以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には本発明の伸縮性不織布の一実施形態が示されている。図1に示す伸縮性不織布1は、弾性繊維2及び非弾性繊維3を含んで構成され、伸縮性を有している。そして不織布1は、単一のウエブから形成されていることによって特徴付けられる。つまり伸縮性不織布1は、2層以上のウエブを積層一体化させたものではなく、1層以上のウエブと1層以上の不織布とを積層一体化させたものでもない。
図1に示すように、伸縮性不織布1は単一のウエブから形成された単一のシート中に、その厚み方向において、弾性繊維2の存在率の高い領域と、非弾性繊維3の存在率の高い領域とが存在している。詳細には、弾性繊維2に関しては、その存在率は、不織布1の厚み方向中央域Cよりも表裏の表面域Sの方が低くなっている。一方、非弾性繊維3に関しては、その存在率は、不織布1の厚み方向中央域Cよりも表裏の表面域Sの方が高くなっている。このように、伸縮性不織布は、単一のウエブから形成された単一のシート中に、その厚み方向において、弾性繊維の量が非弾性繊維の量に対して相対的に多く、主として弾性繊維から構成されている中央域Cと、非弾性繊維の量が弾性繊維の量に対して相対的に多く、主として非弾性繊維から構成されている表面域Sとからなる。
伸縮性不織布1における弾性繊維及び非弾性繊維の存在率とは、〔一定体積中の当該繊維の占める重量÷総重量〕のことを言う。存在率は、例えば、弾性繊維と非弾性繊維の各々のDSCの吸熱量、固体NMR、ESCA、IRスペクトルなどを測定し、各々の繊維の成分に特有のピークに着目し、各々の成分とサンプルの値を比例計算することにより算出可能である。また、各々の成分のみでの測定が不可能の場合でも、中央域Cと表層域Sのピークの強弱を比較することにより、同様の手法で相対量の比較が可能である。
中央域Cにおいては弾性繊維の量が非弾性繊維の量に対して相対的に多いが、このことは中央域Cに非弾性繊維が存在することを妨げるものではない。表面域Sに関しても同様であり、表面域Sに弾性繊維が存在することは妨げられない。弾性繊維の量が非弾性繊維の量に対して相対的に多いとは、不織布1を顕微鏡で拡大観察したときに、観察視野に存在する繊維の全体本数に対して弾性繊維の本数が過半数を占めることをいう。同様に、非弾性繊維の量が弾性繊維の量に対して相対的に多いとは、観察視野に存在する繊維の全体本数に対して非弾性繊維の本数が過半数を占めることをいう。
非弾性繊維3を主体とする表面域Sの厚みは、0.05〜5mm、特に0.1〜0.5mmであることが好ましい。一方、弾性繊維層2を主体とする中央域Cの厚みは、表面域Sの厚みよりも小さいことが好ましく、具体的には0.01〜2mm、特に0.1〜0.2mmであることが好ましい。厚みの測定は伸縮性不織布断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、3視野の厚みの平均値として求めることができる。
伸縮性不織布1においては、それに含まれる弾性繊維どうし、非弾性繊維どうし、又は弾性繊維と非弾性繊維とが結合している。結合の方式に特に制限はなく、例えば熱を伴うか又は伴わないエンボス加工による接合、エアスルー方式の熱風の吹き付けによる融着、接着剤による接着等を用いることができる。特に、後述する製造方法に従い伸縮性不織布を製造する場合には、非弾性繊維を主体とする表面域Sを首尾良く形成する観点から、エンボス加工を用いることが好ましい。
エンボス加工によって繊維が結合されている場合、該エンボス加工によるエンボスパターンは離散的な散点状のパターンであることが、非弾性繊維を主体とする表面域Sを一層首尾良く形成する観点から好ましい。この場合のエンボス面積率は3〜40%、特に5〜15%であることが好ましい。
伸縮性不織布1における非弾性繊維3の坪量は、不織布1の表面域Sに非弾性繊維3を十分に存在させる点及び残留歪みの観点から、3〜30g/m2、特に5〜15 g/m2であることが好ましい。一方、弾性繊維2の坪量は、伸縮特性及び残留歪みの観点から、5〜30g/m2、特に10〜20gg/m2であることが好ましい。また、伸縮性不織布1における弾性繊維2と非弾性繊維3との重量比(前者:後者)は、2:8〜8:2、特に3:7〜7:3、とりわけ3:7〜5:5であることが好ましい。
構成繊維の繊維径に関し、弾性繊維2の繊維径は、非弾性繊維3の繊維径の1.2〜5倍、特に1.2〜2.5倍であることが好ましい。これに加えて弾性繊維2は、通気性及び伸縮特性の観点から、その繊維径が5μm以上、特に10μm以上が好ましく、100μm以下、特に40μm以下であることが好ましい。一方、非弾性繊維3は、その繊維径が1〜30μm、特に10〜20μmであることが好ましい。つまり、非弾性繊維3としては、弾性繊維2よりも細めのものを用いることが好ましい。非弾性繊維3は主として表面域Sに存在するものであるところ、表面域Sに細めの繊維を用いることで肌触りの良い伸縮性不織布1が得られる。
