JP5383162B2 - 薄膜太陽電池の製法 - Google Patents

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Description

本発明は、一対の電極層間に光吸収層を有する薄膜太陽電池の製法に関する。
図1は、一般的な薄膜太陽電池の基本構造を示している。この薄膜太陽電池は、図1に示すように、例えば、ソーダライムガラスからなる基板1上に裏面電極となる、例えば、Moからなる第1電極層2が形成され、この第1電極層2上に化合物半導体薄膜からなる光吸収層3が形成され、その光吸収層3上にZnS、CdSなどからなるバッファ層4を介して、ZnOなどからなる透明の第2電極層5が形成されている。
化合物半導体からなる光吸収層3としては、高いエネルギー変換効率が得られるものとして、Cu(In,Ga)Seからなる化合物半導体薄膜が用いられている。
Cu(In,Ga)Seの製法としては、蒸着法やスパッタ法など真空プロセスを用いる製法と、固相または液相原料を塗布または電着によって成膜する非真空プロセスを用いる製法とに大別される。
このうち、真空プロセスの蒸着やスパッタ法によっても成膜することが可能であるが、真空系の装置を用いるため高コストという問題がある。
非真空プロセスは低コストで量産可能であることから塗布による成膜が試みられている。
例えば、従来、単一前駆体法(Single Source Precursor法)が知られており、この方法は、1つの有機化合物内にCuとSeとInまたはGaとを存在させ、その有機化合物を有機溶媒に溶解させて塗布、熱処理することによって、Cu(In,Ga)Se薄膜を形成する製法である(特許文献1参照)。
この特許文献1の製法を具体的に説明すると、Cu(CHCN)・PFなどの金属塩とP(Cなどのルイス塩基とを反応させて{P(CCu(CHCN) のような形の錯イオンを作製し、この錯イオンとInまたはGaとSeとを含む錯イオンとを反応させることによって、CuとInまたはGaとSeとを含む単一前駆体を作製している。
米国特許第6992202号明細書
CuとSeとInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む単一前駆体が有機溶媒に溶解した光吸収層溶液を、基板上の第1電極層上に塗布し、熱処理して光吸収層を形成する際には、通常、基板を加熱し、この基板上に形成された光吸収塗布膜を加熱して乾燥させ、熱処理して光吸収層を作製するが、基板から伝導された熱により、光吸収塗布膜を加熱するため、光吸収塗布膜の基板側から加熱され、光吸収塗布膜の基板側から、液体から固体への固化が急激に発生し、溝状のクラックが発生し易いという問題があった。
すなわち、基板を加熱することにより、CuとSeとInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む光吸収塗布膜を、基板を介して間接的に加熱すると、光吸収塗布膜の基板側から固化が始まるが、同時に光吸収塗布膜中のセレンとベンゼンとの化合物がガス化し光吸収塗布膜表面から放出され、光吸収塗布膜中のピンホールやボイドとなるため、一挙に固化が生じる際に空隙が生じ、溝状のクラックが発生し易いという問題があった。
本発明は、光吸収層におけるクラックの発生を抑制できる薄膜太陽電池の製法を提供することを目的とする。
本発明者等は、光吸収塗布膜の表面から加熱することにより、光吸収塗布膜表面を硬化させ、光吸収塗布膜中のSeとベンゼンとの化合物がガス化して外部に放出されることを抑制でき、これにより光吸収塗布膜を熱処理すると、光吸収塗布膜内部のSeとCuの化合物の液相化量が多くなり、溝状のクラックの発生を抑制できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明の薄膜太陽電池の製法は、第1電極層と第2電極層との間に光吸収層を有する薄膜太陽電池の製法であって、1つの有機化合物内にベンゼン環とCuとSe
