JP5141513B2 - 失火判定装置および失火判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、失火判定装置および失火判定方法に関する。
従来、この種の失火判定装置としては、ダンパを介して車軸に動力を出力するエンジンと車軸に動力を出力するモータとを備えるハイブリッド車におけるエンジンの失火を判定する装置において、エンジンのトルク変動を打ち消すための制振制御を考慮してエンジンの失火を判定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、クランクシャフトが30度回転するのに要する30度所要時間から制振制御のためにモータから出力されるトルクがクランクシャフトの回転変動に影響する影響成分を減じて演算される判定用所要時間を用いてエンジンの失火を判定することにより、エンジンの失火をより適正に判定している。
特開2007−303309号公報
しかしながら、上述の装置では、シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときにエンジンの失火を精度良く判定できない場合が生じる。シフトレバーが駐車ポジションの位置にあってパーキングロック機構のギヤが噛み合っているときとシフトレバーが駐車ポジションの位置にあるにも拘わらずパーキングロック機構のギヤが噛み合っていないときとでは、ダンパに接続された車軸側の機械的な系が異なるため、ギヤが噛み合っているものとしてエンジンの失火を判定すると、ギヤが噛み合っていないときにはエンジンが失火していないにも拘わらずエンジンが失火していると誤判定するおそれがあり、逆に、ギヤが噛み合っていないものとしてエンジンの失火を判定すると、ギヤが噛み合っているときにはエンジンが失火しているにも拘わらずエンジンの失火を検出することができないおそれがある。
本発明の失火判定装置および失火判定方法は、出力軸がねじれ要素を介して車軸側に接続された複数気筒の内燃機関と車軸に動力を出力する電動機とシフトレバーが駐車ポジションに操作されたときにギヤの噛み合いにより車軸が回転しないよう固定可能な固定装置とを備えるハイブリッド車において、シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに固定装置のギヤが噛み合っているか否かをより適正に判定すると共にその判定結果に基づいて内燃機関の失火をより適正に判定することを主目的とする。
本発明の失火判定装置および失火判定方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の失火判定装置は、
内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と車軸に連結された駆動軸とに接続されたねじれ要素と、前記駆動軸に動力を出力する電動機と、前記車軸に直接または間接的に取り付けられ該車軸の回転に伴って回転する第1のギヤと該第1のギヤとの噛み合いにより前記車軸が回転しないよう固定可能な第2のギヤとを有しシフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに前記第2のギヤを前記第1のギヤに噛み合い可能に作用する固定手段と、を備えるハイブリッド車における前記内燃機関の失火を判定する失火判定装置であって、
前記出力軸の回転数を検出する出力軸回転数検出手段と、
前記駆動軸の回転数を検出する駆動軸回転数検出手段と、
シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに、前記検出された駆動軸の回転数の変動量が所定量以上のときには前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っていないと判定し、前記検出された駆動軸の回転数の変動量が前記所定量未満のときには前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っていると判定する噛み合い判定手段と、
シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに、前記噛み合い判定手段により前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っていないと判定されたときには前記検出された出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する第1の影響量とを用いて前記内燃機関の失火を判定し、前記噛み合い判定手段により前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っていると判定されたときには前記検出された出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する前記第1の影響量より大きい第2の影響量とを用いて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の失火判定装置では、シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに、車軸に連結された駆動軸の回転数の変動量が所定量以上のときには固定手段の第2のギヤが第1のギヤに噛み合っていないと判定して内燃機関の出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する第1の影響量とを用いて内燃機関の失火を判定し、駆動軸の回転数の変動量が所定量未満のときには第2のギヤが第1のギヤに噛み合っていると判定して出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する第1の影響量より大きい第2の影響量とを用いて内燃機関の失火を判定する。これにより、シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに固定手段のギヤが噛み合っているか否かをより適正に判定すると共にその判定結果に基づいて内燃機関の失火をより適正に判定することができる。ここで、車両の共振に対する「第1の影響量」および「第2の影響量」は、ねじれ要素の共振が内燃機関の出力軸の回転数に影響する影響量であるものとすることもできる。