弾性繊維2は、熱可塑性エラストマーを含有する繊維であることが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、当該技術分野において従来用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。例えばスチレン系エラストマー(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)等)、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等を用いることができる。
一方、非弾性繊維3としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。非弾性繊維は、親水性でも撥水性でも良い。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。特に非弾性繊維3が、2成分系の複合繊維の短繊維から構成されていると、嵩高で柔軟な伸縮性不織布1を容易に得ることができるので好ましい。2成分系の複合繊維が芯鞘型の複合繊維の場合、芯と鞘の樹脂の組み合わせとしては、芯がPETやPPで、鞘が低融点PETやPP、PEであることが好ましい。
弾性繊維2及び非弾性繊維3としては、短繊維及び長繊維の何れを用いることもできる。嵩高で柔軟な伸縮性不織布を製造する観点からは、弾性繊維2及び非弾性繊維3として短繊維を用いることが好ましい。短繊維を用いる場合、その長さは25〜65mm程度であることが好ましい。
本実施形態の伸縮性不織布1は、その面内方向の少なくとも一方向に伸縮性を有する。面内のすべての方向に伸縮性を有していてもよい。その場合には、方向によって伸縮性の程度が異なることは妨げられない。最も伸縮する方向に関し、伸縮性の程度は、100%伸長時の荷重が20〜500cN/25mm、特に40〜150cN/25mmであることが好ましい。また100%伸長状態から収縮させたときの残留歪みが15%以下、特に10%以下であることが好ましい。
本実施形態の伸縮性不織布1は、その良好な風合いや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性の点から、外科用衣類や清掃シート等の各種の用途に用いることができる。特に生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の構成材料として好ましく用いられる。例えば、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート等として用いることができる。また、ナプキンの伸縮性ウイングを形成するシート等として用いることができる。また、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。伸縮性不織布の坪量や厚みは、その具体的な用途に応じて適切に調整できる。例えば吸収性物品の構成材料として用いる場合には、坪量20〜160g/m2程度、厚み0.1〜5mm程度とすることが望ましい。また、本実施形態の伸縮性不織布は、柔軟であり、また通気性が高くなっている。柔軟性の尺度である曲げ剛性に関し、本実施形態の伸縮性不織布は、曲げ剛性値が10g/30mm以下と低いものとなっていることが好ましい。通気性に関しては、通気度が16m/(kPa・s)以上となっていることが好ましい。また、伸度は100%以上であることが望ましい。
曲げ剛性は、JIS L−1096に準拠して測定され、ハンドルオメーターによる押し込み量8mm、スリット幅10mmの条件において、それぞれ流れ方向とそれに対して直角方向に曲げた際の平均値として得られる。通気度は、カトーテック製AUTOMATIC AIR−PERMEABILITY TESTER KES-F8-AP1により通気抵抗を測定し、その逆数として求められる。
本実施形態の不織布は、それ単独で上述した用途に用いることができる。これに加えて、本実施形態の不織布は、該不織布と他の不織布やウエブとを積層してなる積層体の形態で用いることができる。本実施形態の不織布と、他の不織布又はウエブとの接合には公知の接合方法を採用することができる。例えば、接着剤による接合、熱エンボス装置による接合、超音波接合装置による接合、水流交絡による接合などが挙げられるが、これに限定されない。本実施形態の不織布と積層される他の不織布としては、例えばスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ケミカルボンド不織布、ヒートボンド不織布などが挙げられる。ウエブとしては、カードウエブ、スパンボンドウエブ、メルトブローンウエブなどが挙げられる。
次に、本実施形態の伸縮性不織布1の好ましい製造方法を、図2を参照しながら説明する。図2には、本実施形態の伸縮性不織布1の製造方法に用いられる好ましい製造装置が模式的に示されている。図2に示す装置は、製造工程の上流側から下流側に向けて、ウエブ形成部10、繊維結合部20及び延伸部30をこの順で備えている。
