して説明する。モータ501〜506の駆動回路の構成は、モータ114のそれと同様である。
モータ114はDCモータである。モータ114は、双方向ドライバ113と、巻線515とを有している。電源部600は、モータ114へ直流電圧を供給する。電源部600からの直流電圧は、双方向ドライバ113に印加される。CPU(モータ制御部)116は、双方向ドライバ113に速度指令などの制御指示を出力する。モータ114の双方向ドライバ113は、制御指示によりモータ114の駆動が指示されると、それに応じて電源部600から供給された電力を巻線515に供給することにより、モータ114の動力を発生させる。双方向ドライバ113は、モータ114の停止が指示されると巻線515への電力の供給を停止し、モータ114を停止させる。
本実施の形態において、モータ114は、制動モード(制動方法)として、回生制動により制動可能に構成されている。回生制動は、CPU116から制動モードとして回生ブレーキモードが設定されているときに行われる。双方向ドライバ113は、回生ブレーキモードが設定されているとき、CPU116から減速指示が行われると、モータ114の回生制動を行う。回生制動が行われると、モータ114及びその回動に伴い動いている部材の運動エネルギーが巻線515で電気エネルギー(回生電力)に変換される。発生した回生電力は、双方向ドライバ113から電源部600へ供給される。なお、電源部600とモータ114との間の駆動電力の供給と回生電力の供給とは共通の電線で行ってもよいし、それぞれ専用の電線を設けて行ってもよい。
なお、モータ114は、他の制動モードとして、いわゆるショートブレーキによる制動方法や、いわゆるフリーランによる制動方法(停止方法)を用いることができるように構成されている。これらの制動モードは、CPU116によりショートブレーキモード又はフリーランモードが設定されているときに減速指示が行われると、双方向ドライバ113が制御されて実行される。ここで、フリーランモードとは、単にモータ114への給電をオフにし、モータ114が自然に止まるようにすることをいう。また、ショートブレーキモードとは、モータ114のみを有する閉回路を構成してモータ114への給電をオフにし、惰性で回動するモータ114が発生した逆起電力を双方向ドライバ113で短絡し、エネルギーを熱に変え、モータ114を制動することをいう。CPU116は、状況に応じて制動モードを選択可能に構成されている。これにより、画像形成装置1の動作状況に応じて、モータ114などを制動することができる。
通常の画像形成動作時のモータ114の制動制御としては、フリーランでの停止制御、ショートブレーキモードでの停止制御、回生ブレーキモードでの停止制御のいずれを採用してもよい。回生ブレーキモードやショートブレーキにより速やかにモータを停止させたり、フリーランモードにより通常より長くモータを回動状態に保ったりすることができる。なお、モータ114は、例えば逆転方向の電流を強制的に流す逆転ブレーキモードなど、さらに他の制動方法により制動可能に構成されていてもよい。
図6は、PIアンプ129の出力と三角波発振器122の出力とコンパレータ128の出力とを示す図である。
図に示されるように、PIアンプ129の出力<三角波発振器122の出力であるときに、コンパレータ128の出力はHIGHとなる。コンパレータ128の出力がHIGHである期間において、トランジスタ107がONとなる。
図7は、図6の状態からPIアンプ129の出力が上昇した状態を示す図である。
PIアンプ129の出力<三角波発振器122の出力であるときに、コンパレータ128の出力はHIGHとなるので、この場合は図6と比較して、コンパレータ128の出力がHIGHである期間が短くなる。結果として、トランジスタ107がONとなる時間が短くなる。
図8は、回生エネルギーによる昇圧電圧分だけの電圧を低下させるための回生補正信号124の具体例を示す図である。
図の横軸は、モータの回生制動を開始してからの時間を示しており、縦軸は回生補正信号124の出力値を示している。
予測される時間の経過に応じた回生エネルギーの値を考慮して、昇圧電圧分だけの電圧を低下させるための回生補正信号124を作成・出力すると、モータ駆動用電源118の電圧は上昇することなく一定に保たれることとなる。
すなわち、予めわかっているモータの減速時間により回生補正信号124を制御してやれば、より精度よくモータ駆動電圧の制御が可能となる。
図9は、複数のモータ114a,114b・・・を接続した場合のモータ114の駆動回路の一部を示すブロック図である。
複数のモータ114a,114b・・・を接続する場合には、図4のモータ駆動用電源118に並列に、双方向ドライバ113a,113b・・・とモータ114a,114b・・・とを接続すればよい(図8)。双方向ドライバ113a,113b・・・は、制御回路116により制御される。
[第2の実施の形態]
図10は、第2の実施の形態における画像形成装置1の電源部600の構成を示すブロック図である。
ここでは、第2の実施の形態における画像形成装置1の電源部600の構成が、図4のそれと異なる部分について説明する(なお図10においては、図4のDC/DCコンバータ603の記載は省略している)。
