JP2023013080A - 工作機械用シール部材 - Google Patents

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ゴン チェ プー
Gong Che Pu
篤 寺村
Atsushi Teramura
成彰 岩崎
Shigeaki Iwasaki
勇喜 阿部
Yuki Abe
宏行 坂中
Hiroyuki Sakanaka
康浩 迫
Yasuhiro Sako
隆司 三木
Takashi Miki
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Abstract

【課題】弾性部材が切削油剤によって劣化しにくく、長期間に渡って優れたシール性能を維持することができる工作機械用シール部材を提供する。【解決手段】弾性部材21と支持部材11とを有する工作機械用シール部材10であって、前記弾性部材21は、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなり、前記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分と、イソシアネート成分と、架橋剤と、酸化防止剤及び加水分解防止剤のうちの少なくとも1つとを含有する、工作機械用シール部材10。【選択図】図1A

Description

本発明は、工作機械用シール部材に関する。
旋盤やマシニングセンターなどの工作機械は、製造産業で汎用されている最も基本的な機械装置であり、これらの工作機械では、駆動機構等を切り粉や切削油剤(クーラントを含む)等から保護するために、種々のシール部材、例えば、リップシール、スライドシール、テレスコシール、カバーシール等が使用されている。
工作機械用シール部材としては、例えば、支持部材と弾性部材とを備えたシール部材が知られている。
このようなシール部材では、弾性部材として、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H-NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレンジエンモノマー(EPDM)等のゴム材料や、ポリウレタンエラストマー等を用いることが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
特開2014-8575号公報 国際公開第2017/110275号 国際公開第2017/073405号
工作機械用シール部材は、上述したように、駆動機構を切削油剤から保護するための部材であり、使用時には、弾性部材が切削油剤に晒されることとなる。
そのため、上記弾性部材は、切削油剤によって劣化しないことが求められる。特に、長期間に亘って劣化しないことが求められる。
ところで、上記切削油剤としては、多種類の切削油剤が知られている。
たとえば、JIS K2241:2017では、上記切削油剤が、不水溶性切削油剤と水溶性切削油剤とに分類され、更に、上記不水溶性切削油剤はN1種~N4種に分類され、上記水溶性切削油剤はA1種~A3種に分類されている。上記切削油剤は、目的に応じて適切な切削油剤が選択されて使用される。
また、近年では、JIS規格では区別されていないが、鉱物油に代えて合成油を用いたシンセティックとも呼ばれる切削油剤も使用されている。
工作機械用シール部材はこのような多種類の切削油剤に対して、耐久性を有することが求められている。
また、上記切削油剤のなかでも、水溶性切削油剤及びシンセティックは、不水溶性切削油剤に比べて工作機械用シール部材を構成する弾性部材を劣化させ易いといわれている。そのため、上記工作機械用シール部材は、水溶性切削油剤及びシンセティックに対する耐久性に優れることが求められることが多い。
なお、上記切削油剤は、潤滑、洗浄、抗溶着、冷却等の効果が求められており、冷却効果の求められる切削油剤は、クーラントと呼ばれることもある。
本発明者らは、このような状況のもと鋭意検討を行い、特定の熱硬化性ウレタン組成物の硬化物からなる弾性部材は、切削油剤と接触する環境下で使用されても、長期間に亘って劣化しにくいことを見出し、本発明を完成した。
本発明の工作機械用シール部材は、弾性部材と支持部材とを有する工作機械用シール部材であって、
上記弾性部材は、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなり、
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分と、イソシアネート成分と、架橋剤と、酸化防止剤及び加水分解防止剤のうちの少なくとも1つとを含有する。
上記工作機械用シール部材は、弾性部材が、酸化防止剤及び加水分解防止剤のうちの少なくとも1つを含有する熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなるため、切削油剤(クーラントを含む)によって劣化しにくい。
