JP5138109B1 - オープンエンド精紡機のロータシャフト支持ディスク - Google Patents

オープンエンド精紡機のロータシャフト支持ディスク Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は繊維束を高速回転体の遠心気流により均整な繊維層に再構造しながら高速で連続的に牽き出し架撚、成糸するロータ式オープンエンド精紡機のロータシャフト支持ディスクに関するものであり、より詳しくはロータ式オープンエンド精紡機の高速回転するローターシャフトを保持し、支持するデイスクの製造技術に関する。
【解決手段】ロータ式オープンエンド精紡機のロータシャフトを支持するディスクであって、その周縁部表面に接着剤を介してゴム部材が接着被覆されており、該ゴム部材が結合アクリロニトリル18〜44重量%の水素化ニトリルゴム(HNBR)及び/又はその変性物を過酸化物加硫したゴム部材から形成されていることを特徴とするロータ式オープンエンド精紡機のロータシャフト支持ディスク。
【選択図】図10

Description

本発明は繊維束を高速回転体の遠心気流により均整な繊維層に再構造しながら高速で連続的に牽き出し架撚、成糸するというロータ式オープンエンド精紡機のロータシャフト支持ディスクに関するものであり、より詳しくはロータ式オープンエンド精紡機の高速回転するロータシャフトを保持し、支持する新規な高性能デイスクに関する。
ロータ式オープンエンド精紡機は図10のような原理の精紡機である。
即ち、テンションプリー(21)により適度の張力に張られて高速で移動している駆動用ベルト(20)にロータシャフト(16)を接触させ、毎分10万回以上の超高速で回転させる。そのロータシャフト(16)を一対の表面に硬質ゴムを被覆した標準タイプ組ディスクのいわゆるワーキング組ディスク(13)と回転速度を測定する機能を備えたいわゆるリフレクタータイプ組ディスク(14)の2本で支える構造を持つものである。
標準組ディスク(13)は図7のように、固定用ベアリング(9)の左右のシャフト部(12)に、表面が精密仕上加工されたゴム部材を周縁部に有する円盤状の標準タイプ単品ディスク(10)を2枚、円周振れが最低になるように精度良く嵌入してあり、もう1本の回転速度測定機能を待ったいわゆるリフレクタータイプ組ディスク(14)は同じく表面が精密仕上加工されたゴム部材を周縁部に有する円盤状の標準タイプ単品ディスク(10)と表面ゴムを仕上加工した回転数を測定出来る機能を備えた図5のような反射板ディスク又は図7(11)の如くレ−ザー反射穴付きディスクを円周振れが最低になるように精度良く嵌入してある
なお、それぞれの単品ディスクは図1、図2、図3、図4、図5、図6のようにそれぞれの芯金(1)、(5)、(7)の周縁に接着剤を介して高硬度のゴム部材を接着被覆し、一定寸法に仕上加工後、更に高速回転時に発生する熱によりゴム部材中央部が変形してロータシャフトが振動することを防ぐためにゴム部材中央部に幅1mm、深さ1mm程度の溝が加工してある。
実際には図9のように、2組の組ディスク(13)と(14)又は(15)は固定用組ディスクユニット(17)にセットされその上に更にロータシャフト(16)が図10のように組み込まれる。
ロータ式オープンエンド精紡機は、図10のように、毎分10万回〜15万回の超高速回転するローターシャフト(16)の背後の位置の穴(19)から繊維束が供給され、高速回転体の遠心気流により均質に再構築された繊維束が手前(18)から一定の撚りを掛けられながら各種番手の糸を高速紡出する機構となっていて、紡出繊維の種類に応じて外径及び形状の異なるロータシャフトと簡単に交換できるように硬質ゴムを被覆した2本、一対の組ディスクで支持する機構になっている。
そのため、この2本のロータシャフト支持用の組ディスクは超高速で回転するロータシャフトの振動を吸収・減衰させて円滑に回転させるために、ロータシャフトの重さでゴム表面が変形しない程度に非常に硬いゴム材料で、且つ高速での振動減衰特性と耐摩耗性と耐油性があるゴム部材が必要とされている。ところが、通常、タイプAデュロメータ硬さで90度程度の硬質のゴム材質にするには充填剤で補強する必要があるが、充填剤で補強すると通常のゴムではほとんど弾性を失ってしまい、肝心の減衰特性はほとんど期待できないことが知られている。しかし、上記の欠点を解消できる材質としては、唯一、ポリウレタンゴムだけが充填剤なしでも非常に硬いゴム部材とすることができ、同時に十分な強
度とゴム弾性が維持できるので高速振動の減衰特性があることがこの分野では知られていた。
このため、ロータ式オープンエンド精紡機では、開発当初から他のゴムを採用できる選択肢がなかったので、この支持ディスクは表面にタイプAデュロメータ硬さで90度程度の高硬度ポリウレタンゴムを接着剤を介して接着被覆したディスクが採用され、被覆後に精密に仕上加工した単品ディスク(10)、(11)を回転時の円周振れが最小になるように専用ベアリング(9)に高精度で嵌入したものが現在に至るまで使用されている。
この支持ディスクは毎分10万回以上という超高速回転するロータシャフトを数ヶ月間、連続して支えているため、その環境温度が70℃程度にもなるといわれており、一般のポリウレタンゴムは、高荷重下での使用では、90℃〜130℃で既に塑性流動状態になることも珍しくなく、150℃〜200℃では殆どのものが溶融する(非特許文献1)。
以上のような状況から、一般のポリウレタンゴムの使用可能温度範囲は80℃程度が限界であり、ロータ式オープンエンド精紡機の支持ディスクはポリウレタンゴムの使用限界温度の上限近くで常時使用されるため、ゴム表面が溶融する危険性が非常に高いと言え、連続運転時の安全性を確保するために、現在では、最も耐熱性の良いポリウレタンゴムと言われている特殊耐熱性高硬度ポリウレタンゴム部材を多くのメーカーが採用している。
更に詳しく説明すると、多くのメーカーで採用されているこの耐熱性が最も良いといわれているポリウレタンゴムは、1973年にドイツで開発されたポリウレタンゴム(商品名:Vulkollan)である。このポリウレタンゴムは、イソシアネート成分を一般のポリウレタンゴムで使用されているトルレンジイソシアネート(TDI)又はメチレンジイソシアネート(MDI)から、耐熱性が良いナフタリン環を持つナフチレンジイソシアネート(NDI)に交換してあり、しかもこのNDIが大量に配合されているため、ポリウレタンゴムの中では極めて耐熱性、耐摩耗性が良く非常に強靭であることから、現存する最強の耐熱ポリウレタンゴムの一つと言われている。
因みに、この特殊耐熱性高硬度ポリウレタンゴム部材を用いたロータ式オープンエンド精紡機の支持ディスクを製造するメーカーでは、自社の製品カタログ上で2年程度の耐久寿命があることを保証している。
しかし、この特殊耐熱性高硬度ポリウレタンゴム部材を採用している各製造メーカーが長期寿命を保証しているにもかかわらず、実際にはそのメーカー品を使用しても寿命が短い例も多くあり、その理由は、この最も耐熱性が良いと言われる特殊耐熱性高硬度ポリウレタンゴム部材でも、ある程度の高温になると、他の種類のポリウレタンゴムと同様に、その分子構造上、溶融を避けることはできないというポリウレタンゴムに特有の耐熱性の悪さに起因している。一般の合成ゴムでは、高温に曝されても溶融せずに炭化分解するのに比べ、ポリウレタンゴムはこの点が大きな特徴でもあり、欠点でもある。
