JP5137794B2 - 薄膜太陽電池の製法 - Google Patents

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Description

本発明は、一対の電極層間に光吸収層を有する薄膜太陽電池の製法に関する。
図1は、一般的な薄膜太陽電池の基本構造を示している。この薄膜太陽電池は、図1に示すように、例えば、ソーダライムガラスからなる基板1上に裏面電極となる、例えば、Moからなる第1電極層2が形成され、この第1電極層2上に化合物半導体薄膜からなる光吸収層3が形成され、その光吸収層3上にZnS、CdSなどからなるバッファ層4を介して、ZnOなどからなる透明の第2電極層5が形成されている。
化合物半導体からなる光吸収層3としては、高いエネルギー変換効率が得られるものとして、Cu(In,Ga)Seからなる化合物半導体薄膜が用いられている。
Cu(In,Ga)Seの製法としては、蒸着法やスパッタ法など真空プロセスを用いる製法と、固相または液相原料を塗布または電着によって成膜する非真空プロセスを用いる製法とに大別される。
このうち、真空プロセスの蒸着やスパッタ法によっても成膜することが可能であるが、真空系の装置を用いるため高コストという問題がある。
非真空プロセスは低コストで量産可能であることから塗布による成膜が試みられている。
例えば、従来、単一源前駆体法(Single Source Precursor法)が知られており、この方法は、1つの有機化合物内にCuとSeとInまたはGaとを存在させ、その有機化合物を有機溶媒に溶解させて塗布、熱処理することによって、Cu(In,Ga)Se薄膜を形成する製法である(特許文献1参照)。
この特許文献1の製法を具体的に説明すると、Cu(CHCN)・PFなどの金属塩とP(Cなどのルイス塩基とを反応させて{P(CCu(CHCN) のような形の錯イオンを作製し、この錯イオンとInまたはGaとSeとを含む錯イオンとを反応させることによって、CuとInまたはGaとSeとを含む単一前駆体を作製している。
米国特許第6992202号明細書
ベンゼン環とCuとSeとInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む単一前駆体が有機溶媒に溶解した光吸収層溶液を、基板上の第1電極層上に塗布した光吸収塗布膜を熱処理する場合は、通常、基板を加熱し、この基板からの熱伝導により光吸収塗布膜を熱処理して光吸収層を形成するが、基板から伝導された熱により、光吸収塗布膜を加熱するため、光吸収塗布膜の基板側から加熱され、光吸収塗布膜の基板側から、液体から固体への固化が急激に発生し、溝状のクラックが発生し易いという問題があった。
すなわち、基板を加熱することにより、ベンゼン環とCuとSeとInおよびGaの少
なくとも1種とを含む光吸収塗布膜を、基板側から間接的に加熱すると、光吸収塗布膜の基板側から固化が始まるが、同時に光吸収塗布膜中のSeとベンゼンとの化合物がガス化し光吸収塗布膜表面(露出面)から放出され、光吸収塗布膜でピンホールやボイドとなるため、一挙に固化が生じる際に空隙が生じ、溝状のクラックが発生し易いという問題があった。
また、Seとベンゼンとの化合物がガス化して光吸収塗布膜外に放出されるため、光吸収塗布膜中のSe量が少なくなり、熱処理中に液相として存在するCuとSeとの化合物の生成が少なくなり、クラックを修復する機能が低下し、溝状のクラックが発生し易いという問題があった。
本発明は、光吸収層におけるクラックの発生を抑制できる薄膜太陽電池の製法を提供することを目的とする。
本発明の薄膜太陽電池の製法は、第1電極層と第2電極層との間に光吸収層を有する薄膜太陽電池の製法であって、1つの有機化合物内にベンゼン環とCuとSおよびSeのうち少なくとも1種とInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む単一前駆体が有機溶媒に溶解した光吸収層溶液を、前記第1電極層上に塗布して光吸収塗布膜を形成する光吸収塗布膜形成工程と、前記光吸収塗布膜を200℃から400℃まで60℃/分以上の昇温速度で昇温して加熱する急速昇温工程と、該急速昇温工程の最高温度よりも高い温度で熱処理することにより、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種とInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む光吸収層を前記第1電極層上に形成する光吸収層形成工程と、前記光吸収層上に前記第2電極層を形成する第2電極層形成工程とを具備することを特徴とする。
