JP5139016B2 - オキソジベンゾオキセピン酢酸第3級アルキルエステルの製造方法 - Google Patents
オキソジベンゾオキセピン酢酸第3級アルキルエステルの製造方法 Download PDFInfo
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そこで本発明は、オロパタジンの製造原料としての、グリニア試薬と反応させることができるジベンゾオキセピン誘導体およびその製造方法、ならびにそれを利用したオロパタジンの製造方法を提供することを課題とする。
[1] 下記式(1):
で表されるオキソジベンゾオキセピン酢酸第3級アルキルエステルの製造方法、
[2] エステル化が、無水トリフルオロ酢酸および炭素数4〜6の第3級アルコールにより行なわれる前項[1]に記載の製造方法、
[3] エステル化が、下記式(4)で表されるビニリデン化合物およびリンハロゲン化物により行われる前項[1]に記載の製造方法、
[4] 以下の工程1〜5を包含する方法により上記式(1)で表されるオキソジベンゾオキセピン酢酸を製造し、これをエステル化する請求項1に記載の製造方法:
[工程1]フタライドとハロゲン化剤とを反応させて2−ハロメチルベンゾイルハライドを製造する工程;
[工程2]2−ハロメチルベンゾイルハライドとR3OH(式中、R3は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表されるアルカノールとを反応させて下記式(5)で表される2−ハロメチル安息香酸アルキルエステルを製造する工程;
[工程3]2−ハロメチル安息香酸アルキルエステルと下記式(6)で表される4−ヒドロキシフェニル酢酸アルキルエステルとを反応させて下記式(7)で表される2−(4−アルコキシカルボニルメチルフェノキシメチル)安息香酸アルキルエステルを製造する工程;
[工程4]2−(4−アルコキシカルボニルメチルフェノキシメチル)安息香酸アルキルエステルを加水分解して下記式(8)で表される2−(4−カルボキシメチルフェノキシメチル)安息香酸を製造する工程;
[5] 下記式(3):
[6] 下記式(3):
に関する。
本発明では、下記式(1):
で表されるオキソジベンゾオキセピン酢酸第3級アルキルエステルを製造する。
上記式(3)で表されるオキソジベンゾオキセピン酢酸t−ブチルエステルは、本発明者らの知見によれば新規化合物であり、本発明のひとつである。
本工程では、フタライドを適当な溶媒を用いて溶液とし、さらに触媒の存在下に加熱した溶液中に、ハロゲン化剤を添加することにより、フタライドとハロゲン化剤とを反応させることができる。フタライドとハロゲン化剤と反応させる溶媒としては、キシレンが好ましい。また、触媒としては、BF3−エーテル錯体が好ましい。
溶媒の使用量としては、フタライドの100質量部に対して100〜1000質量部程度が好ましい。
また、触媒の使用量としては、フタライドの1モルに対して0.01〜0.2モル程度が好ましい。
この工程において、2−(4−カルボキシメチルフェノキシメチル)安息香酸を無水トリフルオロ酢酸またはハロゲン化剤で処理する方法、およびルイス酸を触媒として閉環する方法自体は、公知の方法に準じて行えばよい。
・工程1
1Lの四つ口フラスコに、キシレン643ml、フタライド134.1g(1.0モル)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド18.2g(0.08モル)およびBF3−エーテル錯体9.9g(0.07モル)を加え、100℃に加熱した。次いで、塩化チオニル142.8g(1.2モル)を1時間で滴下し、さらに125〜132℃で2時間攪拌した。常圧で内温が135℃になるまでキシレンと過剰の塩化チオニル(約350ml)を留去し、さらに減圧下にキシレン(約350ml)を留去した。
上記工程1で得られた濃縮残渣にメタノール80.1g(2.5モル)を1時間で滴下した。このとき発熱と塩酸ガスの発生を伴うので、水浴で冷却して内温を60℃以下に保った。その後、50℃で1時間攪拌を行い、25℃まで冷却した。
次に、この反応液にトルエン300mlを加えた液を、炭酸カリウム70.0g(0.51モル)を水300mlに溶解した溶液に30分間かけて滴下した。トルエン層を分取し、さらに30%食塩水130gで洗浄後、減圧下に濃縮して2−クロロメチル安息香酸メチルエステル189.2gを得た。見かけ収率は102.5%であった。
(物性データ)
MS(m/z) 184(M+)
500mlの四つ口フラスコに、4−ヒドロキシフェニル酢酸30.4g(0.20モル)とメタノール300mlを仕込み、硫酸0.1gを加え加熱還流下で1時間撹拌した。次いで、減圧下で大部分のメタノールを留去した。その後、メタノール100mlを加え再度、メタノールを留去することで、4−ヒドロキシフェニル酢酸メチルエステルを得た。