このポリウレタンゴムの欠点に起因して、何らかの要因でロータシャフトの振れが発生したり、ロータシャフトと支持ディスクとの間でスリップが発生したりすると、お互いが超高速回転のため、瞬時に膨大な摩擦熱が発生してその界面が極めて高温となり、特殊耐熱性高硬度ポリウレタンゴム部材でさえも、被覆ゴム表面が部分的に溶融し、不良になるという不測の事故が頻繁に発生している。
さらに、これらポリウレタンゴム部材は支持ディスク芯金との耐熱接着性も悪く、支持ディスク自身が1分間に3万回以上の超高速で回転するために、理論上、少なくともその表面に被覆されているゴム重量の1万倍以上の信じられない位膨大な遠心力が作用し、その遠心力によりゴムと芯金間の接着界面が外側に20kg/cm以上の強力な力で引張られ、加えて、高温により接着力がさらに低下しているので、接着面に弱い箇所があると瞬時にゴム部材が破壊され運転不能になるという問題も起きている。
このためにその接着力不足を少しでも補うために、図14の(34)ように接着表面を大きく且つ、膨大な遠心力に負けないように各製造メーカーは工夫をした上で、更に高価なポリウレタンゴム専用の高圧LIM成形機などを使用してポリウレタンゴムと芯金間を圧力を加えて接着強度を向上させる工夫もなされている(特許文献1)。
さらに、このオープンエンド精紡機は、紡績工場で通常のリング精紡機と併用されることも多く、リング精紡の紡出で利用できなかった短繊維をこのオープンエンド精紡機で紡出することもあり、その結果、いわゆるハネジュウやコンタミネーションの多い原綿を使用することになり、言わば不可効力的に、支持ディスク又はロータシャフト表面にそれらが付着して、目標寿命前にポリウレタンゴム表面が破損したり、溶融したりしてしまう短寿命の支持ディスクも多く発生しているのが現状である。
以上述べた問題点以外にも、現在使用されているポリウレタンゴム部材にはその化学構造に起因する大きな問題点を有している。
すなわち、周知の如く、ポリウレタンゴムには、そのポリオール成分で分類するとエステル系ポリウレタンゴムとエーテル系ポリウレタンゴムの2種類があり、エーテル系ポリウレタンゴムは耐油性が悪く、紡出繊維中に含まれる油剤で膨潤して寿命が短くなるので、耐油性を有するエステル系ポリウレタンゴムのみが専ら使用されている。
しかし、そのエステル系ポリウレタンゴムは耐加水分解性に劣り、使用しなくても通常4、5年程度で加水分解を起こし、ゴム状態からチーズ状に変質し使用不可能となる。
したがって、たとえ未使用の支持ディスクであっても長期保管ができないという問題点も有しており、支持ディスクの使用者はこれらの不経済な特性があることも十分に知りながら、あえて使用しているのが現状である。
米国特許第4,676,673号明細書
ゴム技術の基礎77〜79頁、84〜85頁、社団法人日本ゴム協会、平成4年4月30日発行
そこで、本発明の目的は、従来の特殊耐熱性高硬度ポリウレタンゴム(商品名:Vulkollan、以下、単に耐熱性ポリウレタンゴムともいう。)部材等を使用するポリウレタンゴム製支持ディスクが使用状況や不測の事態によっては、耐熱性が低下するために溶融して使用不能になり、再購入や修理などの余分な経費が掛かる事態を防止するために、耐熱性ポリウレタンゴム部材と同程度の硬度で毎分数万回の超高速回転での振動吸収性が良く、耐熱性・耐老化防止性・耐摩耗・耐油性の良い特殊配合の水素化ニトリルゴム等からなる作業効率が良く、決して熱溶融しない支持ディスクを開発することにある。
各種防振材として多用されているブチルゴムは、その分子構造上、ゴム弾性が低くゴムの粘弾性成分の粘性項の目安であるtanδが大きいので振動を吸収して熱エネルギーに交換できる。このため、例えば、ブチルゴムをフレクソメーターなどのゴムの動的特性を測定する装置で50Hz程度の低周波数で振動させると、粘性項が高いので数分で振動エネルギーを熱に変え自己発熱し燃え出す場合もある。このように、高速・高周波領域帯域の振動を吸収にはtanδが小さいことが最も重要であり、このため、このロータ式オープンエンド精紡機のロータシャフトを支えて毎分10万回以上で回転させる支持ディスクはディスク自体が毎分3万回転、毎秒500回転、即ち500Hz以上という一般の産業機械では考えられない程度の超高周波数振動を防振する機能を持つ必要があり、振動エネ
ルギーを熱に交換しないために、高硬度であると同時に高い弾性を持つゴムを使用してその表面を被覆することが必要になる。
しかしながら、これらの条件を満足させるゴム材質は、従来のゴム配合技術及び現在の配合技術では唯一、ポリウレタンゴム材質しか知られていなかった。
このため、このロータ式オープンエンド精紡機の支持ディスクは開発初期からポリウレタンゴムを使用しており、各メーカーもポリウレタンゴムが耐熱性に問題があることを十分知った上で、試行錯誤の結果、現時点で最も優れた耐熱性ポリウレタンゴムを支持ディスクに採用しているメーカーが多いと言われている。
しかし、この最高性能の耐熱性ポリウレタンゴムを使用したとしても、使用条件が悪い場合にはやはり耐熱性が不十分であり、ゴム表面が熱溶融するトラブルも多発していることも知られている。
そこで、本発明が解決すべき課題は、上記耐熱性ポリウレタンゴム並みに毎分3万回以上の超高速回転時で使用しても振動吸収性・防振性が良いだけでなく、仮に、なんらかの原因でロータシャフトが振れてロータシャフトと支持ディスクとの間での異常摩擦により瞬時に高熱が発生した場合でも、耐熱性、耐老化性が良いことから、比較的短時間ならば、支持ディスクは老化も溶融も一切せず、ゴム表面も一切異常が生じず、装置から取り外して再調整するだけで再度使用できる生産効率の良い合理的な安全性の高い支持ディスクの開発である。
この本発明ロータシャフト支持ディスクを採用すれば、支持ディスクの寿命としてはゴム表面の磨耗が一定の許容量に達するまで継続して使用できるので、現在のポリウレタンゴム製支持ディスクに比べ、安心して本来の設計上の寿命まで使用可能な製品を実現することができる。
本発明者は、前記の目的を達成するために鋭意検討の結果、ロータシャフト支持ディスクとして、結合アクリロニトリル18〜44重量%の水素化ニトリルゴム(以下、HNBRと言うこともある。)及び/又はその変性物を過酸化物加硫したゴム部材により被覆形成されたロータ方式オープンエンド精紡機のロータシャフト支持ディスクを開発した。
本発明で使用するゴム部材は、結合アクリルニトリル18〜44重量%であり、且つ水素添加率90%以上の水素化ニトリルゴム(HNBR)及び/又はその変性物を過酸化物加硫したゴム部材から形成されるものであり、上記変性物としては、水素化ニトリルゴム100重量部に対してメタクリル酸亜鉛類及び/又はアクリル酸亜鉛類を20重量部以上ないし120重量部配合したゴムやメタクリル酸及び/又はアクリル酸の1〜10重量%を三元共重合したニトリルゴムを水素添加したカルボキシル基導入水素化ニトリルゴム(HXNBRと言うこともある。)を好ましく用いることができる。
上記XHNBRのカルボキシル基の含有率が1重量%未満だと架橋反応性が低く、10重量%を超えるとカルボキシル基による反応速度が速すぎて常温での架橋反応が進み、いわゆるスコーチ(ゴム焼け現象)が起こりやすくなり、支持ディスクに必要な物性である動的弾性や引張強さなどが低下する恐れがある。