そのため、長期間に亘ってシール性能を維持することができる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、酸化防止剤を含有し、上記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤である、ことが好ましい。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、酸化防止剤を含有し、上記酸化防止剤の含有量は、ポリオール成分、イソシアネート成分、架橋剤及び酸化防止剤の合計量に対して0.01~0.2重量%である、ことが好ましい。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、加水分解防止剤を含有し、上記加水分解防止剤の含有量は、ポリオール成分、イソシアネート成分、架橋剤及び加水分解防止剤の合計量に対して0.5~2.0重量%である、ことが好ましい。
本発明の工作機械用シール部材は、弾性部材が切削油剤によって劣化しにくく、長期間に渡って優れたシール性能を維持することができる。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材の一例を示す斜視図である。 図1Aに示した工作機械用シール部材の側面図である。 図1Aに示した工作機械用シール部材を工作機械に取り付けた状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材の別の一例を示す斜視図である。 図3Aに示した工作機械用シール部材の側面図である。 図3Aに示した工作機械用シール部材を工作機械に取り付けた状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材の更に別の一例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1A及び図1Bに示すように、第1実施形態の工作機械用シール部材10は、支持部材11と弾性部材21とを備えている。
弾性部材21は、弾性を有する平板状の部材である。弾性部材21は、熱硬化性ウレタン組成物の硬化物からなる。
支持部材11は、弾性部材21を工作機械に取り付ける役割を有する。
支持部材11は、側面視形状がL字形の部材であり、弾性部材21のおもて面21aと対向する支持面11aを有する平板状の支持部12と、支持部12の支持面11aと反対側に立設された平板状の保護部13とを有する。支持部材11の支持面11aは、弾性部材21のおもて面21aと接着剤層31を介して接合されている。
工作機械用シール部材10は、図2に示したように、工作機械が備える取付部35に取付けられる。
弾性部材21は、工作機械に取付ける前の自然状態では、平板状の部材である。弾性部材21は、工作機械用シール部材10を工作機械に取り付けた際に、取付部35と支持部材11の支持面11aとで挟まれる固定部22と、取付部35と支持面11aとで挟まれないリップ部23とからなる。リップ部23は、エッジ部24を含み、かつ、湾曲可能である。
従って、弾性部材21は、エッジ部24側の側面21cから対向する反対側の側面までの距離L2が、支持部材11の支持面11aの同方向の距離L1よりも長くなっている。
また、工作機械用シール部材10は、工作機械用シール部材10を工作機械に取り付けるための複数のボルト穴32を備えている。ボルト穴32は、支持部材11及び弾性部材21を貫通するように設けられている。
支持部材11は、上述したように保護部13を備える。そのため、工作機械用シール部材10は、使用時に弾性部材21のおもて面21aを切り粉から保護することができる。その結果、使用時に弾性部材21が切り粉の衝突によって破損することを抑制することができる。
支持部12と保護部13とを備えた支持部材11としては、例えば、折り曲げ加工された金属板を用いることができる。支持部材11において、保護部13の支持部12に対する折り曲げ角度θ1は、特に限定されないが、通常、80°~150°程度である。
工作機械用シール部材10は、工作機械に所定の向きに取り付けて使用する。
工作機械用シール部材10は、図2に示すように、弾性部材21が工作機械の取付部35と支持部材11とで挟まれるように、ボルト33とナット34とを用いて、工作機械の取付部35に取り付けられる。
このとき、工作機械用シール部材10は、弾性部材21のリップ部23が工作機械の取付部35と反対側に湾曲し、弾性部材21のエッジ部24が工作機械の摺動面36と接触するように工作機械に取り付けられる。
工作機械に取り付けられた工作機械用シール部材10は、弾性部材21のエッジ部24が工作機械の摺動面36上を摺動し、工作機械の駆動機構等に切削油剤や切り粉が侵入することを防止する。
工作機械用シール部材10は、上述した構成を備えており、リップ部23全体が少しずつ変形することができるため、使用時(工作機械の摺動面36との摺接時)にエッジ部24と摺動面36との接触圧が変化しにくい。そのため、エッジ部24は摩耗しにくい。従って、工作機械用シール部材10は、長期間に亘って良好なシール性能を維持することができる。
これについて、もう少し説明する。
工作機械の摺動面36には、通常、うねり(凹凸)が存在する。そのため、工作機械の取付部35(例えば、工作機械用シール部材10を固定するためのボルト穴35a)から摺動面36までの距離は一定ではない。そして、工作機械用シール部材10のエッジ部24が摺動面36上を摺動した際には、通常、工作機械の取付部35から摺動面36までの距離の変化に応じてエッジ部24の接触圧が変化する。