ウエブ形成部10はウエブ形成装置からなる。ウエブ形成装置としては、カード機が用いられている。カード機としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。
繊維結合部20は一対のロール21,22を備えたエンボス装置からなる。ロール21,22の一方は、その周面にエンボス用凸部が規則的に配置された金属製のものである。他方のロールは、一方のロールに対向配置された金属製又は樹脂製の受けロールであり、その周面が平滑になっている。
延伸部30は延伸装置からなる。延伸装置は一対のロール31,32を備えている。各ロール31,32はその周面部に、軸線方向に延び且つ互いに噛み合う歯溝を有している。従って、以下の説明においては、ロール31,32を歯溝ロールと呼ぶこととする。歯溝ロール31,32が回転しているときに繊維シートがそれらの噛み合い部分に供給されて噛み込まれることで、該繊維シートが歯溝ロール31,32の周面方向(即ちシートの長手方向)へ延伸される。
以上の構成を有する装置を用いた伸縮性不織布の製造方法について説明すると、図2に示すように、ウエブ形成部10においては、弾性繊維の短繊維及び非弾性繊維の短繊維を原料として用い、ウエブ形成装置であるカード機によって、図3に示す、弾性繊維及び非弾性繊維からなる混合繊維ウエブ1Aを製造する。混合ウエブ1Aにおいては、弾性繊維と非弾性繊維とがほぼ均一に混合されている。弾性繊維と非弾性繊維の割合は、目的とする伸縮性不織布に含まれる弾性繊維と非弾性繊維の割合に一致させる。混合繊維ウエブ1Aをカード法によって製造することで、嵩高で柔軟な伸縮性不織布1を首尾良く製造することができる。他のウエブ形成法、例えばスパンボンド法等を採用することも可能ではあるが、スパンボンド法では十分に嵩高で柔軟な伸縮性不織布を製造することは容易でない。
得られた混合繊維ウエブ1は、繊維結合部20に搬送させる前に、高圧水流を吹き付け工程に付されてもよい。これによってウエブ1の構成繊維が更に交絡するようになる。この場合、ウエブ1の構成繊維、特に弾性繊維が外力によって分割可能な繊維である場合には、高圧水流によって該繊維が分割されて、弾性繊維が混合されたウエブを容易に形成することが可能となる。なお、分割可能な繊維の分割は、高圧水流の吹き付けと同時であることを要せず、高圧水流を吹き付けた後の工程において別途行ってもよい。
得られた混合繊維ウエブ1Aは繊維結合部20に搬送される。繊維結合部20であるエンボス装置における少なくとも一方のロール、例えばエンボス用凸部が形成されている方のロール21は所定温度に加熱されている。混合繊維ウエブ1Aが両ロール21,22によって挟圧されることによって、該ウエブ1Aには熱エンボス加工が施される。これによって、混合繊維ウエブ1Aの構成繊維どうしの交点が結合された多数の接合部が該ウエブ1Aに形成され、繊維シート1Bが得られる。
エンボス装置による熱エンボス加工は、混合繊維ウエブ1Aの構成繊維を結合させてシートの形態にするために必要な操作である。また、後述する延伸加工において非弾性繊維を塑性変形させるための起点を形成するために必要な操作である。しかし熱エンボス加工の条件を余りに過酷にすると、最終的に得られる伸縮性不織布1の嵩高さが損なわれ、また繊維のフィルム化が起こり、伸縮性不織布の風合いや通気性にマイナスに作用する。このような観点から熱エンボス加工の線圧及びロールの加熱温度を設定する。
熱エンボス加工によって得られた繊維シート1Bは、個々独立した散点状の接合部を多数有する。接合部は規則的な配置パターンで形成されている。接合部は、例えば、繊維シート1Bの流れ方向(MD)及びその直交方向(CD)の両方向に不連続に形成されていることが好ましい。
エンボス装置において形成された繊維シート1Bは、引き続き延伸装置30へ送られる。図4に示すように延伸装置30は、延伸加工される繊維シート1Bの機械流れ方向の滑りを防ぐ滑り防止手段33と、歯溝ロール31,32による延伸加工前後の繊維シート1Bに張力を加える張力付与手段34、35を備えている。
滑り防止手段33は、歯溝ロール31と接触したロールからなる。ロールはゴムロールで構成されており、それらの周面部を歯溝ロール31に押し当てることで、歯溝ロール31,32間を通過する繊維シート1Bの滑りや収縮を抑制する。ロールからなる滑り防止手段33は、歯溝ロール32に周面部を押し当てるように配置することもでき、これにより、前記と同様の効果を奏させることができる。
図4に示す滑り防止手段33の別の例として、一方のロールにその周面部において開孔する吸引路を設け、該吸引路を通して延伸加工済みの繊維シート10Aを吸引する吸引手段を付設したものを用いることもできる。
張力付与手段34は、歯溝ロール31,32の上流側に配された一組のテンションロール34a、34bを備えている。張力付与手段35は、歯溝ロール31,32の下流側に配された一組のテンションロール35a、35bを備えている。