また、水素添加率が90%以上の水素化ニトリルゴムは、耐熱性と耐老化性に優れ、それ未満の水素添加率の水素化ニトリルゴムは残存する二重結合により耐熱性と耐老化性が急速に低下するので本発明での使用には好ましい材料ではない。
結合アクリロニトリル量が44重量%を越える、いわゆる極高ニトリルの水素化ニトリルゴムを使用してロータシャフト支持ディスクを作成すると、耐油性が良好なディスクは得られるものの、ロータシャフトの振動を吸収する目安となる肝心のゴム弾性を十分に高
くすることが難しく、10万回以上の高速回転するロータシャフトの振動を抑えきれない場合が発生する。
反対に結合アクリロニトリル量が18重量%未満の場合は、耐油性が低下することから紡出繊維中に含まれている油剤などによりゴムが膨潤する結果、ゴム強度やゴム硬度の低下を招くことがある。
また、水素化ニトリルゴムを加硫する方式としては、硫黄加硫配合と過酸化物加硫配合の二通りがあるが、硫黄加硫配合で水素化ニトリルゴム製ロータシャフト支持ディスクを形成した場合はゴム弾性が著しく低下するため、10万回以上の高速回転するロータシャフトの振動を抑えきれない場合もありうる。
さらに、本発明で使用する水素化ニトリルゴムは、メタクリル酸亜鉛及び/又はアクリル酸亜鉛を水素化ニトリルゴム100部に対し20部ないし120部を配合されてなる過酸化物加硫からなるゴム部材も、耐久性の観点から好ましく用いることができ、上記メタクリル酸亜鉛やアクリル酸亜鉛に代えて、ジメタクリル酸亜鉛やジアクリル酸亜鉛を同様に使用することも、メタクリル酸亜鉛やアクリル酸亜鉛とそれらを併用することもできる。
同様に、ニトリルゴム(以下、NBRと言うこともある。)の第三成分としてアクリル酸又はメタクリル酸を三元共重合し、側鎖又は末端にカルボキシル基を導入したカルボキシルNBR(以下、XNBRと言うこともある。)を水素添加したHXNBRも耐久性と芯金との接着力向上の観点から好ましく用いることができる。
なお、上記メタクリル酸亜鉛等を水素化ニトリルゴムに配合する技術やNBRの第三成分としてアクリル酸又はメタクリル酸を三元共重合する技術はこれまでも知られているが、そこで得られるゴムの性能については、ゴム弾性を示し高強度であることが明らかにされているだけであり、本発明のロータ式オープンエンド精紡機のロータシャフト支持ディスクで要求される性能である振動吸収特性、耐摩耗性についての優れた特性に関しては本発明者が初めて見出したものである。
さらに,どの程度の結合アクリロニトリル量の水素化ニトリルゴムが、あるいは、どの程度のメタクリル酸亜鉛等の配合量が、このロータシャフトの振動吸収性と耐摩耗性に優れているか、芯金との接着性やロータシャフト支持ディスクの特性に与える影響等に関しては全く知られておらず、本発明の技術分野、すなわちロータ式オープンエンド精紡機業界では従来考えられもしなかった初めての試みであると言える
なお、メタクリル酸亜鉛ないしアクリル酸亜鉛を配合した過酸化物加硫の水素化ニトリルゴムや水素添加したHXNBRは、たとえば、旭カーボン製カーボンブラック・シーストS(商品名)や日本シリカのニプシールVN3(商品名)ホワイトカーボンなど他の補強充填剤を配合した過酸化物加硫の水素化ニトリルゴムよりも強靭なだけでなく、ゴム弾性も良好な場合が多く、高速回転するロータシャフトの振動防止性とロータシャフト支持性が良いので長期間安定して使用できる。
本発明で使用するゴム部材は、25℃におけるJIS K6253に準拠した測定方法でのゴム硬度がスプリング式硬さ(デュロメータ硬さ)の測定方法でタイプAデュロメー
タ硬さ(以下、単にタイプAデュロメータ硬さという。)が90度以上であり、タイプDデュロメータ硬さが68度以下である過酸化物加硫したゴム部材が好ましく、さらに、JIS K0064:化学製品の融点及び溶融範囲測定法(米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)の融点測定法)に準拠した融点測定方法で400℃でも溶融せず、且つ、タイプAデュロメータ硬さが90度以上でありタイプDデュロメータ硬さが68度以下であり、さらに、JIS K−7244−5(ISO6721−5)に準拠した曲げ振動試験方式における雰囲気温度80℃、周波数60Hzにて測定した時のtanδが0.15以下であることを特徴とするゴム部材を用いて被覆形成したロータシャフト支持ディスクも好ましく用いることができる。
tanδが0.15以下の場合は、振動による熱の発生が小さいので、本発明のロータシャフト支持ディスクのように、長時間にわたって使用される使用態様であっても、高速回転時の振動が少ないのでより好ましく使用することができる。
また、本発明で使用するゴム部材は融点がなく、400℃以上の高温になってもゴム表面が溶融しないので、何らかの理由で摩擦による高熱が発生したとしてもそのまま使用に耐えることができ、ロータシャフトと支持ディスクとの間でのスリップ等のトラブルにも対処する時間的余裕を確保することができる。
前記の過酸化物加硫ゴム部材のゴム硬度がタイプAデュロメータ硬さで90度未満の場合は柔らかすぎるためロータシャフト支持機能が悪い上、耐久性も悪く、また、ゴム硬度がタイプDデュロメータ硬さで68度以上の場合はtanδが0.15以下でも、硬過ぎてロータシャフトの支持機能が悪くなり長期間安定してロータシャフトを支持できない。
本発明では、通常のゴム硬度の測定で行なわれているように、ディスクのゴム硬度をタイプAデュロメータ硬さとタイプDデュロメータ硬さの2種類の測定方法で規定している。
具体的には、本発明のディスクのゴム硬度は、タイプAデュロメータ硬さが90度以上であり、タイプDデュロメータ硬さが68度以下の範囲が好ましく、特にタイプAデュロメータ硬さが95〜98度の硬度を有するものが好ましい。この硬度が90度未満の場合はロータシャフトの重さによりゴム表面の変形量が大きくなり、耐摩耗性が低下して寿命が短くなるだけでなく、振動を吸収しにくくなり紡出糸品質が低下するなどの不都合を生じることがある。また、逆にタイプDデュロメータ硬さが68度超であるときも、振動を吸収しにくくなり紡出糸品質が低下するなど不都合が生じることがある。
特に耐久性が良好なロータシャフト支持ディスクは、前記の水素化ニトリルゴムの過酸化物加硫配合を更に改良し、(メタ)アクリル酸亜鉛塩等が20部以上配合されたゴム部材やHXNBR部材を使用することでも達成できるが、その場合でも、ゴム硬度の硬度範囲やtanδの数値範囲が上記範囲であればより好ましい性能を得ることができる。
水素化ニトリルゴムの過酸化物加硫物が硫黄加硫物よりも弾性が高いことは従来から知られていたが、特定の水素化ニトリルゴムに着目し、該水素化ニトリルゴムが超高速回転での振動吸収性に特に優れた性能を示すことを見出したのは本発明者が初めてであり、この発見が本発明の端緒となったものである。
以上のとおり、水素添加ニトリルゴム及び/又は変性物のアクリロニトリル含有量や過酸化物加硫を選択した本発明、さらに、好ましい態様としてゴム硬度範囲、弾性やtanδの範囲を選択した本発明は、ロータ式オープンエンド精紡機業界にとっては、特殊耐熱性高硬度ポリウレタンゴム製のロータシャフト支持ディスク開発以来の一時代を画する画期的な技術的進歩であると言うことができる。