こうした本発明の失火判定装置において、前記噛み合い判定手段は、前記検出された駆動軸の回転数の絶対値の所定時間に亘る時間積分を前記駆動軸の回転数の変動量として前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っているか否かを判定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、固定手段のギヤが噛み合っているか否かをより適正に判定することができる。
また、本発明の失火判定装置において、前記駆動軸回転数検出手段に代えて前記電動機の回転数を検出する電動機回転数検出手段を備え、前記噛み合い判定手段は、前記駆動軸の回転数の変動量に代えて前記検出された電動機の回転数の変動量を用いて前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っているか否かを判定する手段である、ものとすることもできる。これは、電動機が駆動軸に接続されていることに基づく。こうすれば、電動機の制御のために電動機回転検出手段を備える場合に、固定手段のギヤが噛み合っているか否かをより容易に判定することができる。
さらに、本発明の失火判定装置において、前記失火判定手段は、前記検出された出力軸の回転数から前記第1の影響量および前記第2の影響量を減衰させた実行用回転数を用いて前記内燃機関の失火を判定する手段であるものとすることもできるし、前記検出された出力軸の回転数と前記検出された駆動軸の回転数とにより前記ねじれ要素のねじれ角を演算すると共に該演算したねじれ角と前記ねじれ要素のバネ定数と前記ねじれ要素より前記内燃機関側の慣性モーメントとに基づいて前記第1の影響量および前記第2の影響量を演算して前記内燃機関の失火を判定する手段であるものとすることもできる。
本発明の失火判定方法は、
内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と車軸に連結された駆動軸とに接続されたねじれ要素と、前記駆動軸に動力を出力する電動機と、前記車軸に直接または間接的に取り付けられ該車軸の回転に伴って回転する第1のギヤと該第1のギヤとの噛み合いにより前記車軸が回転しないよう固定可能な第2のギヤとを有しシフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに前記第2のギヤを前記第1のギヤに噛み合い可能に作用する固定手段と、を備えるハイブリッド車における前記内燃機関の失火を判定する失火判定方法であって、
シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに、前記駆動軸の回転数の変動量が所定量以上のときには前記出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する第1の影響量とを用いて前記内燃機関の失火を判定し、前記駆動軸の回転数の変動量が前記所定量未満のときには前記出力軸の回転数の変動と車両に共振に対する前記第1の影響量より大きい第2の影響量とに基づいて前記内燃機関の失火を判定する、
ことを特徴とする。
この本発明の失火半手方法では、シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに、車軸に連結された駆動軸の回転数の変動量が所定量以上のときには固定手段の第2のギヤが第1のギヤに噛み合っていないと判断して内燃機関の出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する第1の影響量とを用いて内燃機関の失火を判定し、駆動軸の回転数の変動量が所定量未満のときには第2のギヤが第1のギヤに噛み合っていると判断して出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する第1の影響量より大きい第2の影響量とを用いて内燃機関の失火を判定する。これにより、シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに固定手段のギヤが噛み合っているか否かをより適正に判定すると共にその判定結果に基づいて内燃機関の失火をより適正に判定することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての失火判定装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。ここで、実施例の失火判定装置としては、主として、後述するエンジン用電子制御ユニット24やモータ用電子制御ユニット40,クランクポジションセンサ23,回転位置検出センサ43,44が該当する。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26のクランク角を検出するクランクポジションセンサ23からのクランクポジションなどが入力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、クランクポジションセンサ23は、クランクシャフト26と回転同期して回転するように取り付けられて10度毎に歯が形成されると共に基準位置検出用に2つ分の欠歯を形成したタイミングローターを有する電磁ピックアップセンサとして構成されており、クランクシャフト26が10度回転する毎に整形波を生じさせる。エンジンECU24では、このクランクポジションセンサ23からの整形波に基づいてクランクシャフト26が30度回転する毎の回転数をエンジン22の回転数Neとして計算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34に接続された連結軸としてのキャリア軸34aにダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