図5に示すように、各歯溝ロール31,32における隣接する歯31a、32aどうしのピッチPは、好ましくは1.0mm〜5.0mmであり、前記各歯の幅Wが前記ピッチの好ましくは1/2未満であり、且つ前記歯の高さHは好ましくは隣接する歯のピッチ以上である。各ロールにおける歯溝の形態が斯かる範囲であると、これら歯溝ロール31,32間に供給される繊維シート1Bに従来にない高い伸縮性を付与することができる。歯溝ロール31,32における隣接する歯どうしのピッチとは、1つの歯の中心線とそれと隣り合う歯の中心線との距離をいう。歯溝ロールの歯の幅とは、1つの歯の幅をいう。歯の幅は均等でなく、歯の根元から歯の先端に向かって細くなる台形型の歯であってもよい。ロールの歯の高さとは、歯の根元から先端までの長さをいう。
各歯溝ロール31,32における隣接する歯どうしのピッチPは、繊維シート1Bの伸びの均一化を考慮すると、1.5〜3.5mmが更に好ましく、2.0〜3.0mmが一層好ましい。また、各ロール2、3における歯の幅Wは、歯の強度を考慮すると、歯どうしのピッチの1/4〜1/2が更に好ましく、1/3〜1/2が一層好ましい。更に、各ロールの歯の高さHは、繊維シート1B伸縮性を与えるために延伸倍率を高くすることを考慮すると、歯のピッチが例えば2.0mmの場合は2.0(ピッチの1.0倍)〜4.0(ピッチの2.0倍)mmが好ましく、2.5(ピッチの1.25倍)〜3.5(ピッチの1.75倍)mmが一層好ましい。
各歯溝ロール31,32における歯31a、32aの先端の角部は、歯31a、32aの角部によって繊維シート1Bにダメージが与えられないようにするために、面取りしておくことが好ましい。面取りの曲率半径は0.1〜0.3mmが好ましい。
歯溝ロール31,32の歯31a、32aの噛み合い深さDは、繊維シート1Bに伸縮性を与えるために延伸倍率を高くすることを考慮すると、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上が一層好ましい。ここで、歯の噛み合い深さとは、歯溝ロール31,32どうしを噛み合わせて回転させるとき、隣接する歯の重なり合う長さをいう。
歯溝ロール31,32は、何れか一方の回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって噛み合って回転する。歯溝ロール31,32の各軸に歯31a,32aとは別に、一般的な、JIS B1701に規定されているギアを駆動用のギアとして取り付けてもよい。それによって、歯溝ロール31,32の歯31a,32aが噛み合うのではなく、これらのギアが噛み合うことによって、歯溝ロール31,32に駆動が伝達され、歯溝ロール31,32を回転させることができる。この場合、歯溝ロール31,32の歯31a,32aは接触することはない。
図6(a)には、延伸装置30による繊維シート1Bの延伸加工の状態が模式的に示されている。詳細には、延伸装置30における一対の歯溝ロール31,32を回転させながらそれらの噛み合い部分に繊維シート1Bを供給する。そして、図6(a)に示すように、歯溝ロール31,32間において、繊維シート1Bに延伸加工を施す。繊維シート1Bの延伸状態の要部拡大図を図6(b)に示す。図6(b)に示すように、延伸状態においては、繊維シート1B中の弾性繊維と非弾性繊維は、図3に示す混合繊維ウエブ1A中の弾性繊維及び非弾性繊維と同様に、混合状態になっている。
繊維シート1Bに一層効果的に伸縮性を付与する観点から、延伸加工前の繊維シート1Bにテンションロール34a,34bによって張力を加えた状態で、歯溝ロール31,32間に繊維シート1Bを供給することが好ましい。供給する繊維シート1Bに加える張力は、延伸加工前の繊維シート1Bの破断応力の10〜80%が好ましく、20〜70%が一層好ましい。
同様の観点から、延伸加工済みの繊維シート1Bにテンションロール35a,35bによって張力を加えて歯溝ロール31,32間から該シートを引き出すことが好ましい。供給する繊維シート1Bに加える張力は、延伸加工後の繊維シート1Bの破断応力の5〜80%が好ましく、10〜70%が一層好ましい。シートの破断応力は歯溝延伸加工の加工前に比べて、加工後では小さくなる。また、歯溝延伸加工によって伸縮性を付与された延伸加工済みの繊維シート1Bはわずかな張力でも伸びやすい。そのような観点から、延伸加工済みの繊維シート1Bに加える張力を、延伸加工前の繊維シート1Bに加える張力よりも弱くすることが好ましい。
前記の延伸加工により、繊維シート1B中の非弾性繊維が接合部間において塑性変形して十分に伸長される。一方、弾性繊維は弾性変形して伸長される。それによって非弾性繊維が、弾性繊維の自由な伸縮を阻害する程度が大きく低下する。その結果、本製造方法によれば、高伸縮性であり、また、破れや毛羽立ちの少ない外観の良好な伸縮性不織布を効率的に製造することができる。特に非弾性繊維がエンボス加工で形成された接合部において強固に結合されているので、接合部間に存在する非弾性繊維に延伸による引張力が十分に伝達されて、該非弾性繊維の塑性変形が確実に行われる。