本発明のロータシャフト支持ディスクは、嵌入した時の不手際から若干の芯振れを起こしたとしても、本発明の支持ディスクが極めて優れた耐熱性と耐磨耗性を有するので、ゴム表面が摩擦熱で溶融したり磨耗したりすることもなく、取り外して再度、芯振れを修正すればそのまま使用することができる。
これに対し、現在のほとんどのロータ式オープンエンド精紡機で使用されている耐熱性ポリウレタンゴム製支持ディスクでは、ベアリングに嵌入時の不手際による芯振れがあった場合には、発生する摩擦熱によりゴム表面が直ちに溶融してしまい、その支持ディスクは使用不能になり、新しい製品と交換する以外には対応手段がないことからも、本発明の
優れた効果を確認することができる。
また、リング精紡で使用した落綿や風綿を集めた低品質の原綿を有効利用する場合やハネジュウやコンタメネーションが多い原綿を使用する場合にロータシャフト及び支持ディスクに汚れが付着してロータシャフトの回転が不円滑になり、従来のポリウレタンゴム製ディスクは耐熱性ポリウレタンゴム製であっても、ゴム表面が溶融して使用不能になる。
これに対し、本発明の支持ディスクは抜群に耐熱性が良くゴム表面が溶融することがないので、ロータシャフト及び支持ディスクをユニットから取り外して綺麗に清掃しさえすれば、再度使用できるので安心して操業することができる。
さらに、本発明の水素添加ニトリルゴム部材の接着被覆は、プレス成型を採用し高圧でゴム部材と芯金を耐熱性の良い接着剤を介して加圧接着するので接着面の強度が非常に強固である点も特徴の一つである。現行の耐熱性ポリウレタンゴム製ディスクが、接着面の耐熱強度も極端に弱く、かつ、常圧下で液体状のポリウレタン成分を注入機を使用して接着しており、そのためにゴム部材と芯金の界面での接着力に問題を有することと比較すれば、本発明のロータシャフト支持ディスクはより安心して使用できるという利点もあり、耐熱性が抜群に良いため、従来の耐熱性ポリウレタンゴム製支持ディスクよりも経済的に使用することができる。
また、本発明のロータシャフト支持ディスクは、一般の合成ゴム材質と同様にプレス成型にて製造することができる点で、主に注入成型にて成型素材を成型するために脱型時間が長いと言われている耐熱性ポリウレタンゴム製ディスクとは異なり、適正なプレスの熱板温度と配合と金型の取り数設計を適正に選定すれば比較的短時間で大量の素材をプレス金型から脱型して製造でき、耐熱性ポリウレタンゴム製ディスク並み、あるいはそれ以下の適正価格で量産販売する事も可能である。
標準タイプロータシャフト支持単品ディスクの正面図である。 標準タイプロータシャフト支持単品ディスクの側面断面図である。 レーザー測定タイプロータシャフト支持単品ディスクの正面図である。 レーザー測定タイプロータシャフト支持単品ディスクの側面断面図である。 反射板タイプロータシャフト支持単品ディスクの正面図である。 反射板タイプロータシャフト支持単品ディスクの側面断面図である。 標準タイプロータシャフト支持組ディスクとレーザー反射タイプロータシャフト支持組ディスクを嵌入する際の斜面図である。 一対の新・旧2種類のロータシャフト支持用組ディスクとロータシャフトの外観斜面図である。 ディスク固定用ユニットに一対のロータシャフト支持組ディスクとロータシャフトをセットする時の斜面図である。 ロータシャフト支持ツィンディスク装置全体の斜面模式図である。 ベアリングに嵌入したロータシャフト支持組ディスクの完成図である。 簡易式融点測定装置全体の斜面図である。 使用中にポリウレタンゴム表面が溶融したディスクの一例の模式図である。 ポリウレタンゴムと芯金との接着面積を広くしたロータシャフト支持ディスクの一例の断面模式図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明でいうロータシャフト支持ディスクとは、図8のようにロータ式オープンエンド
精紡機に使用される(13)及び(14)或いは(15)のように使用される2個の単品支持ディスク(10)及び(11)(図7参照)を言い、図1、図2、図3、図4、図5、図6のようにそれぞれの芯金(1)、(5)或いは(7)の周縁部に本発明の請求項1〜5で規定する高硬度ゴム部材(2)を接着剤を介して被覆後、一定寸法に精密加工仕上げした円盤状の単品のディスクを言う。
次に、本発明のロータシャフト支持ディスクについて、具体的に図で説明する。
標準タイプ単品ディスク(10)は図1及び図2のように中央部にベアリング(9)を固定するための穴を持つアルミニュウム製芯金(1)の周縁部に接着剤を介して請求項1〜5で規定する高硬度ゴム部材(2)を接着被覆し、一定寸法に精密加工仕上げたディスク、又はその後にゴム部材表面中央部に幅0.5〜1.0mm、深さ0.5〜1.0mm程度の溝を加工して仕上げる。
回転数計測用の単品ディスクには、図8の(A)、(B)の2通りの方式がある。レーザー光線を反射させて回転数を測定する装置(B)用の単品ディスクの場合は、図3及び図4のように中央部にベアリング(9)を固定するための穴を持つアルミニュウム製芯金(5)の周縁部に接着剤を介して請求項1〜5で規定する高硬度ゴム部材(2)を接着被覆し一定寸法に精密加工仕上げたディスク、又はその後にゴム部材表面中央部に幅0.5〜1.0mm、深さ0.5〜1.0mm程度の溝を加工して仕上げる。
反射板を利用して回転数を測定する装置(A)用の単品ディスクの場合は、図5及び図6のように中央部にベアリング(9)を固定するための穴を持つアルミニュウム製芯金(7)の周縁部に接着剤を介して請求項1〜5で規定する高硬度ゴム部材(2)を被覆し一定寸法に精密加工仕上げたディスク、又はその後にゴム部材表面中央部に幅0.5〜1.0mm、深さ0.5〜1.0mm程度の溝を加工して仕上げる。
本発明のロータシャフト支持ディスクにおいて、被覆する硬質ゴム(2)は、特定の水素化ニトリルゴム成分に高硬度・高弾性配合を付与できるように一定量の配合剤を使用した過酸化物加硫水素化ニトリルゴムを使用する。
また、上記水素化ニトリルゴム成分に一定量のメタクリル酸亜鉛、或いはアクリル酸亜鉛を配合した高硬度・高弾性の過酸化物加硫水素化ニトリルゴムからなる。前記特定の水素化ニトリルゴム成分としては結合アクリロニトリルが18〜44重量%の水素化ニトリルゴムが用いられ、具体的には日本ゼオンのゼットポール2000、2010、2011、2020、2030,3300、3110、(商品名)やランクセス株式会社のテルバンA3406、A3407、A3607、C3446,C3467,B3627,(商品名)などが例示できる。また、HXNBRとしてはランクセス株式会社のテルバンXT VP KA 8889(商品名)が例示できる。
また、水素化ニトリルゴム製造メーカー自身が自社の水素化ニトリルゴムにメタクリル酸亜鉛類又はアクリル酸亜鉛類を分散させた市販のいわゆるメタクリル酸/アクリル酸入りHNBR製品も使用でき、その例としてテルバンXQ536(商品名)などを例示できる。
ゴム用補強剤としては、以下の配合剤を例示できる。