ギヤ機構60には、ファイナルギヤ60aに取り付けられたパーキングギヤ57と、パーキングギヤ57と噛合してその回転駆動を停止した状態でロックするパーキングロックポール58とからなるパーキングロック機構56が取り付けられている。パーキングロックポール58は、シフトレバー81の他のポジションから駐車ポジションへの操作信号または駐車ポジションから他のポジションへの操作信号が入力されたハイブリッド用電子制御ユニット70により図示しないアクチュエータが駆動制御されることによって作動し、パーキングギヤ57との噛合およびその解除によりパーキングロックおよびその解除を行なう。ファイナルギヤ60aは、機械的に駆動輪63a,63bに接続されているから、パーキングロック機構56は間接的に駆動輪63a,63bをロックできることになる。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、パーキングロック機構56の図示しないアクチュエータへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。なお、シフトポジションSPとしては、駐車ポジションやニュートラルポジション,前進走行用のドライブポジション,後進走行用のリバースポジションなどがある。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるよ操作者の操作うにエンジン22とモータMG1とモータMG2が運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20に搭載されたエンジン22のいずれかの気筒が失火しているか否かを判定する際の動作、特にシフトレバー81が駐車ポジションの位置にあるときにエンジン22の失火を判定する際の動作について説明する。図2はエンジンECU24により実行される失火判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81が駐車ポジションの位置でエンジン22が運転されているときに所定時間毎に繰り返し実行される。
失火判定ルーチンが実行されると、エンジンECU24のCPU24aは、まず、エンジン22の回転数Neや影響成分Ndeを入力し(ステップS100)、入力したエンジン22の回転数Neから影響成分Ndeを減じて判定用回転数Njを計算すると共に(ステップS110)、計算した判定用回転数Njの逆数によりクランクシャフト26が30度回転するのに要する時間としての30度回転数所要時間T30を計算する処理を実行する(ステップS120)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクポジションセンサ140からの整形波に基づいてクランクシャフト26が30度回転する毎に計算される回転数Neのうちクランク角CAに対応するものを入力するものとした。また、影響成分Ndeは、ダンパ28の共振によるねじれがエンジン22の回転数Neに影響する成分であり、図3に例示する駐車ポジション時影響成分演算処理により演算されてRAM24cの所定アドレスに書き込まれたものを読み込むことにより入力するものとした。なお、駐車ポジション時影響成分演算処理については、説明の都合上、後述する。
続いて、失火判定の対象となる気筒の圧縮行程の上死点から30度後(ATDC30)と90度後(ATDC90)との30度回転所要時間T30(ATDC30),T30(ATDC90)の差分[T30(ATDC30)−T30(ATDC90)]を所要時間差分TD30として計算すると共に(ステップS130)、計算した所要時間差分TD30と360度前に所要時間差分TD30として計算された値との差(所要時間差分TD30の360度差)[TD30−TD30(360度前)]を判定用値J30として計算し(ステップS140)、計算した判定用値J30を閾値Jrefと比較し(ステップS150)、判定用値J30が閾値Jref以上のときには対象の気筒が失火していると判定して(ステップS160)、失火判定処理を終了し、判定用値J30が閾値Jref未満のときには対象の気筒は失火していないと判定して失火判定処理を終了する。ここで、所要時間差分TD30は、圧縮上死点からの角度から考えれば、エンジン22の燃焼(爆発)によるクランクシャフト26の加速の程度から、その気筒が正常に燃焼(爆発)していれば負の値となり、その気筒が失火していれば正の値となる。このため、判定用値J30は、対象の気筒が正常に燃焼(爆発)していれば値0近傍の値となり、対象の気筒が失火していれば失火している気筒の所要時間差分TD30から正常に燃焼している気筒の所要時間差分TD30を減じることになるから正常に燃焼している気筒の所要時間差分TD30の絶対値より大きな正の値となる。従って、閾値Jrefを、正常に燃焼している気筒の所要時間差分TD30の絶対値の近傍の値として設定することにより、対象の気筒の失火を精度良く判定することができる。
次に、図3の駐車ポジション時影響成分演算処理について説明する。この処理は、図2の駐車ポジション時失火判定ルーチンと並行して所定時間毎に繰り返し実行される。駐車ポジション時影響成分演算処理では、エンジンECU24のCPU24aは、まず、エンジン22の回転数NeやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を入力し(ステップS200)、入力したモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrを演算すると共に(ステップS210)、モータMG1の回転数Nm1と演算したリングギヤ軸32aの回転数Nrとと動力分配統合機構30のギヤ比ρ(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)とに基づいて次式(1)によりキャリア軸34aの回転数であるキャリア回転数Ncを計算し(ステップS220)、エンジン22の回転数Neと計算したキャリア回転数Ncとに基づいて次式(2)によりダンパ28のねじれ角θを計算する(ステップS230)。ここで、エンジン22の回転数Neは、上述した図2の駐車ポジション時失火判定ルーチンのステップS100の処理と同様に入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算される回転数Nm1,Nm2のうちクランク角CAに対応するものをモータECU40から通信により入力するものとした。
Nc=(ρ・Nm1+Nr)/(1+ρ) (1)
θ=2π・∫(Ne-Nc)dt (2)