一方、工作機械用シール部材10は、弾性部材21が摺動面36上を摺動した際に、弾性部材21のリップ部23全体が少しずつ変形する(リップ部全体の湾曲状態が変化する)ことで、摺動面36のうねりを吸収し、エッジ部24と摺動面36との接触圧の変動を抑制することができる。
工作機械用シール部材10は、弾性部材21の裏面21bと側面21cとに挟まれた一辺をエッジ部24とする。このような工作機械用シール部材10は、弾性部材21のリップ部23を湾曲させた状態でエッジ部24を工作機械の摺動面36に接触させた際に、弾性部材21の裏面21bのエッジ部24近傍部分も摺動面36に接触する。すなわち、工作機械用シール部材10は、弾性部材21(リップ部23)と工作機械の摺動面36とが面接触する。そのため、工作機械用シール部材10は、両者が線接触する場合に比べて、シール性能により優れる。
(第2実施形態)
図3Aは、第2実施形態に係る工作機械用シール部材を示す斜視図である。図3Bは、図3Aの側面図である。なお、図3A及び図3B中、第1実施形態の工作機械用シール部材と同一の部材については、同一の符号を付与している。
第2実施形態に係る工作機械用シール部材20は、図3A及び図3Bに示すように、第1実施形態の工作機械用シール部材10において、更に、弾性部材21の裏面21b側に、湾曲補助部材41を備えている。
湾曲補助部材41は、平板状の本体部42と平板状の補助部43とを有する。補助部43は、本体部42の下端部から弾性部材21(リップ部23)の湾曲側(支持部材11側)に向かって斜めに延設されている。なお、上記補助部は湾曲していてもよい。
湾曲補助部材41の本体部42は、弾性部材21の裏面21bの一部と接着剤層38を介して接合されている。
本体部42と補助部43とを備えた湾曲補助部材41としては、例えば、折り曲げ加工された金属板を用いることができる。湾曲補助部材41において、補助部43の本体部42に対する折り曲げ角度θ2は、特に限定されないが、通常、15~60°程度である。
工作機械用シール部材20を構成する弾性部材21は、湾曲補助部材41の本体部42と接合する前の自然状態では、平板状の部材である。弾性部材21は、湾曲補助部材41との接合によって、湾曲した状態が維持され、この状態で工作機械用シール部材20を構成する弾性部材となる。
工作機械用シール部材20は、図4に示すように、工作機械の取付部35側から順に、湾曲補助部材41、弾性部材21及び支持部材11が位置するように、ボルト33とナット34とを用いて工作機械に取り付けられる。
工作機械用シール部材20は、湾曲補助部材41を備えているため、工作機械用シール部材20の取り付け向きを誤ることなく、工作機械に取り付けるのに適している。
工作機械用シール部材20は、弾性部材21のリップ部23の湾曲が湾曲補助部材41によってサポートされている。そのため、使用時に工作機械用シール部材のめくれ(弾性部材21のリップ部23の反転)がより発生しにくくなる。但し、使用時において、補助部43のおもて面43aと弾性部材21の裏面21bとは必ずしも接触していなくてもよい。
工作機械用シール部材20は、弾性部材21と湾曲補助部材41(本体部42)とが接着剤層38を介して接合されているため、両者の間を通って、切削油剤が侵入すること防止するのにより適している。
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る工作機械用シール部材を示す斜視図である。なお、図5中、第1実施形態の工作機械用シール部材と同一の部材については、同一の符号を付与している。
第3実施形態に係る工作機械用シール部材30は、支持部材51の形状が、第1、第2実施形態の工作機械用シール部材10、20と異なる。
支持部材51は、平板状の部材であり、保護部を有しておらず。支持部52のみで構成されている。
このような支持部材51も、本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材の支持部材として採用することができる。
(その他の実施形態)
第1~第3の実施形態に係る工作機械用シール部材は、支持部材と弾性部材、及び、弾性部材と湾曲補助部材が接着剤層を介して接合されている。しかしながら、本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材は、支持部材と弾性部材、及び、弾性部材と湾曲補助部材が必ずしも接着剤層を介して接合されている必要はなく、単に物理的に密着しているだけであってもよい。この場合、支持部材、弾性部材及び湾曲補助部材のそれぞれを別々に交換することができる。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材は、第2実施形態の工作機械用シール部材において、支持部材として、第3実施形態の工作機械用シール部材の支持部材と同様の平板状の支持部材を備えていてもよい。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材において、平板状の弾性部材は完全な直方体に限定されるわけではなく、例えば、上記エッジ部にC面取りや、R面取りを施した形状であってもよい。
また、上記弾性部材は、断面形状(長手方向に垂直な面の形状)がエッジ部に向かって連続的に又は断続的に先細りしていく(厚さが減少していく)形状であってもよい。
次に、上記工作機械用シール部材の構成部材について説明する。
(支持部材)