まず、カーボンブラックとしてはあらゆる種類の補強性カーボンブラックが使用でき、即ちカーボンブラックの旧分類でいうSAF,SAF−HS、ISAF,N−339、ISAF−LS、I−ISAF−HS,HAF、HAF−HS、B−351、HAF−LS,MAF,FEF,FEF−HS,SRFなどの全ての各メーカ品が使用できる。
無機補強剤としては、一般的な高活性や中活性の乾式及び湿式のホワイトカーボン類、例えばニプシールVN3、ウルトラジールVN3(日本シリカ製)、ゼオシール500V(多木化学製)、ウルトラジールVN2(デグサ・エボニック製)やアエロジルR972
やアエロジルR974(東新化成株式会社製)などが例示できる。
有機補強剤としては、NBRやHNBRに耐摩耗性を向上させる樹脂類ならどれでも良く、例えばフェノール・ホルムアルデヒド樹脂ならスミライトレジンPR−1286やスミライトレジンPR−1287(共に住友ジュレズ製)、ブルカジュールAやブルカジュールR3(共にドイツ・バイエル社製)、タイク(日本化成社製)などが例示できる。
本発明における過酸化物加硫に使用する有機過酸化物加硫剤としては、日本油脂のパークミルD、D40、パーヘキサ3M、3M−40、パーブチルP、ペロキシモンF40、パーヘキサ25B、パーヘキサ25B−40(商品名)や化薬アクゾのカヤクミルD−40K、トリゴノックス29、トリゴノックス29/40、パーカドックス14、パーカドックス14/40、カヤヘキサAD、カヤヘキサAD/40(商品名)、三建化工のサンペロックDCP、サンペロックスCY−1・1、サンペロックスTY−1・3、サンペロックスAHTO(商品名)、ルドール吉富のルペロック500T、500−40C、ルパゾール231、ルパゾール231−XL、ルペロック802、ルパーコ802XL、ルパゾール101、ルパーコ101−XL(商品名)などが例示できる。
上記以外にも、過酸化物加硫用共架橋剤で一般的略号TMP、EG、MAAZn、AAZnの如きゴム配合薬品も使用でき、化学名ではそれぞれトリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジメタクリル酸亜鉛、ジアクリル酸亜鉛等の過酸化物加硫用共架橋剤も使用することができる。それらの商品名としては、サンエステルEG,サンエステルTMP,サンエステルSK−30、サンフェルBM−G(以上、三新化学)、アクターZA,アクターZMA(以上川口化学工業)、ライトエステルEG,ライトエステルTMP(以上、共栄化学)、ハイクロスM,ハイクロスM−P、ハイクロスED−P,ハイクロスGT(以上、精工化学工業)、アクリエステルEG,アクリエステルTMP(以上、三菱レーヨン)タイク(日本油脂)、R−20S(以上、浅田化学工業),NSSOB−PB(日本ソーダ)、アクターBMR、HVA−2(デュポン)などが例示できる。
なお、本発明においては、成型時の加工性を考慮して、可塑剤及び軟化剤を配合剤として含むこともできるが、それらの配合によって加工性は改善されるものの、耐熱性と耐老化性の低下を招き、さらに、弾性性能にも悪影響を与え高速回転時のロータシャフト支持ディスクの性能低下に繋がることがあり、それらの成分の配合には十分な注意が必要である。
本特許で例示した粘弾性の測定装置としてはTAインストルメンツ社のQ800やRSAIIIや株式会社エー・アンド・テー社のレオバイブロン動的粘弾性自働測定器・DDV−01FPや25FPVなどが例示できる。
また、本特許で例示した融点測定装置としては日本ビュヒ株式会社製のM−560やM565、ヤマト科学株式会社製MP−21や柴田科学社製のB−540やB−545を例示できる。
(本発明の製法について)
本発明のロータシャフト支持ディスクは、例えば、以下のようにして得ることが出来る。
まず、適量の前記水素化ニトリルゴムをゴム練り用ロール等を使用してロールに巻き付け、ついで加硫促進剤、充填剤、ステアリン酸などの加工助剤、及び適量のホワイトカーボン類やメタクリル酸亜鉛又はアクリル酸亜鉛などを練り込む。これらを良く練り込んだ後、練りロールから切り離しダンプアウトする。再び、ダンプアウトした練り生地を最後に適量の過酸化物加硫剤を練り込み生ゴム生地を完成させる。ついで、あらかじめ製造しておいた図1、図2、図3、図4、図5及び図6のアルミニュウム製芯金を溶剤にて脱脂
し、接着剤を塗布した後、接着剤中の溶剤を揮発させ安定化させるため一定時間自然放置しておく。その後、プレス成型機の上下熱板中に、一定温度に加熱保温してあるプレス成型用金型にそれらの芯金を挿入し、次に、これに前記練り生地を流し込み温度、圧力および加硫時間を一定条件で加圧加熱してプレス成型する。その後、この成型物をプレス型から取り出し、表面、特にロータシャフトと接触する表面及び側面を一定寸法に仕上げてから、ゴム部材表面の中央部に幅1mm、深さ1mm程度の溝をバイト等で加工する。
以下に、図面を参照して本発明品の実施の形態を説明する。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限られるものでないことは言うまでもない。
[実施例1]
結合アクリル二トリルが36%で水素化率96%の水素化ニトリルゴム1000重量部を8インチゴム練りロールに巻き付けて素練りし、これに亜鉛華を50重量部、ステアリン酸を10重量部、老化防止剤と補強性カーボンブラック及びその他の補強剤を適量重量部とアクターZMA(川口化学工業製メタクリル酸亜鉛)を300重量部を良く練り込み後、ロールから切り離して自然放置する。
続いてこのゴム練り生地を再度、練りロールに巻き付け、パークミルD40(日本油脂株式会社製過酸化物加硫剤)を60重量部練り込み、練り生地・Aを作成した。このゴム生地・Aを8インチゴム練りロールを使用して、厚さ5mm程度の未加硫シートを準備した。
[ゴム硬度測定]
この未加硫ゴムシートを適量、秤量してゴム用60トンプレスの熱板に保温してある平板の型に置き165℃にて25分プレス加硫して2mm厚さのシートを作成した。このシートを室温23度の部屋で6時間以上放置した後にJIS K−6253に準拠した測定方法でのゴム硬度を測定するとタイプAデュロメータ硬さが97度、タイプDデュロメータ硬さは56度であった。
[弾性測定]
次に、このシートをJIS K7244−5に準拠して粘弾性試験機を使用して曲げ振動方式で測定すると、80℃での周波数60Hzでのtanδは0.090であった。
[成型品の物性測定]
続いて、あらかじめ製作しておいた外径70mm、厚さ10mmでベアリング嵌入用穴10.0mmがある標準タイプ用アルミ製芯金8枚と同一寸法で図3の(5)のようにレーザー測定用の直径8mmの左右対称な2個の貫通穴のある芯金2枚の合計10枚をプレス作業の前日にそれぞれ脱脂肪し、接着剤を塗布し一晩、自然放置しておいた。
次に、これらの芯金を、上下熱板が165℃に制御された60トンゴム用プレス装置にあらかじめ保温された2個取り用プレス成型用金型中に2個づつセットし、これに前記の厚さ5mmに分出しした練り生地Aを適量を流し込み30分間加熱し一定圧力で加圧して10個のプレス成型品を作成した。
次に、このプレス成型済みのゴム生地Aを接着被覆した1個の標準単品ディスクから幅4mm、厚さ1.5mmのゴムリングを切削加工で切り出し、前記と同様な方法で80℃、60Hzのtanδを測定すると0.085だった。
[成型品の性能測定]