続いて、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrの絶対値を所定時間(例えば、数秒)において時間積分することにより回転数変動量SNrを演算し(ステップS240)、演算した回転数変動量SNrを閾値Srefと比較する(ステップS250)。ここで、回転数変動量SNrは、所定時間当たりにリングギヤ軸32aの回転数Nrが変動した変動量に相当する。また、閾値Srefは、パーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っている状態でエンジン22が運転されているときのリングギヤ軸32aの回転数Nrの変動量より若干大きい値として予め実験などにより定められた値を用いることができる。シフトレバー81が駐車ポジションの位置にあるときのパーキングギヤ57とパーキングロックポール58の状態を示す模式図を図4に示す。ここで、図4(a)は、パーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っているときの状態を示し、図4(b)は、シフトレバー81が駐車ポジションの位置にあるにも拘わらずパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていないときの状態を示す。ステップS250の処理は、こうしたパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っているか否かを判定する処理である。即ち、回転数変動量SNrが閾値Sref以上のときには、シフトレバー81が駐車ポジションにあるにも拘わらずパーキングギヤ57がパーキングロックポール58に噛み合っていないと判断し、回転数変動量SNrが閾値Sref未満のときには、パーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていると判断するのである。これは、以下の理由による。いま、エンジン22が運転されているときを考えており、エンジン22の燃焼(爆発)に伴うトルク脈動はダンパ28などを介して後段のリングギヤ軸32aにも作用する。パーキングギヤ57がパーキングロックポール58とが噛み合っていない場合には、これらが噛み合っている場合に比してダンパ28の後段に接続された機械的な系が小さいために、エンジン22のトルク脈動によってリングギヤ軸32aの回転数Nrが大きく変動することになる。このため、実施例では、回転数変動量SNrに基づいてパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っているか否かを判定するものとした。このように駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrの変動量を用いることにより、パーキングギヤ57とパーキングロックポール58との噛み合いをより適正に判定することができる。
回転数変動量SNrが閾値Sref以上のときには、シフトレバー81が駐車ポジションの位置にあるにも拘わらずパーキングギヤ57がパーキングロックポール58に噛み合っていないと判断し、ハイブリッド自動車20のエンジン22やダンパ28,モータMG1,MG2等の各要素に基づく振動モデルに関連する定数である定数関係値αに値α1を設定し(ステップS260)、回転数変動量SNrが閾値Sref未満のときは、パーキングギヤ57がパーキングロックポール58に噛み合っていると判断し、定数関係値αに値α1より大きい値α2を設定する(ステップS270)。そして、設定した定数関係値αと計算したねじれ角θとを用いてダンパ28の共振によるねじれがエンジン22の回転数Neに与える影響としての影響成分Ndeを次式(3)式により演算して(ステップS280)、駐車ポジション時影響成分設定処理を終了する。ここで、値α1,α2は、それぞれパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていないときとこれらが噛み合っているときとにダンパ28の共振によるねじれがエンジン22の回転数Neに与える影響の大きさに比例する値として予め実験などにより定めた値を用いることができる。値α2が値α1より大きいのは、パーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っているときにはこれらが噛み合っていないときに比してダンパ28の後段に接続された機械的な系が大きくなり、ダンパ28の共振による影響が大きくなることに基づく。即ち、パーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っているか否かによってダンパ28のねじれに基づく車両の共振特性が異なるため、これらが噛み合っているか否かの判定に応じて定数関係値αを設定するのである。このように設定される定数関係値αを用いて影響成分Ndeを演算することにより、ダンパ28の共振によるねじれがエンジン22の回転数Neに与える影響をより適正に推定することができる。また、こうして演算された影響成分Ndeを用いて上述した図2の駐車ポジション時失火判定ルーチンにおいてエンジン22の失火を判定するから、パーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っているか否かに応じてエンジン22の失火をより適正に判定することができる。なお、シフトレバー81が駐車ポジションに操作されたときにパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていなくても、エンジン22のトルク脈動に伴うリングギヤ軸32aの回転によりパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合った場合には、その後ステップS250で回転数変動量SNrが閾値Sref未満となり、定数関係値αとして値α2を用いて影響成分Ndeが演算されることになる。
Nde=α・∫θ dt (3)
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20が搭載する失火判定装置によれば、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrの絶対値を所定時間において時間積分することにより演算される回転数変動量SNrが閾値Sref以上のときには、シフトレバー81が駐車ポジションの位置にあるにも拘わらずパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていないと判断して定数関係値αとして値α1を用いて影響成分Ndeを演算すると共に演算した影響成分Ndeを用いてエンジン22の失火を判定し、回転数変動量SNrが閾値Sref未満のときには、パーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていると判断して定数関係値αとして値α1より大きい値α2を用いて影響成分Ndeを演算すると共に演算した影響成分Ndeを用いてエンジン22の失火を判定するから、シフトレバー81が駐車ポジションの位置にあるときにパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っているか否かをより適正に判定すると共にその判定結果に基づいてエンジン22の失火をより適正に判定することができる。