図10において、制御回路116は不揮発性メモリ200に接続され、通信線201によりデータ送受信を行っている。
予めメモリ200は、モータ114のイナーシャ、及び巻き線抵抗を記憶している。モータ114の回転後、その回転が安定してから、モータ114とGND126との間に接続されたモータ電流検出回路202により、モータの負荷トルクとなる負荷電流が測定される。測定された電流は、モータ電流信号203として制御回路116に入力される。モータ電流信号203は、通信線201を介してメモリ200に記憶される。
制御回路116は、モータ電流信号203の値、既知である駆動用電源ライン(モータ駆動用電源118)のコンデンサ(電解コンデンサ)110の容量、及びモータの減速時間などに基づいて回生電圧を算出する。算出された回生電力に基づいて、制御回路116は、回生補正信号124を出力する。
図11は、第2の実施の形態における画像形成装置1の制御回路116の動作を示すフローチャートである。
このフローチャートでは、モータ114を回転させ、モータ114の減速時に適切な回生補正信号(補正電圧)124を算出し、出力する処理が行われる。
ステップS101において、制御回路116は双方向ドライバ113に信号を送ることによりモータ114を回転させる。ステップS103において、一定時間が経過したことを測定すると、ステップS105で制御回路116は、モータ電流検出回路202によりモータに流れる電流を測定する。
ステップS107において制御回路116は、測定されたモータ電流をメモリ200に記憶する。
ステップS109において制御回路116は、モータ114の停止が指示されたかを判定し、YESとなるまで待機する。ステップS109でYESとなれば、ステップS111において、モータ114のイナーシャ、モータ回転数、モータ電流、モータ巻き線抵抗、及び減速時間(並びに必要であれば、コンデンサ110の容量)に基づいて、モータ114の減速時に適切な回生補正信号124を算出する。
ステップS113において制御回路116は、算出された回生補正信号124を出力する。
なお、ここでは回生補正信号124を算出することとしたが、モータ電流に基づいて回生補正信号124を求めるテーブルをメモリ200に格納しておき、それを用いてモータ電流から回生補正信号124を求めても良い。また図8に示されるように、減速時間により回生補正信号を経時的に変化させても良い。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態における画像形成装置の説明において、第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、ここでの説明を繰り返さない。
図12は、第3の実施の形態の画像形成装置51のハードウェア構成を示す側断面図である。
画像形成装置51は、いわゆる4サイクル機である。画像形成装置51のトナー像形成部350は、現像ラックユニット(移動部材の一例)360、感光体ドラム371、中間転写ベルト305、及び転写ローラ307などを備えている。感光体ドラム371は、中間転写ベルト305及び現像ラックユニット360に近接して配置されている。感光体ドラム371の周囲には、帯電器373、対向ローラ(ローラの一例)375、及びレーザスキャンユニット370などが配置されている。帯電器373は、感光体ドラム371を帯電させる。レーザスキャンユニット370は、感光体ドラム371上に画像パターンを露光する。対向ローラ375は、感光体ドラム371との間に中間転写ベルト305を挟むように配置されており、感光体ドラム371上に形成されたトナー像の1次転写を行う。
現像ラックユニット360には、CMYK各色に対応する4つのカートリッジ(現像器)361C,361M,361Y,361K(以下、これらをまとめてカートリッジ361と称することがある)が装着可能である。カートリッジ361は、トナーとトナーを現像する現像ローラなどから構成される。
現像ラックユニット360は、回転可能に設けられている。画像形成時においては、CPU20は、現像ラックユニット360を回動させることで、順次カートリッジ361を感光体ドラム371に向かい合う現像位置(動作位置の一例)に回転させる。これにより、レーザスキャンユニット370により潜像が形成された感光体ドラム371にトナー像の形成(現像)が行われる。YMCK各色について、1色ずつ順に、感光体ドラム371を帯電、露光、現像させ、形成されたトナー像を、対向ローラ375によって中間転写ベルト305に転写させる。中間転写ベルト305上で4色のトナー像が重ね合わされると、転写ローラ307で用紙を圧接して、形成されたトナー像の2次転写を行う。トナー像が転写された用紙は、定着装置400での定着工程を経て、排紙ローラ230により排出される。
画像形成装置51の駆動部500は、現像ラックユニット360を回転駆動させるためのラック駆動モータ(モータの一例、移動手段の一例)550を有している。CPU20は、ラック駆動モータ550の回転を制御することにより、現像ラックユニット360の回転駆動の制御を行う。