上記支持部材は、上記弾性部材を工作機械に取り付けるための部材である。
上記支持部材の材質は、耐久性や強度の点から一般にスチールやアルミニウム等の金属材料が適当である。上記支持部材の材質は、セラミックや剛性プラスチック等であってもよい。
また、上記支持部材の材料としては、表面無処理の鋼板、リン酸亜鉛処理やクロメート処理や錆止め樹脂処理等の表面処理の施された鋼板、りん青銅やばね鋼などの弾性金属板等を使用することもできる。
上記支持部材は、弾性部材のおもて面との間に介在させる接着剤層とのなじみ性を向上させるために、プライマーによる表面処理が施されていてもよい。
更に、上記支持部材の表面(特に接着剤層を介して弾性部材と接する領域)には、アンカー効果により密着性を向上させるべく粗面化処理が施されていてもよい。
(弾性部材)
上記弾性部材は、工作機械の摺動面と摺接する部材である。上記弾性部材は、エッジ部が工作機械の摺動面と接触する。
上記弾性部材は、所定の熱硬化性ウレタン組成物の硬化物からなる。上記熱硬化性ウレタン組成物とは、加熱により硬化する組成物である。
上記熱硬化性ウレタン組成物は、ポリオール成分と、イソシアネート成分と、架橋剤と、酸化防止剤及び加水分解防止剤のうちの少なくとも1つとを含有する。
上記ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
上記ポリオールは、数平均分子量が1000~3000であることが好ましい。切り粉や切削油剤等の侵入を防止するのにより適しているからである。
上記数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定によるポリスチレン換算の測定値である。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコールとを常法に従って反応させることにより得たもの等が挙げられる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、それらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらのなかでは、耐摩耗性が良好な点から、アジピン酸が好ましい。
上記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、p-キシレンジオール等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。上記グリコールとしては、脂肪族グリコールが好ましく、エチレングリコール、1,4-ブタンジオールが更に好ましい。
ジカルボン酸及びグリコールの反応物であるポリエステルポリオールは、線状構造であるが、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状ポリエステルであってもよい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、それらの共重合体等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、耐摩耗性が良好な点から、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、触媒の存在下で低分子量グリコールを開始剤としてε-カプロラクトンを開環付加させることにより得られるものが挙げられる。
上記ポリオール成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリオール成分は、水溶性切削油剤やシンセティックと呼ばれる切削油剤に対する耐久性が良好な弾性部材を形成するのに好適な観点から、ポリエチレンアジペートエステルポリオール(PEA)が好ましい。
上記イソシアネート成分としては特に限定されず、例えば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート等が挙げられる。これらのなかでは、弾性部材の耐摩耗性が良好になる点から、芳香族イソシアネートが好ましい。
上記脂肪族イソシアネートとしては、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。また、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体の変性体等も挙げられる。
上記脂環族イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
上記芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、及び、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)等が挙げられる。
本明細書では、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、及び、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物、を総称してMDIともいう。
上記芳香族イソシアネートとしては、例えば、カルボジイミド変性のMDI、ウレタン変性のMDI等も挙げられる。