InおよびGaのうち少なくとも1種とを含む単一前駆体が有機溶媒に溶解した光吸収層溶液を、前記第1電極層上に塗布して光吸収塗布膜を形成する光吸収塗布膜形成工程と、前記光吸収塗布膜に対して、該光吸収塗布膜の表面から加熱して該表面を硬化させる膜表面硬化工程と、該膜表面硬化工程の加熱温度よりも高い加熱温度で熱処理し、CuとSeとInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む前記光吸収層を前記第1電極層上に形成する光吸収層形成工程と、前記光吸収層上に前記第2電極層を形成する第2電極層形成工程とを具備することを特徴とする。
本発明の薄膜太陽電池の製法では、光吸収塗布膜の表面から加熱して表面を固化させるため、その後に加熱温度を上げて熱処理しても、光吸収塗布膜中のセレンとベンゼンとの化合物がガス化して外部に放出されることを抑制でき、これにより光吸収塗布膜におけるピンホールやボイド等を抑制でき、このようなピンホールやボイド等が発展した溝状のクラックを抑制できる。
また、光吸収塗布膜中のSeの外部への放出が抑制されるため、CuとSeとの化合物からなる液相の生成量が多くなり、初期段階でクラックが発生したとしても、そのクラックを液相が埋めて修復でき、光吸収層における溝状のクラックの発生を抑制できる。これにより、第1電極層と第2電極層との間の短絡を防止でき、薄膜太陽電池の長期信頼性を向上できる。
また、本発明の薄膜太陽電池の製法は、前記光吸収層形成工程の加熱を、前記第1電極層側から行うことを特徴とする。このような薄膜太陽電池の製法では、膜表面の硬化を行った後は、第1電極層側から加熱するため、光吸収塗布膜の第1電極層側から固化を開始することができ、光吸収層と基板との熱歪みを低減することができる。
本発明の薄膜太陽電池の製法によれば、光吸収塗布膜の表面から加熱して表面を固化させるため、その後に加熱温度を上げて熱処理すると、光吸収塗布膜中のSeとベンゼンとの化合物がガス化して外部に放出されることを抑制でき、この後、光吸収塗布膜を熱処理すると、光吸収塗布膜内部のSeとCuとの化合物の液相化量が多くなり、急激な固化を抑制でき、光吸収層における溝状のクラックの発生を抑制できる。これにより、1電極層と第2電極層との間の短絡を防止でき、薄膜太陽電池の長期信頼性を向上できる。
本発明の製法により作製された薄膜太陽電池は、一対の電極層間に光吸収層を有する薄膜太陽電池であり、例えば、図1に示したように、基板1上に裏面電極となる第1電極層2が形成され、この第1電極層2上に化合物半導体薄膜からなる光吸収層3が形成され、その光吸収層3上にバッファ層4を介して透明の第2電極層5が形成されている。
基板1としては、例えば、ソーダライムガラス基板、Mo、SUSなどの金属基板、ポリイミドなどの樹脂基板等を用いることができる。この基板1上には第1電極層2が形成され、この第1電極層2上に光吸収層3が形成されている。この光吸収層3上にバッファ層4を介して第2電極層5が形成され、光吸収層3は第1電極層2と第2電極層5により挟持されており、これにより、一対の第1、第2電極層2、5間に光吸収層3を有する薄膜太陽電池が構成されている。
尚、基板1、第1電極層2、光吸収層3、バッファ層4、第2電極層5を順次積層した例について説明したが、本発明では、一対の第1、第2電極層2、5間に光吸収層3を有する限り、上記層の間に種々の中間層を形成しても良い。また、本発明は基板1を有しないタイプ、言い換えれば、第1電極層2が基板として機能するタイプであっても良い。
化合物半導体からなる光吸収層3としては、高いエネルギー変換効率が得られるものとして、カルコパイライト構造からなる化合物半導体である、CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Seが用いられている。
本発明の薄膜太陽電池の製法について説明する。先ず、例えば、ソーダライムガラスからなる基板1を準備する。この基板1に第1電極層2を形成する。この第1電極層2は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、ポリシリコン(SiO)、メタルシリサイド、またはアルミニウム(Al)等のうちいずれかの電極材料を用いることが望ましい。第1電極層2は、蒸着法、スパッタリング法、塗布法などで形成することができる。