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する失火判定装置では、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrの絶対値を所定時間において時間積分することにより演算される回転数変動量SNrを用いてパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っているか否かを判定するものとしたが、リングギヤ軸32aの回転数Nrの変動量に基づいてパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っているか否かを判定するものとすればよく、例えば、所定時間におけるリングギヤ軸32aの回転数Nrの最大値や最小値の絶対値が閾値以上のときにパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていると判定するものとしたり、所定時間におけるリングギヤ軸32aの回転数Nrの最大値と最小値との差が閾値以上のときにパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていると判定するものとしてもよい。ここで、閾値としては、シフトレバー81が駐車ポジションの位置にある状態でエンジン22が運転されているときのリングギヤ軸32aの回転数Nrの変動量に基づいて予め実験などにより定められた値を用いるものとすればよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する失火判定装置では、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrを用いてパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っているか否かを判定するものとしたが、リングギヤ軸32aの回転数に代えてモータMG2の回転数Nm2を用いてパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っているか否かを判定するものとしてもよい。この場合、図3の駐車ポジション時影響成分演算処理においてリングギヤ軸32aの回転数Nrに代えてモータMG2の回転数Nm2を用いるものとすればよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する失火判定装置では、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrを演算するものとしたが、リングギヤ軸32aの回転数Nrを検出する回転数検出センサによりリングギヤ軸32aの回転数Nrを直接検出するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する失火判定装置では、判定用回転数Njに基づく判定用値J30を閾値J30refと比較することによって判定用回転数Njの回転変動が所定変動以上であるか否かを判定するものとしたが、30度回転所要時間T30の波高が所定値Tref以上のときに判定用回転数Njの回転変動が所定変動以上であると判定するものとしても構わない。ここで、所定値Trefとしては、エンジン22が失火していないときの波高よりも大きく、エンジン22が失火しているときの波高よりも小さい値として予め実験などにより定めた値を用いることができる。
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する失火判定装置では、エンジン22のクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続されると共にモータMG1の回転軸や駆動軸としてのリングギヤ軸32aに接続される動力分配統合機構30とリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されるモータMG2とを備える車両におけるエンジン22の失火を判定するものとしたが、エンジンとこのエンジンの出力軸と車軸に機械的に連結された駆動軸とに接続されたねじれ要素と駆動軸に動力を入出力するモータとパーキングロック機構とを備える車両におけるエンジンの失火を判定するものであればよいから、図5の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図5における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続する車両におけるエンジン22の失火を判定するものとしてもよい。また、モータMG2は、減速ギヤ35に代えて2段変速や3段変速,4段変速などの変速機を介してリングギヤ軸32aに接続されるものとしてもよいし、減速ギヤ35や変速機を介さずに車軸側に接続されていてもよい。さらに、車軸に連結された回転軸に動力を入出力する単一のモータを備える車両におけるエンジンの失火を判定するものとしても構わない。そして、実施例では、ハイブリッド自動車20に搭載された内燃機関の失火判定装置として説明したが、内燃機関の失火判定方法の形態としてもよい。
ここで、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、ダンパ28が「ねじれ要素」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、パーキングロック機構56が「固定手段」に相当し、クランクシャフト26のクランク角を検出するクランクポジションセンサ23と検出されたクランク角に基づいてエンジン22の回転数Neを演算するエンジンECU24とが「出力軸回転数検出手段」に相当し、モータMG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ44と検出された回転位置に基づいてモータMG2の回転数Nm2を演算するモータECU40と演算された回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrを演算する図3の駐車ポジション時影響成分設定処理のステップS210の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とが「駆動軸回転数検出手段」に相当し、シフトレバー81が駐車ポジションの位置にあるときに、リングギヤ軸32aの回転数Nrの絶対値を所定時間において時間積分することにより演算される