次に、これらのプレス成型ディスクを専用冶具と検査装置を使用して6個の標準ディスクと2個のレーザータイプディスクを外径78mm、幅10mmの寸法で表面及び側面の振れ精度5/1000以下に仕上げた。
これらのディスクを嵌入専用冶具を使用して、以下のように4本の専用ベアリングに嵌
入しNo.1〜No.4の4本の組ディスクを製作した。
No.1:図11の[C]のように、ベアリングの両側に左右のそれぞれの側面振れ(23)が0.01mm以下になるように2個の標準単品ディスクを嵌入した。
No.2:図11の[C]のように、ベアリングの両側に左右のそれぞれの側面振れ(23)が0.01mm以下になるように標準単品ディスクとレーザータイプ単品ディスクを嵌入した。
No.3:図11の[D]のように、ベアリングの両側に左右のどちらかが側面振れ(2
3)が0.05mm程度になるように2個の標準単品ディスクを嵌入した。
No.4:図11の[D]のように、ベアリングの両側に左右のどちらかの側面振れ(2
3)が0.05mm程度になるように標準タイプ単品ディスクとレーザータイプ単品ディスクを嵌入した。
[成型品の性能測定結果1]
第1回目として側面振れが大きく嵌入されたNo.3とNo.4の2本の組ディスクをロータ式オープンエンド精紡機の組ディスク固定ユニット(17)に取り付け数分間、外径40mmのロータシャフト(16)を取付けて11万回で回転させた。その結果、ユニットの振動が大きく、ゴム表面はかなり高温になっていたが、実施例1の組ディスクは2本とも、ゴム表面が溶融したりゴム破損もせず何の変化もなかった。
その後、この2本の組ディスクを装置から取り外し、検査装置を使用して再度、左右の触れを5/1000に微調整してから再度、組ディスク固定ユニット(17)に取り付け前記と同様に第2回目の回転試験を行った。その結果、この組ローラは振動もなく順調に回転したので、そのまま3ケ月以上、問題なく使用できた。
[成型品の性能測定結果2]
側面振れが殆どなく嵌入したNo.1とNo.2の2本の組ディスクを実施例1の第1回目と同様にロータ方式固定ユニット(17)に取り付けてから外径40mmのロータシャフトを取付けて11万回で回転させた。その結果、実施例1のNo.1とNo.2の組ディスクも実施第1回目及び実施例1の第1回目と同様に固定ユニット(17)の振動は殆どなく順調に使用できた。このため、そのまま3ケ月以上、問題なく使用できた。
[融点測定]
実施例1の加硫ゴムの融点を測定するために、JIS K0064:化学製品の融点及び溶融範囲測定法(米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)の融点測定法)に準拠した測定方法で比較例1及び比較例2と同時に融点を測定した。
具体的には実施例1及び後記する比較例1及び比較例2で作成した2mm厚さのゴムシートから約1cm四方の破片を作成しそれを鋭利な刃物で粉末状になるまで出来る限り細かく切断し、太さ約1.0mm、長さ約80mm、厚さ約0.2mmのガラス製毛細管に適量を詰め込み、その3本の試料を融点測定装置にセットし毎分2分の速度で昇温させて目視で各融点を測定した。その結果、比較例1と比較例2の2種類の微粉砕したウレタンゴムはそれぞれ190℃、285℃で溶融したが、実施例1のゴム材料はこの融点測定装置の限界温度の400℃になっても溶融しないことが確認できた。
しかし、実施例1の融点を確認することが本来の目的であったにも関わらす、既存の各メーカーの融点測定装置では400℃までの融点しか測定できないので、更に、本発明者は図12のような本発明者が考案した簡易測定方法を用いて実施例1と比較例1及び比較例2を同時に大まかな融点を測定してみた。
上記簡易測定方法で用いた装置を説明する。直径90mm、長さ55mmのアルミニュウム製丸棒(27)を台(26)の上に置き、その上に幅を約4mm、長さを約6mm、厚さを約2mm程度に切断加工した実施例1の加硫ゴム片(30)と後記する汎用ポリウ
レタンゴム製の比較例1のゴム片(31)及び耐熱性ポリウレタンゴム製の比較例2のゴム片(32)を各2個づつ、合計6個を図12のように交互に均等配置して置き、このアルミニュウム製丸棒が毎分1℃〜2℃の範囲に昇温するようにアルコールランプ(24)の炎(25)を調整しながら加熱して、アルミニュウム製丸棒(27)の中央上部に設けた穴に熱電対測定部(28)を差し込んで各ゴム部材片の大凡の溶融温度をデジタル温度計(29)で読み取り測定した。
その結果、汎用ウレタンゴム製の比較例1は2個とも200℃〜210℃できれいに水玉状に溶融し、耐熱性ポリウレタンゴム製の比較例2も2個とも300℃〜310℃できれいに丸く水玉状に溶融した。しかし、一般の合成ゴムは、ポリウレタンゴムとは異なり高温になると溶融せずに炭化分解すると言われているが、実施例1は2個共に450℃以上になっても軟化も溶融もせず、さらに、一般的な可塑剤配合の水素化ニトリルゴムの炭化分解温度の500℃前後でも炭化分解を起こさなかったので、それ以上の加熱を中止した。
その結果、最も耐熱性の言われているこの耐熱性ポリウレタンゴムであっても、JIS
K0064:化学製品の融点及び溶融範囲測定法に準拠した測定で285℃で溶融するのに比べ、実施例1のゴム部材は耐熱性ポリウレタンゴムに比べ、少なくとも100℃以上、簡易測定では150℃以上も耐熱性が良く、まったく溶融しないことが判明した。
[耐熱老化性測定]
さらに、実施例1のゴム材料の耐熱老化性を確認するために、作成済の165℃にて25分プレス加硫で作成した2mm厚さの実施例1の加硫ゴムシートと後述する比較例1及び比較例2で準備した2種類のウレタンゴムシートの合計3種類のゴムシートを150℃にセットしてある電気炉に4週間放置後、取り出し、それぞれの未老化シートと150℃・4週間熱老化シートを同時にJIS K6253及びJIS K6251に準拠して硬度及び引張強さの比較を行なった。
その結果、実施例1のゴム材料は、老化試験前のゴム硬度を測定するとタイプAデュロメータ硬さが97度、老化試験後の同硬度が98度で、老化試験前の引張強さ29Mpa、老化試験後の引張強さ31Mpaと殆ど老化しないことが判った。
しかし、比較例1及び比較例2は、共に老化が激しく、硬度及び引張強さとも測定不能なほど軟化劣化していた。
以上の結果より、実施例1のゴム部材を使用した支持ディスクは、万一操業上でロータシャフトに風綿が付着するなどの予期しないトラブルが発生しても、従来のウレタン製ディスクと異なり、被覆されたゴム表面が全く溶解しないだけでなく驚異的な耐熱老化性があり、安全に操業できることが確認できた。
[実施例2]
結合アクリル二トリル36重量%、水素化率96%の水素化ニトリルゴム1000重量部を8インチゴム練りロールに巻き付けて素練りし、これに亜鉛華を50重量部、ステアリン酸を10重量部、老化防止剤、補強性カーボンブラックを適量重量部とプレス成型時のムーニー粘度を調整するために耐熱可塑剤・アデカサイザーCN9(旭電化工業製)を250重量部を良く練り込んだ後、ロールから切り離して自然放置する。
続いてこのゴム練り生地を再度、練りロールに巻き付け、パークミルD40(日本油脂株式会社製過酸化物加硫剤)を30重量部練り込み、練り生地・Bを作成した。このゴム生地・Cを8インチゴム練りロールを使用して厚さ5mmの可塑剤含有未加硫ゴムシートを準備した。