上記イソシアネート成分は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記イソシアネート成分としては、TDI及びMDIが好ましい。芳香族イソシアネートの中でも特に良好な耐摩耗性を発現するからである。
上記MDIとしては、ピュアMDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)、ポリメリックMDI(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの混合物)が好ましい。
上記架橋剤としては、例えば、1,4-ブタンジオール(1,4-BD)、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(BHEB)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセリン、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン、水等が挙げられる。
これらのなかでは、適切なゴム硬度、ゴム剛性を発現させやすいことから、1,4-ブタンジオール、TMP、BHEBが好ましい。また、1,4-ブタンジオール、TMP、BHEBを含む熱硬化性ウレタン組成物は、ポットライフが比較的長く、手注型でも成形することができる。
上記架橋剤は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
これらのなかでは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
上記酸化防止剤は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例えば、チバガイギー社製、IRGANOX 1010)、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例えば、チバガイギー社製、IRGANOX 1035)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、チバガイギー社製、IRGANOX 1076)、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))(例えば、チバガイギー社製、IRGANOX 1098)、ベンゼンプロパン酸,3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-C9側鎖アルキルエステル(例えば、チバガイギー社製、IRGANOX 1135)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート](例えば、チバガイギー社製、IRGANOX 245)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(例えば、チバガイギー社製、IRGANOX 3114)、1,3,5-トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(例えば、チバガイギー社製、IRGANOX 3790)、2,3’-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジド(例えば、チバガイギー社製、IRGANOX MD 1024)等が挙げられる。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4-tert-ブチルフェニル)フォスファイト(例えば、チバガイギー社製、IRGAFOS 168)、トリス[2-[[2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン-6-イル]オキシ]エチル]アミン(例えば、チバガイギー社製、 IRGAFOS 12)、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル亜りん酸(例えば、チバガイギー社製、IRGAFOS 38)等が挙げられる。
上記酸化防止剤の含有量は、上記ポリオール成分、上記イソシアネート成分、上記架橋剤及び上記酸化防止剤の合計量に対して0.01~1.0重量%が好ましい。
上記酸化防止剤の含有量が0.01重量%未満では、切削油剤による劣化を抑制する効果が充分に得られないことがある。一方、上記酸化防止剤の含有量が1.0重量%を超えると、酸化防止剤のブルーム又はブリードが発生し、弾性部材の物性が損なわれることがある。また、酸化防止剤のブルーム又はブリードが発生した場合も、弾性部材の切削油剤に対する劣化防止性能が充分に得られないことがある。
上記酸化防止剤の含有量は、0.01~0.2重量%がより好ましい。
上記加水分解防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、カルボジイミド化合物の単量体または重合体、オキサゾリン化合物の単量体または重合体等が挙げられる。
これらのなかでは、カルボジイミド化合物の単量体または重合体が好ましい。
上記カルボジイミド化合物としては、例えば、ビス(プロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4'-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、芳香族ポリカルボジイミド等、および、これらを構成する単量体等が挙げられる。