回転数変動量SNrが閾値Sref以上のときにはパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていないと判定し、回転数変動量SNrが閾値Sref未満のときにはパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていると判定する図3の駐車ポジション時影響成分演算処理のステップS240,S250の処理を実行するエンジンECU24が「噛み合い判定手段」に相当し、シフトレバー81が駐車ポジションの位置にあるにも拘わらずパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていないと判定されるときには定数関係値αとして値α1を用いて影響成分Ndeを演算すると共に演算した影響成分Ndeを用いてエンジン22の失火を判定し、パーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていると判定されるときには定数関係値αとして値α1より大きい値α2を用いて影響成分Ndeを演算すると共に演算した影響成分Ndeを用いてエンジン22の失火を判定する図3の駐車ポジション時影響成分演算処理のステップS260〜S280の処理や図2の駐車ポジション時失火判定ルーチンを実行するエンジンECU24が「失火判定手段」に相当する。また、モータMG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ44と検出された回転位置に基づいてモータMG2の回転数Nm2を演算するモータECU40とが「電動機回転数検出手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する4気筒の内燃機関に限定されるものではなく、6気筒や8気筒の内燃機関としてもよいし、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「ねじれ要素」としては、ダンパ28に限定されるものではなく、内燃機関の出力軸と車軸に機械的に連結された連結軸とに接続されたものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、車軸に連結された回転軸に動力を入出力するものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「出力軸回転数検出手段」としては、クランクシャフト26のクランク角を検出すると共に検出したクランク角に基づいてクランクシャフト26が30度回転する毎の回転数をエンジン22の回転数Neとして演算するものに限定されるものではなく、クランクシャフト26が5度回転する毎の回転数を検出するものなど、出力軸の回転数である出力軸回転数を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「駆動軸回転数検出手段」としては、モータMG2の回転数Nm2に基づいてリングギヤ軸32aの回転数Nrを演算するものに限定されるものではなく、駆動軸の回転数を直接検出するものなど、駆動軸の回転数である駆動軸回転数を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「噛み合い判定手段」としては、シフトレバー81が駐車ポジションの位置にあるときに、リングギヤ軸32aの回転数Nrの絶対値を所定時間において時間積分することにより演算される回転数変動量SNrが閾値Sref以上のときにはパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていないと判定し、回転数変動量SNrが閾値Sref未満のときにはパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていると判定するものに限定されるものではなく、シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに、車軸に連結された駆動軸の回転数の変動量が所定量以上のときには固定手段の第2のギヤが第1のギヤに噛み合っていないと判定し、駆動軸の回転数の変動量が所定量未満のときには第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っていると判定するものであれば如何なるものとしても構わない。「失火判定手段」としては、シフトレバー81が駐車ポジションの位置にあるにも拘わらずパーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていないと判定されるときには定数関係値αとして値α1を用いて影響成分Ndeを演算すると共に演算した影響成分Ndeを用いてエンジン22の失火を判定し、パーキングギヤ57とパーキングロックポール58とが噛み合っていると判定されるときには定数関係値αとして値α1より大きい値α2を用いて影響成分Ndeを演算すると共に演算した影響成分Ndeを用いてエンジン22の失火を判定するものに限定されるものではなく、シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに、噛み合い判定手段により固定手段の第2のギヤが第1のギヤに噛み合っていないと判定されたときには内燃機関の出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する第1の影響量とを用いて内燃機関の失火を判定し、噛み合い判定手段により第2のギヤが第1のギヤに噛み合っていると判定されたときには出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する第1の影響量より大きい第2の影響量とを用いて内燃機関の失火を判定するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例や変形例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、内燃機関の失火判定装置の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例としての失火判定装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジンECU24により実行される失火判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 エンジンECU24により実行される駐車ポジション時影響成分演算処理の一例を示すフローチャートである。 シフトレバー81が駐車ポジションの位置にあるときのパーキングギヤ57とパーキングロックポール58の状態を示す模式図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、34a キャリア軸、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。