上記の工程2で得た2−クロロメチル安息香酸メチルエステル38.8g(0.21モル)、炭酸カリウム30.4g(0.22モル)及びジメチルアセトアミド100mlを 1Lの四つ口フラスコに仕込み、90℃まで加熱した。
この溶液に、上記で得られた4−ヒドロキシフェニル酢酸メチルエステルの全量を1時間かけて滴下し、その後90℃で7時間撹拌を行った。反応液を水400mlに注入し、次いでトルエン200mlを加え、トルエン層を分取した。得られたトルエン層を水200mlで洗浄の後、トルエンを留去し、2−(4−メトキシカルボニルメチルフェノキシメチル)安息香酸メチルエステル64.3g(0.2045モル)を得た。見かけ収率は102.2%であった。
(物性データ)
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ 3.57(s,2H), 3.68(s,3H), 3.90(s,3H),
5.49(s,2H), 6.95(d,J=8.8Hz,2H),
7.19(d,J=8.4Hz,2H), 7.37(t,J=7.6Hz,1H),
7.74(d,J=7.6Hz,1H), 8.02(d,J=8.0Hz,1H)
上記の工程3で得られた2−(4−メトキシカルボニルメチルフェノキシメチル)安息香酸メチルエステルの全量を四つ口フラスコに仕込み、水酸化ナトリウム17.0gを水100mlに溶解した溶液と、メタノール150mlとを加え、65℃で2時間撹拌を行った。その後室温(約25℃)まで冷却してから、水200mlで希釈し、次いで活性炭2.0gを加え室温で1時間撹拌の後、ブフナーロートで濾過して活性炭を分別し、さらに該活性炭をブフナーロート上にて水100mlで洗浄した。濾過母液と洗浄液とを合わせ、60℃に加熱したものに、酢酸26.5gを水50mlに溶解した溶液を2時間かけて滴下し、同温度で結晶を析出させた。次いで、10℃まで冷却後、ブフナーロートにより濾過して結晶を採取し、さらに水200mlで洗浄した。洗浄後の結晶を減圧下に乾燥して2−(4−カルボキシメチルフェノキシメチル)安息香酸46.5g(0.1624モル)を得た。収率(工程3の4−ヒドロキシフェニル酢酸からの収率)は81.2%であった。
(物性データ)
1H NMR(400MHz,DMSOd6)
δ 3.47(s,2H), 5.45(s,2H),
6.90(d,J=8.0Hz,2H), 7.16(d,J=8.4Hz,2H),
7.47(t,J=7.6Hz,1H), 7.36(t,J=7.4Hz,1H),
7.57(d,J=7.2Hz,1H), 7.86(d,J=7.6Hz,1H)
上記の工程4で得られた2−(4−カルボキシメチルフェノキシメチル)安息香酸の全量と、クロルベンゼン200mlとを500mlの四つ口フラスコに仕込み、無水トリフルオロ酢酸75.0g(0.3753モル)を加え、約20℃で4時間攪拌した。次いで、−10〜0℃でBF3−エーテル錯体2.3g(0.0162モル)を10分間かけて滴下した後、さらに30分攪拌してから分液し、有機層を水200mlで洗浄した。洗浄後の有機層を、水酸化ナトリウム7.2gを300mlの水に溶解した液中に加えて30分間攪拌した後、分液した。分液した水層に活性炭2.0gを加えて30分間攪拌し、ブフナーロートにより濾過して活性炭を分別し、さらに該活性炭をブフナーロート上にて水10mlで洗浄した。濾液と洗浄液とを合わせたものを約40℃に保ち、これに酢酸11.3g(0.1876モル)と水50mlとの混合液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、0〜10℃に冷却し、ブフナーロートにより濾過して析出結晶を採取し、さらに水200mlで洗浄した。洗浄後の結晶を減圧下で乾燥し、表題化合物[11−オキソ−6,11−ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン−2−酢酸]42.0gを得た。収率(2−(4−カルボキシメチルフェノキシメチル)安息香酸からの収率)は96.4%、HPLCで測定した純度は99.9%であった。
(HPLC条件)
カラム:Inertsil ODS−5μm(4.6mmID×15cm)
移動相:0.02%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル=5/5→3/7(30分)
検出波長:UV254nm
(物性データ)
1H NMR(400MHz,DMSOd6)
δ 3.63(s,2H), 5.30(s,2H),
7.07(d,J=8.0Hz,2H), 7.48(t,J=3.6Hz,1H),
7.55(d−d,J=7.9Hz,2H),
7.67(t,J=7.6Hz,1H), 7.78(d,J=7.6Hz,1H),
7.97(d,J=2.0Hz,1H)