上記カルボジイミド化合物は市販品を使用することもできる。上記市販品としては、例えば、ラインケミー社製のStabaxolシリーズが挙げられる。具体的には、Stabaxol I Powder、Stabaxol I-LF、Stabaxol P、Stabaxol P100等が挙げられる。
上記加水分解防止剤の含有量は、上記ポリオール成分、上記イソシアネート成分、上記架橋剤及び上記加水分解防止剤の合計量に対して、0.5~2.0重量%が好ましい。
上記加水分解防止剤の含有量が0.5重量%未満では、切削油剤による劣化を抑制する効果が充分に得られないことがある。一方、上記加水分解防止剤の含有量が2.0重量%を超えると、加水分解防止剤のブリード又はブルームが発生し、弾性部材の物性が損なわれることがある。また、加水分解防止剤のブリード又はブルームが発生した場合も、弾性部材の切削油剤による劣化を抑制する効果が充分に得られないことがある。
上記弾性部材は、無機粒子を含有してもよい。この場合、上記無機粒子は、上記熱硬化性ウレタン組成物に含有させればよい。
上記無機粒子としては、例えば、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄、シリカ等の無機酸化物からなる無機酸化物粒子や、銅、ニッケル、鉄、アルミ等の金属等からなる金属粉末;ガラスバルーンやフライアッシュバルーン等の無機バルーン等などが挙げられる。
上記無機粒子は、1種類のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの無機粒子を含有する弾性部材では、摺動抵抗を低くすることができる。また、上記無機を配合することによって、弾性部材の硬さを調節することができる。
本発明の実施形態において、無機バルーンとは、無機材料からなる粒子のうち中空構造のものをいう。また、無機酸化物粒子とは、酸化セリウム等の金属酸化物、酸化硅素等の半金属酸化物、又は、これらの複合物からなる粒子のことをいう。なお、上記無機酸化物粒子が中空構造を有する場合、それは無機バルーンであるとして無機酸化物粒子とは区別する。
上記無機粒子は、上記弾性部材内で偏在していてもよい。具体的には、上記弾性部材の裏面側が密になるように偏在していることが好ましい。この場合、弾性部材全体の弾性性能を維持したまま、弾性部材の摺動抵抗を低減するのに適している。
弾性部材の摺動抵抗を低減する場合は、上記無機粒子の中では、熱硬化性ポリウレタンとなじみやすく、化学的安定性に優れ、摺動抵抗の低減に適していることから酸化セリウム粒子が好ましい。
上記無機粒子の含有量は、無機粒子の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、上記ポリオール成分、上記イソシアネート成分及び上記架橋剤の合計量100重量部に対して1~5重量部が好ましい。
上記熱硬化性ウレタン組成物は、その他、鎖延長剤、架橋促進剤や架橋遅延剤等の反応助剤、着色剤、光安定剤、熱安定剤、防黴剤、難燃剤、増量剤等を含有していてもよい。
上記熱硬化性ウレタン組成物におけるイソシアネート基濃度は、5.50~10.0重量%であることが好ましい。
上記イソシアネート基濃度が、5.50重量%未満では、上記弾性部材の耐摩耗性が不充分となることがある。一方、上記イソシアネート基濃度が10.0重量%を超えると、上記硬化物が硬度の高すぎるものとなってしまい、上記弾性部材の摺動抵抗が大きくなってしまうことがある。
上記イソシアネート基濃度(重量%)とは、イソシアネート成分、ポリオール成分、及び、架橋剤の合計量中に含まれるイソシアネート基の重量割合をいう。
上記弾性部材は、上記熱硬化性ウレタン組成物を硬化させた後、超音波カッター等を用いて所定の寸法に裁断することにより、製造することができる。
上記熱硬化性ウレタン組成物の硬化条件は特に限定されず、上記熱硬化性ウレタン組成物の組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、100~160℃で30~90分間加熱する条件を採用することができる。
また、上記条件で硬化処理を行い、金型等から脱型した後、例えば、100~160℃で3~48時間の条件で後硬化を行ってもよい。
なお、上記熱硬化性ウレタン組成物に含まれるイソシアネート成分及びポリオール成分は、上記熱硬化性ウレタン組成物を所定の条件で硬化させる前に、予め反応させてプレポリマーとしておいてもよい。
上記熱硬化性ウレタン組成物を所定の形状に成形する方法は特に限定されず、例えば、常圧注型成形、減圧注型成形、遠心成形、連続回転成形、押出成形、射出成形、反応射出成形(RIM)、スピンコーティング等が挙げられる。
これらのなかでは、遠心成形、連続回転成形が好ましい。
上記弾性部材の硬さ(JIS-A硬さ)は、55~90°が好ましい。
上記弾性部材の硬さが55°未満では、工作機械の摺動面上を摺動する際に大きく変形してしまい、切り粉等の侵入を確実に防止することができないことがある。一方、上記弾性部材の硬さが90°を超えると弾性部材が硬すぎるため、摺動時に破損してしまうことがある。より好ましい弾性部材の上記硬さは、60~75°である。
上記JIS-A硬さは、JIS K 7312に準じて、スプリング式タイプA硬さ試験機により測定される値である。