次に、この練り生地Bを使用して実施例1と同様の方法で加硫シート及び4個の標準単品ディスクと2個のレーザータイプ単品ディスクを製作して実施例1と同様に振れを5/
1000以下に仕上げた。その後、各種項目を測定すると以下のような試験結果を得られた。
[ゴム硬度測定]
実施例1と同様の方法でゴム硬度を測定すると、タイプAデュロメータでの硬度が91度、タイプDデュロメータ硬さは50度だった。
[弾性測定]
さらに、この1個のディスクから幅5mm、厚さ1.5mmのゴムリングを切削加工で切り出し粘弾性測定器を使用して80℃、60Hzにおける曲げ振動方式のtanδを測定すると0.14であった。
[成型品の性能測定]
次に、これらのプレス成型ディスクを実施例1と同様に振れを5/1000以下に仕上げた単品ディスクを実施例1のNo.1及びNo.2の2本の組ディスクと同様に嵌入専用冶具を使用して、図11の[D]のように、どちらか一方の側面振れ(23)が5/100以下になるようにそれぞれの組ディスクを嵌入してから、組ディスク固定ユニット(17)に置き、外径40mmのロータシャフトを取り付けて11万回で回転させた。
その結果、ロータシャフト及びユニットの振動が実施例1と比べると若干大きく、ゴム表面は実施例1よりは高温となったが、ゴム表面が溶融することもなく支持ディスクとして使用できた。
この試験結果より、tanδが0.15以下であれば、支持ディスクとしてより好ましく使用できることが判明した。
[実施例3]
分子中に5重量%程度のカルボキシル基を含み、アクリルニトリルが約33%のカルボキシル変性三元水素化ニトリルゴム1000重量を8インチゴム練りロールに巻き付けて素練りし、これに亜鉛華を50重量部、ステアリン酸を10重量部、老化防止剤と補強性カーボンブラック及びその他の補強剤を適量重量部配合し、更に分子中のカルボキシル基に起因する永久歪の増加とゴム弾性の低下を防ぎ、同時に硬度を調整するために適量のトリアリルイソシアヌレート(商品名・TAIC,日本化成製)を添加後ロールから練り生地を切り放した。続いてこのゴム練り生地を再度、練りロールに巻き付け、適量のパークミルD40(日本油脂株式会社製過酸化物加硫剤)を練り込み、練り生地Dを作成した。
このゴム生地・Dを8インチゴム練りロールで、厚さ5mm程度の未加硫シートを準備し、その後の作業は実施例1と同様に行った。
その結果、ゴム硬度を測定するとタイプAデュロメータでの硬度が97度、タイプDデュロメータ硬さは56度であり、振動吸収特性、耐熱性、耐熱老化特性においても、実施例1とほぼ同等の性能を確認することができ、比較例1及び比較例2の従来品に比べ優れた性能を有することを確認することができた。
[比較例1](市販の汎用のポリエステル/TDI系タイプA硬度・95度用プレポリマーを使用したポリウレタンゴム)
実施例1と同一仕様で製作しておいた標準タイプ用アルミ製芯金(1)8枚とレーザー反射式回転数測定タイプ用アルミ製芯金(5)2枚をそれぞれ脱脂肪し、ポリウレタンゴム用専用接着剤を塗布して一晩、自然放置しておいた。
次に、120℃に加熱してあるポリウレタンゴム注入用熱板上に注入型を置き、芯金を型に入れ保温しておいた。
続いて、NCO重量%が6.2重量%からなるポリエステル/TDI製プレポリマーを
適正な容器に1000重量部を秤量し、80℃に加熱後、真空中で攪拌しながら5分間脱泡した。次に架橋剤として適正な金属容器で158重量部のMOCA(メチレンビスオルトクロロアニリン・イハラケミカル製)を秤量し電熱器で加熱溶解したあと110℃の電気炉にアルミホイルで蓋をして保温しておいた。次に、この脱泡済みプレポリマーに溶解したMOCAを全量加え、空気を抱き込まないように撹拌棒で1分間攪拌してから熱板上にセットしてある支持ディスク用注入型と2mm平板用注入型に混合物を注入し、熱板上で1時間、保温放置した。ウレタンゴムが硬化後、注入型からそれぞれの注入素材を脱型し110℃の電気炉で12時間加熱熟成した。その後、更に2週間、室温で自然放置し熟成させた。
[ゴム硬度測定]
このポリウレタンゴム製シートの硬度を実施例1と同様の方法で測定すると タイプAデュロメータでの硬度が95度、タイプDデュロメータ硬さは54度だった。
[融点測定]
この比較例1の融点は前記の実施例1で記載したようにJIS K0064:化学製品の融点及び溶融範囲測定法(米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)の融点測定法)に準拠して測定した結果、190℃と判り耐熱性がかなり悪いことが判った。
このため、もしポリウレタンゴム部品製造メーカーが、この一般的なポリウレタンゴムを使用してロータシャフト支持ディスクを作成したとしても、何らかの要因でゴム表面が高温になると比較的簡単に溶け、品質的に低い支持ディスク製品しか得られないことが判った。
[成型品の性能測定]
さらに、比較例1からなるポリウレタンゴム製注入成型ディスクからなる標準単品ディスク4個とレーザー反射タイプ単品ディスク2個の合計6個を表面及び側面の振れ精度をともに5/1000以下に仕上げた後に専用冶具を使用して実施例1のNo.3及びNo.4と同様に、図11の[D]のように、どちらか一方の側面振れ(23)が大きい状態に嵌入してから組ディスク固定ユニット(17)に設置し、実施例1と同一のロータシャフトを取り付け11万回で数分間回転させた。
その結果、僅か数分で組ディスク固定ユニット(17)の振動が急に大きくなったので急いで取り外し、比較例1の支持ディスクのゴム表面を確認すると部分的にその表面が溶けていた。
その結果、比較例1の汎用のポリエステル系ポリウレタンゴム部材を使用した支持ディスクは常に円周振れがないような状態で注意して使用しないと直ぐに使用不能になり、管理の良い工場でしか各メーカーが保証している数年間という期間迄は使用できないと判った。
[比較例2(耐熱性ポリウレタンゴム)]
実施例1と同一仕様で製作しておいた標準タイプ用アルミ製芯金(1)8枚とレーザー反射式回転数測定タイプ用アルミ製芯金(5)2枚をそれぞれ脱脂肪し、ポリウレタンゴム用専用接着剤を塗布して一晩、自然放置しておき、この芯金を120℃に保温された熱板上に保温してある専用型にセットしておいた。
次にOH価が55.0で分子量2000の両末端OH基を持つポリエステルポリオールを適正な容量の金属製容器を使用して1000重量部を秤量後、135度まで加熱し、耐熱性ポリウレタンゴム専用の反応器中で真空下で攪拌しながら3時間脱水した。
次に、このポリオールを真空反応器から取り出し、液温が145℃になるまで加熱し、これにNDI(ナフチレンジイソシアネート)を400重量部加え、良く攪拌後、再度、耐熱性ポリウレタンゴム専用の反応器に移し真空下で20分間、攪拌し両末端イソシアネ
ートからなるプレポリマーを作成した。
このプレポリマーに適量の1,4ブタンジオールを混合し、すばやく空気を抱き込まないように均一に攪拌しながら熱板上にセットしてある支持ディスク用型と2mm平板用注入型に注入し、熱板上でそのまま20分保温した。
その後、注入型からそれぞれの注入素材を脱型し110℃に保温してある電気炉で24時間、加熱熟成し、その後、常温で2週間、自然放置し熟成した。
[ゴム硬度測定]
その後、この耐熱性ポリウレタンゴム製シートの硬度を実施例1と同様の方法で測定すると、タイプAデュロメータ硬さが96度、タイプDデュロメータ硬さは57度であった。