延伸装置30から送り出された繊維シート1Bは、その長手方向への延伸状態が解放される。即ち伸長が緩和される。その結果、図7に示すように、繊維シート1Bに含まれる弾性繊維2は長手方向へ弾性的に収縮し、該繊維シート1Bにその長手方向への伸縮性が発現する。一方、繊維シート1Bに含まれる非弾性繊維3は、塑性変形により伸長した伸び分が、弾性繊維2の収縮に起因して弛む。非弾性繊維3は弾性的な収縮を起こさないので、この弛みは行き場を失い図7に示すように繊維シート1Bの厚み方向へ膨出する。特に、本製造方法においては、繊維シート1Bをその長手方向に延伸することで、塑性変形により伸長した非弾性繊維が、延伸の解放後に該シート1Bの厚み方向へ首尾よく膨出することが本発明者らの検討の結果判明した。これらの結果、弾性繊維2は、その存在位置が延伸加工前と変化しないのに対し、非弾性繊維3は厚み方向の表面域Sに相対的に移動して該表面域Sに偏在する。このようにして、単一のウエブを原料とする単一のシート中に、弾性繊維2の存在率の高い領域、即ち中央域Cと、非弾性繊維3の存在率の高い領域、即ち表面域Sとが形成され、目的とする伸縮性不織布1が得られる。
このようにして得られた伸縮性不織布1を、例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品の構成材料として用いる場合には、繊維シート1Bの延伸及びその緩和によって得られた伸縮性不織布1を、自由長さよりも10%以上伸長させた状態で、吸収性物品を構成する他の部材と接合することが好ましい。これによって、伸縮性不織布1を備えた吸収性物品は、該伸縮性不織布1の有する伸縮性に起因して、該伸縮性不織布1が配された部位が伸縮性を発現することとなる。
次に、本発明の伸縮性不織布の具体的な用途として、該不織布をパンツ型使い捨ておむつに適用した例を説明する。このパンツ型使い捨ておむつは、吸収性コアを含む吸収性本体と、該吸収性本体の非肌当接面側に接合された外包材とを備え、該外包材における腹側部及び背側部の両側縁部同士が接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているものである。このおむつは以下の特徴を有している。
(イ)前記外包材は、伸縮性シートからなる外層シートと非伸縮性シートからなる内層シートとが積層された構造を有し、該外層シートと該内層シートとは、前記サイドシール部並びに前記ウエスト開口部及び前記レッグ開口部それぞれの周縁部を除く部分の全域又は大部分において接合されていない。
(ロ)前記吸収性本体と前記外包材の前記内層シートとは本体接合部により接合されている。
(ハ)前記サイドシール部が分離され且つ前記外包材が展開された状態において、前記内層シートの実質的な幅は、収縮した状態の前記外層シートの幅よりも広くなっている。
以上の特徴を有するパンツ型使い捨ておむつを、図面を参照しながら以下に説明する。
おむつ101は、図8〜図11に示すように、液透過性の表面シート102、液不透過性又は撥水性の裏面シート103及び両シート102、103間に介在配置された液保持性の吸収性コア104を有する実質的に縦長の吸収性本体110と、吸収性本体110の裏面シート103側(非肌当接面側)に接合された外包材111とを備えている。
外包材111は、その両側縁が、長手方向中央部において内方に括れた砂時計形の形状を有しており、おむつの輪郭を画成している。外包材111は、その長手方向において、着用者の腹側に配される腹側部Aと背側に配される背側部Bとその間に位置する股下部Cとに区分される。腹側部A及び背側部Bは、外包材111の長手方向前後端部に相当し、股下部Cは外包材111の長手方向中央部に相当する。外包材111は、その腹側部Aの両側縁部A1,A2と背側部Bの両側縁部B1,B2とが互いに接合され、使い捨ておむつ101にはウエスト開口部105及び一対のレッグ開口部106が形成されている。この接合によって、使い捨ておむつ101の左右両側縁には一対のサイドシール部S,Sが形成され、パンツ型を形成している。これらの接合には、例えばヒートシール、高周波シール、超音波シール等が用いられる。
表面シート102、裏面シート103及び吸収性コア104はそれぞれ矩形状であり、一体化されて縦長の吸収性本体110を形成している。表面シート102、裏面シート103及び吸収性コア104としては、それぞれ、従来この種のおむつに用いられているものと同様のものを用いることができる。例えば、吸収性コア104としては、高吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成され、ティッシュペーパ(図示せず)によって被覆されているものを用いることができる。
吸収性コア104は、図12に示すように、砂時計型の中央吸収体141と中央吸収体141の両側方に対称的に設けられた一対のサイド吸収体142,142とを具備している。中央吸収体141と一対のサイド吸収体142,142とはそれぞれ少なくとも股下部において分離している。サイド吸収体142の長手方向一方部及び長手方向他方部は、それぞれ、中央吸収体141の長手方向一方部(腹側部)及び長手方向他方部(背側部)で連設している。従って、中央吸収体141と一対のサイド吸収体142,142との間には、それぞれ、刳り貫かれた形状の切離部143,143が形成されている。