Claims (5)

  1. 内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と車軸に連結された駆動軸とに接続されたねじれ要素と、前記駆動軸に動力を出力する電動機と、前記車軸に直接または間接的に取り付けられ該車軸の回転に伴って回転する第1のギヤと該第1のギヤとの噛み合いにより前記車軸が回転しないよう固定可能な第2のギヤとを有しシフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに前記第2のギヤを前記第1のギヤに噛み合い可能に作用する固定手段と、を備えるハイブリッド車における前記内燃機関の失火を判定する失火判定装置であって、
    前記出力軸の回転数を検出する出力軸回転数検出手段と、
    前記駆動軸の回転数を検出する駆動軸回転数検出手段と、
    シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに、前記検出された駆動軸の回転数の変動量が所定量以上のときには前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っていないと判定し、前記検出された駆動軸の回転数の変動量が前記所定量未満のときには前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っていると判定する噛み合い判定手段と、
    シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに、前記噛み合い判定手段により前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っていないと判定されたときには前記検出された出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する第1の影響量とを用いて前記内燃機関の失火を判定し、前記噛み合い判定手段により前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っていると判定されたときには前記検出された出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する前記第1の影響量より大きい第2の影響量とを用いて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と、
    を備え
    車両の共振に対する前記第1の影響量は、前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っていないときに前記ねじれ要素の共振が前記出力軸の回転数に影響する影響量であり、
    車両の共振に対する前記第2の影響量は、前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っているときに前記ねじれ要素の共振が前記出力軸の回転数に影響する影響量である、
    失火判定装置。
  2. 請求項1記載の失火判定装置であって、
    前記噛み合い判定手段は、前記検出された駆動軸の回転数の絶対値の所定時間に亘る時間積分を前記駆動軸の回転数の変動量として前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っているか否かを判定する手段である、
    失火判定装置。
  3. 請求項1または2記載の失火判定装置であって、
    前記駆動軸回転数検出手段に代えて前記電動機の回転数を検出する電動機回転数検出手段を備え、
    前記噛み合い判定手段は、前記駆動軸の回転数の変動量に代えて前記検出された電動機の回転数の変動量を用いて前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っているか否かを判定する手段である、
    失火判定装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載された失火判定装置であって、
    前記失火判定手段は、前記検出された出力軸の回転数から前記第1の影響量および前記第2の影響量を減衰させた実行用回転数を用いて前記内燃機関の失火を判定する手段である、
    失火判定装置。
  5. 内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と車軸に連結された駆動軸とに接続されたねじれ要素と、前記駆動軸に動力を出力する電動機と、前記車軸に直接または間接的に取り付けられ該車軸の回転に伴って回転する第1のギヤと該第1のギヤとの噛み合いにより前記車軸が回転しないよう固定可能な第2のギヤとを有しシフトレバーが駐車ポジションに操作されたときに前記第2のギヤを前記第1のギヤに噛み合い可能に作用する固定手段と、を備えるハイブリッド車における前記内燃機関の失火を判定する失火判定方法であって、
    シフトレバーが駐車ポジションの位置にあるときに、前記駆動軸の回転数の変動量が所定量以上のときには前記出力軸の回転数の変動と車両の共振に対する第1の影響量とを用いて前記内燃機関の失火を判定し、前記駆動軸の回転数の変動量が前記所定量未満のときには前記出力軸の回転数の変動と車両に共振に対する前記第1の影響量より大きい第2の影響量とに基づいて前記内燃機関の失火を判定するステップを含み、
    車両の共振に対する前記第1の影響量は、前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っていないときに前記ねじれ要素の共振が前記出力軸の回転数に影響する影響量であり、
    車両の共振に対する前記第2の影響量は、前記第2のギヤが前記第1のギヤに噛み合っているときに前記ねじれ要素の共振が前記出力軸の回転数に影響する影響量である、
    ことを特徴とする失火判定方法。
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