次に、第1電極層2上に光吸収層3を形成する。先ず、光吸収層3を形成するための光吸収層溶液を作製する。この光吸収層溶液は、単一前駆体が溶解した溶液である。この単一前駆体は、後述するように、第1錯イオン溶液作製工程で得られた第1錯イオンと、第2錯イオン溶液作製工程で得られた第2錯イオンとを反応させて作製することができる。(第1錯イオン溶液作製工程)
まず、P(Cなどのルイス塩基Lと、Cu(CHCN)・PFなどのCuの有機金属塩とをアセトニトリルなどの有機溶媒中で反応させて{P(CCu(CHCN)2+のような形の第1錯イオンが存在する第1錯イオン溶液を作製する(第1錯イオン溶液作製工程)。
ここで、Cuの有機金属塩としては、CuCl、CuCl、CuBr、CuIなどのハロゲン化物を用いても良く、ルイス塩基Lとしては、NもしくはAsを含んだもの、例えば、As(CやN(Cであっても良い。また、ルイス塩基LとCuの有機金属塩とを溶解する有機溶媒としては、アセトニトリルの他に、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどを用いることができる。
第1錯イオン溶液は、ルイス塩基LとCuの有機金属塩とを、モル比(Cu/L)が1/3以下となるように配合し、これらのルイス塩基LとCuの有機金属塩とを混合して、この混合物を有機溶媒中に溶解させることが望ましい。特に、反応収率を向上させるという点から、モル比(Cu/L)は0.1以上であることが望ましい。
(第2錯イオン溶液作製工程)
Seを含む有機化合物とInまたはGaのハロゲン化物とを含む第2錯イオンを作製する。
例えば、NaOCHと有機セレン化合物とが反応した有機化合物と、InClまたはGaClとをメタノールからなる溶媒中で反応させて、In{SeR} またはGa{SeR} のような形の第2錯イオンを形成する。ここで、Rはアクリル、アリル、アルキル、ビニル、パーフルオロ、カルバメートから選ばれる一種である。
有機セレン化合物としては、例えば、ベンゼンセレノール、ブタンセレノール、ヘキサンセレノールなどが用いられる。また、メタノールの代わりに、エタノールやプロパノール等の溶媒を用いることができる。尚、第1錯イオンの作製と第2錯イオンの作製の順序はどちらが先でも構わない。
(単一前駆体作製工程)
次に、第1錯イオンと第2錯イオンとを反応させて、Cuと、Seと、InまたはGaと、ルイス塩基Lとを含む単一前駆体を作製する。すなわち、Cuを含む第1錯イオン溶液と、InまたはGaと、Seとを含む第2錯イオン溶液とを混合して、第1錯イオンと第2錯イオンとを反応させることにより、CuとSeとInまたはGaとルイス塩基Lとを含む沈殿物と、この沈殿物の上方の溶液とに分離し、溶液部分を排出し、乾燥することにより、単一前駆体を作製できる。
第1錯イオンと第2錯イオンとを反応させる時の温度は0〜30℃が望ましく、反応時間は1〜5時間が望ましい。反応して沈殿した部分は、NaやClなどの不純物を取り除くために、遠心分離もしくは濾過などの手法を用いて洗浄することが望ましい。
(光吸収塗布膜形成工程)
単一前駆体を有機溶媒に溶解して光吸収層溶液を作製し、この光吸収層溶液を第1電極層2上に塗布して光吸収塗布膜を作製する。
すなわち、上記単一前駆体をトルエン、ピリジン、キシレン、アセトンなどの有機溶媒に溶解することにより、光吸収層溶液を作製する。そして、この光吸収層溶液を、上記した基板1の第1電極2上に塗布することにより光吸収塗布膜を作製する。
第1電極層2上への光吸収層溶液の塗布は、スピンコータ、スクリーン印刷、ディッピング、スプレー、ダイコータなどを用いることが望ましい。光吸収塗布膜は、乾燥させる。乾燥は、還元雰囲気下で行うことが望ましい。特には、窒素雰囲気が望ましい。乾燥時の温度は100〜150℃が望ましい。尚、光吸収層溶液の塗布、乾燥を複数回繰り返して、乾燥後の光吸収塗布膜を形成しても良い。