長手方向一方部、長手方向中央部、長手方向他方部は、吸収性コア104を長手方向に略3等分するように3領域に区分したときの各領域である。吸収性コア104が切離部143を有していると、吸収性コア104の両側縁部が起立し易い。また、吸収性コア104が幅方向に押圧されると、吸収性コア104全体の幅が狭くなるため、外包材111の幅方向の収縮が阻害され難い。なお吸収性コア104の平面視形状は、図12に示す形状に制限されず、例えば、サイド吸収体142が長手方向一方部又は長手方向他方部の一方のみで中央吸収体141に連接している形状、サイド吸収体142が中央吸収体141に連接していない(分離している)形状、切離部143を有していない形状でもよい(何れも図示せず)。
吸収性本体110の長手方向の左右両側には、図9〜図11に示すように、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス108,108が形成されている。各側方カフス108の自由端部の近傍には、側方カフス弾性部材181が伸長状態で配されている。これにより、図8のように組み立てられた使い捨ておむつ101を着用させる際に、側方カフス弾性部材181が収縮することにより側方カフス108が起立して、吸収性本体110の幅方向への液の流出が阻止される。側方カフス108,108の形成用のシート材182は、図10及び図11に示すように、おむつの状態において、吸収性本体110の幅方向外側の所定幅の部分182Sが、裏面シート103の肌当接面側に巻き下げられ、吸収性コア104と裏面シート103との間に固定されている。
外包材111は、本発明の伸縮性不織布からなる外層シート112と非伸縮性シートからなる内層シート113とが積層された構造を有している。外層シート112はおむつの外面をなし、内層シート113は外層シート112の内面側に配されている。外層シート112を形成する伸縮性不織布は、おむつを展開状態としたときに、少なくともおむつ幅方向(図9の左右方向)に伸縮性を有していればよい。内層シート113を形成する非伸縮性シートは、おむつを展開状態としたときに、少なくともおむつ幅方向に伸縮性を有していない。
外層シート112は、おむつ幅方向において、おむつ長手方向(図9の上下方向)よりも大きく伸長可能である。より具体的には、おむつ幅方向においては、大きく伸長し且つ伸長後に収縮する(最大伸度100%以上且つ伸長回復率70%以上)が、おむつ長手方向においては、わずかにしか伸長しない(例えば、最大伸度50%以下)。
非伸縮性シートとしては、不織布、不織布と樹脂フィルムとの積層材、多孔性フィルム等が好ましい。非伸縮性シートは、通気性、風合いを良好にする観点から、熱可塑性繊維からなる不織布から形成されているものが好ましく、また、排泄物の漏れ防止の観点から、撥水性の不織布から形成されているものが好ましい。
おむつ101においては、図10及び図11に示すように、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおける外層シート112と内層シート113との間は、サイドシール部A1,A2,B1,B2においては、ヒートシール、高周波シール又は超音波シールにより互いに接合されており、ウエスト開口部105の周縁部150及び一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部160においては、ホットメルト型接着剤等の接着剤152,162により互いに接合されている。そして、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおける外層シート112と内層シート113との間は、これらの部分を除く部分の大部分において接合されていない。
具体的には、外層シート112と内層シート113との間は、サイドシール部A1,A2,B1,B2、ウエスト開口部105の周縁部150、一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部160に加えて、腹側部A及び背側部Bそれぞれのおむつ幅方向中央部において接合されており、それら以外の部分においては接合されていない。
このように、腹側部A及び背側部Bにおける広い範囲において、外層シート112と内層シート113との間を接合しない構成とすることにより、外包材111が接着剤で硬くなる部分を最小限に抑えることができ、おむつの外面や、外包材111の内面における吸収性本体110に覆われていない部分を、柔らかで肌触りの良いものとすることができる。また、外包材111の通気性が良好に維持されるので、ムレにくいおむつを提供することができる。更に、ウエスト開口部105及び一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部150,160において、外層シート112と内層シート113との間を接合した構成としたため、胴回り部においては、伸縮性の外包材111により適度なフィット性を得ることができる。
腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける、ウエスト開口部105の周縁部150には、ウエスト開口部105の開口周縁端に沿って、複数のウエスト部弾性部材151,151が配されている。これらのウエスト部弾性部材151,151は、接着剤152を介して外層シート112と内層シート113との間に伸長状態で固定されている。
また、腹側部A、股下部C及び背側部Bに亘って存在するレッグ開口部の周縁部160,160にも、各開口部の周縁端に沿って、レッグ部弾性部材161a,161bが配されている。これらのレッグ部弾性部材161a,161bは、接着剤162を介して外層シート112と内層シート113との間に伸長状態で固定されている。ウエスト部弾性部材151及びレッグ部弾性部材161a,161bとしては、それぞれ、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂、ホットメルト系伸縮部材等の伸縮性素材を糸状(糸ゴム)又は帯状(平ゴム)に形成したものが好ましく用いられる。
このように、ウエスト開口部105及び一対のレッグ開口部106それぞれの周縁部150,160に、糸状又は帯状の弾性部材151,161a,161bを、外層シート112と内層シート113との間に挟んだ状態に固定することにより、これらの部位のフィット性を外包材111の伸縮特性の制約を受けることなく高めることができる。
また、糸状又は帯状の弾性部材151,161a,161bを外層シート112と内層シート113との間に挟んだ状態に固定できるため、このような弾性部材を、一枚のシートからなる外包材に固定する場合に比べて、弾性部材が着用者に違和感を与えたり、外観を悪化させることを防止することもできる。
おむつ101において、ウエスト開口部105の周縁部150に存する外層シート112と内層シート113との間が接合されている領域の幅は、腹側部A及び背側部Bそれぞれについて、ウエスト開口部の周縁端105a,105bから70mm以内であることが好ましく、60mm以内であることが更に好ましい。レッグ開口部106の周縁部160に存する外層シート112と内層シート113との間が接合されている領域の幅は、腹側部A、股下部C及び背側部Bの各部において、レッグ開口部106の周縁端から50mm以内であることが好ましく、30mm以内であることが更に好ましい。
また、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおけるおむつ幅方向において、外層シート112と内層シート113との間が接合されていない部分の合計長さ(L1+L2)は、左右のサイドシール部A1,A2間の長さLa(Lb)に対して、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更に好ましい。
腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける外層シート112と内層シート113との間が接合されていない部分の面積は、腹側部A及び背側部Bそれぞれの面積に対して、60〜100%であることが好ましく、70〜100%であることがより好ましい。この数値を満たすものを「全域又は大部分」というものとする。
本明細書に記載の各部の寸法や比等は、図9に示すようにおむつを展開状態とし、ウエスト開口部及びレッグ開口部の弾性部材による収縮力を解除した自然状態(張力等の外力を作用させない状態)において測定した値又はそれに基づくものである。
おむつ101においては、股下部Cにおける外層シート112と内層シート113との間も、レッグ開口部の周縁部160及び股下部Cのおむつ幅方向中央部において、接着剤162,接合部114を介して接合されているが、それ以外の部分においては接合されていない。おむつ101においては、図9に示すように、レッグ開口部の周縁部160に伸縮性を付与するためのレッグ部弾性部材161が、レッグ開口部の周縁部160から股下部Cの幅方向中央に向かって延出しているが、このように、レッグ開口部に周方向に伸縮性を付与するためのレッグ部弾性部材161が配されている部分は、レッグ開口部の周縁部160に含まれる。
おむつ101においては、腹側部A及び背側部B並びに股下部Cそれぞれのおむつ幅方向中央部において、外層シート112と内層シート113との間が接合されているため、おむつの装着前並びに装着中の外観を一層良好にすることができる。また、外包材111の外面に廃棄用テープ(図示せず)を設ける場合に、廃棄用テープをおむつ幅方向中央部に固定することで、廃棄用テープを強固に固定することができる。廃棄用テープは、おむつを丸めた状態を保持するテープであり、従来公知の各種のものを用いることができる。
腹側部A及び背側部B並びに股下部Cそれぞれのおむつ幅方向中央部において、外層シート112と内層シート113と間が接合されているため、裏面シート103に、模様や文字、その他の記号等の図柄を設けた場合に、おむつ外面側からその図柄を明瞭に視認できる。