現像ラックユニット360は、画像形成動作を行わないとき、所定の姿勢(回転位相)となる待機位置で静止される。画像形成動作が正常に終了すると、CPU20は、現像ラックユニット360を現像位置から待機位置に復帰させる。現像ラックユニット360が待機位置にあるとき、メンテナンス作業などのため筐体を開けたユーザは各カートリッジ361の交換を容易に行うことができる。また、現像ラックユニット360は、待機位置にあるとき、筐体を開けたユーザが現像ローラやトナーに直接触れることがないように、カバー部材などが配されて構成されている。また、現像ラックユニット360は、待機位置にあるとき画像形成動作が開始されると、適切な色のトナーから現像可能になるように、速やかに現像ラックユニット360を現像位置に移動させることができるように構成されている。
第3の実施の形態においては、上述の第1および第2の実施の形態と同様にしてモータの回生制動が行われる。回生制動は、例えば、ラック駆動モータ550や、それ以外のモータについて行われる。
第3の実施の形態においても、図4または10に示される電源制御装置を用いることができる。
[実施の形態における効果]
上述のように電源制御装置は、AC/DCコンバータにより作成された第1の直流電源118と、第1の直流電源118に接続された双方向ドライバ113を介した1つ以上のモータ114とを有する。モータ回生時をトリガとして、予め予測された回生エネルギによる電圧上昇分だけ、AC/DCコンバータの出力電圧値を下げる制御が行われる。
AC/DCコンバータの出力電圧値を低下させる量は、各モータのイナーシャ、巻き線抵抗、負荷トルク、回転数、及び減速時間のいずれか1つ以上に基づいて決定される。すなわち、各モータのイナーシャ、巻き線抵抗、負荷トルク、回転数、モータの負荷トルク、及び減速時間のいずれか1つ以上に基づいて、発生する回生エネルギーが予測される。AC/DCコンバータの出力電圧値を低下させる量は一定値としてもよいし、図8に示されるように、時間により変動させ、可変させてもよい。
モータの負荷トルクは、モータ定常回転時におけるモータ電流の検出結果から算出することができる。
上述のようなモータは、DCブラシレスモータで構成することができ、電子写真のモータとして用いることができる。
上記の構成により電源制御装置は、モータの減速時に、モータ回転数指令となる周波数を下げていく。モータ電流を駆動電源に回生させた時、モータ駆動用電源の電圧値を下げ、駆動用電源の電圧値を一定に保つ。より詳しくは電源制御装置は、モータの回生エネルギーを予測し、それによる電圧上昇分をキャンセルするために、AC/DCコンバータの駆動用電圧指令を変更する。これにより、駆動用電圧が一定に保たれる。
モータ駆動時及びモータ停止状態においては、駆動用電源はAC/DCコンバータにて定電圧制御される。モータ減速時にモータが回生モードとなったときには、その回生エネルギーによる駆動電圧上昇分が予測され、AC/DCコンバータの設定電圧を下げる処理が行われる。これにより、駆動電圧を変化させることなく回生エネルギーを有効に利用できる。
本実施の形態では、回生電力が生じても電源電圧が一定に保たれるため、問題なくそのエネルギーを有効利用できる。また省エネ時のみでなく、常時エネルギーを利用できる。すなわち、モータ停止時の回生エネルギーを電源としての精度を維持したまま有効に活用できる。
[その他]
なお、上述の第3の実施の形態において、現像ラックユニットなど、大型で動作時の運動エネルギーが大きい部材に連動するモータで回生制動を行うようにすることにより、より大きい回生電力を長時間発生させることができる。
また、画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などいずれであってもよい。また、画像形成装置は、スキャナ機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)であってもよい。スキャナ機能では、セットされた原稿の画像を読み取ってそれをHDD等に蓄積する。複写機能では、さらにそれを用紙等に印刷(プリント)する。プリンタとしての機能では、PC等の外部端末から印刷指示を受けるとその指示に基づいて用紙に印刷を行う。ファクシミリ機能では、外部のファクシミリ装置等からファクシミリデータを受信してそれをHDD等に蓄積する。データ通信機能では、接続された外部機器との間でデータを送受信する。サーバ機能では、複数のユーザでHDD等に記憶したデータなどを共有可能にする。
また、画像形成装置は、電子写真方式により画像を形成するものに限られず、例えばいわゆるインクジェット方式により画像を形成するものであってもよい。
さらに本発明は、画像形成装置の電源以外の電源を制御する電源制御装置にも用いることが可能である。
なお、上述の実施の形態における処理は、ソフトウエアによって行なっても、ハードウエア回路を用いて行なってもよい。
また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。上述のフローチャートや文章で示された処理は、プログラムに従ってCPU(コンピュータの一例)によって実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。