本発明の薄膜太陽電池の製法では、光吸収塗布膜を200℃から400℃まで60℃/分以上の昇温速度で昇温することにより、理由は明確ではないが、光吸収層における溝状のクラックの発生を抑制できる。
本発明者等は、上記点について検討したところ、溝状のクラックの発生を抑制できる理由を下記のように考えている。すなわち、SおよびSeのうち少なくとも1種とベンゼンとの化合物は約200℃でガス化を開始し、約300℃程度までにガス化が終了すると考えているが、200〜400℃まで60℃/分以上で急速に昇温するため、SおよびSeのうち少なくとも1種とベンゼンとの化合物がガス化する時間が短いことに起因して、光吸収塗布膜中のSおよびSeのうち少なくとも1種とベンゼンとの化合物がガス化して外部に放出されることを抑制でき、これにより光吸収塗布膜におけるピンホールやボイド等を抑制でき、このようなピンホールやボイド等が発展した溝状のクラックを抑制できる。
そして、光吸収層形成工程では、急速昇温工程の熱処理温度よりも高い温度で熱処理して光吸収層を形成するが、光吸収塗布膜中のSおよびSeのうち少なくとも1種の外部への放出が抑制されるため、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物からなる液相の生成量が多くなり、初期段階でクラックが発生したとしても、そのクラックを液相が埋めて修復でき、光吸収層における溝状のクラックの発生を抑制できる。
また、400℃以上で光吸収塗布膜の固化が始まるが、400℃までの温度に到達する時間が短いため、固化が始まる前にCuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物が液相化し、光吸収層形成工程での新たな溝状のクラックの発生を抑制できると考えている。
これにより、第1電極層と第2電極層との間の短絡を防止でき、薄膜太陽電池の長期信頼性を向上できる。
また、本発明の薄膜太陽電池の製法は、前記急速昇温工程の最高温度から前記光吸収層形成工程の熱処理温度までの昇温速度は、10℃/分以下であることを特徴とする。このような薄膜太陽電池の製法では、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物は400℃以上で生成を始めるが、急速昇温工程後の昇温速度が10℃/分以下であるため、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物からなる液相を十分に生成することができ、これにより、クラックの補修機能を向上できる。また、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物からなる液相を十分に生成できるため、熱処理後には、Cu(In,Ga)Se 等の化合物半導体の生成量を向上できる。
本発明の薄膜太陽電池の製法によれば、光吸収塗布膜を200℃から400℃まで60℃/分以上の昇温速度で昇温して熱処理することにより、光吸収層における溝状のクラックの発生を抑制できる。これにより、第1電極層と第2電極層との間の短絡を防止でき、薄膜太陽電池の長期信頼性を向上できる。
本発明の製法により作製された薄膜太陽電池は、一対の電極層間に光吸収層を有する薄膜太陽電池であり、例えば、図1に示したように、基板1上に裏面電極となる第1電極層2が形成され、この第1電極層2上に化合物半導体薄膜からなる光吸収層3が形成され、その光吸収層3上にバッファ層4を介して透明の第2電極層5が形成されている。
基板1としては、例えば、ソーダライムガラス基板、Mo、SUSなどの金属基板、ポリイミドなどの樹脂基板等を用いることができる。この基板1上には第1電極層2が形成され、この第1電極層2上に光吸収層3が形成されている。この光吸収層3上にバッファ層4を介して第2電極層5が形成され、光吸収層3は第1電極層2と第2電極層5により挟持されており、これにより、一対の第1、第2電極層2、5間に光吸収層3を有する薄膜太陽電池が構成されている。
尚、基板1、第1電極層2、光吸収層3、バッファ層4、第2電極層5を順次積層した例について説明したが、本発明では、一対の第1、第2電極層2、5間に光吸収層3を有する限り、上記層の間に種々の中間層を形成しても良い。また、本発明は基板1を有しないタイプ、言い換えれば、第1電極層2が基板として機能するタイプであっても良い。
化合物半導体からなる光吸収層3としては、高いエネルギー変換効率が得られるものとして、カルコパイライト構造からなる化合物半導体である、CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Seが用いられている。