(膜表面硬化工程)
この後、得られた光吸収塗布膜に対して、この光吸収塗布膜の表面から加熱して、表面を硬化させる。すなわち、図2(a)に示すように、光吸収塗布膜7の露出面側から加熱する。熱源を、光吸収塗布膜7の露出面の上方に配置することにより、光吸収塗布膜7の表面から加熱して、その表面を硬化させ、硬化膜9を形成できる。尚、ホットプレートの上方に、所定間隔を置いて、かつ光吸収塗布膜7がホットプレートに面するように下向きにして配置することによっても硬化膜9を形成できる。加熱時の雰囲気は還元雰囲気が望ましい。
この硬化膜9は、光吸収塗布膜の第1電極層2に接していない部分の表面を覆うように形成されている。これにより、光吸収塗布膜内からSeとベンゼンの化合物がガス化して外部に放出されることを抑制できる。また、硬化膜9は、光吸収塗布膜の樹脂成分が固化したもので、その厚みは、0.1μm以上であることが望ましい。
光吸収塗布膜7の露出面側からの加熱は、光吸収塗布膜7の露出面が200〜400℃になれば良い。
膜表面硬化工程の熱処理後は自然に冷却しても良い。また、冷却しないで、後述する光吸収層形成工程の熱処理に連続させても良い。膜表面硬化工程と光吸収層形成工程の熱処理を連続させる場合、250〜450℃で5〜20分間保持することが望ましい。
(光吸収層形成工程)
膜表面硬化工程の加熱温度よりも高い温度で、光吸収塗布膜を熱処理することにより、CuとSおよびSeのうち少なくとも1種とInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む光吸収層を作製する。この光吸収層3の厚みは、例えば、1.0〜2.5μmとされている。熱処理時の雰囲気は還元雰囲気が望ましい。
光吸収塗布膜の熱処理は、光吸収塗布膜7の露出面側から加熱することにより行うことができるが、基板を加熱し、この基板からの熱伝導により光吸収塗布膜を加熱することが望ましい。この場合には、第1電極層側から加熱するため、光吸収塗布膜の第1電極層側から固化を開始することができ、光吸収層と基板との熱歪みを低減することができる。
熱処理は、還元雰囲気下で行うことが望ましい。特には、窒素雰囲気、フォーミングガス雰囲気および水素雰囲気のうちいずれかであることが望ましい。熱処理時の還元雰囲気は、吸湿剤を通して水分除去した還元雰囲気であることが望ましい。吸収剤は、水を除去できるものであれば特に制限はないが、モレキュラーシーブ(商品名)などを好適に用いることができる。熱処理温度は、例えば、400℃〜600℃とされている。
光吸収層3の形成後に、表面のCuSeなどからなる高抵抗層をKCN水溶液でエッチングし、除去することが望ましい。
(バッファ層、第2電極層形成工程)
この後、光吸収層3の上にヘテロ接合のためのn型のバッファ層4を形成する。バンドギャップが小さくて、短波長側の光を透過しにくい、CdS、ZnS、ZnSe、ZnMgO、ZnS/ZnMgO、ZnO、InS、InSe、In(OH)、ZnInSe、ZnInS、ZnSSe、CuI、Mg(OH)などの材料が用いられる。これらは、浸漬塗布法、CBD法(溶液成長法)等により光吸収層まで形成した基板を水溶液に浸して微粒子を堆積させ、熱処理することにより作製することができる。
次に、バッファ層4上にITOまたはZnOからなる透明の第2電極層5を形成する。スパッタ、スプレー、コーティングにより、形成することができる。バッファ層4の厚みは、例えば、10〜200nmとされ、第2電極層5の厚みは、例えば、0.5〜3.0μmとされている。
本発明の薄膜太陽電池の製法では、光吸収塗布膜の表面から加熱して表面を硬化させるため、硬化膜形成後の熱処理において、光吸収塗布膜中のSeとベンゼンとの化合物がガス化して外部に放出されることを抑制でき、これにより光吸収塗布膜におけるピンホールやボイド等を抑制でき、このようなピンホールやボイド等が発展した溝状のクラックを抑制できる。