おむつ101において、図9及び図10に示すように、外包材111の外面側を構成する構成する外層シート112は、外層シート112と内層シート113とによって各ウエスト部弾性部材151,51を挟持固定する部位よりも更に延出する長さを有し、外層シート112における内層シート113より延出した部分112a,112bが吸収性本体110側に折り返されている。吸収性本体110は、その長手方向両端部における肌当接面側が、外層シート112の折り返された部分(折り返し部分)112a,112bに覆われている。外層シート112の折り返し部分112a,112bは、吸収性本体110の長手方向両端部と重なる部分が、吸収性本体110の略全幅に亘って接着剤(図示せず)を介して接着されており、これにより、吸収性本体110の長手方向両端部が、外包材111に固定されている。折り返し部分112a,112bを形成することで、吸収性本体110の前後端部が着用者に直接接触することを防止し、吸収性本体110の前後端部からの吸収性コア104の吸水性ポリマーの漏れを防止することができる。
吸収性本体110は、その長手方向両端部を除く部分においては、図10及び図11に示すように、幅方向中央部のみが本体接合部115により外包材111の内層シート113に接合されている。外包材111の伸縮が、吸収性本体110の接合によって阻害されにくくなるため、胴回り部に良好なフィット性が得られる。外包材111のおむつ幅方向中央部における外層シート112と内層シート113との間の接合部114の幅W1は、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおいて、吸収性本体110の幅Wの0〜40%であることが好ましく、0〜30%であることがより好ましい。接合部114の幅W1が吸収性本体110の幅Wの40%を超えた場合、伸縮性の阻害が生じる。
本体接合部115は、おむつ幅方向中央部に設けられている。本体接合部115の幅W2は、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおいて、吸収性本体110の非肌当接面側の幅Wの70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。本体接合部115の幅W2が吸収性本体110の幅Wの70%以上であると、装着中における吸収性本体110の剥がれ、破壊等が生じ難い。本体接合部115は、おむつ幅方向に離間した形態でもよい。
サイドシール部Sが分離され且つ外包材111が展開された状態において、内層シート113の実質的な幅は、収縮した状態の外層シート112の幅よりも広くなっている。即ち、外包材111が展開された状態において、外層シート112はその収縮力により収縮した状態になっているが、内層シート113は非伸縮性シートからなるため幅がほとんど狭くならない。そのため、内層シート113は外層シート112に対して幅方向に弛んだ状態になる。このような弛んだ内層シート113を仮想的に外層シート112から分離し、内層シート113の弛みを解消したときの内層シート113の幅を「内層シート113の実質的な幅」とする。
内層シート113の実質的な幅は、収縮した状態の外層シート112の幅の1.3〜4.0倍であることが好ましく、1.5〜3.0倍であることが更に好ましい。
このように構成されたおむつ101においては、サイドシール部Sが分離され且つ外包材111が展開された状態において、内層シート113の実質的な幅は、収縮した状態の外層シート112の幅よりも広くなっている。従って、外包材111の外層シート112が伸縮性シートから形成されているため、装着時のおむつの外観やフィット感が良好である。また、外包材111の内層シート113が非伸縮性シートから形成されているため、使用時に外包材111が幅方向に伸長しても、内層シート113が弛み、外包材111からの吸収性本体110の剥がれ、外包材111の破れ等の問題が生じ難い。また、外包材111の肌当接面側は、触感及び風合いが良好で、柔らかさに優れている。
おむつ101においては、本発明の伸縮性不織布からなる外層シート112と非伸縮性シートからなる内層シート113とがほとんど接着されていないため、非伸縮性の吸収性本体110の影響を受けることなく、外包材111の伸縮性が良好である。外包材111の外層シート112が伸長状態から解放されても、吸収性本体110は収縮することなく外観に優れ、且つ吸収性本体110の吸収性能が維持できる。そのため、本体接合部115の幅W2を広く設定しても、外包材111の幅方向の伸縮性は阻害されない。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記の製造方法においては、繊維結合部20がエンボス装置から構成されていたが、これに代えて、エアスルー方式の熱風炉を用い、熱風処理によって繊維を融着させてもよい。尤も、非弾性繊維3の結合点間において、該非弾性繊維3を首尾良く塑性変形させる観点からは、結合点の強度が大きくなる結合方法であるエンボス法を用いることが好ましい。