本発明の薄膜太陽電池の製法について説明する。先ず、例えば、ソーダライムガラスからなる基板1を準備する。この基板1に第1電極層2を形成する。この第1電極層2は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、ポリシリコン(SiO)、メタルシリサイド、またはアルミニウム(Al)等のうちいずれかの電極材料を用いることが望ましい。第1電極層2は、蒸着法、スパッタリング法、塗布法などで形成することができる。
次に、第1電極層2上に光吸収層3を形成する。先ず、光吸収層3を形成するための光吸収層溶液を作製する。この光吸収層溶液は、単一前駆体が溶解した溶液である。この単一前駆体は、第1錯イオン溶液作製工程で得られた第1錯イオンと、第2錯イオン溶液作製工程で得られた第2錯イオンとを反応させて作製することができる。
(第1錯イオン溶液作製工程)
まず、P(Cなどのルイス塩基Lと、Cu(CHCN)・PFなどのCuの有機金属塩とをアセトニトリルなどの有機溶媒中で反応させて{P(CCu(CHCN)2+のような形の第1錯イオンが存在する第1錯イオン溶液を作製する(第1錯イオン溶液作製工程)。
ここで、Cuの有機金属塩としては、CuCl、CuCl、CuBr、CuIなどのハロゲン化物を用いても良く、ルイス塩基Lとしては、NもしくはAsを含んだもの、例えば、As(CやN(Cであっても良い。また、ルイス塩基LとCuの有機金属塩とを溶解する有機溶媒としては、アセトニトリルの他に、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどを用いることができる。
第1錯イオン溶液は、ルイス塩基LとCuの有機金属塩とを、モル比(Cu/L)が1/3以下となるように配合し、これらのルイス塩基LとCuの有機金属塩とを混合して、この混合物を有機溶媒中に溶解させることが望ましい。特に、反応収率を向上させるという点から、モル比(Cu/L)は0.1以上であることが望ましい。
(第2錯イオン溶液作製工程)
SまたはSeを含む有機化合物とInまたはGaのハロゲン化物とを含む第2錯イオンを作製する。
例えば、NaOCHと有機セレン化合物または有機イオウ化合物とが反応した有機化合物と、InClまたはGaClとをメタノールからなる溶媒中で反応させて、In{SeR} またはGa{SeR} のような形の第2錯イオンを形成する。ここで、Rはアクリル、アリル、アルキル、ビニル、パーフルオロ、カルバメートから選ばれる一種である。
有機セレン化合物(セレノール化合物)としては、例えば、ベンゼンセレノール、ブタンセレノール、ヘキサンセレノールなどが、有機イオウ化合物としては、HSCなどが用いられる。また、メタノールの代わりに、エタノールやプロパノール等の溶媒を用いることができる。尚、第1錯イオンの作製と第2錯イオンの作製の順序はどちらが先でも構わない。
(単一前駆体作製工程)
次に、第1錯イオンと第2錯イオンとを反応させて、CuとSまたはSeとInまたはGaとを含む単一前駆体を作製する。すなわち、Cuを含む第1錯イオン溶液と、InまたはGaとSeとを含む第2錯イオン溶液とを混合して、第1錯イオンと第2錯イオンとを反応させることにより、CuとSまたはSeとInまたはGaとを含む沈殿物と、この沈殿物の上方の溶液とに分離し、溶液部分を排出し、乾燥することにより、単一前駆体を作製できる。
第1錯イオンと第2錯イオンとを反応させる時の温度は0〜30℃が望ましく、反応時間は1〜5時間が望ましい。反応して沈殿した部分は、NaやClなどの不純物を取り除くために、遠心分離もしくは濾過などの手法を用いて洗浄することが望ましい。
(光吸収塗布膜形成工程)
単一前駆体を有機溶媒に溶解して光吸収層溶液を作製し、この光吸収層溶液を第1電極層2上に塗布して光吸収塗布膜を形成する。
すなわち、上記単一前駆体をトルエン、ピリジン、キシレン、アセトンなどの有機溶媒に溶解することにより、光吸収層溶液を作製する。そして、この光吸収層溶液を、上記した基板1の第1電極2上に塗布することにより光吸収塗布膜を形成する。
第1電極層2上への光吸収層溶液の塗布は、スピンコータ、スクリーン印刷、ディッピング、スプレー、ダイコータなどを用いることが望ましい。光吸収塗布膜は、乾燥させる。乾燥は、還元雰囲気下で行うことが望ましい。特には、窒素雰囲気が望ましい。乾燥は100〜150℃で5〜20分行うことが望ましい。尚、光吸収層溶液の塗布、乾燥を複数回繰り返して、乾燥後の光吸収塗布膜を形成しても良い。
(急速昇温工程)
光吸収塗布膜を、少なくとも200〜400℃まで60℃/分以上の昇温速度で昇温して熱処理する。具体的には上記乾燥工程後、連続して少なくとも400℃まで60℃/分以上の昇温速度で昇温する。
200℃から少なくとも400℃までの昇温速度を60℃/分以上としたのは、昇温速度が60℃/分よりも低い場合には、光吸収塗布膜中のSおよびSeのうち少なくとも1