上記弾性部材の反発弾性は、10%~50%が好ましい。
上記弾性部材の反発弾性を上記範囲とすることにより、摺動面のうねりに追随しやすくなり、良好なシール性能の確保に適している。加えて、上記弾性部材の反発弾性が上記範囲にあると、摺動時に異音(ビビり音)の発生を抑制しやすくなる。より好ましい上記反発弾性は、20%~40%である。
上記反発弾性は、JIS K 7312に準拠して測定された値である。
(湾曲補助部材)
上記湾曲補助部材の材質としては、上記支持部材と同様のものが挙げられる。
上記湾曲補助部材は、弾性部材の裏面との間に介在させる接着剤層とのなじみ性を向上させるために、プライマーによる表面処理が施されていてもよい。
更に、上記湾曲補助部材の表面(特に接着剤層を介して弾性部材と接する領域)には、アンカー効果により密着性を向上させるべく粗面化処理が施されていてもよい。
(接着剤層)
上記弾性部材と上記支持部材とを固定する接着剤層、及び、上記弾性部材と上記湾曲補助部材とを固定する接着剤層は、特に限定されず、各部材の材質を考慮して適宜選択すればよい。
上記接着剤層としては、例えば、EVA系、ポリアミド系又はポリウレタン系のホットメルト接着剤や、硬化型接着剤等により形成されたもの等が挙げられる。また、上記接着剤層としては、例えば、両面テープからなるもの等も挙げられる。
上記弾性部材及び上記支持部材を接合する接着剤層と、上記弾性部材及び上記湾曲補助部材を接合する接着剤層とは、その材質が同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記接着剤層の厚さは特に限定されないが、50~500μmが好ましい。
工作機械用シール部材10は、例えば、以下の方法により製造することができる。
(1)鋼板等を出発材料とし、所定のサイズに裁断した後、必要に応じて折り曲げて屈曲させる等の加工を施し、支持部材11を作製する。
(2)上記(1)における支持部材の作製とは別に、熱硬化性ウレタン組成物の硬化物からなる所定の寸法の弾性部材21を上述した方法で作製する。
(3)支持部材11及び/又は弾性部材21にアプリケータ等を用いて接着剤を塗布し、両者を所定に位置で貼り合わせた後、必要に応じて加圧及び/又は養生する。
このような工程を経ることにより、工作機械用シール部材10を製造することができる。
工作機械用シール部材20を作製する場合は、更に、湾曲補助部材を用意し、当該湾曲補助部材を所定の位置に取り付ければよい。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材は、旋盤やマシニングセンター等の種々の工作機械において、工作機械の摺動個所や摺動機構等を切り粉や切削油剤等から保護するためのシール部材(ワイパーとも称される)として使用することができる。具体的には、例えば、スライドシール、テレスコシール、カバーシール、リップシール等として使用することができる。
このとき、使用される切削油剤は特に限定されず、不水溶性切削油剤でもよいし、水溶性切削油剤でもよい。また、上記切削油剤は、シンセティックでもよい。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材は、これらの切削油剤に対して耐久性に優れる。また、上記工作機械用シール部材は、弾性部材を劣化させ易いといわれている水溶性切削油剤及びシンセティックに対しても、良好な耐久性を有する。
[試験例]
以下、本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材の効果を評価した試験について説明する。
ここでは、熱硬化性ウレタン組成物の硬化物からなるテストピースを作製し、このテストピースを用いて、切削油剤に対する耐久性を評価した。
(試験例1)
(1)ポリエチレンアジペートエステルジオール(三洋化成工業(株)製、サンエスター2620、水酸基価56.1mgKOH/g)100重量部に、ピュアMDI(東ソー(株)製、ミリオネートMT)を39.5重量部添加し、75℃雰囲気下で減圧脱泡した後、同温度雰囲気下で撹拌しながら8時間反応させて、プレポリマーを得た。このプレポリマーのNCO濃度は、6.5%であった。
(2)その後、得られたプレポリマーに、1,4-ブタンジオール(三井化学(株)製)6.14重量部、トリメチロールプロパン(三菱ガス化学(株)製)0.683重量部を添加し、撹拌混合してウレタン組成物を調製した。
(3)直後に得られたウレタン組成物を遠心成形機に投入し、金型温度150℃、架橋時間60分間の条件で架橋させ、厚さ1.6mmで円筒状の硬化物を成型した後、脱型した。その後、円筒状の硬化物の一か所を切断して板形状に展開し、送風オーブン内にて120℃、12時間の条件で後架橋を行い、ポリウレタン製原反シートを得た。
上記原反シートからテストピースを切り出した。上記テストピースの形状は、ダンベル状3号形(JIS K6251:2017に準拠)とした。
(試験例2)
試験例1の(2)の工程において、1,4-ブタンジオール、及びトリメチロールプロパンに加えて、更に、酸化防止剤(チバガイギー社製、IRGANOX 1010)を添加した以外は、試験例1と同様にして、テストピースを製造した。