また、光吸収層形成工程では、膜表面硬化工程の加熱温度よりも高い温度で熱処理することになり、光吸収塗布膜中のSeの外部への放出が抑制されるため、CuとSeとの化合物からなる液相の生成量が多くなり、初期段階でクラックが発生したとしても、そのクラックを修復でき、光吸収層における溝状のクラックの発生を抑制できる。CuとSeとの化合物(CuSe)からなる液相は、熱処理により、殆どがCu(In,Ga)Seとなる。
また、光吸収層溶液の原料となる単一前駆体を製造する際に、CHClのような毒性物質を用いた抽出工程を経ることなく、ほぼ純粋な単一前駆体を得ることができ、Cu/In/Ga/Seのような組成比を制御することが可能となる。
すなわち、ルイス塩基LとCuの有機金属塩を有機溶媒中に溶解させ、Cuとルイス塩基Lとを含む第1錯イオンが存在する溶液を作製する際に、ルイス塩基LとCuの有機塩とを、モル比(Cu/L)が1/3以下となるように配合し、通常よりもルイス塩基Lを多く配合して有機溶媒中に溶解させることにより、CuとSeとの化合物のような副生成物の生成を抑制し、{P(CCu(CHCN) のような第1錯イオンを容易にかつ大量に作製することができ、これによりInまたはGaの錯イオン化を抑制し、CuとSまたはSeとInまたはGaとルイス塩基Lとを含む錯イオンの生成を促進でき、単一前駆体中におけるCuと(In+Ga)の比を1:1に近づける組成制御を行うことができる。
従って、第1錯イオンと第2錯イオンとを反応させて沈殿させ、該沈殿物を乾燥させ、単一前駆体を作製し、この単一前駆体を有機溶媒に溶解した光吸収層溶液を熱処理して光吸収層を作製すると、CuSeのような導電率の低い化合物の生成を抑制して、Cu(In,Ga)Seの生成を促進することができ、エネルギー変換効率を向上できる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の薄膜太陽電池の製法を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
銅の有機金属塩としてCu(CHCN)・PFを1mmol、ルイス塩基LとしてP(Cを10mmol、3mmol、および2mmolを、それぞれ10mlのアセトニトリルに溶解し、Cu(CHCN)・PF/P(Cのモル比(Cu/L)が、表1に示すように、1/10、1/3、1/2の溶液を準備した。これらの溶液が均一に溶解したのを確認した後、マグネチックスターラーにて室温で5時間攪拌させ、第1錯イオンを含有する第1錯イオン溶液を作製した(第1錯イオン溶液作製工程)。
一方、NaOCHを4mmol、HSeCを4mmolを30mlのメタノールに溶解させた後、InClおよび/またはGaClを合計1mmolになるように溶解させた。完全に溶解したのを確認した後、マグネチックスターラーにて室温で5時間攪拌させ、第2錯イオンを含有する第2錯イオン溶液を作製した(第2錯イオン溶液作製工程)。表1に、Cu、Se、In、Gaの仕込組成を記載した。
次に、第1錯イオン溶液に第2錯イオン溶液を1分間に10mlの速度で滴下した。これにより、滴下中に白い析出物が生成することが確認された。滴下終了後、マグネチックスターラーにて室温で1時間攪拌させたところ、析出物が沈殿していた。
この析出物のみを取り出すために、遠心分離機にて溶媒を分離し、メタノール50mlに分散させて遠心分離をかけるという操作を2回繰り返した。
析出物を真空中において室温で乾燥させて溶媒を取り除いて、単一前駆体を作製した。この単一前駆体の組成分析を発光分光分析(ICP)で行い、表1中に記載した。
この単一前駆体にピリジンを添加して単一前駆体が全量中50質量%の光吸収層溶液を作製した。この光吸収層溶液をドクターブレード法にて、ソーダライムガラス基板のMoからなる第1電極層上に薄膜形成した。薄膜は、グローブボックス内で、キャリアガスとして窒素ガスを用いて光吸収層溶液を塗布し、第1電極層への塗布を行い、光吸収塗布膜を形成した(光吸収塗布膜作製工程)。
光吸収塗布膜形成後、ソーダライムガラス基板をホットプレートで110℃で5分間加熱し、基板を介して光吸収塗布膜を乾燥させた。その後、一旦冷却した。