参考例1に記載の方法と同じ方法で得た11−オキソ−6,11−ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン−2−酢酸60.4g(0.225モル)と、トルエン300mlとを1Lの四つ口フラスコに仕込み、無水トリフルオロ酢酸49.6g(0.236モル)を加えて約20℃で1時間攪拌した。これにt−ブタノール100mlを加えて約20℃で2時間攪拌し、さらに80℃で2時間攪拌した。これを約20℃まで冷却し、水600mlを加えて20分間攪拌した後、分液した。有機層を400mlの水で洗浄し、次いで炭酸カリウム6.2g(0.045モル)を100mlの水に溶解した溶液で洗浄した。この洗浄後の有機層に活性炭3.0gを加えて攪拌した後、ブフナーロートで濾過して活性炭を分別し、さらに50mlのトルエンで該活性炭をブフナーロート上にて洗浄した。濾過母液と洗浄液とを合一し、減圧下に濃縮して、表題化合物58.3gを得た。見かけ収率は79.9%、HPLCで測定した純度は99.1%であった。
(HPLC条件)
カラム:Inertsil ODS−5μm(4.6mmID×15cm)
移動相:0.02%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル=5/5→3/7(30分)
検出波長:UV254nm
(物性データ)
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ 1.45(s,9H), 3.55(s,2H), 5.17(s,2H),
7.02(d,J=8.4,1H), 7.40−7.48(m,3H),
7.54(t,J=6.4Hz,1H), 7.89(d,J=6.4Hz,1H),
8.11(d,J=2.4Hz,1H)
3000mlの四つ口フラスコにモノクロルベンゼン1500mlと11−オキソ−6,11−ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン−2−酢酸200g(0.746モル)を仕込み、次いでオキシ三塩化リン45.8g(0.298モル)および水2.7g(0.149モル)を添加した。その後、混合物を40℃に加熱し、イソブテン209.2g(3.728モル)を約8時間かけて吹き込み反応させた。この反応液を、水800mlに炭酸カリウム206.2g(1.492モル)を溶解した溶液中へ冷却しながら投入し、さらに約25℃で1時間攪拌した後、モノクロルベンゼン層を分取した。さらに、モノクロルベンゼン層を水200mlに炭酸カリウム51.5g(0.323モル)を溶かした溶液で洗浄した後、減圧下に濃縮して表題化合物の粗製オイル243gを得た。
得られた粗製オイルをメタノール500mlに溶解し、活性炭10gを加え、50℃で1時間攪拌した後、ブフナーロートで濾過し、50℃に温めたメタノール50mlで活性炭を洗浄した。この母液と洗浄液を徐々に冷却すると30℃で結晶が析出した。さらに10℃にまで冷却の後、ブフナーロートで結晶を濾過し、10℃に冷却したメタノール150mlで結晶を洗浄した。得られた結晶を減圧下に乾燥し、表題化合物206.2g(0.636モル)を得た。収率は85.3%、HPLCで測定した純度は99.4%であった。融点68.8℃。
500mlの四つ口フラスコにトルエン100mlを仕込み、0℃に冷却し、そこにイソブテン11.2g(0.20モル)を吹き込んだ。この溶液に、参考例1に記載の方法と同じ方法で得た11−オキソ−6,11−ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン−2−酢酸13.4g(0.05モル)を添加し、0℃で攪拌した。さらに、この溶液にオキシ三塩化リン1.53g(0.01モル)を加えた後、ゆっくりと室温(約25℃)まで温度を上げ、次いで、水0.09gを添加した。その後、オートクレーブ中で40℃に加熱し、5時間攪拌して反応させた。この反応液を、水100mlに炭酸カリウム13.8g(0.10モル)を溶解させた溶液中に投入し、室温(約25℃)で30分間攪拌した後、トルエン層を分取し、これを硫酸マグネシウム2.0gで脱水し、ブフナーロートで濾過した。この濾過母液を減圧下に濃縮して、表題化合物10.8g(0.0033モル)を得た。見かけ収率は66.7%、HPLCで測定した純度は99.5%であった。
(HPLC条件)
カラム:Inertsil ODS−5μm(4.6mmID×15cm)
移動相:0.02%トリフルオロ酢酸水溶液/アセトニトリル=5/5→3/7(30分)
検出波長:UV254nm
(物性データ)
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ 1.45(s,9H), 3.55(s,2H), 5.17(s,2H),
7.02(d,J=8.4,1H), 7.40−7.48(m,3H),
7.54(t,J=6.4Hz,1H), 7.89(d,J=6.4Hz,1H),