とベンゼンとの化合物がガス化して外部に大量に放出され、ピンホールやボイドを生成しやすくなり、また、SおよびSeのうち少なくとも1種とベンゼンとの化合物がガス化して外部に大量に放出されることがないため、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物からなる液相生成量が少なくなり、初期段階でのクラックの補修機能が低下し、さらに光吸収層形成時に新たなクラックが発生しやすくなるからである。
本発明では、200℃から少なくとも400℃までの昇温速度を60℃/分以上とすることにより、SおよびSeのうち少なくとも1種とベンゼンとの化合物がガス化する時間が短くなり、光吸収塗布膜中のSおよびSeのうち少なくとも1種とベンゼンとの化合物がガス化して外部に放出されることを抑制でき、これにより光吸収塗布膜におけるピンホールやボイドの生成を抑制できる。
また、光吸収塗布膜中のSeの外部への放出が抑制されるため、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物からなる液相の生成量が多くなり、初期段階でクラックが発生したとしても、そのクラックを液相が埋めて修復でき、光吸収層における溝状のクラックの発生を抑制できる。さらに、400℃以上で光吸収塗布膜の固化が始まるが、400℃までの温度に到達する時間が短いため、固化が始まる前にCuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物が液相化し、光吸収層形成工程での新たな溝状のクラックの発生を抑制できる。
さらにまた、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物からなる液相の生成量が多くなるため、光吸収層を構成する粒子を粒成長させることができ、これにより、エネルギー変換効率を向上することができる。
200℃から少なくとも400℃までの昇温速度は、特に90℃/分以上であることが望ましい。また、200℃から少なくとも400℃までの昇温速度を規定したのは、約2
00℃で光吸収層の単一前駆体が有機成分とSeとベンゼンとの化合物と金属成分とに分解を開始し、約300℃でほぼ分解が完了すると考えられるためであり、また、400℃になると、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物からなる液相の生成始まると考えられるためである。
熱処理は、還元雰囲気下で行うことが望ましい。特には、窒素雰囲気、フォーミングガス雰囲気および水素雰囲気のうちいずれかであることが望ましい。
急速昇温工程における熱処理温度、言い換えれば、急速昇温する最高温度は500℃以下であることが望ましい。また、急速昇温した後(急速昇温する最高温度において)2〜30分程度に保持しても良い。さらに、光吸収塗布膜の乾燥後に一旦室温まで冷却した後、急速昇温しても良い。
(光吸収層形成工程)
急速昇温工程の熱処理温度よりも高い温度で熱処理することにより、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種とInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む光吸収層を形成する。この光吸収層3の厚みは、例えば、1.0〜2.5μmとされている。
急速昇温工程の最高温度から光吸収層形成工程の熱処理温度までの昇温速度は、10℃/分以下とされている。熱処理は、還元雰囲気下で行うことが望ましい。特には、窒素雰囲気、フォーミングガス雰囲気および水素雰囲気のうちいずれかであることが望ましい。熱処理時の還元雰囲気は、吸湿剤を通して水分除去した還元雰囲気であることが望ましい。吸収剤は、水を除去できるものであれば特に制限はないが、脱水カラム(日化精工社製)などが好適に用いられる。熱処理温度は、例えば、500℃〜600℃とされ、0.5〜2時間保持することが望ましい。
光吸収層3の形成後に、表面のCuSeなどからなる高抵抗層をKCN水溶液でエッチングし、除去することが望ましい。
(バッファ層、第2電極層形成工程)
この後、光吸収層3の上にヘテロ接合のためのn型のバッファ層4を形成する。バンドギャップが小さくて、短波長側の光を透過しにくい、CdS、ZnS、ZnSe、ZnMgO、ZnS/ZnMgO、ZnO、InS、InSe、In(OH)、ZnInSe、ZnInS、ZnSSe、CuI、Mg(OH)などの材料が用いられる。これらは、浸漬塗布法、CBD法(溶液成長法)等により光吸収層まで形成した基板を水溶液に浸して微粒子を堆積させ、熱処理することにより形成することができる。
次に、バッファ層4上にITOまたはZnOからなる透明の第2電極層5を形成する。スパッタ、スプレー、コーティングにより、形成することができる。バッファ層4の厚みは、例えば、10〜200nmとされ、第2電極層5の厚みは、例えば、0.5〜3.0μmとされている。