[融点測定]
この耐熱性ポリウレタンゴムを用いた比較例2の融点は、前記の実施例1で記載したようにJIS K0064:化学製品の融点及び溶融範囲測定法(米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)の融点測定法)に準拠して測定した結果は285℃であり、簡易測定方法での融点でも300℃前後と判り、ポリウレタンゴムとしては非常に耐熱性が良いことが判ったが、超高速回転するロータシャフトの回転不良による振動やスリップによる摩擦熱が発生するなどの何らかの要因でゴム表面が300℃前後の高温になる場合には、汎用ポリウレタンゴムを用いた比較例1と同様に、残念ながら容易に溶けてしまい、メーカー保証の最長保証寿命まで使用出来ない事態も発生することが判った。
[成型品の性能測定]
さらに、上記で作成した耐熱性ポリウレタンゴム製注入成型ディスク素材を比較例1と同様に表面を仕上げた後、比較例1の場合と同様に図11の[D]のようにどちらか一方の側面振れ(23)が大きい状態に嵌入してから、組ディスク固定ユニット(17)に取り付けて回転試験を実施すると、比較例1よりも若干長い時間回転した後に、ユニットの振れが急に増えたので、組ユニットからこの支持組ディスクを取り外して観察した。
その結果、比較例1と同様に支持ディスクの耐熱性ポリウレタンゴム表面の一部が溶融していた。
以上の結果から、耐熱性が最も良い耐熱性ポリウレタンゴムを使用しても、使用条件が悪いと、ゴム表面が耐熱性ポリウレタンゴムの融点以上に蓄熱されて、比較例1と同様に各メーカーが保証している年数まで使用できない場合があることが実証された。
また、これらの結果から、各支持ディスクを製造するメーカーが、その製品カタログにて図11の[D]のようでなく、[C]のように嵌入後の各支持単品ディスクの側面振れ(23)が限りなくゼロになるよう正しく嵌入することが長期保証寿命を維持するために最重要と説明しているとおり、ポリウレタンゴム製支持ディスクでは本発明品と異なり極めて正確な嵌入が要求されることも理解できる。
本発明のロータシャフト支持ディスクは、嵌入した時の不手際から若干の芯振れを起こしたとしても、本発明の支持ディスクが極めて優れた耐熱性を有するので、ゴム表面が摩擦熱で溶融することもなく、取り外して再度、芯振れを修正すればそのまま使用することができ、繊維束を高速回転体の遠心気流により均整な繊維層に再構造しながら高速で連続的に牽き出し架撚、成糸するロータ式オープンエンド精紡機のロータシャフト支持ディスクとして極めて有用なものである。
1 標準タイプロータシャフト支持単品ディスクの芯金
2 ロータシャフト支持単品ディスクのゴム部材
3 被覆ゴム部材表面の加工した溝部分
4 ロータシャフト支持単品ディスクの芯金のベアリング固定用穴
5 レーザー測定タイプ用ロータシャフト支持用単品ディスクの芯金
6 レーザーによる回転数計測用貫通穴
7 反射板タイプロータシャフト支持単品ディスクの芯金
8 回転数計測用反射板
9 ロータシャフト支持単品ディスク固定用ベアリング
10 標準タイプロータシャフト支持単品ディスクの完成品
11 レーザータイプロータシャフト支持単品ディスク完成品
12 ロータシャフト支持単品ディスクを固定するベアリングのシャフト部
13 標準タイプロータシャフト支持組ディスク(標準タイプ単品ディスク2枚をそれぞれベアリングの左右のシャフトに固定したもの)
14 レーザー反射タイプロータシャフト支持組ディスク(レーザータイプ単品ディスク1枚と標準タイプ単品ディスク1枚をそれぞれベアリングの左右のシャフトに固定したもの)
15 反射板タイプロータシャフト支持組ディスク(反射板タイプ単品ディスク1枚と標準タイプ単品ディスク1枚をそれぞれベアリングの左右のシャフトに固定したもの)
16 繊維束紡出用ロータシャフト
17 組ディスク固定用ユニット
18 ロータシャフトの繊維束吐き出し口
19 ロータシャフトの繊維束入口
20 ロータシャフト駆動用ベルト
21 駆動用ベルト用テンションプリー
22 紡出繊維束
23 嵌入済みロータシャフト支持組ディスクの側面の振れ
24 アルコールランプ
25 アルコールランプの炎
26 アルミニュウムブロック固定用台
27 アルミニュウムブロック
28 温度測定用熱電対センサー部
29 デジタル温度計
30 簡易方式で融点を測定するための実施例1のゴム部材片
31 簡易方式で融点を測定するための比較例1のゴム部材片
32 簡易方式で融点を測定するための比較例2のゴム部材片
33 ロータシャフト支持単品ディスクのゴム表面が使用中に溶けた部分の模式図
34 ロータシャフト支持単品ディスクの芯金とゴムの境界面
A ロータシャフトを含めた反射板タイプロータシャフト支持組ディスク一式(旧タイプ)
B ロータシャフトを含めたレーザー反射ロータシャフト支持組ディスク一式(新タイプ)
C ベアリングに正常に嵌入したロータシャフト支持組ディスクの完成正面図
D ベアリングにやや悪く嵌入したロータシャフト支持組ディスクの完成正面図
E ゴム表面が一部溶融したロータシャフト支持単品ディスクの正面模式図
F ゴム表面が一部溶融したロータシャフト支持単品ディスクの斜面模式図

Claims (4)

  1. ロータ式オープンエンド精紡機のロータシャフトを支持するディスクであって、その周縁部に接着剤を介してゴム部材が接着被覆されており、該ゴム部材が結合アクリロニトリル18〜44重量%の水素化ニトリルゴム(HNBR)及び/又はその変性物を過酸化物加硫したゴム部材であって、JIS K0064:化学製品の融点及び溶融範囲測定法(米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)の融点測定法)に準拠した融点測定方法で400℃でも溶融せず、且つ、JIS K7244−5(ISO 6721−5)に準拠した曲げ振動試験方式における雰囲気温度80℃、周波数60Hzにて測定した時のtanδが0.15以下であるゴム部材から形成されていることを特徴とするロータ式オープンエンド精紡機のロータシャフト支持ディスク。
  2. 前記変性物が、水素化ニトリルゴム100重量部に対してメタクリル酸亜鉛及び/又はアクリル酸亜鉛を20重量部以上ないし120重量部配合したゴムであることを特徴とする請求項1記載のロータシャフト支持ディスク。
  3. 前記変性物が、メタクリル酸及び/又はアクリル酸の1〜10重量%を三元共重合したニトリルゴムを水素添加したカルボキシル基導入水素化ニトリルゴム(HXNBR)であることを特徴とする請求項1記載のロータシャフト支持ディスク。
  4. 前記過酸化物加硫ゴム部材の25℃におけるJIS K6253(ISO 48, ISO
    7619)に準拠したスプリング式(デュロメータ硬さ)硬さ測定方法でのタイプAデュロメータ硬さが90度以上であり、タイプDデュロメータ硬さが68度以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のロータ式オープンエンド精紡機のロータシャフト支持ディスク。
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