ここで、酸化防止剤の添加量は、0.029重量部とした。本試験例において、ポリエチレンアジペートエステルジオール、ピュアMDI、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン及び酸化防止剤の合計量に対する酸化防止剤の含有量は、0.02重量%となる。
(試験例3)
試験例1の(2)の工程において、1,4-ブタンジオール、及びトリメチロールプロパンに加えて、更に、加水分解防止剤(ラインケミー社製、Stabaxol I Powder)を添加した以外は、試験例1と同様にして、テストピースを製造した。
ここで、加水分解防止剤の添加量は、1.46重量部とした。本試験例において、ポリエチレンアジペートエステルジオール、ピュアMDI、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン及び加水分解防止剤の合計量に対する加水分解防止剤の含有量は、1.0重量%となる。
[切削油剤に対する耐久性の評価]
ここでは、2種類の切削油剤を使用し、各切削油剤に対する耐久性を評価した。
試験例1~3で作製したテストピースを切削油剤A及び切削油剤Bのそれぞれに所定時間浸漬し、耐久性の評価として、形状の変化の有無及び物性の変化の有無を評価した。
切削油剤A:ユシローケンAP-EX―E1(ユシロ化学工業社製)の原液
切削油剤B:シンセティック#663(ユシロ化学工業社製)の原液
(1)外観評価:
各テストピースを50℃に加温した切削油剤A、Bに500時間浸漬し、浸漬後の外観変化の有無として、テストピース表面におけるひび割れの有無、及び、膨潤の有無を観察した。
その結果、全てのテストピースでひび割れが発生していたものの、試験例2、3のテストピースは、試験例1のテストピースに比べてひび割れが少ない傾向にあった。特に、切削油剤Aに浸漬したテストピースでその傾向が大きかった。
また、膨潤の有無についても、全てのテストピースで膨潤が発生していたものの、試験例2、3のテストピースは、試験例1のテストピースに比べて膨潤しにくい傾向にあった。特に、切削油剤Aに浸漬したテストピースでその傾向が大きかった。
(2)耐屈曲性の評価:
50℃に加温した切削油剤A、Bに500時間浸漬した、ダンベル状の各テストピースについて、テストピースの一方のチャック部分(幅が広くなっている部分)を180°折り曲げた後、元に戻して、折り曲げた部分を観察した。
その結果、試験例1のテストピースでは大きな折り曲げ痕が観察された。これに対して、試験例2、3のテストピースで生じた折り曲げ痕は、試験例1のテストピースに生じた折り曲げ痕に比べて小さかった。
工作機械用シール部材の弾性部材は、相手材(工作機械の摺動面)に押し付けられ、湾曲した状態(又は屈曲した状態)で使用されることがある。そのため、上述したような切削油剤に浸漬した後の折り曲げ試験で、折り曲げ痕が観察されにくいことは、耐久性に優れることを意味する。
(3)硬度変化:
各テストピースを50℃に加温した切削油剤A、Bに300時間浸漬し、浸漬前後のJIS-A硬さの変化量を測定した。
その結果、試験例2、3のテストピースは、試験例1のテストピースに比べて硬度変化が小さい傾向にあり、試験例2のテストピースは、試験例3のテストピースに比べてより硬度変化しにくい傾向にあった。
ここで、JIS-A硬さは、テストピースを8枚重ねて測定した。
(4)引張特性の変化:
各テストピースを50℃に加温した上記切削油剤A、Bに300時間浸漬し、浸漬前後の引張強さTの変化量、及び、浸漬前後の切断時伸びEの変化量を測定した。
その結果、試験例2、3のテストピースは、試験例1のテストピースに比べて引張特性の変化が小さい傾向にあった。
ここで、測定時の引張速度は500mm/minとした。
10、20、30 工作機械用シール部材
11、51 支持部材
11a 支持面
12、52 支持部
13 保護部
21 弾性部材
21a おもて面
22 固定部
23 リップ部
24 エッジ部
31、38 接着剤層
32 ボルト穴
35 取付部
36 摺動面
41 湾曲補助部材
42 本体部
43 補助部

Claims (4)

  1. 弾性部材と支持部材とを有する工作機械用シール部材であって、
    前記弾性部材は、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなり、
    前記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分と、イソシアネート成分と、架橋剤と、酸化防止剤及び加水分解防止剤のうちの少なくとも1つとを含有する、
    工作機械用シール部材。
  2. 前記酸化防止剤を含有し、前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤である、請求項1に記載の工作機械用シール部材。
  3. 前記酸化防止剤を含有し、前記酸化防止剤の含有量は、ポリオール成分、イソシアネート成分、架橋剤及び酸化防止剤の合計量に対して、0.01~0.2重量%である、請求項1又は2に記載の工作機械用シール部材。
  4. 前記加水分解防止剤を含有し、前記加水分解防止剤の含有量は、ポリオール成分、イソシアネート成分、架橋剤及び加水分解防止剤の合計量に対して、0.5~2.0重量%である、請求項1~3のいずれかに記載の工作機械用シール部材。
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