本発明の薄膜太陽電池の製法では、SおよびSeのうち少なくとも1種とベンゼンとの化合物は約200℃でガス化を開始し、約300℃までにガス化が終了すると考えられるが、200〜400℃まで60℃/分以上で急速に昇温するため、SおよびSeのうち少なくとも1種とベンゼンとの化合物がガス化する時間が短いことに起因して、光吸収塗布膜中のSおよびSeのうち少なくとも1種とベンゼンとの化合物がガス化して外部に放出されることを抑制でき、これにより光吸収塗布膜におけるピンホールやボイド等を抑制でき、このようなピンホールやボイド等が発展した溝状のクラックを抑制できる。
そして、光吸収層形成工程では、急速昇温工程の熱処理温度よりも高い温度で熱処理して光吸収層を形成するが、光吸収塗布膜中のSおよびSeのうち少なくとも1種の外部への放出が抑制されるため、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物からなる液相の生成量が多くなり、初期段階でクラックが発生したとしても、そのクラックを液相が埋めて修復でき、光吸収層における溝状のクラックの発生を抑制できる。
また、400℃以上で光吸収塗布膜の固化が始まるが、400℃までの温度に到達する時間が短いため、固化が始まる前にCuとSおよびSeのうち少なくとも1種との化合物が液相化し、光吸収層形成工程での新たな溝状のクラックの発生を抑制できる。
これにより、第1電極層と第2電極層との間の短絡を防止でき、薄膜太陽電池の長期信頼性を向上できる。
また、光吸収層溶液の原料となる単一前駆体を製造する際に、CHClのような毒性物質を用いた抽出工程を経ることなく、ほぼ純粋な単一前駆体を得ることができ、Cu/In/Ga/Seのような組成比を制御することが可能となる。
すなわち、ルイス塩基LとCuの有機金属塩を有機溶媒中に溶解させ、Cuとルイス塩基Lとを含む第1錯イオンが存在する溶液を作製する際に、ルイス塩基LとCuの有機塩とを、モル比(Cu/L)が1/3以下となるように配合し、通常よりもルイス塩基Lを多く配合して有機溶媒中に溶解させることにより、CuとSeとの化合物のような副生成物の生成を抑制し、{P(CCu(CHCN) のような第1錯イオンを容易にかつ大量に作製することができ、これによりInまたはGaの錯イオン化を抑制し、Cuと、SまたはSeと、InまたはGaと、ルイス塩基Lとを含む錯イオンの生成を促進でき、単一前駆体中におけるCuと(In+Ga)の比を1:1に近づける組成制御を行うことができる。
従って、第1錯イオンと第2錯イオンとを反応させて沈殿させ、該沈殿物を乾燥させ、単一前駆体を作製し、この単一前駆体を有機溶媒に溶解した光吸収層溶液を熱処理して光吸収層を形成すると、CuSeのような導電率の低い化合物の生成を抑制して、Cu(In,Ga)Seの生成を促進することができ、エネルギー変換効率を向上できる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の薄膜太陽電池の製法を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
銅の有機金属塩としてCu(CHCN)・PFを1mmol、ルイス塩基LとしてP(Cを10mmol、3mmol、および2mmolを、それぞれ10mlのアセトニトリルに溶解し、Cu(CHCN)・PF/P(Cのモル比(Cu/L)が、表1に示すように、1/10、1/3、1/2の溶液を準備した。これらの溶液が均一に溶解したのを確認した後、マグネチックスターラーにて室温で5時間攪拌させ、第1錯イオンを含有する第1錯イオン溶液を作製した(第1錯イオン溶液作製工程)。
一方、NaOCHを4mmol、HSeCを4mmolを30mlのメタノールに溶解させた後、InClおよび/またはGaClを合計1mmolになるように溶解させた。完全に溶解したのを確認した後、マグネチックスターラーにて室温で5時間攪拌させ、第2錯イオンを含有する第2錯イオン溶液を作製した(第2錯イオン溶液作製工程)。表1に、Cu、Se、In、Gaの仕込組成を記載した。
次に、第1錯イオン溶液に第2錯イオン溶液を1分間に10mlの速度で滴下した。これにより、滴下中に白い析出物が生成することが確認された。滴下終了後、マグネチックスターラーにて室温で1時間攪拌させたところ、析出物が沈殿していた。
この析出物のみを取り出すために、遠心分離機にて溶媒を分離し、メタノール50mlに分散させて遠心分離をかけるという操作を2回繰り返した。
析出物を真空中において室温で乾燥させて溶媒を取り除いて、単一前駆体を作製した。単一前駆体の組成分析を発光分光分析(ICP)で行い、表1中に記載した。