その後、光吸収塗布膜を表面より加熱するため、ホットプレートに高さ1.3mmのスペーサーを置き、そのスペーサー上に、光吸収塗布膜がホットプレート側になるようにガラス基板を下向きに配置し、水素ガス雰囲気下で、表1に示す温度で5分保持して、光吸収塗布膜の表面に硬化膜を形成し(膜表面硬化工程)、一旦冷却した。表1に膜表面硬化工程の熱処理方法を記載した。光吸収塗布膜表面から加熱する方法をAとし、基板から加熱する方法をBとし、さらに光吸収塗布膜表面と基板の両方から加熱する方法をCとし、表2に記載した。
この膜表面硬化工程後に、走査型電子顕微鏡(SEM)の10000倍の画像にて、光吸収塗布膜に硬化膜が存在するか確認し、表1にその存在の有無について記載した。
この後、水素ガス雰囲気下で熱処理を実施した。熱処理は、ホットプレートに基板を当接させ、光吸収塗布膜を基板からの熱で間接的に熱処理した。熱処理条件は、525℃まで5分間で昇温し、1時間保持した後、自然冷却し、厚み1.5μmの化合物半導体薄膜からなる光吸収層を作製した(光吸収層形成工程)。この光吸収層形成工程での熱処理方法についても、同様に表2に記載した。
光吸収層におけるクラックの存在について、走査型電子顕微鏡(SEM)の500倍の画像にて確認し、表2にその存在の有無について記載した。尚、確認した光吸収層表面の面積は100mmである。
この後、酢酸カドミウム、チオ尿素をアンモニアに溶解し、これに基板を浸漬し、化合物半導体薄膜上に厚み0.05μmのCdSからなるバッファ層を形成した。さらに、バッファ層の上に、スパッタリング法にてAlドープ酸化亜鉛膜(第2電極層)を形成した。最後に蒸着にてアルミ電極(取出電極)を形成して、薄膜太陽電池セルを作製した。
また、比較例として、光吸収塗布膜の表面に硬化膜を形成する膜表面硬化工程を有しない以外は、上記と同様にして薄膜太陽電池を作製し、同様に評価し、結果を表1に記載した。
Figure 0005383162
Figure 0005383162
表1、2から、本発明の試料では、光吸収塗布膜の表面より加熱して硬化膜を形成することにより溝状のクラックがなく、長期信頼性を向上できることがわかる。
一方、光吸収塗布膜を基板側から加熱するだけで、硬化膜を形成しない比較例の試料No.16では、溝状のクラックが発生し、第1電極層と第2電極層が短絡するため信頼性が悪くなることがわかる。
薄膜太陽電池の一例を示す断面図である。 薄膜太陽電池の製法を説明するための工程図であり、(a)は光吸収塗布膜の表面より加熱して硬化膜を形成する工程図であり、(b)は、硬化膜形成後の熱処理を基板側からの熱伝導により行う工程図である。
符号の説明
1・・・基板
2・・・第1電極層
3・・・光吸収層
4・・・バッファ層
5・・・第2電極層
7・・・光吸収塗布膜
9・・・硬化膜

Claims (2)

  1. 第1電極層と第2電極層との間に光吸収層を有する薄膜太陽電池の製法であって、1つの有機化合物内にベンゼン環とCuとSeとInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む単一前駆体が有機溶媒に溶解した光吸収層溶液を、前記第1電極層上に塗布して光吸収塗布膜を形成する光吸収塗布膜形成工程と、前記光吸収塗布膜に対して、該光吸収塗布膜の表面から加熱して該表面を硬化させる膜表面硬化工程と、該膜表面硬化工程の加熱温度よりも高い加熱温度で熱処理して、CuとSeとInおよびGaのうち少なくとも1種とを含む前記光吸収層を前記第1電極層上に形成する光吸収層形成工程と、前記光吸収層上に前記第2電極層を形成する第2電極層形成工程とを具備することを特徴とする薄膜太陽電池の製法。
  2. 前記光吸収層形成工程の加熱を、前記第1電極層側から行うことを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池の製法。
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