8.11(d,J=2.4Hz,1H)
実施例1と同じ方法で得た11−オキソ−6,11−ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン−2−酢酸t−ブチルエステル 6.49g(0.02モル)、テトラヒドロフラン50mlを四つ口フラスコに仕込み、これに15〜20℃で、3−ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリド(3−ジメチルアミノプロピルクロリド塩酸塩とマグネシウムから製造した)0.03モル相当を含有するトルエン(15.4ml)/テトラヒドロフラン(11.7ml)混合溶媒溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間攪拌し、HPLCで原料の消失を確認した。この反応液を、30mlの水と5.4gの酢酸との混合液に加えた後、28%アンモニア水でpHを9.6にした。これを分液し、有機層を15%食塩水50mlで洗浄後、濃縮し、11−ヒドロキシ−11−(3’−ジメチルアミノプロピル)−6,11−ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン−2−酢酸t−ブチルエステルを97.7%の収率で得た。
(物性データ)
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ 1.41(s,9H), 1.43−1.45(m,2H),
1.96(q,J=8.4Hz,1H), 2.19−2.26(m,2H),
2.26(s,6H), 3.20(q,J=8.0Hz,1H),
3.48(s,1H), 5.02(d,J=15.6Hz,1H),
5.45(d,J=15.6Hz,1H),
6.87(d,J=6.8Hz,1H), 7.03(d,J=7.6Hz,1H),
7.13−7.16(m,2H), 7.23(t,J=8.0Hz,2H),
7.67(d,J=2.0Hz,1H), 8.08(d,J=9.6Hz,1H)
Claims (6)
- エステル化が、無水トリフルオロ酢酸および炭素数4〜6の第3級アルコールにより行なわれる請求項1に記載の製造方法。
- 以下の工程1〜5を包含する方法により上記式(1)で表されるオキソジベンゾオキセピン酢酸を製造し、これをエステル化する請求項1に記載の製造方法:
[工程1]フタライドとハロゲン化剤とを反応させて2−ハロメチルベンゾイルハライドを製造する工程;
[工程2]2−ハロメチルベンゾイルハライドとR3OH(式中、R3は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表されるアルカノールとを反応させて下記式(5)で表される2−ハロメチル安息香酸アルキルエステルを製造する工程;
[工程3]2−ハロメチル安息香酸アルキルエステルと下記式(6)で表される4−ヒドロキシフェニル酢酸アルキルエステルとを反応させて下記式(7)で表される2−(4−アルコキシカルボニルメチルフェノキシメチル)安息香酸アルキルエステルを製造する工程;
[工程4]2−(4−アルコキシカルボニルメチルフェノキシメチル)安息香酸アルキルエステルを加水分解して下記式(8)で表される2−(4−カルボキシメチルフェノキシメチル)安息香酸を製造する工程;
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JP2007248232A JP5139016B2 (ja) | 2006-10-02 | 2007-09-25 | オキソジベンゾオキセピン酢酸第3級アルキルエステルの製造方法 |
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JP2006271311 | 2006-10-02 | ||
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DE3573256D1 (en) * | 1984-04-27 | 1989-11-02 | Hoechst Roussel Pharma | (6,11-dihydro-11-oxodibenz(b,e)oxepinyl)pentanoic acids and derivatives, a process and intermediates for their preparation and their use as medicaments |
JPS6310784A (ja) * | 1986-03-03 | 1988-01-18 | Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd | 抗アレルギー剤 |
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