この単一前駆体にピリジンを添加して単一前駆体が全量中50質量%の光吸収層溶液を作製した。この光吸収層溶液をドクターブレード法にて、ソーダライムガラス基板のMoからなる第1電極層上に薄膜形成した。薄膜は、グローブボックス内で、キャリアガスとして窒素ガスを用いて光吸収層溶液を塗布し、第1電極層への塗布を行い、光吸収塗布膜を形成した(光吸収塗布膜形成工程)。
光吸収塗布膜形成後、ソーダライムガラス基板を、窒素ガス雰囲気中において、ホットプレートで110℃で5分間加熱し、基板を介して光吸収塗布膜を乾燥させ、連続して110℃から表1に示す急速昇温工程の最高温度まで、表2に示す昇温速度で昇温し、急速昇温工程の最高温度で5分間保持した(急速昇温工程)。さらに急速昇温工程の最高温度から連続して昇温速度4℃/分で525℃まで昇温し1時間保持した後、自然冷却し、厚み1.5μmの化合物半導体薄膜を形成した(光吸収層形成工程)。図2に乾燥工程からの熱処理パターンを記載した。尚、試料No.10については、急速昇温工程の最高温度から525℃まで昇温速度10℃/分で昇温した。
光吸収層におけるクラックの存在について、走査型電子顕微鏡(SEM)の500倍の画像にて確認し、表1にその存在の有無について記載した。尚、確認した光吸収層表面の面積は2×5mmである。
この後、酢酸カドミウム、チオ尿素をアンモニアに溶解し、これに基板を浸漬し、化合物半導体薄膜上に厚み0.05μmのCdSからなるバッファ層を形成した。さらに、バッファ層の上に、スパッタリング法にてAlドープ酸化亜鉛膜(第2電極層)を形成した。最後に蒸着にてアルミ電極(取出電極)を形成して、薄膜太陽電池セルを作製した。
また、比較例として、乾燥後の110℃から400℃まで4℃/分の昇温速度で昇温し、400℃で5分保持する以外は、上記と同様にして薄膜太陽電池セルを作製し、同様に評価し、結果を表1、2に記載した。
薄膜太陽電池セルの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)の3万倍のSEM写真に現れる結晶粒子について、光吸収層の厚み方向の長さを測定し、それらの平均値を求め、平均粒径を求めし、表2に記載した。
Figure 0005137794
Figure 0005137794
表1、2から、乾燥後の110℃から急速昇温工程の最高温度まで60℃/分以上の昇温速度で昇温した本発明の試料では、クラックは発生しておらず、平均粒径が0.5μm以上に粒成長しているのに対して、4℃/分の昇温速度で昇温した比較例の試料No.15では、溝状のクラックが発生し、第1電極層と第2電極層が短絡するため信頼性が悪くなることがわかる。
また、第1錯イオン作製工程で、Cu(CHCN)・PF/P(Cのモル比(Cu/L)が1/3以下の場合には、仕込組成に近い組成の単一前駆体が得られており、熱処理後においても、Cu(In,Ga)Seの生成を促進することができ、エネルギー変換効率を向上できることがわかる。
薄膜太陽電池の一例を示す断面図である。 乾燥工程からの熱処理パターンを示す説明図である。
符号の説明
1・・・基板
2・・・第1電極層
3・・・光吸収層
4・・・バッファ層
5・・・第2電極層

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  1. 第1電極層と第2電極層との間に光吸収層を有する薄膜太陽電池の製法であって、1つの有機化合物内にベンゼン環とCuとSおよびSeのうち少なくとも1種とInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む単一前駆体が有機溶媒に溶解した光吸収層溶液を、前記第1電極層上に塗布して光吸収塗布膜を形成する光吸収塗布膜形成工程と、前記光吸収塗布膜を200℃から400℃まで60℃/分以上の昇温速度で昇温して加熱する急速昇温工程と、該急速昇温工程の最高温度よりも高い温度で熱処理することにより、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種とInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む光吸収層を前記第1電極層上に形成する光吸収層形成工程と、前記光吸収層上に前記第2電極層を形成する第2電極層形成工程とを具備することを特徴とする薄膜太陽電池の製法。
  2. 前記急速昇温工程の最高温度から前記光吸収層形成工程の熱処理温度までの昇温速度は、10℃/分以下であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池の製法。
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